JP6837653B2 - 多流体処理器 - Google Patents

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Description

本発明は、多流体処理器に関する。更に詳しくは、本発明の多流体処理器は、複数の流体を良好に連続処理することができる。また、本発明の多流体処理器は、原料流体の配合比を容易に調節することができる。更に、本発明の多流体処理器は、簡単にスケールアップが可能であり、スケールアップする場合にも全体がコンパクトである。
従来、様々な分野において複数の流体を処理して処理物(製品)を得ることが行われている。例えば、乳化装置は、複数の流体(水と油)を処理して製品(乳化物)を得るための装置である(特許文献1参照)。
特開2003−311137号公報
複数の流体を処理する操作として、乳化(分散)の他に、混合(分散)、反応、分散、複合化などがあるが、これらの処理は、各処理に対応した装置がそれぞれ用いられる。例えば、乳化処理であれば、特許文献1に記載の装置やホモジナイザーなどの乳化装置が用いられ、混合(分散)や乳化(分散)の処理では、インラインミキサー、スタティックミキサーなどの装置が用いられ、反応処理であれば、例えば、小径のノズルやバイブレーターを用いた反応装置(微粒子状の合成樹脂を生成する固化反応装置など)が用いられる。なお、本明細書において「処理」とは、乳化(分散)、混合(分散)、反応、分散、複合化などの様々な処理をいう。
従来、上記各処理を行う装置としては、それぞれの処理に対応した個別の装置、または、1つの装置で上記の2つ以上の処理を行うことができるバッチ式(回分式)の装置だけであった。つまり、連続処理で上記の2つ以上の処理を良好に行うことができる(即ち、各処理に対応した装置が兼ね備える性能と同程度以上の性能を有する)装置は無かった。
また、様々な分野において新しい製品を開発する際には、まず、少量の試験品を生産してその性能を確認した後、生産量を上げて製品を生産する段階へと移行されることが通常である。また、新しい製品の開発時に限らず、既存の製品の生産量を上げたい場合もある。このように適宜スケールアップをする場合がある。
そして、スケールアップをする際には、通常、製造装置の大型化などに伴い、製造条件などを再度見直し、適切な条件を設定する必要があり、スケールアップをする際の課題となっている。
即ち、例えば、代表的なエマルジョン製造装置である真空乳化装置は、通常、研究開発用としての5L程度の容量の装置、小型試作用としての50〜100Lの装置、生産用としての500〜1000Lの装置のように順次運転条件を確認してスケールアップする必要がある。
以上のような問題があるため、複数の流体を良好に連続処理することができ、また、連続式である特長を生かして原料流体の配合比を容易に調節することができ、更に、簡単にスケールアップが可能であり、スケールアップする場合にも全体がコンパクトである多流体処理器の開発が切望されている。
本発明の課題は、1つの装置によって、複数の流体を良好に連続処理することができ、また、連続式である特長を生かして原料流体の配合比を容易に調節することができ、更に、簡単にスケールアップが可能であり、スケールアップする場合にも装置が大型化し難い(即ち、スケールアップしても全体がコンパクトである)多流体処理器を提供することにある。
[1] 2以上の原料流体を合わせて処理物を得る多流体処理器であり、前記原料流体及び前記処理物が流れる流路が形成された多流体処理本体と、前記多流体処理本体の前記流路の途中に配置され、前記流路を流体が流れる際に振動する振動体と、を備え、前記多流体処理本体の前記流路は、一の原料流体を流入させる流入口及び前記処理物が流出する流出口を有する貫通流路と、前記貫通流路から枝分かれした少なくとも1本の枝分れ流路と、からなり、前記振動体は、前記貫通流路を塞ぐように配置され、前記多流体処理本体には、前記原料流体及び前記処理物が流れる前記流路とは別に当該流路に連通する貫通孔が形成され、前記貫通孔には、前記原料流体及び前記処理物が流れず、前記貫通孔には、固定ボルトが挿入され、前記固定ボルトの先端には、前記振動体が前記流路中の前記流体の流れに対抗するように前記振動体を付勢する付勢部材が配置されている、多流体処理器。
[2] 前記枝分れ流路の少なくとも1本は、前記振動体の位置から枝分かれするものである前記[1]に記載の多流体処理器。
[3] 前記枝分れ流路の少なくとも1本は、少なくとも一部が前記振動体の上流の前記貫通流路内に挿通されて延びるものである前記[1]または[2]に記載の多流体処理器。
[4] 前記枝分れ流路の少なくとも1本は、少なくとも一部が前記振動体の上流の前記貫通流路内に挿通されて、前記振動体まで延びるものである前記[3]に記載の多流体処理器。
[5] 前記枝分れ流路の少なくとも1本は、前記振動体の上流の途中で枝分れするものである前記[1]〜[4]のいずれかに記載の多流体処理器。
[6] 前記振動体の上流に予備振動部を更に備える前記[1]〜[5]のいずれかに記載の多流体処理器。
[7] 前記枝分れ流路の少なくとも1本は、少なくとも一部が前記振動体の上流の前記貫通流路内に挿通されて、前記予備振動部まで延びるものである前記[6]に記載の多流体処理器。
] 前記振動体は、曲面を有する部材である前記[1]〜[]のいずれかに記載の多流体処理器。
本発明の多流体処理器は、流路を流体が流れる際に振動する振動体を備え、この振動体が貫通流路を塞ぐように配置されている構造である。このような構造を備えるため、本発明の多流体処理器は、複数の流体を良好に連続処理することができる。また、本発明の多流体処理器は、連続式である特長を生かして原料流体の配合比を容易に調節することができる。また、本発明の多流体処理器は、様々な用途に用いることができる。更に、本発明の多流体処理器は、振動体の数を並列に増やすこと(ナンバリングアップ)によって簡単にスケールアップが可能である。スケールアップする場合にも装置が大型化し難い(即ち、スケールアップしても全体がコンパクトである)。
本発明の多流体処理器の一の実施形態を模式的に示す、多流体処理器の垂直断面図であり、流路の一部を透視した図である。 図1のA−A’断面を模式的に示す断面図である。 本発明の多流体処理器の他の実施形態において図1中に示す領域P1に対応する領域を拡大した状態を模式的に示す説明図である。 本発明の多流体処理器の更に他の実施形態において図1中に示す領域P1に対応する領域を拡大した状態を模式的に示す説明図である。 本発明の多流体処理器の更に他の実施形態を模式的に示す、多流体処理器の垂直断面図であり、流路の一部を透視した図である。 図5のB−B’断面を模式的に示す断面図である。 本発明の多流体処理器の更に他の実施形態を模式的に示す、多流体処理器の垂直断面図であり、流路の一部を透視した図である。 本発明の多流体処理器の更に他の実施形態を模式的に示す、多流体処理器の垂直断面図であり、流路の一部を透視した図である。 本発明の多流体処理器の更に他の実施形態を模式的に示す、多流体処理器の垂直断面図であり、流路の一部を透視した図である。 本発明の多流体処理器の更に他の実施形態を模式的に示す、多流体処理器の垂直断面図であり、流路の一部を透視した図である。 本発明の多流体処理器の更に他の実施形態を模式的に示す、多流体処理器の垂直断面図であり、流路の一部を透視した図である。 本発明の多流体処理器の更に他の実施形態を模式的に示す、多流体処理器の垂直断面図であり、流路の一部を透視した図である。 図12のC−C’断面を模式的に示す断面図である。 本発明の多流体処理器を用いた処理操作を模式的に示す、説明図である。 実施例1及び比較例1における粒子径分布測定の結果を示すグラフである。 実施例2における粒子径分布測定の結果を示すグラフである。 実施例3における粒子径分布測定の結果を示すグラフである。
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではない。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、当業者の通常の知識に基づいて、以下の実施の形態に対し適宜変更、改良等が加えられたものも本発明の範囲に入ることが理解されるべきである。
(1)多流体処理器:
本発明の多流体処理器の一の実施形態は、図1、図2に示す多流体処理器100である。この多流体処理器100は、2以上の原料流体を合わせて処理物を得る多流体処理器である。そして、多流体処理器100は、原料流体及び処理物が流れる流路15が形成された多流体処理本体10と、この多流体処理本体10の流路15の途中に配置され、流路15を流体が流れる際に振動する振動体25と、を備えている。また、多流体処理本体10の流路15は、一の原料流体を流入させる流入口11a及び処理物が流出する流出口11bを有する貫通流路11と、この貫通流路11から枝分かれした少なくとも1本の枝分れ流路12と、からなっている。そして、振動体25は、貫通流路11を塞ぐように配置されている。なお、多流体処理器100は、通過孔21が形成された流体通過部材20を有している。また、図1、図2中、流体の流れる方向を矢印Fとして示している。ここで、図1、図5、図7〜図12は、流路を透視した状態の図である。別言すれば、多流体処理本体10をその厚さ方向に切断するとともに、更に貫通流路11の出口側の一部(多流体処理本体10から突出した部分)をその延びる方向に切断して、内部を露出させた状態を示す図である。なお、図8、図11、図12では、更に予備振動部37も流路が貫通する方向に切断され、内部を通る流路が露出した状態を示している。
この多流体処理器100は、流路15を流体が流れる際に振動する振動体25によって、貫通流路11中の流体に対して、複雑流れ場を与える。即ち、振動体25が振動して、流路15の間隙が連続的に変化すると、この連続的に変化する流路内を流体が通過する際に、当該流体に複雑流れ場が与えられる。このように本発明は、振動体が流路を塞ぐように配置され、この振動体が、流体が流れる際に振動することで、流路と振動体との隙間を流れる流体に複雑流れ場を与え、複数の流体を良好に連続処理することができる。例えば、乳化処理であれば、従来の乳化分散器を用いて乳化処理を行った場合と同様のレベルで処理を行うことができ(従来の乳化装置が兼ね備える性能と同程度以上の性能を有し)、従来と同程度の粒子径の微粒子を含む処理物を得ることができる。特に、乳化処理の場合、貫通流路と枝分れ流路の各流路が形成されているため、事前の混合処理が不要になり、処理の手間が軽減される。また、事前の混合処理が不要になるため、乳化処理全体の処理時間を短縮できる。更に、本発明の多流体処理器は、原料流体が、微粒子を含む場合や懸濁液の場合には分散器として用いることができる。このような原料流体を処理するための分散器として用いる場合には、上述の乳化処理と同様に流体に複雑流れ場が与えられることで、ナノオーダーやマイクロオーダーの微粒子を含む処理物が得られる。更に、混合後、直ちに分散させることが重要である処理の場合には、混合後、直ちに分散させることができる。このように、本発明の多流体処理器は、複数の流体を良好に連続処理することができる。
更に、本発明の多流体処理器は、流路に供給する原料流体の供給量及び温度をそれぞれ適宜調節することができるので、原料流体の配合比を容易に調節することができる。
「複雑流れ場」とは、収縮流、せん断流、伸長流等の混在した流れが生じている場を意味する。
ミクロンオーダーの非常に狭い隙間に流体が流れると、複雑流れ場が生じる。そして、この複雑流れ場では、収縮流、せん断流、伸長流等の混在した流れが生じているため、流体に様々な方向に力が加わることになる。そのため、複雑流れ場に処理対象液(処理物の前段階のもの)を供給すると、流体の処理が促進される。しかし、ミクロンオーダーの非常に狭い隙間が形成された装置は、作製が容易ではない。
そこで、本発明においては、流路を塞ぐように配置され且つ流体が流れる際に振動する振動体を用いることにより、流路と振動体との隙間を流れる流体に複雑流れ場を与えるようにしている。「流路を塞ぐように配置され」とは、流路と振動体との隙間を流れる流体に複雑流れ場を与えるように、振動体が流路の全部または一部を塞いでいることを意味する。
また、本発明の多流体処理器は、振動体の数を並列に増やすこと(ナンバリングアップ)によって簡単にスケールアップが可能である。また、振動体の数を増やすだけであるのでスケールアップする場合にも装置が大型化し難い。即ち、本発明の多流体処理器は、スケールアップしても全体がコンパクトである。
乳化処理の場合、真空乳化装置と比較すると、短時間(ほとんど瞬間的)・連続処理であるので、消費エネルギーが小さく、また、装置が小型であり、更に分解洗浄が容易であるという利点がある。一方、真空乳化装置は、処理に長時間を要し、真空・バッチ処理なので消費エネルギーが大きく、装置が大型であり分解洗浄が手間である。
また、従来、多流体(複数の流体)を処理する装置では、ボールミル、ビーズミルなどの粉砕メディアを用いることがあるが、ボールミル、ビーズミルなどの粉砕メディアを用いると、粉砕メディア同士等が接触して粉砕メディアの磨耗が生じ、摩耗により生じた粉砕片が原料に混入するという、コンタミネーション(異物混入)の問題が生じることがある。本発明の多流体処理器によれば、振動体を動かす力が、従来のボールミル、ビーズミル等の粉砕メディアを動かす力に比べて極々小さいため、振動体の摩耗によるコンタミネーションを回避することができ、ほとんどコンタミネーションの無い処理が可能である。
また、本発明の多流体処理器は、様々な用途に用いることができるものである。ここで、各処理に対応した装置をそれぞれ備えることは費用面において容易でなく、また、設置場所も必要となる。一方で、本発明の多流体処理器であれば、様々な用途に用いることが可能であることにより、費用面や設置場所の問題を解消することができる。本発明の多流体処理器の具体的な用途としては、例えば、複数の流体(原料流体)について、乳化(分散)、混合(分散)、反応、分散、複合化などのうちの少なくとも1つの処理が必要な場合における処理用途が挙げられる。
なお、本明細書において「原料流体」は、固体、液体、気体、及びこれらの混合物のいずれであってもよく、流路中を流れる物質を流体と称している。つまり、微粒子が分散された液体を一の原料流体とし、更に別の液体を他の原料流体として本発明の多流体処理器に供給して処理することもできる。また、原料流体としては、所定の用途における原料となる流体のことであり、例えば、乳化処理であれば、水などの水性成分、油などの油成分、界面活性剤などの添加剤成分などを挙げることができ、これらに限定されるものではない。また、反応処理であれば、互いに接触することで化学反応を起こす化合物などを挙げることができる。なお、「処理物」は、乳化処理の場合には乳化物のことであり、反応処理の場合には反応物のことである。
(1−1)振動体:
振動体25は、多流体処理本体10の流路15の途中に配置され、流路15を流体が流れる際に振動するものである。この振動体25は、流路15を塞ぐように配置されている。このような振動体25を備えることによって、流体に複雑流れ場が与えられ、処理物が得られる。なお、本発明の多流体処理器は、上記振動体を備えるという簡単な構成であるため、清掃などの作業が容易である。振動体は、流路を流体が流れる際に振動することで流体に複雑流れ場を与えるものである。その結果として、上述したように良好な処理を行うことができる。
図3及び図4は、振動体25が流路15を塞ぐように配置されている状態を示している。図3及び図4は、図1中に示す領域P1に対応する位置を拡大して模式的に示す、多流体処理器の流路の一部を透視した図である。
振動体25は、流路15の開口の全部を塞ぐようにこの開口に近づいたり、当該開口から遠ざかったりする。この振動体25が流路15の開口に近づいたとき、振動体25は、当該開口の全部に接してこの開口を塞いでもよいし、また、当該開口の全部に接しなくてもよい。なお、振動体25が上下に振動する度に、上記開口の全部に接してこの開口を塞いでもよいし、不定期または定期的に当該開口に接してこの開口を塞ぐようにしてもよい。即ち、主として、振動体25が上記開口の全部を塞ぐようにこの開口に近づいたり、遠ざかったりすることにより、複雑流れ場が生じる。
そして、振動体は、曲面を有する部材であることが好ましく、この振動体の形状は、特に制限はないが、具体的には、球、楕円体、円錐、円錐台などの粒状を挙げることができる。これらの中でも、球状であることが好ましい。球状の振動体であると、流路を流体が流れる際にこの振動体が三次元的に振動する(主として、上下方向の振動であるが前後左右斜め方向に振動する)。
振動体は、振動体そのものがバイブレーター等で構成されていてもよいし、バイブレーター等による振動が振動体に伝播し、振動するように構成されたものであってもよい。また、原料流体を、本実施形態の多流体処理器に送液する際に、脈動が発生する送液ポンプを用いてもよく、送液ポンプの脈動が、振動体に伝播し、振動体が振動するように構成されたものであってもよい。
振動体の材質については、原料流体に対して十分な耐食性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、セラミックス、鉄、ステンレス、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、アクリル樹脂等が好ましい。
(1−2)予備振動部:
多流体処理器100は、振動体25の上流に、予備振動部37を更に備えることが好ましい。予備振動部を設けることで、流速を変化させ、混合、分散等を予備的に行うことができる。
予備振動部37は、流体の勢いによって流路の内表面に押し付けられるように配置されることができる。そして、この予備振動部37と流路15との間には、リング状の部材であるリング部材38が配置されている。このリング部材38には、流体が流れる貫通孔などが形成されている。
予備振動部37の材質については、振動体25と同様のものを採用することができる。即ち、原料流体に対して十分な耐食性を有するものであれば、特に限定されるものではなく、例えば、セラミックス、鉄、ステンレス、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)、アクリル樹脂等が好ましい。
予備振動部37の形状は、特に制限はないが、振動体の形状と同様の形状を採用することができる。例えば、球、楕円体、円錐、円錐台などを挙げることができる。
(1−3)多流体処理本体:
多流体処理本体10は、その内部に、原料流体及び処理物が流れる流路が形成されている。そして、この流路には、貫通流路と枝分れ流路とがある。貫通流路は、一の原料流体を流入させる流入口及び処理物が流出する流出口を有している。そして、枝分れ流路は、貫通流路から枝分かれした少なくとも1本の流路である。
このように貫通流路と枝分れ流路とが形成されているため、多流体処理本体10に2以上の原料流体を供給し、これらを合わせて処理物として得ることができる。本発明の多流体処理器は、上記のように流路が形成されている構造であるため、連続して処理物を得ることができる。つまり、例えば、特許文献1に記載の装置のように、バッチ式のものである場合、全ての処理が終わるまでは処理物の状態(即ち、処理条件の良し悪し)を判断できないが、本発明のように連続して処理物を得ることができると、処理条件の改良を直ちに行うことができる。
貫通流路は、流入口から流出口まで連なる単一の流路であってもよいし、その途中で分岐し、再び合流するような構造とすることもできる。
なお、貫通流路と枝分れ流路に供給する原料流体は、特に制限はない。例えば、乳化処理をする場合には、2以上の原料流体は、水と油になる。これらの原料流体は、それぞれ、貫通流路と枝分れ流路のいずれに供給してもよいことは勿論である。
貫通流路は、振動体に対してどのような方向に延びていても良いが、振動体の上方に延びることがよい。即ち、少なくとも一つの原料流体は、振動体の上方から当該振動体に供給されることが好ましい。ここで、「上方に延びている」とは、振動体よりも上に向かって流路が延びていることを意味し、鉛直方向に延びるようにすることでもよい。このように貫通流路を形成することにより、流路と振動体との隙間において複雑流れ場を生じさせ易くなる。
枝分れ流路は、貫通流路から枝分かれした流路であり、貫通流路側に流体の出口があり多流体処理本体に流体の入口がある。この枝分れ流路は、少なくとも1本形成されていればよく、その数に特に制限はない。また、枝分れ流路は、どの方向に延びていても良い。
枝分れ流路が1本形成されている場合について以下に説明する。なお、以下の場合に限られない。
枝分れ流路は、振動体の位置から枝分かれするものがあることが好ましい。この場合、枝分れ流路は、振動体の上方に延びてもよいし、振動体の側方に延びてもよい。「振動体の位置から枝分かれする」とは、図1のように、多流体処理器を側方から流路を透視して見たときに、振動体を始点として流路が枝分れしていることを意味する。
図1に示す多流体処理器100は、貫通流路11が振動体25の上方に延びており、更に、振動体25の位置からその側方に枝分かれする1本の枝分れ流路12が形成されている例を示している。
多流体処理器100においては、第1原料流体61が振動体25と流路15との間を通ることで複雑流れ場の影響を受けて分散し、その後、第1原料流体61と第2原料流体63とが混合することになる。
枝分れ流路は、振動体の位置から枝分かれするものではなく、振動体の上流の途中で枝分れするものであってもよい。この場合、枝分れ流路の延びる方向は特に制限はない。
図5に示す多流体処理器101は、振動体25の上流の途中で枝分れしている1本の枝分れ流路12が形成されている例を示している。
多流体処理器101においては、第1原料流体61と第2原料流体63とが振動体25の上流で合流して混合され、その後、下流に流れたところで振動体25と流路15との間を通って複雑流れ場の影響を受けて分散することになる。
なお、図6は、図5のB−B’断面を模式的に示す断面図である。
また、枝分れ流路は、少なくとも一部が振動体の上流の貫通流路内に挿通されて延びるものとすることができる。
図8に示す多流体処理器103は、貫通流路11が振動体25の上方に延びており、更に、一部が振動体25の上流の貫通流路11内に挿通されて振動体25まで鉛直方向に延びる1本の枝分れ流路12が形成されている例を示している。
多流体処理器103においては、第1原料流体61と第2原料流体63とが振動体25の直前で合流して混合され、その後直ちに振動体25と流路15との間を通ることで複雑流れ場の影響を受けて分散することになる。このように、多流体処理器103では、振動体25の直前で第1原料流体61と第2原料流体63とが合流するため、多流体処理器103は、混合後、直ちに分散させることが重要である処理(例えば、反応処理)を行う場合に採用することができる。
図7に示す多流体処理器102は、貫通流路11が振動体25の上方に延びており、一部が振動体25の上流の貫通流路11内に挿通されて予備振動部37まで鉛直方向に延びる1本の枝分れ流路12が形成されている例を示している。
多流体処理器102においては、第1原料流体61と第2原料流体63とが予備振動部37の直前で合流して混合され、その後直ちに予備振動部37において処理され、その後、振動体25と流路15との間を通ることで複雑流れ場の影響を受けて分散することになる。このように、多流体処理器102では、第1原料流体61と第2原料流体63とが合流した後、直ちに予備振動部37において処理される。そして、予備振動部37において一旦処理された流体が振動体25によって処理されることになる。
次に、枝分れ流路が2本形成されている場合について以下に説明する。なお、以下の場合に限られない。
図9に示す多流体処理器104は、貫通流路11が振動体25の上方に延びており、更に、一方の枝分れ流路12が、振動体25の位置からその側方(水平方向)に枝分かれしており、他方の枝分れ流路12が振動体25の上流の途中で枝分れしている例を示している。
多流体処理器104においては、第1原料流体61と第3原料流体65とが振動体25の上流で合流して混合され、その後、下流に流れたところで振動体25と流路15との間を通って複雑流れ場の影響を受けて分散する。そして、更に、複雑流れ場の影響を受けて分散した流体(第1原料流体61と第3原料流体65の混合物)と、第2原料流体63とが合流することになる。
図10に示す多流体処理器105は、貫通流路11が振動体25の上方に延びており、一部が振動体25の上流の貫通流路11内に挿通されて予備振動部37まで鉛直方向に延びる第1の枝分れ流路12が形成されるとともに、振動体25の位置からその側方(水平方向)に枝分かれしている第2の枝分れ流路12が形成されている例を示している。
多流体処理器105においては、第1原料流体61と第3原料流体65とが予備振動部37の直前で合流して混合され、その後直ちに予備振動部37において処理され、その後、振動体25と流路15との間を通ることで複雑流れ場の影響を受けて分散する。そして、更に、複雑流れ場の影響を受けて分散した流体(第1原料流体61と第3原料流体65の混合物)と、第2原料流体63とが混合されることになる。
図11に示す多流体処理器106は、貫通流路11が振動体25の上方に延びており、一部が振動体25の上流の貫通流路11内に挿通されて振動体25まで鉛直方向に延びる第1の枝分れ流路12が形成されるとともに、振動体25の位置からその側方(水平方向)に枝分かれしている第2の枝分れ流路12が形成されている例を示している。
多流体処理器106においては、第1原料流体61と第3原料流体65とが振動体25の直前で合流して混合され、その後直ちに振動体25と流路15との間を通ることで複雑流れ場の影響を受けて分散する。そして、更に、複雑流れ場の影響を受けて分散した流体(第1原料流体61と第3原料流体65の混合物)と、第2原料流体63とが混合されることになる。
このように、本発明では、各態様の多流体処理器を適宜採用することにより、各流体を接触させるタイミングの調節などを行うことができる。
なお、上述したように、枝分れ流路の形成本数は、特に制限はなく上記の場合に限られない。
また、振動体を通過した後に合流する第3原料流体を循環させてもよい。このようにすると、成分の濃度を調整することができる。つまり、第1原料流体及び第2原料流体の濃度を、第3原料流体を循環させることで徐々に濃くすることができる。
貫通流路と枝分れ流路は、それぞれ、同じ開口面積であってもよいし、異なる開口面積であってもよい。なお、上記「開口面積」は、各流路の開口の面積を意味するものとする。
複数の流体の供給量は、それぞれ同じとしてもよいし、異ならせてもよい。
(1−4)流体通過部材:
本発明の多流体処理器は、流路15の一部を構成する少なくとも1つの通過孔21が区画形成された流体通過部材20を更に備えていてもよい。このような流体通過部材に形成される通過孔は、1つであってもよいし、複数であってもよい。この通過孔を複数備えることにより、処理物の生産量を簡単に更に増やすことができる(即ち、より簡単にスケールアップをすることができる)。
図1に示す多流体処理器100は、流体通過部材(ディスパージョンプレート)20に1つの通過孔21が区画形成されており、流路15は1つの球状の振動体25を備えている。そして、多流体処理器100は、下部ケーシング31と、この下部ケーシング31の上方に載置される上部ケーシング33とからなるケーシング本体30を備え、下部ケーシング31と上部ケーシング33との間には流体通過部材20が配置されている。なお、流体通過部材に複数の通過孔が形成される場合、通過孔は、流体通過部材を上方から見たとき、その中心と各通過孔とを結ぶ直線のなす角度(時計回りに隣り合う上記直線のなす角度)が均等となるように配置されることがよい。下部ケーシング31と上部ケーシング33との間には流路15が形成された中間のケーシング(中間ケーシング)を更に配置することができる。これにより、枝分れする流路を容易に増やすことなどもできる(図9、図10など参照)。
下部ケーシング31には、流体通過部材20の1つの通過孔21に対応する位置に1つの貫通孔32が形成されており、この貫通孔32内には、貫通孔32と嵌り合い且つ貫通孔32の延びる方向に自在に可動し得るボールホルダー35が配置されている。ボールホルダー35は、一方の面側に振動体25を保持する凹みが形成されている。
流体通過部材は、通過孔の開口面積が小である第一の面と、通過孔の開口面積が第一の面における通過孔の開口面積よりも大である第二の面と、を有し、流体通過部材の第二の面側が、振動体が設けられた側に位置するように配設されることがよい。このように流体通過部材を配置すると、振動体と開口部の位置関係が自動的に最適な位置に調整される。
本実施形態の多流体処理器においては、流体通過部材の第一の面から第二の面に向かう方向の少なくとも一部において、通過孔の開口面積が漸増することが好ましい。このように構成することにより、振動体を安定して振動させることができる。
なお、流体通過部材の第一の面から第二の面に向かう方向の少なくとも一部において、通過孔の開口面積が漸増するように区画形成された通過孔の形状を、「オリフィス状」ということがある。
通過孔の形状は、「オリフィス−逆オリフィス状」に区画形成されていてもよい。「オリフィス−逆オリフィス状」とは、処理物通過板における第一の面から第二の面に向かう方向の一部において、通過孔の開口面積が漸減し、且つ、第一の面から第二の面に向かう方向の一部において、通過孔の開口面積が漸増する形状を指す。なお、例えば、通過孔の流入口側及び流出口側の内側面は、段部状であってもよい。
なお、多流体処理器100の運転開始前(振動体を振動させる前)における振動体25とオリフィス状の通過孔21(内側面21a)との位置は、特に制限はない。
2つ以上の通過孔が形成される場合、それらの形状はそれぞれ異なっていてもよいし、全て同じでもよいが、製造上の容易さ等の観点からすべて同じであることが好ましい。また、振動体の形状、及び数は、特に制限はない。
本発明の多流体処理器は、流体通過部材を更に備えることによって、より簡単に通過孔の数を増やすことでスケールアップすること(ラボスケールからプラントスケールへスケールアップすること)ができる。つまり、本発明の多流体処理器は、通過孔が、1個、10個、100個などのように様々であっても、得られる処理物の質に差が無いため、スケールアップのリスクが生じ難くなる。ここで、機器のスケールアップは、産業用機械にとって大きな問題である。例えば、代表的なエマルジョン製造装置である真空乳化装置は、研究開発用としての5L程度の容量の装置、小型試作用としての50〜100Lの装置、生産用としての500〜1000Lの装置のように順次運転条件を確認してスケールアップする必要がある。しかし、本発明の多流体処理器は、上記のようなスケールアップの手順を省略することができ、通過孔の数が1個の研究開発用の装置から通過孔の数が100個の生産用の装置に直接的にスケールアップすることができる。
図12は、4つの通過孔21が形成された流体通過部材20を更に備える多流体処理器200を示している例である。流体通過部材20に形成された4つの通過孔21は、流体通過部材20を上方から見たとき、その中心と各通過孔21とを結ぶ直線のなす角度(時計回りに隣り合う上記直線のなす角度)が90度となるように配置されている(図13参照)。
図12に示す多流体処理器200は、通過孔21が複数形成された流体通過部材20と、複数の振動体25と、を有する構造であるため、例えば、振動体が1つである図1に示す多流体処理器100に比べて処理可能な量が多くなる。このとき、図12に示す多流体処理器200は、上述の通り、スケールアップのリスクが生じ難い。
通過孔の形状は、流体の流れる方向に垂直な断面の形状を円形とすることができる。この場合には、通過孔の開口部の直径を2〜20mmとすることができる。通過孔の開口部の直径が小さすぎると、流体が通過孔を通過しにくくなり、流体の処理可能な量が少なくなることがある。また、通過孔の開口部の直径が大きすぎると、振動体も大きくする必要がある。その結果、多流体処理器全体が大型化してしまうことがある。なお、通過孔の開口部の形状が円形でない場合には、水力直径に換算して開口部の直径を決定する。「通過孔の形状」は、通過孔の開口部において流体の流れる方向に垂直な断面の形状をいう。
多流体処理器100は、流体通過部材20に区画形成された一の通過孔21の上流側の開口面積について特に制限はない。ただし、流体通過部材が加工し易くなるという観点から、通過孔の上流側の開口面積は3.14mm(直径2mm)以上であることが好ましい。
流路を流れる流体の速度は、全流路中で、振動体と流路の隙間を流れるときが最も速くなる(流体の流速は最高速度となる)。流体が上記間隙を通過する際の速度は、例えば、10〜80m/秒とすることができる。流体が上記間隙を通過する際の速度が速い方が、処理の度合を高めることができる。流体が上記間隙を通過する際の速度が10m/秒よりも遅いと、処理の度合が低くなることがある。流体が上記間隙を通過する際の速度が80m/秒よりも速いと、流体を送液するために必要な圧力が高くなり、高圧での送液が可能な送液ポンプを入手することは難しい場合がある。流体が間隙を通過する際の速度は、例えば、以下のようにして求めることができる。
まず、多流体処理器の流入口における送液圧力を、ブルドン管式の圧力ゲージを用いて測定する。その後、測定された送液圧力を用いて、ベルヌーイの式より、流体の速度を求める。そして、この速度を、流体が間隙を「通過する際」の速度とする。
本発明の多流体処理器が、予備振動部を更に備える場合には、流体通過部材は以下のように構成されていることが好ましい。流体通過部材は、流路の上流側の面である第一の面と、流路の下流側の面である第二の面とを有する。流体通過部材における、「第一の面の通過孔の開口面積」よりも、第一の面から第二の面に向かう方向の一部において、通過孔の開口面積が段階的に小さくなり、且つ、第一の面から第二の面に向かう方向の一部において、通過孔の開口面積が段階的に大きくなっていてもよい。また、第一の面の通過孔の開口面積と、第二の面の通過孔の開口面積は同じであっても異なっていてもよい。また、通過孔の形状は、「オリフィス−逆オリフィス状」に区画形成されていてもよい。「オリフィス−逆オリフィス状」とは、流体通過部材における第一の面から第二の面に向かう方向の一部において、通過孔の開口面積が漸減し、且つ、第一の面から第二の面に向かう方向の一部において、通過孔の開口面積が漸増する形状を指す。
通過孔が、「「オリフィス−逆オリフィス状」に区画形成されている」場合、別言すれば、「漏斗−逆漏斗状に区画形成されている」、又は、「逆円錐台−円錐台状に区画形成されている」場合には、多流体処理器は、以下のように構成することもできる。即ち、通過孔の内側面のうち、オリフィス状に区画形成されている部分(即ち、漏斗状に区画形成されている部分、又は、逆円錐台状に区画形成されている部分)に、溝を形成することもできる。例えば、通過孔の内側面には、オリフィス状に区画形成されている部分(即ち、漏斗状に区画形成されている部分、又は、逆円錐台状に区画形成されている部分)の母線となるような溝を複数形成してもよい。
(1−5)付勢部材:
本発明の多流体処理器は、流路中の流体の流れに対抗するように、振動体を付勢する付勢部材を備えることが好ましい。この付勢部材を備えることにより、振動体と流路の隙間を適切に調節することができ、流体に更に良好に複雑流れ場を与えることができる。
図1に示す多流体処理器100は、流路15中の流体の流れに対抗するように、振動体25を付勢する付勢部材41を備えている。この付勢部材41は、流路15中の流体の流れに対抗するように、振動体25を付勢する限りその構成は特に制限はないが、例えば、バネなどを用いることができる。図1に示す多流体処理器100は、バネ43上にボールホルダー35を備えており、このボールホルダー35を介して振動体25にバネ43の付勢力が加えられている。
上記のような構成を採用することにより、振動体25に対してその上方から外力が加わると、振動体25は、ボールホルダー35とともに下方に押し下げられる。一方で、ボールホルダー35は、バネ43から押し戻される力(上方からの外力とは反対の力)を受ける。そのため、振動体25に加えられる外力の強さが随時変化することによって、振動体25が振動する。即ち、多流体処理器100は、ボールホルダー35及び振動体25が、バネ43によって保持されつつ、送液される原料流体の脈動(送液ポンプに起因する脈動)によって振動体25が上下に振動する。
なお、多流体処理器100は、バネ43からなる付勢部材41を備え、このバネ43は、下部ケーシング31に形成された貫通孔32に挿入された固定ボルト45の先端に載置されている。この固定ボルト45の先端の位置は、ナット47の位置を調節することにより決定することができる。このように固定ボルト45の先端の位置を調節することで、振動体25と通過孔21の内側面21aとの位置関係を簡単に調整することができる。
バネ(付勢部材)により振動体を支えているため、数十ミクロンの固形物が流れてきても振動体が動き、流路が詰まることなく運転できる。即ち、狭い流路を有した流体処理装置で生じることがある「詰まり」の問題が本発明の多流体処理器では生じ難い。
(1−6)その他の構成:
図14は、本発明の多流体処理器を用いた処理を模式的に示す、説明図である。
図14に示すように、多流体処理器100における、貫通流路11の流入口の前段には、複数の原料流体を貯留する複数の貯留槽51を設け、当該貯留槽51と多流体処理器104とを、送液管23で接続すると共に、貫通流路11の流入口側に原料流体を供給する送液ポンプ24等を接続してもよい。
また、貯留槽51と貫通流路11の流入口との間に原料流体を撹拌する、処理物撹拌槽(図示せず)を設けてもよく、更に原料流体中の空気を抜く空気抜き弁55、及び圧力計27等を設けてもよい。
また、枝分れ流路12の流出口の後段には、処理物を回収する回収槽29を設け、当該回収槽29と多流体処理器100とを、送液管で接続すると共に、流出口側に吸引ポンプ等を接続してもよい。
(2)本発明の多流体処理器の使用方法:
本発明の多流体処理器は、複数の流体を処理する際の様々な用途に用いることができるものである。
本発明の多流体処理器は、例えば、乳化分散に用いることができ、均一なエマルジョンとすることができる。即ち、本発明の多流体処理器は、非常に優れた処理機能を有しているため、原料流体として水と油を使用すると、予備乳化の処理をせずに均一なエマルジョンを得ることができる。
また、本発明の多流体処理器は、複数の流体に対する非常に優れた処理機能を有していることを利用して、例えば、ワックス微粒子の生成やラテックス粒子の生成などの反応、混合(分散)、分散、粒子の複合化などの多様な用途に用いることができる。
以下、本発明を実施例によって更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示されるような多流体処理器100を用いて、なたね油を水中に乳化分散させて均一なエマルジョン(処理物)とするための実験を行った。
具体的には、図14に示されるように、複数の原料流体が貯留されている貯留槽51から、多流体処理器100へ原料流体を送液できるように、送液管23で接続し、当該貯留槽51と多流体処理器100の間に、送液ポンプ24を配置した。
送液ポンプは、エルテックス社製(1)8730−S型と(2)8843−S型を使用した。送液ポンプの処理物(処理液)の送液量はそれぞれ(1)15kg/時間(250g/分)と(2)25kg/時間(417g/分)で送液圧力がそれぞれ10MPaとなるようにセッティングした。また、サンプルの液温はそれぞれ(1)75℃と(2)27℃とした。
複数の原料流体としては、(1)なたね油とラウリル硫酸ナトリウム0.014mol/L水溶液との混合液と(2)純水とを用いた。
上記のように構成した多流体処理器により処理を行って得られた処理物について、堀場製作所社製 レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置 LA−960を用いて測定した。得られた処理物における粒子径分布の結果を図15に示す。図15中、「機内混合」が本実施例に該当する。
(比較例1)
従来の乳化分散器を用いて、実施例1と同様の原料流体を全て事前に混合してから乳化処理して処理物を得た。従来の乳化分散器としては、具体的には、大川原化工機社製の湿式分散器を用いた。処理条件は、供給圧力10MPa、送液量15kg/時間(250g/分)とした。得られた処理物における粒子径分布の結果を図15に示す。図15中、「事前混合」が本比較例に該当する。
本実施例の多流体処理器によれば、従来の乳化分散器を用いて行った場合と同様の性能で乳化処理を行うことができることが分かる。なお、実施例1では、事前に混合処理を行うことがないため、従来の方法に比べて簡単な操作である。
(実施例2)
図1に示されるような多流体処理器100を用いて、パラフィンワックスを水中に微粒化させてパラフィンワックス微粒子(処理物)とするための実験を行った。
具体的には、図14に示されるように、複数の原料流体が貯留されている貯留槽51から、多流体処理器100へ原料流体を送液できるように、送液管23で接続し、当該貯留槽51と多流体処理器100の間に、送液ポンプ24を配置した。
送液ポンプは、エルテックス社製(1)8730−S型と(2)8843−S型を使用した。送液ポンプの処理物(処理液)の送液量はそれぞれ(1)6kg/時間(100g/分)と(2)6kg/時間(100g/分)で送液圧力がそれぞれ10MPaと0.1MPaとなるようにセッティングした。また、サンプルの液温はそれぞれ(1)80℃と(2)20℃とした。
複数の原料流体としては、(1)混合比1:4のパラフィンワックス(融点58℃)と純水との混合物と、(2)純水とを用いた。
上記のように構成した多流体処理器により処理を行って得られた処理物について、堀場製作所社製 レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置 LA−960を用いて測定した。得られた処理物における粒子径分布の結果を図16に示す。
図16に示されるように、本発明の多流体処理器に複数の原料流体を用いて、ワックス微粒子の生成(固化反応)の処理が行われることが分かる。
(実施例3)
図8に示されるような多流体処理器103を用いて、ポリマー溶液を純水へ混合しポリマーを析出させてスチレン系ポリマー微粒子(処理物)にするための実験を行った。
具体的には、図14に示されるように、複数の原料流体が貯留されている貯留槽51から、多流体処理器103(図14中、符号104で示す)へ原料流体を送液できるように、送液管23で接続し、当該貯留槽51と多流体処理器103の間に、送液ポンプ24を配置した。
送液ポンプは、エルテックス社製(1)8730−S型と(2)8843−S型を使用した。送液ポンプの処理物(処理液)の送液量はそれぞれ(1)3kg/時間(50g/分)と(2)12kg/時間(200g/分)で送液圧力がそれぞれ10MPaとなるようにセッティングした。
複数の原料流体としては、(1)ポリスチレン系ポリマーをDMF(N,N−ジメチルホルムアミド)に溶解させた溶解物と、(2)純水とを用いた。
上記のように構成した多流体処理器により処理を行って得られた処理物と、ポリマー溶液をスポイトで純水に滴下させて得られた微粒子と、について、堀場製作所社製 レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置 LA−960を用いて測定した。粒子径分布測定の結果を図17に示す。図17中、多流体処理器により処理を行って得られた処理物の結果は、「多流体処理器」と記す。また、ポリマー溶液をスポイトで純水に滴下させて得られた微粒子の結果は、「滴下」と記す。
図17に示されるように、本発明の多流体処理器に複数の原料流体を用いて、ラテックス粒子の生成(析出反応)の処理が行われることが分かる。
(結果)
本発明の多流体処理器は、原料流体を変えることで乳化、反応といった様々な処理を行える。
本発明の多流体処理器は、複数の流体を処理(乳化(分散)、混合(分散)、反応、分散、複合化などの処理)をする装置として用いることができる。また、マイクロリアクタとしての応用も期待できる。
10:多流体処理本体、11:貫通流路、11a:流入口、11b:流出口、12:枝分れ流路、15:流路、20:流体通過部材、21:通過孔、21a:内側面、23:送液管、24:送液ポンプ、25:振動体、27:圧力計、29:回収槽、30:ケーシング本体、31:下部ケーシング、32:貫通孔、33:上部ケーシング、35:ボールホルダー、37:予備振動部、38:リング部材、41:付勢部材、43:バネ、45:固定ボルト、47:ナット、51:貯留槽、55:空気抜き弁、61:第1原料流体、63:第2原料流体、65:第3原料流体、100,101,102,103,104,105,106,200:多流体処理器。

Claims (8)

  1. 2以上の原料流体を合わせて処理物を得る多流体処理器であり、
    前記原料流体及び前記処理物が流れる流路が形成された多流体処理本体と、
    前記多流体処理本体の前記流路の途中に配置され、前記流路を流体が流れる際に振動する振動体と、を備え、
    前記多流体処理本体の前記流路は、一の原料流体を流入させる流入口及び前記処理物が流出する流出口を有する貫通流路と、前記貫通流路から枝分かれした少なくとも1本の枝分れ流路と、からなり、
    前記振動体は、前記貫通流路を塞ぐように配置され
    前記多流体処理本体には、前記原料流体及び前記処理物が流れる前記流路とは別に当該流路に連通する貫通孔が形成され、
    前記貫通孔には、前記原料流体及び前記処理物が流れず、
    前記貫通孔には、固定ボルトが挿入され、前記固定ボルトの先端には、前記振動体が前記流路中の前記流体の流れに対抗するように前記振動体を付勢する付勢部材が配置されている、多流体処理器。
  2. 前記枝分れ流路の少なくとも1本は、前記振動体の位置から枝分かれするものである請求項1に記載の多流体処理器。
  3. 前記枝分れ流路の少なくとも1本は、少なくとも一部が前記振動体の上流の前記貫通流路内に挿通されて延びるものである請求項1または2に記載の多流体処理器。
  4. 前記枝分れ流路の少なくとも1本は、少なくとも一部が前記振動体の上流の前記貫通流路内に挿通されて、前記振動体まで延びるものである請求項3に記載の多流体処理器。
  5. 前記枝分れ流路の少なくとも1本は、前記振動体の上流の途中で枝分れするものである請求項1〜4のいずれか一項に記載の多流体処理器。
  6. 前記振動体の上流に予備振動部を更に備える請求項1〜5のいずれか一項に記載の多流体処理器。
  7. 前記枝分れ流路の少なくとも1本は、少なくとも一部が前記振動体の上流の前記貫通流路内に挿通されて、前記予備振動部まで延びるものである請求項6に記載の多流体処理器。
  8. 前記振動体は、曲面を有する部材である請求項1〜のいずれか一項に記載の多流体処理器。
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