JP6836929B2 - エンジン出力推定装置及び方法 - Google Patents

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Description

本発明は、エンジンの出力を検出するエンジン出力推定装置及び方法に関するものである。
エンジン制御装置は、例えば、目標エンジン回転数または目標出力に対して燃料噴射量や過給機におけるウエストゲート弁の開度などを制御している。この目標エンジン回転数または目標出力は、エンジンの運転状態に応じて時々刻々と変動することから、十分なエンジン性能を確保するためには、適宜、適切に制御することが求められる。この場合、実際のエンジン回転数を検出したり、エンジン出力を推定したりしてフィードバック制御(PID制御)している。この場合、例えば、自動運転などを行うとき、実際のエンジン出力を推定することによりフィードフォワード制御が可能となり、エンジン応答性などにおける性能改善が期待できる。このようなエンジン出力推定装置としては、下記特許文献1に記載されたものがある。
特開2006−232167号公報
ところが、上記特許文献1に記載されているようなエンジン出力推定装置では、エンジンの制御前に制御後の出力を推定することができず、フィードフォワード制御による十分な効果が期待できない。また、その他のエンジン出力推定方法として、一般的に、1次元サイクル計算やエンジン性能マップ参照があるが、制御装置における演算負荷や推定精度の問題により、実際のエンジン制御装置に実装することが困難である。
本発明は上述した課題を解決するものであり、簡単な構成でエンジン出力を高精度に推定可能とするエンジン出力推定装置及び方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための本発明のエンジン出力推定装置は、エンジン回転数と燃料噴射量に基づいてエンジン定常運転時における基本エンジン出力マップを算出する基本エンジン出力マップ算出部と、エンジン回転数と燃料噴射量に基づいて熱効率要因としてのオットー効率と等容度と燃焼効率と熱損失とポンピング損失と機械効率の少なくともいずれか一つの特定熱効率要因に対応するエンジン定常運転時における特定基本熱効率要因マップを算出する特定基本熱効率要因マップ算出部と、前記特定熱効率要因が変動する現在の特定起因データに基づいてエンジン過渡運転時における特定熱効率要因補正割合を算出する特定熱効率要因補正割合算出部と、前記特定基本熱効率要因マップと前記特定熱効率要因補正割合に基づいて現在の特定実熱効率要因量を算出する特定実熱効率要因量算出部と、前記基本エンジン出力マップと前記特定実熱効率要因量とに基づいて現在の実エンジン出力を算出する実エンジン出力算出部と、を備えることを特徴とするものである。
従って、エンジン定常運転時における基本エンジン出力マップに対して、熱効率要因に対応するエンジン定常運転時における特定基本熱効率要因マップと、熱効率要因が変動する現在の特定起因データに基づいたエンジン過渡運転時における特定実熱効率要因量とから、現在の実エンジン出力を算出することから、簡単な制御ブロックでエンジンの出力を高精度に推定することができる。
本発明のエンジン出力推定装置では、エンジン回転数と燃料噴射量に基づいて前記特定起因データに対応するエンジン定常運転時における特定基本起因データマップを算出する特定基本起因データマップ算出部が設けられ、前記特定熱効率要因補正割合算出部は、前記特定基本起因データマップと現在の起因データに基づいて前記特定熱効率要因補正割合を算出することを特徴としている。
従って、特定基本起因データマップを用いて現在の起因データに基づいた特定熱効率要因補正割合を算出し、特定基本熱効率要因マップと特定熱効率要因補正割合に基づいて現在の特定実熱効率要因量を算出することで、エンジン過渡運転時における特定実熱効率要因量を高精度に算出することができる。
本発明のエンジン出力推定装置では、前記特定基本熱効率要因マップ算出部は、少なくとも前記熱損失及び前記ポンピング損失に対応するエンジン定常運転時における熱損失基本熱効率要因マップ及びポンピング損失基本熱効率要因マップを算出することを特徴としている。
従って、熱効率要因として熱損失及びポンピング損失を用いることで、熱効率要因に影響の大きい項目を用いて処理することで、演算負荷を下げて迅速なエンジン出力の推定を行うことができると共に、エンジン出力の推定精度の低下を抑制することができる。
本発明のエンジン出力推定装置では、前記特定起因データは、前記熱損失に対しては空気過剰率または冷却水温度であり、前記ポンピング損失に対しては、吸排気圧差であることを特徴としている。
従って、熱損失に対する特定起因データを空気過剰率または冷却水温度とし、ポンピング損失に対する特定起因データを吸排気圧差とすることで、熱損失とポンピング損失に対して影響の大きい因子を適用することで、エンジンの出力を高精度に推定することができる。
また、本発明のエンジン出力推定方法は、エンジン回転数と燃料噴射量に基づいてエンジン定常運転時における基本エンジン出力マップを算出する工程と、エンジン回転数と燃料噴射量に基づいて熱効率要因としてのオットー効率と等容度と燃焼効率と熱損失とポンピング損失と機械効率の少なくともいずれか一つの特定熱効率要因に対応するエンジン定常運転時における特定基本熱効率要因マップを算出する工程と、前記特定熱効率要因が変動する現在の特定起因データに基づいてエンジン過渡運転時における特定熱効率要因補正割合を算出する工程と、前記特定基本熱効率要因マップと前記特定熱効率要因補正割合に基づいて現在の特定実熱効率要因量を算出する工程と、前記基本エンジン出力マップと前記特定実熱効率要因量とに基づいて現在の実エンジン出力を算出する工程と、を有することを特徴とするものである。
従って、エンジン定常運転時における基本エンジン出力マップに対して、熱効率要因に対応するエンジン定常運転時における特定基本熱効率要因マップと、熱効率要因が変動する現在の特定起因データに基づいたエンジン過渡運転時における特定実熱効率要因量とから、現在の実エンジン出力を算出することから、簡単な制御ブロックでエンジンの出力を高精度に推定することができる。
本発明のエンジン出力推定装置及び方法によれば、簡単な構成でエンジン出力を高精度に推定することができる。
図1は、本実施形態のエンジン出力推定装置が適用されるエンジンを表す概略構成図である。 図2は、本実施形態のエンジン出力推定装置を表すブロック構成図である。 図3は、エンジンの出力推定装置におけるエンジン性能の基本マップを表す概略図である。
以下に添付図面を参照して、本発明に係るエンジン出力推定装置及び方法の好適な実施形態を詳細に説明する。なお、この実施形態により本発明が限定されるものではなく、また、実施形態が複数ある場合には、各実施形態を組み合わせて構成するものも含むものである。
まず、本実施形態のエンジン出力推定装置が適用されるエンジンについて詳細に説明する。図1は、本実施形態のエンジン出力推定装置が適用されるエンジンを表す概略構成図である。
図1に示すように、本実施形態のエンジン10は、4気筒ディーゼルエンジンである。シリンダブロック上にシリンダヘッドが締結されて構成されるエンジン本体11は、4つ(図2では、1つを図示)のシリンダボア12が設けられ、各シリンダボア12にシリンダライナ(図示略)を介してピストン13がそれぞれ上下移動自在に支持されている。エンジン本体11は、図示しないが、下部にクランクシャフトが回転自在に支持されており、各ピストン13がコネクティングロッド14を介してクランクシャフトにそれぞれ連結されている。
燃焼室15は、シリンダボア12の壁面及びの下面とピストン13の頂面とにより区画されて構成されている。燃焼室15は、上方、つまり、エンジン本体11に吸気ポート16及び排気ポート17が並んで形成されており、吸気ポート16及び排気ポート17に対して吸気弁18及び排気弁19の下端部がそれぞれ位置している。この吸気弁18及び排気弁19は、エンジン本体11に軸方向に沿って移動自在に支持されると共に、吸気ポート16及び排気ポート17を閉止する方向(図1にて上方)に付勢支持されている。吸気弁18及び排気弁19は、図示しない吸気カムシャフト及び排気カムシャフトの吸気カム及び排気カムが作用することで、吸気ポート16及び排気ポート17を開閉することができる。また、燃焼室15は、上方、つまり、エンジン本体11に燃料噴射弁20が設けられている。燃料噴射弁20は、燃焼室15に高圧燃料を噴射することができる。
従って、エンジン10は、クランクシャフトが2回転する間に、吸気行程、圧縮行程、膨張行程、排気行程の4行程を実行することとなり、このとき、吸気カムシャフト及び排気カムシャフトが1回転し、吸気弁18及び排気弁19が吸気ポート16及び排気ポート17を開閉することとなる。
エンジン本体11は、吸気ポート16に吸気管21が連結され、排気ポート17に排気管22が連結されている。過給機23は、コンプレッサ24とタービン25とが回転軸26により一体に回転するように連結されて構成されている。この過給機23は、エンジン本体11の排気管22を流れる排ガスによりタービン25が回転し、タービン25の回転が回転軸26により伝達されてコンプレッサ24が回転し、このコンプレッサ24が空気を圧縮して吸気管21からエンジン本体11に供給する。
吸気管21と排気管22との間に排ガス再循環管27が設けられ、排ガス再循環管27にEGR弁28と冷却器29が設けられている。また、吸気管21は、コンプレッサ24と排ガス再循環管27の連結部との間に冷却器30と開閉弁31が設けられている。一方、排気管22は、タービン25を迂回するバイパス管32が設けられ、バイパス管32にウエストゲート弁33が設けられている。
そのため、エンジン本体11は、吸気管21から燃焼室15に空気が供給されると、ピストン13の上昇によりこの空気が圧縮され、燃料噴射弁20から燃焼室15に高圧燃料が噴射されると、この高圧燃料が自然着火して燃焼する。そして、発生した燃焼ガスは、排ガスとして排気管22に排出される。燃焼室15から排出された排ガスは、過給機23におけるタービン25を回転させることで、回転軸26を介してコンプレッサ24を回転し、燃焼室15に対して過給を行う。
また、EGR弁28が開放されると、排ガスは、その一部が排気管22から排ガス再循環管27を流れて吸気管21に送られる。そして、この排ガスとしての再循環ガスは、吸気管21を流れる空気と混合され、燃焼室15に供給される。また、ウエストゲート弁33が開放されると、排ガスは、バイパス管32を通ることでタービン25を迂回する。
次に、このように構成されたエンジン10において、本実施形態のエンジン出力推定装置について説明する。図2は、本実施形態のエンジン出力推定装置を表すブロック構成図、図3は、エンジンの出力推定装置におけるエンジン性能の基本マップを表す概略図である。
図2に示すように、エンジン出力推定装置40は、基本BMEP算出部(基本エンジン出力マップ算出部)41と、基本PMEP算出部(特定基本熱効率要因マップ算出部)42と、基本HMEP算出部(特定基本熱効率要因マップ算出部)43と、基本吸排気圧差算出部(特定基本起因データマップ算出部)44と、PMEP補正割合算出部(特定熱効率要因補正割合算出部)45と、実PMEP算出部(特定実熱効率要因量算出部)46と、基本空気過剰率算出部(特定基本起因データマップ算出部)47と、HMEP補正割合算出部(特定熱効率要因補正割合算出部)48と、実HMEP算出部(特定実熱効率要因量算出部)49と、実BMEP算出部(実エンジン出力算出部)50とを備えている。
本実施形態にて、エンジン出力は、馬力(kW)であって、エンジントルク(回転力)に換算される。このエンジントルクは、正味平均有効圧に置き換えることができ、熱効率に比例する。そして、この熱効率ηthは、エンジンに投入された燃料量に対して取り出されたエンジントルクに相当する燃料量の割合であり、オットー効率ηotto、等容度ηgl、燃焼効率η、ポンピング損失率ηploss、熱損失率ηhloss、機械損失ηに基づいて下記数式(1)により求められる。
ηth=ηotto×ηgl×η×(1−ηploss)×(1−ηhloss)×η ・・・(1)
オットー効率ηottoは、吸気バルブが閉止するときのガス比熱比が主因子であって、予め設定しておいた基本マップと過渡時の変化分とから効率変化量を推定し、トルク差分として計算して求める。なお、他の因子としては、吸気温度や吸気圧力がある。等容度ηglは、燃焼開始時のガス酸素濃度が主因子であって、予め設定しておいた基本マップと過渡時との変化分から効率変化量を推定し、トルク差分として計算して求める。なお、他の因子としては、吸気温度や吸気圧力がある。燃焼効率ηは、空気過剰率が主因子であって、予め設定しておいた基本マップと過渡時との変化分から効率変化量を推定し、トルク差分として計算して求める。なお、他の因子としては、吸気温度、吸気圧力、排気HC濃度がある。
熱損失は、空気過剰率や冷却水温度が主因子であって、予め設定しておいた基本マップと過渡時との変化分から効率変化量を推定し、トルク差分として求める。なお、他の因子としては、エンジンメタル温度や潤滑油温度がある。ポンピング損失率ηplossは、エンジン吸排気圧差が主因子であって、予め設定しておいた基本マップと過渡時との変化分から効率変化量を推定し、トルク差分として求める。なお、他の因子としては、空気流量やターボ効率がある。機械効率:エンジン潤滑油温度が主因子であって、予め設定しておいた基本マップと過渡時との変化分から効率変化量を推定し、トルク差分として求める。なお、他の因子としては、筒内最大圧力、冷却水温度、エンジンメタル温度がある。
基本BMEP算出部41は、エンジン回転数Neと燃料噴射量Qfに基づいてエンジン定常運転時における基本エンジン出力マップを算出するものである。ここで、エンジン回転数Neは、クランク角センサ(図示略)が検出したクランク角度に基づいて、エンジン制御装置が各気筒における吸気、圧縮、膨張(爆発)、排気の各行程を判別すると共に、このエンジン回転数を算出する。燃料噴射量Qfは、燃料噴射量の指示値であって、エンジン制御装置がアクセル開度などに基づいて設定する。また、BMEPは、エンジントルク(エンジン出力)としての正味平均有効圧である。基本エンジン出力マップは、図3に示すように、エンジン回転数Neと燃料噴射量Qfと正味平均有効圧BMEPとの関係を表す3次元マップである。
図2に示すように、基本PMEP算出部42は、エンジン回転数Neと燃料噴射量Qfに基づいて熱効率要因としてのオットー効率ηottoと等容度ηglと燃焼効率ηとポンピング損失率ηplossと熱損失率ηhlossと機械損失ηの少なくともいずれか一つの特定熱効率要因に対応するエンジン定常運転時における特定基本熱効率要因マップを算出するものである。本実施形態では、熱効率要因の一つとして、ポンピング損失率ηplossを適用し、基本PMEP算出部42は、エンジン定常運転時における基本ポンピング損失マップを算出する。基本ポンピング損失マップは、図3に示すように、エンジン回転数Neと燃料噴射量Qfとポンピング損失PMEPとの関係を表す3次元マップである。
図2に示すように、基本HMEP算出部43は、エンジン回転数Neと燃料噴射量Qfに基づいて熱効率要因の一つとしてのオットー効率ηottoと等容度ηglと燃焼効率ηとポンピング損失率ηplossと熱損失率ηhlossと機械損失ηの少なくともいずれか一つの特定熱効率要因に対応するエンジン定常運転時における特定基本熱効率要因マップを算出するものである。本実施形態では、熱効率要因の一つとして、熱損失率ηhlossを適用し、基本HMEP算出部43は、エンジン定常運転時における基本熱損失マップを算出する。基本熱損失マップは、図3に示すように、エンジン回転数Neと燃料噴射量Qfと熱損失HMEPとの関係を表す3次元マップである。
基本吸排気圧差算出部44は、図2に示すように、エンジン回転数Neと燃料噴射量Qfに基づいて特定起因データとしての吸排気圧差Pex−Pinに対応するエンジン定常運転時における基本吸排気圧差データマップを算出するものである。ここで、排気圧Pexと吸気圧Pinとは、圧力センサ(図示略)が検出したものであり、吸排気圧差Pex−Pinは、排気圧Pexと吸気圧Pinの差圧である。基本吸排気圧差データマップは、図3に示すように、エンジン回転数Neと燃料噴射量Qfと吸排気圧差Pex−Pinとの関係を表す3次元マップである。PMEP補正割合算出部45は、基本吸排気圧差データマップとポンピング損失PMEPが変動する現在の吸排気圧差Pex−Pinに基づいてエンジン過渡運転時におけるPMEP補正割合を算出するものである。具体的には、基本吸排気圧差データマップと現在の吸排気圧差Pex−Pinとの偏差をPMEP補正割合として算出する。実PMEP算出部46は、基本ポンピング損失マップと現在のPMEP補正割合に基づいて現在の実PMEP量を算出するものである。
基本空気過剰率算出部47は、図2に示すように、エンジン回転数Neと燃料噴射量Qfに基づいて特定起因データとしての空気過剰率λに対応するエンジン定常運転時における基本空気過剰率データマップを算出するものである。ここで、空気過剰率λとは、空気量に対する燃料量の割合であり、空気量は、吸入空気量センサ(図示略)が検出したものであり、燃料量は、燃料噴射量の指示値である。基本空気過剰率データマップは、図3に示すように、エンジン回転数Neと燃料噴射量Qfと空気過剰率λとの関係を表す3次元マップである。HMEP補正割合算出部48は、基本空気過剰率データマップと熱損失HMEPが変動する現在の空気過剰率λに基づいてエンジン過渡運転時におけるHMEP補正割合を算出するものである。具体的には、基本空気過剰率データマップと現在の空気過剰率λとの偏差をHMEP補正割合として算出する。実HMEP算出部49は、基本熱損失マップと現在のHMEP補正割合に基づいて現在の実HMEP量を算出するものである。
実BMEP算出部50は、基本エンジン出力マップと実PMEP量及び実HMEP量とに基づいて現在の実エンジン出力BMEPを算出するものである。基本エンジン出力マップに対して、基本エンジン出力マップと実PMEP量及び実HMEP量との偏差を補正する。上述した処理は、下記数式(2)として表される。
実BMEP=基本熱効率BMEP
−基本PMEP ×f{実(Pex−Pin),基本(Pex−Pin)}
−基本HMEP×f(実λ,基本λ) ・・・(2)
即ち、エンジン過渡運転時におけるエンジンの状態量は、各種センサが検出した検出値またはエンジン制御装置により演算されたデータを使用し、ポンピング損失率ηplossの主因子である吸排気圧差Pex−Pin、また、熱損失率ηhlossの主因子である空気過剰率λについて計算されたトルク差分量を用いて、時々刻々基本エンジン出力マップを補正することで過渡時のエンジントルク(エンジン出力)を推定する。このようなエンジントルク推定処理は、例えば、各エンジン運転点でのポンピング損失が給排気圧差に相関があること、各エンジン運転点での熱損失が空気過剰率に相関があることなどの物理的な関係に基づいて実施されることで十分な精度が確保される。
即ち、本実施形態にて、車両に搭載されるエンジン制御装置による一般的な演算負荷で、現実的なエンジン性能のデータ数(数十程度)で所定の補間精度を確保したマップを作成することができ、高精度なエンジン出力(エンジントルク)を推定することができる。そのため、この推定結果を利用して燃料噴射量や過給機のウエストゲート弁の開度などを制御することで、例えば、エンジン仕様環境の変化や過渡的な状態量の変化に対して、一定のエンジン応答性や適切な燃費率性能を確保することができる。
なお、上述した実施形態では、熱効率要因としてのオットー効率ηottoと等容度ηglと燃焼効率ηとポンピング損失率ηplossと熱損失率ηhlossと機械損失ηの少なくともいずれか一つとして、ポンピング損失率ηplossと熱損失率ηhlossを適用して説明したが、この構成に限るものではなく、オットー効率ηotto、等容度ηgl、機械損失ηを組み合わせて適用してもよい。
このように本実施形態のエンジン出力推定装置にあっては、基本BMEP算出部41と、基本PMEP算出部42と、基本HMEP算出部43と、基本吸排気圧差算出部44と、PMEP補正割合算出部45と、実PMEP算出部46と、基本空気過剰率算出部47と、HMEP補正割合算出部48と、実HMEP算出部49と、実BMEP算出部50とを備えている。
即ち、エンジン回転数Neと燃料噴射量Qfに基づいてエンジン定常運転時における基本エンジン出力マップを算出し、エンジン回転数Neと燃料噴射量Qfに基づいて熱効率要因としての熱損失率ηhlossと機械損失ηに対応するエンジン定常運転時における基本熱損失マップ及び基本ポンピング損失マップを算出し、熱損失率ηhlossと機械損失ηが変動する現在の特定起因データとしての吸排気圧差Pex−Pin及び空気過剰率λに基づいてエンジン過渡運転時におけるPMEP補正割合及びHMEP補正割合を算出し、現在の実PMEP量及び実HMEP量を算出し、基本エンジン出力マップと現在の実PMEP量及び実HMEP量に基づいて現在の実エンジン出力を算出する。
従って、エンジン定常運転時における基本エンジン出力マップを、熱効率要因としての熱損失率ηhlossと機械損失ηを用いて補正することで、現在の実エンジン出力を算出することから、簡単な制御ブロックでエンジンの出力を高精度に推定することができる。
本実施形態のエンジン出力推定装置では、熱効率要因として熱損失及びポンピング損失を用いている。従って、熱効率要因に影響の大きい項目を用いて処理することで、演算負荷を下げて迅速なエンジン出力の推定を行うことができると共に、エンジン出力の推定精度の低下を抑制することができる。
本実施形態のエンジン出力推定装置では、熱損失に対する特定起因データを空気過剰率または冷却水温度とし、ポンピング損失に対する特定起因データを吸排気圧差としている。従って、熱損失とポンピング損失に対して影響の大きい因子を適用することで、エンジンの出力を高精度に推定することができる。
また、本実施形態のエンジン出力推定方法にあっては、エンジン回転数Neと燃料噴射量Qfに基づいてエンジン定常運転時における基本エンジン出力マップを算出する工程と、エンジン回転数Neと燃料噴射量Qfに基づいて熱効率要因としてのポンピング損失率ηplossに対応するエンジン定常運転時における基本ポンピング損失マップを算出する工程と、エンジン回転数Neと燃料噴射量Qfに基づいて熱効率要因としての熱損失率ηhlossに対応するエンジン定常運転時における基本熱損失マップを算出する工程と、特定起因データとしての吸排気圧差Pex−Pinに対応するエンジン定常運転時における基本吸排気圧差データマップを算出する工程と、基本吸排気圧差データマップとポンピング損失PMEPが変動する現在の吸排気圧差Pex−Pinに基づいてエンジン過渡運転時におけるPMEP補正割合を算出する工程と、基本ポンピング損失マップと現在のPMEP補正割合に基づいて現在の実PMEP量を算出する工程と、特定起因データとしての空気過剰率λに対応するエンジン定常運転時における基本空気過剰率データマップを算出する工程と、基本空気過剰率データマップと熱損失HMEPが変動する現在の空気過剰率λに基づいてエンジン過渡運転時におけるHMEP補正割合を算出する工程と、基本熱損失マップと現在のHMEP補正割合に基づいて現在の実HMEP量を算出する工程と、基本エンジン出力マップと実PMEP量及び実HMEP量とに基づいて現在の実エンジン出力BMEPを算出する工程とを有する。
従って、簡単な制御ブロックでエンジンの出力を高精度に推定することができる。
なお、上述した実施形態では、エンジン10を4気筒ディーゼルエンジンとして説明したが、このエンジンに限定されるものではなく、例えば、ガソリンエンジンや天然ガスエンジンなどを含むレシプロエンジン(往復動機関)の全てに適用することができる。
10 エンジン
11 エンジン本体
13 ピストン
15 燃焼室
23 過給機
24 コンプレッサ
25 タービン
26 回転軸
40 エンジン出力推定装置
41 基本BMEP算出部(基本エンジン出力マップ算出部)
42 基本PMEP算出部(特定基本熱効率要因マップ算出部)
43 基本HMEP算出部(特定基本熱効率要因マップ算出部)
44 基本吸排気圧差算出部(特定基本起因データマップ算出部)
45 PMEP補正割合算出部(特定熱効率要因補正割合算出部)
46 実PMEP算出部(特定実熱効率要因量算出部)
47 基本空気過剰率算出部(特定基本起因データマップ算出部)
48 HMEP補正割合算出部(特定熱効率要因補正割合算出部)
49 実HMEP算出部(特定実熱効率要因量算出部)
50 実BMEP算出部(実エンジン出力算出部)

Claims (4)

  1. エンジン回転数と燃料噴射量に基づいてエンジン定常運転時における基本正味平均有効圧を算出する基本エンジン出力算出部と、
    エンジン回転数と燃料噴射量に基づいて熱効率要因としてのオットー効率と等容度と燃焼効率と熱損失とポンピング損失と機械効率の少なくともいずれか一つの特定熱効率要因に対応するエンジン定常運転時における特定基本熱効率要因量を算出する特定基本熱効率要因算出部と、
    エンジン回転数と燃料噴射量に基づいて特定起因データに対応するエンジン定常運転時における特定基本起因量を算出する特定基本起因データ算出部と、
    前記エンジン定常運転時における特定基本起因量と前記特定熱効率要因が変動する現在の特定起因データとの偏差をエンジン過渡運転時における特定熱効率要因補正割合とする特定熱効率要因補正割合算出部と、
    前記特定基本熱効率要因量に対して前記特定熱効率要因補正割合を加算または減算して現在の特定実熱効率要因量を算出する特定実熱効率要因量算出部と、
    前記基本正味平均有効圧と前記特定実熱効率要因量とに基づいて現在のエンジンの実正味平均有効圧を算出して前記実正味平均有効圧をエンジン出力に換算して実エンジン出力とする実エンジン出力算出部と、
    を備えることを特徴とするエンジン出力推定装置。
  2. 前記特定基本熱効率要因算出部は、少なくとも前記熱損失及び前記ポンピング損失に対応するエンジン定常運転時における熱損失基本熱効率要因量を算出すると共に、ポンピング損失基本熱効率要因量を算出することを特徴とする請求項1に記載のエンジン出力推定装置。
  3. 前記特定起因データは、前記熱損失に対しては空気過剰率または冷却水温度であり、前記ポンピング損失に対しては、吸排気圧差であることを特徴とする請求項2に記載のエンジン出力推定装置。
  4. エンジン回転数と燃料噴射量に基づいてエンジン定常運転時における基本正味平均有効圧を算出する工程と、
    エンジン回転数と燃料噴射量に基づいて熱効率要因としてのオットー効率と等容度と燃焼効率と熱損失とポンピング損失と機械効率の少なくともいずれか一つの特定熱効率要因に対応するエンジン定常運転時における特定基本熱効率要因量を算出する工程と、
    エンジン回転数と燃料噴射量に基づいて特定起因データに対応するエンジン定常運転時における特定基本起因量を算出する工程と、
    エンジン定常運転時における特定基本起因量と前記特定熱効率要因が変動する現在の特定起因データとの偏差をエンジン過渡運転時における特定熱効率要因補正割合とする工程と、
    前記特定基本熱効率要因量に対して前記特定熱効率要因補正割合を加算または減算して現在の特定実熱効率要因量を算出する工程と、
    前記基本正味平均有効圧と前記特定実熱効率要因量とに基づいて現在のエンジンの実正味平均有効圧を算出して前記実正味平均有効圧をエンジン出力に換算して実エンジン出力とする工程と、
    を有することを特徴とするエンジン出力推定方法。
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