以下、第1の実施形態の構成を図1ないし図4を参照して説明する。
図4において、11はいわゆるキャニスタ型の電気掃除機を示し、この電気掃除機11は、吸込風路体(風路形成体)である管部12と、この管部12が着脱可能に接続される掃除機本体13とを有している。
管部12は、掃除機本体13に接続される接続管部15と、この接続管部15の先端側に連通する可撓性を有するホース体16と、このホース体16の先端側に設けられた手元操作部17と、この手元操作部17の先端側に着脱可能に接続される延長管18と、この延長管18の先端側などに着脱可能に接続される吸込口体としての床ブラシ19とを備えている。
手元操作部17には、ループ状の把持部21がホース体16側へと突出し、この把持部21の上部には、操作用の設定ボタン22が複数設けられている。
また、図1ないし図4に示すように、掃除機本体13は、大径の走行輪23を両側に有し図示しない旋回輪などを下部に有する本体ケース26を備え、この本体ケース26の外部である前側の上部には、集塵カップである集塵装置27が着脱可能となっている。そして、掃除機本体13は、走行輪23および旋回輪によって被掃除面である床面上を少なくとも前後方向に沿って走行(移動)可能に構成されている。なお、以下、前後方向は、掃除機本体13(本体ケース26)の走行(移動)方向を基準とする。
本体ケース26は、例えば合成樹脂などにより形成されており、集塵装置27の後方に位置する本体部31と、この本体部31の前部下側に突設されて集塵装置27の下部を支持する集塵装置支持部としての突出受部32とを一体的に有している。
本体部31の両側には、走行輪23がそれぞれ回転自在に軸支されている。さらに、この本体部31の前部の上側には、掃除機本体13(本体ケース26)を把持するためのループ状のハンドル34が後方に向けて傾斜状に突設されている。また、この本体部31の内部には、電動送風機35、この電動送風機35の動作を制御する図示しない制御手段としての制御回路部、および、これら電動送風機35および制御回路部などの電源となる電源部などが収容されている。電源部としては、商用交流電源などの外部電源に接続される電源コードを巻回したコードリール装置、あるいは、二次電池などの電池が用いられる。
また、本体部31の前部の下部には、本体ケース26に装着された集塵装置27の上流側に気密に接続される図示しない連通開口部が形成されており、本体部31の前部の上部には、本体ケース26に装着された集塵装置27の下流側と電動送風機35の吸込側とを連通する図示しない吸気開口部が形成されている。そして、この本体部31の後部には、電動送風機35からの排気を排出する図示しない排気孔が形成されている。
また、突出受部32の前面には、管部12の接続管部15が接続されて含塵空気を集塵装置27へと吸い込むための本体吸込口41が形成されている。この本体吸込口41は、連通開口部と連通している。このため、この本体吸込口41は、本体ケース26に装着された集塵装置27の上流側と連通可能となっている。
電動送風機35は、設定ボタン22の操作に応じて、制御回路部により動作が制御されるものである。この電動送風機35は、本実施形態では例えば吸込側を上側として配置されている。
また、制御回路部は、設定ボタン22と電気的に接続されており、この設定ボタン22の操作により設定された動作モード(例えば強モード、中モード、弱モード、自動モード、停止モードなど)に電動送風機35の動作を設定するように構成されている。
一方、集塵装置27は、第1本体部としての収容部であるケース体45と、このケース体45に対して着脱可能な第2本体部としての塵埃分離部である分離体46とを備えている。そして、この集塵装置27には、電動送風機35の駆動により吸い込んだ含塵空気中の塵埃の一部である相対的に大きい塵埃、すなわち粗塵を主として遠心分離する第1遠心分離部47と、この第1遠心分離部47で分離できなかった残りの塵埃である相対的に小さい塵埃、すなわち細塵(微細塵)Dを遠心分離する複数の第2遠心分離部48とが構成されている。なお、集塵装置27の前後方向および左右方向は本体ケース26に装着した状態を基準とし、上下方向は、この集塵装置27を本体ケース26から取り外して水平面上などに載置した状態(図3に示す状態)を基準とする。また、図3中の一点鎖線は、集塵装置27の中心軸を示す。本実施形態において、この集塵装置27は、本体ケース26に対して一端側である上端側が後方に向けて傾斜するように装着されるため、以下説明する上下方向は集塵装置27を本体ケース26に装着した場合、必ずしも鉛直上下方向と一致しない場合もある。
ケース体45は、例えば透光性を有する(透明な)合成樹脂などの部材により略有底円筒状に形成されている。このケース体45は、有底円筒状の収容部本体であるケース体本体51と、このケース体本体51の一端部である上端部に連続する区画部である拡径部52とを一体に備えている。また、このケース体45の後部には、含塵空気を吸い込むための導入口54が一側、例えば右側に偏った位置に開口されている。さらに、このケース体45の側部には、集塵装置27(ケース体45)を把持するための集塵装置取手部55が突設されている。また、このケース体45の内部には、第1遠心分離部47で分離された粗塵を収容する第1塵埃収容部としての粗塵収容部56と、第2遠心分離部48で分離された細塵Dを収容する第2塵埃収容部としての塵埃溜め部である細塵収容部57とが区画される。そして、このケース体45の下部には、集塵装置27の手入れ用の清掃部材としての清掃体58が着脱可能に取り付けられる。
ケース体本体51は、第1遠心分離部47の外郭をなし、粗塵収容部56を内部に区画する部分である。このケース体本体51には、導入口54が配置されている。
拡径部52は、ケース体本体51の上端部に対して上方に向けて拡開するように傾斜して一体形成された傾斜面部61と、この傾斜面部61の上端部に連続する円筒状の外周部62とにより区画されている。
導入口54は、集塵装置27を本体ケース26に装着した状態で本体部31に対向する位置に設けられている。この導入口54は、後方へと略水平状に延びており、集塵装置27を本体ケース26に装着した状態で連通開口部と気密に接続される。したがって、この導入口54は、(連通開口部を介して)本体吸込口41と気密に接続される。
細塵収容部57は、分離体46をケース体45に取り付けた状態でケース体45(拡径部52)と分離体46との間に区画されるものである。したがって、この細塵収容部57は、分離体46をケース体45に取り付けた状態で粗塵収容部56(第1遠心分離部47)から隔離されるとともに、分離体46をケース体45から取り外すことでケース体45の内部、すなわち粗塵収容部56と連通するようになっている。この細塵収容部57は、第1遠心分離部47の上側の周囲に位置し、集塵装置27内を通過する空気の流路の外方に位置している。換言すれば、この細塵収容部57には、電動送風機35の駆動により生じる負圧が実質的に作用せず、空気が流れない。
清掃体58は、多数のブラシ毛を備え、ケース体45の内部(細塵収容部57を構成する拡径部52など)や分離体46などに付着した塵埃を除去するものである。
一方、分離体46は、ケース体45の内部に挿入されて第1遠心分離部47を構成する第1円筒部としての構造体である内筒65と、通気風路部66と、各第2遠心分離部48を構成する複数の第2円筒部としてのコーン部67と、風路部68と、塵埃排出部69とを一体的に有するユニット状となっており、通気風路部66、コーン部67および風路部68を内部に収容する塵埃分離部本体としての分離体本体70に対して塵埃排出部69が一体的に設けられ、かつ、内筒65が分離体本体70から突出している。また、この分離体46の本体ケース26に対向する後部の上側には、風路部68と連通する排気開口71が開口されているとともに、この排気開口71の上方に位置して、集塵装置27を本体ケース26に対して係止する可動的な係止部73が本体ケース26に対向する後部に配置されている。そして、この分離体46の上部には、係止部73を動作させる操作部としての操作ハンドル部74が上端部に配置されている。
内筒65は、ケース体45(ケース体本体51)の中央部に同軸状に内挿され、ケース体45(ケース体本体51)の内周面45aに沿って含塵空気中の塵埃を旋回させて遠心分離する第1遠心分離部47を構成するものである。すなわち、この内筒65は、第1遠心分離部47の旋回中心となって、外周とケース体45(ケース体本体51)の内周面45aとの間(周囲)に、含塵空気を旋回させる旋回風路76を形成する。また、この内筒65は、内部を通して第1遠心分離部47と各第2遠心分離部48側(通気風路部66)とを接続している。この内筒65は、ケース体45内において、上下方向に沿って軸方向を有するように配置される。また、この内筒65は、ケース体45(ケース体本体51)の底面に対して上方に離間されている。そして、この内筒65は、略円筒状の構造体本体としての第1円筒部本体である内筒本体78と、この内筒本体78の下端側に同軸状に設けられた有蓋円筒状のセパレータ部79とを一体的に備えている。さらに、この内筒65には、複数の通気開口80および分離フィルタ81が設けられている。
内筒本体78には、通気開口80が周方向に複数開口されている。また、この内筒本体78の下端部はセパレータ部79により閉塞されている。
セパレータ部79は、圧縮部、あるいはシェード部などとも呼ばれ、第1遠心分離部47において分離した粗塵を、電動送風機35の駆動により生じる負圧を利用して圧縮するものであり、内筒本体78の下端側の周縁から径方向へと鍔状に突出する円形状の天板部84と、この天板部84の外周縁から内筒本体78と反対方向である下方に向けて突出する折り返し部としての周板部85とを一体的に有し、下方に向けて開口している。したがって、このセパレータ部79は、内筒本体78よりも径寸法が大きく、この内筒本体78に対して径方向に突出している。さらに、天板部84には、複数の圧縮用開口86が周方向に略等間隔に離間されて開口されており、これら圧縮用開口86は、圧縮フィルタ87によって覆われている。また、このセパレータ部79は、中央部が内筒本体78の底面の背面となっている。そのため、このセパレータ部79の中央部は、下流側である上方に向けて突出している。そして、このセパレータ部79は、ケース体45の底部に対して上方に離間されており、旋回風路76を旋回する含塵空気の一部が下側から圧縮用開口86へと循環するように通過することで圧縮フィルタ87に粗塵を押し付け、粗塵を圧縮した状態で溜めるように構成されている。
通気開口80は、旋回風路76を旋回する含塵空気が内部へと通過する部分である。
分離フィルタ81は、通気開口80を覆って設けられている。
通気風路部66は、第1遠心分離部47と各第2遠心分離部48(各コーン部67)とを気密に接続するものである。すなわち、この通気風路部66は、内筒65(通気開口80)の下流側に連通するものであり、内筒65(内筒本体78)の上端部に気密に接続され、分離体46の中央部近傍に位置している。また、この通気風路部66は、上流側(第1遠心分離部47の下流側)から下流側(第2遠心分離部48の上流側)へと、すなわち下端側から上端側へと、断面積が徐々に狭くなるように形成され、含塵空気の流量を絞りつつ整流するようになっている。
各コーン部67は、第1遠心分離部47を通過した含塵空気を内面に沿って旋回させて第1遠心分離部47で分離する塵埃(粗塵)よりも小さい塵埃(細塵D)を遠心分離する第2遠心分離部48を構成するものである。すなわち、これらコーン部67は、内筒65(内筒本体78およびセパレータ部79)よりも径寸法が小さく、軸方向を上下方向に沿わせて位置し、かつ、含塵空気が流入する上端側から下端側へと徐々に縮径するように形成されている。このため、これらコーン部67(第2遠心分離部48)は、含塵空気の旋回半径を第1遠心分離部47での旋回半径よりも小さく、かつ、旋回速度を第1遠心分離部47での旋回速度よりも大きくして細塵Dを遠心分離することが可能となっている。また、これらコーン部67(第2遠心分離部48)は、第1遠心分離部47(内筒65およびケース体45)の上方で、分離体46の外周近傍に位置し、全体として同一円弧上に配置されている。さらに、各コーン部67の上端部には、風路部68と連通する略円筒状の排気部89がこれらコーン部67とそれぞれ同軸状に配置されている。そして、これらコーン部67は、通気風路部66を通過した含塵空気を上端側から内周面の接線方向に沿って螺旋状に内部に導入して内部で旋回させ、遠心分離した細塵Dを下端部から落下させるとともに、細塵Dを分離した、実質的に塵埃を含まない空気を排気部89から風路部68へと排気するように構成されている。すなわち、これらコーン部67の下端部は、第2遠心分離部48で遠心分離した細塵Dを細塵収容部57へと排出する排出開口部67aとなっている。
風路部68は、全ての第2遠心分離部48の下流側と排気開口71とを気密に接続するものである。この風路部68は、各第2遠心分離部48の上方から、これら第2遠心分離部48の側方、本実施形態では、円弧状(略円形状)に配列された第2遠心分離部48の中心へと空気の流量を徐々に絞るように連続するとともに、排気開口71に向けて後方へと屈曲している。
そして、塵埃排出部69は、各第2遠心分離部48(排出開口部67a)で分離された細塵を細塵収容部57に導いて排出するもので、略円環状に形成され、分離体46の各第2遠心分離部48(各コーン部67)の下端部、すなわち分離体本体70の下端部でかつ内筒65(内筒本体78)の上端部の位置に取り付けられている。さらに、この塵埃排出部69には、各第2遠心分離部48(各コーン部67)の下端部(排出開口部67a)と連通する排出部91がそれぞれ凹設されている。すなわち、これら排出部91は、第2遠心分離部48(コーン部67)毎に設けられ、互いに連通することなく個別に分離されている。そして、これら排出部91は、第2遠心分離部48の下端部に対向する壁部93と、この壁部93の外縁部から立ち上がる側壁部94とをそれぞれ備えており、塵埃排出部69の外周面に開口してこの塵埃排出部69の外部と連通している。さらに、塵埃排出部69の外周側の下端部には、可撓性および弾性を有するエラストマ、あるいはゴムなどの閉塞部材であるパッキン95が取り付けられている。そして、この塵埃排出部69は、分離体46をケース体45に取り付けた状態で、ケース体45の傾斜面部61に対してパッキン95が圧接されることにより、ケース体45の上端側(拡径部52)の内部に細塵収容部57を区画するようになっている。
壁部93は、第2遠心分離部48(コーン部67)の下端側(排出開口部67a)に対向する基端側から、先端側である外側へと下方に向けて傾斜している。すなわち、この壁部93は、第2遠心分離部48(コーン部67)から側方(第2遠心分離部48(コーン部67)の軸方向に対して交差する方向)に離間されるほど、換言すれば第2遠心分離部48(コーン部67)の最近箇所から最遠箇所に向かって、第2遠心分離部48(コーン部67)の下端部(排出開口部67a)との間隙が広くなるように傾斜している。また、この壁部93は、第2遠心分離部48(コーン部67)の下端側(排出開口部67a)と同程度の幅に形成されている。そして、この壁部93は、その傾斜により、各第2遠心分離部48で分離された細塵Dを各第2遠心分離部48の下方(直下)、換言すれば、これら第2遠心分離部48の中心軸位置に対して、側方へとずれた位置に逃がして、塵埃排出部69の外周に区画される細塵収容部57へと導くようになっている。
側壁部94は、壁部93から略上方に向けて立ち上げられており、排出部91の外壁部を構成している。
分離体本体70は、分離体46をケース体45に取り付けた状態でケース体45(拡径部52)の上方(外部)に位置する部分であり、略円筒状(円柱状)に形成され、内筒65と略同軸状に配置されている。
排気開口71は、後側の第2遠心分離部48,48間に位置している。この排気開口71は、集塵装置27を本体ケース26に装着した状態で吸気開口部と気密に接続される。したがって、この排気開口71は、吸気開口部を介して電動送風機35の吸込側と気密に接続される。また、排気開口71は、導入口54と同側である集塵装置27の後側に位置しており、集塵装置27を本体ケース26に装着した状態で本体ケース26の本体部31の前部に対向する。
係止部73は、集塵装置27を本体ケース26に装着する際に、この本体ケース26の本体部31の前部の吸気開口部の上方に開口された係止受部としての図示しない係止開口に挿入係合されることで集塵装置27を本体ケース26に係止するものである。また、この係止部73は、コイルばねなどの図示しない係止部付勢手段により、後方へと進出する方向に向けて付勢されており、操作ハンドル部74の操作によってこの付勢に抗して集塵装置27側に退避するように回動可能となっている。
次に、上記第1の実施形態による掃除動作を説明する。
掃除を開始する際には、まず、ケース体45に対して分離体46を取り付けて一体的に組み立てる。このとき、分離体46の塵埃排出部69の下端部がパッキン95を介してケース体45の傾斜面部61に密着(圧接)することで、ケース体45(拡径部52)と壁部93との間に細塵収容部57が区画される。また、内筒65がケース体45(ケース体本体51)と同軸に配置されることで第1遠心分離部47を構成する。そして、この組み立てた集塵装置27を本体ケース26に装着し、係止部73を本体ケース26の係止開口に挿入係止することにより本体ケース26に対して集塵装置27を係止することで、集塵装置27の導入口54および排気開口71が本体ケース26の連通開口部および吸気開口部とそれぞれ気密に接続される。したがって、集塵装置27が電動送風機35の吸込側と本体吸込口41との間に気密に接続された状態で本体ケース26に装着される。なお、集塵装置27が本体ケース26に既に装着された状態である場合には、これらの操作は不要である。
この状態で、掃除機本体13(本体ケース26)の本体吸込口41に管部12を接続する。具体的に、管部12は、接続管部15を本体吸込口41に挿入接続するとともに、必要に応じて、手元操作部17の先端側に延長管18および床ブラシ19を順次接続する。この状態で、手元操作部17の設定ボタン22が掃除機本体13(本体ケース26)内の制御回路部などと電気的に接続される。なお、管部12が掃除機本体13に既に接続された状態である場合には、これらの操作は不要である。
そして、使用者は、電動送風機35および制御回路部などに給電可能な状態とした後、把持部21を把持し、所望の設定ボタン22を操作することにより、電動送風機35の動作モードを設定する。制御回路部は、この設定された動作モードに対応して電動送風機35の入力を制御し、電動送風機35を設定された動作モードで起動する。
この電動送風機35の起動により生じた負圧は、吸気開口部、排気開口71、風路部68、第2遠心分離部48、通気風路部66、第1遠心分離部47、導入口54、連通開口部および本体吸込口41を介して、管部12へと作用する。
そして、使用者は、この負圧の作用により、床ブラシ19、延長管18、あるいは手元操作部17の先端側から空気とともに塵埃を吸い込む。
この塵埃を含む空気、すなわち含塵空気は、管部12から本体吸込口41および連通開口部を経由して導入口54へと導かれ、この導入口54から集塵装置27内、すなわち第1遠心分離部47内へと吸い込まれる。
この第1遠心分離部47では、含塵空気が旋回風路76を旋回することで、この含塵空気中の特に粗塵が遠心分離され、ケース体45の内周面45aに沿って落下して粗塵収容部56に溜められる。なお、この粗塵は、旋回風路76から内筒65のセパレータ部79へと、含塵空気の流れの一部によって運ばれ、セパレータ部79の圧縮用開口86を含塵空気が通過することにより圧縮フィルタ87によってセパレータ部79内で圧縮される。
粗塵が分離された含塵空気は、内筒65の内筒本体78の通気開口80を通過する際に分離フィルタ81により濾過される。さらに、この分離フィルタ81を通過した含塵空気は、通気風路部66へと運ばれ、この通気風路部66において徐々に流量が絞られて整流された後、各第2遠心分離部48内(コーン部67内)へとそれぞれ分岐されて流入する。
これら第2遠心分離部48(コーン部67)において、含塵空気は、内周面(コーン部67の内周面)に沿って旋回され、この含塵空気中の細塵Dが遠心分離され、第2遠心分離部48(コーン部67の内周面)に沿って落下する。さらに、第2遠心分離部48(コーン部67)内を旋回する空気は、一部がコーン部67の下端部である排出開口部67aから、この排出開口部67aの下方に対向する各排出部91の壁部93の上面に作用し、この壁部93上の排出開口部67aと対向する位置の細塵Dを吹き飛ばす。そして、壁部93上の細塵Dは、壁部93の傾斜に沿って各第2遠心分離部48の下方(直下)、換言すれば、これら第2遠心分離部48の中心軸位置に対して、側方へとずれた位置に導かれて細塵収容部57に溜められる。
そして、細塵Dが遠心分離された実質的に塵埃を含まない空気は、各第2遠心分離部48の中央部の排気部89から風路部68へと排気されて合流し、この風路部68によって流量が絞られつつ後方へと導かれて、排気開口71から集塵装置27の外部へと排気される。
この後、この空気は、吸気開口部から電動送風機35へと吸い込まれ、この電動送風機35の内部を冷却しつつ通過して排気風となり、電動送風機35から排気孔を介して本体ケース26の外部へと排気される。
掃除が終了すると、使用者が所定の設定ボタン22を操作することで、制御回路部が電動送風機35の入力を低下させて電動送風機35を停止させる。
集塵装置27内に一定量の塵埃が溜まった場合には、使用者が係止部73の操作ハンドル部74を持ち上げて操作することで、係止部73を係止開口から退避させ、集塵装置27を本体ケース26から取り外す。
そして、分離体46をケース体45から取り外すと、分離体46と一体的に内筒65がケース体45から引き抜かれるとともに、塵埃排出部69(パッキン95)の傾斜面部61への密着が解除され、細塵収容部57に溜められた細塵Dが、傾斜面部61の傾斜に沿ってケース体45の内部へと落下し、このケース体45内に溜められた粗塵の上側に降りかかってこの粗塵と混ざる。
この状態で、使用者は、集塵装置取手部55を把持してケース体45をごみ箱などの廃棄位置へと運んだ後、上側を下方へと傾けるようにひっくり返すことで、ケース体45に圧縮された状態で溜まった粗塵およびこの粗塵と混ざった細塵Dが一緒に廃棄される。
以上説明した第1の実施形態によれば、第2遠心分離部48で分離された細塵Dを上面に沿って細塵収容部57へと導く壁部93を、コーン部67の下端側(排出開口部67a)のそれぞれに対して別個に、互いに離間して設けることで、各第2遠心分離部48で分離された細塵Dが堆積する壁部93の面積を抑制できるとともに、第2遠心分離部48(コーン部67)毎に排出部91が区画されているため、各第2遠心分離部48(コーン部67)の排出開口部67aから壁部93上に作用する空気の風速も向上するので、壁部93上に細塵Dがより堆積しにくくなる。このため、複数の第2遠心分離部48で分離した細塵Dが、例えば塵埃(粗塵および細塵D)の廃棄の際などのケース体45からの分離体46の取り外しによって落下しにくくなる。
この結果、例えば塵埃(粗塵および細塵D)を廃棄する際など、分離体46をケース体45から取り外したときの細塵Dのこぼれによる汚れを防止でき、衛生的に塵埃を廃棄できるとともに使い勝手が良好になる。
また、第2遠心分離部48の下方に対向して位置するとともに下方に向けて傾斜した壁部93によって、第2遠心分離部48で分離された塵埃である細塵Dを第2遠心分離部48の下方(直下)から側方へと逃がして、第1遠心分離部47の上側の周囲に設けた細塵収容部57に溜めることにより、第2遠心分離部48で分離された細塵Dがこれら第2遠心分離部48の直下に溜まることがない。そのため、第2遠心分離部48(コーン部67)の中央部に生じる上昇気流によって、細塵収容部57に溜めた細塵Dが巻き上げられにくくなる。
さらに、壁部93は、外側へと下方に向けて傾斜しているため、細塵Dを導く上面が使用者側に露出して見やすくなり、この壁部93の上面に付着した細塵Dなどを、清掃体58などによって容易に除去でき、メンテナンス性が向上する。
なお、上記第1の実施形態において、図5に示す第2の実施形態のように、排出部91の表面、すなわち壁部93のコーン部67の下端側(排出開口部67a)に対向する上面および側壁部94の壁部93側の表面に、細塵Dの付着を抑制(防止)する防汚コーティングCTを施してもよい。この防汚コーティングCTとしては、例えばテフロン(登録商標)コーティングなどが用いられ、例えばコーティング材を溜めた槽に浸したり、スプレーによって噴霧したりするなどの適宜の方法により少なくとも排出部91の表面に塗布される。そして、このように防汚コーティングCTを施すことで、第2遠心分離部48で遠心分離された細塵Dを排出部91(壁部93および側壁部94)に対してより付着しにくくでき、細塵Dがより確実に細塵収容部57へと導かれるようになる。したがって、壁部93の上面(および側壁部94の表面)への細塵Dの堆積をより抑制でき、複数の第2遠心分離部48で分離した細塵Dが、塵埃を廃棄する際などのケース体45からの分離体46の取り外しによって落下しにくい。なお、この防汚コーティングCTは、排出部91(壁部93および側壁部94)だけでなく、塵埃排出部69の外周面などの表面全体を覆って施してもよい。この場合には、防汚コーティングCTを施す際に排出部91(壁部93および側壁部94)以外の部分のマスキングなどが不要で、より作業性が向上する。
また、上記第1の実施形態において図6に示す第3の実施形態のように、排出部91全体を、分離体46のその他の部分と異なる部材により構成することもできる。例えば防汚コーティングCTの種類によっては加熱が必要で、合成樹脂の耐熱性では熱に耐え切れない場合が想定されるので、より耐熱性に優れた例えば金属などによって排出部91の壁部93および側壁部94を例えば一体的に形成した別体の部材(カバー部材)97の表面に対して加熱が必要な防汚コーティングCTなどを施した後、この部材97を塵埃排出部69に取り付けることで、防汚コーティングCTの種類を限定することなく、防汚コーティングCTの条件に応じて部材97の材質を選択することで、より様々な種類の防汚コーティングCTを選択でき、壁部93などへの細塵Dの付着をより確実に抑制できる構成とすることが可能になる。
さらに、上記各実施形態において、集塵装置27は、ケース体45から分離体46を取り外すことで細塵収容部57に溜めた細塵Dを粗塵収容部56に溜めた粗塵と混ぜて、ケース体45の上部から粗塵および細塵Dをまとめて廃棄する構成としたが、例えばケース体45の底部を開閉可能として、細塵収容部57に溜めた細塵を、粗塵収容部56に溜めた粗塵とともにケース体45の底部から廃棄するように構成してもよい。この場合には、ケース体45に分離体46を装着することで細塵収容部57が区画される構成とせずに、ケース体45内に予め細塵収容部57を区画しておくようにする。すなわち、分離体46は、必ずしも塵埃を廃棄するときに限らず、分離体46に付着した塵埃(細塵D)を除去するなどの、集塵装置27のメンテナンスなどのときにケース体45から取り外す構成も採り得る。
さらに、電気掃除機11としては、キャニスタ型に限らず、例えば上下方向に長手状の本体ケース26の下端部に床ブラシ19を接続した、いわゆるアップライト型や、本体ケース26に対して直接延長管18および床ブラシ19を接続したスティック型のものでも対応して用いることができる。
そして、以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、複数の第2遠心分離部48で分離した細塵Dがケース体45らの分離体46の取り外しによって落下しにくい電気掃除機11を提供できる。
また、壁部93の上面に細塵Dが付着しにくいので、細塵Dは基本的にケース体45からのみ除去すればよく、メンテナンス性が良好になる。特に、細塵Dは、一旦付着すると貼り付いて除去しにくいため、細塵Dの付着そのものを抑制することで、メンテナンス性をさらに向上することができる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。