JP6836366B2 - 焼結軸受およびその製造方法 - Google Patents

焼結軸受およびその製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6836366B2
JP6836366B2 JP2016187265A JP2016187265A JP6836366B2 JP 6836366 B2 JP6836366 B2 JP 6836366B2 JP 2016187265 A JP2016187265 A JP 2016187265A JP 2016187265 A JP2016187265 A JP 2016187265A JP 6836366 B2 JP6836366 B2 JP 6836366B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
powder
copper
alloy powder
bearing
particle size
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016187265A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018053929A (ja
Inventor
容敬 伊藤
容敬 伊藤
大輔 竹田
大輔 竹田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NTN Corp
Original Assignee
NTN Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NTN Corp filed Critical NTN Corp
Priority to JP2016187265A priority Critical patent/JP6836366B2/ja
Priority to PCT/JP2017/032364 priority patent/WO2018047923A1/ja
Priority to CN201780054247.3A priority patent/CN109890539B/zh
Priority to US16/329,256 priority patent/US20190186532A1/en
Priority to KR1020197009979A priority patent/KR102331498B1/ko
Priority to DE112017004520.7T priority patent/DE112017004520T5/de
Publication of JP2018053929A publication Critical patent/JP2018053929A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6836366B2 publication Critical patent/JP6836366B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Sliding-Contact Bearings (AREA)
  • Powder Metallurgy (AREA)

Description

本発明は、焼結軸受およびその製造方法に関する。
小型モータ用の軸受、例えばノート型パソコン等に装備されるファンモータ用の軸受としては、焼結金属製の軸受部材の内周面にヘリングボーン形状等に配列した複数の動圧発生溝を形成した流体動圧軸受を使用する場合が多い(特許文献1)。このように動圧発生溝を形成することで、軸の回転中は、動圧発生溝によって潤滑油が軸受面の軸方向一部領域に集められて動圧効果を生じ、この動圧効果によって回転する軸が軸受部材に対して非接触に支持される。
特開2016−50648号公報
軸受部材の内周面の動圧発生溝は、例えば焼結体をサイジングする際に、コアピンの外周面に動圧発生溝の形状に対応した複数の凸部を形成し、サイジングに伴う加圧力で、焼結体の内周面をコアピンの外周面の凸部に食いつかせることで形成することができる。しかしながら、かかる工程では、動圧発生溝が焼結材料の塑性変形で形成されるため、塑性変形量のばらつきから、その精度確保には限界がある。
その一方で、軸受面の粗大気孔を少なくすれば、油膜形成率が向上するため、動圧発生溝を省略しても十分な油膜剛性が得られると考えられる。そのため、動圧発生溝を有する流体動圧軸受を、そのような動圧発生溝を有しない、いわゆる真円軸受に置き換えることが可能となり、軸受装置の低コスト化を達成できると考えられる。
そこで、本発明は、軸受面の粗大気孔を少なくし、表面開孔と内部気孔を微細化しかつ均質化した焼結軸受を提供することを目的とする。
以上の目的を達成するため、本発明は、鉄粉の表面に銅粉を部分拡散により付着させた部分拡散合金粉と、銅をベースとする銅系粉とを含む圧紛体を焼結させてなる焼結軸受において、銅系粉として、銅に銅よりも低融点の低融点金属を合金化させた多孔質の銅合金粉を使用し、部分拡散合金粉の最大粒径が106μmであり、前記部分拡散合金粉の銅粉の最大粒径が10μm以下であることを特徴とするものである。
本発明では、部分拡散合金粉および銅粉の最大粒径を制限しており、しかも当該銅粉の最大粒径を10μm以下として銅粉を小粒径化している。従って、部分拡散合金粉の粒径を揃えることができ、これにより焼結後に粗大気孔を生じ難くすることができる。その一方で、原料粉の粒径が小さくなりすぎることはなく、圧紛体を成形する際の原料粉の流動性も良好なものとなる。
銅系粉として、銅に銅よりも低融点の低融点金属を合金化させた銅合金粉(例えば青銅粉)を使用することにより、粗大気孔の発生をより一層効果的に抑制することができる。すなわち、低融点金属を単体粉として使用した場合、焼結時に低融点金属粉全体が溶融して液相となり、これが移動して元の場所に空孔を形成することになる。これに対し、銅合金粉を使用することで、焼結時には銅合金粉の表面だけが溶融するため、そのような空孔の発生を防止することができる。また、銅合金粉を使用することで、低融点金属の単体粉を使用する場合に問題となる偏析を回避することもできる。
その一方で、単に銅に低融点金属を合金化させただけの粉末は、一般に中実かつ硬質で変形しにくいため、圧紛体の成形時に粒子間に隙間を生じやすい。従って、焼結後に粗大気孔を生じる要因となる。これに対し、多孔質の銅合金粉を使用すれば、粉末が軟化されているため、原料粉の圧縮性が向上して粒子間に隙間を生じ難くなる。従って、焼結後の粗大気孔の発生を抑制することができる。
本発明によれば、軸受面を動圧発生溝のない円筒面状にした場合でも、十分な油膜剛性を確保し、高い油膜形成率を得ることが可能となる。従って、動圧発生溝を省略することが可能となり、そのような動圧発生溝を有する流体動圧軸受を使用する場合に比べて、軸受装置の低コスト化を図ることができる。
また、本発明は、鉄粉の表面に銅粉を部分拡散により付着させた部分拡散合金粉と、銅をベースとする銅系粉とを含む圧紛体を焼結させて焼結軸受を製造する際に、銅系粉として、銅に銅よりも低融点の低融点金属を合金化させた多孔質の銅合金粉を使用し、部分拡散合金粉の最大粒径を106μmとし、前記部分拡散合金粉の銅粉の最大粒径が10μm以下であることを特徴とする。多孔質の銅合金粉は、銅合金粉を焼鈍することで得ることができる。
以上のように、本発明によれば、軸受面における粗大気孔を少なくして表面開孔を微細化しかつ均質化することができる。これにより、軸受面での圧力逃げが生じ難くなるため、高い油膜形成率を得ることが可能となる。
ファンモータの断面図である。 ファンモータ用軸受装置の断面図である。 部分拡散合金粉の形態を模式的に示す図である。 多孔質銅粉の顕微鏡写真を二値化処理した図である。 本発明における焼結組織を模式的に示す図である。 部分拡散合金粉の他例を模式的に示す図である。 油膜形成率の比較試験結果を示す図である。 油膜形成率の測定装置を示す回路図である。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1に、情報機器、特に携帯電話やタブレット型端末等のモバイル機器に組み込まれる冷却用のファンモータを示す。このファンモータは、軸受装置1と、軸受装置1の軸部材2に装着されたロータ3と、ロータ3の外径端に取付けられた羽根4と、半径方向のギャップを介して対向させたステータコイル6aおよびロータマグネット6bと、これらを収容するケーシング5とを備える。ステータコイル6aは、軸受装置1の外周に取付けられ、ロータマグネット6bはロータ3の内周に取付けられる。ステータコイル6aに通電することにより、ロータ3、羽根4、及び軸部材2が一体に回転し、これにより軸方向あるいは外径方向の気流が発生する。
図2に示すように、軸受装置1は、軸部材2と、ハウジング7と、焼結軸受8と、シール部材9と、スラスト受け10とを備える。
軸部材2は、ステンレス鋼等の金属材料で円柱状に形成されており、円筒状をなす焼結軸受8の内周面に挿入される。軸部材2は、軸受面となる焼結軸受8の内周面8aでラジアル方向に回転自在に支持される。軸部材2の下端はハウジング7の底部7bに配置されたスラスト受け10と接触しており、軸部材の回転時には、スラスト受け10によって軸部材2がスラスト方向に支持される。ハウジング7は、略円筒状の側部7aと、側部7aの下方の開口部を閉塞する底部7bとを有する。側部7aの外周面にケーシング5及びステータコイル6aが固定され、側部7aの内周面に軸受部材8が固定される。シール部材9は樹脂あるいは金属で環状に形成され、ハウジングの側部の内周面の上端部に固定されている。シール部材9の下側の端面が軸受部材8の上側端面と軸方向で当接している。シール部材9の内周面は軸部材2の外周面と半径方向で対向し、両者の間にはシール空間Sが形成されている。かかる軸受装置1では、少なくとも軸受部材8の内周面と軸部材2の外周面とで形成されるラジアル隙間が潤滑油で満たされる。この他、ハウジング7の内部空間を全て潤滑油で満たしてもよい(この場合、シール空間Sに油面が形成される)。
軸受部材8は、主成分として鉄と銅を含む鉄銅系の焼結体で形成される。この焼結体は、各種粉末を混合した原料粉を金型に供給し、これを圧縮して圧紛体を成形した後、圧紛体を焼結することで製作される。本実施形態で使用する原料粉は、部分拡散合金粉と、銅をベースとする銅系粉とを主原料とし、これに固体潤滑剤を配合した混合粉末である。以下、上記の各粉末について詳細に述べる。
[部分拡散合金粉]
図3に示すように、部分拡散合金粉11としては、核となる鉄粉12の表面に、当該鉄粉より粒径の小さい銅粉13(純銅粉)を部分拡散により付着させたFe−Cu部分拡散合金粉が使用される。この部分拡散合金粉11の拡散部分はFe−Cu合金を形成しており、この合金部分は鉄原子12aと銅原子13aとが相互に結合し、配列した結晶構造を有する。
部分拡散合金粉11の鉄粉12としては、還元鉄粉、アトマイズ鉄粉等を使用することができるが、本実施形態では還元鉄粉を使用する。還元鉄粉は、不規則形状で、かつ内部気孔を有する海綿状(多孔質状)をなす。還元鉄粉を使用することで、アトマイズ鉄粉を使用する場合に比べ、圧縮性を向上させて成形性を高めることができる。また、焼結後の鉄組織が多孔質状となるため、鉄組織中にも潤滑油を保有できるようになり、焼結体の保油性を向上できる利点も得られる。さらに鉄粉に対する銅粉の付着性が向上するため、銅濃度が均一な部分拡散合金粉を得ることができる。
また、部分拡散合金粉11の核となる鉄粉12としては、粒度145メッシュ以下の粉末が使用される。ここで「粒度145メッシュ」とは、目開きが145メッシュ(約106μm)の篩を通過させた粉末を意味する。従って、この場合の鉄粉の最大粒径は、106μmとなる。「粒度145メッシュ以下」は粉末の粒度が145メッシュ以下であること、つまり粉末の最大粒径が106μm以下であることを意味する。なお、鉄粉12の粒度は、230メッシュ(目開き63μm、最大粒径63μm)以下にするのがより好ましい。粉末の粒径は、例えばレーザー回析・散乱法で測定することができる(以下、同じ)。
また、部分拡散合金粉11の銅粉13としては、電解銅粉およびアトマイズ銅粉の双方が使用可能であるが、電解銅粉を使用するのがより好ましい。電解銅粉は一般に樹枝状であることから、銅粉13として電解銅粉を使用することで、焼結時に焼結が進みやすくなる利点が得られる。また、部分拡散合金粉11の銅粉13の最大粒径は10μm以下とする。なお、部分拡散合金粉11におけるCu粉の割合は、10〜30質量%(好ましくは15質量%〜25質量%)とする。
以上に説明した部分拡散合金粉11としては、粒度145メッシュ以下(最大粒径106μm)のものが使用される。
[銅系粉末]
銅系粉末として、銅に低融点金属を合金化させた多孔質の銅合金粉が使用される。低融点金属は焼結時のバインダーとして機能するものであり、融点が銅よりも低い金属、特に融点が700℃以下の金属、例えば錫、亜鉛、リン等が使用される。これらの中でも錫は銅と鉄に拡散し易いという特徴を備えるため、本実施形態の銅合金粉は、低融点金属として錫を使用した青銅粉(Cu−Sn合金粉)で構成されている。銅合金粉の粒径は部分拡散合金粉における鉄粉12と同程度であり、具体的には、粒度145メッシュ以下(最大粒径106μm以下)、より好ましくは230メッシュ以下(最大粒径63μm以下)である。
また、上記銅合金粉としては、図4に示すように、表面および内部の双方が多孔質に形成された銅合金粉(図4の白地中で黒く現れた部分が空孔を示す)が使用される。この多孔質の銅合金粉は、銅合金粉を焼鈍させることで得ることができる。なお、図4は同様の処理で多孔質化した銅粉を示しているが、銅合金粉もこれと類似する形態で多孔質化された状態にある。
[固体潤滑剤]
固体潤滑剤としては、黒鉛、二硫化モリブデン等の粉末を一種又は二種以上使用することができる。本実施形態では、コストを考えて黒鉛粉、特に鱗片状黒鉛粉を使用する。固体潤滑剤粉は軸受面8aに露出することで、軸部材2との摺動を潤滑する役割を果たす。
以上に述べた原料粉の組成は、銅合金粉が10質量%以上50質量%以下(好ましくは20質量%以上30質量%以下)、炭素が0.1〜1.5質量%であり、残りが部分拡散合金粉となる。原料粉における低融点金属の割合は1質量%〜4質量%が好ましい。原料粉には、必要に応じて各種成形助剤(例えば成形用潤滑剤)を添加してもよい。本実施形態では、上記の原料粉100%に対して、成形用潤滑剤が0.1〜1.0質量%配合される。成形用潤滑剤として、例えば金属セッケン(ステアリン酸カルシウム等)やワックスを使用できる。但し、これらの成形用潤滑剤は、焼結により分解・消失して粗大気孔の要因となるため、成形用潤滑剤の使用量はなるべく抑えることが好ましい。
上記の原料粉を金型の内部に充填し、圧縮することで圧紛体が成形される。その後、圧紛体を焼結することで、焼結体が得られる。焼結温度は、低融点金属の融点以上で、かつ銅の融点以下の温度とされ、具体的には760℃〜900℃程度とする。圧紛体を焼結することにより、圧紛体中の銅合金粉の表面が液相となって部分拡散合金粉の表面の銅粉(第一銅粉)や他の銅合金粉の表面を濡らすため、銅粒子同士や銅粒子と鉄粒子間の焼結が促進される。
この焼結体は、例えば密度6.0〜7.4g/cm3(好ましくは6.9〜7.3g/cm3)、内部空孔率が4〜20%、好ましくは4〜12%(より好ましくは5〜11%)とされる。また、焼結体における各元素の含有量は、銅が30質量%〜60質量%、低融点金属が1質量%〜4質量%、炭素が0.1〜1.5質量%であり、残りが鉄となる。
この焼結体をサイジングにより整形することにより、軸受面の真円度を1μm以下まで高めることができる。その後、真空含浸等の手法で焼結体の内部空孔に潤滑油を含浸させることで、図2に示す焼結軸受8(焼結含油軸受)が完成する。潤滑油は、例えば40℃における動粘度が10〜200mm2/sec、好ましくは10〜60mm2/secであり、かつ粘度指数が100〜250であるものが使用される。
この焼結体の焼結組織は、図5に示すように、部分拡散合金粉11の鉄粉12に由来するFe組織12’(散点模様で示す)の周囲に、部分拡散合金粉11の銅粉13に由来するCu組織13’(濃いグレーで示す)と、銅合金粉に由来する銅組織14’(淡いグレーで示す)とが混在した形態をなす。これにより多くの鉄組織12’が銅組織13’,14’で被覆された形態となるため、軸受面における鉄組織12’の露出量を少なくすることができ、これにより焼結軸受8の初期なじみ性を向上させることができる。このように鉄組織の周囲を銅組織で覆った焼結組織は、鉄粉を銅めっきした銅被覆鉄粉を使用することでも得ることができるが、銅被覆鉄粉を使用した場合には、本発明で使用するFe−Cu部分拡散合金粉に比べて、焼結後の銅組織と鉄組織間のネック強度が低下するため、焼結軸受の圧環強度が大幅に低下する。
Fe−Cu部分拡散合金粉の製造過程において、鉄粉12および銅粉13の最大粒径を上記のように制限していない場合、たとえこれら鉄粉12や銅粉13の平均粒径が上記最大粒径と近い値であったとしても、粒径の大きい鉄粉や銅粉も混入した状態で部分拡散合金粉が製造されることになる。そのため、図6に模式的に示すように、粒径の大きい鉄粉と銅粉が一体化された粒子(粗大粒子)が相当量形成される。このような粗大粒子が集合した状態で焼結されれば、粒子間の隙間が大きくなるため、焼結後に粗大気孔を生じることになる。
これに対し、本発明では、銅粉13、さらに部分拡散合金粉の最大粒径を制限しており、しかも銅粉13の最大粒径が部分拡散合金粉の最大粒径よりもかなり小さい。従って、部分拡散合金粉の粒度分布がシャープな形となる(部分拡散合金の粒径が揃った状態となる)。その一方で、原料粉の粒径が小さくなりすぎることはなく、粉末の状態での流動性も良好なものとなる。そのため、焼結後に粗大気孔を生じ難くなり、焼結組織中の空孔を微細化かつ均質化することができる。
また、本発明では、銅系粉として、銅に銅よりも低融点の低融点金属を合金化させた銅合金粉を使用しているので、粗大気孔の発生をより一層効果的に抑制することができる。すなわち、低融点金属としてその単体粉を原料粉に配合した場合、焼結時に低融点金属粉全体が溶融して液相となり、これが移動して元の場所に空孔を形成するために粗大気孔の発生原因となるが、銅合金粉を使用することで、焼結時には銅合金粉の表面だけが溶融するため、そのような空孔の発生を防止することができる。また、銅合金粉を使用することで、低融点金属の単体粉を使用する場合に問題となる偏析を回避することもできる。
その一方で、単に銅に低融点金属を合金化させただけの粉末は、一般に中実かつ硬質で変形しにくいため、圧紛体の成形時に粒子間に隙間を生じやすい。従って、焼結後に粗大気孔を生じる要因となる。これに対し、多孔質の銅合金粉を使用すれば、粉末が軟化されているため、原料粉の圧縮性が向上して粒子間に隙間を生じ難くなり、焼結後の粗大気孔の発生を抑制することができる。
加えて、本発明者らの検証により、銅系粉として多孔質の銅合金粉を使用すれば、焼結後の焼結体は圧紛体よりも収縮することが明らかになった。具体的には圧紛体に対する焼結体の寸法変化率が、内径寸法および外径寸法とも0.995〜0.999程度となった。これは、多孔質の銅合金粉が焼結時に周辺の銅粒子(部分拡散合金粉の銅粉および他の銅合金粉)を引き付ける作用を奏するためと考えられる。これに対し、多孔質ではない銅合金粉を使用した既存の銅鉄系焼結体では、焼結時には圧紛体の状態よりも膨張するのが通例である。このように焼結時に焼結体が収縮することで、焼結組織が緻密化されるため、粗大気孔の発生をさらに確実に抑制することが可能となる。
これらの作用を通じて、表面気孔の面積を0.005mm2以下の焼結体を得ることができ、粗大気孔の発生を防止することが可能となる。因みに、軸受面の表面開孔率は、面積比で4%以上15%以下となる。また、焼結体における通油度は0.05〜0.025g/10分となる。ここでいう「通油度」は、多孔質のワークが、その多孔質組織を介してどの程度潤滑油を流通させることができるのかを定量的に示すためのパラメータ[単位:g/10min]である。通油度は、室温(26〜27℃)環境下で円筒状試験体の内周孔を0.4MPaの加圧力を負荷しながら潤滑油で満たし、試験体の外径面に開口した表面開孔から滲み出して滴下した油を採取することで求めることができる。
このように本発明によれば、軸受面に生じる粗大気孔をなくし(表面気孔の最大面積が0.005mm2)、表面開孔の大きさを均一化することができる。これにより軸受面8aでの圧力逃げを抑制して油膜形成率を高めることができるため、低速回転および高速回転を問わず、高い油膜剛性を確保して軸を安定的に支持することが可能となる。そのため、動圧発生溝を有しない真円軸受の形態であっても、動圧発生溝付きの焼結軸受と同等の軸受性能を得ることができ、動圧発生溝付き焼結軸受の代替え品として用いることが可能となる。特に動圧溝付きの焼結軸受では、周速5m/min以下の領域では、動圧効果が十分得られないために使用が困難となるが、本発明の焼結軸受であれば、周速5m/min以下の低速領域でも安定して軸を支持できるメリットが得られる。
また、図6に示す粗大粒子では、銅粉の体積に比べて拡散接合部の面積が小さくなるため、両者の接合強度が低下する。そのため、部分拡散合金粉を篩掛けした際には、その衝撃で銅粒子が鉄粒子から脱落し易くなる。この場合、原料粉中には小粒径の単体銅粉が多数混入した状態となるため、原料粉の流動性が低下し、銅の偏析を招く要因となる。これに対し、本願発明では、部分拡散合金粉の製造に使用する銅粉13の最大粒径を制限しているため、部分拡散合金粉は総じて図3に示すように形態を有する。この場合、銅粉13の体積に比べて拡散接合部の面積が相対的に大きくなるため、鉄粉12と銅粉13の接合強度が高まる。従って、篩掛けを行った際にも銅粉が脱落し難くなり、上記の弊害を防止することができる。
図7に本発明品と比較品の油膜形成率の測定結果を示す。なお、比較品としては、100メッシュ以下の鉄粉を核とする銅被覆鉄粉を用いた焼結軸受を用いている。
油膜形成率は、図8に示す回路を使用し、サンプルとして軸と焼結軸受を組み合わせたものをセットした上で電圧を測定することにより求めている。検出電圧が0[V]であれば油膜形成率は0%であり、検出電圧が電源電圧と等しければ油膜形成率は100%である。油膜形成率100%は軸と焼結軸受が非接触状態にあることを意味し、油膜形成率0%は軸と焼結軸受が接触したことを意味する。図7の横軸は、時間を表す。測定条件として、軸の回転数は2000min-1、軸のスラスト荷重は0.2Nに設定している。
図7からも明らかなように、比較品は軸と焼結軸受が頻繁に接触していると考えられるのに対し、本発明品はほぼ非接触状態が維持されている。従って、比較品と比べ、本発明品の方がより良好な油膜形成率を得られることが確認された。
以上、本発明に係る焼結軸受の使用例としてファンモータを例示したが、本発明にかかる焼結軸受の適用対象はこれに限定されず、種々の用途に使用することができる。
また、焼結軸受8の軸受面8aの内周面に動圧発生溝を形成しない場合を説明したが、必要に応じて軸受面8aに複数の動圧発生溝を形成することができる。動圧発生溝は軸2の外周面に形成することもできる。
1 軸受装置
2 軸部材
8 焼結軸受
8a 内周面(軸受面)
11 部分拡散合金粉
12 鉄粉
13 銅粉

Claims (4)

  1. 鉄粉の表面に銅粉を付着させたFe−Cu部分拡散合金粉と、銅をベースとする銅系粉とを含む圧粉体を焼結させてなる焼結軸受において、
    前記銅系粉として、銅に銅よりも低融点の低融点金属を合金化させた多孔質の銅合金粉を使用し、前記部分拡散合金粉の粒径が106μmを超えておらず、前記部分拡散合金粉の銅粉の最大粒径が10μm以下であることを特徴とする焼結軸受。
  2. 軸受面を動圧発生溝のない円筒面状にした請求項1に記載の焼結軸受。
  3. 鉄粉の表面に銅粉を部分拡散により付着させた部分拡散合金粉と、銅をベースとする銅系粉とを含む圧紛体を焼結させて焼結軸受を製造する際に、
    銅系粉として、銅に銅よりも低融点の低融点金属を合金化させた多孔質の銅合金粉を使用し、部分拡散合金粉の粒径が106μmを超えておらず、前記部分拡散合金粉の銅粉の最大粒径が10μm以下であることを特徴とする焼結軸受の製造方法。
  4. 銅合金粉を焼鈍することで多孔質化させる請求項3に記載の焼結軸受の製造方法。
JP2016187265A 2016-09-08 2016-09-26 焼結軸受およびその製造方法 Active JP6836366B2 (ja)

Priority Applications (6)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016187265A JP6836366B2 (ja) 2016-09-26 2016-09-26 焼結軸受およびその製造方法
PCT/JP2017/032364 WO2018047923A1 (ja) 2016-09-08 2017-09-07 焼結軸受及びその製造方法
CN201780054247.3A CN109890539B (zh) 2016-09-08 2017-09-07 烧结轴承及其制造方法
US16/329,256 US20190186532A1 (en) 2016-09-08 2017-09-07 Sintered bearing and process for producing same
KR1020197009979A KR102331498B1 (ko) 2016-09-08 2017-09-07 소결 베어링 및 그 제조 방법
DE112017004520.7T DE112017004520T5 (de) 2016-09-08 2017-09-07 Sinterlager und Prozess zu dessen Herstellung

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016187265A JP6836366B2 (ja) 2016-09-26 2016-09-26 焼結軸受およびその製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018053929A JP2018053929A (ja) 2018-04-05
JP6836366B2 true JP6836366B2 (ja) 2021-03-03

Family

ID=61836368

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016187265A Active JP6836366B2 (ja) 2016-09-08 2016-09-26 焼結軸受およびその製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6836366B2 (ja)

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6302259B2 (ja) * 2014-01-20 2018-03-28 Ntn株式会社 焼結軸受の製造方法
JP6389038B2 (ja) * 2013-10-03 2018-09-12 Ntn株式会社 焼結軸受およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2018053929A (ja) 2018-04-05

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5384014B2 (ja) 焼結軸受
JP2005082867A (ja) 鉄銅系焼結含油軸受用合金の製造方法
JP5675090B2 (ja) 焼結含油軸受及びその製造方法
JP6816079B2 (ja) 振動モータ
US10536048B2 (en) Method for manufacturing sintered bearing, sintered bearing, and vibration motor equipped with same
JP2010077474A (ja) 鉄系焼結軸受およびその製造方法
JP6921046B2 (ja) 焼結軸受の製造方法
JP6114512B2 (ja) 焼結軸受およびその製造方法
JP6302259B2 (ja) 焼結軸受の製造方法
JP6836364B2 (ja) 焼結軸受およびその製造方法
JP7068885B2 (ja) 焼結軸受およびその製造方法
US10753395B2 (en) Oil-impregnated sintered bearing and method for manufacturing same
JP6836366B2 (ja) 焼結軸受およびその製造方法
WO2018047923A1 (ja) 焼結軸受及びその製造方法
JP5558041B2 (ja) Fe系焼結金属製軸受およびその製造方法
WO2018181706A1 (ja) 焼結軸受およびその製造方法
JP6855194B2 (ja) 焼結軸受及びその製造方法
JP2017078183A (ja) 焼結軸受
JP6874255B1 (ja) 焼結含油軸受及びカーボンファイバー含有焼結部品の製造方法
JP6487957B2 (ja) 焼結軸受
JP6571230B2 (ja) 焼結軸受
JP2018179018A (ja) 多孔質動圧軸受

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20190826

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20200709

A601 Written request for extension of time

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601

Effective date: 20200904

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201102

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210115

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210205

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6836366

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150