JP6839083B2 - 三塩化モノオクチルスズを精製する方法 - Google Patents

三塩化モノオクチルスズを精製する方法 Download PDF

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Description

本発明は、三塩化モノオクチルスズを精製するための改良された方法に関する。
長年の間、三塩化モノアルキルスズ(RSnCl)は、例えば、ガラスのCVDコーティングのための前駆体として、並びに有機スズ触媒及び有機スズPVC熱安定剤の製造のための原料として、大規模に工業的に使用されている。
有機スズ化合物のファミリーの内では、メチルスズ、ブチルスズ、及びオクチルスズ化合物(スズに結合したメチル、ブチル、及びオクチル基を有する化合物)が、技術的に特に重要である。
これらの化合物の内では、モノアルキルスズ化合物(RSnX、スズに結合したアルキル基を1つだけ有する。)は、一般的に、毒性が最も低く、そして現在の基準に基づいて、非毒性であると考えられている。
これとは対照的に、二有機スズ化合物(RSnX)及び特に、三有機スズ化合物(RSnX)は、一般的に、かなり高い毒性(急性毒性と長期毒性の両方)を有する。
この結果、世界中の幾つかの国では、ジアルキルスズ及びトリアルキルスズ化合物の使用に関して制限するようになった。
例えば、欧州連合(EU)では、2010年7月1日から、全ての消費財における三有機スズ化合物の最大許容濃度を、最大レベルで0.1(重量)%に制限した。加えて、EUでは、ジブチルスズ化合物及びジオクチルスズ化合物の最大許容濃度を、一部の種類の消費財については、2012年1月1日から0.1(重量)%に、そして、更なる種類の消費財については、2015年1月1日から0.1(重量)%に、特に制限することを決定した。
従って、非常に低いレベルの望ましくない二有機スズ及び三有機スズ化合物を含むモノアルキルスズ化合物にアクセスすることが求められる。より具体的には、二塩化ジオクチルスズの不純物を0.3%未満のレベルで、そして塩化トリオクチルスズの不純物を0.1%未満のレベルで含むモノオクチルスズ化合物が求められる。
[先行技術の説明]
三塩化モノアルキルスズRSnClの工業的製造のための種々の方法が、記載又は示唆されている。
A)最も普通の方法は、以下を含む多工程プロセスである:
(1)最初の工程では、より高級なアルキル化スズ化合物(二、三、又は四有機スズ化合物、又はそれらの混合物)が、無機スズ化合物のアルキル化により形成される;
(2)後続の工程(例えば、米国特許第3248411号に記載されている。)では、前記のより高級なアルキル化アルキルスズ化合物を、三塩化モノアルキルスズを含有する混合物を形成するために、四塩化スズ(塩化スズ(IV)、SnCl)と反応させる(この一般的な手順は、再分配、スクランブル、又は共均一化(comproportionation)と称されることがある。)。
この方法の基本的な欠点は、低レベルの二有機スズ及び三有機スズ化合物を含む三塩化モノアルキルスズを生成しないことである。
一般的に受け入れられている説明は、SnClを用いた二有機スズ化合物の再分配が、動力学的に妨げられ、そしてスズに結合したアルキル基が、4個以上の炭素原子を有する場合には、完全にブロックされることさえあるということである。再分配が、二有機スズからではなく、三−又は四有機スズ化合物から開始する場合、化学量論量の二有機スズ化合物は、副生成物として形成され、そして生成物の混合物中に留まる。例えば、三塩化モノブチルスズへのテトラブチルスズ及びSnCl4の工業的に重要な再分配では、二塩化ジブチルスズの副生成物の量は少なくとも33%である。
B)米国特許第6778017号では、三塩化モノアルキルスズを形成するために、SnClを用いた二有機スズ化合物の動力学的に妨げられた再分配を促進するために、遷移金属系触媒を添加することが示唆されている。米国特許第6768017号によれば、うまく機能することが実証された唯一の触媒は、貴金属(Pd又はPt)の化合物である。しかしながら、前記触媒が、反応後に充分に回収され、そして再使用され得ることは、証明されないままであった。この方法は、報告された収率が不十分であり、報告された選択率が低く、報告された反応時間が長く、そして高価な触媒を必要とするため、経済的に魅力的ではないと思われる。
更に、米国特許第7592472号では、遷移金属系触媒の存在下で、SnCl、アルケン及びHClの反応によって、三塩化モノアルキルスズを生成することが示唆されている。うまく機能することが実証された唯一の触媒は、高濃度で使用される貴金属(Pd又はPt)の化合物であり、そして前記触媒は、反応後に十分に回収されて、そして再使用されることが、証明されないままであった。この方法は、報告された収率が不十分であり、報告された選択率が低く、そして高価な触媒を必要とするため、経済的に魅力的でないと思われる。
C)英国特許第1501673号及び米国特許第6846944号には、三塩化モノアルキルスズ及び二塩化二有機スズ化合物の混合物が、アルミニウムアルキルドナー錯体を用いたSnClの部分的なアルキル化によって調製できることが教示されている。英国特許第1501673号に記載されているように、成分の商業的入手可能性及び低コストの観点から、好ましいアルミニウムアルキルドナー錯体は、エーテルとのトリアルキルアルミニウム化合物(AlR)の錯体である。更に、これらの文献に記載されている方法では、所望の低いレベルのジオクチルスズ及びトリオクチルスズ化合物を有する三塩化モノオクチルスズを直接生成できない。
純粋な三塩化モノブチルスズ(熱分解ガラスコーティング並びにモノブチルスズ触媒及び安定剤の製造に使用される工業的に重要な化合物)の製造のためには、最初に、前述の方法A)からC)のうちの1つによって、三塩化モノブチルスズ及び二塩化ジブチルスズを含む混合物を生成すること、そして続いて、その得られた混合物を物理的手段によって分離することがその技術水準である。
好ましい分離方法は、分別蒸留である(これは、三塩化モノブチルスズの蒸気圧が、許容できる程高く、そして二塩化ジブチルスズの分離係数が高いので、可能である)。しかし、三塩化モノブチルスズを水に選択的に溶解し、そしてそれを後にその水溶液から回収することもまた可能である(これは、三塩化モノブチルスズが、水と混和性であり、一方、二塩化ジブチルスズは、水に事実上不溶性であるので、可能である)。
純粋な三塩化モノオクチルスズは、同じ方法では容易に製造することができない。蒸留によって、三塩化モノオクチルスズと二塩化ジオクチルスズとの混合物の分離は、三塩化モノオクチルスズの蒸気圧が低く、そして二塩化ジオクチルスズの選択係数が好ましくないので、困難である;そしてより重要なことに、高温且つ低圧で、三塩化モノオクチルスズの熱分解が増加し、生成物の収率及び経済性に悪影響を与える。更に、三塩化モノオクチルスズは、水に事実上不溶性であるので、三塩化モノオクチルスズ成分を水に選択的に溶解することもまた不可能である。
従って、非常に低いレベルのジオクチルスズ及びトリオクチルスズ化合物を含む非常に純粋な三塩化モノオクチルスズの直接生成を可能にする方法を提供することが依然として望まれる。より具体的には、二塩化ジオクチルスズの不純物を0.3%未満のレベルに、そして塩化トリオクチルスズの不純物を0.1%未満のレベルにすることが求められる。
現在、非常に低いレベルのジオクチルスズ及びトリオクチルスズ化合物を含む三塩化モノオクチルスズは、三塩化モノオクチルスズを含む塩化有機スズの混合物から得ることができることが分かったが、前記方法には、以下の工程が含まれる:
(1)塩化モノオクチルスズを含む塩化有機スズの混合物を、ハロゲン化物イオンを含有する水相に接触させる工程であって、前記工程が、任意選択的に、有機溶媒の存在下で実施される工程(以下、この工程を「抽出」工程とも称する。);
(2)塩化モノオクチルスズに富む得られた水相を、ジオクチルスズ及びトリオクチルスズ化合物の殆どを含有する有機相から分離する工程(以下、この工程を「相分離」工程とも称する。);
(3)任意選択的に、三塩化モノオクチルスズを含む前記の水相を有機溶媒で洗浄することにより、望ましくない副生成物から前記水相を精製する工程(以下、この工程を「スクラビング」工程とも称する。);及び
(4)三塩化モノオクチルスズを、三塩化モノオクチルスズを含む前記水相からを回収する工程(以下、この工程を「回収」工程とも称する。)。
従って、本発明は、非常に低いレベルのジオクチルスズ及びトリオクチルスズ化合物を含む三塩化モノオクチルスズを生成する方法を提供し、この方法は以下の工程を含む:
(1)塩化モノオクチルを含む塩化有機スズの混合物を、ハロゲン化物イオンを含有する水相と接触させる工程であって、前記工程が、任意選択的に、有機溶媒の存在下で実施される工程(以下、この工程を「抽出」工程とも称する。);
(2)塩化モノオクチルスズに富む得られた水相を、ジオクチルスズ及びトリオクチルスズ化合物の殆どを含有する前記有機相から分離する工程(以下、この工程を「相分離」工程とも称する。);
(3)任意選択的に、三塩化モノオクチルスズを含む前記水相を有機溶媒で洗浄することにより、望ましくない副生成物から前記水相を精製する工程(以下、この工程を「スクラビング」工程とも称する。);及び
(4)三塩化モノオクチルスズを、三塩化モノオクチルスズを含む前記水相から回収する工程(以下、この工程を「回収」工程とも称する。)。
発明の詳細な説明
通常、三塩化モノオクチルスズは、エーテル又は第3級アミンとのドナー錯体の形態におけるトリオクチルアルミニウムを用いた四塩化スズのモノアルキル化によって生成することができる。あるいは、三塩化モノオクチルスズは、例えば、米国特許第3248411号に記載されている方法によって、テトラオクチルスズを用いた四塩化スズの再分配反応によってもまた生成することができる。
本発明に従って使用される好適なアルミニウムトリオクチルアルミニウム化合物の例としては、例えば、トリ−n−オクチルアルミニウム、及びトリ−イソ−オクチルアルミニウムが挙げられる。
トリオクチルアルミニウム化合物の好適なドナー錯体には、例えば、対称又は非対称、飽和又は不飽和、線状又は分枝状の脂肪族、芳香族又は環式エーテル又はアミンとの錯体が含まれる。適切なエーテル又はアミンを選択するファクターは、例えば、商業的入手可能性、コスト、安全性(引火性、引火点、毒性、有害な過酸化物を形成する傾向)、物理的性質(水溶性、凝固点、沸点、蒸気圧)、生成物の分離の容易さ、及びリサイクルの容易さである。
好適なエーテル及びアミンの例としては、ジエチルエーテル、ジ−n−ブチルエーテル、メチル−tert−ブチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、アニソール、及びトリエチルアミン、ピリジン及びジメチル−アニリンが挙げられる。
幾つかのドナー錯体、例えば、テトラヒドロフラン又はピリジンとの錯体は、SnClをアルキル化して、生成物RnSnCl4−n(式中、nは1から4を表し、Rは先に定義したようなアルキル基を表す。)の混合物を形成するが、三塩化アルキル−スズが、主成分である。
ジ−n−ブチルエーテルとトリオクチルアルミニウム化合物との錯体が、特に好ましいことが判明した。より好ましい実施態様では、SnCl出発物質は、エーテラート錯体としてもまた使用される。SnClと他のエーテルとの又はアミンとの錯体もまた使用することができる。
この反応は、通常、最初に、四塩化スズを反応容器に入れ、その後で、これに、トリオクチルアルミニウム化合物のドナー錯体を添加することによって実施される。最初に、ハロゲン化スズを供給し、そして続いて、ドナー錯体を添加することによって、アルミニウムアルキル化合物が、反応媒体中に過剰量には存在しないことをより容易に確実にできる。
追加的な反応物又は成分は、更に、溶媒又は溶媒混合物等の、エーテル又は第三級アミンとのドナー錯体の形態で使用されるトリオクチルアルミニウムと共に含まれていてもよい。溶媒は、例えば、ヘキサン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、ケロシン、シクロヘキサン、クロロベンゼン等の不活性有機溶媒であり得る。例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、又はジブチルエーテル等のエーテルの好適な他の溶媒もまた使用できる。触媒は反応に含まれていてもいなくてもよい。好ましい実施形態では、貴金属触媒等の触媒は、反応媒体に含まれない。
反応は、通常、5℃から35℃未満の温度範囲、好ましくは、10から30℃、特に、20から25℃、より好ましくは、22から25℃の温度範囲で行われる。
三塩化オクチルスズを生成する方法では、四塩化スズ出発物質は、三塩化オクチルスズ生成物に変換される。任意の好適な種類及び量の四塩化スズ化合物を、任意の好適な供給源から使用することができる。四塩化スズは、そのままで、又は例えば、ヘキサン等のアルカン、又はトルエン等の芳香族化合物等の溶媒に予め溶解して使用することができる。
追加的な反応物又は成分は、更に、溶媒又は溶媒の混合物等の、四塩化スズと共に含まれていてもよい。溶媒は、ヘキサン、イソオクタン、ベンゼン、トルエン、ケロシン、シクロヘキサン、クロロベンゼン等の不活性有機溶媒であり得る。例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、又はジブチルエーテル等のエーテル等の好適な他の溶媒もまた使用することができるが、エーテルはあまり好ましくない。触媒は、反応に含まれていてもいなくてもよい。好ましい実施態様では、貴金属触媒等の触媒は、反応媒体に含まれない。
好適には、トリオクチルアルミニウム化合物は、所望のドナーと、それ自体既知の方法で、好適な装置にて、保護ガス下で混合される。その後、このようにして形成されたオクチルアルミニウム錯体化合物は、更に、保護ガス下で、塩化スズと、又は所望により塩化スズとドナー(例えばジ−n−ブチルエーテル)との混合物と、各Sn原子に対して1個以下のオクチル基が存在するようなモル比で反応させる。上に概説したように、典型的に、最初に、SnClを装置に入れ、そしてよく混合しながら、オクチルアルミニウム錯体化合物を流し入れる。これは、発熱過程であるので、反応の間、上で定義したような低温を維持するためには、冷却が必要である。好ましくは、反応は、20から30℃、特に20から25℃、より好ましくは、22から25℃の範囲の温度で実施する。
転化が終了したら、任意選択的に、存在し得る溶媒を除去した後、反応混合物を、本発明の特許請求の範囲に規定した方法に供する。以下では、前記方法をより詳細に説明する。
[抽出及び相分離の工程]
本発明によれば、水相に存在するハロゲン化物イオンは、通常、塩化物イオンである。水相に存在する塩化物イオンの好適な供給源の例としては、塩酸及び/又は非毒性金属の可溶性塩化物塩が挙げられ、これは、三塩化モノオクチルスズと、望ましくない様式での相互作用をしない。
使用される好適な塩化物塩の例には、塩化アルミニウム及び塩化ナトリウムが含まれる。塩化物イオンの特に好ましい供給源は、塩酸である。
好ましくは、水相に含有されるハロゲン化物イオンの量は、水相に存在するハロゲン化物のモル量が、抽出される三塩化モノオクチルスズのモル量以下であり、より好ましくはハロゲン化物イオンの量は、抽出される三塩化モノオクチルスズのモル量の100から300%の範囲内、更により好ましくは200から270%の範囲内である。
発明の範囲を限定することなく、水相に抽出された三塩化モノオクチルスズは、水和したオクチルスズテトラクロロ錯体[C17SnCl及び/又はオクチルスズペンタクロロ錯体[C17SnCl2−の形態で存在し得ると考えられる。
ハロゲン化物イオンは、典型的に、ハロゲン化物イオンを含有する水相を形成するために、脱塩水に溶解される。
通常、塩化有機スズの混合物は、ハロゲン化物イオンを含有する水相に、0℃から100℃の温度、より好ましくは20℃から50℃の温度、最も好ましくは40から50℃の温度で含有される。
任意選択的に、前記抽出工程に存在し得る有機溶媒として、水と混和しない有機溶媒を使用することができる。このような有機溶媒の非限定的な例は、芳香族、脂肪族及び脂環式炭化水素、エーテル及びケトン、好ましくは5から9個の炭素原子を有するエーテル又は脂肪族及び脂環式炭化水素、並びにこれらの混合物、より好ましくは、ジ−n−ブチルエーテル、ヘキサン、ヘプタン、及びオクタン、更により好ましくはヘキサン、ヘプタン及びオクタンである。このような有機溶剤の代表的な一例は、「Exxsol 100−120」である。
塩化有機スズの混合物は、有機溶媒中で分散液又は溶液として、ハロゲン化物イオンを含有する水相と接触する場合、塩化有機スズの混合物は、有機溶媒中に、使用される有機溶媒の量に基づいて、10から90重量%、好ましくは20から60重量%の濃度で存在する。
ジ−n−ブチルエーテルは、水にほとんど溶解しないが、ハロゲン化物イオンを含有する水相は、幾らかの量のジ−n−ブチルエーテルを溶解することができることは注目に値する。
典型的には、塩化モノオクチルスズを含む塩化有機スズの混合物を、本発明に係るハロゲン化物イオンを含有する水相と接触させる工程は、ハロゲン化物イオンを含有する水相を前記塩化有機スズの混合物に添加し、そして前記塩化有機スズの混合物を、ハロゲン化物イオンを含有する前記水相に、1から60分間、好ましくは5から30分間、より好ましくは5から15分間混合することにより行う。前記混合工程は、当業者に既知の任意の方法で行うことができ、そして典型的に、機械的撹拌機、スタティックミキサー、ジェット又は他の振とう手段を使用することが含まれる。
上記のように、塩化モノオクチルスズを含む塩化有機スズの混合物を、本発明に係るハロゲン化物イオンを含有する水相と接触させた後、典型的に、その混合を停止し、これにより、2つの相(有機相と水相)が形成される。その後、水相を分離することができる。このような分離は、デカンテーション又は分液漏斗を用いた分離等、当業者に既知の任意の方法で行うことができる。
[スクラビング工程]
水相を分離した後、水相を含有する前記三塩化モノオクチルスズの任意の精製を、例えば、副生成物を水相から除去するために行うことができる。
水相から除去される最も重要な副生成物は、二塩化ジオクチルスズ及び/又は塩化トリオクチルスズである。二塩化ジオクチルスズ及び塩化トリオクチルスズは、水中では事実上不溶性であるが、ハロゲン化物イオンを含む水相は、幾らかの二塩化ジオクチルスズ及び/又は塩化トリオクチルスズを抽出することができることは注目に値する。
水相を精製するために本発明に従って使用される好適な有機溶媒は、水と混和しないが、二塩化ジオクチルスズ等の望ましくない副生成物を溶解することができる有機溶媒である。前記スクラビング工程で使用される好適な有機溶媒の非限定的な例は、芳香族、脂肪族及び脂環式炭化水素、エーテル及びケトン、好ましくは5から9個の炭素原子を有するエーテル又は脂肪族及び脂環式炭化水素、並びにこれらの混合物、より好ましくは、ヘキサン、ヘプタン、及び/又はオクタンである。好適な抽出溶媒の1つの実用的な例は、Exxonによって販売されている「Exxsol 100−120」である。
前記精製に使用される有機溶媒は、塩化モノオクチルスズもまた溶解することができる場合(例えばジ−n−ブチルエーテル等)、その有機溶媒は、水相からの三塩化モノオクチルスズの望ましくない再抽出工程が回避されるか、又は少なくとも制限される方法で使用すべきである。水相からの三塩化モノオクチルスズの抽出を制限するか又は更には回避するための好適な方法は、例えばほんの少量の溶媒を使用すること、即ち、水相に対する有機溶媒が低い重量比で使用すること、及び/又は前記精製工程を20から50℃の低温で行うことである。
好ましい実施態様では、本発明に係る精製工程は、有機溶媒/水相の重量比が、両相の重量に基づいて、10から20/100であるようにして、20から50℃の温度で実施される。
好ましい実施態様では、前記精製工程は、1回以上、より好ましくは2から3回、繰返される。
[回収]
水相を、任意選択的に、上記のような精製工程に供した後、三塩化モノオクチルスズを、三塩化モノオクチルスズを含む水相から回収する。このような回収は、当業者に既知の任意の方法で行うことができる。
例えば、上記で概説した工程(1)におけるハロゲン化物イオン供給源が、塩酸である場合、三塩化モノオクチルスズを得るために、水及び塩酸を、単に留去することができる。
三塩化モノオクチルスズを、水相から、好適な量の有機溶媒を用いて回収し、そして続いて、純粋な三塩化モノオクチルスズ生成物を得るために、有機溶媒を留去することもまた可能である。
本発明に係る回収に使用される好適な溶媒の非限定的な例は、芳香族、脂肪族及び脂環式炭化水素、エーテル及びケトンである。
本発明に係る好ましい溶媒は、エーテルであり、より好ましくは、ジ−n−ブチルエーテルである。
本発明によれば、三塩化モノオクチルスズ生成物の回収は、0から100℃の範囲の温度、好ましくは40から70℃の範囲の温度で行うことができる。
あるいは、水相に溶解した三塩化モノオクチルスズは、三塩化モノオクチルスズを他の安定なモノオクチルスズ化合物に化学的に転化することによって回収することができる。
例えば、水相は、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、又はアンモニア等の好適な塩基を用いて中和することができ、その結果、モノオクチルスズオキシド及び/又はヒドロキシオクチルオキソスタンナンが形成される。モノオクチルスズオキシド及び/又はヒドロキシオクチルオキソスタンナンは、固体物質であるので、それは、水相からろ過によって容易に分離することができる。モノオクチルスズオキシド及びヒドロキシオクチルオキソスタンナンは、周知のエステル化触媒、及びPVC熱安定剤を製造するための原料である。
更なる例として、水相は、化学量論量のメルカプチド、例えば、イソオクチルメルカプトアセタート、2−エチルヘキシルメルカプトアセタート、又はドデシルメルカプタンの存在下で、好適な塩基を用いて中和することができ、その結果、モノオクチルスズメルカプチドが形成されるが、それは、水相における溶解度が低いので、水相から容易に分離できる。特定のモノオクチルスズメルカプチドは、周知であり、そして、商業的に重要なPVC熱安定剤である。
以下の実施例により、本発明を説明する。
一般的な手順:
断りがなければ、記載された全ての例において、抽出、スクラビング、及び再抽出工程は、0.25から1リットルの操作可能な容積を有し、機械的撹拌機、滴下漏斗、サーモスタット、不活性ガス(N)のための任意選択的な入口、及び圧力平衡のためのガス出口を備えた実験用ガラス二重壁容器にて行った;全ての相分離は、0.1から1リットルの容積を有する実験用ガラス分離漏斗で行った。以下の例において使用される典型的な攪拌速度は、100rpmから500rpmの範囲であった。
その後使用される「他のスズ化合物」の用語は、n−オクチル以外のアルキル基を含有する有機スズ化合物を指し、これは、普通の副生成物であり、工業用オクチルスズ混合物及び四塩化無機スズである。全てのスズ種組成分析は、GC(ガスクロマトグラフィー)によって行った。
[例1]
この例では、塩酸を含む水相への、塩化有機スズの混合物から三塩化モノ−n−オクチルスズの抽出、一部のジ−n−ブチルエーテルが三塩化モノ−n−オクチルスズを含む水相に可溶であるという事実、少量のジ−n−ブチルエーテルによる水相のスクラビング、及び、より多量のジ−n−ブチルエーテルによる、水相からの三塩化モノn−オクチルスズの再抽出を実証する。
工業用原料の塩化有機スズの混合物は、三塩化モノ−n−オクチルスズ64.2%、二塩化ジ−n−オクチルスズ33.8%、塩化トリ−n−オクチルスズ0.2%、及び他のスズ化合物1.8%のスズ種組成を有していた。
工程1:水性抽出:
この原料の塩化有機スズ混合物97.5gに、16.0%のHCl水溶液58.0gを添加した。混合物を50℃に加熱し、そして約10分間、攪拌した。撹拌停止後、2つの相が現れた;それらを静置し、そして続いて分離させた。上方の(有機)相の重量は、33.3gであった;それは、三塩化モノn−オクチルスズ25.6%、二塩化ジ−n−オクチルスズ71.7%、塩化トリ−n−オクチルスズ0.5%、及び他のスズ化合物2.2%のスズ種組成を有していた。下方の(水性)相を、以下に記載するように、更に処理した。
工程2:ジオクチル及びトリオクチルスズの塩化物を除去するための水相のスクラビング:
第1スクラビング:工程1から得られた水相105gに、ジ−n−ブチルエーテル15gを添加し、その後、その混合物を、室温で攪拌した。撹拌終了後、2つの相が現れた;それらを静置し、そして続いて分離させた。上方の(有機)相の重量は10.5gであった;それは、三塩化モノ−n−オクチルスズ75.6%、二塩化ジ−n−オクチルスズ22.7%、塩化トリ−n−オクチルスズ0.1%、及び他のスズ化合物1.6%のスズ種組成を含んでいた。
第2スクラビング:第1スクラビングから得られた水相に、更に5gのジ−n−ブチルエーテルを加え、そして、その混合物を室温で撹拌した。撹拌終了後、2つの相が現れた;それらを静置し、そして続いて、分離させた。上方の(有機)相の重量は7.7gであった。それは、三塩化モノ−n−オクチルスズ84.7%、二塩化ジ−n−オクチルスズ13.6%、塩化トリ−n−オクチルスズ0.0%、及び他のスズ化合物1.7%のスズ種組成を含んでいた。下方の(水性)相を、以下に記載するように更に処理した。
工程3:水相からの三塩化モノオクチルスズの回収:
第1再抽出:工程2から得られた水相103.9gに、ジ−n−ブチルエーテル35gを添加し、そしてその混合物を室温で撹拌した。撹拌終了後、2つの相が現れた;それらを静置し、そして続いて、分離させた。上方の(有機)相の重量は、80.4gであった;それは、三塩化モノ−n−オクチルスズ96.4%、二塩化ジ−n−オクチルスズ2.1%、塩化トリ−n−オクチルスズ0.0%、及び他のスズ化合物1.5%のスズ種組成を有していた。
第2再抽出:第1再抽出から得られた水相57.6gに、ジ−n−ブチルエーテル19.0gを添加し、そしてその混合物を室温で撹拌した。撹拌終了後、2つの相が現れた;それらを静置し、そして続いて分離させた。上方の(有機)相の重量は、29.9gであった;それは、三塩化モノn−オクチルスズ98.2%、二塩化ジ−n−オクチルスズ0.2%、塩化トリ−n−オクチルスズ0.0%、及び他のスズ化合物1.6%のスズ種組成を有していた。
第3再抽出:第2再抽出から得られた水相46.4gに、ジ−n−ブチルエーテル15.0gを添加し、そしてその混合物を室温で撹拌した。撹拌終了後、2つの相が現れた;それらを静置し、そして続いて、分離させた。上方の(有機)相の重量は、15.9gであった;三塩化モノ−n−オクチルスズ90.6%、二塩化ジ−n−オクチルスズ0.8%、塩化トリ−n−オクチルスズ0.0%、及び他のスズ化合物8.4%のスズ種組成を有していた。
[例2]
この例では、塩酸を含む水相への、塩化有機スズの混合物及び有機溶媒として添加されたn−ヘプタンからの三塩化モノ−n−オクチルスズの抽出、少量のn−ヘプタンによる水相のスクラビング、及び三塩化モノn−オクチルスズの、水相からの、ジ−n−ブチルエーテルによる回収を実証する。
工業用原料の塩化有機スズの混合物は、三塩化モノ−n−オクチルスズ61.8%、二塩化ジ−n−オクチルスズ32.9%、塩化トリ−n−オクチルスズ0.2%、及び他のスズ化合物3.5%のスズ種組成を有していた。
工程1:水抽出:
この希釈された原料の塩化有機スズの混合物150.0gに、16.0%のHCl水溶液87.0gを添加した。その混合物を50℃に加熱し、そして約10分間、攪拌した。撹拌終了後、2つの相が現れた;それらを静置し、そして続いて、分離させた。上方の(有機)相の重量は、92.0gであった;それは、三塩化モノn−オクチルスズ22.4%、二塩化ジ−n−オクチルスズ69.9%、塩化トリ−n−オクチルスズ0.5%、及び他のスズ化合物7.2%のスズ種組成を有していた。下方の(水性)相を、以下に記載するように、更に処理した。
工程2:ジオクチル及びトリオクチルスズの塩化物を除去するための水相のスクラビング:
第1スクラビング:工程1から得られた水相145gに、n−ヘプタン14.5gを添加し、そして、その混合物を、室温で攪拌した。撹拌終了後、2つの相が現れた;それらを静置し、そして続いて分離させた。上方の(有機)相の重量は13.3gであった;それは、三塩化モノ−n−オクチルスズ61.8%、二塩化ジ−n−オクチルスズ31.6%、塩化トリ−n−オクチルスズ0.0%、及び他のスズ化合物6.6%のスズ種組成を有していた。
第2スクラビング:第1スクラビングから得られた水相に、更に14gのn−ヘプタンを添加し、そして、その混合物を室温で撹拌した。撹拌終了後、2つの相が現れた;それらを静置し、そして続いて、分離させた。上方の(有機)相の重量は13.311gであった;それは、三塩化モノ−n−オクチルスズ86.2%、二塩化ジ−n−オクチルスズ10.8%、塩化トリ−n−オクチルスズ0.0%、及び他のスズ化合物3.0%のスズ種組成を有していた。下方の(水性)相を、以下に記載するように更に処理した。
工程3:水相からの三塩化モノオクチルスズの回収:
第1再抽出:工程2から得られた水相140.0gに、ジ−n−ブチルエーテル28.5gを添加し、そしてその混合物を室温で撹拌した。撹拌終了後、2つの相が現れた;それらを静置し、そして続いて、分離させた。上方の(有機)相の重量は、51.8gであった;それは、三塩化モノ−n−オクチルスズ98.7%、二塩化ジ−n−オクチルスズ0.17%、塩化トリ−n−オクチルスズ0.0%、及び他のスズ化合物2.0%のスズ種組成を有していた。
第2再抽出:第1再抽出から得られた水相117.8gに、ジ−n−ブチルエーテル23.6gを添加し、そしてその混合物を室温で撹拌した。撹拌終了後、2つの相が現れた;それらを静置し、そして続いて分離させた。上方の(有機)相の重量は、58.4gであった;それは、三塩化モノn−オクチルスズ99.0%、二塩化ジ−n−オクチルスズ0.07%、塩化トリ−n−オクチルスズ0.0%、及び他のスズ化合物1.9%のスズ種組成を有していた。
第3再抽出:第2再抽出から得られた水相82.5gに、ジ−n−ブチルエーテル16.5gを添加し、そしてその混合物を室温で撹拌した。撹拌終了後、2つの相が現れた;それらを静置し、そして続いて、分離させた。上方の(有機)相の重量は、17.2gであった;それは、三塩化モノ−n−オクチルスズ94.1%、二塩化ジ−n−オクチルスズ0.3%、塩化トリ−n−オクチルスズ0.0%、及び他のスズ化合物5.6%のスズ種組成を有していた。下方の(水性)相を、残留金属についてICPによって分析した;それは、スズ含有量0.7%であった。
[例3]
この例では、塩酸を含む水相への、塩化有機スズの混合物からの三塩化モノ−n−オクチルスズの抽出、少量のn−ヘプタンを用いる水相のスクラビング、及び三塩化モノn−オクチルスズの、水相からの、HCl水溶液の蒸留による回収を実証する。
工業用原料の塩化有機スズの混合物は、三塩化モノ−n−オクチルスズ60.7%、二塩化ジ−n−オクチルスズ36.9%、塩化トリ−n−オクチルスズ0.3%、及び他のスズ化合物2.1%のスズ種組成を有していた。
工程1:水性抽出:
例1に記載したように、16.0%のHCl水溶液161gを用いてこの原料の塩化有機スズの混合物201gを50℃で抽出した。得られた上方の(有機)相の重量は78.3gであった;それは、三塩化モノ−n−オクチルスズ18.0%、二塩化ジ−n−オクチルスズ79.1%、塩化トリ−n−オクチルスズ0.7%、及び他のスズ化合物2.2%のスズ種組成を有していた;元素分析により、それは、スズ36.9%を含有していた。下方の(水性)相を、以下に記載するように更に処理した。
工程2:ジオクチル及びトリオクチルスズの塩化物を除去するための水相のスクラビング。
第1スクラビング:工程1から得られた水相137gに、n−ヘプタン27.5gを添加し、そして、その混合物を、50℃で攪拌した。撹拌終了後、2つの相が現れた;それらを静置し、そして続いて分離させた。上方の(有機)相の重量は32.6gであった;それは、三塩化モノ−n−オクチルスズ25.3%、二塩化ジ−n−オクチルスズ71.6%、塩化トリ−n−オクチルスズ0.6%、及び他のスズ化合物2.5%のスズ種組成を有していた。元素分析により、それは、7.1%のスズを含有していた。
第2スクラビング:第1スクラビングから得られた水相に、更に12.5gのn−ヘプタンを添加し、そして、その混合物を、50℃で撹拌した。撹拌終了後、2つの相が現れた;それらを静置し、そして続いて、分離させた。上方の(有機)相の重量は14.5gであった;それは、三塩化モノ−n−オクチルスズ51.8%、二塩化ジ−n−オクチルスズ46.1%、塩化トリ−n−オクチルスズ0.3%、及び他のスズ化合物1.9%のスズ種組成を有していた;元素分析により、それは、2.6%のスズを含有していた。下方の(水性)相を、以下に記載するように更に処理した。
第3スクラビング:第2スクラビングから得られた水相に、更に12.5gのn−ヘプタンを添加し、そして、その混合物を、50℃で撹拌した。撹拌終了後、2つの相が現れた;それらを静置し、そして続いて、分離させた。上方の(有機)相の重量は13.0gであった;それは、三塩化モノ−n−オクチルスズ85.7%、二塩化ジ−n−オクチルスズ12.6%、塩化トリ−n−オクチルスズ0.0%、及び他のスズ化合物1.7%のスズ種組成を有していた;元素分析により、それは、1.7%のスズを含有していた。
得られた下方の(水性)相の重量は123.5gであった;それは、三塩化モノ−n−オクチルスズ98.5%、二塩化ジ−n−オクチルスズ0.06%、塩化トリ−n−オクチルスズ0.0%、及び他のスズ化合物1.4%のスズ種組成を有していた;元素分析により、それは、14.1%のスズを含有していた。それを、以下に記載するように、更に処理した。
工程3:HCl水溶液の蒸留による三塩化モノオクチルスズの回収:
工程3からの水相110gを、実験用ガラス蒸留装置に入れた。塩酸及び水を、30mbar(30hPa)で最高温度50℃の穏やかな条件下で留去した。
得られた生成物の重量は35.5gであった;それは、三塩化モノ−n−オクチルスズ98.6%、二塩化ジ−n−オクチルスズ0.04%、塩化トリ−n−オクチルスズ0.0%、及び他のスズ化合物1.4%のスズ種組成を有していた;元素分析により、それは、スズ35.1%及びCl31.3%を含有していた。
[例4]
この例は、塩化アルミニウムの水相における三塩化モノ−n−オクチルスズの溶解度及び有機相からのその抽出が、塩化物濃度にどのように依存するかを実証する。
重量で、三塩化モノn−オクチルスズ55.7%、ジ−n−ブチルエーテル10.7%、n−ヘプタン26.2%、AlCl7.3%を含む混合物を調製した。この混合物10gを、目盛り付きガラスシリンダーに移した。
脱イオン水の一部を、段階的にその系に添加し、そして有機相及び水相の体積変化を記録した。有機相の体積減少は、モノオクチルスズの水相への抽出を示す。下表に報告された結果は、抽出が、濃塩化アルミニウム水溶液では不十分であり、希釈すると改善し、そして塩化アルミニウム水溶液が、単に約17%以下の濃度である場合に、特に効率的となることを実証している。
[例5]
この例は、塩酸の水相における三塩化モノ−n−オクチルスズの溶解度及び有機相からのその抽出が、塩化物濃度にどのように依存するかを実証する。
三塩化モノ−n−オクチルスズ20.3g、ジ−n−ブチルエーテル3.9g及びn−ヘプタン9.5gを混合して、透明で均質な溶液を得た。32%のHCl水溶液8.6g(7.4mL)を添加した。その混合物を、約10分間攪拌し、そしてその後、目盛り付きガラスシリンダーに移した。2つの相が現れた;それらを、静置した。
脱イオン水の一部を、段階的にその系に添加し、そして有機相及び水相の体積変化を記録した。有機相の体積減少は、モノオクチルスズの水相への抽出を示す。下表に報告された結果は、抽出が、濃塩酸では不十分であり、希釈すると改善し、そしてHCl濃度が、約16%である場合に、特に効率的となることを実証している。
[例6]
この例は、塩化アルミニウムの水相における三塩化モノ−n−オクチルスズの溶解度及び有機相からのその抽出が、温度にどのように依存するかを実証する。
重量で、三塩化モノn−オクチルスズ55.7%、ジ−n−ブチルエーテル10.7%、n−ヘプタン26.2%、AlCl7.3%を含む混合物を調製した。この混合物20g(18.5mLの体積を有する)に、脱イオン水8.4gを、攪拌下に添加し、そして得られた混合物を、目盛り付きガラスシリンダーに入れた。
ガラスシリンダーの温度を、20℃に調整し、そしてその相を静置し、そして30分間分離させた。得られた有機相の体積は、8mLであった。
続いて、ガラスシリンダーの温度を40℃に調整し、そして30分間、その相を静置し、そして分離させた。得られた有機相の体積は、10mLであった。
続いて、ガラスシリンダーの温度を、60℃に調整し、そして30分間、その相を静置し、分離させた。得られた有機相の体積は、14mLであった。
[例7]
この例は、塩化ナトリウムの水相を用いて三塩化モノ−n−オクチルスズが抽出できることを実証する。
三塩化モノ−n−オクチルスズ10.15g、ジ−n−ブチルエーテル1.95g及びn−ヘプタン4.75gを混合して、透明で均質な溶液を得た。その有機混合物の体積は、16mLであった。2.5gの飽和NaCl溶液を添加した。その混合物を、約10分間、攪拌し、そしてその後、目盛り付きガラスシリンダーに移した。懸濁液が形成されたため、相分離は観察できなかった。更に脱イオン水5gを添加し、そしてその混合物を45℃に加熱した場合に、2つの相が現れた。それらを静置した場合、有機相の体積が、16mLから約18mLに減少したことが見えるようになり、これは、水相への三塩化モノオクチルスズの抽出を示している。室温に冷却すると、下方の水相が固化した。

Claims (15)

  1. 0.3%未満のレベルの二塩化ジオクチルスズ及び0.1%未満のレベルの塩化トリオクチルスズを含む三塩化モノオクチルスズを製造する方法であって、前記方法が、以下の工程:
    (1)塩化モノオクチルスズを含み、ジオクチルスズ化合物及び/又はトリオクチルスズ化合物を含む塩化有機スズの混合物を、塩化物塩を含有する水相に接触させる工程であって、前記工程が、任意選択的に、有機溶媒の存在下で実施され、塩化モノオクチルスズを含む水相と、ジオクチルスズ化合物及び/又はトリオクチルスズ化合物の殆どを含有する有機相を得る工程;
    (2)前記水相を、前記有機相から分離する工程;
    (3)前記水相を有機溶媒で洗浄することにより、望ましくない副生成物から前記水相を精製する工程;及び
    (4)前記水相から三塩化モノオクチルスズを回収する工程、
    を含む、方法
  2. 前記塩化有機スズの混合物を、塩化物塩を含有する水相に接触させる工程(1)が有機溶媒の存在下で実施される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記塩化有機スズの混合物を、塩化物塩を含有する水相に接触させる工程(1)で使用される前記有機溶媒がn−ヘキサン、n−ヘプタン及びジ−n−ブチルエーテルからなる群から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記水相を洗浄する工程(3)で使用される前記有機溶媒が、n−ヘキサン及びn−ヘプタンからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  5. 前記水相を洗浄する工程(3)で使用される前記有機溶媒が、n−ヘキサン及びn−ヘプタンからなる群から選択される、請求項2に記載の方法。
  6. 前記水相を洗浄する工程(3)で使用される前記有機溶媒が、n−ヘキサン及びn−ヘプタンからなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
  7. 前記塩化有機スズの混合物を、塩化物塩を含有する水相に接触させる工程(1)が、20から50℃の温度で実施される、請求項1に記載の方法。
  8. 前記塩化有機スズの混合物を、有機溶媒の存在下で、塩化物塩を含有する水相に接触させる工程(1)が、20から50℃の温度で実施される、請求項2に記載の方法。
  9. 前記塩化有機スズの混合物を、n−ヘキサン、n−ヘプタン及びジ−n−ブチルエーテルからなる群から選択される有機溶媒の存在下で、塩化物塩を含有する水相に接触させる工程(1)が、20から50℃の温度で実施される、請求項3に記載の方法。
  10. 前記塩化有機スズの混合物を、塩化物塩を含有する水相に接触させる工程(1)が、20から50℃の温度で実施される、請求項4に記載の方法。
  11. 前記水相を有機溶媒で洗浄する工程(3)が、20から50℃の温度で実施される、請求項1に記載の方法。
  12. 前記水相を有機溶媒で洗浄する工程(3)が、20から50℃の温度で実施される、請求項10に記載の方法。
  13. 前記水相を有機溶媒で洗浄する工程(3)が、20から50℃の温度で実施される、請求項2に記載の方法。
  14. 前記塩化有機スズの混合物を、n−ヘキサン、n−ヘプタン及びジ−n−ブチルエーテルからなる群から選択される有機溶媒の存在下で、塩化物塩を含有する水相に接触させる工程(1)が、20から50℃の温度で実施される、請求項6に記載の方法。
  15. 前記水相を有機溶媒で洗浄する工程(3)が、20から50℃の温度で実施される、請求項14に記載の方法。
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