JP6832585B2 - 乳又は乳製品の冷凍方法 - Google Patents

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Description

本発明は、乳又は乳製品の冷凍方法に関する。
食品の鮮度を長期にわたって維持しつつ保存する方法として冷凍保存がある。しかし、通常の冷凍方法を牛乳などの乳又は乳製品に用いた場合には、乳又は乳製品を冷凍する際、乳又は乳製品に含まれる水分が凍って氷結晶が粗大化することで細胞の破壊が生じ、乳又は乳製品の色調の変化、味覚の劣化、並びに水分と脂肪分との分離などが生じて乳又は乳製品の品質が低下するという問題があった。また、通常の冷凍保存においては、省令(例えば、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令)で定められている程度の殺菌効果を得ることができないという問題があった。
そのため、従来から、放電によって水酸ラジカルを生成しての牛乳等の液体状食品の除菌を行うことで、牛乳等の液体状食品の品質を阻害することなく雑菌を除去することができる液体状食品殺菌装置が開示されている(例えば、特許文献1)。
特開2013−138643号公報
しかしながら、従来の液体状食品殺菌装置においては、牛乳等の液体状食品に対して殺菌効果を得られるものの、賞味期限(あるいは消費期限)が冷凍保存した場合に比べて短くなり、冷凍保存のように、食品の鮮度を長期にわたって維持しつつ保存することができない場合があるという問題があった。
本発明は、上記の問題を解決すべく、長期保存が可能で高鮮度で高品質な乳又は乳製品の冷凍方法を提供することを目的とする。
本発明の乳又は乳製品の冷凍方法は、収容された乳又は乳製品を保存する保存空間と、前記保存空間を冷却する冷却手段と、前記保存空間に電場を発生させる電場発生手段と、前記保存空間に収容された乳又は乳製品に超音波を照射する超音波照射手段とを備えた冷凍庫において、乳又は乳製品を前記保存空間に収容し、前記電場発生手段により電場を発生させると共に、前記超音波発生手段により超音波を照射しながら、前記冷却手段により前記保存空間の温度を−35℃に維持することで、前記乳又は乳製品を冷却して冷凍することを特徴とする。
上記構成によれば、長期保存が可能で高鮮度で高品質な乳又は乳製品の冷凍方法を提供することができるようになる。
前記電場発生手段は、電場を発生してから所定時間が経過した時に電場の発生を停止し、前記超音波照射手段は、超音波を照射してから特定時間が経過した時に超音波の照射を停止するものとしてもよい。
前記乳又は乳製品は、水分および固形分を含むものとしてもよい。
前記固形分は、脂肪分を含むものとしてもよい。
前記乳製品が乳飲料であるものとしてもよい。
前記乳製品がクリーム、又はチーズであるものとしてもよい。
前記乳製品は、乳又は乳製品を用いた菓子類を含むものとしてもよい。
前記菓子類がプリン、又はヨーグルトであるものとしてもよい。
本発明によれば、長期保存が可能で高鮮度で高品質な乳又は乳製品の冷凍方法を提供することができるようになる。
冷凍庫の一実施形態を示す正面図である。 冷凍庫の一実施形態を示す側断面図である。 冷凍庫の一実施形態を示す上面図である。 冷凍対象物を冷却して冷凍した時の温度推移を表すグラフである。 (a)は撹拌前の検体1の上層のデジタルマイクロスコープ写真であり、(b)は撹拌前の検体1の下層のデジタルマイクロスコープ写真であり、(c)は撹拌後の検体1のデジタルマイクロスコープ写真である。 (a)は撹拌前の検体1の上層の光学顕微鏡写真であり、(b)は撹拌前の検体1の上層の他の光学顕微鏡写真であり、(c)は撹拌前の検体1の下層の光学顕微鏡写真であり、(d)は撹拌前の検体1の下層の他の光学顕微鏡写真であり、(e)は撹拌後の検体1の光学顕微鏡写真であり、(f)は撹拌後の検体1の他の光学顕微鏡写真である。 (a)は撹拌前の検体2の上層のデジタルマイクロスコープ写真であり、(b)は撹拌前の検体2の下層のデジタルマイクロスコープ写真であり、(c)は撹拌後の検体2のデジタルマイクロスコープ写真である。 (a)は撹拌前の検体2の上層の光学顕微鏡写真であり、(b)は撹拌前の検体2の上層の他の光学顕微鏡写真であり、(c)は撹拌前の検体2の下層の光学顕微鏡写真であり、(d)は撹拌前の検体2の下層の他の光学顕微鏡写真であり、(e)は撹拌後の検体2の光学顕微鏡写真であり、(f)は撹拌後の検体2の他の光学顕微鏡写真である。 (a)は撹拌前の検体3の上層のデジタルマイクロスコープ写真であり、(b)は撹拌前の検体3の下層のデジタルマイクロスコープ写真であり、(c)は撹拌後の検体3のデジタルマイクロスコープ写真である。 (a)は撹拌前の検体3の上層の光学顕微鏡写真であり、(b)は撹拌前の検体3の上層の他の光学顕微鏡写真であり、(c)は撹拌前の検体3の下層の光学顕微鏡写真であり、(d)は撹拌前の検体3の下層の他の光学顕微鏡写真であり、(e)は撹拌後の検体3の光学顕微鏡写真であり、(f)は撹拌後の検体3の他の光学顕微鏡写真である。 検体1〜3それぞれの外観写真および光学顕微鏡写真の比較図である。
1 冷凍庫
2 冷凍室
3 冷却室
4 ラック(カート)
5 開口部
6 ドア
7 冷凍機
8a 冷却器
8b 冷却器
9 高電圧発生装置
10a 放電電極
10b アース電極
11 碍子
12 超音波発振器
13 超音波振動子
14 温度制御盤
15 電圧制御盤
16 超音波制御盤
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。なお、実施形態の特徴部分に関係しない事項については、その内容を省略している場合がある。
図1,図2,および図3は、それぞれ本発明の冷凍庫の一実施形態を示す正面図,側断面図,および上面図である。本例において、冷凍庫1は、直方体形状のボックス状に形成され、縦が1800mm、横が1800mm、高さが2500mm程度のサイズである。また、冷凍庫1は、冷却装置と、電場発生装置と、超音波発生装置と、制御装置と、各装置の電源からの漏電を防止するため絶縁体とを備える。さらに、冷凍庫1は、冷凍対象物(本例においては、乳又は乳製品)を収納する冷凍室2と、冷凍庫1内の空気を冷却する冷却室3とを備え、冷凍室2には冷凍対象物を置くための上下方向への通風が可能な格子状または網状部材からなる複数段(本例では5段)の棚を有するユニット状のラック4が設置される構成としてもよい。このラック4は前後左右方向への通風を許容し、全体を冷凍室2より出し入れ可能なキャスター付のカートにすることもできる。なお、冷凍室2には冷凍庫1外への開口部5を設け、ドア6により開口部5の開閉を行うものとする。
冷却装置は、冷却室3と、冷凍機7と、冷凍室2の空気を冷却室3へ送り込むためのファンと一体化された冷却器8aと、冷却室3の空気を冷凍室2へ送り出すためのファンと一体化された冷却器8bとを備える。なお、冷却室3は、複数の冷却室を備える構成としてもよい。本例において、冷却室3は、冷却室3a,3bの2つの冷却室を備える。冷凍室2の空気は、冷却器8aにより冷却されながら冷却室3a,3bに順次送り込まれる。冷却室3bに送り込まれた空気は、冷却器8bにより冷却されて冷凍室2へ送り出される。送り出された空気は冷凍室2を冷却し、再び冷却器8a,8bによる冷却循環を繰り返して冷凍室2内の冷凍対象物を冷凍する(空気の流れは、図1における矢印を参照)。
電場発生装置は、冷凍庫1の外部に設置された変圧器内臓の高電圧発生装置9と、高電圧発生装置9と電気的に接続されている放電電極10aと、電気的に接地されているアース電極10bとを備える。なお、ラック4がステンレス製の放電電極から構成されるので、ラック4そのものが放電電極10aになる。また、冷凍庫1内の壁側にアース電極10bを形成しあるいは設置する。さらに、放電電極10aとアース電極10bとが短絡することを防止するため、ラック4と冷凍庫1は絶縁体で形成される。
また、電場発生装置は、家庭一般で使用される交流電圧を変圧器等によって所定周波数を有する高電圧に変圧するように構成されており、具体的に発生させる電圧は、AC100Vの電源で、周波数が500Hz以上(さらに好ましくは1000Hz以上)、電圧の実効値が500V〜1500Vに設定される。なお、高電圧発生装置9によって、直流電圧を発生させる構成としてもよい。
超音波発生装置は、冷凍庫1の外部に設置され、電気的な高周波を発生させる超音波発振器12と、冷凍庫1の内部に備え付けられ、超音波発振器12からの高周波によって超音波振動する超音波振動子13とから構成さる。なお、超音波発生装置は、振動子の振幅を増大させるホーン(図示せず)を備える構成としてもよい。
なお、この超音波発生装置の電源は、家庭一般で使用される交流電圧(具体的には、周
波数が50〜60Hz、電圧の実行値が100Vの交流電圧)が用いられ、本例においては、出力は150wで、振動数は28kHzに設定されている。
制御装置は、温度制御盤14と、電圧制御盤15と、超音波制御盤16とを備える。温度制御盤14は、冷凍庫1内の温度の設定、時間に応じた設定温度の切り替え、冷凍庫1内と冷凍対象物の温度の計測および計測値の記録を制御する機能を有する。電圧制御盤15は、高電圧発生装置9の出力電圧、および装置の停止・作動を制御する機能を有する。超音波制御盤16は、超音波の振動数や振幅を調節する機能を有する。各装置の電源からの漏電を防止するための絶縁体は、冷凍庫1と冷凍庫1とを接地する面との間に設けられた碍子11により構成される。
次に、本例における冷凍庫1を用いた乳又は乳製品の冷凍方法について説明する。なお、本発明に関わらない手順については、その詳細な説明を省略している場合がある。
まず、冷凍対象物である乳又は乳製品(以下、単に乳製品ともいう)を冷凍庫1内に設けられた冷凍室2に収容する。本例においては、冷凍庫1内および冷凍庫2内が予め−1℃以下の所定範囲の温度に冷却されているものとする。なお、−1℃は乳又は乳製品が冷凍された状態を保つことのできる上限の温度であり、それ以下の温度は、通常の業務用冷凍庫の温度範囲内で乳又は乳製品の種類や性質に応じて任意に選択設定できるものとする。しかし、冷凍庫1内および冷凍庫2内は、乳又は乳製品を収容する際に−1℃以下の所定範囲の温度以外の温度(例えば、室温と同じ温度)であってもよい。
ここで、本例が適用される乳又は乳製品において、乳とは、生乳、牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、加工乳(例えば、コーヒー牛乳など)等の乳が含まれ、これは、牛や羊から搾った乳を含むものに限らず、ヤギなどのその他の動物から搾った乳、あるいは豆乳やアーモンドミルクなどの植物から生成された乳をも含むものとする。
また、乳製品とは、上記に記載の乳等を原料として製造した、(生)クリーム、バター、バターオイル、チーズ、濃縮ホエイ、アイスクリーム類、濃縮乳、脱脂濃縮乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳、加糖練乳、加糖脱脂練乳、全粉乳、脱脂粉乳、クリームパウダー、ホエイパウダー、たんぱく質濃縮ホエイパウダー、バターミルクパウダー、加糖粉乳、調整粉乳、発酵乳、乳酸菌飲料、乳飲料等を含むものとする。
なお、上記乳製品は、上記に列挙したものの他、乳等を原料として製造した菓子類も含むものとする。具体的には、プリン、ババロア、ムース、ゼリー等のデザートの他、ヨーグルトも対象となる。ちなみに、本例の冷凍方法によって冷凍される上述の乳又は乳製品は、ある程度の流動性を有するものが適しているが、これに限られるものではない。
乳製品を冷凍室2に収容すると、電場発生装置により冷凍庫1および冷凍室2内に電場を発生させると共に、超音波発生装置により冷凍室2に収容された乳製品に超音波を照射しながら、冷却装置により乳製品を冷却して冷凍する。この場合、電場発生装置における高電圧発生装置9は、放電電極10aに500V〜1500Vの電圧を印加し、放電電極10aであるラック4からアース電極10bへ放電し、冷凍庫1内に電場を発生させる。また、超音波発生装置における超音波発振器12は、超音波振動子13を介して冷凍室2内に例えば28kHz程度の超音波を放射することにより、乳製品に超音波を照射する。また、冷却装置は、冷凍庫1および冷凍室2内の温度を−1℃以下の所定範囲の温度に維持することで乳製品を冷却して冷凍する。
乳製品を冷却して冷凍すると、すなわち、乳製品が凍ると、電場発生装置は電場の発生を停止し、超音波照射装置は超音波の照射を停止する。なお、電場発生装置と超音波発生装置との動作停止は、同時に行っても、異なる順番で行ってもよい。また、電場発生装置と超音波発生装置との動作停止のタイミングは、乳製品の種類や量に応じて任意に設定することができ、例えば乳製品が凍ってすぐであっても、乳製品が凍ってから一定時間が経過した時であってもよい。また、乳製品の種類や量に応じて乳製品が凍るまでの時間を予め算出しておき、算出した時間になると手動または自動で電場発生装置と超音波発生装置との動作停止を行ってもよい。
電場発生装置と超音波発生装置との動作停止を行うと、温度制御盤14を用いて冷凍室2に収容された乳製品を急速冷凍するための設定(例えば、冷凍室2内を−35℃前後の温度範囲に維持する設定)から、冷凍室2に収容された乳製品を冷凍保存するための設定(例えば、冷凍室2内を−1℃〜−25℃の温度範囲に維持する設定)に切り替える。この場合、温度制御盤14により保存期間を任意設定し、電圧制御盤15で電場発生装置を必要に応じて作動または停止させ、超音波制御盤16で超音波発生装置を必要に応じて停止または作動させてもよい。
すなわち、上述した本発明の一実施形態では、冷凍庫1内に電場発生装置により電場を発生させることで熱伝達効率を向上させ、かつ、超音波発生装置により超音波を放射し冷気を均一化させるので、冷凍対象物である乳製品を冷凍する際の冷凍効率を高めることができる。その結果、−35℃前後という温度範囲での急速冷凍が可能となる。また、この温度範囲は通常の低温急速冷凍で用いる−40℃〜−70℃の温度域と比較して消費電力を低く抑えることが可能となる。
また、冷凍対象物である乳製品は、水分および固形分を含んでおり、特に固形分には脂肪分として脂肪球(乳脂肪球ともいう)が含まれている。したがって、乳製品を冷凍する場合には水分が氷となることで体積が増加する。この場合、乳製品中の脂肪球や細胞中に氷結晶ができると、脂肪球や細胞が破壊され、その状態のまま冷凍されることがあると推測される。これにより味や風味が損なわれてしまい、乳製品の品質が低下してしまうという問題があった。
なお、氷結晶が生成する温度帯(温度範囲とも言う)は、「最大氷結晶生成帯」と呼ばれ、この温度帯を長い時間かけて通過するほど、氷結晶は大きくなる。また、最大氷結晶生成帯は、通常の場合−1℃〜−5℃である。したがって、比較的高い温度でゆっくりと冷凍する緩慢冷凍よりも、最大氷結晶生成帯を短時間に通過させて氷の結晶を小さく留める急速冷凍の方が、冷凍対象物の品質が良好であることが知られている。したがって、本発明の一実施形態によると、冷凍効率を向上させて急速冷凍を行うことができるので、冷凍時に食品が最大氷結晶生成温度帯に留まる時間が短縮され、乳製品に含まれる固形分、特に脂肪球の破壊を防ぐことができ、解凍した場合であっても高鮮度で高品質な乳製品を得ることができる。
ここで、図4は、冷凍対象物を冷却して冷凍した時の温度推移を表すグラフである。図4には、緩慢冷凍、電場を用いた急速冷凍、および電場および超音波を用いた急速冷凍のそれぞれの方法における時間―温度特性を示した。図4を参照すると、冷凍時に冷凍対象物が最大氷結晶生成温度帯に留まる時間が最も短かったのは、電場および超音波を用いた急速冷凍方法であり、この方法が他の方法に比べて冷凍時の氷結晶粗大化を最も抑制したことが分かる。ちなみに、各線図の冷凍途中の一時的な温度上昇ピークは凝固潜熱による対象物内の温度上昇現象を示している。
さらに、急速冷凍後に温度制御盤14を用いて冷凍庫を急速冷凍するための設定から冷凍保存するための設定に切り替えることができるため、冷凍庫の作動に使用する消費電力を抑えて省エネルギーに資することができる。なお、冷凍室2に収容された乳製品を冷凍保存するための設定(例えば、冷凍室2内を−35℃前後の温度範囲に維持する設定)は、通常の冷凍時(例えば、緩慢冷凍時)の設定よりも消費電力が抑えられる。したがって、当該設定を低消費電力モードとして予め冷凍庫1の温度制御盤に記憶される構成としてもよい。
また、乳製品が凍った後などの電場や超音波が不要な場合には、電場発生装置や超音波発生装置を停止することにより消費電力をさらに低減することができる。加えて、冷凍保存期間を自由に設定できるので冷凍対象物の出庫時期に適時対応することもできる。
なお、乳製品が凍った後(すなわち冷凍後)に、乳製品を冷凍庫1から取り出し、超音波や電場が形成されていない通常の冷凍庫に収容して保管する構成としてもよい。この場合、通常の冷凍庫内の温度は、例えば−1℃以下に設定されるものとする。
次に、冷凍対象物として市販の牛乳を用いて、本発明の冷凍庫1により急速冷凍したものと、通常の冷凍庫により緩慢冷凍したものとをそれぞれ解凍し、細胞組織等への影響を観察する実験を行った。以下、その結果について説明する。
以下の実験1〜4においては、検体として市販の牛乳(同一メーカーから販売される同一種類の牛乳であって、容量が500mlの紙パック入りもの)を複数本用意した。以下、検体1を冷蔵時すなわち冷凍前の牛乳,検体2を本発明の冷凍庫1を用いて急速冷凍した牛乳,および検体3を通常の冷凍庫を用いて緩慢冷凍した牛乳とする。
<実験1>
まず、冷凍前の検体2および検体3について成分分析を行った。なお、成分分析は、水分については水分固形分直説法、乳脂肪分についてはゲルベル法、比重については比重確認、酸度については滴定酸度の測定、およびアルコール試験についてはアルコールテストにより行った。
[実験結果]
成分分析の結果は、表1の通りであった。
Figure 0006832585
[考察]
表1から、冷凍前の検体2および検体3の各成分にはほとんど差がないことが分かった。したがって、検体2および検体3の成分はほぼ同一のものとして、冷凍後に解凍したもの同士を比較することが可能であると考えられる。
<実験2>
次に、検体1の外観観察を行った。検体1は冷蔵時の牛乳であり、検体2および検体3の冷凍前の状態とほぼ同様のものとして本外観観察の結果を用いるものとする。
[実験方法]
検体1をパスツールピペットで1滴(約0.002ml)採取し、デジタルマイクロスコープおよび光学顕微鏡写真で観察した。また、検体1を所定のビンに戻して振って撹拌したものをパスツールピペットで1滴(約0.002ml)採取し、デジタルマイクロスコープおよび光学顕微鏡写真で観察した。
[実験結果]
図5(a)〜(c)は、それぞれ撹拌前の検体1の上層のデジタルマイクロスコープ写真,撹拌前の検体1の下層のデジタルマイクロスコープ写真,および撹拌後の検体1のデジタルマイクロスコープ写真である。図5(a),(b)から、検体1は、ほぼ円形の形状を示し、円の縁から中心にかけて徐々に膨らみを持つことが観察された。また、円の中心は乳白色であり、中心から外側に向かうにつれて乳白色が薄くなっていき、円の縁ではほぼ透明の色を示すことが観察された。さらに、検体1の上層と下層とには分離は認められなかった。また、図5(c)から、検体1は、撹拌前と撹拌後とで、外観がほとんど変化しないことが観察された。
図6(a)〜(f)は、それぞれ撹拌前の検体1の上層の光学顕微鏡写真,撹拌前の検体1の上層の他の光学顕微鏡写真,撹拌前の検体1の下層の光学顕微鏡写真,撹拌前の検体1の下層の他の光学顕微鏡写真,撹拌後の検体1の光学顕微鏡写真,および撹拌後の検体1の他の光学顕微鏡写真である。図6(a)〜(f)から、検体1には、ほぼ同一の大きさおよび密度を有する脂肪球がほぼ均一に拡散して存在していることが観察された。また、検体1は、撹拌前と撹拌後とで、脂肪球の大きさ、密度および脂肪球の拡散状態にほとんど変化がないことが観察された。
[考察]
図6(a),図6(c),図6(e)においては、ほぼ同一の大きさおよび密度を有する脂肪球がほぼ均一に拡散して存在していることが観察された。このため、検体1は、風味などが損なわれておらず、また、味に柔らかみがある、すなわち高品質で高鮮度の牛乳であると推測できる。
<実験3>
検体2を本発明の冷凍庫1を用いた冷凍方法で急速冷凍した後に解凍し、解凍後の検体2の外観観察を行った。
[実験方法]
温度が−35℃で予冷されている冷凍室2に検体2を収容してドア6を閉じ、その後速やかに冷凍庫1内に電場発生装置により500V〜1500Vの電場を発生させると共に超音波照射装置により検体2に28kHzの超音波を照射しながら、冷却装置により冷凍室2内の温度を−35℃に維持して検体2を冷却して冷凍した。その後、冷却を開始して150分後であって検体2が凍った後に、電場発生装置による電場の発生を停止すると共に超音波照射装置による超音波の照射を停止した。その後、庫内の温度が−20℃に設定された通常の冷凍庫に保管し、一定期間(本実験においては、冷凍開始日から65日間(冷凍開始日は含まない))検体2を冷凍保存した。
冷凍室2内にて冷凍保存された検体2を、冷凍開始日から65日後(冷凍開始日は含まない)に冷凍庫1から取り出し、その後、庫内の温度が5℃に設定された通常の冷蔵庫に収容して解凍した。そして、冷蔵庫において解凍を開始してから2日後(冷蔵開始日は含まない)に、解凍後の検体2をパスツールピペットで1滴(約0.002ml)採取し、デジタルマイクロスコープおよび光学顕微鏡写真で観察した。また、解凍後の検体2を所定のビンに戻して振って撹拌したものをパスツールピペットで1滴(約0.002ml)採取し、デジタルマイクロスコープおよび光学顕微鏡写真で観察した。
[実験結果]
図7(a)〜(c)は、それぞれ撹拌前の検体2の上層のデジタルマイクロスコープ写真,撹拌前の検体2の下層のデジタルマイクロスコープ写真,および撹拌後の検体2のデジタルマイクロスコープ写真である。図7(a),図7(b)から、検体2の上層と下層とには分離は認められなかった。また、図7(c)から、検体2は、撹拌前と撹拌後とで、外観がほとんど変化しないことが観察された。
図8(a)〜(f)は、それぞれ撹拌前の検体2の上層の光学顕微鏡写真,撹拌前の検体2の上層の他の光学顕微鏡写真,撹拌前の検体2の下層の光学顕微鏡写真,撹拌前の検体2の下層の光学顕微鏡写真,撹拌後の検体2の光学顕微鏡写真,および撹拌後の検体2の他の光学顕微鏡写真である。図8(a)〜図8(d)から、検体2における脂肪球は、検体1とほぼ同一の大きさおよび密度を有するものがほぼ均一に拡散して存在していることが観察された。また、撹拌後の検体2は、撹拌前と同様の大きさおよび密度を有する脂肪球がほぼ均一に拡散して存在していることが観察された。
[考察]
図8(a)〜図8(d)に示されたように、撹拌前の脂肪球は、検体1とほぼ同一の大きさおよび密度を有するものがほぼ均一に拡散して存在していること、および図5(a)〜図5(c),図6(a)〜図6(f)の外観とほとんど変わらない外観を有することから、急速冷凍による検体2の風味や味への影響はほとんどないものと考えられる。すなわち、解凍後の検体2は、検体1と同様に高品質で高鮮度の牛乳であると推測できる。
<実験4>
検体3を通常の冷凍庫を用いた冷凍方法で緩慢冷凍した後に解凍し、解凍後の検体3の外観観察を行った。
[実験方法]
温度が−20℃に設定されている冷凍庫に検体3を収容してドアを閉じ、冷却装置により冷凍庫内の温度を−20℃に維持して検体3を冷却して冷凍した。その後、検体3が凍った後に、冷却装置により冷凍庫内を−20℃に維持して検体3の冷却を続行し、一定期間(本実験においては、冷凍開始日から65日間(冷凍開始日は含まない))検体3を冷凍保存した。
冷凍庫内にて冷凍保存された検体3を、冷凍開始日から65日後(冷凍開始日は含まない)に冷凍庫から取り出し、その後、庫内の温度が5℃に設定された通常の冷蔵庫にて解凍した。そして、冷蔵庫において解凍を開始してから2日後(冷蔵開始日は含まない)の検体3をパスツールピペットで1滴(約0.002ml)採取し、デジタルマイクロスコープおよび光学顕微鏡写真で観察した。また、この検体3所定のビンに戻して振って撹拌したものをパスツールピペットで1滴(約0.002ml)採取し、デジタルマイクロスコープおよび光学顕微鏡写真で観察した。
[実験結果]
図9(a)〜図9(c)は、それぞれ撹拌前の検体3の上層のデジタルマイクロスコープ写真,撹拌前の検体3の下層のデジタルマイクロスコープ写真,および撹拌後の検体3のデジタルマイクロスコープ写真である。図9(a)において、検体3の上層と下層とには分離が認められた。また、図9(c)から、撹拌後の検体3は分離が認められず、撹拌前の検体3とは、外観が異なることが観察された。
図10(a)〜図10(f)は、それぞれ撹拌前の検体3の上層の光学顕微鏡写真,撹拌前の検体3の上層の他の光学顕微鏡写真,撹拌前の検体3の下層の光学顕微鏡写真,撹拌前の検体3の下層の光学顕微鏡写真,撹拌後の検体3の光学顕微鏡写真,および撹拌後の検体3の他の光学顕微鏡写真である。図10(a)〜図10(d)から、検体3には、異なる大きさおよび密度の脂肪球が不規則に拡散して存在していることが観察された。また、図10(e)〜図10(f)から、撹拌後の検体3には、氷結晶により破壊されたと推測される脂肪球や細胞が均一に拡散していることが観察された。
[考察]
図10(a)〜図10(d)に示されたように、撹拌前の検体3において観察された脂肪球は、検体3が最大氷結晶生成帯を通過した際に生成されたものであると推測できる。検体1や検体2に比べて脂肪球の数が非常に多く、また大きさも大きいのは、最大氷結晶生成帯を通過した時間が長いためであると考えられる。これは、図4に示した実験結果からも明らかである。したがって、図10(a)〜図10(d)に示された結果から、解凍後の検体3は、多くの脂肪球や細胞が破壊されており、風味や味が損なわれたものであると考えられる。
さらに、図10(e)〜図10(f)においては、撹拌により脂肪球の大きさや密度、拡散状態が均一となったが、これは、一度破壊された脂肪球や細胞が単に均一に広がっただけであり、風味や味は脂肪球や細胞が破壊されていないものに比べて格段に落ちると考えられる。
<実験5>
実験3において解凍した検体2を所定期間通常の冷蔵庫において冷蔵保存した後に、細菌検査を行った。
[実験方法]
検体2を庫内の温度が5℃に設定された通常の冷蔵庫に収容してから5日目、10日目、および15日目の検体2を用意した。(なお、以下の表において、それぞれの検体を解凍5日後、解凍10日後、解凍15日後という。)そして、標準寒天平板培養法により一般生菌数を、BGLB法により大腸菌群数の検査を行った。
[実験結果]
検査の結果は、表2の通りであった。
Figure 0006832585
[考察]
一般生菌数は、解凍5日後から解凍15日後まで30ml以下であった。また、大腸菌群は、解凍5日後から解凍15日後まで2.22mlであった。これらの結果から、牛乳を適切な温度管理がなされた冷蔵庫で解凍した場合には、乳及び乳製品の成分規格等に関する省令で定められる品質基準を満たすことが分かった。したがって、本発明の乳又は乳製品の冷凍方法で牛乳を冷凍し、その後、適切に温度管理がなされた冷蔵庫において解凍する場合には、一般生菌や大腸菌群等の細菌の繁殖を抑えられると言える。
また、一般に微生物は温度が下がるほど増殖しにくくなることが知られている。これは、微生物の細胞内の酵素活性が下がるためである。微生物のうち、例えば中温細菌と呼ばれる食中毒細菌の多くは10℃以下では増殖しにくく、0℃になるとほとんど活動できない。さらに、低温細菌群と呼ばれる比較的低温に強い細菌は−10℃以下ではほとんど増殖しなくなる。したがって、本発明の乳又は乳製品の冷凍方法によって上述の冷凍対象物を冷凍保存することにより、細菌などの微生物の増殖を防止することができるようになると言うことができる。
以下、実験1〜実験4の実験結果に基づいて、考察を行う。
図11は、冷凍後、解凍した検体1〜3それぞれの光学顕微鏡による外観写真の比較図である。なお、図11(A)は検体1の光学顕微鏡写真、図11(a)は検体1の他の光学顕微鏡写真,図11(B)は検体2の光学顕微鏡写真、図11(b)は検体2の他の光学顕微鏡写真、図11(C)は検体3の光学顕微鏡写真、および図11(c)は検体3の他の光学顕微鏡写真である。
図11に示すように、検体2は、脂肪球の大きさ、密度、および拡散状態等の外観は検体1とほぼ同様であることが分かった。したがって、検体2は、風味などが損なわれておらず、また、味に柔らかみがある、すなわち高品質で高鮮度の牛乳であると推測でき、上述した本発明の一実施形態用いた乳又は乳製品の冷凍方法により、高品質で高鮮度の乳又は乳製品が提供できることが示された。
一方で、検体3の脂肪球の大きさ、密度および拡散状態はまばらであり、検体1と比較すると外観に大きな差が認められた。したがって、検体3は、風味や味が損なわれた牛乳であると推測でき、緩慢冷凍方法においては、高品質で高鮮度の牛乳が提供できるとは言い難いことが示された。
以上に説明したように、上述した本発明の一実施形態の例では、収容された冷凍対象物を保存する保存空間(冷凍室2)と、保存空間を冷却する冷却手段(例えば、冷凍機7)と、保存空間に電場を発生させる電場発生手段(例えば、高電圧発生装置9)と、保存空間に収容された冷凍対象物に超音波を照射する超音波照射手段(例えば、超音波発振器12)とを備えた冷凍庫1において、冷凍対象物を保存空間に収容し、電場発生手段により電場を発生させると共に、超音波発生手段により超音波を照射しながら、冷却手段により冷凍対象物を冷却して冷凍する構成としているので、長期保存が可能で高鮮度で高品質な乳又は乳製品の冷凍方法を提供することができるようになる。
すなわち、冷凍庫1内に電場発生装置により電場を発生させることで熱伝達効率を向上させ、かつ、超音波発生装置により超音波を放射し冷気を均一化させるので、冷凍対象物を冷凍する際の冷凍効率を高めることができる。その結果、−35℃前後という温度範囲での急速冷凍が可能となる。また、この温度範囲は通常の低温急速冷凍で用いる−40℃〜−70℃の温度域と比較して消費電力を低く抑えることが可能となる。
また、上述した実施形態の例では、電場発生手段は、電場を発生してから所定時間が経過した時に電場の発生を停止し、超音波照射手段は、超音波を照射してから特定時間が経過した時に超音波の照射を停止する構成としているので、冷凍庫の作動に使用する消費電力を抑えて省エネルギーに資することができるようになる。
また、上述した実施形態の例では、冷却手段は、冷却により保存空間を−1℃以下の所定範囲の温度に維持する構成としているので、細菌等の微生物の増殖を防止し、安全で高品質な牛乳を提供することができるようになり、なおかつ、牛乳を長期保存できるようになる。
また、上述した実施形態の例では、冷却手段により所定範囲の温度が維持されている状態で牛乳を収容する構成としているので、細菌等の微生物の増殖を抑えて安全で高品質な状態を保つことができる。また、冷凍庫の作動に使用する消費電力を抑えて省エネルギーに資することができるようになる。
また、上述した実施形態の例では、牛乳は、水分および固形分を含む構成としているので、冷凍時に氷結晶が生成されて細胞等が破壊されることを防ぎ、高品質で高鮮度な牛乳を提供するこができるようになる。すなわち、その他の水分及び固形分を含む、乳又は乳製品についても同様の結果が得られるものと考えられる。
また、上述した実施形態の例では、固形分は、脂肪分を含む構成としているので、冷凍時に氷結晶が生成されて脂肪球が破壊されることを防ぎ、また、脂肪球がまばらに拡散することを防ぐことが可能となるので、風味豊かで味に柔らかみがある牛乳を提供することができるようになる。
特に、乳においては、成分調整等をした乳に比べて、搾りたてで成分を調製していない乳の方がより多くの脂肪分を含み、風味豊かで味も濃いことが知られている。しかし、この搾りたての乳は、消費期限が非常に短く、また、通常の冷凍保存(例えば、緩慢冷凍方法)にて保存した場合には、液体の周囲から凝固が始まるが、最初に凝固し始めるのは水分(水)である。水分が凝固して生成された氷は、水に比べて体積が大きいため、液体に含まれる固形分(脂肪分やたんぱく質など)は、氷によって液体の中心部に凝縮されて固まりとなってしまう。この凝縮された脂肪分やたんぱく質などの固形分は、解凍後にも分離しないため、解凍後の乳には、固形分が凝縮された(濃厚な)部分と、固形分がほとんど存在しない(薄い)部分との分離が起こってしまう。これにより、通常の冷凍保存により乳を保存した場合には風味や味が非常に落ちてしまっていた。したがって、搾りたてで成分を調整していない乳は、牧場周辺でしか飲むことができなかった。
しかし、本発明の乳又は乳製品の冷凍方法によれば、過冷却により乳又は乳製品を一気に凍らせる(すなわち、最大氷結晶生成帯を短時間に通過させて氷の結晶を小さく留める)ことができるので、脂肪分やたんぱく質などが拡散された状態のまま冷凍保存することが可能となると考えられる。したがって、本発明の乳又は乳製品の冷凍方法を用いて冷凍保存した乳又は乳製品を解凍した場合には、水分と、脂肪分やたんぱく質などの固形分とが分離することを防ぐことができるようになると推測することができる。
すなわち、本発明の乳又は乳製品の冷凍方法によれば、上述した問題を解消し、牧場周辺ではなくても、風味豊かで味が濃く搾りたてのような乳を飲むことができるようになる。
なお、上述の冷凍方法は、冷凍時の凍りの結晶を小さく留めることで、水分と、脂肪分やたんぱく質などの固形部とが分離することを防ぐことから、魚類、甲殻類、貝類等の水産品の冷凍にも適用することで、高品質な状態を保ったまま冷凍保存することもできる。
本発明によれば、長期保存が可能で高鮮度で高品質な乳又は乳製品の冷凍方法を提供することを実現するのに有用である。

Claims (8)

  1. 乳又は乳製品の冷凍方法であって、
    収容された乳又は乳製品を保存する保存空間と、
    前記保存空間を冷却する冷却手段と、
    前記保存空間に電場を発生させる電場発生手段と、
    前記保存空間に収容された乳又は乳製品に超音波を照射する超音波照射手段とを備えた冷凍庫において、
    乳又は乳製品を前記保存空間に収容し、
    前記電場発生手段により電場を発生させると共に、前記超音波発生手段により超音波を照射しながら、前記冷却手段により前記保存空間の温度を−35℃に維持することで、前記乳又は乳製品を冷却して冷凍する
    ことを特徴とする乳又は乳製品の冷凍方法。
  2. 前記電場発生手段は、電場を発生してから所定時間が経過した時に電場の発生を停止し、
    前記超音波照射手段は、超音波を照射してから特定時間が経過した時に超音波の照射を停止する
    請求項1に記載の乳又は乳製品の冷凍方法。
  3. 前記乳又は乳製品は、水分および固形分を含む
    請求項1または請求項2に記載の乳又は乳製品の冷凍方法。
  4. 前記固形分は、脂肪分を含む
    請求項3に記載の乳又は乳製品の冷凍方法。
  5. 前記乳製品が乳飲料である
    請求項1乃至4に記載の乳又は乳製品の冷凍方法。
  6. 前記乳製品がクリーム、又はチーズである
    請求項1乃至4に記載の乳又は乳製品の冷凍方法。
  7. 前記乳製品は、乳又は乳製品を用いた菓子類を含む
    請求項1乃至4に記載の乳又は乳製品の冷凍方法。
  8. 前記菓子類がプリン、又はヨーグルトである
    請求項7に記載の乳又は乳製品の冷凍方法。
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