本発明の実施形態の車載通信機器について、図面を用いて説明する。
図1は、同実施形態の車載通信機器が適用される通信環境を説明するための概念図である。
同実施形態の車載通信機器10は、車両50に搭載される。車載通信機器10は、移動体通信網52を用いて無線ネットワーク90を介して管理サーバ100と無線通信し、移動体通信網52、WiMAX 54、無線LAN 56、路車間通信58、車車間通信60、およびDSRC 62を用いて無線ネットワーク90を介してアプリケーションサーバ120と無線通信する。また、Bluetooth 64と携帯端末68(#1)、NFC 66と携帯端末68(#1)、およびUSB 69と携帯端末68(#2)を用いて無線ネットワーク90を介してアプリケーションサーバ120と無線通信する。車内通信70は、車内機器72との間で車内LANによる有線通信を行う。このように、車両50における代表的な通信環境は、無線通信、有線通信、および車内LANを含む。
図2は、同実施形態の車載通信機器の構成例を示す機能ブロック図を含むサービス提供システム全体図である。
車載通信機器10は、命令取得処理部12、命令データ記憶部14、命令実行処理部16、通信監視制御処理部18、実行監視処理部20、およびアプリケーション22を備えている。
また、図2では、図1において移動体通信網52、WiMAX 54、無線LAN 56、路車間通信58、車車間通信60、DSRC 62、携帯端末68(#1)、および携帯端末68(#2)を用いて示した様々な通信環境を、以降の説明のために代表的な5種類の通信器(通信器0〜4)として示し、それぞれが車載通信機器10に接続された状態を示している。一例として、通信器0は、移動体通信網52である。移動体通信網52は、移動体通信業者により高いセキュリティ環境として提供されているので、管理サーバ100との通信に適している。また、通信器1〜4は、WiMAX 54、無線LAN 56、路車間通信58、車車間通信60、DSRC 62、携帯端末68(#1)、および携帯端末68(#2)のうちの何れかに相当する。なお、移動体通信網52と同等のセキュリティ環境を有するものであれば、移動体通信網52以外のものを通信器0に適用しても良い。
なお、図2では、通信器0〜4は何れも車両50内であって車載通信機器10の外部に設置されるように図示されている。しかしながら、通信器0〜4は、このように車載通信機器10の外部に配置されることに必ずしも限定されず、車載通信機器10の内部に配置されていても良い。
図3は、車載通信機器10においてなされる処理の流れを示すフローチャートである。
管理サーバ100は、技術の進歩および時代の変化とともに、時々刻々と変化していくサービスおよび通信環境に合わせて、検知すべき通信状態の変化内容等に関する情報を管理しており、その変化内容に応じた適切な通知内容(例えば、サービス情報a)を、無線ネットワーク90を介して車両50へ送信する(S1)。
通信器0は、このサービス情報aを受信し、車載通信機器10へ向けて送信する。
車載通信機器10では、通信器0から送られたサービス情報aを、命令取得処理部12にて受信し、命令データ記憶部14へ送り、命令データ記憶部14は、このサービス情報aを記憶する(S2)。
サービス情報aは、表1に示すように、ヘッダー部a1と、転送制御命令部a2と、データ部a3とを備える。ヘッダー部a1は、シリアル番号、作成日付、転送制御命令部開始位置、転送制御命令部長さ、データ部開始位置、データ部長さを含む。転送制御命令部a2は、表2に示すように、コマンドプロファイルb0と、命令ブロック1 b1、命令ブロックb2、・・・命令ブロックN bn(以降、これらを総称する場合には「命令ブロックb」とする)とを含む。コマンドプロファイルb0は、表3に示す処理の並列処理/順処理、繰り返し定義、定数定義を含む。命令ブロックbは、1つの検知すべき通信状態の変化の定義と複数の通知内容および通知先を定義する。
データ部a3は、表4に示すようなin命令およびout命令で参照されるデータを含む。
命令取得処理部12によるサービス情報aの受信は、定期的に特定の時刻または時間間隔で実施してもよいし、車両50の位置に連動して実施してもよい。また、サービス情報aは、1つであっても、複数であっても良い。
命令実行処理部16は、命令データ記憶部14に記憶されたサービス情報aを読み出し、サービス情報aの転送制御命令部a2の内容(表2参照)に従う処理を実行する(S3)。なお、命令データ記憶部14に、サービス情報aが複数保持されている場合は、各サービス情報aを並列的に処理してもよいし、逐次的に処理してもよい。
転送制御命令部a2は、表2に示すようなデータ構造を有し、コマンドプロファイルb0には、表2に示す命令ブロックbに記載された命令実行を制御する内容が記述されており、表3にその一例を示す。各命令ブロックは、通信器1〜4の通信状態の変化またはデータ受信を検知するための1つのin命令と、通信状態境の変化が検知された場合に、各通信器1〜4に対して行う処理内容を示す複数のout命令とからなり、その一例は、表4に示す通りである。
表2に示される各命令ブロックbでは、1つのin命令の条件が成立した場合に、後続するout命令が順次実施される。
命令実行処理部16は、in命令実行時に、通信監視制御処理部18に対して、制御/送信データcを送ることによって、監視対象となる通信器1〜4の通信状態の変化の監視を指示する(S4)。
通信監視制御処理部18は、制御/送信データcを受け取ると、指定される通信状態の変化を監視し、変化発生時に、命令実行処理部16に対して、通信状態/受信データdを送る(S5)。
命令実行処理部16は、通信状態/受信データdを受け取ると、当該命令ブロックのin命令に後続するout命令を逐次処理し、通信監視制御処理部18に対して、制御/送信データcを送ることによって、out命令に記載された内容に従い、対象の通信器(通信器1〜4のうちの何れか)に対する処理を指示する(S6)。
通信監視制御処理部18は、その指示に従い、対象となる通信器(例えば、通信器2)を制御する。
この制御に応じて、通信器(例えば、通信器2)は、アプリケーションサーバ120に対して通知fを送信する。アプリケーションサーバ120は、この通知fを受信し、通知fに応じて利用者または車両50に対してサービス提供を行う(S7)。
なお、命令実行処理部16は、サービス情報aの処理において異常状態が発生した場合は、実行監視処理部20へ、異常状態eを通知する。実行監視処理部20は、異常状態eを、通信器0を介して管理サーバ100へ送る。管理サーバ100は、異常状態eを、サービス情報の内容の修正のために用いる。
上述したように、同実施形態の車載通信機器10は、指定された各通信器(通信器1〜4)の通信状態の変化を、通信監視制御処理部18により監視し、通信状態の変化が検知されると、指定された各通信器(通信器1〜4)への処理を実行する。
これにより、1つの通信器(例えば、通信器2)における通信状態の変化を検知し、複数の通信器(通信器1〜4)の状態制御およびデータの送信を実施可能とする。
例えば、移動体通信網52(通信器0)の切断を監視し、切断時に無線LAN用通信器のアクセスポイントの検索を開始し、Bluetooth通信器の検索開始および他の車載機器に対して移動体通信網52(通信器0)の切断を通知するといった処理が可能となる。つまり、図2に例示されるように、通信器2を制御し、通信器2からアプリケーションサーバ120への通知によって、アプリケーションサーバ120は、通信状態の変化をきっかけとしたサービス提供、および通信状態の変化に応じたサービス提供を行うことが可能となる。
また、命令実行処理部16における処理内容は、監視対象となる通信器(通信器1〜4)の指定および監視内容をサービス情報として外部より指定可能とし、移動体通信における基地局または無線LANにおけるアクセスポイントの追加削減への対応、およびサービス提供業者の追加削減といった外部の通信環境の変化に、随時対応可能となる。
以下に、具体的な実施例について説明する。なお、以下の各実施例の説明に用いる符号は、前述した図および表と同一なものについては同一符号を付し、重複説明を避ける。
(実施例1)
実施例1は、センター(図示せず)からの遠隔制御方式が採用された自動運転車における車載通信機器10の適用例である。なお、ここでは自動運転車のレベルについては、特に規定しない。
遠隔制御方式を考えた場合、通信による車両情報の送受は重要な機能であり、車両50が移動している場合は、常にセンターと車両50との間の通信が可能であることが必須となる。従って通信器1〜4のうちの1つが利用不可になってから、通信器1〜4のうちの別の通信器を探し、再接続するという状態は避けねばならない。
これに対して、通信状態は、固定の送受信局の新規増設/移動、周辺建築物の影響により、常に変化する。
このような環境下での遠隔制御方式を考えた場合、通信状態を確認しつつ、通信器1〜4の先行的な通信確立、切り替えを行い、途切れのない切り替えを実施するとともに、常に変化していく環境に合わせて動作する切り替え制御が必要となる。
このための制御を、図2に示すような構成を有する実施例1の車載通信機器10によって実現する処理について説明する。
図4は、実施例1における処理の流れを示すフローチャートである。
まず、管理サーバ100が、車載通信機器10の通信器0(例えば、移動体通信網52)へ、例えば、図5にその内容を示すようなサービス情報aを送信する。通信器0は、このようなサービス情報aを、車載通信機器10の命令取得処理部12へ送信する(S10)。
管理サーバ100から通信器0へのサービス情報aの送信は、定められた期間による複数のサービス情報aの一括配信、車両位置に合わせた切り替え、管理サーバ100における車両位置の監視に基づく配信等によって行う。
命令取得処理部12は、通信器0からサービス情報aを受信し、命令データ記憶部14に送る。命令データ記憶部14は、このサービス情報aを記憶するとともに、命令実行処理部16へ送る(S11)。
命令実行処理部16は、命令データ記憶部14に記憶されたサービス情報aを読み出し、サービス情報aの転送制御命令部a2の内容(表2参照)に従う通信環境確認処理を実行する(S12)。本実施例では、具体的に、図5の第3行目に示されている転送制御命令部a2中の@loop命令により、2000ms周期で、転送制御命令部a2の4個のブロックb1〜b4の処理(すなわち、S13〜S14の処理、S15〜S16の処理、S17〜S18の処理、S19〜S20の処理)を繰り返し実施する。これら4個のブロックb1〜b4の処理は、図5の第2行目に示されている転送制御命令部a2中の@parallel命令により、並列的に実施される。
ブロックb1の処理では、通信器0が特定の通信業者(mnc=AA)の通信局と通信可能であり、利用可能な状態(dtype=enable)であって、2000ms以上の時間に連続して受信電力が−95dBm以上あったか否かを確認する(S13)。条件が満足された場合(S13:通信器0は通信可能)には、ブロックb1のout命令を実行する(S14)。
out命令では、指定されるデータ部a3の先頭から5Byte(com01)を、通信器0を使用して、アプリケーションサーバ120(http://server/serviceA)へ通知する。通知内容に、通信器0からの受信電力および基地局の情報を含めてもよい。応答が2000ms以内に受信できなかった場合は、タイムアウトとして、再度in命令を実行する。
各ブロックb2〜b4についても、通信器1〜3を対象として、同様な処理を行う(S15〜S16、S17〜S18、S19〜S20)。
アプリケーションサーバ120は、ステップS14、16、18、20の結果に基づいて、有効な通信回線を判定し、その中からさらに最適と思われる通信回線を選択し、当該通信器を経由して、車載通信機器10上のアプリケーション22へ、通信経路の切り替えの指示gを送る(S21)。例えば、通信器0による通信よりもより通信コストの低い通信器1による通信への切り替えを行う。その後、アプリケーション22とアプリケーションサーバ120は、通信経路を切り替えて通信を継続し、サービスの提供を途切れなく実施する(S22)。
サービス情報の更新の具体例について以下に説明する。
例えば、無線LANのアクセスポイント「wifiap002」が新たに新設されたとする。また当該地区の建築物による反射等により、より遠方の基地局が、受信電力が低いにも関わらず有効範囲内となり、通信器2に基地局間の切り替えが頻発する状況が発生したとする。基地局間の切り替えが頻発すると、通信器2を用いた通信の通信速度に悪影響を与えるため、アプリケーションサーバ120は、通信器2の使用を停止するように判定したとする。
このような状況に対応するため、実施例1では、管理サーバ100が、車載通信機器10へ送信するサービス情報aを、図6に示す内容に変更し、車載通信機器10へ送信する。
図5では、ブロックb3において、通信器2を用いた通信業者がmnc=XXとなる通信の監視が定義されているが、図6では、変更されたブロックb3’において、通信器1を用いたアクセスポイントとして「wifiap002」の通信の監視が定義されている。
これによって、通信器1によるアクセスポイント「wifiap002」の検知が可能となる。
上記のように、実施例1では、管理サーバ100側においてサービス情報aの内容(スクリプト)を変更することにより、随時変化する通信状態に柔軟に適応可能なシステム構築が容易となる。
(実施例2)
実施例2は、遠隔制御方式の自動運転において、車両の周辺映像をセンター(図示せず)へ送信する際における車載通信機器10の適用例である。
具体的には、通常の運転では、例えば図7に示すような、運転上要求される視界範囲α、βに関する周辺映像(非特許文献1参照)を送信し、通信回線容量等の制約条件下で、可能な限りその他の、例えば図8の斜線部分γをも含めた周辺映像を送信することを想定する。
一般に、利用可能な通信環境は、固定の送受信局の新規増設/移動、周辺建築物の影響により、常に変化する。また、各種契約行為等により、使用可能な送受信局が随時、追加/削除される。
このような通信環境の変化に伴う通信状態の変化に合わせて、周辺映像の送受信に用いる通信回線は、通信状態を確認しつつ、追加利用または切り替えを行う必要があり、また、通信状態の確認内容も、通信環境の変化に合わせて更新していく必要がなる。
このための制御を、図2に示すような構成を有する実施例2の車載通信機器10によって実現する処理について説明する。
図9は、実施例2における処理の流れを示すフローチャートである。
図9のフローチャートに示すステップS10〜S20は、図4のフローチャートにおけるステップS10〜S20と同様である。
アプリケーションサーバ120は、ステップS14、16、18、20の結果に基づいて、有効な通信回線を判定し、1つまたは複数の通信器の情報hを、当該通信器経由で、車載通信機器10上のアプリケーション22へ通知する(S31)。アプリケーション22は、この情報hに従い、通信器の切り替え、または、複数回線を用いて、周辺映像を、アプリケーションサーバ120へ送信する(S32)。
例えば、図8の斜線部分γの周辺映像を、新たに有効と判断された通信器により送信する。ここで、新たに無線LANのアクセスポイント「wifiap002」が新設されたとする。また当該地区の建築物による反射等により、より遠方の基地局が、受信電力が低いにも関わらず有効範囲内となり、通信器2に基地局間の切り替えが頻発する状況が発生したとする。基地局間の切り替えが頻発すると、通信器2を用いた通信の通信速度に影響を与えるため、アプリケーションサーバ120は、通信器2の使用の停止するように判定したとする。
このような状況に対応するため、実施例2では、管理サーバ100が、車載通信機器10へ送信するサービス情報aを、図5に示すブロックb3の内容から、図6に示すブロックb3’の内容に変更し、車載通信機器10へ送信する。
これによって、実施例2では、遠隔制御方式の自動運転車において、最適な通信環境を選択可能とする情報の収集が容易となり、アプリケーションサーバ120側で通信環境に合わせた映像配信制御を行うことが可能となる。
(実施例3)
実施例3は、ガソリンスタンドにおける車種に応じた給油機への誘導における車載通信機器10の適用例である。
図10は、実施例3の車載通信機器の構成例を示す機能ブロック図を含むサービス提供システム全体図である。
図11は、実施例3における処理の流れを示すフローチャートである。
図12は、実施例3において管理サーバ100から通信器0へ送信されるサービス情報aの一例を示す。
図10に示す車載通信機器10は、図2に示す車載通信機器10からアプリケーション22を削除し、表示処理部24と表示器26とを加えた構成としている。また、図10に示すアプリケーションサーバ120は、ガソリンスタンド(GS)側通信器132と、誘導装置134との間に、GSシステム130の一部として組み込まれている。
GS側通信器132は、無線LANにより車両50と通信するための装置であり、図12のブロックb2に示されているように、例えば「wifiap001」のような名前が付けられており、その無線有効範囲が、侵入してきた車両50に対してのみ有効となるように設定されている。
誘導装置134は、車両50をGSの給油機(図示せず)へ誘導するための装置である。
次に、実施例3における処理の流れについて説明する。
図11は、実施例3における処理の流れを示すフローチャートである。
図11のフローチャートに示すステップS10〜S13は、図4のフローチャートにおけるステップS10〜S13と同様である。ただし、ステップS10において、管理サーバ100が、車載通信機器10の通信器0(例えば、移動体通信網52)へ送信するサービス情報aの例は、図12に示す通りである。
車載通信機器10の命令実行処理部16は、図12の内容を処理し、in命令により、GS側通信器132「wifiap001」からの無線LANの通信を、通信器(例えば、通信器1)および通信監視制御処理部18によって監視する。そして、車両50が、GSに侵入し、GS側通信器132の有効範囲内に入った時点で、通信監視制御処理部18は、out命令により、通信器(例えば、通信器1)を介してGS側通信器132との通信を確立し、通信器(例えば、通信器1)を介してGS側通信器132へ車両情報iを送信する。GS側通信器132は、車両情報iを受信すると、車両情報iをアプリケーションサーバ120へ送る(S41)。
車両情報iは、例えば図12の最終行に記載されているように、車両メーカ(Maker)としての「TTSSSBBB」、車種(Type)として「X000001」といった情報を含む。なお、車両情報iの書式および内容については本実施例では限定せず、その他の必要な情報を、適宜、適切な書式で追加するようにして良い。
アプリケーションサーバ120は、GS側通信器132から送られた車両情報iに基づいて給油種別を判断し、誘導装置134へ、車両を誘導するための誘導指示jを送る(S42)。
誘導装置134は、誘導指示jを受け取ると、例えば図示しない給油機上の青色回転灯を点灯させ、当該車両50を誘導する(S43)。
あるいは、それに加えて、または、その代わりに、車載通信機器10の表示器26から、青色回転灯の給油機への移動指示kを表示するようにしても良い。この場合、アプリケーションサーバ120は、誘導指示jを、GS側通信器132にも送り、GS側通信器132は、誘導指示jに基づいて移動指示kを生成し、車両50に向けて送信する。車両50では、GS側通信器132から送信された移動指示kを通信器1が受信し、通信監視制御処理部18へ送る。そして、通信監視制御処理部18は、移動指示kを表示処理部24へ送る。表示処理部24は、この移動指示kを表示器26へ送り、表示器26が、移動指示kを表示する。
これによって、車両50は、適切な給油機へ誘導されるようになる。
次に、新たなGSがサービスで利用可能となった場合のデータ処理について説明する。例えば、新たなGS側通信器「wifiap002」が新設されたとする。この状況に対応するため、本発明の方式では管理サーバ100から車載通信機器10へ送信するサービス情報aを、図13示す内容に変更し、管理サーバ100から車載通信機器10へ送信すればよい。すなわち、図12にはブロックb2の内容が定義されているが、図13にはブロックb2に加えて、新設されたGS側通信器に関するブロックb3’の内容(スクリプト)が追加されている。
なお、GS側通信器132はGSとの立地条件から、有効範囲限定に適した無線装置が選択されればよく、Bluetooth等を用いてもよい。また、車載通信機器10とGSシステム130との通信は、図12、図13に示すout命令において指定することで、通信器0の移動体通信網52経由で行ってもよい。
このようなGSシステム130および給油機を、EV車向けの充電ステーションおよび充電器に置き換えた場合であっても、本実施例は、適用可能である。
GSシステム130および給油機を、EV車向けの充電ステーションおよび充電器に置き換えた場合は、管理サーバ100は、図12または図13の代わりに、図14および図15のようなサービス情報aを、車載通信機器10に送信するようにすれば良い。
図14は、サービス情報aの一例であり、燃料制御ECUから燃料残量を取得し、保存するように指定された命令ブロックb4が記述されている。
図15もまた、サービス情報aの一例であり、燃料残量を、通信器1を介してGS側通信器132「wifiap002」へ送るように指定された命令ブロックb2’が記述されている。命令ブロックb2’は、図12に示される命令ブロックb2に、燃料残量を、通信器1を介してGS側通信器132「wifiap002」へ送るように指定した部分を加えたものである。
図14および図15のようなサービス情報aの内容に従う通信環境確認処理を、命令実行処理部16が実行することによって、命令実行処理部16は、燃料制御ECUから、燃料残量を取得し、燃料残量を車両情報iに含めるように通信監視制御処理部18に対して指示することができる。そして、このような燃料残量が含まれた車両情報iもまた、通信監視制御処理部18から通信器(例えば、通信器1)を介してGSシステム130へ通知することができる。
GSシステム130側では、車両情報iに含まれる燃料残量に基づいて、車両50を誘導するための適切な充電器を選定することができる。例えば、EV車向けの充電器の場合、充電時間を短くし、利用者の利便を図るために、残量が少ない車両は、優先的に急速充電器に割り当てられる。
上記のように、実施例3では、車両50を、車種情報iに含まれる車両メーカや車種に応じて、適切な給油機へ誘導することが可能となる。
また、GS側の通信環境が変化し通信状態が変化した場合であっても、その変化に合わせてサービス情報aを適宜修正することで、サービス提供が可能となるように、車両通信機器10を容易に適応させることが可能となる。
さらには、GSシステム130および給油機を、EV車向けの充電ステーションおよび充電器に置き換えた場合であっても、車両情報iに燃料残量を含めることによって、車両50を、適切な充電器へ誘導することが可能となる。
(実施例4)
実施例4は、駐車場における出庫時の精算処理における車載通信機器10の適用例である。
図16は、実施例4の車載通信機器の構成例を示す機能ブロック図を含むサービス提供システム全体図である。
図16に示す車載通信機器10は、図10に示す車載通信機器10と同様の構成をしているが、通信器3はさらに、スマートフォン等の携帯端末40とも通信可能である。携帯端末40は、例えばBluetoothやNFC等を用いた通信器3を介して車載通信機器10と通信する一方、アプリケーションサーバ120とも通信する。
アプリケーションサーバ120は、料金精算器142とともに、駐車場システム140内に位置しており、携帯端末40および料金精算器142と通信可能である。料金精算器142は、例えばBluetoothや可視光通信等の無線有効範囲が、料金精算器142に接近した車両50に対してのみ有効となるような近距離無線のための機能を備え、通信器1と通信可能である。
次に、実施例4における処理の流れについて説明する。
図17は、実施例4における処理の流れを示すフローチャートである。
図17のフローチャートに示すステップS10〜S11は、図4のフローチャートにおけるステップS10〜S11と同様であるが、図17のステップS10において管理サーバ100から送信されるサービス情報aは、例えば図18に示す通りである。
次に、利用者は、駐車場からの車両50の出庫前に、携帯端末40のアプリケーション42を用いて、駐車場の料金精算処理を行い(S51)、アプリケーションサーバ120からチケット情報mを受信する。利用者はさらに、携帯端末40から、例えばNFCを用いた通信器3へチケット情報mを送信する。通信器3は、チケット情報mを受信すると、通信監視制御処理部18へ送る(S52)。
通信監視制御処理部18へ送られたチケット情報mを、表示処理部24が表示器26から表示させることもできる。
なお、チケット情報mは、このようにアプリケーションサーバ120から受信するものに限定されず、例えば、携帯端末40のアプリケーション42を用いて、予め店舗等において購入することによって取得するようにしても良い。
続いて、車載通信機器10の命令実行処理部16は、図18に示すようなサービス情報aを処理し、in命令により、携帯端末40との通信3経由での通信を監視し(S53)、通信器3と携帯端末40との通信を確立する(S54)。
通信器3と携帯端末40との通信が確立すると、通信監視制御処理部18は、携帯端末40かチケット情報を受信し、保存する(S55)。続いて、通信監視制御処理部18は、out命令によりチケット情報mを通信器1に送り、通信器1がチケット情報mを料金精算器142へ送信する(S56)。
料金精算器142は、通信器1から送信されたチケット情報mを受信し、受信したチケット情報mの有効性を確認する(S57)。そして、料金精算器142は、チケット情報mが有効であると判定すると、当該車両50が通過できるようにゲートを開く操作を行う(S58)。
なお、チケット情報mは、必要な情報を含み、適切な書式で記述されていれば、具体的な書式や内容については本発明では限定されず、車種情報i等の駐車場の運営に利用可能な情報を適宜含めてもよい。
上記のように、実施例4によれば、車両50が駐車場の料金精算器142を通過する際の手間を削減できると共に、携帯端末40に備わるNFCのような近距離無線を用いた決済システムを容易に構成することができるようになる。
また、実施例4を応用することによって、店舗に併設される駐車場等では、携帯端末40を用いることで、店舗内での購入に伴う駐車場料金サービスを用いた事前決済の手法も、容易に構築可能となる。
(実施例5)
実施例5は、レンタカーサービスまたはシェアードカーサービスで、提携駐車場の、駐車料金の無料または減額サービスを行う場合における車載通信機器10の適用例である。
図19は、実施例5の車載通信機器の構成例を示す機能ブロック図を含むサービス提供システム全体図である。
図19に示す車載通信機器10は、図16に示す車載通信機器10と同様の構成をしている。ただし、図16に示される携帯端末40は、図19には存在しない。また、駐車場システム141内に設けられたアプリケーションサーバ120が、料金精算器142と管理サーバ100との両方と通信可能である。また、駐車場システム141に備えられた料金精算器142は、例えばBluetoothや可視光通信等の近距離無線のための機能を備えている。そして、この近距離無線は、その無線有効範囲が、料金精算器142に接近した車両50に対してのみ有効となる。
次に、実施例5における処理の流れについて説明する。
図20は、実施例5における処理の流れを示すフローチャートである。
図20のフローチャートに示すステップS10〜S11は、図17のフローチャートにおけるステップS10〜S11と同様であるが、図20のステップS10において管理サーバ100から送信されるサービス情報aは、例えば図21に示す通りであり、チケット情報mが含まれている。そして、図17のフローチャートとは異なり、ステップS10の前にステップS60が実施され、ステップS11の後にステップS63〜S67が実施される。
ステップS60では、管理サーバ100は、アプリケーションサーバ120から送信された、図21に示すようなチケット情報mを含むサービス情報aを受信する(S60)。
そして、ステップS10では、管理サーバ100が、このサービス情報aを、例えば移動体通信網のような通信器0へ送信する。通信器0は、このサービス情報aを、車載通信機器10へ送る。このような管理サーバ100によるサービス情報aの送信は、期間を決めて複数を一括配信し、車載通信機器10で車両位置に合わせて切り替えて使用してもよいし、車両位置情報を管理サーバ100で監視し、車両位置に合わせて実施するようにしてもよい。
ステップS11の後、車載通信機器10の命令実行処理部16は、図21に示すようなサービス情報aを処理し、in命令により、料金精算器142からの通信を監視し(S63)、車両50が、料金精算器142の通信有効範囲に入った時点で、out命令により、通信器1と料金精算器142との通信を確立する(S64)。
通信器1と料金精算器142との通信が確立されると、命令実行処理部16は、サービス情報aに含まれるチケット情報m「Service=Ticket:729676b6a8890e4582d5de7d0607b81a」を通信器1へ送り、通信器1は、チケット情報mを料金精算器142へ送信する(S65)。
その後、料金精算器142は、受信したチケット情報mを、アプリケーションサーバ120へ送信し、アプリケーションサーバ120は、このチケット情報mが、ステップS10において送信したサービス情報aに含まれるチケット情報mと同一であることを確認することによって、有効性を確認する(S66)。
そして、料金精算器142は、アプリケーションサーバ120から、有効との結果rが返されると、当該車両50が通過できるようにゲートを開く操作を行う(S67)。
なお、チケット情報mは、必要な情報を含み、適切な書式であれば、具体的な書式や内容については本発明では限定されず、車種情報i等の駐車場の運営に利用可能な情報を、適宜含めてもよい。
上記のように、実施例5によれば、車両50が駐車場の料金精算器142を通過する際の手間を削減できる。また、サービス情報aの車両50への送信を、任意のタイミングで実施することが可能となるため、有効期限を短く設定し、更新していくことで、不正利用を未然に防止することも可能となる。
(実施例6)
実施例6は、レンタカーサービスまたはシェアードカーサービス提供システムにおける車載通信機器10の適用例である。
図22は、実施例6の車載通信機器の構成例を示す機能ブロック図を含むサービス提供システム全体図である。
図22に示す車載通信機器10は、図16に示す車載通信機器10と同様の構成をしている。ただし、図22では、車両50内に、通信器1〜3と並列して通信器4を備えている。通信器4は、車両50のエンジンの始動および停止を制御するための車両制御器150と通信可能となっている。これによって、車載通信機器10は、通信器4を介して車両制御器150に命令を送ることによって、車両50のエンジンの始動および停止を制御する。なお、通信器4と車両制御器150との通信手段は、無線通信に限定されず、例えば車両50に予め備えられているODB(On−board diagnostics)コネクタを経由した有線通信であってもよい。
また、図22では、図16における駐車場システム140および料金精算器142は存在せず、アプリケーションサーバ120が管理サーバ100と携帯端末40との両方と通信可能となっている。
例えばスマートフォンである携帯端末40は、サービス利用ためのアプリケーション43がインストールされている。そして、携帯端末40は、アプリケーションサーバ120に対して、携帯端末40を識別するための携帯端末情報nを送信する。
アプリケーションサーバ120は、携帯端末40から送信された携帯端末情報nを受信すると、チケット情報mを生成する。そして、チケット情報mを携帯端末40へ返信するとともに、管理サーバ100に対しては、チケット情報mを、携帯端末40から受信した携帯端末情報nとともに送信する。
次に、実施例6における処理の流れについて説明する。
図23は、実施例6における処理の流れを示すフローチャートである。
まず、サービス利用に先立ち、利用者が自身の携帯端末40を操作し、アプリケーションサーバ120に車両50の予約操作と同時に利用登録を行う(S70)。利用登録操作においては、利用者が、携帯端末40上の専用のアプリケーション43を操作し、通信器3との通信確立のための携帯端末情報n、例えばBluetoothの名前/ハードウェアアドレスを、アプリケーションサーバ120に送信する。
アプリケーションサーバ120は、携帯端末40に対してチケット情報m「Ticket:729676b6a8890e4582d5de7d0607b81a」を送信する。また、携帯端末40からの携帯端末情報nとチケット情報を、管理サーバ100へ送信する(S71)。
携帯端末40は、アプリケーションサーバ120から送信されたチケット情報mを受信し、記憶する(S90)。
管理サーバ100は、アプリケーションサーバ120から送信された携帯端末情報nおよびチケット情報mを用いて、図24に示すようなサービス情報aを生成する(S72)。
続いて、管理サーバ100は、図24に示すようなサービス情報aを、例えば移動体通信網52を用いた通信器0へ送信する。通信器0は、このサービス情報aを受信し、車載通信機器10へ送る(S73)。管理サーバ100からのサービス情報aの送信は、例えば、期間を決めた複数の一括配信、管理サーバ100における車両位置情報の監視に基づく車両位置に合わせた配信等によって行う。
車載通信機器10は、命令取得処理部12が、通信器0からサービス情報aを受信し、命令データ記憶部14が、サービス情報aを記憶する(S74)。
さらに、命令実行処理部16が、図24のサービス情報aを処理し、1つ目のブロックb11内のin命令により、携帯端末40からの通信器3による通信を監視する(S75)。利用者が携帯端末40を車両50内に持ち込むことにより、通信器3による通信が検知され(S76)、車載通信機器10は通信器3により、例えばBluetooth LEのAdvertise情報「http://application01.adcdef.co.jp/」を送信し、携帯端末40のアプリケーション43を起動する(S77)。この起動操作は、利用者による操作によって行われてもよい。
すると、アプリケーション43は、通信器3による車載通信機器10との通信を確立し、保持しているチケット情報m「Ticket:729676b6a8890e4582d5de7d0607b81a」を、通信器3を介して車載通信機器10へ送信し、通信監視制御処理部18が受信する。
次に、命令実行処理部16は、図24の、2つ目のブロックb12内のin命令により、携帯端末40からの通信器3経由の受信内容が、サービス情報aに含まれるチケット情報m「Ticket:729676b6a8890e4582d5de7d0607b81a」に一致した場合(S78)に、通信器4を経由して車両制御器150に対してエンジンを始動するように指示する(S79)。
一方、一定時間(例えば、図24の例では3秒)が経過しても、一致するチケット情報mが受信されない場合は、例えば0.5秒待って、サービス情報aの1つ目のブロックb11の処理から再開する。そして、この再開を、例えば6回繰り返しても、図24のサービス情報aの3つのブロックb11、b12、b13の処理が終了しない場合は、命令実行処理部16は、異常通知eを生成し、実行監視処理部20に送る。実行監視処理部20は、異常通知eを、通信器0を介して管理サーバ100へ送る。
ステップS79において、エンジンを始動する指示が車両制御器150に送られると、車両50側においてエンジンの始動操作を行うことが可能な状態となる(S80)。これに応じて利用者がエンジン始動操作を行い、エンジンを始動させ、車両50を走行させることにより、利用者はサービスを受けるようになる(S81)。
その後、車載通信機器10は、図24に示す3つ目のブロック13内のin命令により、通信器3による携帯端末40との通信の切断を監視する(S82)。これは、車両50を停止するなどし、利用者が車外に携帯端末40を持ち去るなどし、通信器3による携帯端末40との通信が切断された場合に、車両制御器150に対して指示を送り、エンジン始動操作を不可状態とする(S83)ことで、利用登録された携帯端末40の保持者以外の当該車両50の利用を防止する(S84)。
さらに、利用者が携帯端末40を車内50に持ち込み、車載通信機器10が通信器3を経由した携帯端末40の検出、および携帯端末40との通信途絶の検知の結果を、アプリケーションサーバ120へ送信することで、利用者の挙動のデータを収集する場合は、図25に示すように、1つ目のブロック21および3つ目のブロック23にそれぞれ2つ目のout命令を追加し、アプリケーションサーバ120へ通知するように変更すればよい。
上記のように、実施例6によれば、レンタカーサービスまたはシェアードカーサービスにおいて、車両50の予約操作と同時に利用登録を行い、携帯端末40を用いた利用者認証を行うシステムを構築することができる。これにより、利用者は、自身の携帯端末40に専用のアプリケーション43を導入し、車両50の予約を行い、携帯端末40を車両50の利用のための認証ツールとして使用することが可能となる。
このように、レンタカーサービスまたはシェアードカーサービスにおける認証ツールとしてスマートフォン等の携帯端末40を使用することは、専用カード等の専用デバイスを用いる場合に比べて、携帯端末40に備わる個人認証機能との併用による不正利用の防止、決済機能との併用による予約時の決済処理の利用により、利用者の負担を軽減するとともに、利用者の利便性を高めることが可能となる。
(実施例7)
実施例7は、遠隔制御方式を採用した自動運転車両の位置を可能な限り詳細に得るための車載通信機器10の適用例である。
図26は、実施例7の車載通信機器の構成例を示す機能ブロック図を含むサービス提供システム全体図である。
図26に示す車載通信機器10は、図2に示す車載通信機器10からアプリケーション22を削除した構成をしている。また、通信器4は、GPS装置160と通信可能となっており、通信器1は、車両50の外部にある無線LANアクセスポイント170と通信可能となっている。また、通信器0は、管理サーバ100とアプリケーションサーバ120との両方と通信可能となっている。
一般に、ナビゲーションシステム等に備えられているGPS装置160は、車両50の位置把握に利用することが可能である。しかしながら、GPS測位は精度が粗く、また、GPS衛星からの電波受信状況による影響を受け易いこと等から、位置精度は、通信環境の変動による悪影響を受けやすい。
スマートフォンに代表される携帯端末では、このGPSの欠点を補うために、通信中の移動体通信基地局の位置等の情報の利用に加えて、周辺で検知される無線LANアクセスポイントを検知し、その位置推定に利用している。しかし、周辺の無線LANアクセスポイントは、新設・削除および周辺建築物の影響を受けやすく、通信状態が随時変化する環境となっており、さらには、無線LANアクセスポイントが移動可能である場合には、位置推定精度が低下する恐れがある。
同様に、車両位置把握のために、周辺の無線LANアクセスポイントを検知し、利用することを想定した場合、通信状態の変化の、位置精度への影響を排除することが必要となる。無線LANの通信状態の変化に対応するためには、例えば予め契約等によりその位置が決定されている無線LANアクセスポイントの位置情報を利用することが考えられる。
そのため、本実施例では、通信器1が、周辺の複数の無線LANアクセスポイント170と通信を行い、無線LAN情報pを取得して、通信監視制御処理部18へ送る。無線LAN情報pは、無線LANアクセスポイント170の名前と、受信信号強度とを含む。また、通信器4が、車両50に搭載されたGPS装置160から、GPS測位された車両位置情報であるGPS情報qを取得して、通信監視制御処理部18へ送る。
通信監視制御処理部18は、無線LAN情報pおよびGPS情報qを命令実行処理部16へ送り、命令実行処理部16は、無線LAN情報pおよびGPS情報qを通信器0へ送り、通信器0は、無線LAN情報pおよびGPS情報qをアプリケーションサーバ120へ送信する。
アプリケーションサーバ120は、無線LAN情報pおよびGPS情報qを受信する。そして、無線LAN情報pおよびGPS情報qと、別途用意された無線LANアクセスポイント位置情報とに基づき、周知の位置決め手法を用いて、車両位置を推定する。
次に、実施例7における処理の流れについて説明する。
図27は、実施例7における処理の流れを示すフローチャートである。
図27のフローチャートに示すステップS10〜S11、S63〜S64は、図20のフローチャートにおけるステップS10〜S11、S63〜S64と同様であるが、図27のステップS10において管理サーバ100から送られるサービス情報aは、例えば図28に示す通りであり、予め契約等によりその位置情報が明確化されている無線LANアクセスポイントからの信号のみを検知するものとして作成されている。
このように、管理サーバ100から通信器0へ送信されるサービス情報aの配信は、期間を決めて複数を一括配信し、車載通信機器10で車両位置に合わせて切り替えて使用してもよいし、車両位置情報を管理サーバ100で監視し、車両位置に合わせて配信してもよい。
ステップS100以降、車載通信機器10の命令実行処理部16は、図28のサービス情報aの第3行目の@pararell命令に従い、3つのブロックb31、b32、b33の内容を同時並行的に処理し、同第2行目の@loop命令により、60秒おきに処理を繰り返す。
図28に示す1つ目のブロックb31では、in命令により、「a_wifiap」の後ろに数字が3個続く「a_wifiap¥d¥d¥d」の正規表現に合致するアクセスポイント名が発見された場合(S102)、変数ST001にアクセスポイント名および受信信号電力が、続くout命令により「通信器0:http://server/serviceA」へ通知される(S103)。
同2つ目のブロックb32では、in命令により、「b_wifiap」の後ろに数字が3個続く「b_wifiap¥d¥d¥d」の正規表現に合致するアクセスポイント名が発見された場合(S102)、ST001にアクセスポイント名および受信信号電力が、続くout命令により「通信器0:http://server/serviceA」へ通知される(S103)。
同3つ目のブロックb33では、in命令により、「c_wifiap」の後ろに数字が3個続き、且つその後ろに「_mobile」が続かない「c_wifiap¥d¥d¥d(?!_mobile)」の正規表現に合致するアクセスポイント名が発見された場合(S102)、変数ST001にアクセスポイント名および受信信号電力が、続くout命令により「通信器0:http://server/serviceA」へ通知される(S103)。
なお、上記の何れにも合致しないアクセスポイント名を持つ無線LANアクセスポイント170からの信号は、たとえ検知されても、アプリケーションサーバ120へ通知されない。
さらに、利用可能と判断された無線LANアクセスポイントが追加された場合や、無効な無線LANアクセスポイントが発生した場合は、サービス情報aを修正し、修正されたサービス情報aを管理サーバ100から車載通信機器10へ再送信することで、対応可能となる。
上記のように、実施例7によれば、位置把握に利用する無線LANアクセスポイント170を、状況に合わせて管理サーバ100から制御することができ、また、車両50側で検知した無線LANアクセスポイント170のうち、必要な無線LANアクセスポイント170から得られた情報のみを、アプリケーションサーバ120へ通知することによって、位置推定精度の確保と、不要な通信を削減することによる通信費の削減との両方を実現することが可能となる。
(実施例8)
実施例8は、ドライブレコーダによって撮影した画像を、アプリケーションサーバへ送信する処理を支援するための車載通信機器10の適用例である。
通信状態は、車両50の移動に応じて、随時変化する。また、通信量に応じて費用が発生する。従って、実施例8では、車両50に搭載されたドライブレコーダ180からの画像の送信に、以下の制約を設ける。
すなわち、例えば移動体通信網52のような通信器0からのアプリケーションサーバ120への画像情報sの送信は、フレームレートを小さくした低解像度画像によって行うものとする一方、撮影した動画は、後の送信に備えてドライブレコーダ180の本体内に記憶する。ドライブレコーダ180の本体内に記憶した動画vは、無線LANによる通信が可能となった時点で、ドライブレコーダ180から通信器0を介してアプリケーションサーバ120へ送信する。
図29は、実施例8の車載通信機器の構成例を示す機能ブロック図を含むサービス提供システム全体図であって、前述したような制約を満足している。
図29に示す車載通信機器10は、図26に示す車載通信機器10に類似しているが、命令実行処理部16と通信器0との間に、通信器2と、ドライブレコーダ180とを設けている。また、通信監視制御処理部18に通信器2,3,4は接続されておらず、通信器1のみが接続されている。通信器1は、図26と同様に、無線LANアクセスポイント170と通信可能であるが、それに加えて、ドライブレコーダ180にも接続している。無線LANアクセスポイント170は、アプリケーションサーバ120との通信が可能である。
次に、実施例8における処理の流れについて説明する。
図30は、実施例8における処理の流れを示すフローチャートである。
図30のフローチャートに示すステップS10〜S11、S63は、図20のフローチャートにおけるステップS10〜S11、S63と同様であるが、図30のステップS10において管理サーバ100から送信されるサービス情報aは、例えば図31に示す通りであり、予め契約等により、利用可能となっている無線LANアクセスポイント170からの信号のみを検知するものとして作成されている。
そして、ステップS10では、管理サーバ100が、このサービス情報aを、例えば移動体通信網52のような通信器0を介して、車載通信機器10へ送信する。このようなサービス情報aの送信は、例えば、期間を決めた複数の一括配信によって、または、車載通信機器10で車両位置に合わせて切り替えて使用することによって、あるいは、車両位置情報の管理サーバ100における監視に基づく車両位置に合わせた配信によっても良い。
ステップS110以降、車載通信機器10の命令実行処理部16は、図30における2つのブロックb41、b42を同時並行的に処理し、第2行目の@loop命令により、60秒おきに処理を繰り返す。
図30における1つ目のブロックb41では、in命令により、「a_wifiap」の後ろに数字が3個続く「a_wifiap¥d¥d¥d」の正規表現に合致するアクセスポイント名が発見された場合、続くout命令により通信器2経由でドライブレコーダ「通信器2:ドライブレコーダ」へ、「WB」を送信することで、無線LANが利用可能となったことが通知される(S111)。
同2つ目のブロックb42では、in命令により、「a_wifiap」の後ろに数字が3個続く「a_wifiap¥d¥d¥d」の正規表現に合致するアクセスポイント名の無線LANアクセスポイント170が、利用不可となった場合、続くout命令により通信器2経由でドライブレコーダ「通信器2:ドライブレコーダ」へ、「NB」を送信することで、無線LANが利用不可能となったことが通知される(S112)。
ステップS111の後、ドライブレコーダ180は、蓄積した動画vを、無線LANアクセスポイント170を経由してアプリケーションサーバ120へ送信する(S113)。
一方、ステップ112の後、ドライブレコーダ180は、画像情報sをフレームレートを下げて、通信器0を経由して、アプリケーションサーバ120へ送信する(S114)。
さらに、利用可能と判断された無線LANアクセスポイントが追加された場合や、無効な無線LANアクセスポイントが発生した場合は、サービス情報aを修正し、修正されたサービス情報aを管理サーバ100から車載通信機器10へ再送信することで、対応可能となる。
上記のように、実施例8によれば、周辺の無線通信環境を検知することによって、ドライブレコーダ180において最適な通信回線の選択および送信方法を選択可能とし、また随時変動する通信状態に合わせて、利用する通信経路を車外から制御することも可能となる。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。