以下、本発明に係るテンプレートの製造方法およびテンプレートの各実施形態について詳しく説明する。
<テンプレートの製造方法>
まず、本発明に係るテンプレートの製造方法について説明する。
(第1の実施形態)
図1は、本発明に係るテンプレートの製造方法の第1の実施形態の一例を説明する図である。なお、図1は、本実施形態の各工程における転写パターン領域20とアライメントマーク領域30の関係を説明するために、転写パターン領域20とアライメントマーク領域30の断面を模式的に拡大したものである。
本実施形態においては、まず図1(a)に示すように、主面2に、転写パターン領域20とアライメントマーク領域30を有し、アライメントマーク領域30に凹部31と凸部32から構成されるアライメントマークが形成されている凹凸基板1aを準備する。
凹凸基板1aは、上記の図10に例示した凹凸基板101と同様に、アライメントマークの凹部31に高屈折率材料膜を有していない従来のテンプレートに相当するものである。
凹凸基板1aを構成する材料は、ナノインプリントリソグラフィに用いられるテンプレートとして適用できるものであれば特に限定されないが、一般的には合成石英ガラスが好適に用いられる。
転写パターン領域20に形成される転写パターンは、例えば、本実施形態の製造方法によって得られるテンプレート10が半導体用途のテンプレートならば回路パターンなどである。アライメントマーク領域30に形成されるアライメントマークは、凹部31と凸部32で構成されるものである。
なお、図1(a)においては、煩雑となるのを避けるため、アライメントマーク領域30に形成されるアライメントマークが2個の凹部31と1個の凸部32で構成されている形態を模式的に示しているが、実際には、アライメントマーク領域30に形成されるアライメントマークは、より多くの凹部31と凸部32の繰り返しパターンで構成されている。
図2は、本実施形態において準備する凹凸基板の一例を説明する図である。ここで、図2(a)は、凹凸基板1aの概略平面図を示し、図2(b)は、凹凸基板1aのアライメントマーク領域30の概略平面拡大図を示す。
図2に示す例において、凹凸基板1aは、転写パターン領域20とアライメントマーク領域30を有しており、アライメントマーク領域30には、凹部31と凸部32から構成されるアライメントマークが形成されている。
なお、図2に示す例においては、理解を容易とするために、転写パターン領域20、及び、アライメントマーク領域30の各領域を破線で囲んで示しているが、実際の凹凸基板1aにおいては、このような破線は存在しない。
また、図2(a)に示す例においては、転写パターン領域20の外側の上下左右方向にアライメントマーク領域30が合計4箇所設けられている形態が例示されているが、本実施形態はこれに限定されず、アライメントマーク領域30の配置箇所やその数は適宜変更されてよい。
また、図2(b)に示す例においては、アライメントマーク領域30に形成されているアライメントマークは、一の種類の凹部31と凸部32の繰り返しパターンで構成されている形態が例示されているが、本実施形態はこれに限定されず、例えば、アライメントマーク領域30に形成されているアライメントマークは、複数種の凹部31と凸部32から構成される物であっても良い。
なお、図2(b)に示す例においては、アライメントマーク領域30に形成されているアライメントマークは、ラインアンドスペースパターンの形態を有しているが、本実施形態はこれに限定されず、例えば、アライメントマークは、ホールやドットのアレイパターンの形態を有していても良い。
言い換えれば、図2(b)に示す例においては、凹部31及び凸部32は平面視においてライン状の形態を有しているが、本実施形態はこれに限定されず、例えば、凹部31はホール形状であっても良く、また、凸部32はドット形状であっても良い。
アライメントマーク領域30の大きさは、アライメント精度を確保できる大きさであれば特に制限されるものではないが、例えば、10μm×50μm〜100μm×500μmの範囲とすることができる。
アライメントマーク領域30に形成されるアライメントマークの凹部31の深さは、通常、転写パターン領域20に形成される転写パターンの深さと同程度になる。これは、通常、転写パターンとアライメントマークが同一工程のドライエッチングにより形成されるからである。凹部31の深さは、例えば、20nm〜100nmの範囲とすることができる。
また、上記のアライメントマークは例えば、30nm〜5μm幅の凹部31と凸部32の繰り返しパターンとすることができる。
次に、図1(b)に示すように、高屈折材料膜41を構成する材料を含有するインク40をアライメントマーク領域30に局所的に配設する。
上記のインク40をアライメントマーク領域30に局所的に配設する方法としては、ナノインプリントの技術分野で用いられているインクジェット方式によるものを好適に用いることができる。上記のインクジェット方式は、ナノインプリント分野で実績があり、インク40を所望の配設量で所望の位置に配設できるからである。
上記のように、本実施形態においては、高屈折材料膜41を構成する材料を含有するインク40を、インクジェット方式によってアライメントマーク領域30に局所的に配設する。それゆえ、転写パターン領域20には、高屈折材料膜41を構成する材料を含有するインク40が配設されることはなく、転写パターン領域20に異物の付着や欠陥を生じさせてしまうことを防止することができる。
本実施形態において、インク40に含まれる、高屈折材料膜41を構成する材料としては、凹凸基板1aを構成する材料(一般的には合成石英ガラス)よりも屈折率が高い材料であれば良く、例えば、クロム(Cr)、金(Au)、銀(Ag)、コバルト(Co)、銅(Cu)、鉄(Fe)、ニッケル(Ni)、パラジウム(Pd)、白金(Pt)及びスズ(Sn)から選択される一つ以上の金属、それらの酸化物、窒化物、酸窒化物、または合金などが挙げられる。
中でも、クロム(Cr)を含む材料を好適に用いることができる。クロム(Cr)は、フォトマスクのマスクパターンとしても用いられる材料であり、微細加工の分野において実績があるからである。
また、インク40に含まれる溶媒としては、トルエン、ヘキサン、ヘプタン、テトラデカン、クロロホルム、メチルクロライド、ブチルカルビトールアセテート(Butyl carbitol acetate)、エチルカルビトールアセテート(Ethyl carbitol acetate)、α−テルピネオール(α−Terpineol)、エタノール、アセトン、メタノールなどが挙げられる。
本実施形態においては、例えば、溶媒にトルエンを用い、クロム(Cr)を含む材料を10wt%〜60wt%の範囲で含有するインクを、上記のインク40として用いることができる。
また、本実施形態においては、インク40は界面活性剤を含有することが好ましい。
インク40の濡れ性を高めて、より効率良くアライメントマークを構成する各凹部31にインク40を流入させるためである。
含有する界面活性剤としては、例えば、フッ素系界面活性剤を使用する事が出来る。その含有量としては、例えば、0.1wt%〜10wt%の範囲とすることができる。
また、本実施形態においては、インク40の配設量は、アライメントマーク領域30に形成されたアライメントマークを構成する凹部31の全てを合わせた容積を満たす量以下であることが好ましい。アライメントマーク領域30よりも外側の領域に、インク40が濡れ広がっていくことを防止するためである。
ここで、インク40は流動性を有するため、配設されたインク40はアライメントマーク領域30を濡れ広がり、その配設量の大部分は凹部31に溜まることになる。それゆえ、インク40の配設量が、アライメントマーク領域30に形成されたアライメントマークを構成する凹部31の全てを合わせた容積を満たす量以下であっても、アライメントマークを構成する各凹部31の底面をインク40で覆うことは十分可能である。
なお、上記の「アライメントマーク領域30に形成されたアライメントマークを構成する凹部31の全てを合わせた容積」とは、例えば、図1(a)に示すように、アライメントマークが同じ形態の2個の凹部31から構成されており、その幅をW1、その深さをD1、その奥行の長さをL1(図示せず)とした場合に、V1=W1×D1×L1×2で表される容積V1のことを言う。
次に、図1(c)に示すように、インク40の溶媒を揮発させる。これにより、アライメントマーク領域30の主面2の上、及び、凹部31の底面の上に高屈折材料膜41が形成される。
この溶媒を揮発させる工程は、ベーク(焼成)工程を含んでいても良い。ベークすることで、インク40に含まれる高屈折材料膜41を構成する材料の粒子密度を向上させることができる。
ベーク(焼成)温度は、インク40に含まれる高屈折材料膜41を構成する材料等に依存するが、例えば、100℃〜300℃の範囲とすることができる。
ここで、本実施形態においては、上記のように、インク40の配設量の大部分は凹部31に溜まることになる。すなわち、インク40に含まれる高屈折材料膜41を構成する材料は、アライメントマーク領域30の主面2の上よりも、凹部31の底面の上に、多く存在することになる。
それゆえ、凹部31の底面の上に形成される高屈折材料膜41(図1(c)に示す41b)の膜厚T2は、アライメントマーク領域30の主面2の上に形成される高屈折材料膜41(図1(c)に示す41a)の膜厚T1よりも厚くなる。
次に、図1(d)に示すように、エッチング用ガス61を用いたドライエッチングにより、アライメントマークの凹部31の底面の上に形成された高屈折材料膜41(図1(d)に示す41b)を残しつつ、主面2から突出する高屈折材料膜41(図1(d)に示す41a)を除去する。
上記のように、凹部31の底面の上に形成される高屈折材料膜41(図1(c)に示す41b)の膜厚T2は、アライメントマーク領域30の主面2の上に形成される高屈折材料膜41(図1(c)に示す41a)の膜厚T1よりも厚い。
それゆえ、本実施形態においては、この膜厚差を利用して、アライメントマークの凹部31に形成された高屈折材料膜41(図1(d)に示す41b)を残しつつ、主面2から突出する高屈折材料膜41(図1(d)に示す41a)を除去することができる。
ここで、インク40に含まれる高屈折材料膜41を構成する材料としてクロムを含む材料を用いた場合には、エッチング用ガス61には塩素と酸素の混合ガスを用いることができる。
そして最終的に、図1(e)に示すように、主面2に、転写パターン領域20とアライメントマーク領域30を有し、アライメントマーク領域30に形成されているアライメントマークの凹部31の底面の上には、高屈折材料膜41が形成されているテンプレート10を得る。
なお、テンプレート10において、凹部31の底面の上に形成されている高屈折材料膜41(図1(e)に示す41b)の膜厚T3は、上記のエッチング用ガス61を用いたドライエッチングにより、図1(c)に示す高屈折材料膜41bの膜厚T2よりも薄くなる。
図3は、本実施形態において製造されるテンプレートの一例を説明する図である(図1(e)に相当)。ここで、図3(a)は、テンプレート10の概略平面図を示し、図3(b)は、テンプレート10のアライメントマーク領域30の概略平面拡大図を示す。
図3に示すように、テンプレート10は、転写パターン領域20とアライメントマーク領域30を有し、アライメントマーク領域30に形成されているアライメントマークの凹部31の底面の上には、高屈折材料膜41が形成されている。
なお、図3においては、理解を容易とするために、転写パターン領域20、及び、アライメントマーク領域30の各領域を破線で囲んで示しているが、本実施形態の製造方法によって製造される実際のテンプレートにおいては、このような破線は存在しない。
上記のように、本実施形態によれば、高屈折材料膜41を構成する材料を含有するインク40をアライメントマーク領域30に局所的に配設することにより、高屈折材料膜41をアライメントマーク領域30に局所的に形成でき、転写パターン領域20にはインク40の付着や高屈折材料膜41の形成が生じない。それゆえ、転写パターン領域20に異物の付着や欠陥を生じさせてしまうことを防止することができる。
そして、本実施形態によれば、アライメントマークの凹部31の底面の上に高屈折材料膜41が形成されているテンプレート10を製造することができ、このテンプレート10を用いることで、インプリントに際して凹部31が被転写樹脂によって充填された状態となっても、良好にアライメントマークを光学的に識別することができ、高精度な位置合わせが可能となる。
(第2の実施形態)
次に、本発明に係るテンプレートの製造方法の第2の実施形態について説明する。
図4は、本発明に係るテンプレートの製造方法の第2の実施形態の一例を説明する図である。ここで、図4においては、本実施形態の要部である溝構造33を含むアライメントマーク領域30の断面を模式的に拡大し、この模式的断面図を用いて各工程を説明する。
なお、上記の図1に示す凹凸基板1aと同様に、図4に示す凹凸基板1bにおいても、アライメントマーク領域30に形成されるアライメントマークが2個の凹部31と1個の凸部32で構成されている形態を模式的に示しているが、実際には、アライメントマーク領域30に形成されるアライメントマークは、より多くの凹部31と凸部32の繰り返しパターンで構成されている。
また、図5は、本発明に係るテンプレートの製造方法の第2の実施形態において準備する凹凸基板の一例を説明する図である。ここで、図5(a)は、凹凸基板1bの概略平面図を示し、図5(b)は、凹凸基板1bのアライメントマーク領域30の概略平面拡大図を示す。
図5に示すように、本実施形態において準備する凹凸基板1bは、アライメントマーク領域30の外縁に内接する溝構造33を有している。換言すれば、凹凸基板1bにおいては、アライメントマーク領域30に形成されるアライメントマークの全てが、溝構造33によって囲まれる領域に存在している。
それゆえ、本実施形態においては、アライメントマーク領域30に局所的に配設するインク40が、転写パターン領域20に濡れ広がって行くことを、より確実に防止でき、アライメントマーク領域30に形成される全てのアライメントマークの凹部31の底面の上に高屈折材料膜41を形成することを、より確実にできる。
なお、図5に示す例においては、溝構造33は、その外縁33a及び内縁33bが矩形状の平面形態を有しているが、本実施形態に係る溝構造33は、この形態に限定されず、アライメントマーク領域30に局所的に配設するインク40が、アライメントマーク領域30の外側の領域に濡れ広がって行くことを防止できるものであればよい。
例えば、溝構造33は、その外縁33a及び内縁33bが曲線から構成される平面形態を有していてもよく、また、多角形状や十字型の平面形態を有していてもよい。
以下、本実施形態に係るテンプレートの製造方法について、詳しく説明する。なお、上記の第1の実施形態と重複する事項については、煩雑となることを避けるため、適宜省略する。
図4(a)に示すように、本実施形態においても上記の第1の実施形態と同様に、まず凹凸基板1bを準備し、次に、図4(b)に示すように、高屈折材料膜41を構成する材料を含有するインク40をインクジェット方式によってアライメントマーク領域30に局所的に配設する。
ここで、インク40はアライメントマーク領域30全域に濡れ広がるが、凹凸基板1bには、アライメントマーク領域30の外縁に内接する溝構造33が設けられているため、この溝構造33に達したインク40は溝構造33に溜まることになり、インク40がアライメントマーク領域30の外側の領域に濡れ広がって行くことを防止できる。
それゆえ、本実施形態においては、転写パターン領域20に、インク40の付着やインク40に含まれる材料による高屈折材料膜41の形成が生じることを、より確実に防止でき、転写パターン領域20に異物の付着や欠陥を生じさせてしまうことを、より確実に防止することができる。
本実施形態において、インク40の配設量は、アライメントマーク領域30に形成されたアライメントマークを構成する凹部31の全てを合わせた容積に溝構造33の容積を加えた容積を満たす量以下であることが好ましい。
アライメントマーク領域30よりも外側の領域にインク40が濡れ広がっていくことを、より確実に防止できるからである。
さらに、本実施形態においては、インク40の配設量は、アライメントマーク領域30に形成されているアライメントマークを構成する凹部31の全てを合わせた容積に溝構造33の容積を加えた容積を満たす量以下であって、アライメントマーク領域30に形成されているアライメントマークを構成する凹部31の全てを合わせた容積を満たす量以上であることが好ましい。
アライメントマーク領域30よりも外側の領域にインク40が濡れ広がっていくことを、より確実に防止しつつ、各凹部31により多くのインク40を溜めることができるからである。
上記のように各凹部31により多くのインク40を溜めることができれば、各凹部31の底面の上に、より厚い高屈折材料膜41を形成することができることになる。
そして、本実施形態の製造方法により製造されたテンプレートを用いてインプリントを行えば、より良好にアライメントマークを光学的に識別することが可能になり、より容易に高精度な位置合わせを行うことが可能になる。
ここで、溝構造33の深さは、アライメントマークを構成する凹部31の深さと同じ、若しくは同程度とすることが好ましい。溝構造33とアライメントマークを、同一工程のドライエッチングにより形成することができ、凹凸基板1bの製造コストをより安価なものにできるからである。
溝構造33の幅は、上記のインク40の配設量やアライメントマークを構成する凹部31の容積との関係や、転写パターン領域20とアライメントマーク領域30との位置関係等から適宜決められるものであるが、例えば、凹部31の幅の5倍〜100倍の範囲とすることができる。
次に、図4(c)に示すように、インク40の溶媒を揮発させる。これにより、アライメントマーク領域30の主面2の上、凹部31の底面の上、及び、溝構造33の底面の上に高屈折材料膜41が形成される。なお、この溶媒を揮発させる工程は、ベーク(焼成)工程を含んでいても良い。
次に、図4(d)に示すように、エッチング用ガス61を用いたドライエッチングにより、アライメントマークの凹部31の底面の上に形成された高屈折材料膜41(図4(d)に示す41b)を残しつつ、主面2から突出する高屈折材料膜41(図4(d)に示す41a)を除去し、図4(e)に示すように、アライメントマークの凹部31の底面の上に、高屈折材料膜41(図4(e)に示す41b)が形成されているテンプレート11aを得る。
ここで、図4(c)に示す溶剤を揮発させる工程において凹部31の底面の上に形成される高屈折材料膜41(図4(c)に示す41b)の膜厚は、同工程でアライメントマーク領域30の主面2の上に形成される高屈折材料膜41(図4(c)に示す41a)の膜厚よりも厚い。
それゆえ、この膜厚差を利用して、アライメントマークの凹部31に形成された高屈折材料膜41(図4(d)に示す41b)を残しつつ、主面2から突出する高屈折材料膜41(図4(d)に示す41a)を除去することができる。
なお、テンプレート11aにおいて、凹部31の底面の上に形成される高屈折材料膜41(図4(e)に示す41b)の膜厚は、上記のエッチング用ガス61を用いたドライエッチングにより、図4(c)に示す高屈折材料膜41bの膜厚よりも薄くなる。
上記のように、本実施形態においても、アライメントマークの凹部31の底面の上に高屈折材料膜41が形成されているテンプレートを製造することができ、このテンプレートを用いることで、インプリントに際して凹部31が被転写樹脂によって充填された状態となっても、良好にアライメントマークを光学的に識別することができ、高精度な位置合わせが可能となる。
さらに、本実施形態によれば、溝構造33によってインク40がアライメントマーク領域30の外側の領域に濡れ広がって行くことを、より確実に防止できる。それゆえ、転写パターン領域20に異物の付着や欠陥を生じさせてしまうことを、より確実に防止することができる。
ここで、本実施形態においては、図4(c)に示す溶剤を揮発させる工程を経て溝構造33の底面の上に形成される高屈折材料膜41(図4(c)に示す41c)の膜厚に応じて、異なる形態のテンプレートが得られることになる。
例えば、図4(c)に示す溶剤を揮発させる工程を経て溝構造33の底面の上に形成される高屈折材料膜41(図4(c)に示す41c)の膜厚が、同工程で主面2の上に形成される高屈折材料膜41(図4(c)に示す41a)の膜厚よりも厚い場合には、図4(e)に示すように、溝構造33の底面の上にも、高屈折材料膜41(図4(e)に示す41c)が残ることになる。
なお、最終的に、溝構造33の底面の上に形成される高屈折材料膜41(図4(e)に示す41c)の膜厚は、上記のエッチング用ガス61を用いたドライエッチングにより、図4(c)に示す高屈折材料膜41cの膜厚よりも薄くなる。
図6は、本実施形態において製造されるテンプレートの一例を説明する図である。ここで、図6(a)は、テンプレート11aの概略平面図を示し、図6(b)は、テンプレート11aのアライメントマーク領域30の概略平面拡大図を示す。
図6(a)に示すように、テンプレート11aは、転写パターン領域20とアライメントマーク領域30を有しており、さらに、図6(b)に示すように、アライメントマーク領域30の外縁に内接する溝構造33を有し、溝構造33で囲まれた領域に、凹部31と凸部32から構成されるアライメントマークを有しており、溝構造33の底面の上、及び、アライメントマークの凹部31の底面の上には、高屈折材料膜41が形成されている。
一方、図4(c)に示す溶剤を揮発させる工程を経て溝構造33の底面の上に形成される高屈折材料膜41(図4(c)に示す41c)の膜厚が、同工程で主面2の上に形成される高屈折材料膜41(図4(c)に示す41a)の膜厚よりも薄い場合や同じ厚みの場合、溝構造33の底面の上には、高屈折材料膜41が残らないことになる。
図7は、本実施形態において製造されるテンプレートの他の例を説明する図である。ここで、図7(a)は、テンプレート11bの概略平面図を示し、図7(b)は、テンプレート11bのアライメントマーク領域30の概略平面拡大図を示す。
図7(a)に示すように、テンプレート11bは、転写パターン領域20とアライメントマーク領域30を有しており、さらに、図7(b)に示すように、アライメントマーク領域30の外縁に内接する溝構造33を有し、溝構造33で囲まれた領域に、凹部31と凸部32から構成されるアライメントマークを有している。
そして、アライメントマークの凹部31の底面の上には、高屈折材料膜41が形成されているが、溝構造33の底面の上には、高屈折材料膜41は形成されていない。
上記のように、本実施形態においては、図4(b)に示す配設工程および図4(c)に示す溶剤を揮発させる工程において溝構造33の底面の上に形成される高屈折材料膜41(図4(c)に示す41c)の膜厚に応じて、異なる形態のテンプレートが得られることになる。
(第3の実施形態)
次に、本発明に係るテンプレートの製造方法の第3の実施形態について説明する。
本実施形態は、上記の第1の実施形態または第2の実施形態における、アライメントマークを構成する凹部31の底面の上に形成された高屈折材料膜41を残しつつ、主面2から突出する高屈折材料膜41を除去する工程が、高屈折材料膜41を形成したアライメントマークの凹部31に局所的にエッチング保護膜を形成する工程と、エッチング保護膜から露出する高屈折材料膜41をエッチングにより除去する工程と、エッチング保護膜を除去する工程と、を順に備えるものである。
本実施形態によれば、最終的に得られるテンプレートにおいて、アライメントマークを構成する凹部31の底面の上に形成されている高屈折材料膜41の膜厚を、より厚いものとすることができる。
それゆえ、本実施形態の製造方法により製造されたテンプレートを用いてインプリントを行えば、より良好にアライメントマークを光学的に識別することが可能になり、より容易に高精度な位置合わせが可能となる。
以下、本実施形態について、詳細を説明する。
図8及び図9は、本発明に係るテンプレートの製造方法の第3の実施形態の一例を説明する図である。なお、この図8及び図9に示す例は、本実施形態に係るテンプレートの製造方法により、上記の第1の実施形態で準備した凹凸基板1aからテンプレート12を製造する方法の一例である。
まず、図8(a)に示すように、上記の第1の実施形態と同様に、主面2に、転写パターン領域20とアライメントマーク領域30を有し、アライメントマーク領域30に凹部31と凸部32から構成されるアライメントマークが形成されている凹凸基板1aを準備する。
そして、上記の第1の実施形態と同様にして、すなわち、上述した図1(b)、(c)に示す工程を施して、図8(c)に示すように、アライメントマーク領域30の主面2の上、及び、凹部31の底面の上に高屈折材料膜41を形成する。
なお、図8(b)、(c)に示す工程は、それぞれ、上記の図1(b)、(c)に示す工程と同じである。
次に、図8(d)に示すように、エッチング保護膜として硬化性樹脂71を、アライメントマーク領域30に局所的に配設し、次いで、図8(e)に示すように、アライメントマーク領域30に対向配置され、アライメントマーク領域30に対向する領域に平面を有する部材81により、硬化性樹脂71を押し付けて、主面2から突出する高屈折材料膜41の上に位置する硬化性樹脂71の膜厚T4が一定の範囲内になるように平坦化し、この状態で硬化性樹脂71を硬化させ、その後、硬化性樹脂71と部材81を離間する。
本実施形態において、硬化性樹脂71には、ナノインプリントの技術分野で用いられている硬化性樹脂、特に、紫外線硬化性樹脂を、好適に用いることができる。そして、硬化性樹脂71に紫外線硬化性樹脂を用いた場合には、部材81側、若しくはテンプレート1側から紫外線照射して、硬化性樹脂71を硬化させることができる。
硬化性樹脂71をアライメントマーク領域30に局所的に配設する方法としては、ナノインプリントの技術分野で用いられているインクジェット方式によるものを好適に用いることができる。上記のインクジェット方式は、ナノインプリント分野で実績があり、所望の微量な硬化性樹脂71を所望の位置に配設できるからである。
本実施形態において、部材81は、硬化性樹脂71を押し付けることによって、硬化性樹脂71の膜厚T4が一定の範囲内になるように平坦化することができるものであれば、特に制限されるものではないが、図8(e)に示すように、アライメントマーク領域30に対向する領域が他の部位よりも突出している形態を有しているものであることが、好ましい。
このような形態であれば、部材81と転写パターン領域20との接触を、より確実に回避することができ、転写パターン領域20に異物の付着や欠陥を生じさせてしまうことを、より確実に防止することができるからである。
部材81を構成する材料としては、上記のように、硬化性樹脂71を押し付けることによって平坦化することができるものであれば、特に制限されるものではないが、紫外線透過性の材料であることが好ましい。
部材81が紫外線透過性の材料から構成されていれば、硬化性樹脂71が紫外線硬化性樹脂である場合に、部材81側から(図8に示すZ方向側)から紫外線照射して、硬化性樹脂71を硬化させることができるからである。
紫外線透過性の材料としては、例えば、合成石英ガラス等、テンプレートを構成する材料として用いられるものを挙げることができる。
図8(e)に示す硬化性樹脂71の膜厚T4の範囲としては、後述するドライエッチング工程によって除去できる膜厚であれば、特に制限されるものではないが、例えば、10nm〜200nmの範囲とすることができる。
次に、図9(f)に示すように、エッチング用ガス62を用いたドライエッチングにより、硬化性樹脂71の膜厚T4の部分を除去する。これにより、アライメントマーク領域30の凹部31の中の硬化性樹脂71は残されたまま、主面2から突出する高屈折材料膜41の上に位置する硬化性樹脂71は除去される。
なお、エッチング用ガス62としては、硬化性樹脂71を除去できるものであれば用いることができ、例えば、酸素ガスを挙げることができる。
次に、図9(g)に示すように、エッチング用ガス61を用いたドライエッチングにより、残された硬化性樹脂71から露出する高屈折材料膜41を除去する。これにより、高屈折材料膜41のうち、主面2から突出する膜厚T1の部分は除去されるが、凹部31の底面の上に形成された高屈折材料膜41は、硬化性樹脂71で覆われているため、膜厚T2のままで残存することになる。
なお、上記の第1の実施形態と同様に、高屈折材料膜41を構成する材料としてクロムを含む材料を用いた場合には、エッチング用ガス61には塩素と酸素の混合ガスを用いることができる。
次に、図9(h)に示すように、エッチング用ガス62を用いたドライエッチングにより、凹部31の中に残存する硬化性樹脂71を除去し、図9(i)に示すように、主面2に転写パターン領域20とアライメントマーク領域30を有し、アライメントマーク領域30の凹部31には、高屈折材料膜41が形成されているテンプレート12を得る。
ここで、図9(i)に示すテンプレート12において、凹部31の底面の上に形成されている高屈折材料膜41の膜厚T2は、図8(c)に示す工程で、凹部31の底面の上に形成された高屈折材料膜41の膜厚T2と、原則同じになる。
そして、この膜厚T2は、上記の第1の実施形態における図1(e)に示すテンプレート10において、凹部31の底面の上に形成されている高屈折材料膜41の膜厚T3よりも、厚いものである。
上記のように、本実施形態によれば、最終的に得られるテンプレートにおいて、アライメントマークを構成する凹部31の底面の上に形成されている高屈折材料膜41の膜厚を、より厚いものとすることができる。
それゆえ、本実施形態の製造方法により製造されたテンプレートを用いてインプリントを行えば、より良好にアライメントマークを光学的に識別することが可能になり、より容易に高精度な位置合わせが可能となる。
そして、上記の第1の実施形態と同様に、本実施形態においても、高屈折材料膜41を構成する材料を含有するインク40は、アライメントマーク領域30に局所的に配設されるため、転写パターン領域20にはインク40の付着は生じない。
また、本実施形態において、エッチング保護膜として形成する硬化性樹脂71も、アライメントマーク領域30に局所的に配設されるため、転写パターン領域20には硬化性樹脂71の付着は生じない。
それゆえ、転写パターン領域20に異物の付着や欠陥を生じさせてしまうことを防止することができる。
なお上記においては、図8及び図9を用いて、本実施形態の製造方法により、上記の第1の実施形態で準備した凹凸基板1aから、凹部31の底面の上に形成されている高屈折材料膜41の膜厚がより厚いテンプレート12を製造する方法の一例を説明したが、同様に、上記の第2の実施形態で準備した凹凸基板1bから、本実施形態の製造方法により、凹部31の底面の上に形成されている高屈折材料膜41の膜厚がより厚いテンプレートを製造することもできる。
<テンプレート>
次に、本発明に係るテンプレートについて、説明する。
本発明に係るテンプレートは、溝構造で囲まれた領域に、凹部と凸部から構成されるアライメントマークを有し、アライメントマークを構成する凹部の底面の上に、高屈折材料膜が形成されていることを特徴とするものである。
また、本発明に係るテンプレートは、溝構造の底面の上にも高屈折材料膜が形成されている形態であってもよい。
本発明に係るテンプレートの例としては、上記の本発明に係るテンプレートの製造方法の第2の実施形態において、図6及び図7を用いて説明したテンプレート11a、11bを挙げることができる。
すなわち、図6(a)に示すように、テンプレート11aは、転写パターン領域20とアライメントマーク領域30を有しており、さらに、図6(b)に示すように、アライメントマーク領域30の外縁に内接する溝構造33を有し、溝構造33で囲まれた領域に、凹部31と凸部32から構成されるアライメントマークを有しており、凹部31の底面の上、及び、溝構造33の底面の上には、高屈折材料膜41が形成されている。
また、図7(a)に示すように、テンプレート11bは、転写パターン領域20とアライメントマーク領域30を有しており、さらに、図7(b)に示すように、アライメントマーク領域30の外縁に内接する溝構造33を有し、溝構造33で囲まれた領域に、凹部31と凸部32から構成されるアライメントマークを有している。
そして、凹部31の底面の上には高屈折材料膜41が形成されているが、溝構造33の底面の上には高屈折材料膜41は形成されていない。
上記のように、テンプレート11a、11bは、本発明に係るテンプレートの製造方法の第2の実施形態により、製造することができる。
そして、テンプレート11a、11bにおいては、アライメントマークの凹部31の底面の上に高屈折材料膜41が形成されているため、インプリントに際して凹部31が被転写樹脂によって充填された状態となっても、良好にアライメントマークを光学的に識別することができ、高精度な位置合わせが可能となる。
以上、本発明に係るテンプレートの製造方法について説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と、実質的に同一の構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなる場合であっても本発明の技術的範囲に包含される。