JP6835495B2 - 係留索及び木造建築物 - Google Patents
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すなわち、本発明に係る係留索は、基礎部の上部に上下方向に複数層の建物ユニットが設置された建築物において、前記建物ユニットに形成された上下方向を向く貫通孔内に配置された係留索であって、上下に積層される複数層の前記建物ユニット同士を連結し、地震時に引張軸力を負担するワイヤーと、前記上下方向を軸線方向として筒状に形成され、前記上下方向に隣接配置され、内部に前記ワイヤーが配置された複数の筒状部材と、を備え、隣接配置された前記筒状部材同士の連結部において、前記筒状部材が互いに当接離反するように構成されていることを特徴とする。
また、隣接配置された筒状部材は互いに連結される連結部において互いに当接離反するように構成されているため、地震時に建築物が水平変位する際には、建築物の水平変位に応じて、隣接配置された筒状部材は柔軟に変形することができる。
図1は、本発明の一実施形態に係る木造建築物の縦断面図である。
木造積層建物は、例えばオフィス、教育施設、複合施設等の用途で用いられる高層の木造建築物を対象としている。図1に示すように、木造積層建物1は、基礎部11に設置され、上下方向Yに配置された複数の木造ユニット(建物ユニット)2と、ロッキング支承(支承装置)3と、係留索4と、を備える。
本実施形態では、木造積層建物1は、5層の木造ユニット2A、2B、…2Eが積層されている。なお、本実施の形態では、各木造ユニット2A〜2Eは、それぞれ同形状で、上方から見た平面視で正方形状をなしている。
図2(a)及び図3に示すように、ロッキング支承3は、上部木キャピタル(上部支持体)31と、下部木キャピタル(下部支持体)32と、木束柱(束柱)33と、を有している。
本実施形態では、上部木キャピタル31は、平面視において円状に形成され、上部規制部31aは環状に形成されている。上部木キャピタル31は、上側の木造ユニット2に螺子や釘等(不図示)により固定されている。
本実施形態では、下部木キャピタル32は、平面視において円状に形成され、下部規制部32aは環状に形成されている。下部木キャピタル32は、下側の木造ユニット2には螺子や釘等(不図示)により固定され、基礎部11にはボルト等(不図示)で固定されている。
図1に示すように、係留索4は、底版23、天版22及び中間床25等の貫通孔2bの内面と隙間T(図4参照)を有して配置されている。換言すると、係留索4の径は、貫通孔2bの径よりも十分に小さい。
本実施形態では、ワイヤー47として、複数の鋼素線等の素線(不図示)を撚り合わせて構成されたストランド(小縄)が、繊維心(不図示)を中心に複数巻き付けられたワイヤーロープが採用されている。引張強度が高いとともに、耐衝撃性にも優れている。
図5(b)に示すように、小変形時には、ロッキング支承3(図1参照)の回転により鉛直変位が生じ、木造ユニット2間で水平変位が生じる。また、係留索4による引張軸力が傾斜復元力を負荷する。
図6に示すように、ロッキング支承3単体では変形が所定の範囲を超えると復元力が低下するが、ロッキング支承3と係留索4とを組み合わせることで、大変形時でもロッキング支承3の復元力が確保され、変形性能の優れたシステムを提供することができる。
次に、上記のロッキング支承3及び係留索4を設置した建物において、解析を行った。本解析モデルの条件は、図1及び図7に示す通りであり、以下の通りである。建物平面形状は36×36m、建物は3層高さ14mの木造ユニット2を5段積層した15階建て80mである。延べ床面積は、19,440m2、建物総重量185,000kNである。木造ユニット2間の上下方向の隙間Tは2mである。基礎部11と木造ユニット2Eとの間には1500φのロッキング支承3が93箇所に設置され、木造ユニット2Eと木造ユニット2Dとの間には1500φのロッキング支承3が77箇所に設置され、木造ユニット2Dと木造ユニット2Cとの間には1500φのロッキング支承3が57箇所に設置され、木造ユニット2Cと木造ユニット2Bとの間には1000φのロッキング支承3が40箇所に設置され、木造ユニット2Bと木造ユニット2Aとの間には800φのロッキング支承3が40箇所に設置されている。最下層の軸力は約2,000kN/1台、σc=1.2N/mm2である。
図8(a)に示すように、モデル1はモデル3に比べて、上層で応答が低減されている。また、図8(b)に示すように、モデル2は係留索4が無いため5層で偏位過大となるが、モデル1では係留索4の効果が認められている。
ただし、上記の計算は一例であり、ロッキング支承3のプロポーションや台数の組み合わせにより、木造ユニット2間の過大な変形を抑制するフェールセーフのための仕組みとして、係留索を計画することも可能である。
2…木造ユニット(建物ユニット)
2b…貫通孔
3…ロッキング支承(支承装置)
4…係留索
11…基礎部
31…上部木キャピタル(上部支持体)
32…下部木キャピタル(下部支持体)
33…木束柱(束柱)
31a…上部規制部
32a…下部規制部
34…楔芯材
35…積層材
36…積層ブロック
37…積層板
38…結束バンド
41…筒状体
42…筒状部材
43…環状段部
44…環状突起
45…連結部
47…ワイヤー
S…空間部
T…隙間
Claims (5)
- 基礎部の上部に上下方向に複数層の建物ユニットが設置された建築物において、前記建物ユニットに形成された上下方向を向く貫通孔内に配置された係留索であって、
上下に積層される複数層の前記建物ユニット同士を連結し、地震時に引張軸力を負担するワイヤーと、
前記上下方向を軸線方向として筒状に形成され、前記上下方向に隣接配置され、内部に前記ワイヤーが配置された複数の筒状部材と、を備え、
隣接配置された前記筒状部材同士の連結部において、前記筒状部材が互いに当接離反するように構成されていることを特徴とする係留索。 - 下端が前記基礎部に連結されていることを特徴とする請求項1に記載の係留索。
- 前記連結部は、前記筒状部材同士が嵌合されて構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の係留索。
- 前記貫通孔と前記係留索の外周面との間には、隙間が形成されていることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の係留索。
- 基礎部と、
該基礎部の上部に上下方向に複数層設置され、木造で構成された建物ユニットと、
請求項1から4のいずれか一項に記載の係留索と、を備えることを特徴とする木造建築物。
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JP2016138899A JP6835495B2 (ja) | 2016-07-13 | 2016-07-13 | 係留索及び木造建築物 |
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JP2018009359A JP2018009359A (ja) | 2018-01-18 |
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