JP6840688B2 - 被覆材除去装置及び被覆材除去方法 - Google Patents

被覆材除去装置及び被覆材除去方法 Download PDF

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Description

本発明は、複数の導体線が絶縁被覆材によって被覆された導体ケーブルを対象として、当該絶縁被覆材を除去する被覆材除去装置及び被覆材除去方法に関する。
例えば、下記の特許文献1には、工場に設置されるホイストクレーンHの給電用として施工される絶縁トロリー線1(導体ケーブル)が開示されている。この絶縁トロリー線1は、複数本の導体13が並列配置された状態で絶縁シース14(絶縁被覆材)にて被覆されている。絶縁トロリー線1を設置する際には、絶縁シース14の一部を除去することで導体13を露出させ、当該露出した部分と給電装置の端子5とを連結することで、絶縁トロリー線1と給電装置とを電気的に接続する。
特開2001−334847号公報
ところで特許文献1では、絶縁トロリー線1から絶縁シース14を除去する際、特許文献1の図5に示すように、複数の導体13が並ぶ並び方向に沿って直線的に絶縁シース14を切断すると共に、当該切断部分から絶縁トロリー線1の基部側(図中右上方向)に向かって所定長さだけ各導体13間の絶縁シース14を切断している。特許文献1では、このような絶縁シース14の切断が、ドリル工具15を用いた手作業によって行われている。そのため、絶縁シース14を切断した後の絶縁トロリー線1、すなわち絶縁被覆材除去後の導体ケーブルの品質を毎回一定に保つことが困難であり、また作業の手間も大きかった。
そこで、絶縁被覆材の除去作業を簡単に行うことができると共に、絶縁被覆材の除去後の導体ケーブルの品質を一定に保つことが容易である被覆材除去装置及び被覆材除去方法が望まれる。
本開示に係る被覆材除去装置は、
長手方向に沿って延びていると共に幅方向に並列配置された複数の導体線と、当該複数の導体線のそれぞれを囲む複数の包囲部及び隣り合う一対の包囲部の間を前記幅方向につなぐ連結部を有する絶縁被覆材と、を備えた導体ケーブルを対象とする被覆材除去装置であって、
前記導体ケーブルを保持する保持型と、
前記長手方向及び前記幅方向に直交する方向である厚さ方向に分かれて対向配置され、前記保持型に対して前記厚さ方向に移動自在な第一切断刃及び第二切断刃と、
前記第一切断刃及び前記第二切断刃が配置された位置である第一位置に対して前記長手方向に異なる第二位置に配置され、前記保持型に対して前記厚さ方向に移動自在な第三切断刃と、を備え、
前記第一切断刃及び前記第二切断刃は、複数の前記導体線を前記厚さ方向の両側から挟んで対向することで、前記第一位置において複数の前記包囲部を複数の前記導体線のそれぞれの全周にわたって切断するように構成され、
前記第三切断刃は、前記保持型に対して前記厚さ方向に移動することで、前記第二位置において前記連結部を前記包囲部から切断するように構成されている。
本構成によれば、導体ケーブルが保持型に保持された状態で、第一切断刃と第二切断刃と第三切断刃とによって、絶縁被覆材の包囲部を第一位置において切断し、連結部を第二位置において切断することができる。従って、絶縁被覆材の除去作業を簡単に行うことができる。この際、第一切断刃及び第二切断刃が配置された第一位置と、第三切断刃が配置された第二位置との長手方向の位置関係が一定であるため、複数回の切断作業を行う場合であっても、毎回同じ位置関係で包囲部及び連結部を切断できる。その結果、絶縁被覆材の除去後の導体ケーブルの品質を一定に保つことが容易である。
本開示に係る絶縁被覆材除去方法は、
長手方向に沿って延びていると共に幅方向に並列配置された複数の導体線と、当該複数の導体線のそれぞれを囲む複数の包囲部及び隣り合う一対の包囲部の間を前記幅方向につなぐ連結部を有する絶縁被覆材と、を備えた導体ケーブルを対象とする被覆材除去方法であって、
前記導体ケーブルを保持する保持型と、前記長手方向及び前記幅方向に直交する方向である厚さ方向に分かれて対向配置され、前記保持型に対して前記厚さ方向に移動自在な第一切断刃及び第二切断刃と、前記第一切断刃及び前記第二切断刃が配置された位置である第一位置に対して前記長手方向に異なる第二位置に配置され、前記保持型に対して前記厚さ方向に移動自在な第三切断刃と、を備えた被覆材除去装置を用い、
前記保持型により前記導体ケーブルを保持した状態で、前記第一切断刃と前記第二切断刃とを前記保持型に対して前記厚さ方向に相対移動させ、前記第一切断刃と前記第二切断刃とを前記厚さ方向に対向させるように押圧すると共に、前記第三切断刃を前記厚さ方向に移動させるように押圧し、前記包囲部及び前記連結部を切断する。
本方法によれば、導体ケーブルを保持型により保持しつつ、第一切断刃と第二切断刃と第三切断刃とによって、絶縁被覆材の包囲部及び連結部を適切な位置で切断することができる。従って、絶縁被覆材の除去作業を簡単に行うことができる。また、第一切断刃及び第二切断刃が配置された第一位置と、第三切断刃が配置された第二位置との長手方向の位置関係が一定である被覆材除去装置を用いることにより、複数回の切断作業を行う場合であっても、毎回同じ位置関係で包囲部及び連結部を切断できる。従って、絶縁被覆材の除去後の導体ケーブルの品質を一定に保つことが容易である。
本開示に係る技術のさらなる特徴と利点は、図面を参照して記述する以下の例示的かつ非限定的な実施形態の説明によってより明確になるであろう。
導体ケーブルの使用例を示す図。 導体ケーブルの平面図。 図2におけるIII−III断面図。 導体ケーブルの斜視図。 切断前の状態における被覆材除去装置の斜視図。 図5におけるVI−VI断面図。 切断刃と導体ケーブルとの位置関係を示す平面模式図。 切断前の状態における被覆材除去装置の正面図。 切断後の状態における被覆材除去装置の正面図。 切断前の状態における、切断刃と導体ケーブルとの位置関係を示す図。 切断後の状態における、切断刃と導体ケーブルとの位置関係を示す図。
1.第一実施形態
第一実施形態に係る被覆材除去装置について図面を参照して説明する。被覆材除去装置は、後述する導体ケーブルの絶縁被覆材を除去するための装置である。
1−1.導体ケーブル
図1には、物品を搬送する搬送設備が示されている。図1に示す例では、物品を収納する一対の収納棚91が、互いに向き合った状態で離間して配置されている。一対の収納棚91の間には、搬送装置としてのスタッカークレーン90が走行するための走行経路92が設定されている。スタッカークレーン90は、走行経路92に沿って走行し、収納棚91へ又は収納棚91から物品を搬送する。
スタッカークレーン90は、走行経路92上で動作するために、給電装置(不図示)から電力の供給を受けている。図1に示すように、電力の供給は、走行経路92に沿って配置される導体ケーブル8によって行われる。導体ケーブル8は、走行経路92に沿う方向である長手方向X(図2等参照)に沿って延びている。
図2及び3に示すように、導体ケーブル8は、上下方向に見て長手方向Xに直交する方向である幅方向Yに並列配置された複数の導体線81と、当該複数の導体線81のそれぞれを囲む複数の包囲部82A及び隣り合う一対の包囲部82Aの間を幅方向Yにつなぐ連結部82Bを有する絶縁被覆材82と、を備えている。なお、本明細書において上下方向とは、後述する「厚さ方向」に等しい方向である。すなわち、本明細書において上下方向は、導体ケーブルの厚さ方向を基準として定められるものであり、導体ケーブルが搬送設備に設置された状態での上下方向を意味するものではない。
図3に示すように、絶縁被覆材82は、包囲部82Aに対して、長手方向X及び幅方向Yに直交する方向である厚さ方向Zに突出する突条部82C及び脚部82Dを更に有している。突条部82C及び脚部82Dは、複数の導体線81のそれぞれに対して設けられている。突条部82Cは、包囲部82Aに対して、厚さ方向Zの一方側である厚さ方向第一側Z1に突出し、幅方向Yに離間して一対設けられている。脚部82Dは、包囲部82Aに対して、厚さ方向Zの他方側である厚さ方向第二側Z2に突出し、幅方向Yに離間して一対設けられている。脚部82Dは、突条部82Cよりも厚さ方向Zの突出量が大きく形成されている。これら突条部82C及び脚部82Dは、長手方向Xに沿って形成されている(図2参照)。なお、脚部82Dは、導体線81の後述する露出面81Fに沿って長手方向Xに摺動するブラシ等の受電部を、長手方向Xに案内する案内部として機能する。
図3に示すように、導体線81は、帯状の導体81A(例えば銅板)と帯状の支持体81B(例えば鉄板)とが積層された構造となっている。支持体81Bは、導体ケーブル8が長手方向Xにわたって剛性を保つためのものである。図4に示すように、絶縁被覆材82が除去されて導体線81が露出された後は、支持体81Bは、導体ケーブル8から取り除かれる。
図3に示すように、長手方向Xに直交する面で切断された複数の導体線81の断面は、矩形状に形成されている。導体線81の矩形断面は、厚さ方向Z及び幅方向Yの双方向において、絶縁被覆材82の包囲部82Aに覆われている。
導体線81は、厚さ方向第二側Z2の面の一部に、包囲部82Aから露出した露出面81Fを有している。露出面81Fは長手方向Xに沿って形成されている。また、露出面81Fは、導体線81における幅方向Yの中央側であって、幅方向Yにおける一対の脚部82Dの間に形成されている。そして、露出面81Fに対してスタッカークレーン90の受電部(不図示)が接触することにより、スタッカークレーン90が導体ケーブル8から電力の供給を受ける。
このように、複数の導体線81のそれぞれの断面が矩形状であると共に、厚さ方向Zにおける一方側の面の少なくとも一部に、包囲部82Aから露出した露出面81Fを有している。なお、導体線81の断面の形状は矩形状に限らず、例えば、多角形状に形成されていても良い。また、露出面81Fは、導体線81の外周面のうちいずれかの面に形成されていれば良い。
1−2.被覆材除去装置
被覆材除去装置1(図5等参照)は、長手方向Xに沿って延びていると共に幅方向Yに並列配置された複数の導体線81と、当該複数の導体線81のそれぞれを囲む複数の包囲部82A及び隣り合う一対の包囲部82Aの間を幅方向Yにつなぐ連結部82Bを有する絶縁被覆材82と、を備えた導体ケーブル8を対象としている。被覆材除去装置1により絶縁被覆材82の一部を導体ケーブル8から除去することで、導体線81を露出させることができる。そして、当該露出した部分と給電装置の端子(不図示)とをつなぎ、導体ケーブル8と給電装置とを電気的に接続することがきる。
ここで、図2及び4に示すように、絶縁被覆材82の除去は、導体ケーブル8における幅方向Yの全域にわたって、幅方向Y及び厚さ方向Zに沿う平面で包囲部82A及び連結部82Bを切断することにより行う。これにより、当該切断箇所から長手方向Xの先端側(以下、長手方向先端側X1という)にかけて導体線81が露出する。更に、給電装置の端子との接続の関係上、連結部82Bについては、上記切断箇所から長手方向Xの基端側(以下、長手方向基端側X2という)に所定長さ切断する必要がある。より具体的には、図2に示すように、長手方向Xにおける第一位置P1において絶縁被覆材82の包囲部82A及び連結部82Bを幅方向Yに沿って直線的に切断し、更に連結部82Bにあっては、この第一位置P1に対して長手方向基端側X2に位置する第二位置P2においても切断する必要がある。これにより、給電装置の端子に対して導体ケーブル8を接続することができ、スタッカークレーン90に電力供給が可能となる。本実施形態では、被覆材除去装置1は、第一位置P1及び第二位置P2において、絶縁被覆材82の包囲部82A及び連結部82Bを切断する。
図5及び8に示すように、被覆材除去装置1は、導体ケーブル8を保持する保持型2と、厚さ方向Zに分かれて対向配置され、保持型2に対して厚さ方向Zに移動自在な第一切断刃3及び第二切断刃4と、を備えている。図6に示すように、第一切断刃3及び第二切断刃4は、厚さ方向Zから見て幅方向Yに沿う直線状に形成されている。また、第一切断刃3及び第二切断刃4は、共に第一位置P1に配置され、厚さ方向Zから見て重複するように配置されている。ここで、本明細書において「第一位置」とは、厚さ方向Zから見た特定の位置を指す。具体的には、絶縁被覆材82の包囲部82A及び連結部82Bを幅方向Yに沿って直線的に切断する位置であり、図中において「P1」で示された位置をいう。
また、被覆材除去装置1は、第一切断刃3及び第二切断刃4に加えて、保持型2に対して厚さ方向Zに移動自在な第三切断刃5を備えている。第三切断刃5は、第一切断刃3及び第二切断刃4が配置された位置である第一位置P1に対して長手方向Xに異なる第二位置P2に配置されている。ここで、本明細書において「第二位置」とは、厚さ方向Zに見て、第一位置P1に対して長手方向Xに異なる位置を指す。具体的には、絶縁被覆材82の包囲部82A及び連結部82Bのうち連結部82Bのみを切断する位置であり、図中において「P2」で示された位置(領域)をいう。前述のように、本実施形態では、第二位置P2における連結部82Bの切断は、導体ケーブル8と給電装置の端子とを接続するために行われる。図6に示す例では、第二位置P2は、長手方向Xに所定幅を有していると共に、第一位置P1の長手方向基端側X2において当該第一位置P1に隣接している。図6に示す例では、第三切断刃5は、長手方向先端側X1が開放したU字状に形成されている。但し、第三切断刃5は、長手方向基端側X2が閉鎖された形状であれば良く、例えば、角ばったU字状等に形成されていても良い。
図5及び8に示すように、保持型2は、厚さ方向第一側Z1から導体ケーブル8を保持する第一保持部22と、厚さ方向第二側Z2から導体ケーブル8を保持する第二保持部23と、を備えている。
第一保持部22は、導体ケーブル8の上側部分に係合する第一係合溝22Aを有している。これにより、導体ケーブル8の上側部分を保持することができる。また、第一保持部22は、導体ケーブル8に係合した状態で、幅方向Yにおける一対の突条部82Cの間に配置される第一係止部22Bと、幅方向Yにおいて隣り合う一対の包囲部82Aの間(連結部82Bの厚さ方向第一側Z1)に配置される第一中間係止部22Cと、を有している。第一係止部22Bは、導体ケーブル8に係合した状態で、一対の突条部82Cのそれぞれに当接している。第一中間係止部22Cは、導体ケーブル8に係合した状態で、一対の包囲部82Aのそれぞれに当接している。これにより、導体ケーブル8の上側部分が幅方向Yにずれることを抑制することができる。
第二保持部23は、導体ケーブル8の下側部分に係合する第二係合溝23Aを有している。これにより、導体ケーブル8の下側部分を保持することができる。また、第二保持部23は、導体ケーブル8に係合した状態で、幅方向Yにおける一対の脚部82Dの間に配置される第二係止部23Bと、幅方向Yにおいて隣り合う一対の包囲部82Aの間(連結部82Bの厚さ方向第二側Z2)に配置される第二中間係止部23Cと、を有している。第二係止部23Bは、導体ケーブル8に係合した状態で、導体線81の露出面81F及び一対の脚部82Dに当接している。第二中間係止部23Cは、導体ケーブル8に係合した状態で、一対の包囲部82A及び連結部82Bに当接している。これにより、導体ケーブル8の下側部分が幅方向Yにずれることを抑制することができる。
第一切断刃3と第二切断刃4と第三切断刃5とは、導体ケーブル8が保持型2に保持された状態で、絶縁被覆材82の包囲部82A及び連結部82Bを切断する。
図5に示すように、保持型2は、第一切断刃3を厚さ方向Zに案内する第一切断刃ガイド溝21Aと、第二切断刃4を厚さ方向Zに案内する第二切断刃ガイド溝21Bと、第三切断刃5を厚さ方向Zに案内する第三切断刃ガイド溝21Cを有している。
第一切断刃ガイド溝21Aは第一切断刃3に対応した形状に形成されており、第二切断刃ガイド溝21Bは第二切断刃4に対応した形状に形成されている。図5に示す例では、第一切断刃ガイド溝21A及び第二切断刃ガイド溝21Bは、厚さ方向Z及び幅方向Yに沿う直線状に形成されている。また、第一切断刃ガイド溝21A及び第二切断刃ガイド溝21Bは、保持型2における第一位置P1(図6等参照)に形成されている。これにより、第一切断刃ガイド溝21A及び第二切断刃ガイド溝21Bによって、第一位置P1に配置された第一切断刃3及び第二切断刃4を厚さ方向Zに案内することができる。
第三切断刃ガイド溝21Cは、第三切断刃5に対応した形状に形成されている。図5に示す例では、第三切断刃ガイド溝21Cは、長手方向先端側X1が開放したU字状に形成されている。また、第三切断刃ガイド溝21Cは、保持型2における第二位置P2に形成されると共に厚さ方向Zに沿って形成されている。これにより、第三切断刃ガイド溝21Cによって、第二位置P2に配置された第三切断刃5を厚さ方向Zに案内することができる。
図5及び8に示すように、被覆材除去装置1は、第一切断刃3と第二切断刃4と第三切断刃5とを保持型2に対して厚さ方向Zに相対移動させ、第一切断刃3と第二切断刃4とを厚さ方向Zに対向させるように押圧すると共に、第三切断刃5を厚さ方向Zに移動させるように押圧する押圧機構6を備えている。
押圧機構6は、保持型2を厚さ方向Zに摺動自在に支持すると共に当該保持型2よりも厚さ方向第二側Z2に固定配置された下側固定部62と、保持型2よりも厚さ方向第一側Z1に固定配置された上側固定部61と、厚さ方向Zにおいて保持型2と上側固定部61との間に配置されると共に厚さ方向Zに移動自在にされた押圧部63と、押圧部63を押圧方向に移動させる操作部66と、を備えている。なお、本明細書において「押圧方向」とは、厚さ方向Zにおいて、保持型2(導体ケーブル8)に接近する方向を指す。
図8に示す例では、押圧機構6は、押圧部63を貫通すると共に当該押圧部63を厚さ方向Zに案内する主ガイド部64と、第二保持部23を貫通すると共に保持型2を厚さ方向Zに案内する副ガイド部65と、を更に備えている。本実施形態では、主ガイド部64及び副ガイド部65は、厚さ方向Zに沿う丸棒状に形成されている。また、主ガイド部64は、幅方向Yに離間して一対設けられている。そして、副ガイド部65は、一対の主ガイド部64の間において、幅方向Yに離間して一対設けられている。
下側固定部62と押圧部63と上側固定部61とは、主ガイド部64によって一体的に連結されている。下側固定部62は、主ガイド部64の下端部(厚さ方向第二側Z2の端部)に固定されており、上側固定部61は、主ガイド部64の上端部(厚さ方向第一側Z1の端部)に固定されている。押圧部63は、主ガイド部64によって、下側固定部62と上側固定部61との間を厚さ方向Zに移動自在に案内される。
下側固定部62と保持型2とは、副ガイド部65によって連結されている。下側固定部62は、副ガイド部65の下端部(厚さ方向第二側Z2の端部)に固定されている。図8に示す例では、副ガイド部65は、保持型2を厚さ方向Zに貫通する貫通孔25の内部に配置されている。貫通孔25は、第一保持部22と第二保持部23とに亘って連続して形成されており、その上端部が第一保持部22の上面(厚さ方向第一側Z1の端面)に開口し、その下端部が後述する第二バネ収容部72Aに開口している。副ガイド部65が保持型2の貫通孔25の内部に配置されていることにより、保持型2は、長手方向X及び幅方向Yへの移動を規制されつつ、厚さ方向Zに移動自在に案内される。但し、貫通孔25の上端部は、第一保持部22の上面に開口していなくても良い。
なお、保持型2を構成する第一保持部22と第二保持部23との関係では、第一保持部22は、第二保持部23に対して厚さ方向Zに相対移動可能な状態で副ガイド部65に案内される。ここで、導体ケーブル8は、長手方向Xに巻かれてロール状に保管されるのが一般的であり、長手方向Xに沿って厚さ方向Zに湾曲する曲り癖を有する場合がある。本実施形態によれば、第一保持部22が、第二保持部23に対して、厚さ方向Zに沿って相対的に変位することにより、第一保持部22の第一係合溝22Aと第二保持部23の第二係合溝23Aとの間に、上記のような厚さ方向Zの曲り癖を有する導体ケーブル8を挿入することが容易となっている。そして、導体ケーブル8の切断時には、押圧機構6の押圧によって第一保持部22及び第二保持部23が厚さ方向Zに当接するため、曲り癖が矯正された状態で導体ケーブル8を切断することができる。
操作部66は、上側固定部61に設けられている。操作部66は、上側固定部61を厚さ方向Zに貫通すると共に当該厚さ方向Zに移動する押し込みボルト66Aと、押し込みボルト66Aに取り付けられて当該押し込みボルト66Aを回転させる操作ハンドル66Bと、を有している。図8に示す例では、操作ハンドル66Bはクランクハンドルである。操作ハンドル66Bを回転させることにより、押し込みボルト66Aを、厚さ方向第一側Z1及び厚さ方向第二側Z2の双方に移動させることができる。本実施形態では、押し込みボルト66Aの下端部(厚さ方向第二側Z2の端部)は、押圧部63の上面に当接するように配置されている。これにより、押し込みボルト66Aを厚さ方向第二側Z2に移動させた場合には、押圧部63が、押し込みボルト66Aに押されて厚さ方向第二側Z2に移動する。
図6及び8に示すように、押圧部63には、第一切断刃3及び第三切断刃5が取り付けられている。図8に示す例では、第一切断刃3及び第三切断刃5は、押圧部63から厚さ方向第二側Z2に突出するように当該押圧部63に取り付けられている。また、第三切断刃5は、第一切断刃3よりも厚さ方向第二側Z2に突出するように取り付けられている。図6に示す例では、第一切断刃3は、長手方向基端側X2から貫通する長ピン3P(本例では2つ)により押圧部63に取り付けられており、第三切断刃5は、長手方向基端側X2から貫通する短ピン5P(本例では3つ)により押圧部63に取り付けられている。長ピン3P及び短ピン5Pは、長手方向基端側X2から当接する第一取付板93により抜け止めされている。第一切断刃3と第三切断刃5とは、第一取付板93及び長ピン3P、短ピン5Pの取り外しによって、押圧部63から取り外し可能となっている。このように、第一切断刃3及び第三切断刃5は、それぞれ押圧部63に対して着脱自在に設けられている。従って、第二位置P2における絶縁被覆材82の切断が不要の場合は、第三切断刃5を取り外し、第一切断刃3及び第二切断刃4により、第一位置P1のみにおいて絶縁被覆材82を切断することができる。
図8に示すように、下側固定部62には、第二切断刃4が取り付けられている。図8に示す例では、第二切断刃4は、下側固定部62から厚さ方向第一側Z1に突出するように当該下側固定部62に取り付けられている。第二切断刃4は、第一切断刃3と同様に、長手方向基端側X2から貫通する長ピン(不図示:本例では2つ)により下側固定部62に取り付けられている。これら長ピンは、図5に示すように、長手方向基端側X2から当接する第二取付板94により抜け止めされている。第二切断刃4は、第二取付板94及び長ピンの取り外しによって、下側固定部62から取り外し可能となっている。このように、第二切断刃4は、下側固定部62に対して着脱自在に設けられている。
次に、導体ケーブル8の絶縁被覆材82を除去する際の被覆材除去装置1の動作について説明する。ここで、図8は、切断前の状態における被覆材除去装置1の正面を示しており、図10は、この状態における第一切断刃3、第二切断刃4及び第三切断刃5と、導体ケーブル8との位置関係を模式的に示している。また、図9は、切断後の状態における被覆材除去装置1の正面を示しており、図11は、この状態における第一切断刃3、第二切断刃4及び第三切断刃5と、導体ケーブル8との位置関係を模式的に示している。
図8に示すように、第一保持部22により導体ケーブル8の上側部分を保持し、且つ、第二保持部23により導体ケーブル8の下側部分を保持した状態で、導体ケーブル8の全体を保持型2により保持する。図8に示す状態では、第一切断刃3及び第三切断刃5は、導体ケーブル8よりも上方に配置されている(図10も参照)。第二切断刃4は、導体ケーブル8よりも下方に配置されている。言い換えれば、第一切断刃3と第二切断刃4と第三切断刃5とは、導体ケーブル8に接触していない状態である。
操作ハンドル66Bを回転させて押し込みボルト66Aを厚さ方向第二側Z2に移動させることにより、押圧部63が厚さ方向第二側Z2に移動する。これにより、押圧部63に取り付けられた第一切断刃3及び第三切断刃5が、第一保持部22に向かって厚さ方向第二側Z2(押圧方向)に移動する。この際、前述の通り、第一切断刃3は、第一切断刃ガイド溝21Aにより第一保持部22に対して厚さ方向Zに摺動自在に案内される。また、第三切断刃5も、第三切断刃ガイド溝21Cにより第一保持部22に対して厚さ方向Zに摺動自在に案内される。
図9に示すように、押圧部63は、厚さ方向第二側Z2への移動により、第一保持部22に対して当接するように構成されている。本実施形態では、押圧部63は、厚さ方向第一側Z1から保持型2(第一保持部22)に当接した状態で、当該保持型2を厚さ方向第二側Z2に押圧する。これにより、保持型2を導体ケーブル8と共に厚さ方向第二側Z2に移動させることができる。
押圧部63が保持型2を押圧せずに、保持型2に対して単に当接している状態では、第二切断刃4と導体ケーブル8とは接触していない状態である。押圧部63が保持型2を厚さ方向第二側Z2に押圧して、導体ケーブル8と共に保持型2を厚さ方向第二側Z2に移動させることにより、導体ケーブル8と第二切断刃4とが接触し、導体ケーブル8の絶縁被覆材82が切断される。すなわち、保持型2(第二保持部23)が、厚さ方向第二側Z2に移動することにより下側固定部62に固定されている第二切断刃4に対して相対移動して、導体ケーブル8の絶縁被覆材82が切断される。この際、前述の通り、第二切断刃4は、第二切断刃ガイド溝21Bにより第二保持部23に対して厚さ方向Zに摺動自在に案内される。
このように、被覆材除去装置1を用いて絶縁被覆材82を除去する際には、保持型2により導体ケーブル8を保持した状態で、第一切断刃3と第二切断刃4とを保持型2に対して厚さ方向Zに相対移動させ、これら第一切断刃3と第二切断刃4とを厚さ方向Zに対向させるように押圧する。そして、第三切断刃5を厚さ方向Zに移動させるように押圧し、絶縁被覆材82の包囲部82A及び連結部82Bを切断する。
図7に示すように、第一切断刃3及び第二切断刃4は、導体ケーブル8が保持型2(図8等参照)により保持された状態で、第一位置P1に配置されている。本実施形態では、第一切断刃3及び第二切断刃4は、複数の導体線81を厚さ方向Zの両側から挟んで対向することで、第一位置P1において複数の包囲部82Aを複数の導体線81のそれぞれの全周にわたって切断するように構成されている。
図7に示すように、第三切断刃5は、導体ケーブル8が保持型2(図8等参照)により保持された状態で、第二位置P2に配置されている。本実施形態では、第三切断刃5は、保持型2に対して厚さ方向Zに移動することで、第二位置P2において連結部82Bを包囲部82Aから切断するように構成されている。
図10及び11に示すように、第一切断刃3及び第二切断刃4は、押圧方向に移動した際に、導体線81の矩形断面の周囲を囲む刃先部E(刃先)を有している。図10及び11に示す例では、第一切断刃3の第一刃先部3Eが、厚さ方向第一側Z1に切り欠かかれた切欠き部3Nを有している。本実施形態では、第一刃先部3Eは、4つの導体線81に対応して4つの切欠き部3Nを有している。また、第二切断刃4の第二刃先部4Eが、導体ケーブル8の露出面81Fに対向して配置されると共に幅方向Yに沿う直線状に形成されている。図11に示すように、第一刃先部3Eと第二刃先部4Eとが厚さ方向Zに当接することで、導体線81の矩形断面の周囲を囲むように構成されている。このように、第一切断刃3及び第二切断刃4のうちのいずれか一方の刃先が、露出面81Fに対向して配置されると共に幅方向Yに沿う直線状に形成されている。
図8及び10の状態から、第一切断刃3と第二切断刃4と第三切断刃5とを、保持型2(導体ケーブル8)に対して相対的に移動させることにより、第一切断刃3と第二切断刃4とを厚さ方向Zにおいて当接させることができる(図9及び11参照)。図11に示すように、第一切断刃3と第二切断刃4とが厚さ方向Zにおいて当接した状態で、第一刃先部3Eと第二刃先部4Eとにより、導体線81の矩形断面の周囲が囲まれる。これにより、導体線81を覆う包囲部82A及び隣り合う包囲部82Aを連結する連結部82Bを第一位置P1において切断することができる。更に、連結部82Bについては、第三切断刃5によって第二位置P2においても切断することができる。
ここで、本実施形態では、押圧機構6による押圧が解除された場合に、第一切断刃3と第二切断刃4と第三切断刃5とを、押圧機構6による押圧方向とは反対方向に保持型2に対して相対移動させる復元機構7と、を更に備えている。
図5及び8に示すように、復元機構7は、厚さ方向Zにおける下側固定部62と押圧部63との間に配置されて当該押圧部63を厚さ方向第一側Z1に付勢する第一バネ71と、厚さ方向Zにおける下側固定部62と保持型2との間に配置されて当該保持型2を厚さ方向第一側Z1に付勢する第二バネ72と、を有している。
図8に示す例では、第一バネ71は、主ガイド部64に案内されていると共に、幅方向Yに離間して一対設けられている。第二バネ72は、副ガイド部65に案内されていると共に、幅方向Yに離間して一対設けられている。本実施形態では、第一バネ71及び第二バネ72は、圧縮コイルバネである。
また、図9に示すように、復元機構7は、第一切断刃3と第二切断刃4とが厚さ方向Zに当接した状態で、圧縮した第二バネ72を収容する第二バネ収容部72Aを有している。これにより、第二保持部23を下側固定部62に当接するまで移動させることができる。その結果、第二保持部23(保持型2)と第二切断刃4とを規定量相対移動させることができ、第一切断刃3と第二切断刃4とを厚さ方向Zにおいて確実に当接させることができる。図9に示す例では、第二バネ収容部72Aは、第二保持部23の下面及び下側固定部62の上面において凹状に形成されていると共に、第二バネ72の上端部及び下端部に当接するように設けられている。また、第二バネ収容部72Aと前述の貫通孔25とは互いに連通しており、貫通孔25の内径は、第二バネ収容部72Aの内径よりも小さく形成されている。これにより、副ガイド部65が、第二バネ収容部72A及び貫通孔25を挿通する一方で、副ガイド部65を覆う第二バネ72は、貫通孔25には挿通せずに第二バネ収容部72Aの上端部に当接するようになっている。
図9に示す状態において、押圧部63は、第一バネ71によって厚さ方向第一側Z1へ付勢されている状態であり、保持型2は、第二バネ72によって厚さ方向第一側Z1へ付勢されている状態である。従って、操作ハンドル66Bを回転させ、押し込みボルト66Aを厚さ方向第一側Z1に移動させると、押圧部63は、第一バネ71の付勢力によって厚さ方向第一側Z1に移動する。
押圧部63が厚さ方向第一側Z1に移動することに伴い、第一切断刃3及び第三切断刃5も厚さ方向第一側Z1に移動する。また、押圧部63が厚さ方向第一側Z1に移動することに伴い、第二バネ72によって厚さ方向第一側Z1に付勢されている保持型2も厚さ方向第一側Z1に移動する。これにより、第一切断刃3と第二切断刃4とが厚さ方向Zにおいて離間して、これらの当接状態が解除される。
押し込みボルト66Aを、厚さ方向第一側Z1に更に移動させることで、図8に示すように、押圧部63及び保持型2が絶縁被覆材82の切断前の状態に復元する。このように、被覆材除去装置1が復元機構7を備えることにより、押圧機構6による押圧後には、第一切断刃3と第二切断刃4と第三切断刃5とを、押圧方向とは反対方向に移動させることができるので、例えば、次に絶縁被覆材82の除去作業を行う導体ケーブル8を保持型2に保持させる作業を簡略化することができる。具体的には、第一保持部22の第一係合溝22Aと第二保持部23の第二係合溝23Aとにより形成される導体ケーブル8の挿入空間が、第一切断刃3、第二切断刃4及び第三切断刃5によって遮断された状態(図9参照)から、第一切断刃3、第二切断刃4及び第三切断刃5が厚さ方向Zに退避して当該挿入空間が開放された状態(図8参照)となる。
以上説明した被覆材除去装置1によれば、長手方向Xでの位置関係が一定にされた第一位置P1と第二位置P2とにおいて、絶縁被覆材82の包囲部82A及び連結部82Bを切断することができるため、絶縁被覆材82の除去後の導体ケーブル8の品質を一定に保つことが容易となる。
2.その他の実施形態
次に、被覆材除去装置のその他の実施形態について説明する。
(1)上記の実施形態では、第三切断刃5は、第一切断刃3と共に押圧部63に取り付けられている例について説明した。しかし、本発明はこのような例に限定されない。第三切断刃5は、第二切断刃4と共に下側固定部62に取り付けられていても良い。
(2)上記の実施形態では、保持型2が、厚さ方向Zに移動自在に支持されている例について説明した。これにより、下側固定部62に固定されている第二切断刃4と保持型2とを相対移動させていた。しかし、本発明はこのような例に限定されない。保持型2は、固定支持されていても良い。この場合には、第二切断刃4を移動可能な構成とすることで、第二切断刃4と保持型2とを相対移動させると良い。
(3)上記の実施形態では、操作ハンドル66Bを回転させて押し込みボルト66Aを移動させることにより、押圧部63を押し込んで当該押圧部63を厚さ方向第二側Z2に移動させる例について説明した。しかし、本発明はこのような例に限定されない。押圧部63を厚さ方向第二側Z2に移動させる手段は、適宜変更することができる。例えば、トグルクランプ等を用いた他の手段により押圧部63を押し込んで当該押圧部63を移動させても良いし、作業者が押圧部63を直接押し込んで当該押圧部63を移動させても良い。
(4)上記の実施形態では、第一切断刃3の第一刃先部3Eに切欠き部3Nが形成されていることにより、第一切断刃3と第二切断刃4との当接状態で導体線81の矩形断面の周囲を囲む例について説明した。しかし、本発明はこのような例に限定されない。切欠き部は、第二切断刃4の第二刃先部4Eに形成されていても良いし、第一刃先部3E及び第二刃先部4Eの双方に形成されていても良い。いずれにしても、第一切断刃3と第二切断刃4との当接状態で、導体線81の矩形断面の周囲を囲み得る構成であれば良い。
(5)上記の実施形態では、第一位置P1及び第二位置P2において、絶縁被覆材82を切断する例について説明した。しかし、本発明はこのような例に限定されない。第一切断刃3、第二切断刃4及び第三切断刃5の着脱を調整することにより、絶縁被覆材82の切断箇所を第一位置P1のみ、又は、第二位置P2のみとしても良い。
(6)上記の実施形態では、突条部82Cが厚さ方向第一側Z1(上側)を向き、脚部82Dが厚さ方向第二側Z2(下側)を向く状態で、導体ケーブル8を保持型2により保持する構成を例として説明した。しかし、本発明はこのような例に限定されない。導体ケーブル8を厚さ方向Zに反転させて、突条部82Cが厚さ方向第二側Z2(下側)を向き、脚部82Dが厚さ方向第一側Z1(上側)を向く状態で、当該導体ケーブル8を保持型2により保持する構成としても良い。この場合には、第一保持部22が、脚部82Dを含む導体ケーブル8の上側部分を保持し、第二保持部23が、突条部82Cを含む導体ケーブル8の下側部分を保持するように構成される。
(7)上記の実施形態では、保持型2が、第一保持部22と第二保持部23とを含む分割構造である例について説明した。しかし、本発明はこのような例に限定されない。保持型2は、一体構造であっても良い。
(8)なお、前述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
3.上記実施形態の概要
以下、上記において説明した被覆材除去装置及び被覆材除去方法の概要について説明する。
長手方向に沿って延びていると共に幅方向に並列配置された複数の導体線と、当該複数の導体線のそれぞれを囲む複数の包囲部及び隣り合う一対の包囲部の間を前記幅方向につなぐ連結部を有する絶縁被覆材と、を備えた導体ケーブルを対象とする被覆材除去装置であって、
前記導体ケーブルを保持する保持型と、
前記長手方向及び前記幅方向に直交する方向である厚さ方向に分かれて対向配置され、前記保持型に対して前記厚さ方向に移動自在な第一切断刃及び第二切断刃と、
前記第一切断刃及び前記第二切断刃が配置された位置である第一位置に対して前記長手方向に異なる第二位置に配置され、前記保持型に対して前記厚さ方向に移動自在な第三切断刃と、を備え、
前記第一切断刃及び前記第二切断刃は、複数の前記導体線を前記厚さ方向の両側から挟んで対向することで、前記第一位置において複数の前記包囲部を複数の前記導体線のそれぞれの全周にわたって切断するように構成され、
前記第三切断刃は、前記保持型に対して前記厚さ方向に移動することで、前記第二位置において前記連結部を前記包囲部から切断するように構成されている。
本構成によれば、導体ケーブルが保持型に保持された状態で、第一切断刃と第二切断刃と第三切断刃とによって、絶縁被覆材の包囲部を第一位置において切断し、連結部を第二位置において切断することができる。従って、絶縁被覆材の除去作業を簡単に行うことができる。この際、第一切断刃及び第二切断刃が配置された第一位置と、第三切断刃が配置された第二位置との長手方向の位置関係が一定であるため、複数回の切断作業を行う場合であっても、毎回同じ位置関係で包囲部及び連結部を切断できる。その結果、絶縁被覆材の除去後の導体ケーブルの品質を一定に保つことが容易である。
ここで、前記保持型は、前記厚さ方向の一方側から前記導体ケーブルを保持する第一保持部と、前記厚さ方向の他方側から前記導体ケーブルを保持する第二保持部と、を備え、
前記第一切断刃及び前記第三切断刃は、前記第一保持部に対して前記厚さ方向に摺動自在に案内され、
前記第二切断刃は、前記第二保持部に対して前記厚さ方向に摺動自在に案内されると好適である。
本構成によれば、第一切断刃と第二切断刃とを、厚さ方向の両側に分けて適切に配置できると共に、第一切断刃と第二切断刃とがそれぞれ適切に動作するように案内することができる。また、第三切断刃と第一切断刃とを共通の第一保持部によって案内する構成としたので、これらを別々の部材によって案内する構成とした場合に比べて、部品点数を削減でき、装置全体の小型化及び低コスト化を図ることが容易となる。
また、前記第一切断刃と前記第二切断刃と前記第三切断刃とを前記保持型に対して前記厚さ方向に相対移動させ、前記第一切断刃と前記第二切断刃とを前記厚さ方向に対向させるように押圧すると共に、前記第三切断刃を前記厚さ方向に移動させるように押圧する押圧機構と、
前記押圧機構による押圧が解除された場合に、前記第一切断刃と前記第二切断刃と前記第三切断刃とを、前記押圧機構による押圧方向とは反対方向に前記保持型に対して相対移動させる復元機構と、を更に備えていると好適である。
本構成によれば、押圧機構を動作させるだけで、第一切断刃と第二切断刃と第三切断刃とを、保持型に対して厚さ方向に相対移動させ、保持型に保持された導体ケーブルの絶縁被覆材を容易に切断することができる。また、復元機構を備えることにより、押圧機構による押圧後には、第一切断刃と第二切断刃と第三切断刃とを、押圧方向とは反対方向に移動させることができるので、次に絶縁被覆材の除去作業を行う導体ケーブルを保持型に保持させる作業を簡略化することができる。
また、複数の前記導体線のそれぞれの断面が矩形状であると共に、前記厚さ方向における一方側の面の少なくとも一部に、前記包囲部から露出した露出面を有し、
前記第一切断刃及び前記第二切断刃は、前記押圧方向に移動した際に、前記矩形断面の周囲を囲む刃先を有し、
前記第一切断刃及び前記第二切断刃のうちのいずれか一方の刃先が、前記露出面に対向して配置されると共に前記幅方向に沿う直線状に形成されていると好適である。
本構成によれば、導体線の矩形断面の周囲を囲む刃先によって、導体ケーブルにおける導体線を囲む包囲部を適切に切断できる。また、第一切断刃及び第二切断刃のうちのいずれか一方の刃先が、導体線の露出面に対向して配置されると共に幅方向に沿う直線状に形成されているため、当該露出面に対向する位置に包囲部が存在する場合にも、当該包囲部を適切に切断することができる。
前記第三切断刃は、着脱自在に設けられていると好適である。
本構成によれば、第三切断刃の着脱に応じて、第二位置における連結部の切断を行うか否かを適宜選択することができる。
本開示に係る被覆材除去方法は、
長手方向に沿って延びていると共に幅方向に並列配置された複数の導体線と、当該複数の導体線のそれぞれを囲む複数の包囲部及び隣り合う一対の包囲部の間を前記幅方向につなぐ連結部を有する絶縁被覆材と、を備えた導体ケーブルを対象とする被覆材除去方法であって、
前記導体ケーブルを保持する保持型と、前記長手方向及び前記幅方向に直交する方向である厚さ方向に分かれて対向配置され、前記保持型に対して前記厚さ方向に移動自在な第一切断刃及び第二切断刃と、前記第一切断刃及び前記第二切断刃が配置された位置である第一位置に対して前記長手方向に異なる第二位置に配置され、前記保持型に対して前記厚さ方向に移動自在な第三切断刃と、を備えた被覆材除去装置を用い、
前記保持型により前記導体ケーブルを保持した状態で、前記第一切断刃と前記第二切断刃とを前記保持型に対して前記厚さ方向に相対移動させ、前記第一切断刃と前記第二切断刃とを前記厚さ方向に対向させるように押圧すると共に、前記第三切断刃を前記厚さ方向に移動させるように押圧し、前記包囲部及び前記連結部を切断する。
本方法によれば、導体ケーブルを保持型により保持しつつ、第一切断刃と第二切断刃と第三切断刃とによって、絶縁被覆材の包囲部及び連結部を適切な位置で切断することができる。従って、絶縁被覆材の除去作業を簡単に行うことができる。また、第一切断刃及び第二切断刃が配置された第一位置と、第三切断刃が配置された第二位置との長手方向の位置関係が一定である被覆材除去装置を用いることにより、複数回の切断作業を行う場合であっても、毎回同じ位置関係で包囲部及び連結部を切断できる。従って、絶縁被覆材の除去後の導体ケーブルの品質を一定に保つことが容易である。
本開示に係る技術は、複数の導体線が絶縁被覆材によって被覆された導体ケーブルを対象として、当該絶縁被覆材を除去する被覆材除去装置及び被覆材除去方法に利用することができる。
1 :被覆材除去装置
2 :保持型
3 :第一切断刃
4 :第二切断刃
5 :第三切断刃
6 :押圧機構
7 :復元機構
8 :導体ケーブル
22 :第一保持部
23 :第二保持部
81 :導体線
81F :露出面
82 :絶縁被覆材
82A :包囲部
82B :連結部
E :刃先部(刃先)
P1 :第一位置
P2 :第二位置
X :長手方向
X1 :長手方向先端側
X2 :長手方向基端側
Y :幅方向
Z :厚さ方向
Z1 :厚さ方向第一側
Z2 :厚さ方向第二側

Claims (6)

  1. 長手方向に沿って延びていると共に幅方向に並列配置された複数の導体線と、当該複数の導体線のそれぞれを囲む複数の包囲部及び隣り合う一対の包囲部の間を前記幅方向につなぐ連結部を有する絶縁被覆材と、を備えた導体ケーブルを対象とする被覆材除去装置であって、
    前記導体ケーブルを保持する保持型と、
    前記長手方向及び前記幅方向に直交する方向である厚さ方向に分かれて対向配置され、前記保持型に対して前記厚さ方向に移動自在な第一切断刃及び第二切断刃と、
    前記第一切断刃及び前記第二切断刃が配置された位置である第一位置に対して前記長手方向に異なる第二位置に配置され、前記保持型に対して前記厚さ方向に移動自在な第三切断刃と、を備え、
    前記第一切断刃及び前記第二切断刃は、複数の前記導体線を前記厚さ方向の両側から挟んで対向することで、前記第一位置において複数の前記包囲部を複数の前記導体線のそれぞれの全周にわたって切断するように構成され、
    前記第三切断刃は、前記保持型に対して前記厚さ方向に移動することで、前記第二位置において前記連結部を前記包囲部から切断するように構成されている被覆材除去装置。
  2. 前記保持型は、前記厚さ方向の一方側から前記導体ケーブルを保持する第一保持部と、前記厚さ方向の他方側から前記導体ケーブルを保持する第二保持部と、を備え、
    前記第一切断刃及び前記第三切断刃は、前記第一保持部に対して前記厚さ方向に摺動自在に案内され、
    前記第二切断刃は、前記第二保持部に対して前記厚さ方向に摺動自在に案内される請求項1に記載の被覆材除去装置。
  3. 前記第一切断刃と前記第二切断刃と前記第三切断刃とを前記保持型に対して前記厚さ方向に相対移動させ、前記第一切断刃と前記第二切断刃とを前記厚さ方向に対向させるように押圧すると共に、前記第三切断刃を前記厚さ方向に移動させるように押圧する押圧機構と、
    前記押圧機構による押圧が解除された場合に、前記第一切断刃と前記第二切断刃と前記第三切断刃とを、前記押圧機構による押圧方向とは反対方向に前記保持型に対して相対移動させる復元機構と、を更に備えている請求項1又は2に記載の被覆材除去装置。
  4. 複数の前記導体線のそれぞれの断面が矩形状であると共に、前記厚さ方向における一方側の面の少なくとも一部に、前記包囲部から露出した露出面を有し、
    前記第一切断刃及び前記第二切断刃は、前記押圧方向に移動した際に、前記矩形断面の周囲を囲む刃面を有し、
    前記第一切断刃及び前記第二切断刃のうちのいずれか一方の刃面が、前記露出面に対向して配置されると共に前記幅方向に沿う直線状に形成されている請求項3に記載の被覆材除去装置。
  5. 前記第三切断刃は、着脱自在に設けられている請求項1から4のいずれか一項に記載の被覆材除去装置。
  6. 長手方向に沿って延びていると共に幅方向に並列配置された複数の導体線と、当該複数の導体線のそれぞれを囲む複数の包囲部及び隣り合う一対の包囲部の間を前記幅方向につなぐ連結部を有する絶縁被覆材と、を備えた導体ケーブルを対象とする被覆材除去方法であって、
    前記導体ケーブルを保持する保持型と、前記長手方向及び前記幅方向に直交する方向である厚さ方向に分かれて対向配置され、前記保持型に対して前記厚さ方向に移動自在な第一切断刃及び第二切断刃と、前記第一切断刃及び前記第二切断刃が配置された位置である第一位置に対して前記長手方向に異なる第二位置に配置され、前記保持型に対して前記厚さ方向に移動自在な第三切断刃と、を備えた被覆材除去装置を用い、
    前記保持型により前記導体ケーブルを保持した状態で、前記第一切断刃と前記第二切断刃とを前記保持型に対して前記厚さ方向に相対移動させ、前記第一切断刃と前記第二切断刃とを前記厚さ方向に対向させるように押圧すると共に、前記第三切断刃を前記厚さ方向に移動させるように押圧し、前記包囲部及び前記連結部を切断する被覆材除去方法。
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