JP6835311B2 - 環状エーテルの生分解処理方法 - Google Patents

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本発明は、1,4−ジオキサン分解菌による効率的な環状エーテルの生分解処理方法に関する。
1,4−ジオキサンは、下記式(1)で表される環状エーテルである。1,4−ジオキサンは、水や有機溶媒との相溶性に優れており、主に有機合成の反応溶剤として使用されている。
2010年度の日本国における1,4−ジオキサンの製造・輸入量は、約4500t/年であり、約300t/年が環境中へ放出されたと推測される。1,4−ジオキサンは、水溶性であるため、水環境中へ放出されると広域に拡散してしまう。また、揮発性、固体への吸着性、光分解性、加水分解性、生分解性がいずれも低いため、水中からの除去が困難である。1,4−ジオキサンは急性毒性及び慢性毒性を有する上、発がん性も指摘されていることから、1,4−ジオキサンによる水環境の汚染は、人や動植物に悪影響を及ぼすことが懸念されている。そのため、日本国では、水道水質基準(0.05mg/L以下)、環境基準(0.05mg/L以下)及び排水基準(0.5mg/L以下)により、1,4−ジオキサンの規制がなされている。
また、非特許文献1には、1,4−ジオキサンを含む産業廃水には、1,4−ジオキサンの他に1,3−ジオキソラン及び2−メチル−1,3−ジオキソランといった環状エーテルが含まれていることが報告されている。特に1,3−ジオキソランは、急性毒性等の毒性が確認されており、1,3−ジオキソランを含む汚染水等は適切に処理しなければならない。
従来の活性汚泥法や活性炭吸着法等の処理方法では、水中から1,4−ジオキサン等の環状エーテルを十分に除去することができない。例えば、1,4−ジオキサンは、過酸化水素を添加してのオゾン処理(O/H)、紫外線照射下でのオゾン処理(O/UV)、放射線や超音波照射下でのオゾン処理等、複数の物理化学的な酸化方法を併用する促進酸化法においてのみ、処理の有効性が確認されている。しかし、促進酸化法はイニシャルコスト及びランニングコストが高いことから普及に至っていない。また、非特許文献2には、1,4−ジオキサン以外の有機物が存在すると、促進酸化法による1,4−ジオキサンの処理効率が低下することが報告されている。
低コストかつ安定的に1,4−ジオキサン等の環状エーテルを含む水を処理する方法が求められており、特許文献1、非特許文献3では、1,4−ジオキサン分解菌による1,4−ジオキサン処理が提案されている。1,4−ジオキサン分解菌には、1,4−ジオキサンを単一炭素源として分解する菌(資化菌)と、テトラヒドロフラン等の特定の基質の存在下にて1,4−ジオキサンを分解できる菌(共代謝菌)の2種類に大別される。そのため、地下水や廃水等に含まれる1,4−ジオキサンを1,4−ジオキサン分解菌で処理する場合、特定の基質を添加する必要がない資化菌を活用する方が効率的である。
資化菌は、さらに1,4−ジオキサン分解酵素の誘導の有無によって、誘導型と構成型に分けられる。非特許文献4に記載されているように、誘導型1,4−ジオキサン分解菌は、1,4−ジオキサンなどの誘導物質が存在することで分解酵素の生産・分泌がされるため、1,4−ジオキサン処理に用いる前に予め馴養する必要がある。一方、構成型1,4−ジオキサン分解菌は、常時、分解酵素を生産しているため、馴養することなく、直ちに1,4−ジオキサン処理に用いることができる。
本発明者らは、特許文献2において、構成型1,4−ジオキサン分解菌であるN23株を報告している。N23株は、これまでに報告されている構成型1,4−ジオキサン分解菌の中で、最も高い1,4−ジオキサン最大比分解速度を示し、1,4−ジオキサンを始めとする環状エーテルの生分解に非常に有望である。
非特許文献5、6では、これらの1,4−ジオキサン分解菌が有するTHFモノオキシゲナーゼが1,4−ジオキサンの分解に関与していることが報告されている。THFモノオキシゲナーゼは、多様な炭化水素類の初発酸化を担っている可溶性鉄(II)モノオキシゲナーゼ(SDIMO)の一種に分類されており、SDIMOには他にメタン/プロパンモノオキシゲナーゼ等が含まれている(非特許文献7)。また、非特許文献6では、THFモノオキシゲナーゼ以外のSDIMOを有する菌も1,4−ジオキサンを分解する可能性のあることが報告されている。
しかし、1,4−ジオキサン分解菌における環状エーテル分解酵素は、未だ決定されていない。
ここで、1,4−ジオキサン分解菌は増殖が極めて遅く、他の微生物が混入していると他の微生物が優先的に増殖してしまう。そのため、1,4−ジオキサン分解菌を培養するには、他の雑菌が混入しないように、事前に培養装置や培地を十分に滅菌する必要がある。滅菌処理には、オートクレーブを用いる蒸気滅菌、オーブン等で加熱する乾熱滅菌、ガンマ線を用いる放射線滅菌、エチレンオキサイドガスを用いる化学滅菌等の方法がある。しかし、滅菌のための設備が大規模になりすぎる、エネルギーコストがかかりすぎる、使用する薬品量が膨大となりコスト・安全性の点で問題がある等、いずれの滅菌方法も、大規模スケールで行うことは困難である。
本発明者らは、特許文献3において、ジエチレングリコールを含む培地を用いて1,4−ジオキサン分解菌を増やす1,4−ジオキサン分解菌の培養方法を提案した。1,4−ジオキサン分解菌は、他の微生物と比較してジエチレングリコールを炭素源として利用する能力に優れているため、ジエチレングリコールを含有する培地を用いることにより、滅菌処理を行うことなく、他の微生物が生息している条件下でも優先的に増殖することができる。
特開2008−306939号公報 国際公開第2016/181802号 特許第5877918号公報
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1,4−ジオキサン分解菌による環状エーテルの分解活性を向上する方法を提供することを課題とする。
1.環状エーテルを含む汚染水を、Mn2+濃度が0.0001mg/L(0.0001ppm)以上100mg/L(100ppm)以下の条件下において、1,4−ジオキサン分解菌で生分解処理することを特徴とする環状エーテルの生分解処理方法。
2.前記1,4−ジオキサン分解菌が、シュードノカルディア属(Pseudonocardia sp.)であることを特徴とする1.に記載の生分解処理方法。
3.前記1,4−ジオキサン分解菌が、N23株(受託番号:NITE BP−02032)、シュードノカルディア属(Pseudonocardia sp.)D17株(受託番号:NITE BP−01927)のいずれかであることを特徴とする1.または2.に記載の生分解処理方法。
4.前記環状エーテルが、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、2−メチル−1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフランのいずれか1種以上を含むことを特徴とする1.〜3.のいずれかに記載の生分解処理方法。
環状エーテルを含む汚染水のMn2+濃度を0.0001mg/L(0.0001ppm)以上100mg/L(100ppm)以下とするだけで、1,4−ジオキサン分解菌による環状エーテルの分解活性を向上することができ、環状エーテルの生分解処理を効率的に行うことができる。
標準活性汚泥法における汚染水処理フロー図。 実験1における微量金属とN23株によるジオキサン分解活性との経時での関係を示す図。 実験1における微量金属とD17株によるジオキサン分解活性との経時での関係を示す図。 実験1における微量金属とジオキサン分解活性との経時での関係を示す図。 実験2におけるD17株によるジオキサン分解活性とMn2+濃度との経時での関係を示す図。
本発明は、1,4−ジオキサン分解菌による環状エーテルの分解活性を向上する方法に関する。
1,4−ジオキサン分解菌の環状エーテル分解酵素の構造は未だ決定されていないが、本発明者らは、鋭意研究の結果、Mn2+イオンを添加することにより、1,4−ジオキサン分解菌の環状エーテル分解活性が有意に向上することを見出した。すなわち、1,4−ジオキサン分解菌の環状エーテル分解酵素において、Mn2+イオンが何らかの形で補因子として作用し、環状エーテル分解酵素の触媒活性に作用していることが強く示唆される。
Mn2+イオンの濃度は、1,4−ジオキサン分解菌による環状エーテルの分解活性を向上させることのできるものであれば特に制限されないが、0.0001mg/L(0.0001ppm)以上100mg/L(100ppm)以下の範囲である。環状エーテル分解酵素におけるMn2+イオンの役割は不明であるが、1,4−ジオキサン分解菌による環状エーテルの分解活性は、低濃度のMn2+イオンにより有意に向上し、また、高濃度のMn2+イオンにより阻害されない。
本発明で使用する1,4−ジオキサン分解菌としては特に制限されず、マイコバクテリウム属(Mycobacterium sp.)、シュードノカルディア属(Pseudonocardia sp.)、アフピア属(Afipia sp.)、ロドコッカス属(Rhodococcus sp.)、フラボバクテリウム属(Flavobacterium sp.)、メチロサイナス属(Methylosinus sp.)、バークホルデリア属(Burkholderia sp.)、ラルストニア属(Ralstonia sp.)、コルディセプス属(Cordyceps sp.)、キサントバクター属(Xanthobacter sp.)、アシネトバクター属(Acinetobacter sp.)、等に属するものを用いることができる。
分解菌には、1,4−ジオキサンを単一炭素源として分解及び資化可能な菌と、テトラヒドロフランなどの他の成分の存在下で共代謝反応によって1,4−ジオキサンの分解を行う菌との2種に大別される。本発明で使用する分解菌としては特に制限されないが、構成型1,4−ジオキサン分解菌であるN23株(以下、N23株という。)、Pseudonocardia sp. D17、Mycobacterium sp. D11、Mycobacterium sp.D6、Pseudonocardia dioxanivorans CB1190、Afipia sp. D1、Mycobacterium sp. PH-06、Pseudonocardia benzenivoransB5、Flavobacterium sp.、Pseudonocardia sp. ENV478、Pseudonocardia tetrahydrofuranoxydans K1、Rhodococcus ruber T1、Rhodococcus ruber T5、Methylosinus trichosporium OB3b、Mycobacterium vaccae JOB5、Burkholderia cepacia G4、Pseudomonas mendocina KR1、Pseudonocardia tetrahydrofuranoxydans K1、Ralstonia pickettii PKO1、Rhodococcus sp. RR1、Acinetobacter Baumannii DD1、Rhodococcus sp. 219、Pseudonocardia antarctica DVS 5a1、Cordyceps sinesis A、Rhodococcus aetherivorans JCM14343などが好ましい。これらの中で、1,4−ジオキサンの分解能が高いN23株、Pseudonocardia sp. D17、Mycobacterium sp. D11及びPseudonocardia dioxanivorans CB1190が特に好ましい。
N23株は、受託番号NITE BP−02032として、独立行政法人 製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(NPMD)(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8(郵便番号292−0818))に、2015年4月10日付で国際寄託されている。N23株は、グラム染色性が陽性、カタラーゼ反応が陽性である。また、上記Pseudonocardia tetrahydrofuranoxydans K1と近縁であり、Pseudonocardia属である。
Pseudonocardia sp. D17(以下、D17株という)は、受託番号受託番号NITE BP−01927として、独立行政法人 製品評価技術基盤機構 特許微生物寄託センター(NPMD)(日本国千葉県木更津市かずさ鎌足2−5−8(郵便番号292−0818))に、2014年8月29日付で国際寄託されている。
N23株、D17株は、1,4−ジオキサンだけでなく、1,3−ジオキソラン、2−メチル−1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン等の環状エーテルを効率よく分解することができる。また、複数の環状エーテルを同時に処理することもできる。そのため、N23株は、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、2−メチル−1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン等の環状エーテルの処理に好適に利用することができる。
N23株、D17株は、構成型1,4−ジオキサン分解菌であり1,4−ジオキサン等を用いて馴養する必要がなく、高い1,4−ジオキサン最大比分解速度を有し、環状エーテルの生分解処理に好適に利用することができる。
1,4−ジオキサン分解菌は、好気性菌であるため、その活動には酸素が必要である。そのため、1,4−ジオキサン分解菌を、環状エーテルを含む汚染水に注入し、好気的環境下とすることで、分解菌による環状エーテルの生分解処理を行うことができる。
図1に、曝気槽を用いる標準活性汚泥法における汚染水処理フローの例を示す。標準活性汚泥法では、曝気槽において有用微生物による生物処理を行っている。曝気槽には、散気管が配設されており、散気管から気泡が曝気槽内の水に供給され、この気泡から水中に酸素が溶解し、有用微生物による代謝・資化により、有機物が処理される。
曝気槽は好気的環境下であるため、曝気槽に1,4−ジオキサン分解菌を注入するだけで、汚染水中に含まれる環状エーテルを処理することができる。環状エーテル処理の方法は特に制限されず、例えば、1)汚染水の1,4−ジオキサン分解菌による生分解処理工程、2)1,4−ジオキサン分解菌を含む活性汚泥を沈殿させ、処理後の上澄みを排水する排水工程、3)新たな汚染水を投入する汚染水投入工程を、1)→2)→3)→1)→・・・と、この順で繰り返すいわゆるフェッドバッチプロセス、曝気槽の上流からの汚染水の投入と下流からの処理水の排水とを同量で連続的に行う連続プロセス等により行うことができる。曝気槽での初期環状エーテル濃度が高く、環状エーテル処理速度が早いため、フェッドバッチプロセスが好ましい。また、培養液ではなく、培養液からろ別等した分解菌をそのまま、凍結保存した菌体、L−乾燥保存した菌体、凍結乾燥した菌体、分解菌を樹脂等に固定化した固定化担体、または、培養液を濃縮した懸濁液等として注入することもできる。
「実験1」微量金属による影響のスクリーニング調査
1,4−ジオキサン分解菌として、N23株、D17株を使用した。
1,4−ジオキサン500mg/Lを含む無機塩寒天培地(1g/L KHPO、1g/L (NHSO、50mg/L NaCl、200mg/L MgSO・7HO、10mg/L FeCl、50mg/L CaCl)で生育した各菌株を、それぞれ300mL容のバッフル付三角フラスコ中のMGY培地100mLに一白金耳植菌し、28°C、120rpmの条件下で回転振盪培養(BR−3000LF、タイテック株式会社)し、十分量まで培養した(前培養)。
前培養した菌体を、遠心分離(8500×g、4°C、5分)によって回収し、Fe3+を含まない無機塩培地(1g/L KHPO、1g/L (NHSO、50mg/L NaCl、200mg/L MgSO・7HO、50mg/L CaCl)で2回洗浄して、分解試験に用いた。
1,4−ジオキサンを100mg−C/L、下記表1に記載の各金属化合物をそれぞれ2mg−金属/Lになるように添加したFe3+を含まない無機塩培地20mLを50mL容バイアル瓶中に分注し、ここに菌体量が50mg−TSS/Lになるように植種した。このバイアル瓶を、低温恒温チャンバー(FMC−1000、東京理化器械株式会社)内に設置したマルチシェーカー(MMS−110、東京理化器械株式会社)を用いて、28℃、120rpmの条件下で回転振盪培養を行い、分解試験を行った。試験期間は3日間(72時間)とした。また、1,4−ジオキサン100mg−C/L、各金属を2mg−金属/Lになるように添加したFe3+を含まない無機塩培地の無菌系での試験も同時に行った。
培養液の一部を0、1、2、3日後に採取し、1,4−ジオキサンの残存濃度をGC−FID(GC−2014、株式会社島津製作所)で測定した。なお、各条件下における分解試験は3連で行った。
N23株、D17株、無菌系における、金属と1,4−ジオキサン残存率との経時での関係をそれぞれ図2〜4に示す。なお、図2〜4において、BSM−Feが、金属を添加していないFe3+を含まない無機塩培地、Controlが無菌系である。
N23株は、Mn2+の存在下で1,4−ジオキサン分解活性が大きく向上することが確かめられた。また、N23株は、様々な金属で1,4−ジオキサン分解活性が向上したが、Cu2+の存在下では1,4−ジオキサン分解活性が阻害された。
D17株は、Mn2+の存在下で1,4−ジオキサン分解活性が大きく向上することが確かめられた。また、D17株は、様々な金属で1,4−ジオキサン分解活性がやや阻害され、特にCu2+の存在下では1,4−ジオキサン分解活性が大きく阻害された。
無菌系は、金属の種類に関わらず、1,4−ジオキサン濃度はほぼ一定であり、金属イオンそのものが1,4−ジオキサンの分解には影響を及ぼさないことが確認できた。
「実験2」Mnの濃度依存性の検討
1,4−ジオキサン分解菌として、D17株を使用した。
上記実験1に準じて、前培養と菌体洗浄を行った。
1,4−ジオキサンを100mg−C/L、Mn2+を所定の濃度で添加したFe3+を含まない無機塩培地20mLを50mL容のバイアル瓶に分注し、ここに菌体量が50mg−TSS/Lになるように植種した。このバイアル瓶を、低温恒温チャンバー(FMC−1000、東京理化器械株式会社)内に設置したマルチシェーカー(MMS−110、東京理化器械株式会社)を用いて、28℃、120rpmの条件下で回転振盪培養を行い、分解試験を行った。試験期間は3日間(72時間)とした。
培養液の一部を0、1、2、3日後に採取し、1,4−ジオキサンの残存濃度をGC−FIDで測定した。なお、各条件下における分解試験は3連で行った。
Mn2+濃度と1,4−ジオキサン残存率との経時での関係を図5に示す。
D17株は、Mn2+濃度が0.001mg/L以上50mg/L以下という広い範囲で分解活性が向上することが確認できた。

Claims (4)

  1. 環状エーテルを含む汚染水を、Mn2+濃度が0.0001mg/L(0.0001ppm)以上100mg/L(100ppm)以下の条件下において、
    1)汚染水の1,4−ジオキサン分解菌による生分解処理工程、2)1,4−ジオキサン分解菌を含む活性汚泥を沈殿させ、処理後の上澄みを排水する排水工程、3)新たな汚染水を投入する汚染水投入工程を、1)→2)→3)→1)→・・・と、この順で繰り返すフェッドバッチプロセスにより、シュードノカルディア属(Pseudonocardia sp.)である1,4−ジオキサン分解菌で生分解処理することを特徴とする環状エーテルの生分解処理方法。
  2. 環状エーテルを含む汚染水を、Mn 2+ 濃度が0.0001mg/L(0.0001ppm)以上100mg/L(100ppm)以下の条件下において、
    上流からの汚染水の投入と下流からの処理水の排水とを同量で連続的に行う連続プロセスにより、シュードノカルディア属(Pseudonocardia sp.)である1,4−ジオキサン分解菌で生分解処理することを特徴とする環状エーテルの生分解処理方法。
  3. 前記1,4−ジオキサン分解菌が、N23株(受託番号:NITE BP−02032)、シュードノカルディア属(Pseudonocardia sp.)D17株(受託番号:NITE BP−01927)のいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の生分解処理方法。
  4. 前記環状エーテルが、1,4−ジオキサン、1,3−ジオキソラン、2−メチル−1,3−ジオキソラン、テトラヒドロフランのいずれか1種以上を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の生分解処理方法。
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