JP6832409B1 - 仕上材が塗布されたコンクリートの評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】仕上材が塗布されたコンクリートの評価を迅速且つ高精度に行うことができる評価方法を提供する。【解決手段】仕上材が塗布されたコンクリートを評価する評価方法であって、既知の仕上材について特定される関係式であって、既知の仕上材を透過する気体の拡散係数と顔料体積濃度との関係式を予め取得して格納する工程S1と、評価の対象とする仕上材の顔料体積濃度を取得する工程S2と、取得した顔料体積濃度から評価の対象とする仕上材を透過する気体の拡散係数を算出する工程S3と、を備える。更に、気体の拡散係数を算出する工程S3の後に、評価の対象とする仕上材が塗布されたコンクリートの中性化の進行を予測する工程S4を備える。【選択図】図6

Description

本開示は、仕上材が塗布されたコンクリートを評価する評価方法に関する。
従来からコンクリートを評価する評価方法としては種々のものが知られている。特開2003−172681号公報には、コンクリートの強度推定方法が記載されている。この強度推定方法では、非破壊的な試験方法によってコンクリートの圧縮強度を推定する。また、この強度推定方法では、コンクリートの表面の反発度をコンクリート・テスト・ハンマによって測定すると共に、中性化深さを中性化深さ試験機によって測定する。
特開2005−49235号公報には、補修されたコンクリート躯体の余寿命の予測方法、及び当該予測に用いる中性化速度係数を算出する方法が記載されている。この方法は、コンクリート躯体の空気中への暴露時間と中性化深さとの関係を示す中性化速度係数を算定する。また、中性化が進行したコンクリート躯体の表面をモルタル系補修材料で覆って補修するときに、補修後のコンクリート躯体の中性化速度係数を、補修されていないコンクリート躯体の中性化速度係数と、上記モルタル系補修材料の物性値とから求める。
特開2011−257212号公報には、コンクリート構造物の中性化深さ予測装置が記載されている。この中性化深さ予測装置は、統計的数式モデルを設定するステップと、中性化深さのデータをロードするステップと、推定対象のパラメータの事前分布と尤度関数を設定してベイズの定理を適用するステップと、MCMC(マルコフ連鎖モンテカルロ)法によって事後分布を数値的に生成するステップと、事後分布から当該パラメータを推定するステップと、を実行する。
特開2017−9290号公報には、中性化深さの測定方法、及び中性化深さ測定用のシールとが記載されている。このシールは、中性化する中性化領域と、中性化しない未中性化領域とを有する。この測定方法では、セメントコンクリート組成物構造体の表面に上記のシールを貼り、一定期間経過後にシールを剥がしシールの中性化領域の長さを測定することによって、セメントコンクリート組成物構造体の中性化深さを測定する。
特開2003−172681号公報 特開2005−49235号公報 特開2011−257212号公報 特開2017−9290号公報
ところで、コンクリートの中性化を抑制するために仕上材がコンクリートに塗布されることがある。仕上材が有する中性化抑制効果は、JASS 5の解説表3.6「仕上塗材、塗料などを用いた各種仕上げの中性化率」に示されている。しかしながら、この解説表は、安全側の評価となるように大きめの数値が採用されているため正確性の点で改善の余地がある。更に、この解説表は、仕上材ごとに示されているわけではないため個々の仕上材が有する中性化抑制効果を知ることはできない。
また、コンクリートの試験体に仕上材を塗布し、促進中性化試験(JIS A 1153)によって一定時間後の中性化深さを測定する方法が知られている。しかしながら、この方法は、結果が得られるまで8か月以上必要となる。更に、この方法では、中性化促進試験装置という特殊な装置が必要となり、用意できる中性化促進試験装置の台数には限りがあるため、一度に多くの試験を行えないという問題がある。従って、仕上材が塗布されたコンクリートの評価を迅速に行うことができないという問題がある。
また、仕上材を透過する気体の透過量を測定する方法として、フィルム等の透気性を調べる差圧法(JIS K 7126−1)、カップ法(JIS Z 0208)又はボックス法が知られている。気体の「透過量」とは、あるものを透過する気体の量を示しており、単位時間・単位面積あたりに透過する気体の量を含んでいる。これらの方法では、仕上材をろ紙等の透気性が大きい材料に塗布して測定を行うため、ピンホール又は塗りむらが生じることがある。よって、測定者の熟練度によって結果がばらつく可能性が高いという問題がある。従って、仕上材が塗布されたコンクリートの評価を高精度に行うことができないという問題がある。
本開示は、仕上材が塗布されたコンクリートの評価を迅速且つ高精度に行うことができる評価方法を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明者が鋭意検討した結果、仕上材の顔料体積濃度(PVC:Pigment Volume Concentration、顔料容積濃度とも称される)と仕上材を透過する気体の拡散係数とに強い相関があることを見い出した。そして、仕上材の顔料体積濃度から気体の拡散係数を求めることによって、仕上材が塗布されたコンクリートの評価を迅速且つ高精度に行えることを見い出した。本開示は、かかる知見に基づいてなされたものである。すなわち、本開示の一形態に係る評価方法は、仕上材が塗布されたコンクリートを評価する評価方法であって、既知の仕上材について特定される関係式であって、既知の仕上材を透過する気体の拡散係数と顔料体積濃度との関係式を予め取得して格納する工程と、評価の対象とする仕上材の顔料体積濃度を取得する工程と、取得した顔料体積濃度から評価の対象とする仕上材を透過する気体の拡散係数を算出する工程と、を備える。本開示において、「既知の仕上材」は、気体の拡散係数及び顔料体積濃度を取得する時点で知られている仕上材を示している。「既知の仕上材」は、既に知られている仕上材、及び、新たな仕上材であっても気体の拡散係数及び顔料体積濃度を取得することが可能な仕上材、の双方を含んでいる。
気体の拡散係数を算出する工程の後に、評価の対象とする仕上材が塗布されたコンクリートの中性化の進行を予測する工程を更に備えてもよい。この場合、仕上材が塗布されたコンクリートの中性化の進行を迅速且つ高精度に予測することができる。
気体の拡散係数を算出する工程の後に、評価の対象とする仕上材が塗布されたコンクリートに埋設された鉄筋の腐食の進行を予測する工程を更に備えてもよい。この場合、仕上材が塗布されたコンクリートに埋設されている鉄筋の腐食の進行を迅速且つ高精度に予測することができる。
本開示によれば、仕上材が塗布されたコンクリートの評価を迅速且つ高精度に行うことができる。
図1は、コンクリートに塗布される仕上材の顔料体積濃度(PVC)と8週中性化深さとの関係の例を示すグラフである。 図2は、PVCと26週中性化速度係数との関係の例を示すグラフである。 図3は、仕上材を透過する気体(二酸化炭素)の拡散係数とPVCとの関係の例を示すグラフである。 図4は、PVCと仕上材を透過する気体(二酸化炭素)の拡散係数との関係の別の例を示すグラフである。 図5は、実施形態に係る評価方法を実行する評価装置の例を示すブロック図である。 図6は、実施形態に係る評価方法の各工程の例を示すフローチャートである。
以下では、図面を参照しながら本開示に係る評価方法の実施形態について説明する。図面において、同一又は相当する要素には同一の符号を付し、重複する説明を適宜省略する。
本開示において「仕上材」とは、コンクリートの中性化又は腐食を抑制するためにコンクリートへの気体(二酸化炭素又は酸素等)の通過を抑制するものを示している。「仕上材」は、例えば、塗料、建築用仕上塗材及び防水塗膜等を含んでいる。「中性化」とは、二酸化炭素によって生じるコンクリートの劣化の一種である。「中性化」は、コンクリートへの二酸化炭素の侵入によってコンクリートがアルカリ性から中性になることを示している。コンクリートが中性化すると、鋼材の不動態被膜が失われて耐腐食性が低下するという問題が生じうる。しかしながら、「仕上材」に、二酸化炭素の透過を有効に抑制する機序があれば、コンクリートの中性化を抑制する効果が期待できる。
仕上材の「顔料体積濃度」(PVC:Pigment Volume Concentration)とは、仕上材の顔料の体積を顔料とバインダーとの総体積で割った率を示しており、顔料容積濃度とも称される。PVCは、仕上材ごとに固有に定まる値である。以下では、顔料体積濃度をPVCと称することがある。「顔料」は塗料等に含まれる着色顔料や体質顔料を示しており、「バインダー」は顔料を固定させるための結合材を示している。バインダーの材料はアクリル樹脂やウレタン樹脂等の合成樹脂を含んでいる。気体の「拡散係数」とは、ある物質の中で気体がどの程度拡散するかについての指標を示している。
コンクリートには、中性化又は腐食の抑制のために仕上材が塗布される。本実施形態では、仕上材が塗布されたコンクリートの評価を行う。本実施形態では、コンクリートの表面に仕上材が塗布された場合におけるコンクリートの中性化の進行予測を行う。中性化の進行予測では、例えば、一定期間に進行する中性化深さを予測し、具体例として何年で中性化が何mm進行するかを予測する。本実施形態では、仕上材のPVCと仕上材を透過する気体の拡散係数(透気性)との関係に着目している。本実施形態は、PVCが大きいと仕上材の透気性が大きくなるという特性を用いて、PVCが大きい場合には仕上材の中性化抑制効果が低下することを実験によって確認したものである。
図1は、仕上材のPVCとコンクリートの8週中性化深さとの関係を示すグラフである。グラフの横軸はPVC(%)を示しており、グラフの縦軸は促進試験による8週中性化深さ(mm)を示している。グラフの点「B」及び「C」は水性塗料のPVCと8週中性化深さとを示し、点「D」及び「E」は弱溶剤塗料のPVCと8週中性化深さとを示し、点「F」は強溶剤塗料のPVCと8週中性化深さとを示している。図1に示されるように、仕上材が水性塗料、弱溶剤塗料又は強溶剤塗料である場合のPVCと8週中性化深さとの相関係数Rの2乗(決定係数)は0.969となっている。一般的に、相関係数Rの2乗(決定係数)が0.7以上であれば強い相関が出ているといえる。この結果から、仕上材が水性塗料、弱溶剤塗料又は強溶剤塗料のいずれであるかにかかわらず、PVCと中性化深さとの関係に強い相関が出ていることが分かる。
本開示において、「仕上材の分類」は、例えば、仕上材の用途の区分を示しており、一例として、「塗料」、「薄付け仕上塗材」及び「複層仕上塗材」と分けられる区分を示している。一方、「仕上材の種類」は、「仕上材の分類」よりも細かい種類を示している。「仕上材の種類」は、例えば、「塗料」に含まれる、合成樹脂エマルジョンペイント、水性弾性アクリル樹脂ペイント(艶あり)、水性アクリル樹脂ペイント(艶あり)、アクリル樹脂系非水分散形塗料(艶消し)、アクリル樹脂系非水分散形塗料(艶あり)、及び溶剤形アクリル樹脂塗料を含んでいる。また、「仕上材の種類」は、「薄付け仕上塗材」に含まれる外装薄塗材E、可とう性外装薄塗材E、及び防水型外装薄塗材Eを含んでいる。「仕上材の種類」は、更に、「複層仕上塗材」に含まれる複層塗材E、複層塗材Si、複層塗材RE及び防水型複層塗材Eを含んでいる。
図2は、仕上材のPVCとコンクリートの26週中性化速度係数との関係の例を示すグラフである。グラフの横軸は26週中性化速度係数(mm/√週)を示しており、グラフの縦軸はPVC(%)を示している。中性化速度係数は中性化の速度を示す指標であり、この係数に時間の平方根を乗ずることで中性化深さが求められる。つまり、中性化速度係数の値が大きいほど中性化の進行が速いことを示しており、中性化速度係数の値が小さいほど中性化の進行が遅いことを示している。グラフの点「B」及び「C」は水性塗料のPVCと26週中性化速度係数とを示し、点「D」及び点「E」は弱溶剤塗料のPVCと26週中性化速度係数とを示し、点「F」は強溶剤塗料のPVCと26週中性化速度係数を示している。図2に示されるように、仕上材が水性塗料、弱溶剤塗料又は強溶剤塗料である場合において、PVCと中性化速度係数との相関係数Rの2乗(決定係数)は0.7482となっている。従って、図2から、仕上材が水性塗料、弱溶剤塗料又は強溶剤塗料のいずれであるかにかかわらず、PVCと中性化速度係数との関係に強い相関が出ていることが分かる。
図3は、仕上材を透過する気体(二酸化炭素)の拡散係数とPVCとの関係を示すグラフである。グラフの横軸は「ボックス法試験装置」を用いて求めた気体(二酸化炭素)の拡散係数(m/s)を示しており、グラフの縦軸はPVC(%)を示している。「ボックス法試験装置」は、後述の電子的技術情報の「迅速な建築用仕上塗材及び塗料の二酸化炭素透過性の評価方法」に記載されている。
電子的技術情報:[online]、川村康晴、本橋健司、迅速な建築用仕上塗材及び塗料の二酸化炭素透過性の評価方法、日本建築学会技術報告集、Vol.19、No.43、pp.825-830、2013.10、[2018年5月29日検索]、インターネット<https://www.jstage.jst.go.jp/article/aijt/19/43/19_825/_pdf>。
図3のグラフの点「C」は水性塗料のPVCと拡散係数とを示し、点「D」及び「E」は弱溶剤塗料のPVCと拡散係数とを示し、点「F」は強溶剤塗料のPVCと拡散係数とを示している。図3に示されるように、仕上材が水性塗料、弱溶剤塗料又は強溶剤塗料である場合のPVCと拡散係数との相関係数Rの2乗(決定係数)は0.9981であり、仕上材が水性塗料、弱溶剤塗料又は強溶剤塗料のいずれであるかにかかわらず、PVCと拡散係数との関係に強い相関が出ていることが分かる。
図4は、PVCと気体(二酸化炭素)の拡散係数との関係の、別の例を示すグラフである。グラフの横軸はPVC(%)を示しており、グラフの縦軸は二酸化炭素の拡散係数(m/s)を示している。図4中の丸い点(A−1、A−2、A−3、A−4、A−5及びA−6)は仕上材が塗料である場合を示しており、図4中の四角の点(B−2及びB−3)は仕上材が薄付け仕上塗材である場合を示しており、図4中の菱形の点(C−1、C−2、C−3及びC−4)は仕上材が複層仕上塗材である場合を示している。図4に示されるように、仕上材が塗料、薄付け仕上塗料及び複層仕上塗料である場合におけるPVCと拡散係数との相関係数Rの2乗(決定係数)は0.824である。従って、図4からも、仕上材が塗料、薄付け仕上塗料又は複層仕上塗料のいずれであるにもかかわらず、PVCと拡散係数との関係に強い相関が出ていることが分かる。
図1及び図2に示されるように、仕上材のPVCと中性化深さとの関係には、強い相関が出ていることが分かる。また、図3及び図4に示されるように、仕上材のPVCと二酸化炭素の拡散係数との関係にも強い相関が出ていることが分かる。仕上材がコンクリートの中性化の進行を抑制する程度を迅速且つ高精度に評価するためには、図3又は図4で示されるような関係式を用いて評価対象の仕上材のPVCから二酸化炭素の拡散係数を算出したうえで、後述するフィックの第1法則を示す基本式又はその応用式を適用して中性化の進行を予測することが有効である。本実施形態では、仕上材のPVCと二酸化炭素の拡散係数との関係に強い相関が出ていることを用いて、PVCから二酸化炭素の拡散係数を算出して中性化の進行予測を行うものである。
図5は、本実施形態に係る評価方法を実行する評価装置の例を示している。図5に示されるように、本実施形態に係る評価装置1は、例えば、PVCが入力される顔料体積濃度入力部11と、拡散係数及び中性化深さを算出する算出部20と、算出部20による算出結果を表示する表示部30とを備える。
顔料体積濃度入力部11には、測定等によって得られた仕上材のPVCが入力される。仕上材のPVCは、例えば、測定値又はメーカーによって示された値として取得される。PVCの測定は、一例として、測定対象の仕上材を乾燥させることで行う。顔料体積濃度入力部11に入力されたPVCの値は、次に算出部20に入力される。算出部20は、入力されたPVCから例えば拡散係数及び中性化深さを算出する。
算出部20は、一例として、拡散係数算出部21と、中性化深さ算出部22と、記憶部23とを備える。算出部20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)と、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む記憶部23とを備える。算出部20の各機能は、例えば、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードしてCPUで実行することによって実現される。
記憶部23には、仕上材を透過する気体の拡散係数とPVCとの関係を示す関係式(例えば、図3又は図4に示されるような関係式)が予め格納される。拡散係数算出部21は、顔料体積濃度入力部11に入力されたPVCから記憶部23に記憶された関係式を用いて拡散係数を算出する。
中性化深さ算出部22は、顔料体積濃度入力部11に入力されたPVCに基づいて、記憶部23に記憶された関係式から拡散係数算出部21によって算出された拡散係数を用いて中性化深さを算出する。表示部30は、例えば、算出部20によって算出された拡散係数及び中性化深さを表示する。表示部30は、一例として、ディスプレイを備えており、このディスプレイにPVC、拡散係数及び中性化深さが表示される。
次に、本実施形態に係る仕上材が塗布されたコンクリートを評価する評価方法について図6のフローチャートを参照しながら説明する。図6のフローチャートは、本実施形態に係る評価方法の各工程の一例を示している。一例として、本実施形態に係る評価方法は、設計者又は施工者からコンクリートの長寿命化又は再利用の要望を受けたときに実行される。本実施形態の評価方法は、このような要望に対し、コンクリートの表面に仕上材を塗布してコンクリートの中性化の進行を抑制し、耐久性を高める方法を提案する場合において、複数の仕上材からいずれを選択すればよいかを評価するときに実行される。以下では、一例として、3種類の仕上材A、仕上材B及び仕上材Cから予め求めた関係式を用いて、仕上材D及び仕上材Eのそれぞれの拡散係数を推定し、仕上材D及び仕上材Eのそれぞれの中性化抑制効果を評価する例について説明する。本実施形態において、仕上材A、仕上材B及び仕上材Cは既知の仕上材に相当し、仕上材D及び仕上材Eは評価の対象とする仕上材に相当する。
まず、既知の仕上材のPVCと拡散係数との関係を示す関係式を取得し、記憶部23に格納する(関係式を格納する工程、ステップS1)。関係式は、例えば、仕上材A、仕上材B及び仕上材Cについて実験を行うことにより、仕上材の分類、及び仕上材の種類を問わず適用可能な共通の式として予め求めておき、求めた関係式を記憶部23に格納する。
そして、評価の対象とする仕上材D及び仕上材EのそれぞれのPVCを取得する(顔料体積濃度を取得する工程、ステップS2)。例えば、前述の測定法による測定、又はメーカー等からのPVCの情報の提供によって仕上材D及び仕上材EのそれぞれのPVCを取得する。測定法の一例として、ビーカー等に仕上材D及び仕上材Eのそれぞれを入れて1日程度乾燥させた後に熱重量分析装置等によってPVCを測定する方法がある。測定等によって取得された仕上材D及び仕上材EのそれぞれのPVCの値は、顔料体積濃度入力部11を介して算出部20に入力される。
次に、算出部20に入力された各PVCから仕上材D及び仕上材Eのそれぞれの拡散係数を拡散係数算出部21によって算出する(気体の拡散係数を算出する工程、ステップS3)。拡散係数算出部21は、各PVCの値から記憶部23に予め格納された関係式を用いて、仕上材D及び仕上材Eのそれぞれの拡散係数を算出する。
そして、仕上材D及び仕上材Eのそれぞれの中性化深さを中性化深さ算出部22によって算出し、中性化の経時的な進行度合いを仕上材D及び仕上材Eごとに予測する(中性化の進行を予測する工程、ステップS4)。
中性化の進行の予測方法の一例について以下で説明する。まず、前述において算出された拡散係数から以下の式(1)を用いて中性化深さを算出することができる。
Figure 0006832409

xは中性化深さ、tは時間、Cはコンクリート表面の二酸化炭素の濃度、Hはコンクリートの単位面積あたりのCa(OH)の量、Dは拡散係数を示している。式(1)は、中性化深さが時間tの平方根及び二酸化炭素の濃度の平方根に比例するという特性を用いたものである。また、下記の式(2)を用いてコンクリートにおける気体の流束を算出し、気体の流束から中性化の進行の程度を予測してもよい。
Figure 0006832409

式(2)は一般に広く知られるフィックの第1法則を示す基本式である。また、式(1)はフィックの第1法則を応用した式である。式(2)において、Jは気体の流束(mol/m2/s)、Cは気体の濃度(mol/m3)、Dは拡散係数、xは中性化深さ、をそれぞれ示している。以上のように、例えば仕上材D及び仕上材Eのそれぞれをコンクリートに塗布した場合における一定期間経過後の中性化深さを算出する。以上のように、拡散係数の算出、及び中性化の進行の予測を行った後に一連の工程を完了する。このような手順で評価を行うことで、複数の仕上材D及び仕上材Eのうち、中性化抑制効果が最も高い仕上材を選択し、当該仕上材を提案することが可能となる。
次に、本実施形態に係る評価方法から得られる作用効果について詳細に説明する。本実施形態に係る評価方法を用いた評価を行うことで、仕上材が塗布されたコンクリートの評価を迅速且つ高精度に行うことができる。
具体的には、前述した「ボックス法試験装置」を用いて評価を行う場合には2週間程度の期間を要する。これに対し、予め格納した関係式によりPVCから気体の拡散係数を算出して行う本実施形態の評価方法では、メーカーからPVCの情報を得られず、PVCの測定を要する場合であっても、2、3日程度で評価を行うことができる。また、「ボックス法試験装置」を用いた方法等、従来の評価方法では、試験体を作成するときにピンホール又は塗りむらの影響が生じることによって試験結果にばらつきが生じうる。これに対し、本実施形態では、都度の試験体の作成が不要であるため、試験結果のばらつきの懸念が生じない。すなわち、本実施形態の評価方法では、試験結果のばらつきも抑えることができる。従って、仕上材が塗布されたコンクリートの評価を更に迅速且つ高精度に行うことができる。
関係式を格納する工程では、仕上材の分類、及び仕上材の種類を問わない共通の関係式を求めておく以外に、仕上材の分類又は種類ごとに細分化した複数の関係式を求めておいてもよく、それに応じて、求めた複数の関係式を記憶部23に格納してもよい。例えば、建築用仕上塗材、防水塗膜及び塗料ごとに関係式を求めておき、それに応じて、求めた複数の関係式を記憶部23に格納してもよい。この場合、評価の対象とする仕上材をより高精度に評価することができる。
以上、本開示に係る評価方法の実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、前述した実施形態に限られるものではなく、各請求項に記載した要旨を変更しない範囲において変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。すなわち、評価方法の各工程の内容は、各請求項の要旨を変更しない範囲において種々の変形が可能である。
前述の実施形態では、二酸化炭素によって生じるコンクリートの劣化の一種であるコンクリートの中性化の進行を予測する例について説明した。しかしながら、本開示に係る評価方法は、上記の例に限られず、例えば別の実施形態として、酸素によって生じる鉄筋コンクリートにおける鉄筋の腐食の進行を予測するものであってもよい。この場合、仕上材のPVCと気体の拡散係数との関係に強い相関が出ていることを用いてPVCから酸素の拡散係数を算出し、鉄筋コンクリートの鉄筋の腐食の進行を予測することが可能となる。鉄筋の腐食の進行を予測する方法の一例としては、例えば、フィックの第1法則を応用した後述の式(3)及び式(4)を用いる。式(3)及び式(4)は、日本コンクリート工学会「コンクリート構造物の補修工法研究委員会報告書(III)」(1996.10)p.199の式6.1.5及びp.212の式に相当する。
Figure 0006832409

Figure 0006832409

icorrは鉄筋への酸素供給速度により定まる腐食電流量(A/cm2)、Dは酸素の拡散係数(cm2/s)、Fはファラデー定数、δは鉄筋のかぶり厚さ(cm)、cはコンクリート表面の酸素濃度(mol/cm3)、wFeは腐食速度(mg/cm2/年)をそれぞれ示している。wFe(腐食速度(mg/cm2/年))は、鉄筋表面の1cmの領域において1年あたり何mgの鉄が溶け出すかを表している。以上の式(3)及び式(4)によって鉄筋の腐食の進行予測を行うことが可能となる。なお、鉄筋の腐食の進行を予測するために用いる関係式は上記の式(3)及び式(4)に限定されず適宜変更可能である。
また、前述の実施形態では、顔料体積濃度入力部11、算出部20及び表示部30を備える評価装置1を用いて評価を行う例について説明した。しかしながら、顔料体積濃度取得部、算出部及び表示部の構成は適宜変更可能であり、更に、評価装置の構成についても適宜変更可能である。
1…評価装置、11…顔料体積濃度入力部、20…算出部、21…拡散係数算出部、22…中性化深さ算出部、23…記憶部、30…表示部。

Claims (1)

  1. 仕上材が塗布されたコンクリートを評価する評価方法であって、
    既知の仕上材について特定される関係式であって、前記既知の仕上材を透過する気体の拡散係数と顔料体積濃度との関係式を予め取得して格納する工程と、
    評価の対象とする仕上材の顔料体積濃度を取得する工程と、
    取得した前記顔料体積濃度から前記評価の対象とする仕上材を透過する気体の拡散係数を算出する工程と、
    を備える評価方法
JP2019201774A 2019-11-06 2019-11-06 仕上材が塗布されたコンクリートの評価方法 Active JP6832409B1 (ja)

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