JP6837946B2 - ガソリン組成物 - Google Patents

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  • Production Of Liquid Hydrocarbon Mixture For Refining Petroleum (AREA)

Description

本発明は、ガソリン組成物に関する。
接触改質ガソリン(PG)等の高芳香族炭化水素油から得られるガソリン留分のうち、例えば炭素数8の芳香族化合物は石油化学原料として利用されてきた。また近年、炭素数8の芳香族化合物だけでなく、炭素数9の芳香族化合物についても、石油化学原料としての需要が高まっている。これら芳香族化合物は、ガソリン性能、とりわけオクタン価の向上に寄与することから、ガソリン組成物の一基材としても用いられてきた。しかし、炭素数8及び9の芳香族化合物は、石油化学原料に利用できる付加価値の高い留分となっていることから、ガソリン組成物の基材としてこれらの芳香族化合物の使用量を低減した、あるいは使用しない、これまでのガソリン性能に遜色のないガソリン組成物、更にはこれまで以上に優れたガソリン性能を有するガソリン組成物が求められるようになっている。
ガソリン基材を組合せることにより、ガソリン性能を改良する技術の一例として、低沸点でオクタン価の高い接触分解ガソリンを蒸留分離して得られる軽質分解ガソリン、アルキレートガソリン等を用いて、50%留出温度や90%留出温度を低く調整することにより、ガソリン組成物のオクタン価を高める技術が提案されている(特許文献1参照)。
特開2005−290159号公報
ところで、ガソリン組成物には、上記のオクタン価に加えて、例えば、エンジン始動時の運転性能、特に冬季の低温環境下における運転性能(以後、「低温運転性能」と称することがある。)が求められることがある。
また、ガソリン組成物に起因する問題として、吸気系のうち特にインテークバルブ、また燃焼室内における不完全燃焼生成物が徐々に堆積するデポジット(以後、「インテークバルブデポジット」及び「燃焼室デポジット」と称することがある。)による吸気効率の低下、アイドリングの不安定による運転性能の低下がある。そのため、ガソリン組成物には、インテークバルブデポジット及び燃焼室デポジットの生成を同時に抑制する性能(以後、「デポジット生成抑制性能」と称することがある。)も求められることがある。
しかしながら、特許文献1に記載のガソリン組成物には、デポジットの発生要因となるオレフィン分を多く含む接触分解ガソリンが主成分として含まれており、より優れたデポジット抑制性能が求められると、十分に対応できない場合があった。
そこで、本発明は、石油化学原料に利用できる付加価値の高い炭素数8及び9の芳香族化合物の使用量を低減しつつ、優れたガソリン性能とともに、優れた低温運転性能かつインテークバルブデポジット及び燃焼室デポジットの生成を同時に抑制するデポジット生成抑制性能を有するガソリン組成物の提供を目的とする。
本発明者らは、上記課題に鑑みて鋭意検討の結果、下記の発明により解決できることを見出した。すなわち、本発明は下記の構成を有するガソリン組成物を提供するものである。
[1]リード蒸気圧が68kPa以上93kPa以下であり、50%留出温度が75℃以上105℃以下であり、70%留出温度が90℃以上105℃以下であり、90%留出温度が100℃以上130℃以下であり、芳香族化合物の組成物全容量に対する含有量が18容量%以上45容量%以下であり、硫黄の組成物全質量に対する含有量が10質量ppm以下であり、リサーチ法オクタン価が88以上92以下であるガソリン組成物。
[2]炭素数7の芳香族化合物の組成物全容量に対する含有量が、10容量%以上である上記[1]に記載のガソリン組成物。
[3]炭素数8の芳香族化合物の組成物全容量に対する含有量と炭素数9の芳香族化合物の組成物全容量に対する含有量との合計が、10容量%以下である上記[1]又は[2]に記載のガソリン組成物。
[4]炭素数9の芳香族化合物の組成物全容量に対する含有量が、7容量%以下である上記[1]〜[3]のいずれか1に記載のガソリン組成物。
[5]炭素数10以上の芳香族化合物の組成物全容量に対する含有量が、0.1容量%以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のガソリン組成物。
[6]オレフィン分の組成物全容量に対する含有量が、10容量%以下である上記[1]〜[5]のいずれか1に記載のガソリン組成物。
[7]脱ベンゼン改質ガソリンの組成物全容量に対する含有量が、10容量%以上である上記[1]〜[6]のいずれか1に記載のガソリン組成物。
[8]接触分解ガソリンを含まない上記[1]〜[7]のいずれか1に記載のガソリン組成物。
[9]アルキレートガソリンを含まない上記[1]〜[8]のいずれか1に記載のガソリン組成物。
本発明によれば、石油化学原料に利用できる付加価値の高い炭素数8及び9の芳香族化合物の使用量を低減しつつ、オレフィン分を抑制することにより、優れた低温運転性能かつインテークバルブデポジット及び燃焼室デポジットの生成を同時に抑制するデポジット生成抑制性能を有するガソリン組成物を提供できる。
[ガソリン組成物]
以下、本発明の実施形態(以後、単に「本実施形態」と称する場合がある。)に係るガソリン組成物について具体的に説明する。なお、本明細書において、「以上」、「以下」に係る上下限の数値は任意に組合せすることができる。
本実施形態のガソリン組成物は、リード蒸気圧が68kPa以上93kPa以下であり、50%留出温度が75℃以上105℃以下であり、70%留出温度が90℃以上105℃以下であり、90%留出温度が100℃以上130℃以下であり、芳香族化合物の組成物全容量に対する含有量が18容量%以上45容量%以下であり、硫黄の組成物全質量に対する含有量が10質量ppm以下であり、リサーチ法オクタン価が88以上92以下である、というものである。
(リード蒸気圧)
本実施形態のガソリン組成物のリード蒸気圧は、68kPa以上93kPa以下であることを要する。リード蒸気圧が68kPa未満であると、低温時におけるエンジン始動性が悪化しやすくなり、低温運転性能が低下する。低温運転性能の観点から、リード蒸気圧は、好ましくは70kPa以上、より好ましくは75kPa以上、更に好ましくは80kPa以上である。
また、リード蒸気圧が93kPaを超えると、給油時や走行時、及び停車時に車両から排出される蒸発ガス(炭化水素)の排出量が増加する。また、燃料供給ラインでベーパーロックが発生しやすくなり、高温時での走行直後のエンジン再始動性や走行性が悪化しやすくなる。これらの観点から、リード蒸気圧は、好ましくは91kPa以下、より好ましくは90kPa以下、更に好ましくは88kPa以下である。
ここで、リード蒸気圧は、JIS K 2258「原油及び燃料油−蒸気圧試験方法−リード法」により測定される37.8℃での蒸気圧である。
(50%留出温度)
本実施形態のガソリン組成物の50%留出温度は、75℃以上105℃以下であることを要する。50%留出温度が75℃未満であると、高温時での走行直後のエンジン再始動性、走行性が悪化しやすくなる。これらの観点から、50%留出温度は、好ましくは76℃以上であり、より好ましくは77℃以上である。
また、50%留出温度が105℃を超えると、低温時の始動性や走行性が悪化しやすくなり、低温運転性能が低下する。これらの観点から、50%留出温度は、好ましくは100℃以下であり、より好ましくは90℃以下、更に好ましくは80℃以下である。
ここで、留出温度は、JIS K 2254「石油製品−蒸留試験方法(常圧法)」により測定される値である。
(70%留出温度)
本実施形態のガソリン組成物の70%留出温度は、90℃以上105℃以下であることを要する。70%留出温度が90℃未満であると、高温時での走行直後のエンジン再始動性、走行性が悪化しやすくなる。高温時での走行直後のエンジン再始動性、走行性の観点から、70%留出温度は、好ましくは93℃以上、より好ましくは95℃以上である。
また、70%留出温度が105℃を超えると、低温時の始動性や走行性が悪化しやすくなり、低温運転性能が低下し、またデポジット生成抑制性能も低下する。低温運転性能及びデポジット生成抑制性能の観点から、70%留出温度は、好ましくは103℃以下、より好ましくは100℃以下である。
(90%留出温度)
本実施形態のガソリン組成物の90%留出温度は、100℃以上130℃以下である。90%留出温度が100℃未満であると燃費性能が悪化し、ガソリン性能が悪化する。燃費性能を向上させてガソリン性能を向上させる観点から、90%留出温度は、好ましくは103℃以上、更に好ましくは105℃以上である。
また、90%留出温度が130℃を超えると、燃焼室デポジットの生成が多くなり、デポジット生成抑制効果が悪化する。この観点から、90%留出温度は、好ましくは128℃以下であり、より好ましくは125℃以下である。
本実施形態のガソリン組成物は、90%留出温度と70%留出温度との差が30℃以下であることが好ましい。90%留出温度と70%留出温度との差が上記範囲内であると、燃焼室デポジットの生成が少なくなるので、デポジット生成抑制効果が向上する。これと同様の観点から、90%留出温度と70%留出温度との差は、好ましくは27℃以下、より好ましくは25℃以下であり、下限としては特に制限はないが、通常5℃以上、好ましくは7℃以上、より好ましくは10℃以上である。
(70℃留出量)
本実施形態のガソリン組成物の70℃留出量は、30容量%以上であることが好ましい。70℃留出量が30容量%以上であると、低温運転性能が向上する。これと同様の観点から、70℃留出量は、より好ましくは32容量%以上であり、更に好ましくは35容量%以上であり、特に好ましくは40容量%以上である。また、上限としては特に制限はないが、通常45容量%以下である。
(リサーチ法オクタン価)
本実施形態のガソリン組成物のリサーチ法オクタン価(RON)(以後、単に「オクタン価」と称する場合がある。)は、88以上92以下である。オクタン価が上記範囲内であると、レギュラーガソリンとして利用することができ、またオクタン価に加えて燃費性能等を含めた優れたガソリン性能が得られ、また優れた排ガス品質、エンジン始動時における運転性能が得られる。これらと同様の観点から、オクタン価は好ましくは89以上であり、上限としては好ましくは91以下である。
(硫黄の含有量)
本実施形態のガソリン組成物における、硫黄の組成物全質量に対する含有量は、10質量ppm以下であることを要する。ガソリン組成物中の硫黄は、排気ガス中で硫黄酸化物となり、窒素酸化物除去触媒を被毒する要因となり、窒素酸化物除去触媒の活性を回復するための還元雰囲気を形成するために、余剰の燃料が使用されることになる。このため、ガソリン組成物中の硫黄が10質量ppmを超えると、窒素酸化物除去触媒が被毒されやすくなり、燃費性能が悪化する。この観点から、硫黄の組成物全質量に対する含有量は、好ましくは8質量ppm以下、より好ましくは5質量ppm以下、更に好ましくは4質量ppm以下、特に好ましくは3質量ppm以下である。
ここで、硫黄の組成物全質量に対する含有量は、JIS K 2541−6「原油及び石油製品−硫黄分試験方法 第6部:紫外蛍光法」により測定される値である。
(15℃における密度)
本実施形態のガソリン組成物の15℃における密度は、好ましくは0.71g/cm以上、より好ましくは0.72g/cm以上、更に好ましくは0.73g/cm以上であり、上限としては、好ましくは0.77g/cm以下、より好ましくは0.76g/cm以下、更に好ましくは0.74g/cm以下である。15℃における密度が上記範囲であると、発熱量を高めて燃焼性を良好にできるため、より優れた燃費性能が得られる。
ここで、15℃における密度は、JIS K 2249「原油及び石油製品の密度試験方法並びに密度・質量・容量換算表」により測定される密度である。
(基材)
本実施形態のガソリン組成物は、基材、必要に応じて添加される添加剤を含むものである。基材としては、例えば、炭素数7の芳香族留分(C7A留分)が挙げられる。ここで、炭素数7の芳香族留分は、ナフサを接触改質して得られた改質ガソリンから蒸留分離して得られた芳香族成分のうち、炭素数7の芳香族分を主成分として含む留分のことである。
本実施形態のガソリン組成物において、炭素数7の芳香族留分(C7A留分)のガソリン組成物全容量に対する含有量は、10容量%以上であることが好ましい。炭素数7の芳香族留分(C7A留分)の含有量が10容量%以上であると、オクタン価をより高くすることができる。これと同様の観点から、炭素数7の芳香族留分(C7A留分)の含有量は、より好ましくは15容量%以上、更に好ましくは20容量%以上である。また、炭素数7の芳香族留分(C7A留分)のガソリン組成物全容量に対する含有量の上限としては、より優れたデポジット生成抑制性能が得られ、また排ガス性状を良好なものとし、プラグの燻りを抑制する観点から、好ましくは45容量%以下、より好ましくは40容量%以下、更に好ましくは35容量%以下である。また、炭素数7の芳香族留分(C7A留分)、他の留分に含まれる炭素数7の芳香族化合物のガソリン組成物全容量に対する含有量は、上記炭素数7の芳香族留分(C7A留分)の含有量と同じ範囲である。
炭素数8及び9の芳香族留分(C8A留分及びC9A留分)は、オクタン価をより高くすることができるため含まれていてもよいが、上記のように、石油化学原料に利用できる付加価値の高い留分となっていることから、その含有量は少ない方が好ましい。ここで、炭素数8及び9の芳香族留分(C8A留分及びC9A留分)は、ナフサを接触改質して得られた改質ガソリンから蒸留分離して得られた芳香族成分のうち、各々炭素数8及び9の芳香族分を主成分として含む留分のことである。
例えば、炭素数8の芳香族留分(C8A留分)の組成物全容量に対する含有量と炭素数9の芳香族留分(C9A留分)の組成物全容量に対する含有量との合計は、好ましくは10容量%以下、より好ましくは8容量%以下、更に好ましくは6質量%以下であり、特に好ましくは3容量%以下である。また、これと同じ観点から、炭素数9の芳香族留分(C9A留分)の含有量は、好ましくは7容量%以下、より好ましくは5容量%以下、更に好ましくは3容量%以下である。また、炭素数8の芳香族留分(C8A留分)、他の留分に含まれる炭素数8の芳香族化合物のガソリン組成物全容量に対する含有量は、上記炭素数8の芳香族留分(C8A留分)の含有量と同じ範囲であり、炭素数9の芳香族留分(C9A留分)、他の留分に含まれる炭素数9の芳香族化合物のガソリン組成物全容量に対する含有量は、上記炭素数9の芳香族留分(C9A留分)の含有量と同じ範囲である。
本実施形態のガソリン組成物は、炭素数8及び9の芳香族留分(C8A留分及びC9A留分)の含有量が上記のように少なくても、オクタン価が88以上となる優れたガソリン性能を有する組成物となる。そのため、本実施形態のガソリン組成物により、炭素数8及び9の芳香族留分(C8A留分及びC9A留分)を、他の有用な用途、すなわち石油化学原料というより付加価値の高い用途に、より多量に用いることできる。また、炭素数8及び9の芳香族留分(C8A留分及びC9A留分)は、燃焼室デポジットの生成を誘発しやすいため、これらの芳香族化合物の含有量が少ないことで、優れたデポジット生成抑制性能も得られる。なお、これらの芳香族留分には炭素数10以上の芳香族化合物が含まれる場合があるが、燃焼室デポジットの生成を誘発しやすいことから、その含有量は少ないことが好ましく、具体的には、炭素数10以上の芳香族化合物の含有量は、好ましくは0.1容量%以下、より好ましくは0.05容量%以下である。
本実施形態において、炭素数8及び9の芳香族留分(C8A留分及びC9A留分)は、より高いオクタン価を得る、より多量に石油化学原料という付加価値の高い用途に用いる、優れたデポジット生成抑制効果を得る等の所望の性能に応じて、その含有量を上記の範囲より適宜決定すればよい。特に優れたデポジット生成抑制性能を得ることを考慮すると、炭素数8及び9の芳香族留分(C8A留分及びC9A留分)を含まないことが好ましい。ここで、本実施形態において、「含まれない」とは、意図的に対象となる成分を含有させないことを意味し、そのガソリン組成物全容量に対する含有量が好ましくは3容量%以下、より好ましくは1容量%以下、更に好ましくは0.5容量%以下であり、特に好ましくは0容量%である。
本実施形態のガソリン組成物を構成する基材としては、オレフィン分の含有量が少ないものが好ましい。オレフィン分はインテークバルブデポジットの生成を誘発しやすいため、オレフィン分が少なければ少ないほど、優れたデポジット生成抑制性能が得られる。基材に含まれるオレフィン分の含有量は、好ましくは25容量%未満、より好ましくは20容量%以下、更に好ましくは10容量%以下、特に好ましくは5容量%以下である。
本実施形態において、基材としては、上記炭素数7、8及び9の芳香族留分(C7A留分、C8A留分及びC9A留分)以外の他の基材としては、例えば、脱ベンゼン改質ガソリン(PGPZ)、ラフィネート(RAF)、脱硫重質ナフサ(DHN)、脱硫軽質ナフサ(DLN)、アルキレートガソリン(ALG)、ブタン留分(BS)等を好ましく挙げることができる。
ここで、脱ベンゼン改質ガソリン(PGPZ)は、ナフサ又は脱硫重質ナフサを接触改質して得られたものであり、その主な構成留分は、炭素数5以下及び近傍の飽和炭化水素(C5L)、炭素数7、8及び9の芳香族留分(C7A留分、C8A留分及びC9A留分)である。また、脱ベンゼン改質ガソリン(PGPZ)から炭素数7、8及び9の芳香族留分(C7A留分、C8A留分及びC9A留分)を除去した炭素数5以下及びその近傍の飽和炭化水素(C5L)も他の基材として用いることができる。
ラフィネート(RAF)は、同じく改質ガソリンからベンゼンとその近傍の飽和炭化水素を蒸留分離し、ベンゼンを溶剤抽出して得られた飽和炭化水素主体の留分のことである。なお、ラフィネート(RAF)は、ブテンを重合して得られる炭素数8のオレフィンであるジイソブチレン(DIB)、ナフサを熱分解してエチレンを製造する際に得られる分解油を分離して得られる炭素数5のオレフィン分を20容量%以上含む留分であるC5オレフィン(CD−5H)を含む場合がある。
脱硫重質ナフサ(DHN)及び脱硫軽質ナフサ(DLN)は、ナフサ水素化脱硫装置により得られる脱硫ナフサであり、各々重質分及び軽質分のことである。アルキレートガソリン(ALG)は、ブテンを主成分とする留分とイソブタンを主成分とする留分とを硫酸触媒により反応させて得られたイソパラフィン分主体の炭化水素基材のことである。ブタン留分(BS)は、ブタン、イソブタンを主に含む、例えば、重質軽油留分、残油の接触分解処理によりガソリン等の基材を製造する際の副生成物、ナフサ等を原料とするエチレン製造装置で、ナフサ等のスチームクラッキングによりエチレンやプロピレンを製造する際の副生成物として得られるもののことである。
上記炭素数7の芳香族留分(C7A留分)、また上記他の基材を基材として採用することにより、本実施形態のガソリン組成物のオクタン価は向上するため、上記炭素数8及び9の芳香族留分(C8A留分及びC9A留分)の使用量を低減することができ、結果として燃焼室デポジット生成抑制性能の向上を図ることができる。よって、上記炭素数7の芳香族留分(C7A留分)、また上記他の基材を採用することにより、オレフィン分に起因するインテークバルブデポジットの生成の抑制に加えて、炭素数8及び9の芳香族留分(C8A留分及びC9A留分)に起因する燃焼室デポジットの生成も抑制することができ、極めて優れたデポジット生成抑制性能が得られる。
本実施形態において、上記の基材を単独で、又は組み合わせて用いることができる。デポジット生成抑制性能の観点から、上記の基材の中でも、炭素数7の芳香族留分(C7A留分)、上記他の基材のうち、炭素数5以下及び近傍の飽和炭化水素(C5L)、ラフィネート(RAF)、ブタン留分(BS)が好ましく、これらを組み合わせて用いることがより好ましい。なお、上記の基材のうち、アルキレートガソリン(ALG)は燃焼室デポジット及びインテークバルブデポジットを抑制でき、オクタン価を向上させる際に有効であり、この点に着目すると上記の通り、含まれることが好ましいが、製造コストが高いこと及び石油化学留分の活用の観点から含まれないことが好ましい。
本実施形態のガソリン組成物において、炭素数5以下及び近傍の飽和炭化水素(C5L)、のガソリン組成物全容量に対する含有量は、好ましくは5容量%以上、より好ましくは10容量%以上、更に好ましくは20容量%以上である。また、上限としては特に制限はないが、ガソリン組成物の性状の調整のしやすさを考慮すると、好ましくは50容量%以下、より好ましくは45容量%以下であり、更に好ましくは40容量%以下である。
本実施形態のガソリン組成物において、ラフィネート(RAF)のガソリン組成物全容量に対する含有量は、好ましくは5容量%以上、より好ましくは10容量%以上、更に好ましくは15容量%以上である。また、上限としては特に制限はないが、ガソリン組成物の性状の調整のしやすさを考慮すると、好ましくは40容量%以下、より好ましくは35容量%以下であり、更に好ましくは30容量%以下である。
また、本実施形態のガソリン組成物において、ブタン留分(BS)のガソリン組成物全容量に対する含有量は、好ましくは1容量%以上、より好ましくは3容量%以上、更に好ましくは5容量%以上である。また、上限としては特に制限はないが、ガソリン組成物の性状の調整のしやすさを考慮すると、好ましくは25容量%以下、より好ましくは20容量%以下であり、更に好ましくは15容量%以下である。
本実施形態のガソリン組成物は、オレフィン系炭化水素を含んでいてもよい。オレフィン系炭化水素は、オレフィン分を25容量%以上含むものであり、例えば、接触分解ガソリン(FG)、C5オレフィン(CD−5H)、ジイソブチレン(DIB)等が挙げられる。ここで、接触分解ガソリン(FG)は、減圧軽油を主成分とする重質軽油留分、又は常圧蒸留装置や減圧脱硫装置から得られる残渣油を水素化脱硫後、流動接触分解して得られたガソリン留分であり、その重質分を蒸留分離し、90%留出温度が100℃以下の留分は軽質接触分解ガソリン(LFG)となる。
オレフィン系炭化水素はオクタン価の向上によるガソリン性能の向上に寄与するが、一方では、インテークバルブデポジットの生成を誘発する場合がある。オレフィン系炭化水素のガソリン組成物全容量に対する含有量は、これらの効果を勘案し、所望に応じて適宜調整すればよいが、好ましくは10容量%以下、より好ましくは5容量%以下であり、下限値は特に制限はなく、通常0.5容量%以上程度である。
また、本実施形態において、特にインテークバルブデポジット生成抑制性能を重視する場合、ガソリン組成物は、上記オレフィン系炭化水素として接触分解ガソリン(FG)を含まないことが好ましい。
本実施形態のガソリン組成物において、オレフィン分のガソリン組成物全容量に対する含有量は、オクタン価の向上によるガソリン性能の向上への寄与、デポジットの生成の誘発等を勘案し、所望に応じて適宜調整すればよいが、好ましくは10容量%以下、より好ましくは9容量%以下、更に好ましくは8容量%以下である。また、オレフィン分の含有量の下限値は特に制限はなく、通常0.1容量%以上程度である。上記のとおり、本実施形態において、デポジット生成抑制性能の観点からオレフィン分は含まれないことが好ましい。
本実施形態のガソリン組成物は、上記以外の基材として、エタノール、エチルt−ブチルエーテル(ETBE)等の含酸素化合物を含んでいてもよい。本実施形態のガソリン組成物における、これらの含酸素化合物のガソリン組成物全容量に対する含有量は、発明の効果を阻害しない範囲であれば特に制限はなく、例えば、1容量%以上8容量%以下程度とすればよい。
(芳香族化合物の含有量)
本実施形態のガソリン組成物において、芳香族化合物のガソリン組成物全容量に対する含有量は、18容量%以上45容量%以下であることを要する。芳香族化合物の含有量が18容量%未満であると、発熱量低下による燃費性能の悪化を引き起こすことがある。燃費性能を向上させてガソリン性能を向上させる観点から、芳香族化合物の含有量は、好ましくは20容量%以上、より好ましくは25容量%以上である。
芳香族化合物の含有量がガソリン組成物全容量に対して45容量%を超えると、燃焼室デポジットの生成が誘発される場合があり、また排ガス性状を悪化させ、プラグの燻りを引き起こす場合がある。芳香族化合物のガソリン組成物全容量に対する含有量の上限としては、排ガス性状を良好なものとし、プラグの燻りを抑制する観点から、好ましくは40容量%以下、より好ましくは35容量%以下である。
(ベンゼンの含有量)
本実施形態のガソリン組成物において、ベンゼンのガソリン組成物全容量に対する含有量は、好ましくは1容量%以下、より好ましくは0.5容量%以下、更に好ましくは0.3容量%以下である。
(基材の配合について)
本実施形態のガソリン組成物の構成に用いられる基材としては、例えば、炭素数7の芳香族留分(C7A留分)、炭素数8の芳香族留分(C8A留分)、炭素数9の芳香族留分(C9A留分)等の芳香族留分;炭素数5以下及びその近傍の飽和炭化水素(C5L);脱ベンゼン改質ガソリン(PGPZ)、ラフィネート(RAF)、脱硫重質ナフサ(DHN)、脱硫軽質ナフサ(DLN)、アルキレートガソリン(ALG)、ブタン留分(BS)等の各種留分;接触分解ガソリン(FG)、C5オレフィン(CD−5H)、ジイソブチレン(DIB)等のオレフィン系炭化水素から選ばれる少なくとも一種を用いることができる。
石油化学原料に利用できる付加価値の高い炭素数8及び9の芳香族留分(C8A留分及びC9A留分)の使用量を低減しつつ、優れた低温運転性能及びデポジット生成抑制性能を得る観点から、本実施形態のガソリン組成物の構成に用いられる基材としては、好ましくは炭素数7の芳香族留分(C7A留分)、炭素数8の芳香族留分(C8A留分)、炭素数9の芳香族留分(C9A留分)等の芳香族留分;炭素数5以下及びその近傍の飽和炭化水素(C5L);脱ベンゼン改質ガソリン(PGPZ)、ラフィネート(RAF)、脱硫重質ナフサ(DHN)、脱硫軽質ナフサ(DLN)、アルキレートガソリン(ALG)、ブタン留分(BS)等の各種留分から選ばれる少なくとも一種を用いることができ、より好ましくは炭素数7の芳香族留分(C7A留分)、炭素数9の芳香族留分(C9A留分)、炭素数5以下及びその近傍の飽和炭化水素(C5L)、脱ベンゼン改質ガソリン(PGPZ)、ラフィネート(RAF)、脱硫重質ナフサ(DHN)、脱硫軽質ナフサ(DLN)及びブタン留分(BS)から選ばれる少なくとも一種の基材を用いることができ、更に好ましくは炭素数7の芳香族留分(C7A留分)、脱ベンゼン改質ガソリン(PGPZ)、炭素数5以下及びその近傍の飽和炭化水素(C5L)、ラフィネート(RAF)及びブタン留分(BS)から選ばれる少なくとも一種を用いることができ、特に好ましくは炭素数7の芳香族留分(C7A留分)、炭素数5以下及びその近傍の飽和炭化水素(C5L)、ラフィネート(RAF)及びブタン留分(BS)から選ばれる少なくとも一種を用いることができる。本実施形態において好ましく用いられる上記基材は、いずれもエチレン製造装置等の石油化学プラントから得られるものであり、本実施形態のガソリン組成物は、石油化学プラントから得られるものを用いて、従来製油所から得られる基材を用いて得られたガソリン組成物と同等品としたものである、といえる。従来製油所から得られる基材を用いて得られたガソリン組成物と同等品が得られる点は、本実施形態のガソリン組成物の優位な効果である。
これらの芳香族化合物、各種留分、及びオレフィン系炭化水素のガソリン組成物全容量に対する含有量は、上記のとおりである。
(添加剤)
本実施形態のガソリン組成物には、上記の基材の他、他の石油系留分、ガソリン組成物に適用可能な流動性向上剤等の添加剤が含まれていてもよい。添加剤の配合量は、適宜選択できるが、添加剤のガソリン組成物全質量(100質量部)に対する配合量として、通常1質量部以下、好ましくは0.5質量部以下、更に好ましくは0.3質量部以下である。
本実施形態のガソリン組成物において使用可能な添加剤としては、例えば、アミン系又はフェノール系等の酸化防止剤;アルケニルコハク酸エステル等の防錆剤;アゾ染料等の着色剤等が挙げられる。
[ガソリン組成物の製造方法]
本実施形態のガソリン組成物は、例えば以下の製造方法によって得ることができる。本実施形態のガソリン組成物は、上記基材から選ばれる少なくとも一種の基材を用い、リード蒸気圧が68kPa以上93kPa以下であり、50%留出温度が75℃以上105℃以下であり、70%留出温度が90℃以上105℃以下であり、90%留出温度が100℃以上130℃以下であり、芳香族化合物の組成物全容量に対する含有量が18容量%以上45容量%以下であり、硫黄の組成物全質量に対する含有量が10質量ppm以下であり、リサーチ法オクタン価が88以上92以下となるように調製する工程を有する製造方法により得ることができる。
基材は、上記基材から一種単独で、又は複数種を混合して用いることができ、リード蒸気圧等の各種性状及び組成の調整しやすさを考慮すると、複数種を混合して用いることが好ましい。
本実施形態においては、例えば、炭素数7の芳香族留分(C7A留分)、炭素数8の芳香族留分(C8A留分)、炭素数9の芳香族留分(C9A留分)等の芳香族留分;炭素数5以下及びその近傍の飽和炭化水素(C5L);脱ベンゼン改質ガソリン(PGPZ)、ラフィネート(RAF)、脱硫重質ナフサ(DHN)、脱硫軽質ナフサ(DLN)、アルキレートガソリン(ALG)、ブタン留分(BS)等の各種留分;接触分解ガソリン(FG)、C5オレフィン(CD−5H)、ジイソブチレン(DIB)等のオレフィン系炭化水素から選ばれる少なくとも一種を用いることができる。
また、石油化学原料に利用できる付加価値の高い炭素数8及び9の芳香族留分(C8A留分及びC9A留分)の使用量を低減しつつ、優れた低温運転性能及びデポジット生成抑制性能を得る観点から、本実施形態のガソリン組成物の構成に用いられる基材としては、好ましくは炭素数7の芳香族留分(C7A留分)、炭素数8の芳香族留分(C8A留分)、炭素数9の芳香族留分(C9A留分)等の芳香族化合物;炭素数5以下及びその近傍の飽和炭化水素(C5L);脱ベンゼン改質ガソリン(PGPZ)、ラフィネート(RAF)、脱硫重質ナフサ(DHN)、脱硫軽質ナフサ(DLN)、アルキレートガソリン(ALG)、ブタン留分(BS)等の各種留分から選ばれる少なくとも一種を用いることができ、より好ましくは炭素数7の芳香族留分(C7A留分)、炭素数5以下及びその近傍の飽和炭化水素(C5L)、炭素数9の芳香族留分(C9A留分)、脱ベンゼン改質ガソリン(PGPZ)、ラフィネート(RAF)、脱硫重質ナフサ(DHN)、脱硫軽質ナフサ(DLN)及びブタン留分(BS)から選ばれる少なくとも一種の基材を用いることができ、更に好ましくは炭素数7の芳香族留分(C7A留分)、脱ベンゼン改質ガソリン(PGPZ)、炭素数5以下及びその近傍の飽和炭化水素(C5L)、ラフィネート(RAF)及びブタン留分(BS)から選ばれる少なくとも一種を用いることができ、特に好ましくは炭素数7の芳香族留分(C7A留分)、炭素数5以下及びその近傍の飽和炭化水素(C5L)、ラフィネート(RAF)及びブタン留分(BS)から選ばれる少なくとも一種を用いることができる。
これらの芳香族化合物、各種留分、及びオレフィン系炭化水素のガソリン組成物全容量に対する含有量は、上記のとおりである。
なお、本実施形態のガソリン組成物の製造方法は、得られるガソリン組成物の性状及び組成が上記特定した範囲を満たす限り、上記の方法に限定されない。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。各実施例及び比較例で用いた基材、及び各実施例及び比較例のガソリン組成物の性状及び組成を、下記の方法により測定した。
・リサーチ法オクタン価(RON):JIS K 2280「石油製品−燃料油−オクタン価及びセタン価試験方法並びにセタン指数算出方法」
・リード蒸気圧:JIS K 2258「原油及び燃料油−蒸気圧試験方法−リード法」
・15℃における密度:JIS K 2249「原油及び石油製品の密度試験方法並びに密度・質量・容量換算表」
・真発熱量:JIS K 2279「原油及び石油製品‐発熱量試験方法及び計算による推定方法」
・芳香族化合物含有量、オレフィン分(不飽和分)含有量、炭素数7の芳香族化合物含有量(C7A化合物含有量)、炭素数8の芳香族化合物含有量(C8A化合物含有量)、炭素数9の芳香族化合物含有量(C9A化合物含有量)、ベンゼン含有量、及び炭素数10以上の芳香族化合物含有量(C10A化合物含有量)は、JIS K 2536「石油製品−成分試験方法」のガスクロマトグラフィー法により測定した。なお、分析条件は下記のとおりとした。
(分析条件)
カラム材質:100%メチルシリコーンキャピラリーカラム
温度条件:初期温度5℃、保持時間10分、昇温速度2℃/分、最終温度140℃
ガス条件:流速2mL/分、スプリット比50:1、メークアップ量50mL/分
試料注入量:0.5μL
・硫黄含有量:JIS K 2541−6「原油及び石油製品−硫黄分試験方法 第6部:紫外蛍光法」
・蒸留性状:JIS K2254「石油製品―蒸留試験方法」
また、ガソリン組成物の各性能について、下記の方法により評価した。
[低温運転性能]
シャシダイナモ装置を用いて、排気量が660cc、燃料供給方式がキャブレターの試験車による低温での運転性試験を実施した。車両を冷機状態に保持し、低温(−10℃)での運転性能(低温運転性能)を評価した。
評価試験は、室内温度を−10℃として、試験モードを、ヘジテーション評価モード(2005年石油製品討論会:「ガソリンの蒸留性状(T50)が車両運転性に与える影響の検討」P17 ガソリン分科会 運転性調査委員会)に準拠して、下記(i)、(ii)の手順により行った。
(i)水温及び油温が−10℃となるように車両を冷却したのち、エンジン始動後10秒間アイドリングし、アクセル開度50%で加速して車速が40km/hに達した後、減速して停止した。
(ii)引き続き、合計20回まで加速と減速を繰り返した。
低温性能は、デメリット点数で評価した。デメリット点数の測定は、前期氷解試験の1回目から20回目の加速中に置いて、CRC(Coordinating Research Council) Report No.483に記載される評価方法に準拠して評価した。
具体的には、第1表に示す運転性能上の不具合が発生した場合に、不具合の項目毎に第1表に示す不具合の種類に応じた係数と、第2表に示す現象の程度に応じたデメリット評点とを乗じてデメリット点数を算出し、不具合の全項目のデメリット点数を合計した。
なお、アイドリング時及び走行中のストールについては、このような乗算を行わずに、単純に不具合の種類に応じた係数を最終的に加算した。
低温時(−10℃)の運転性能は、デメリット点が少なければ少ないほど低温運転性能が優れているといえ、30未満であれば「A」、30以上40未満であれば「B」、40以上50未満であれば「C」、50以上であれば「D」(「C」、「D」は不合格である。)と評価とした。
[デポジット生成抑制性能]
「JASO M 352 自動車ガソリン機関 吸気系清浄剤による燃焼室デポジットへの影響性試験法」に準拠して、エンジンを運転し、運転後にインテークバルブ、及び燃焼室に付着したデポジットを測定した。具体的に、インテークバルブデポジット(IVD)、及び燃焼室デポジット(CCD)は、次のように測定した。
デポジット量は、シリンダーヘッドとピストントップに付着したデポジットを採取、秤量したものの合計であり、4気筒の平均値をデポジット量とした。
ガソリン組成物のデポジットの量は少なければ少ないほどデポジット生成抑制性能に優れているといえ、インテークバルブデポジットについては、20mg/気筒未満であれば「A」、20mg/気筒以上35mg/気筒未満であれば「B」、35mg/気筒以上であれば「C」(「C」は不合格)と評価し、燃焼室デポジット(CCD)については、300mg/気筒未満であれば「A」、300mg/気筒以上600mg/気筒未満であれば「B」、600mg/気筒以上であれば「C」(「C」は不合格である。)と評価した。
[実施例及び比較例]
第3表に示す基材を用いて、第4表の配合処方に従って混合し、実施例及び比較例のガソリン組成物を調製した。
上記表において使用した基材は、下記のとおりである。
C7A留分(炭素数7の芳香族留分):ナフサを接触改質して得られた改質ガソリンから蒸留分離して得られた芳香族成分の内、炭素数7の芳香族分が主体の留分
C9A留分(炭素数9の芳香族留分):ナフサを接触改質して得られた改質ガソリンから蒸留分離して得られた芳香族成分の内、炭素数9の芳香族分が主体の留分
PGPZ:ナフサ又は脱硫重質ナフサを接触改質して得られた改質ガソリンからベンゼン及びその近傍の飽和炭化水素を蒸留分離して除去した炭素数5以下及び近傍の飽和炭化水素(C5L)、炭素数7、8及び9の芳香族留分(C7A留分、C8A留分及びC9A留分)が主体の留分
C5L:PGPZから炭素数7、8及び9の芳香族留分(C7A留分、C8A留分及びC9A留分)を除去した炭素数5以下及び近傍の飽和炭化水素
RAF(ラフィネート):ナフサ又は脱硫重質ナフサを接触改質して得られた改質ガソリンからベンゼンとその近傍の飽和炭化水素を蒸留分離し、ベンゼンを溶剤抽出して得られた飽和炭化水素主体の留分であり、下記DIB及びCD−5Hを含む留分
BS:重質軽油留分、残油の接触分解処理によりガソリン等の基材を製造する際の、ブタン、イソブタンを主に含む副生成物(ブタン留分)
DHN:脱硫重質ナフサ
DLN:脱硫軽質ナフサ
FG(接触分解ガソリン):減圧軽油を主成分とする重質軽油留分、又は常圧蒸留装置や減圧脱硫装置から得られる残渣油を水素化脱硫後、流動接触分解して得られたガソリン留分
DIB(ジイソブチレン):ブテンを重合して得られる炭素数8のオレフィン
CD−5H(C5オレフィン):ナフサを熱分解してエチレンを製造する際に得られる分解油を分離して得られる炭素数5のオレフィン分を20容量%以上含む留分
[評価結果]
上記の各実施例及び比較例で得られたガソリン組成物について、その性状及び組成を上記方法により測定し、またその性能を上記方法により評価した。これらの測定及び評価結果を第4表に示す。
第4表に示す結果から、本実施形態のガソリン組成物は、炭素数8及び9の芳香族留分の含有量を少なくしつつ、インテークバルブデポジット及び燃焼室デポジットの生成を同時に抑制するデポジット生成抑制性能に優れ、かつ低温運転性能にも優れたものであることが確認された。また、C9A留分を含まない実施例1の燃焼室デポジットはC9A留分を含む実施例2の燃焼室デポジットよりも少ないことから、C9A留分を用いない方がよりデポジット生成抑制性能が向上する傾向にあることが確認された。また、実施例1のガソリン組成物は、オレフィン分が少ないため、インテークデポジット生成抑制性能により優れたものであることが確認された。デポジットの生成は、実施例と比較例との対比、また実施例1〜3の対比等から、C8A化合物、C9A化合物、C10A化合物の含有量の影響がより大きく、C7A化合物の含有量の影響は小さくなるといえる。本実施形態のガソリン組成物は、オクタン価を上げるためには上記の基材が必要であるが、炭素数8及び9の芳香族化合物、更には炭素数10以上の芳香族化合物の使用量を低減し、炭素数7の芳香族化合物の使用量が多いことが特徴である、といえる。
また、実施例と比較例との対比から、蒸留性状において、70%留出温度及び90%留出温度が規定範囲内であれば、低温運転性能も良好となる傾向にあることが確認された。更に、実施例のガソリン組成物は、FG(接触分解ガソリン)を含んでいないため、密度が高くなり、発熱量も高くなること、またインテークバルブデポジット生成抑制性能に優れていることも確認された。

Claims (7)

  1. リード蒸気圧が68kPa以上93kPa以下であり、50%留出温度が75℃以上105℃以下であり、70%留出温度が90℃以上105℃以下であり、90%留出温度が100℃以上130℃以下であり、芳香族化合物の組成物全容量に対する含有量が18容量%以上45容量%以下であり、硫黄の組成物全質量に対する含有量が10質量ppm以下であり、リサーチ法オクタン価が88以上92以下であるガソリン組成物であって、
    炭素数8の芳香族化合物の組成物全容量に対する含有量と炭素数9の芳香族化合物の組成物全容量に対する含有量との合計が、10容量%以下であり、
    オレフィン分の組成物全容量に対する含有量が、10容量%以下である、ガソリン組成物。
  2. 炭素数7の芳香族化合物の組成物全容量に対する含有量が、10容量%以上である請求項1に記載のガソリン組成物。
  3. 炭素数9の芳香族化合物の組成物全容量に対する含有量が、7容量%以下である請求項1又は2に記載のガソリン組成物。
  4. 炭素数10以上の芳香族化合物の組成物全容量に対する含有量が、0.1容量%以下である請求項1〜のいずれか1項に記載のガソリン組成物。
  5. 脱ベンゼン改質ガソリンの組成物全容量に対する含有量が、10容量%以上である請求項1〜のいずれか1項に記載のガソリン組成物。
  6. 接触分解ガソリンを含まない請求項1〜のいずれか1項に記載のガソリン組成物。
  7. アルキレートガソリンを含まない請求項1〜のいずれか1項に記載のガソリン組成物。
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