JP6829045B2 - 折板屋根用の安全設備 - Google Patents

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Description

本発明は、折板屋根の屋根面で各種作業を実施する際に用いる安全設備に関する。
従来、折板屋根の屋根面で作業を行う際に、墜落防止や落下養生のための安全設備を軒先近傍位置に設置するようにしており、この種の安全設備としては、特許文献1、特許文献2に記載のものが知られている。
これら特許文献1や特許文献2の折板屋根用の安全設備は、折板屋根の屋根面に支柱を自立状態で立設し、支柱を二方向から控え支柱あるいは斜めサポートによって支持して転倒を防止するようにし、隣り合う一対の支柱間に親綱(ロープ)を架設して構成されている。
一方、特許文献1や特許文献2の折板屋根用の安全設備においては、支柱の他に控え支柱や斜めサポートを用いるため、全体として部品点数が多く、コスト高となる上、設置や撤去のための作業が煩雑であったり、見栄えがあまりよくないなどの問題があった。
これに対し、本願の出願人は、同一形状かつ同一寸法の一組三本の脚体を三脚状に組み合わせ、これら三本の脚体の上端部同士を相対回転可能かつ分解可能な状態で連結して支柱を構成し、少なくとも一対二台の支柱を間隔をおいて配置するとともに脚体の下端部をそれぞれ折板屋根に固定金具を介して取り外し可能に連結して配置し、これら支柱の上端部相互間に親綱を架設してなる折板屋根用の安全設備を発明し、既に特許出願を行っている(特許文献3、特許文献4参照)。
そして、この折板屋根用の安全設備においては、折板屋根の屋根面に容易に設置可能かつ容易に撤去可能であり、極めて簡易かつ安価な設備でありながら屋根面で各種作業を行う際の作業安全性を確保することができる。
実開平1−119743号公報 特開2009−228209号公報 特開2015−151710号公報 特開2014−198989号公報
一方、上記の本願の出願人による折板屋根用の安全設備において、さらなる墜落防止や落下養生に対する性能の向上を図ることが望まれる場合もあり、特に墜落や落下を防止する際の衝撃緩和性能(落下阻止性能)を向上させることが望まれていた。
上記事情に鑑み、本発明は、折板屋根の屋根面に設置するための有効適切な安全設備、特に墜落や落下を防止する際の落下阻止性能に優れた折板屋根用の安全設備を提供することを目的とする。
本発明の折板屋根用の安全設備は、折板屋根の屋根面に設置される安全設備であって、折板屋根上に所定の間隔をあけて配置される少なくとも一対二台の支柱と、前記支柱の上端部相互間に架設される親綱とを備え、前記支柱が、同一形状かつ同一寸法の三本以上の複数の脚体を備え、前記複数の脚体の上端部同士を相対回転可能に且つ分割可能に連結して構成され、前記支柱の上端部と前記親綱の間に衝撃吸収部材が介設され、前記衝撃吸収部材を介して前記支柱と前記親綱を接続するように構成され、前記衝撃吸収部材が、複数の屈曲部を備えて段状に形成された金具であることを特徴とする。
本発明の折板屋根用の安全設備においては、折板屋根に支柱を強固に接合し、墜落や落下を防止する際の衝撃を受け止める従来の考え方に対し、衝撃吸収部材を介して支柱に親綱を接続するようにしたことで、作業者が折板屋根から落下した際に、親綱と支柱の間に衝撃吸収部材が設けられていることによって支柱に作用する衝撃力を衝撃吸収部材で吸収・分散することができる。
これにより、従来のように支柱と折板屋根を強固に接合した場合には衝撃によってこの接合部分に集中荷重が作用し、破断・折損などが生じてしまうことも考えられるが、本発明においては、墜落や落下を防止する際の衝撃を衝撃吸収部材で吸収・分散するため、支柱と折板屋根の接合部分に破断・折損などが生じることがなく、確実且つ効果的に脱落や落下を防止することが可能になる。よって、優れた衝撃緩和性能を付与し、信頼性の高い折板屋根用の安全設備を提供することが可能になる。
本発明の一実施形態に係る折板屋根用の安全設備を示す図であり、(a)は設置状態を示す全体図、(b)は部分正面図である。 本発明の一実施形態に係る折板屋根用の安全設備の支柱を示す図であり、(a)は正面図、(b)は上面図、(c)は(b)の上面図に対応した正面図(側面図)である。 本発明の一実施形態に係る折板屋根用の安全設備の支柱、固定金具を示す図、及び支柱を折板屋根に設置した状態を示す図であり、(a)は脚体の下部連結片を固定金具を用いて折板屋根のハゼ部に接続した状態を示す上方からの斜視図、(b)は折板屋根のハゼ部の延設方向に沿う方向の正面図、(c)は折板屋根のハゼ部の延設方向に直交する方向の側面図である。 本発明の一実施形態に係る折板屋根用の安全設備の衝撃吸収部材を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は正面図である。 本発明の一実施形態に係る折板屋根用の安全設備の衝撃吸収部材の衝撃を吸収して塑性変形した状態を示す図であり、(a)は変形率27.7%で変形した状態 (全開に延びた状態の変形量90mmに対し25mm延びた状態)、(b)は変形率91.1%で変形した状態 (全開に延びた状態の変形量90mmに対し82mm延びた状態)を示す図である。 本発明の一実施形態に係る折板屋根用の安全設備によって、落下した作業者の安全を確保する状況を示す図である。 実証実験において、軒先側に設置した折板屋根用の安全設備を示す図であり、(a)が正面図、(b)が平面図、(c)が側面図である。 実証実験において、ケラバ側に設置した折板屋根用の安全設備を示す図であり、(a)が正面図、(b)が平面図、(c)が側面図である。 実証実験で用いた他の形態の衝撃吸収部材を示す図である。
以下、図1から図9を参照し、本発明の一実施形態に係る折板屋根用の安全設備について説明する。
ここで、本実施形態の安全設備(折板屋根用の安全設備)Aは、折板屋根1の屋根面で各種作業を実施する際に墜落防止や落下養生の対策として軒先近傍位置などに設置されるものであり、図1に示すように、一対二台の支柱2を適宜間隔をあけて設置し、これら支柱2の互いの上端部間に親綱9を架設して構成されている。なお、親綱9としては、ステンレス製やナイロン製のワイヤーロープを用いることが、耐力性能、耐久性能等の観点から望ましい。特にステンレス製のワイヤーロープは剛性が高く、耐力性能とともに耐久性能に優れる。
具体的に、本実施形態の安全設備Aは、図1、図2に示すように、支柱2が同一形状且つ同一寸法の一組三本の脚体3の上端部同士を相対回転可能に且つ分解可能に連結し、三脚状に組み合わせて構成されている。
また、本実施形態の安全設備Aは、図1、図2、図3に示すように、支柱2に加え、この支柱2の脚体3を折板屋根1に連結するための固定金具8と、安全設備A(支柱2)に加わった衝撃力(荷重)を吸収・分散し、支柱2ひいては折板屋根1に伝わる外力を緩和させる衝撃吸収部材11とを備えている。
本実施形態では、折板屋根1(本実施形態では折板屋根1のハゼ部1a)に固定金具8を取り外し可能に連結し、この固定金具8に脚体3の下端部を連結する。これにより、複数の脚体3により構成される三脚の支柱2が折板屋根1上に設置されている。
また、本実施形態の支柱2は、脚体3が金属製の帯板(たとえば厚さ1mm以上、好ましくは厚さ1.2mm、2.3mmの鋼板(亜鉛メッキ鋼板、ガルバリウム鋼板(登録商標)など)が好適に採用可能である)を素材として形成されている。さらに、脚体3は、その上端部が上部連結片3b、下端部が下部連結片3c、上部連結片3bと下部連結片3cとの間が本体部3aとされている。
上部連結片3bは、連結金具7を挿通するための上部連結孔4が貫通形成されている。そして、複数の脚体3は、互いの上部連結片を重ね合わせ、連通した上部連結孔4に連結金具7を挿通することで、相対回転可能に且つ分解可能に連結される。
下部連結片3cは、固定金具に連結するための下部連結孔5が貫通形成されている。
さらに、上部連結片3b及び下部連結片3cはそれぞれ、3本の脚体3を三脚状に組み合わせて折板屋根1の屋根面に設置した状態で、その板面を上下方向に向けて水平に配されるように形成されている。すなわち、上部連結片3bと下部連結片3cはそれぞれ、本体部3aに対して互いに逆側に同一角度をもって傾斜するように形成され、本体部3aが鉛直面に対して所定の角度で斜設された状態で水平に配されるように形成されている。
さらに、本実施形態の脚体3は、上部連結片3bと下部連結片3cの間の本体部3aに、帯板の本体部3aの両側縁部をそれぞれ表面側に折り起こすようにして補剛リブ6が形成されている。
なお、脚体3における本体部3aに対する上部連結片3bと下部連結片3cの傾斜角度は、脚体3により構成される三脚としての支柱2を屋根面に設置した際に上部連結片3b及び下部連結片3cがいずれも水平状態となるように適宜設定すればよく、この傾斜角度は特に限定されないが例えば120°程度とすることが好ましい。
本体部3aおよび下部連結片3cに対して補剛リブ6を形成するために帯板の両側縁部を折り起こす角度は、本体部3aおよび下部連結片3cが所望の剛性を有するものとなるように適宜設定すれば良いが、例えば120°程度とするとよい。
さらに、本体部3aだけでなく、下部連結片3cにも補剛リブ6を設けるようにしてもよい。また、補強リブ6は本体部3aの裏面側に折り返して形成されていてもよい。
そして、脚体3を上記のような形状にしておくと、脚体3の上端部同士を連結金具7によって連結するだけで三脚状の支柱2を容易に組み立てることができ、また、連結金具7を取り外すだけで支柱2を個々の脚体3に容易に解体することができる。
さらに、各脚体3は帯板を素材として形成された同一形状、同一寸法の軽量、且つコンパクトなものであって安価に製作可能であり、また、連結金具7を緩めた状態では連結金具7を支点として脚体3を回転させることにより、全体を1本に重ね合わせることができる。これにより、容易に持ち運びが可能で、且つ収納・保管が可能であり、極めて便利で合理的なものとなっている。
本実施形態の安全設備Aを設置する際には、3本の脚体3を三脚状に組み合わせてそれらの上部連結片3bを互いに重ね合わせてそれぞれの上部連結孔4の位置を合致させ、そこに連結金具7を挿通してボルト締結することにより三脚としての支柱2を組み立てる。
なお、連結金具7としては、図示例のように親綱9を架設するための金具を兼用し得る汎用のアイボルトが好適に採用可能であるが、これに限定する必要はなく、例えば単なるボルト等を連結金具7に用いてもよい。
一方、本実施形態の衝撃吸収部材11は、図1、図4に示すように、帯板を素材として形成した金具であり、両端部にそれぞれ板面を横方向に向けて配設された一対の連結部11aと、例えば、連結部11aとの連結部分の屈曲角度θ1を135度、他の部分の屈曲角度θ2を90度にし、一対の連結部11aの間に複数屈曲して(複数の屈曲部11bを設けて)段状に形成された衝撃吸収部11cとを備えて形成されている。
また、本実施形態の衝撃吸収部材11は、例えばステンレス製で厚さ2mm、幅24mmの帯板を折り曲げ加工し、屈曲部11bを14箇所備えて形成されている。さらに、連結部11aから135度の角度で配設される衝撃吸収部材11の両端側部分の長さを15mm、90度の角度で屈曲する部分の長さを30mm、各連結部11aの長さを30mmとして形成されている。
また、連結部11aには、板面の一面から他面に貫通する挿通孔11dが設けられている。
そして、本実施形態の安全設備Aを設置する際には、図1、図2、図3、図4に示すように、固定金具8を折板屋根1のハゼ部1aなどに取り外し可能に固着して設置する。このとき、本実施形態では、固定金具8と折板屋根1の間にゴムシート等の弾性部材を介装して固定金具8を設置することが好ましい。なお、固定金具8には、折板屋根1に対して各種の部材を取り付けるための各種の汎用市販品を適宜採用することが可能である。
また、固定金具8上に、支柱2の脚体3の下部連結片3cを重ね合せて配置し、下部連結孔5にボルトを挿通しナットを締結することによって、固定金具と支柱2の脚体3を連結し、支柱2を固定金具8を介して折板屋根1に連結して設置する。
また、このとき、支柱2を組み立てる際には各脚体3が平面視において可及的に等間隔になるように(相互に120度の角度をなすように)それぞれの脚体3の位置を位置決めすることが好ましい。さらに、上部連結片3bを連結している連結金具7を緩め、この部分を支点として所望の脚体3を水平面内で回転させることで、所望の脚体3の下部連結片3cの位置を調整し、固定金具8の位置に下部連結片3cの位置を合わせればよい。
そして、各脚体3の下端部の下部連結片3cを固定金具8を用いて折板屋根1に取り外し可能に連結することにより、この支柱2が折板屋根1の軒先近傍位置などの所定位置に自立状態で設置される。
なお、支柱2は、折板屋根1(折板屋根1の軒先)に対し、3本の脚体3の位置(向き)や固定箇所をどのように選定してもよく、本実施形態のように限定する必要はない。また、支柱2を補強するための補強部材があってもよい。さらに、固定金具8をT字型に形成し、この固定金具8の3つの端部をそれぞれ介して3本の脚体3の3つの下部連結片3c(下端部)を折板屋根1に連結するようにしてもよい。すなわち、固定金具8が補強部材を兼ねるようにしてもよい。特に、本発明に係る安全設備Aにおいては、後述の通り、衝撃吸収部材11を備えることで作業者の落下時の衝撃荷重を吸収できるため、折板屋根1に対し支柱2の各脚体3を強固に固定してもよく、固定金具8が補強部材を兼ねるように構成することができる。
次に、双方の支柱2の上端部相互間に親綱9を架設する。
このとき、各支柱2の上端部に一方の連結部11aを、親綱9の端部に他方の連結部11aをそれぞれ連結し、親綱9を衝撃吸収部材11を介して支柱2に接続する。また、衝撃吸収部材11の各連結部11aと支柱2の上端部、親綱9の端部を接続する際には、連結部11aの挿通孔11dを用いればよく、適宜の金具類を用いて接続しても、親綱9を支柱2の上端部に直接的に結び付けて接続してもよい。
これにより、親綱9が軒先の位置を明確に明示する目印となって作業者の墜落防止に寄与し得るものとなり、折板屋根1の屋根面で各種作業を行う際の作業安全性を充分に確保することができる。
このように設置した本実施形態の安全設備Aにおいては、上記のように支柱2と親綱を衝撃吸収部材11を介して接続するようにしている。
このため、折板屋根1に支柱2を固定金具8だけで強固に取り付けて接合し、墜落や落下を防止する際の衝撃をこの部分の接合耐力で受け止めるという従来の考え方に対し、本実施形態の安全設備Aでは、作業者が墜落、落下する際に親綱9にかかる力が直接支柱2に作用するのではなく、衝撃吸収部材11を介して支柱2に作用することになる。
そして、衝撃吸収部材11が複数の屈曲部11bを備えて段状に形成されているため、親綱9から衝撃吸収部材11に衝撃力が作用すると、例えば図5に示すように、この衝撃吸収部材11の屈曲部11bの角度θ2が例えば90度から大きくなって屈曲部11bが開くように衝撃吸収部材11が塑性変形し、この衝撃吸収部材11の塑性変形によって支柱2に作用する力を吸収、緩和させることが可能になる。
これにより、墜落、落下が発生した際に、支柱2に大きな衝撃力が作用し、支柱2が変形したり、支柱2を固定した折板屋根1に変形が生じることを防止し、好適に作業者の安全を確保することが可能になる。
また、長期期間、折板屋根1の端部を本実施形態の安全設備Aで区画した際に親綱9の経年劣化が生じにくいため、親綱9として(通常の親綱の代替として)ステンレス製のワイヤーロープを用いる場合もある。この一方で、折板屋根1の端部(軒先、ケラバ)での作業時には、作業者が装着した安全帯を親綱9としてのステンレス製ワイヤーロープに接続しながら作業を行うことになる。このとき、親綱9のワイヤーロープの張力より安全帯のワイヤーロープ(例えばSUS4mm)の張力の方が強いため、作業者が万が一落下した場合には、落下時に安全帯のワイヤーロープに伝わる衝撃が親綱9よりも大きくなる。
これに対し、本実施形態のように衝撃吸収部材11を備えることにより、作業者が折板屋根1から落下した際に、その衝撃を衝撃吸収部材11で吸収、緩和させることができる。これにより、支柱2に作用する衝撃力を吸収、緩和できることに加え、作業者が装着した安全帯のワイヤーロープに作用する衝撃力も吸収、緩和することができ、より確実に作業者の安全を確保することが可能になる。
ここで、図6に示すように、作業者が折板屋根の端部から落下した場合に、本実施形態の支柱2、衝撃吸収部材11、親綱9によって作業者の地上等に落ちることを阻止する性能、すなわち、衝撃吸収部材11を備えた本発明の折板屋根用の安全設備Aの優位性を明らかにするために行った実証実験について説明する。
この実証実験では、図7、図8に示すように、親綱9としてステンレス製ワイヤーロープ(ステンレスワイヤーロープφ4mm 7×7、外周ビニール被覆φ6mm)を使用し、本実施形態の安全設備Aの一対の支柱2(アルミ材T字補強材、センターポールを備えたアルミ3型)を折板屋根1の軒先側、ケラバ側にそれぞれ設置した状態で試験を行った。また、折板屋根1のハゼ部1aが丸ハゼの場合は角ハゼよりも十分な強度が確認できているため、本実証実験ではハゼ部1aが角ハゼの折板屋根1を対象として試験を行った。
試験方法について説明する。
本実証実験では、2本の三脚支柱2を9.5mスパンで設置し、各支柱2の上部丸環にステンレス製ワイヤーロープである親綱9の両端部をそれぞれ衝撃吸収部材11を介して接続した。衝撃吸収部材11は、ステンレスt=2.0mm、幅24mmの板材を曲げ加工し、長さ330mmとして形成した。また、支柱2の上部丸環のセンターが折板屋根1の山の位置より高さ900mm以上になるようにした。
本実証実験では、親綱9をターンバックルで緊張させ、作業者に見立てた86kgの落体12を親綱9の中央(スパン中央)に接続して4.7m自由落下させた。また、落体12は、未使用の1.7mランヤード(安全帯用ロープ)を介してワイヤーロープ中央に取り付けた。
そして、落体12を自由落下させた後、以下の10項目の測定、確認を行った。
(1)衝撃吸収部材の長さ(許容変形率30%〜90%と設定(357mm〜411mm))
(2)支柱上部の変形量 (目視:亀裂及び破損の有無)
(3)ステンレス製のワイヤーロープの損傷及び破損(目視)
(4)アルミ材T字補強(固定金具8を兼ねる補強部材)の変形量 (目視:亀裂及び破損の有無)
(5)支柱高さの変形量 (計測:70%以上維持されている場合に合格とした)
(6)固定金具の脱落 (目視)
(7)折板屋根の変形量 (目視:板金工具にて修正可能なら合格)
(8)センターポールの脱落(目視)
(9)垂下量(m) (ビデオ判定:ランヤードと落体の取付位置の高さが地上から1.2m以上確保(身長180cmの人の腰の高さが1mと設定)できれば合格
(10)支柱の変形量 (目視:亀裂及び破損の有無)
表1は試験結果を示している。
Figure 0006829045
この表に示す通り、衝撃吸収部材11の伸び変形は4回行った試験すべてでほぼ同じような数値が確認され、曲げ加工してなる衝撃吸収部材11が塑性変形の限界に達する前に、親綱9の張力を吸収し、支柱2の固定金具8の脱落を阻止する機能があることが確認された。なお、衝撃吸収部材11を備えていない状態で同様の試験を行うと固定金具8が脱落することが確認されている。
また、落体12の落下後、支柱2の高さ比も最大で95%(70%以上が合格)であり、また、固定金具8からの支柱2の離脱もなく、落下阻止性能が十分に発揮されることが確認された。
さらに、落体12の垂下量は最大で2.8mであった。
身長180cmの作業者が腰の高さに安全帯を取付けて落下した場合、落下した作業者の腰の位置と衝突のおそれのある床面等に1.2m以上の隙間があれば作業者の足が床面等に接触する可能性は無い。このため、本実証実験では、その隙間が2.07m(最大垂下量)以上確保されており、高さ4mの折板屋根1の上に支柱2と親綱8を設置し、通常の安全帯を使用した作業者が端部より2.8mの垂下量で墜落した場合、床面等に作業者の足が衝突するおそれはないと判断できる。
以上の通り、本実証実験によって、衝撃吸収部材11を備えることで確実に作業者の安全を確保できることが実証された。
なお、軒先側の試験において、図9(a)の全長180mm、厚さ1.5mmのステンレス製の衝撃吸収部材11を用いた場合には、一方の支柱2側が曲げ角度90°から約160°に変化し、全長180mmから210mmに変形した。他方の支柱2側は曲げ角度90°から約160°に変化し、全長180mmから215mmに変形した。さらに、一方の支柱2側のT字補強が150mm程度スライド移動し、他方の支柱2側の固定金具8が変形して折板屋根1のハゼ部1aから脱落した。他方の支柱2に倒れが確認された。
図9(b)の全長150mm、厚さ4.0mmのステンレス製の衝撃吸収部材11を用いた場合には、一方の支柱2側が曲げ角度90°から約91°に変化し、全長150mmから152mmに変形した。他方の支柱2側は曲げ角度90°から約91°に変化し、全長150mmから152mmに変形した。この場合には、あまり衝撃吸収性能が得られず、他方の支柱2側の固定金具8が変形して折板屋根1のハゼ部1aから脱落し、他方の支柱2に倒れが確認された。
図9(c)の全長153mm、厚さ2.0mmのステンレス製の衝撃吸収部材11を用いた場合には、一方の支柱2側が曲げ角度90°から約100°に変化し、全長153mmから157mmに変形した。他方の支柱2側は曲げ角度90°から約100°に変化し、全長153mmから157mmに変形した。この場合においても、あまり衝撃吸収性能が得られず、他方の支柱2側の固定金具8が変形して折板屋根1のハゼ部1aから脱落し、他方の支柱2に倒れが確認された。
したがって、本実施形態の折板屋根用の安全設備Aにおいては、折板屋根1に支柱2を強固に接合し、墜落や落下を防止する際の衝撃を受け止める従来の考え方に対し、衝撃吸収部材11を介して支柱2に親綱9を接続するようにしたことで、作業者が折板屋根1から落下した際に、親綱9と支柱2の間に衝撃吸収部材11が設けられていることによって支柱2に作用する衝撃力を衝撃吸収部材11で吸収・分散することができる。
これにより、従来のように支柱2と折板屋根1を強固に接合した場合には衝撃によってこの接合部分に集中荷重が作用し、破断・折損などが生じてしまうことも考えられるが、本発明においては、墜落や落下を防止する際の衝撃を衝撃吸収部材11で吸収・分散するため、支柱2と折板屋根1の接合部分に破断・折損などが生じることがなく、確実且つ効果的に脱落や落下を防止することが可能になる。よって、優れた衝撃緩和性能を付与し、信頼性の高い折板屋根用の安全設備Aを提供することが可能になる。
さらに、本実施形態の折板屋根用の安全設備Aにおいては、衝撃吸収部材11が複数の屈曲部11bを備えて段状に形成された金具であることによって、衝撃力が作用した際に各屈曲部11bが開くように塑性変形し、好適に衝撃力を吸収、緩和させることが可能になる。これにより、より確実に、支柱2と折板屋根1の接合部分に破断・折損などが生じることを防止することができ、脱落や落下を防止する優れた衝撃緩和性能ひいては落下阻止性能を付与し、信頼性の高い折板屋根用の安全設備Aを提供することが可能になる。
なお、本実施形態の安全設備Aにおいては、作業終了後、固定金具8、衝撃吸収部材11を取り外すことで、支柱2を容易に撤去可能であり、さらに、撤去した支柱2を他の場所や他の作業現場において何度でも繰り返して転用することが可能である。
以上、本発明による折板屋根用の安全設備の実施形態について説明したが、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
例えば、本実施形態の安全設備Aは、支柱2の間に親綱9を架設することのみでも作業者の安全を確保することができるが、図1(b)に示すように、落下養生用のネット10を親綱9に支持させて支柱2の間に展開した状態で設置し、そのネット10の下縁部を折板屋根1に対して連結しておくことにより、さらに安全性を向上させることができる。
また、少なくとも一組二台の支柱2を例えば5m程度の間隔をあけて設置し、これら支柱2の間に親綱9を架設すればよいが、親綱9の所要長さが長いような場合(すなわち、軒先の延長が長いような場合)には、3台以上の多数の支柱2を軒先に沿って適宜の間隔をあけて配列し、それらの間に一連の親綱9を架設すればよい。
1 折板屋根
1a ハゼ部
2 支柱
3 脚体
3a 本体部
3b 上部連結片
3c 下部連結片
4 上部連結孔
5 下部連結孔
6 補剛リブ
7 連結金具
8 固定金具
9 親綱
10 ネット
11 衝撃吸収部材
11a 連結部
11b 屈曲部
11c 衝撃吸収部
11d 挿通孔
12 落体
A 折板屋根用の安全設備

Claims (1)

  1. 折板屋根の屋根面に設置される安全設備であって、
    折板屋根上に所定の間隔をあけて配置される少なくとも一対二台の支柱と、前記支柱の上端部相互間に架設される親綱とを備え、
    前記支柱が、同一形状かつ同一寸法の三本以上の複数の脚体を備え、前記複数の脚体の上端部同士を相対回転可能に且つ分割可能に連結して構成され、
    前記支柱の上端部と前記親綱の間に衝撃吸収部材が介設され、前記衝撃吸収部材を介して前記支柱と前記親綱を接続するように構成され
    前記衝撃吸収部材が、複数の屈曲部を備えて段状に形成された金具であることを特徴とする折板屋根用の安全設備。
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