JP6837765B2 - 金型装置 - Google Patents

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本発明は、金型装置および二色成形品に関する。
従来、射出成形の一方法として、1次成形品を形成した後に、その周囲に2次成形品を形成することで二色成形品を作製する技術が知られている。二色成形の技術は、例えば、車両のヘッドランプ等の灯具の透光カバーを作製する際に用いられている(特許文献1参照)。また、1次コア側金型および2次コア側金型の間を通る軸回りに回転可能に配置された回転部材に、一対のキャビティ金型が固定された回転金型を用いて、二色成形品を射出成形する技術が考案されている(特許文献2参照)。
特開2014−176974号公報 特開2014−168936号公報
上述の回転金型を用いた射出成形方法では、1次成形品と2次成形品とが一体化されてなる二色成形品が2次コア側金型に貼り付いた状態で型開きされる。そのため、金型に貼り付いた二色成形品は、2次コア側金型に設けられた押し出しピンによって押し出されることで、金型から取り出される。
しかしながら、2次コア側金型に設けられた押し出しピンは、二色成形品を金型から取り出すためのものであり、1次成形品の状態で金型から取り出すことはできない。そのため、破壊せずに1次成形品の状態で検査を行うことが困難である。また、1次成形品の段階で不良品を廃棄しようとすると、1次成形品を金型からすぐに外すことができないため、金型装置のダウンタイムが長くなりがちである。
本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、二色成形品に用いられる未完成成形品を金型から取り出す新たなる技術を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明のある態様の金型装置は、射出成形によって二色成形品を製造する複数の金型と、複数の金型のうち、二色成形品になる前の未完成成形品を保持する保持型に設けられ、該保持型から未完成成形品を取り出す取り出し機構と、を備える。保持型は、キャビティ金型である。
この態様によると、二色成形品になる前の未完成成形品を保持型から取り出すことができる。保持型は、固定型であってもよい。
取り出し機構は、保持型から未完成成形品を取り出す際に、該未完成成形品の一部を押圧する押圧部を有してもよい。押圧部は、保持型に未完成成形品が保持された状態において、該未完成成形品の非意匠面と当接してもよい。これにより、保持型に保持された未完成成形品に押圧部が当接することで何らかの痕跡が生じても、その痕跡が非意匠面にあることで目立ちにくくなる。
本発明の別の態様は、二色成形品である。この二色成形品は、所定形状の第1樹脂部と、第1樹脂部と少なくとも一部が重なるように接している第2樹脂部と、を備える二色成形品であって、第1樹脂部は、第2樹脂部と積層されている積層領域において非意匠面を有する。非意匠面は、第1樹脂部からなる1次成形品を取り出すために金型に設けられた取り出し機構と接していた接触部が形成されている。
この態様によると、接触部の模様を工夫することで、例えば、使用した金型の情報や製造ロット情報を二色成形品に残すことができる。
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、などの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
本発明によれば、二色成形品に用いられる未完成成形品を金型から取り出すことが容易となる。
図1(a)は、二色成形品の製造工程における一色目の充填工程を示す模式図、図1(b)は、二色成形品の製造工程における1次成形品を保持した保持型の回転工程を示す模式図である。 図2(a)は、二色成形品の製造工程における二色目の充填工程を示す模式図、図2(b)は、二色成形品の製造工程における2次成形品を型開きする工程を示す模式図である。 図3(a)は、二色成形品の製造工程における2次成形品を金型から取り出す工程を示す模式図、図3(b)は、二色成形品の製造工程における一色目と二色目を共に充填する工程を示す模式図である。 図4(a)、図4(b)は、未完成成形品を金型から外す金型装置の一例を示す模式図である。 図5(a)は、本実施の形態に係る車両用ヘッドライトの透光カバーの正面図、5(b)は、図5(a)のA−A断面図である。 図6(a)は、本実施の形態に係る取り出し機構の押圧部を説明するための模式図、図6(b)は、押圧部が当接した二色成形品の接触部近傍の模式図である。 図7(a)〜図7(c)は、本実施の形態に係る取り出し機構の押圧部の変形例を説明するための模式図である。 図8(a)は、図7(a)に示す押圧部が当接した二色成形品の接触部近傍の模式図、図8(b)は、図7(b)に示す押圧部が当接した二色成形品の接触部近傍の模式図、図8(c)は、図7(c)に示す押圧部が当接した二色成形品の接触部近傍の模式図である。
以下、図面等を参照しながら、本発明を実施するための形態について詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
(二色成形品の製造方法)
はじめに、本実施の形態に係る金型装置を用いた二色成形品の製造方法の概略について説明する。図1(a)は、二色成形品の製造工程における一色目の充填工程を示す模式図、図1(b)は、二色成形品の製造工程における1次成形品を保持した保持型の回転工程を示す模式図である。図2(a)は、二色成形品の製造工程における二色目の充填工程を示す模式図、図2(b)は、二色成形品の製造工程における2次成形品を型開きする工程を示す模式図である。図3(a)は、二色成形品の製造工程における2次成形品を金型から取り出す工程を示す模式図、図3(b)は、二色成形品の製造工程における一色目と二色目を共に充填する工程を示す模式図である。
図1(a)に示すように、本実施の形態に係る金型装置100は、いわゆる対向方式の二色成形用金型として構成されている。
金型装置100は、水平方向に延びるX軸上において互いに向き合った状態で配置された1次コア側金型10および2次コア側金型12と、これら1次コア側金型10および2次コア側金型12の間に配置され、X軸と直交して鉛直方向に延びるY軸回りに回転可能に構成された回転部材14と、Y軸を挟んで互いに背中合わせの状態で回転部材14に固定された、同一形状の1対のキャビティ側金型16a,16bと、1次コア側金型10を支持する可動盤18および2次コア側金型12を支持する可動盤20と、を備えている。1次コア側金型10および2次コア側金型12は、いわゆる可動型であり、キャビティ側金型16a,16bは、いわゆる固定型である。
可動盤18は、回転部材14に対してX軸方向に移動し得るようになっており、また、可動盤20は、回転部材14に対してX軸方向に移動し得るようになっている。なお、図1乃至図4においては、これらの相対移動の方向を矢印で示している。
図1(a)に示すように、金型装置100は、型締めにより当接した1次コア側金型10とキャビティ側金型16aとの間に形成される1次空間部C1に、可動盤18に支持された加熱シリンダ22から供給される透明の樹脂材料24を射出し、1次成形品26を形成する。
次に、図1(b)に示すように、1次コア側金型10および2次コア側金型12と、一対のキャビティ側金型16a,16bとを型開きする。このとき、1次成形品26は、1次空間部C1に射出された樹脂材料24の収縮作用によって1次コア側金型10に貼り付こうとする。しかしながら、キャビティ側金型16aは、1次成形品26と係合して1次成形品26が離間しないようにする係合機構(不図示)が設けられているため、1次コア側金型10とキャビティ側金型16aとを型開きしたとき、1次成形品26はキャビティ側金型16aに保持されたまま1次コア側金型10から離脱する。
そして、この状態で、図1(b)に示すように、回転部材14をY軸回りに180°回転させる。このとき、回転部材14と共に回転するキャビティ側金型16aに保持された1次成形品26には遠心力が作用するが、1次成形品26はキャビティ側金型16aに設けられている係合機構が係合しているため、キャビティ側金型16aに保持されたままの状態が維持される。このように、本実施の形態に係るキャビティ側金型16a(16b)は、型開きされた際に1次成形品26を保持する保持型として機能する。
次に、図2(a)に示すように、1次コア側金型10および2次コア側金型12と1対のキャビティ側金型16b,16aとを型締めする。そして、この状態で、図2(a)に示すように、加熱シリンダ28から供給される有色(黒色)の樹脂材料30を、2次空間部C2における1次成形品26以外の部分に射出して2次成形品32を成形する。なお、2次空間部C2は、2次コア側金型12とキャビティ側金型16aとが組み合わされたことで形成されている。これにより、1次成形品26と2次成形品32とが一体化されてなる二色成形品34が製造される。
また、二色成形品34が製造されるとともに、1次コア側金型10とキャビティ側金型16bとが組み合わされて形成された1次空間部C1に透明の樹脂材料24が射出され、1次成形品26が形成される。
次に、図2(b)に示すように、キャビティ側金型16aに設けられた係合機構を2次空間部C2から退去させた後、1次コア側金型10および2次コア側金型12と1対のキャビティ側金型16b,16aとを型開きする。このとき、二色成形品34における1次成形品26の成形部位には係合機構が係合していないので、型開きの際、二色成形品34は2次コア側金型12に貼り付いた状態となる。そして、この状態で、図3(a)に示すように、二色成形品34を取り出す。この取り出しは、押し出しピン36によって2次コア側金型12に貼り付いた二色成形品34を押し出して、図示しない取り出し機で掴むことによって行う。
次に、図3(b)に示すように、回転部材14をY軸回りに180°回転させ、1次コア側金型10および2次コア側金型12と1対のキャビティ側金型16a,16bとを型締めする。その後は、図1(a)〜図3(a)に示す各工程を繰り返し、連続的に二色成形品34を製造する。
(未完成成形品の取り出し)
上述の金型装置100を用いて二色成形品34を製造するにあたり、所望の形状や特性の1次成形品(未完成成形品)が得られているか検査を行う場合や、1次成形品が不良品である場合には、1次成形品の状態で金型から外す必要がある。図4(a)、図4(b)は、未完成成形品を金型から外す金型装置の一例を示す模式図である。
そこで、本実施の形態に係る金型装置100は、複数の金型のうち、二色成形品になる前の未完成成形品である1次成形品26を保持するキャビティ側金型16a,16bを備えている。そして、更にキャビティ側金型16a,16bは、それぞれキャビティ側金型から1次成形品26を取り出す取り出し機構38を備える。
取り出し機構38は、突き出しピン40と、突き出しピン40の基部が固定されている可動板42と、を備えている。突き出しピン40は、キャビティ側金型16aに形成されている貫通孔44にスライド可能に挿入されている。可動板42は、外部からの油圧や駆動力の作用によって図4(a)のX方向に移動できるように構成されている。
これにより、図4(a)に示した1次成形品26が形成された後に、突き出しピン40をキャビティ側金型16aから1次コア側金型10に向けて突き出すことで、キャビティ側金型16aから1次成形品26を取り出すことができる。
また、図4(b)に示すように、1次成形品26が形成されたキャビティ側金型16aおよび1次コア側金型10とを型開きし、回転部材14をY軸回りに180°回転させてから、取り出し機構38によって1次成形品26をキャビティ側金型16aから取り出してもよい。
次に、キャビティ側金型16aやキャビティ側金型16bから1次成形品26を取り出す際に、突き出しピン40のような押圧部が1次成形品26を押圧する領域について説明する。図5(a)は、本実施の形態に係る車両用ヘッドライトの透光カバーの正面図、図5(b)は、図5(a)のA−A断面図である。なお、図5(a)では、透光カバーのうち透明樹脂からなる1次成形品26だけ図示している。また、図5(b)の符号PLが示すラインは金型のパーティングラインである。
図5(a)に示す透光カバー110は、外観から意匠として認識される意匠面R1と、透光カバーを車両用ヘッドライトのランプボディに装着する際に取付部として機能する非意匠面R2と、を有する。意匠面R2は、1次成形品26の主としてフランジ部である。
二色成形品である透光カバー110は、図5(b)に示すように、透明樹脂からなる所定形状の1次成形品26と、不透明な有色樹脂からなる2次成形品32とを有する。2次成形品32は、1次成形品26と少なくとも一部が重なるように接している。1次成形品26は、2次成形品32と積層されている積層領域の少なくとも一部において非意匠面R2を有する。
図6(a)は、本実施の形態に係る取り出し機構38の押圧部を説明するための模式図、図6(b)は、押圧部が当接した二色成形品の接触部近傍の模式図である。
前述のように、取り出し機構38は、キャビティ側金型16a(またはキャビティ側金型16b)から1次成形品26を取り出す際に、1次成形品26の一部を押圧する突き出しピン40を有している。したがって、突き出しピン40の円形の先端面40aは、1次成形品26を形成する際の1次空間部C1の内面の一部を構成する。また、突き出しピン40の先端面40aは、キャビティ側金型16aに1次成形品26が保持された状態において、1次成形品26の非意匠面R2と当接していることになる。
そのため、キャビティ側金型16aから1次成形品26を取り出さずに、そのまま2次成形品32を形成して二色成形品34を製造した場合、図6(b)に示すように、1次成形品26の非意匠面R2の一部に、先端面40aの形状に応じた円形の痕跡46が生じる場合がある。このような痕跡46は、突き出しピン40とキャビティ側金型16aとの表面段差やバリによるによって生じる輪郭等である。
しかしながら、本実施の形態に係る金型装置100は、取り出し機構38の突き出しピン40が、1次成形品26の非意匠面R2に相当する領域に当接するように構成されている。つまり、非意匠面R2は、1次成形品26を取り出すためにキャビティ側金型16aに設けられた取り出し機構38と接していた接触部としての痕跡46が形成されている。
そのため、キャビティ側金型16aに保持された1次成形品26に突き出しピン40が当接することで何らかの痕跡46が生じても、その痕跡46が非意匠面R2にあることで目立ちにくくなる。これにより、接触部の模様や形状を工夫することで、換言すれば、突き出しピン40の先端面40aの模様や形状を工夫することで、使用した金型の情報や製造ロット情報を1次成形品26や二色成形品34に残すことができる。
図7(a)〜図7(c)は、本実施の形態に係る取り出し機構の押圧部の変形例を説明するための模式図である。図8(a)は、図7(a)に示す押圧部が当接した二色成形品の接触部近傍の模式図、図8(b)は、図7(b)に示す押圧部が当接した二色成形品の接触部近傍の模式図、図8(c)は、図7(c)に示す押圧部が当接した二色成形品の接触部近傍の模式図である。
図7(a)に示す取り出し機構48は、ブロック状の先端部52が突き出しピン50の先端にネジ止めされている。これにより、図8(a)に示すように、先端部52の、1次成形品26との当接部の形状(四角形)に応じた痕跡54が1次成形品26の非意匠面R2に形成される。
図7(b)に示す取り出し機構56は、先端部58aが基部58bよりも細長い形状の突き出しピン58を備えている。これにより、図8(b)に示すように、先端部58aの、1次成形品26との当接部の形状(細長くて小さい四角形)に応じた痕跡60が1次成形品26の非意匠面R2に形成される。このように痕跡60を小さくすることで、更に目立ちにくくできる。
図7(c)に示す取り出し機構62は、押圧部として二重管からなる突き出しピン64を有する。突き出しピン64は、固定板66に一方の端部が固定された内管64aと、可動板42に一方の端部が固定された外筒64bとで構成されている。そして、可動板42が図の右方向に移動することで、外筒64bが1次成形品26の非意匠面R2の一部を押圧し、二色成形品34がキャビティ側金型16aから取り外される。これにより、図8(c)に示すように、突き出しピン64の外筒64bの形状(リング形状)に応じた痕跡68が1次成形品26の非意匠面R2に形成される。
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
C1 1次空間部、 R1 意匠面、 C2 2次空間部、 R2 非意匠面、 10 1次コア側金型、 12 2次コア側金型、 14 回転部材、 16a,16b キャビティ側金型、 24 樹脂材料、 26 1次成形品、 30 樹脂材料、 32 2次成形品、 34 二色成形品、 38 取り出し機構、 40 突き出しピン、 40a 先端面、 42 可動板、 44 貫通孔、 46 痕跡、 100 金型装置、 110 透光カバー。

Claims (3)

  1. 射出成形によって二色成形品を製造する金型装置であって、
    1次コア側金型と、
    2次コア側金型と、
    前記1次コア側金型および前記2次コア側金型の間に配置され、回転可能に構成された回転部材と、
    前記回転部材に背中合わせの状態で固定された同一形状の一対のキャビティ側金型と、
    色成形品になる前の未完成成形品を保持する前記キャビティ側金型に設けられ、該キャビティ側金型から未完成成形品を取り出す取り出し機構と、
    を備える金型装置。
  2. 前記キャビティ側金型は、固定型であり、
    前記2次コア側金型は、貼り付いた状態の二色成形品を取り出す押し出しピンを有することを特徴とする請求項1に記載の金型装置。
  3. 前記取り出し機構は、前記キャビティ側金型から前記未完成成形品を取り出す際に、該未完成成形品の一部を押圧する押圧部を有し、
    前記押圧部は、前記キャビティ側金型に前記未完成成形品が保持された状態において、該未完成成形品の非意匠面と当接することを特徴とする請求項1または2に記載の金型装置。
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