JP6826990B2 - 明確に定義された分解性ポリ(プロピレンフマレート)ポリマー及びその合成のための拡張可能な方法 - Google Patents

明確に定義された分解性ポリ(プロピレンフマレート)ポリマー及びその合成のための拡張可能な方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6826990B2
JP6826990B2 JP2017545531A JP2017545531A JP6826990B2 JP 6826990 B2 JP6826990 B2 JP 6826990B2 JP 2017545531 A JP2017545531 A JP 2017545531A JP 2017545531 A JP2017545531 A JP 2017545531A JP 6826990 B2 JP6826990 B2 JP 6826990B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polymer
ppf
poly
mixture
solvent
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017545531A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2018500450A (ja
Inventor
マシュー ベッカー
マシュー ベッカー
ハワード デーン
ハワード デーン
ユアンユアン ルオ
ユアンユアン ルオ
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Ohio State University
Original Assignee
Ohio State University
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Ohio State University filed Critical Ohio State University
Publication of JP2018500450A publication Critical patent/JP2018500450A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6826990B2 publication Critical patent/JP6826990B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G63/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a carboxylic ester link in the main chain of the macromolecule
    • C08G63/02Polyesters derived from hydroxycarboxylic acids or from polycarboxylic acids and polyhydroxy compounds
    • C08G63/12Polyesters derived from hydroxycarboxylic acids or from polycarboxylic acids and polyhydroxy compounds derived from polycarboxylic acids and polyhydroxy compounds
    • C08G63/52Polycarboxylic acids or polyhydroxy compounds in which at least one of the two components contains aliphatic unsaturation
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L27/00Materials for grafts or prostheses or for coating grafts or prostheses
    • A61L27/14Macromolecular materials
    • A61L27/18Macromolecular materials obtained otherwise than by reactions only involving carbon-to-carbon unsaturated bonds
    • AHUMAN NECESSITIES
    • A61MEDICAL OR VETERINARY SCIENCE; HYGIENE
    • A61LMETHODS OR APPARATUS FOR STERILISING MATERIALS OR OBJECTS IN GENERAL; DISINFECTION, STERILISATION OR DEODORISATION OF AIR; CHEMICAL ASPECTS OF BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES; MATERIALS FOR BANDAGES, DRESSINGS, ABSORBENT PADS OR SURGICAL ARTICLES
    • A61L27/00Materials for grafts or prostheses or for coating grafts or prostheses
    • A61L27/50Materials characterised by their function or physical properties, e.g. injectable or lubricating compositions, shape-memory materials, surface modified materials
    • A61L27/56Porous materials, e.g. foams or sponges
    • BPERFORMING OPERATIONS; TRANSPORTING
    • B33ADDITIVE MANUFACTURING TECHNOLOGY
    • B33YADDITIVE MANUFACTURING, i.e. MANUFACTURING OF THREE-DIMENSIONAL [3-D] OBJECTS BY ADDITIVE DEPOSITION, ADDITIVE AGGLOMERATION OR ADDITIVE LAYERING, e.g. BY 3-D PRINTING, STEREOLITHOGRAPHY OR SELECTIVE LASER SINTERING
    • B33Y70/00Materials specially adapted for additive manufacturing
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G63/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a carboxylic ester link in the main chain of the macromolecule
    • C08G63/78Preparation processes
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G63/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a carboxylic ester link in the main chain of the macromolecule
    • C08G63/78Preparation processes
    • C08G63/82Preparation processes characterised by the catalyst used
    • C08G63/87Non-metals or inter-compounds thereof
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08GMACROMOLECULAR COMPOUNDS OBTAINED OTHERWISE THAN BY REACTIONS ONLY INVOLVING UNSATURATED CARBON-TO-CARBON BONDS
    • C08G63/00Macromolecular compounds obtained by reactions forming a carboxylic ester link in the main chain of the macromolecule
    • C08G63/88Post-polymerisation treatment
    • C08G63/90Purification; Drying
    • CCHEMISTRY; METALLURGY
    • C08ORGANIC MACROMOLECULAR COMPOUNDS; THEIR PREPARATION OR CHEMICAL WORKING-UP; COMPOSITIONS BASED THEREON
    • C08LCOMPOSITIONS OF MACROMOLECULAR COMPOUNDS
    • C08L67/00Compositions of polyesters obtained by reactions forming a carboxylic ester link in the main chain; Compositions of derivatives of such polymers
    • C08L67/06Unsaturated polyesters

Description

関連出願の相互参照
(0001) 本出願は、2014年11月18日に出願された米国仮特許出願第62/081219号、名称「Products and Methods for Synthesis and Functionalization of Resorbable Materials, and use thereof as a Medical Device」、及び2015年3月27日に出願された米国仮特許出願第62/139,196号、名称「Well−Defined Degradable Poly(Propylene Fumarate) Polymers and Scalable Methods for the Synthesis Thereof」の利益を主張し、これらは両方とも、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
共同研究契約の当事者の名称
(0002) 本出願の主題は、The University of Akron及びThe Ohio State Universityの間の共同研究契約に従って開発された。
(0003) 本発明の1つ又は複数の実施形態は、新規なポリ(プロピレンフマレート)ポリマー、及びポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを作製するための方法に関する。ある特定の実施形態において、本発明は、明確に定義された生分解性ポリ(プロピレンフマレート)ポリマー、ならびにそれを作製及び機能化するための拡張可能な方法に関する。ある特定の実施形態において、本発明は、様々な再生医療用途における使用のための、明確に定義された生分解性ポリ(プロピレンフマレート)ポリマーに関する。
(0004) 三次元(3D)印刷としても知られる積層造形は、3D印刷の多くの可能な生物医学用途のうち数例を挙げるだけでも、発病、先天的奇形、老化、口腔、顎顔面及び/又は整形外科的外傷、ならびにがんによる欠損の修復において、外科医が複雑な再建術に取り組む様式に大変革をもたらす可能性を有する。数々の3D印刷方法が報告されているが、特に光架橋に基づく印刷方法が、医用画像により可視化された欠陥に適合するように設計される固体硬化ポリマースキャフォールドの、確実な高忠実度のレンダリングの可能性を示している。デジタルライト印刷(DLP)技術による画像投影の進化により、極めて微細な(<50μm)特徴と組み合わされた複雑な幾何学的設計を有する組織工学スキャフォールドの3D印刷が可能となった。
(0005) この可能性を実現するべく、光化学的架橋技術を含む、知られている3D印刷技術に適した、コスト効果の高い非毒性の生分解性ポリマーを開発するための取り組みが行われてきた。さらに、これらの3D印刷された構造は人間の体内に移植されることが考慮されているため、使用されるポリマーは、規制上の審査に耐えなければならない。多くの不活性光架橋性樹脂が存在するが、非毒性、移植可能及び吸収性のものは非常に少ない。この最後のカテゴリーのうち、最も調査されているのは、ポリラクチド、ポリ(ε−カプロラクトン)、及びポリ(プロピレンフマレート)(PPF)である。吸収プロファイルに関して、ポリラクチドは、時折、急速なバルク分解を生じて局所的アシドーシス及び炎症をもたらすことが判明している。ポリ(ε−カプロラクトン)は、極めて緩やかに、時には数年にわたり分解し、それにより新組織の必要な再形成又は血管新生を制限することが知られている。ポリ(プロピレンフマレート)(PPF)は、1つには、制御された薬物放出、ステント、血管、神経移植片、及び軟骨組織工学、特に骨組織工学等に有用であることが期待される、安全で制御可能な分解及び特性を有する材料を有することが望まれているために開発された。20年以上前の段階成長重合法によるその発明以来、PPFは、骨格修復用のスキャフォールド材料として、大いなる成功と共に調査されてきた。その後の報告は、合成法及び得られる材料を改善した。
(0006) PPF等の吸収性光架橋性ポリマーの利用可能性を制限している1つの主要な要因は、大型動物モデル及び試験的な人間における臨床試験へと推し進めるために必要な、GMPグレード材料、すなわちFDAにより実施されている医薬品適正製造基準の要件に適合する材料が存在しないことである。PPFは、従来、様々な段階成長縮合反応の1つを使用して合成される。現在まで、明確に定義された低分子質量オリゴマーを、広範な3D印刷用途及び商業化に必要な規模で確実及び再現可能に合成することは不可能であった。特に、PPFを合成する知られた段階成長法は、高いエネルギー(熱)入力、高真空、長い反応時間を必要とし、また制御されていない分子質量分布、共役付加副反応、及び不要な架橋を伴って、低い変換率(約35%)をもたらし、これらはすべて、最終生成物の機械的特性及び分解速度に大きく影響する。さらに、これらの方法は、遅く、労働集約的であり、非常に費用を要し、またその結果商業的に実現可能でないことが分かっている。
(0007) 特に問題なのは、これらの段階成長法に付き物である、分子質量分布の制御の難しさである。2つのバッチが厳密に同じとなることはない。これらのポリマーは、比較的高い分子質量分布(D)(多分散性指数(PDI)としても知られる)を有する傾向があり、ポリマーの色及び機械的/粘度特性は、バッチ間で一貫していない。このバッチ間の変動は、吸収時間、吸収の均一性(いくつかの場所ではネクサスとして機能し、他の場所では機能しない長鎖、すなわち不均一な架橋メッシュに起因する)、及び3D印刷中に溶媒、光開始剤、染料、顔料、又は成分として使用される他の樹脂(例えば、ジエチルフマレート(DEF)、生物活性分子)の不均一な架橋組み込み等の、生物学的性能に影響する機械的特性の予測に著しい困難をもたらすことが分かっている。研究者がこれらのポリマーの3D印刷及びその後の生物学的性能を確実に予測できないことによって、インプラント及び他の医療デバイスにおけるこれらのポリマーの使用に必要な規制上の承認を得ることが非常に難しくなっている。実際に、20年以上にわたる再生医療におけるその使用の絶え間ない研究及び成功した実験結果にもかかわらず、PPFは現在まで、いかなるFDA承認デバイス又は治療の一部となってはいないと考えられる。
(0008) より最近では、高い分子質量、狭いD(1.6未満)及び低いエーテル結合(<1%)を有するPPFは、穏やかな反応条件での連鎖成長メカニズムを使用して成功裏に合成されている。この方法では、マレエート無水物及びエポキシドが、45℃において、触媒としてのクロムサレンによる開環共重合を介して重合され、次いで、生成されたポリ(プロピレンマレエート)(PPM)が室温で16時間ジエチルアミンを使用して異性化され、PPFが得られる。このようにして合成されたPPFは、固体であり、4kDa超のMW、1.6の分子質量分布、及び1%未満のエーテル結合を有し、99%の変換率であった。従来の合成法と比較して、連鎖成長メカニズムは、より良好な分子特性を有するPPFを提供し、反応はより再現性があり、さらなる機械的、毒性及び分解試験に対する、ならびに製造における大規模生産のための、制御された特性を有するPPFを生成することが可能となる。しかしながら、残念なことに、これらの方法を使用して作製されたPPFポリマーの高い分子量、流動性の欠如、及び残留クロム金属によって、それらは3D印刷又は再生医療における他の用途において好適ではない。
(0009) 当技術分野において、3D印刷及び医療デバイスにおける使用に好適であり、GMPを使用して安価に商業的に妥当な量で作製され得る、制約された予測可能な材料特性を有する低分子量で流動性の非毒性吸収性PPFポリマー、ならびにその作製及び使用のための関連した方法が必要とされている。
(0010) 本発明の1つ又は複数の実施形態は、安価に商業的に妥当な量で作製され得る、3D印刷に好適な制約された予測可能な材料特性を有する低分子量で非毒性の吸収性PPFポリマー(ならびにその作製及び使用のための関連した方法)を提供する。
(0011) 第1の態様において、本発明は、約450ダルトンから約3500ダルトンの数平均分子量(M)、及び1.0から2.0の分子質量分布(D)を有する、3D印刷における使用のためのポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを提供する。いくつかの実施形態において、本発明は、前記数平均分子量(M)が約700から約3200である、本発明の第1の態様のポリ(プロピレンフマレート)ポリマーに関する。1つ又は複数の実施形態において、本発明のポリ(プロピレンフマレート)ポリマーは、約−25℃から約12℃のガラス転移温度(T)を有する、本発明の第1の態様の上述の実施形態の任意の1つ又は複数を含む。1つ又は複数の実施形態において、本発明のポリ(プロピレンフマレート)ポリマーは、約980ダルトンから約5900ダルトンのピーク数平均分子質量を有する、本発明の第1の態様の上述の実施形態の任意の1つ又は複数を含む。
(0012) 1つ又は複数の実施形態において、本発明のポリ(プロピレンフマレート)ポリマーは、約0.025dL/gから約0.078dL/gの固有粘度を有する、本発明の第1の態様の上述の実施形態の任意の1つ又は複数を含む。1つ又は複数の実施形態において、本発明のポリ(プロピレンフマレート)ポリマーは、前記ポリ(プロピレンフマレート)ポリマーが1%w/w未満のポリ(無水マレイン酸−co−プロピレンオキシド)ポリマー鎖を含有する、本発明の第1の態様の上述の実施形態の任意の1つ又は複数を含む。1つ又は複数の実施形態において、本発明のポリ(プロピレンフマレート)ポリマーは、前記ポリ(プロピレンフマレート)ポリマーがポリ(無水マレイン酸−co−プロピレンオキシド)ポリマー鎖を含有しない、本発明の第1の態様の上述の実施形態の任意の1つ又は複数を含む。
(0013) 1つ又は複数の実施形態において、本発明のポリ(プロピレンフマレート)ポリマーは、下記式を有する、本発明の第1の態様の上述の実施形態の任意の1つ又は複数を含む。
式:
(式中、nは、3から30の整数である)
(0014) 第2の態様において、本発明は、3D印刷における使用のためのポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを作製するための方法であって、不活性雰囲気下で、無水マレイン酸及びプロピレンオキシドを好適な溶媒中に溶解するステップと;好適な開始剤を添加するステップと;混合物を、約60℃から約120℃の温度まで、約0.5時間から約100時間の期間加熱し、ポリ(無水マレイン酸−co−プロピレンオキシド)を生成するステップと;ポリ(無水マレイン酸−co−プロピレンオキシド)ポリマーを回収及び精製するステップと;ポリ(無水マレイン酸−co−プロピレンオキシド)を好適な溶媒中に溶解し、触媒を添加するステップと;混合物を、約5℃から約80℃の温度まで、約5時間から約100時間の期間加熱し、ポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを生成するステップとを含む方法を提供する。
(0015) いくつかの実施形態において、本発明は、無水マレイン酸及びプロピレンオキシドを溶解するために使用される溶媒が、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項9に記載の本発明の方法の第2の態様のポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを作製するための方法に関する。1つ又は複数の実施形態において、本発明のポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを作製するための方法は、無水マレイン酸及びプロピレンオキシドを溶解するために使用される溶媒がトルエンである、本発明の第2の態様の上述の実施形態の任意の1つ又は複数を含む。
(0016) 1つ又は複数の実施形態において、本発明のポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを作製するための方法は、開始剤がマグネシウムエトキシド(Mg(OEt))である、本発明の第2の態様の上述の実施形態の任意の1つ又は複数を含む。1つ又は複数の実施形態において、本発明のポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを作製するための方法は、無水マレイン酸対開始剤又はプロピレンオキシド対開始剤のいずれかのモル比が、約3:1から約400:1である、本発明の第2の態様の上述の実施形態の任意の1つ又は複数を含む。
(0017) 1つ又は複数の実施形態において、本発明のポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを作製するための方法は、不活性ガス雰囲気下で反応混合物を冷却するステップと;蒸留又は減圧により混合物から揮発性化合物を蒸発させるステップと;クロロホルム又はジクロロメタンを添加するステップと;溶液を水溶液で洗浄し、それによりポリ(無水マレイン酸−co−プロピレンオキシド)ポリマー中間体を含有する有機層及び水層を形成するステップと;この有機層を回収し、ヘキサン等の非極性有機溶媒に注ぎ込み、ポリ(無水マレイン酸−co−プロピレンオキシド)ポリマーを沈殿させるステップと;ポリ(無水マレイン酸−co−プロピレンオキシド)を回収するステップと;ポリ(無水マレイン酸−co−プロピレンオキシド)ポリマーを少量の好適な溶媒中に溶解するステップと;溶液を蒸発により濃縮するステップと;濃縮された溶液を真空下で乾燥させて、精製されたポリ(無水マレイン酸−co−プロピレンオキシド)ポリマー中間体を生成するステップとをさらに含む、本発明の第2の態様の上述の実施形態の任意の1つ又は複数を含む。1つ又は複数の実施形態において、本発明のポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを作製するための方法は、不活性雰囲気が窒素を含む、本発明の第2の態様の上述の実施形態の任意の1つ又は複数を含む。
(0018) 1つ又は複数の実施形態において、本発明のポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを作製するための方法は、揮発性化合物が、蒸留又は減圧により混合物から蒸発される、本発明の第2の態様の上述の実施形態の任意の1つ又は複数を含む。1つ又は複数の実施形態において、本発明のポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを作製するための方法は、ポリ(無水マレイン酸−co−プロピレンオキシド)ポリマーが、分液漏斗により回収される、本発明の第2の態様の上述の実施形態の任意の1つ又は複数を含む。
(0019) 1つ又は複数の実施形態において、本発明のポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを作製するための方法は、好適な溶媒が、クロロホルム又はジクロロメタンを含む、本発明の第2の態様の上述の実施形態の任意の1つ又は複数を含む。
(0020) 1つ又は複数の実施形態において、本発明のポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを作製するための方法は、ポリ(無水マレイン酸−co−プロピレンオキシド)ポリマー中間体を溶解するために使用される溶媒が、クロロホルム、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、及びそれらの組合せからなる群から選択される、本発明の第2の態様の上述の実施形態の任意の1つ又は複数を含む。1つ又は複数の実施形態において、本発明のポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを作製するための方法は、ポリ(無水マレイン酸−co−プロピレンオキシド)ポリマー中間体を溶解するために使用される溶媒がクロロホルムである、本発明の第2の態様の上述の実施形態の任意の1つ又は複数を含む。1つ又は複数の実施形態において、本発明のポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを作製するための方法は、触媒がジエチルアミンである、本発明の第2の態様の上述の実施形態の任意の1つ又は複数を含む。
(0021) 1つ又は複数の実施形態において、本発明のポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを作製するための方法は、ポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを回収及び精製するステップをさらに含む、本発明の第2の態様の上述の実施形態の任意の1つ又は複数を含む。1つ又は複数の実施形態において、本発明のポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを作製するための方法は、ポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを回収及び精製するステップが、溶解したポリ(プロピレンフマレート)ポリマー中間体を蒸発により濃縮するステップと;得られた溶液を緩衝水溶液で洗浄して触媒を除去し、それにより有機層及び水層を形成するステップと;有機層を回収するステップと;有機層を蒸発により濃縮するステップと;硫酸ナトリウム又は任意の他の無機乾燥剤、酸性プロトンもしくは分子篩を添加して、残留水を除去するステップと;硫酸ナトリウム又は他の無機乾燥剤もしくは分子篩を濾過除去するステップと;得られた混合物を非極性有機溶媒に注ぎ込み、ポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを沈殿させるステップと;ポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを回収し、それを真空下で乾燥させて、精製されたポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを生成するステップとを含む、本発明の第2の態様の上述の実施形態の任意の1つ又は複数を含む。
(0022) 1つ又は複数の実施形態において、本発明のポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを作製するための方法は、溶解したポリ(無水マレイン酸−co−プロピレンオキシド)ポリマー中間体が、回転蒸発又は減圧により濃縮される、本発明の第2の態様の上述の実施形態の任意の1つ又は複数を含む。1つ又は複数の実施形態において、本発明のポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを作製するための方法は、緩衝水溶液がリン酸緩衝生理食塩水を含む、本発明の第2の態様の上述の実施形態の任意の1つ又は複数を含む。
(0023) 1つ又は複数の実施形態において、本発明のポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを作製するための方法は、水で洗浄されたポリマーを含有する有機層が、分液漏斗により回収される、本発明の第2の態様の上述の実施形態の任意の1つ又は複数を含む。1つ又は複数の実施形態において、本発明のポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを作製するための方法は、水で洗浄されたポリマーを含有する有機層有機層が、回転蒸発又は減圧により濃縮される、本発明の第2の態様の上述の実施形態の任意の1つ又は複数を含む。1つ又は複数の実施形態において、本発明のポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを作製するための方法は、ポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを沈殿させるために使用される非極性有機溶媒がヘキサンを含む、本発明の第2の態様の上述の実施形態の任意の1つ又は複数を含む。
(0024) ここで、本発明の特徴及び利点のより完全な理解のために、添付の図と共に本発明の詳細な説明を参照する。
(0025)シス立体化学(PPM中間体)からトランス配置(PPFポリマー)への定量的変換を示す、本発明の1つ又は複数の実施形態によるPPM中間体(下)及びPPFポリマー(上)のH NMRスペクトル(CDCl、300MHz)を比較した概略図である。 (0026)PPM中間体からPPFポリマーへの完全な変換を示す、本発明の1つ又は複数の実施形態によるPPM中間体及びPPFポリマーの13C NMRスペクトル(CDCl、300MHz)を比較した概略図である。 (0027)本発明の1つ又は複数の実施形態によるPPM中間体及びPPFポリマーの、示差走査熱量測定(DSC)特性決定(−50℃〜50℃、10℃/分)を比較した概略図である。 (0028)表1中のPPF試料番号3における質量分布を示す、この試料のMALDI−TOF質量分析である。 (0029)質量分析データに示される分布における個々のピークに対応するPPF中の反復単位及び可能な末端基化学を示す、表1中のPPF試料番号3のMALDI−TOF質量分析の拡大部分を示す図である。 (0030)表1中のPPF試料番号2における質量分布を示す、この試料のMALDI−TOF質量分析である。 (0031)質量分析データに示される分布における個々のピークに対応するPPF中の反復単位及び可能な末端基化学を示す、表1中のPPF試料番号2のMALDI−TOF質量分析の拡大部分を示す図である。 (0032)ヒト骨髄由来間葉幹細胞(RoosterBio、Frederick、MD)(hMSC)との本発明の一実施形態によるPPFのin vitro生体適合性を確認するための、細胞毒性実験の結果を示す画像である。図6A及び6Bは、hMSC単分子層上のPPFポリマーを示す直接接触アッセイの明視野像(図6A)及び蛍光画像(図6B)である。図6C及び6Dは、PPFポリマー材料上で培養されたhMSCを示す直接接触アッセイの明視野像(図6C)及び蛍光画像(図6D)である。図6B及び6D中のより明るい領域は、カラー画像において緑色の蛍光を発する領域であることが理解されるべきである。スケールバー=500μm。 (0033)経時的な分子質量の準線形増加を示す速度論的プロットである。数平均分子量(M)、及び分子質量分布(D)は、100:1、200:1、及び300:1のモノマー対開始剤のモル比を使用して、本発明の1つ又は複数の実施形態に従って作製されたPPM中間体の反応時間の関数として示されている。 (0034)PPM中間体からPPFポリマーへの完全な変換を示す、本発明の1つ又は複数の実施形態によるPPM中間体及びPPFポリマーのフーリエ変換赤外分光(FTIR)スペクトル(フィルム、KBr、CHCl、400cm−1〜4000cm−1)を比較した概略図である。シスからトランスへの変換は、C−H伸縮において見られる。 (0035)PPM中間体からPPFポリマーへの完全な変換を示す、本発明の1つ又は複数の実施形態によるPPM中間体及びPPFポリマーの紫外−可視分光(UV−Vis)スペクトル(アセトニトリル、190nm〜700nm)を比較した概略図である。 (0036)表1中のPPF試料番号1のηsp/c及びln(η)/c対cを示すグラフである。 (0037)表1中のPPF試料番号2のηsp/c及びln(η)/c対cを示すグラフである。 (0038)表1中のPPF試料番号3のηsp/c及びln(η)/c対cを示すグラフである。 (0039)表1中のPPF試料番号4のηsp/c及びln(η)/c対cを示すグラフである。 (0040)表1中のPPF試料番号5のηsp/c及びln(η)/c対cを示すグラフである。 (0041)本発明の1つ又は複数の実施形態に従って作製されたPPFポリマーを使用して3D印刷プロセスにより作製された、組織スキャフォールドの画像である。スケールバーは2mmである。 (0042)125μmのストラット厚、600μmの細孔直径、及び93.5%の空隙率を有するSchoen Gyroid Triply Periodic Minimal Surfaceを使用してSolidWorks(商標)CADソフトウェアにおいて作成されたPPFスキャフォールドを示す画像である。図16Bは、図16Aに示されるPPFスキャフォールドの拡大図である。 (0043)SolidWorks(商標)コンピュータ支援設計ソフトウェアにおいて作成され、Perfactory(商標)P3プリンタを使用して3D印刷されたPPFスキャフォールドの画像である。 (0044)本発明の1つ又は複数の実施形態に従って作製されたPPFポリマーを使用して3D印刷プロセスにより作製された3D物体の正面斜視図(図17A)、側面図(図17B)、及び上面図(図17C)を示す、コンピュータ支援製図(CAD)画像である。 (0045)本発明の1つ又は複数の実施形態に従って作製されたPPFポリマーを使用して3D印刷プロセスにより作製された3D物体の撮影写真である。 (0046)本発明の1つ又は複数の実施形態に従って作製されたPPFポリマーを使用して3D印刷プロセスにより作製された3D物体のストラット及び細孔構造の概略図である。 (0047)本発明の1つ又は複数の実施形態に従って作製されたPPFポリマーを使用して3D印刷プロセスにより作製された3D物体に対して行われた、14日分解実験の結果を示すグラフである。 (0048)周波数の関数としての損失弾性率を示す、本発明の1つ又は複数の実施形態に従って作製されたPPFポリマーを使用して3D印刷プロセスにより作製された3D物体に対して行われた、動的機械試験の結果を示すグラフである。 (0049)周波数の関数としての貯蔵弾性率を示す、本発明の1つ又は複数の実施形態に従って作製されたPPFポリマーを使用して3D印刷プロセスにより作製された3D物体に対して行われた、動的機械試験の結果を示すグラフである。 (0050)周波数の関数としての複素弾性率を示す、本発明の1つ又は複数の実施形態に従って作製されたPPFポリマーを使用して3D印刷プロセスにより作製された3D物体に対して行われた、動的機械試験の結果を示すグラフである。 (0051)周波数の関数としてのTanΔを示す、本発明の1つ又は複数の実施形態に従って作製されたPPFポリマーを使用して3D印刷プロセスにより作製された3D物体に対して行われた、動的機械試験の結果を示すグラフである。 (0052)非分解試料(C1〜C5)、7日間分解した試料(A〜E)、及び14日間分解した試料(K〜O)の歪みの関数としての応力を示す、本発明の1つ又は複数の実施形態に従って作製されたPPFポリマーを使用して3D印刷プロセスにより作製された3D物体に対して行われた、破断までの圧縮試験の結果を示すグラフである。 (0053)非分解試料、7日間分解した試料、及び14日間分解した試料の降伏応力を示す、本発明の1つ又は複数の実施形態に従って作製されたPPFポリマーを使用して3D印刷プロセスにより作製された3D物体に対して行われた、破断までの圧縮試験の結果を示す棒グラフである。
(0054) 本発明の1つ又は複数の実施形態は、3D印刷に好適であり、安価に商業的に妥当な量で作製され得る、明確に定義された分子質量及び分子質量分布、ならびに予測可能な粘度特性を有する、低分子量で非毒性の吸収性PPFポリマー(ならびにその作製及び使用のための関連した方法)を提供する。これらのPPFポリマーは、予測可能で確実な機械的性能を提供し、吸収プロファイルはまた、3D印刷中の材料の十分な流動を確実とするのに必要な溶媒の量を低減し得る。MALDI質量分析は、末端基忠実度を正確に示しており、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)は、一連の低分子質量(M=700〜3000Da)オリゴマーの数平均分子質量分布(<1.6)を実証している。1つ又は複数の実施形態において、対応する固有粘度は、0.0288±0.0009dL/gから0.0780±0.0022dL/gの範囲である。さらに、標準化されたISO10993−5試験では、本発明の実施形態のPPFポリマーから3D印刷された材料が、L929マウス線維芽細胞及びヒト間葉幹細胞の両方に対して非毒性であることが示された。
(0055) 第1の態様において、本発明は、低分子質量分布(D)及び多種多様な、特に3D印刷用の樹脂中の成分としての潜在的用途を有する、新規な低分子量吸収性PPFポリマーに関する。本発明のPPFポリマーは、毒性ではなく、人間の体内又は他の生体内に移植される組織スキャフォールド及び他の医療デバイスにおいて使用され得る。さらに、PPFポリマーは、分解性であると共に吸収性である。ポリマーは、治療目的に好適な時間枠内でin vivoでその成分に分解するという点で、分解性又は生分解性である。本発明の実施形態による特定のPPFポリマーの分解速度は、その分子量、架橋密度、及び従来的に形成された、又は3D印刷された材料の幾何学的な点(例えば表面積の相対量)に依存する。本発明の実施形態のPPFポリマーはまた、分解産物が体に対する十分な耐容性を有し、治療目的に好適な時間枠内で体により代謝又は排出され得るという点で吸収性である。本発明の実施形態によるPPFポリマーの場合、分解産物は、フマル酸(通常の代謝産物)、及び薬物製剤中の一般的な希釈剤であり、体により排出される1,2−プロパンジオールである。
(0056) 本発明のPPFポリマーの構造は、プロトン核磁気共鳴分光法(H NMR)及び炭素13核磁気共鳴分光法(13C NMR)により確認された(図1及び2を参照されたい)。いくつかの実施形態において、本発明のPPFポリマーは、下記式を有する
式:
(式中、「n」は、3から30の整数である)。いくつかの実施形態において、nは、5から30の整数であってもよい。いくつかの実施形態において、nは、15から30の整数であってもよい。いくつかの実施形態において、nは、3から25の整数であってもよい。いくつかの実施形態において、nは、3から20の整数であってもよい。いくつかの実施形態において、nは、3から15の整数であってもよい。いくつかの実施形態において、nは、5から15の整数であってもよい。いくつかの実施形態において、nは、3から10の整数であってもよい。いくつかの実施形態において、nは、3から6の整数であってもよい。
(0057) 本発明の様々な実施形態によるPPFポリマーの分子質量及び質量分布特性は、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により特性決定された。1つ又は複数の実施形態において、PPFポリマー(i)は、約450Daから約3500Daの数平均分子質量(M)を有する。いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約500Daから約3000DaのMを有してもよい。いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約750Daから約2500DaのMを有してもよい。いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約1000Daから約2000DaのMを有してもよい。いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約1000Daから約1500DaのMを有してもよい。いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約450Daから約1000DaのMを有してもよい。いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約1000Daから約3500DaのMを有してもよい。いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約1500Daから約3500DaのMを有してもよい。いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約2000Daから約3000DaのMを有してもよい。
(0058) いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約700DaのM(M:980Da)を有してもよい。いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約1269DaのM(M:1711Da)を有してもよい。いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約1362DaのMを有してもよい。いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約1856DaのM(M:2573Da)を有してもよい。いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約2367DaのM(M:3190Da)を有してもよい。いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約3200DaのM(M:5974Da)を有してもよい。いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約1496DaのMを有してもよい。
(0059) 本発明の1つ又は複数の実施形態において、PPFポリマーは、約450ダルトンから3500ダルトンの重量平均分子質量(M)を有する。本発明の1つ又は複数の実施形態において、PPFポリマーは、約900ダルトンから7000ダルトンの重量平均分子質量(M)を有する。本発明の1つ又は複数の実施形態において、PPFポリマーは、約1000ダルトンから1500ダルトンの重量平均分子質量(M)を有する。本発明の1つ又は複数の実施形態において、PPFポリマーは、約1000ダルトンから2000ダルトンの重量平均分子質量(M)を有する。本発明の1つ又は複数の実施形態において、PPFポリマーは、約1000ダルトンから3000ダルトンの重量平均分子質量(M)を有する。本発明の1つ又は複数の実施形態において、PPFポリマーは、約2000ダルトンから3000ダルトンの重量平均分子質量(M)を有する。本発明の1つ又は複数の実施形態において、PPFポリマーは、約2000ダルトンから4000ダルトンの重量平均分子質量(M)を有する。本発明の1つ又は複数の実施形態において、PPFポリマーは、約2000ダルトンから6000ダルトンの重量平均分子質量(M)を有する。
(0060) 上に記載されたように、本発明の実施形態によるPPFポリマーはまた、明確に定義された比較的低い分子質量分布(D)を有し、これは、M対Mの比として定義され得る。本明細書において使用される場合、分子質量分布に適用される「明確に定義された」という用語は、2.0以下を意味する。いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約1.0から約2.0のDを有する。いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約1.0から約1.8のDを有する。いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約1.0から約1.6のDを有する。いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約1.0から約1.4のDを有する。いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約1.0から約1.2のDを有する。
(0061) いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約1.35のDを有する。いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約1.57のDを有する。いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約1.78のDを有する。いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約1.46のDを有する。いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約1.64のDを有する。いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約1.50のDを有する。いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約1.60のDを有する。いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約1.70のDを有する。
(0062) 当業者に理解されるように、本発明のPPFポリマーは、ガラス転移温度(T)を有する(図3もまた参照されたい)。本発明の実施形態によるポリマーのTは、特に限定されない。いくつかの実施形態において、PPFポリマーのTは、−30℃から20℃であってもよい。いくつかの実施形態において、PPFポリマーのTは、−25℃から12℃であってもよい。いくつかの実施形態において、PPFポリマーのTは、−10℃から5℃であってもよい。いくつかの実施形態において、PPFポリマーのTは、−25℃であってもよい。いくつかの実施形態において、PPFポリマーのTは、−19℃であってもよい。いくつかの実施形態において、PPFポリマーのTは、−3℃であってもよい。いくつかの実施形態において、PPFポリマーのTは、3℃であってもよい。
(0063) いくつかの実施形態において、PPFは、700DaのM、1.6のD、及び25℃のTを有してもよい。いくつかの実施形態において、PPFは、1270DaのM、1.5のD、及び3℃のTを有してもよい。いくつかの実施形態において、PPFは、1860DaのM、1.6のD、及び0℃のTを有してもよい。いくつかの実施形態において、PPFは、2450DaのM、1.6のD、及び6℃のTを有してもよい。いくつかの実施形態において、PPFは、3200DaのM、1.7のD、及び12℃のTを有してもよい。
(0064) いくつかの実施形態において、本発明のPPFポリマーは、以下の表1に記載の特徴を有する。
(0065) 周囲温度において、本発明の実施形態のPPFポリマーは、粘稠性流体であり、固有粘度の点でさらに説明され得る(上記の表1を参照されたい)。固有粘度は、本明細書において、Ubbelohde粘度計を使用して35℃でTHF中で測定される。
(0066) いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約0.025dL/gから約0.090dL/gの固有粘度を有する。いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約0.049dL/gから約0.078dL/gの固有粘度を有する。いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約0.0520dL/gから約0.0630dL/gの固有粘度を有する。いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約0.0288dL/gの固有粘度を有する。いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約0.0490dL/gの固有粘度を有する。いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約0.0529dL/gの固有粘度を有する。いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約0.0622dL/gの固有粘度を有する。いくつかの実施形態において、PPFポリマーは、約0.0780dL/gの固有粘度を有する。
(0067) マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI−TOF)質量分析法は、個々の材料及び末端基集団の質量を正確に決定することができる。低分子質量では、MALDIは、サイズ排除クロマトグラフィーよりも正確に分子質量を決定することができる。図4Aは、表1中のPPF試料番号3における質量分布を示す、この試料のMALDI−TOF質量分析である。図4Bは、質量分析データにおける個々のピークに対応するPPF中の反復単位及び可能な末端基化学を示す、表1中のPPF試料番号3のMALDI−TOF質量分析の拡大部分である。図4Bにおいて見られるように、この試料(表1中のPPF試料番号3)には3つの群(A、B、Cで標示されている)の可能な末端基が存在する。2つの隣接するピーク間のm/z=156は、反復単位の質量を示し、これは無水マレイン酸及びプロピレンオキシドの質量に等しい。支配的な末端基集団は、エトキシ基(A)である。これらの特徴は、PPFの合成の成功を裏付けている。図5Aは、表1中のPPF試料番号2における質量分布を示す、この試料のMALDI−TOF質量分析であり、図5Bは、質量分析データに示される分布における個々のピークに対応するPPF中の反復単位及び可能な末端基化学を示す、表1中のPPF試料番号2のMALDI−TOF質量分析の拡大部分である。
(0068) 上に記載されたように、周囲温度において、本発明の実施形態のPPFポリマーは、粘稠性流体である。しかしながら、これらのポリマーは、既知の機械的特性を有する固体を形成するために、その目的のための当技術分野において知られている任意の好適な方法を使用して架橋されてもよい。本発明の実施形態のPPFポリマーを架橋するための好適な手段は、ラジカル開始光架橋を含むが、これに限定されない。いくつかの実施形態において、光架橋、in situ熱架橋、FDM(熱溶解積層法)、レーザー焼結、又はバイオプリンティング等の3D印刷法に加えて、鋳造、電界紡糸、又はCNC等の従来の製造技術を使用して3D形状を形成するために架橋されてもよい(以下の実施例10、12、及び13を参照されたい)。これらの架橋PPFポリマーは、分解性及び吸収性であり、外科用インプラント及び他の移植可能な医療デバイスにおける使用に好適となり得る。本発明の実施形態による架橋PPFポリマーに対して行われた細胞毒性試験では、これらのポリマーが毒性ではないことが示されている(実施例16〜20;図6A〜Dを参照されたい)。
(0069) 別の態様において、本発明は、上述のもの等のPPFポリマーを合成する新規な方法に関する。本発明の新規な方法は、中でも、従来の成形、注入物質としての使用、又は3D印刷及び移植に好適な大量の低分子量PPFポリマーの生成を可能にし、既知のPPFポリマーに関する上で特定された問題を有さない。また、本明細書に記載のPPFポリマーを合成する新規な方法は、いくつかの実施形態において、上述のPPFポリマーを合成するために使用され得るが、いくつかの他の実施形態においては、方法は、それよりはるかに大きいPPFポリマーを合成するために使用されてもよい。請求される発明の様々な実施形態の方法は、10,000Daと大きいMを有するPPFポリマーを合成するために使用され得ると考えられている。
(0070) いくつかの実施形態において、この新規な方法は、以下のスキーム1に示される2ステッププロセスを使用してPPFポリマーを合成することに関する。
式中、A及びEは、1種又は複数種の開始剤(A)又は触媒(E)であり、B及びFは、それぞれ1種又は複数種の溶媒であり、C及びGは、それぞれ反応温度であり、D及びHは、それぞれ反応時間であり、nは、反復する無水マレイン酸−co−プロピレンオキシド(プロピレンマレエート)単位(ステップI)又はプロピレンフマレート単位(ステップII)の数である。
(0071) いくつかの実施形態において、nは、3から90の整数である。いくつかの実施形態において、nは、3から30の整数である。いくつかの実施形態において、nは、3から20の整数である。いくつかの実施形態において、nは、3から10の整数である。いくつかの実施形態において、nは、5から30の整数であってもよい。いくつかの実施形態において、nは、15から30の整数であってもよい。いくつかの実施形態において、nは、3から25の整数であってもよい。いくつかの実施形態において、nは、3から20の整数であってもよい。いくつかの実施形態において、nは、3から15の整数であってもよい。いくつかの実施形態において、nは、5から15の整数であってもよい。いくつかの実施形態において、nは、3から6の整数であってもよい。
(0072) ステップIにおいて、無水マレイン酸(MAn)(ii)は、開始剤A及び1種又は複数種の溶媒Bの存在下、反応温度Cで反応時間Dの間プロピレンオキシド(PO)(iii)と反応し、ポリ(無水マレイン酸−co−プロピレンオキシド(ポリ(プロピレンマレエート)としても知られる)(PPM)中間体(iv)を形成する。当業者に明らかなように、PPMは、PPF(i)のシス異性体である。ステップIIにおいて、PPMポリマー(iv)は、触媒E及び1種又は複数種の溶媒Fの存在下、反応温度Gで反応時間Hの間異性化され、トランス異性体(PPF)(i)を形成する。
(0073) 異性化という用語は、本明細書において、触媒の存在下でシス異性体(PPM)(iv)をトランス異性体(PPF)(i)形態に変換する反応を指すように使用される。異性化ステップ(ステップII)は、ポリマーへのいくつかの他の変化をもたらすが、本発明の実施形態のPPFポリマー(i)の最も一般的な態様、例えば近似的M、D、及びT範囲は、第1の反応(ステップI)において決定されることが明らかなはずである。
(0074) ここで、上記スキーム1のステップIに示される実施形態を考えると、反応の出発材料は、MAn(ii)及びPO(iii)である。他の実施形態が可能であるが、ステップIのMAn(ii)及びPO(iii)は、1:1のモル比で反応することが判明している。
(0075) ステップIに示される反応は、1種又は複数種の開始剤Aをさらに必要とする。他の実施形態が可能であるが、Aは、好ましくは、マグネシウムエトキシド(Mg(OEt))である。マグネシウムエトキシドは、酸化マグネシウムMgO及びエタノールに分解する利点を有するが、これに関して、これらは一般に非毒性であると考えられる。当業者には明らかなように、モノマー対開始剤のモル比は、反応の性質及び速度論においても重要な役割を果たす。以下の表2は、100:1、200:1、及び300:1のモノマー対開始剤のモル比を使用して、3、6、12、24、及び48時間の反応時間で上記ステップIの反応に従って作製されたPPMポリマーの、M、M及びDの結果を示す(7.14molのMAn/1Lのトルエン、80℃)(図7も参照されたい)。
(0076) 図7において、PPMのMは、重合時間が3時間から48時間に増加すると、準線形的に増加したが、これは連鎖成長メカニズムを裏付けている。複数の反応にわたるMn及びDmにおけるわずかな偏差は、この反応の再現性を実証している。全ての重合の分子質量分布は、分割なしで約1.6であったが、これは、連鎖成長法が、Dが通常2以上である段階成長メカニズムと比較して、分子質量分布に対するより正確な制御を提供することをさらに実証している。さらに、これらの反応のいくつかの収率は65パーセントに近く、既知の段階成長プロセスにおける低分子質量オリゴマーの収率より著しく高い。
(0077) いくつかの実施形態において、いずれかのモノマー対開始剤のモル比は、約3:1から400:1である。いくつかの実施形態において、いずれかのモノマー対開始剤のモル比は、約3:1から300:1である。いくつかの実施形態において、いずれかのモノマー対開始剤のモル比は、約3:1から200:1である。いくつかの実施形態において、いずれかのモノマー対開始剤のモル比は、約3:1から100:1である。いくつかの実施形態において、いずれかのモノマー対開始剤のモル比は、約10:1から124:1である。
(0078) 上記スキーム1のステップIに示される反応は、1種又は複数種の溶媒B中で生じる。1つ又は複数の実施形態において、Bは、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、及びそれらの組合せを含むがこれらに限定されない、任意の好適な溶媒であってもよい。どの溶媒が選択されたとしても、過度の困難又は費用なしに除去され得ることが想定される。いくつかの実施形態において、Bは、トルエンである。いくつかの実施形態において、モノマー対溶媒のモル比は、約5:1から約10:1である。いくつかの実施形態において、モノマー対溶媒のモル比は、約6:1から約9:1である。いくつかの実施形態において、モノマー対溶媒のモル比は、約7:1から約8:1である。いくつかの実施形態において、モノマー対溶媒のモル比は、約5:1から約8:1である。いくつかの実施形態において、モノマー対溶媒のモル比は、約7.14:1である。
(0079) 本発明のいくつかの実施形態において、モノマー及び選択された溶媒Bは、丸底フラスコ等の好適な容器内に入れられ、モノマーは、磁気撹拌器を使用して周囲温度で溶解される。しかしながら、開始剤を不活性化しない限り、当技術分野において知られている任意の方法を使用して溶媒中にモノマーを溶解してもよいことが理解されるべきである。さらに、モノマーは不活性ガス雰囲気中で溶解及び反応させるべきであることが、当業者に理解される。当業者は、必要以上の実験を行うことなく、不活性雰囲気用の不活性ガスを選択することができる。好適な不活性ガスは、窒素、アルゴン、又はヘリウムを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、系は、窒素又はアルゴン雰囲気下で周囲温度まで冷却される。
(0080) これらの実施形態において、容器は、冷却器に接続されてもよく、次いで混合物は、反応温度Cまで加熱される。いくつかの実施形態において、冷却器は、水還流冷却器又は他の従来の冷却システムであってもよい。混合物の温度を反応温度とするために使用される方法は、特に限定されず、シリコーン油浴、水浴、又は電気ジャケットを含み得るが、これらに限定されない。反応温度Cは、ステップIの反応の性質及び速度論において重要な役割を果たし、一般に約60℃から約120℃の範囲内であるが、いくつかの実施形態においては室温で行うこともできることが明らかなはずである(以下の表3及び6を参照されたい)。しかしながら、より低い温度(約50℃未満)ではランダム重合となり得ることが理解されるべきである。いくつかの実施形態において、Cは、約60℃から約120℃であってもよい。いくつかの実施形態において、Cは、約70℃から約100℃であってもよい。いくつかの実施形態において、Cは、約70℃から約90℃であってもよい。いくつかの実施形態において、Cは、約75℃から約80℃であってもよい。いくつかの実施形態において、Cは、約80℃である。
(0081) さらに、上記表2及び以下の表4において確認され得るように、反応時間Dもまた、ステップIの反応の性質及び速度論において重要な役割を果たす。一般に、反応時間が長いほど、生成されるPPMのMが大きい。当業者に明らかなように、非常に短い反応時間(0.5時間未満)では、生成されるポリマーが少なく、除去されなければならない大量の未反応モノマーが存在するため、反応は極めて非効率的である。100時間を超える反応時間では、ポリマーは、磁気撹拌器を使用して撹拌することができないほど粘稠性となり得、重合を制御することがより困難となる。いくつかの実施形態において、Dは、0.5時間から100時間であってもよい。いくつかの実施形態において、Dは、3時間から75時間であってもよい。いくつかの実施形態において、Dは、3時間から50時間であってもよい。いくつかの実施形態において、Dは、12時間から50時間であってもよい。いくつかの実施形態において、Dは、40時間から60時間であってもよい。いくつかの実施形態において、Dは、40時間である。
(0082) いくつかの実施形態において、Aは、マグネシウムエトキシド(Mg(OEt))であり、Bは、トルエンであり、Cは、80℃であり、Dは、2時間であり、生成されたPPMは、1700ダルトンのM、1.64のD及び58.97%の収率を有していた。いくつかの実施形態において、Aは、マグネシウムエトキシド(Mg(OEt))であり、Bは、トルエンであり、Cは、80℃であり、Dは、40時間であり、生成されたPPMは、1192ダルトンのM及び1.42のDを有していた。いくつかの実施形態において、Aは、マグネシウムエトキシド(Mg(OEt))であり、Bは、トルエンであり、Cは、80℃であり、Dは、2時間であり、生成されたPPMは、1206ダルトンのM及び1のDを有していた。いくつかの実施形態において、Aは、マグネシウムエトキシド(Mg(OEt))であり、Bは、トルエンであり、Cは、80℃であり、生成されたPPMポリマーのD、M、M、及びDは、全て表2に記載される通りである。いくつかの実施形態において、Aは、マグネシウムエトキシド(Mg(OEt))であり、Bは、トルエンであり、Cは、80℃であり、生成されたPPMポリマーのD、M、及びDは、全て表4に記載される通りである。
(0083) 反応が完了したら、PPM中間体は、その目的のための当技術分野において知られている任意の好適な方法により単離及び精製され得る。好適な方法は、抽出及び濃縮を含み得るが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、指定された重合時間が経過したら、系は、不活性雰囲気下、約80℃から約20℃の温度に冷却される。系を冷却するための方法は、特に限定されず、氷浴、循環浴、又は周囲空気温度を含んでもよいが、これらに限定されない。同様に、当業者は、必要以上の実験を行うことなく、不活性雰囲気用の不活性ガスを選択することができる。好適な不活性ガスは、窒素、アルゴン、又はヘリウムを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、系は、窒素又はアルゴン雰囲気下で周囲温度まで冷却される。
(0084) 次に、これらの実施形態において、その目的のための当技術分野において知られている任意の方法を使用して、揮発性化合物が蒸発により除去される。いくつかの実施形態において、揮発性化合物は、蒸留、回転蒸発又は減圧下での蒸発により除去され得る。これらの実施形態のいくつかにおいて、得られたポリマーは、次いでクロロホルム(CHCl)又はジクロロメタンCHCl等の有機溶媒で希釈される。いくつかの実施形態において、ポリマーは、クロロホルムで希釈されてもよい。
(0085) これらの実施形態におけるポリマー溶液は、次いで、水又は水溶液で洗浄される。いくつかの実施形態において、ポリマー溶液は、酸化剤を含有する水又は酸性プロトン溶液で洗浄され、無機化合物が除去される。いくつかの実施形態において、ポリマー溶液は、微量のHClを含有する水で洗浄される。理解されるべきであるように、ポリマー溶液が水又は水溶液中で洗浄される実施形態において、ポリマー溶液は分離して、ポリマーを含有する有機層及び水溶性不純物を含有する水層を形成する。これらの実施形態において、ポリマーを含有する有機層は、次いで、分液漏斗を含むがこれに限定されない任意の従来の手段により回収され得る。いくつかの実施形態において、ポリマーをクロロホルム又はジクロロメタン等の有機溶媒で希釈し、それを水又は水溶液で洗浄するステップは、反復されてもよいことが留意されるべきである。いくつかの実施形態において、PPMポリマーは、1回から10回水で洗浄されてもよい。
(0086) これらの実施形態のいくつかにおいて、所望の数の洗浄ステップが行われた後、PPMポリマーを含有する得られた有機層は、次いで、溶液からPPMポリマーを沈殿させるために、ヘキサン、ヘプタン、ペンタン、トルエン、ジエチルエーテル、又はオクタン等の過剰量の非極性有機溶媒に注ぎ込まれる。約4000ダルトン未満のMを有する実施形態においては、PPMポリマーは粘稠性流体となり、非極性有機溶媒から分離して再び2つの層を形成することが理解されるべきである。次いで、流体ポリマー層は、分液漏斗を含むがこれに限定されない任意の従来の手段により回収され得る。ポリマーが固体である実施形態においては、ポリマーは、濾過又は遠心分離を含むがこれらに限定されない、固体を単離及び回収するための任意の従来の手段により有機溶媒から除去され得る。
(0087) これらの実施形態において、得られたポリマーは、ジクロロメタンやクロロホルム等の最小限の量の有機溶媒中に再び溶解され、次いで蒸留又は回転蒸発により濃縮されてもよい。次いで、最後に、これらの実施形態において、全ての揮発性物質を除去するために室温で一晩真空下で生成物を乾燥させることにより、精製されたPPM中間体を得ることができる。
(0088) いくつかの実施形態において、スキーム1におけるステップIの反応は、モル当量の無水マレイン酸及びプロピレンオキシドを、窒素下、周囲温度でトルエン等の好適な溶媒中に溶解することを含んでもよい。磁気撹拌で全てのモノマーをトルエン中に溶解した後、Mg(OEt)を、24モルのモノマー当たり1モルのMg(OEt)の比で混合物に添加し、水還流冷却器を装備したシリコーン油浴内にフラスコを移動して、80℃で40時間の重合を開始させる。40時間の指定の重合時間が経過した後、次いで系は窒素下で室温まで冷却され、全ての揮発性物質が蒸発により除去される。これらの実施形態において、得られたポリマーは、次いで、無機化合物を除去するために微量のHClを含有する水で洗浄されたCHClで希釈される。次いで、回転蒸発後、有機層がヘキサンに注ぎ込まれ、沈殿したポリマー混合物が最小限の量のCHCl中に再び溶解され、次いで回転蒸発により濃縮される。次いで、全ての揮発性物質を除去するために、真空下、室温で一晩生成物を乾燥させた後、PPM中間体が得られる。
(0089) 上に記載されたように、スキーム1における第2の反応(ステップII)は、ステップIにおいて合成されたPPMをトランス異性体に異性化してPPFを形成することを含む。比較的少量のPPMポリマー鎖がPPFポリマー中に残留していても、ポリマーが架橋する能力に悪影響を及ぼし、それにより3D印刷及び他の同様の用途に不適切となることが判明している。したがって、PPMの本質的に全てがPPFに変換されることが重要である。図1は、本発明の1つ又は複数の実施形態によるPPM中間体及びPPFポリマーのH NMRスペクトル(CDCl、300MHz)を比較した概略図であり、ポリマー中に測定可能なPPMが残っていないことが確認されることを示している。精製ステップにおいて使用された残留溶媒は、より長期の真空下によってさらに除去され得る。図1中のスペクトルは、PPMがPPFに成功裏に異性化され、C=C結合上のcisアルケンプロトンの共鳴の場所(δ=6.2)は、トランス配置におけるプロトンの予測される位置(δ=6.8)にシフトしていることを示す。
(0090) PPM及びPPFの化学構造をさらに裏付けるために、FTIR及びUV−vis分光法を使用した。図8は、本発明の1つ又は複数の実施形態によるPPM中間体及びPPFポリマーのフーリエ変換赤外分光(FTIR)スペクトル(フィルム、KBr、CHCl、400cm−1〜4000cm−1)を比較した概略図であり、PPFポリマー中に測定可能なPPMが残留していないことが確認される。図8中のPPMスペクトルにおいて、1715〜1740cm−1のピークは、不飽和C=O(エステル)伸縮を表し、PPM合成プロセスにおけるエステル結合の形成を実証した。2988cm−1、1642cm−1、1162cm−1、814cm−1における伸縮は、C−H伸縮、C=C(アルケン)伸縮、O−C(アルコキシ)伸縮、及びC−H(cisアルケン)屈曲(ブロード)パターンを別個に示していた。PPFのスペクトルにおいて、1715〜1740cm−1のピークは、不飽和C=O(エステル)伸縮ピークを表していた。2986cm−1、1646cm−1、1156cm−1、984cm−1における伸縮は、それぞれ、C−H伸縮、C=C(アルケン)伸縮、O−C(アルコキシ)伸縮及びC−H(transアルケン)屈曲パターンであった。実線曲線における960〜990cm−1のC−H(transアルケン)屈曲伸縮の出現は、異性化プロセスを実証していた。これらの特徴的な信号は、PPMの合成及びPPMからPPFへの異性化の成功を裏付けていた。図8を参照されたい。紫外−可視分光法は、PPM中間体及びPPFを明確に示している(アセトニトリル、190nm〜700nm)。図9において、破線曲線は、PPM中間体のUV−可視スペクトルを示し、実線曲線は、PPFポリマーのUV−可視スペクトルを示す。確認され得るように、破線曲線は、λ=192nmにおいて強い吸収を有し、これは、PPMにおけるシス配置C=C結合のπ−π遷移に対応する。PPFの実線スペクトルにおいて、λ=210nmに強い吸収があり、これはPPFにおけるトランス配置C=C結合のπ−π遷移であった。シフトは、より高いエネルギーのシス配置C=C結合から、より低いエネルギーのトランス配置への変換から生じた。
(0091) いくつかの実施形態において、PPMからPPFへの変換率は、約96質量パーセントから約100質量パーセントである。いくつかの実施形態において、PPMからPPFへの変換率は、約98質量パーセントから約100質量パーセントである。いくつかの実施形態において、PPMからPPFへの変換率は、約99質量パーセントから約100質量パーセントである。いくつかの実施形態において、本発明のPPFポリマーは、残留PPMポリマー鎖を含有しない。
(0092) 上記スキーム1のステップIIに示される本発明の実施形態において、PPM中間体は、丸底フラスコ等の好適な容器内に入れられ、好適な溶媒F中に溶解される。1つ又は複数の実施形態において、Fは、クロロホルム、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジエチルエーテル及びそれらの組合せを含むがこれらに限定されない、任意の好適な溶媒であってもよい。どの溶媒が選択されたとしても、過度の困難又は費用なしに除去され得ることが想定される。いくつかの実施形態において、Fは、クロロホルムであってもよい。
(0093) いくつかの実施形態において、ステップIIは、不活性雰囲気下で行われる。ここでも、当業者は、必要以上の実験を行うことなく、不活性雰囲気用の不活性ガスを選択することができる。好適な不活性ガスは、窒素、アルゴン、又はヘリウムを含むが、これらに限定されない。いくつかの実施形態において、系は、窒素又はアルゴン雰囲気下で周囲温度まで冷却される。
(0094) PPM中間体が溶解したら、触媒Eが添加される。他の実施形態が可能であるが、触媒Eは、好ましくはジエチルアミンである。1つ以上の実施形態において、容器は次いで冷却器に接続され、反応温度Gまで加熱される。いくつかの実施形態において、冷却器は、水還流冷却器、又はこの目的のために当技術分野において使用される他の従来の冷却システムであってもよい。混合物の温度を反応温度Gとするために使用される方法は、特に限定されず、シリコーン油浴、水浴、又は電気ジャケットを含み得るが、これらに限定されない。
(0095) いくつかの実施形態において、Gは、約5℃から約80℃の反応温度であってもよい。いくつかの実施形態において、Gは、約5℃から約80℃の反応温度であってもよい。いくつかの実施形態において、Gは、約20℃から約70℃の反応温度であってもよい。いくつかの実施形態において、Gは、約20℃から約60℃の反応温度であってもよい。いくつかの実施形態において、Gは、約30℃から約60℃の反応温度であってもよい。いくつかの実施形態において、Gは、約40℃から約60℃の反応温度であってもよい。いくつかの実施形態において、Gは、約50℃から約60℃の反応温度であってもよい。いくつかの実施形態において、Gは、約20℃の反応温度であってもよい。いくつかの実施形態において、Gは、約55℃の反応温度であってもよい。いくつかの実施形態において、Gは、約58℃の反応温度であってもよい。いくつかの実施形態において、Gは、約60℃の反応温度であってもよい。いくつかの実施形態において、Gは、周囲温度であってもよい反応温度であってもよい。
(0096) いくつかの実施形態において、Hは、約5時間から約100時間の反応時間であってもよい。いくつかの実施形態において、Hは、約15時間から約50時間の反応時間であってもよい。いくつかの実施形態において、Hは、約20時間から約50時間の反応時間であってもよい。いくつかの実施形態において、Hは、約20時間の反応温度であってもよい。いくつかの実施形態において、Hは、約24時間の反応時間であってもよい。いくつかの実施形態において、Hは、約40時間の反応時間であってもよい。いくつかの実施形態において、Hは、約48時間の反応時間であってもよい。
(0097) 異性化反応が完了したら、PPFポリマーは、その目的のための当技術分野において知られている任意の好適な方法により単離及び精製され得る。いくつかの実施形態において、反応時間が経過したら、PPFポリマーを含有する反応混合物は、まず蒸発により濃縮され得る。これらの実施形態のいくつかにおいて、反応混合物は、回転蒸発又は減圧下での蒸発により濃縮されてもよい。これらの実施形態において、濃縮された反応混合物は、次いで、緩衝水溶液で洗浄されて触媒が除去されてもよい。他の実施形態が可能であるが、これらの実施形態において、緩衝水溶液は、約6から約8の範囲内の中性pHに緩衝する。いくつかの実施形態において、濃縮された反応混合物は、リン酸緩衝生理食塩水で洗浄されてもよい。いくつかの実施形態において、濃縮された反応混合物は、約6から約8のpHに緩衝するように構成された、0.5モルのリン酸緩衝生理食塩水で洗浄されてもよい。
(0098) これらの実施形態において、反応混合物は、PPFポリマーを含有する有機層及び水溶性不純物を含有する水層に分離することが理解されるべきである。次いで、有機層は、分液漏斗を含むがこれに限定されない任意の従来の手段により回収され得る。いくつかの実施形態において、反応混合物を緩衝水溶液で洗浄するステップは、反復されてもよいことが留意されるべきである。いくつかの実施形態において、反応混合物は、1回から10回緩衝水溶液で洗浄されてもよい。いくつかの実施形態において、反応混合物は、BPSで3回、次いで飽和ブラインで3回洗浄されてもよい。これらの洗浄ステップが完了したら、溶液は、蒸発により濃縮される。いくつかの実施形態において、ポリマーを含有する有機層は、回転蒸発又は減圧により濃縮されてもよい。これらの実施形態において、次いで無機乾燥剤、酸性プロトン又は分子篩が、濃縮されたポリマー溶液に添加され、いかなる残留水も除去される。いくつかの実施形態において、無機乾燥剤、酸性プロトン又は分子篩は、硫酸ナトリウムを含み得る。次いで、溶液が濾過され、無機乾燥剤、酸性プロトン又は分子篩が除去される。
(0099) 残留水が除去されたら、溶液は、ヘキサン等の過剰の非極性有機溶媒に添加され、PPFポリマーが沈殿される。約4000ダルトン未満のMを有する実施形態においては、PPFポリマーは粘稠性流体となり、非極性有機溶媒から分離して、再び2つの層を形成することが理解されるべきである。次いで、流体ポリマー層は、分液漏斗を含むがこれに限定されない任意の従来の手段により回収され得る。ポリマーが固体である実施形態においては、ポリマーは、濾過又は遠心分離を含むがこれらに限定されない、固体を単離及び回収するための任意の従来の手段により有機溶媒から除去され得る。
(00100) 回収された沈殿物は、次いで、全ての残留揮発性化合物を除去するために、真空中で12時間から24時間保持される。いくつかの実施形態において、回収された沈殿物は、全ての残留揮発性化合物を除去するために、室温で一晩保持される。
(00101) いくつかの実施形態において、スキーム1におけるステップIIの反応は、水還流冷却器を装備した丸底フラスコ内でPPMポリマーをCHCl(1mol/L)中に溶解した後、ジエチルアミン(0.1当量)等の触媒をPPM中間体に添加することを含んでもよい。異性化は、窒素雰囲気下、約55℃で約20時間行われる。次いで、得られた混合物は、回転蒸発により濃縮され、リン酸緩衝生理食塩水(0.5M、pH=6)で洗浄されて、ジエチルアミンが除去される。次いで、有機層は、分離後に回収され、有機層に硫酸ナトリウムが添加されて、水が除去される。次いで、濃縮された有機層がヘキサン中で数回沈殿されて、不純物が除去される。沈殿物が回収され、真空下で一晩室温で保持されて、全ての揮発性物質が除去され、本発明の1つ又は複数の実施形態によるPPFポリマーが残される。
(00102) 低分子量で非毒性の吸収性PPFポリマー、及び上述のPPFポリマーを作製するための新規な方法は、当技術分野において知られている同等のポリマー及び方法に勝る大幅な改善を示す。上述のPPFポリマーは、当技術分野において知られた様々な段階成長重合法に付き物である、分子質量分布の制御の難しさを克服した。上述の方法を使用して生成された低分子量で非毒性の吸収性PPFポリマーは、低い多分散性、及びバッチ間で一貫した特性を有する。この一貫性は、細胞毒性試験、材料特性試験、小動物モデル、大型動物モデル及び試験的な人間における臨床試験に必要な、FDAにより実施されている医薬品適正製造基準(GMP)の要件、ならびに/又は該当するASTM及びISO標準だけでなくFDAガイドラインに適合するのに十分となり得ると考えられる。
(00103) 当業者に明らかなように、使用される流体ポリマー樹脂の粘度、ひいては流動性は、ある特定の3D印刷法において重要な変数である。一般に、使用されるポリマー樹脂の粘度が高い(すなわち流動性が低い)ほど、光架橋法(例えば、3D Systems(Rock Hill、SC)ステレオリソグラフィー、又はTexas Instruments(Dallas、TX) Digital Light Processing(商標)チップの使用)により3D物体を印刷するのにより長い時間を要する。いくつかの実施形態において、本発明の実施形態によるポリマーを使用して調製された3D印刷樹脂の流動性は、樹脂の加熱により、又はDEF等の非毒性溶媒の添加により増加され得る。実際は、過度の熱はポリマーの自己触媒をもたらす可能性があり、また過度のDEFが使用された場合、得られる部品の材料特性を劇的に低減する可能性があるため、粘度を低減するこれらの方法は制限されている。さらに、M及びDは、予測可能であり、また周知であるため、異なるMを有するバッチをブレンドして、所望の粘度、分解及び/又は他の特徴を得ることができる。溶媒等の低分子量PPFを使用して、ブレンドされたポリマーの粘度を低減し、またそれにより本発明のPPFポリマーで作製された3D印刷樹脂の流動性を得ることが可能となり得ると考えられる。
(00104) さらに、上述の新規な方法は拡張可能であり、PPFの段階成長重合の先行技術と比較して、PPFポリマーを合成するために必要な時間及び費用において、予想外の革新的な改善を構成する。特に、PPFポリマーを合成する既知の段階成長法は遅く、労働集約的であり、非常に費用を要する。これらの方法を使用すると、可変量のPPFポリマーを生成するために約2週間を要する。このプロセスは、ほぼ持続的な監視を必要とする。このプロセスは、高いエネルギー(熱)入力、高真空、長い反応時間を必要とし、また制御されていない分子質量分布、共役付加副反応、及び不要な架橋を伴って、低い変換率をもたらし、これらはすべて、最終生成物の機械的特性及び分解速度に大きく影響する。先行技術の段階成長重合法を用いて数週間かかっていたものが、本明細書に記載のような本発明の実施形態による方法を用いて、標準的な(安価な)機器で量に依存して3日から7日で達成され得る。標準的な実験室の機器を使用すれば、グラム当たりのコストが劇的に低減される。さらに、これらの方法の拡張性は、時間及び費用の削減を大きく融合させる。本明細書に記載の新規な方法は、GMPレベルの手順及び機器を使用して、キログラム当たりのコストを大幅に低減すると考えられる。確かに、これらの方法は、活動を商業的に実現可能とし得ると考えられる。
(00105) さらに、本発明は、開環法を使用して調製された既知のPPFポリマーの3D印刷への使用に付き物である問題を克服する。粘稠性でありながら比較的低い分子量を有する本発明の実施形態によるPPFポリマーは、流動性である。
(00106) 以下の実施例は、本発明をより十分に例示するために提供されるが、本発明の範囲を限定するように解釈されるべきではない。さらに、実施例のいくつかは、本発明が機能し得る様式に関する結論を含み得るが、本発明者は、それらの結論に束縛されることを意図せず、それを可能な説明として提示するにすぎない。さらに、過去形の使用により述べられない限り、実施例の提示は、実験もしくは手順が行われた、もしくは行われなかったこと、又は、結果が実際に得られた、もしくは得られなかったことを暗示するものではない。使用される数字(例えば、量、温度)に関して正確性を確保するように努力がなされたが、ある程度の実験誤差及び偏差が存在し得る。別段に指定されない限り、部は、重量部であり、分子量は、重量平均分子量であり、温度は、摂氏温度であり、圧力は、大気圧又は大気圧近傍である。
材料及び方法
(00107) 本明細書において別段に記載されない限り、使用された材料は、以下の表5.1に記載されるものである。
(00108) 本明細書において別段に記載されない限り、本明細書に記載の分析方法は、以下の表5.2に記載される機器及び条件を使用して行われた。
(00109) H及び13C核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、Varian NMRS 300MHz機器で記録した。重水素で置換されたクロロホルム(CDCl)を溶媒として使用した。化学シフトδ(ppm)は、残留プロトン信号に対して参照された。
(00110) PPF試料の化学構造を、Bruker Ultraflex IIIマトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型(MALDI−ToF/ToF)質量分析計によりさらに分析した。試料は、10mg/mLの最終濃度でCHCl中に溶解した。マトリックスとしてのtrans−2−[3−(4−tert−ブチルフェニル)−2−メチル−2−プロペニリデン)マロノニトリル(DCTB)及び塩としてのNaTFAを10:1で使用して、サンドイッチ法を用いた。絶対分子質量特性決定のために、末端基を同定した。
(00111) CHCl溶液から臭化カリウム(KBr)ディスク上にキャストしたフィルム試料に対して、Excalibur Spectrometer(FTS3000及びFTS4000シリーズ)により400cm−1から4000cm−1の波数範囲でFTIRスペクトルを記録した。各ポリマーの分子質量及び分子質量分布を、サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により決定した。狭い分子質量分布のポリスチレン標準(M(g/mol):580;1280;3180;4910;10440;21,810;51,150;96,000;230,900)を用い、Waters 2414 Reflective Index Detectorを有するViscotek GPCmax VE 2011 GPC Solvent Sample Moduleで、35℃におけるTHF中でのSEC分析を行った。ガラス転移温度(T)を得るために、TA Q2000示差走査熱量計を使用して、−100℃から100℃で10℃/分の走査速度で、PPFの熱特性をDSCにより特性決定した。
実施例1‐1
ポリ(無水マレイン酸−co−プロピレンオキシド)の代表的合成
(00112) 500mLの丸底フラスコ内で、無水マレイン酸(MAn)70.06g(714mmol)及びプロピレンオキシド(PO)50.0mL(714mmol)を、100mLのトルエン中に、窒素雰囲気下で室温で溶解した。持続的な磁気撹拌により、モノマーの全てがトルエン中に溶解した後、272.34mg(2.38mmol、MAn/Mg(OEt)のモル比=300:1)のMg(OEt)を混合物に添加し、還流冷却器を装備したシリコーン油浴内にフラスコを移動し、80℃で重合を開始させた。重合を進行させ、決められた時点(3時間、6時間、18時間、24時間及び48時間)でアリコートを採取した。MAn/Mg(OEt)=200:1、100:1のモル比を取り入れた同様の試験もまた行った。指定された重合時間の後、系を窒素下で周囲温度まで冷却し、減圧条件に供して揮発性材料を除去した。残渣を、無機Mg(OEt)化合物を除去するために微量の塩酸(HCl)を含有する水で洗浄したクロロホルム(CHCl)で希釈した。回転蒸発後に有機層をヘキサンに注ぎ込み、沈殿したポリマー混合物を、最小限の量のCHCl中に再び溶解した。次いで、残渣を回転蒸発により濃縮した。真空下で一晩周囲温度で生成物を乾燥させ、全ての揮発性物質を除去した後、ポリ(無水マレイン酸−co−プロピレンオキシド)が得られ、次いで、H NMR特性決定後の各時点で、分子質量及び質量分布特性をサイズ排除クロマトグラフィー(SEC)により特性決定した。H NMR(300MHz,クロロホルム−d δ ppm 1.13〜1.41(d,3H,OCHCH(CH)O)、4.04〜4.36(m,2H,OCHCH(CH)O)、5.23〜5.30(m,1H,OCHCH(CH)O)、6.24〜6.42(m,2H,CH=CH(シス配置))図1を参照されたい。
実施例1‐2
ポリ(無水マレイン酸−co−プロピレンオキシド)の異性化のための一般手順
(00113) 水還流冷却器を装備した丸底フラスコ内でポリマーをCHCl中に溶解した後、ジエチルアミン(0.15当量)をポリ(無水マレイン酸−co−プロピレンオキシド)に添加し、窒素雰囲気下、55℃で24時間の異性化を開始させた。次いで、混合物を、回転蒸発により濃縮し、リン酸緩衝生理食塩水(0.5M、pH=6)で洗浄して、ジエチルアミンを除去した。次いで、有機層をヘキサン中で数回沈殿させ、不純物を除去した。沈殿物を回収し、真空下、室温で一晩保持し、全ての揮発性物質を除去した。次いで、特性決定のためにHNMRを使用した。H NMR(300MHz,クロロホルム−d)δ ppm 1.11〜1.43(d,3H,OCHCH(CH)O)、4.09〜4.39(m,2H,OCHCH(CH)O)、5.21〜5.35(m,1H,OCHCH(CH)O)、6.83〜6.91(m,2H,CH=CH(トランス配置))。
大量バッチ合成(M=1.5kDa)
1.ポリ(無水マレイン酸−co−プロピレンオキシド)の合成
(00114) 2Lの丸底フラスコ内で、無水マレイン酸(2856mmol)及びプロピレンオキシド(2856mmol)を、窒素下、周囲温度でトルエン(400mL)中に溶解した。磁気撹拌で全てのモノマーをトルエン中に溶解した後、Mg(OEt)(119mmol;MAn:Mg(OEt)のモル比=24:1)を混合物に添加し、水還流冷却器を装備したシリコーン油浴内にフラスコを移動して、80℃で40時間の重合を開始させた。指定された重合時間の後、系を窒素下で室温まで冷却し、蒸発させて全ての揮発性物質を除去し、次いで、無機化合物を除去するために微量のHClを含有する水で洗浄されたCHClで希釈した。回転蒸発後、有機層をヘキサンに注ぎ込み、沈殿したポリマー混合物を最小限の量のCHCl中に再び溶解し、次いでこれを回転蒸発により濃縮した。真空下で一晩室温で生成物を乾燥させ、全ての揮発性物質を除去した後、ポリ(無水マレイン酸−co−プロピレンオキシド)(PPM)が得られ、次いで、H NMR特性決定及び13C NMR特性決定後、分子質量及び質量分布特性をSECにより特性決定した(SEC:M 1200Da;H NMRは図1を参照されたい;13C NMRは図2中に示されている)。13C NMR(300MHz,クロロホルム−d)δ(ppm):164.64、164.63、164.35;130.42、129.92、129.78、129.25;69.15;66.37;16.19。
2.ポリ(無水マレイン酸−co−プロピレンオキシド)の異性化
(00115) 水還流冷却器を装備した丸底フラスコ内でポリマーをCHCl(1mol/L)中に溶解した後、ジエチルアミン(0.15当量)をポリ(無水マレイン酸−co−プロピレンオキシド)に添加し、窒素雰囲気下、55℃で20時間の異性化を開始させた。次いで、混合物を、回転蒸発により濃縮し、リン酸緩衝生理食塩水(0.5M、pH=6)で洗浄して、ジエチルアミンを除去した。有機層を分離後に回収し、有機層に硫酸ナトリウムを添加して水を除去した。次いで、濃縮された有機層をヘキサン中で数回沈殿させ、不純物を除去した。沈殿物を回収し、真空中室温で一晩保持し、全ての揮発性物質を除去し、次いで、H−NMR特性決定後に、分子質量及び質量分布特性を特性決定した。表1(PPF試料番号2、M 1270Da、D 1.5)及び図1を参照されたい。
5つのMレベルにおけるPPFポリマーの大量バッチ合成
(M=0.7kDa、1.27kDa、1.86kDa、2.45kDa、及び3.16kDa)
(00116) 以下の表6に記載の重合パラメータを使用して、実施例2において上述の大量バッチPPF手順を使用して0.7kDa、1.27kDa、1.86kDa、2.45kDa、及び3.16kDaのMを有するPPFポリマーを合成した。
PPF No.1においては、反応は周囲温度で自発的に開始し、約86℃の温度に達したことが留意されるべきである。熱は加えられなかった。
(00117) H NMR、13C NMR、マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型、FTIR及びUV−Visスペクトルにおける各特性ピーク又はバンドの位置及び相対強度を使用して、生成物の化学構造を証明した。Varian NMRS 300MHz機器を用いて、核磁気共鳴(NMR)プロトンスペクトル及び核磁気共鳴(NMR)炭素スペクトルを記録した。重水素で置換されたクロロホルム(CDCl)を溶媒として使用した。化学シフトδ(ppm)は、残留プロトン信号に対して参照された。PPF試料の化学構造を、Bruker Ultraflex III MALDI−ToF/ToF質量分析計によりさらに分析した。試料は、10mg/mLの最終濃度でCHCl中に溶解した。マトリックスとしてのtrans−2−[3−(4−tert−ブチルフェニル)−2−メチル−2−プロペニリデン)マロノニトリル(DCTB)及び塩としてのNaTFAを10:1で使用して、サンドイッチ法を用いた。CHCl溶液から臭化カリウム(KBr)ディスク上にキャストしたフィルム試料に対して、Excalibur Spectrometer(FTS3000及びFTS4000シリーズ)により400cm−1から4000cm−1の波数範囲でFTIRスペクトルを記録した。HP Hewlett Packard 8453 UV−Vis機器を使用して、190nmから700nmの波長範囲で、アセトニトリル中のポリマーの希釈溶液によりUV−可視スペクトルを得た。
(00118) 各ポリマーの分子質量及び分子質量分布を、SECにより決定した。狭い分子質量分布のポリスチレン標準(M(g/mol):580、1280、3180、4910、10440、21810、51150、96000、230900)を用い、Waters 2414 Reflective Index Detectorを有するViscotek GPCmax VE 2011 GPC Solvent Sample Moduleで、35℃におけるTHF中でのSEC分析を行った。
(00119) ガラス転移温度(T)を得るために、TA Q2000示差走査熱量計を使用して、−100℃から100℃で10℃/分の走査速度で、PPFの熱特性をDSCにより特性決定した。以下の実施例4に記載の手順を使用して、5つの分子質量レベルでのPPF試料の固有粘度を、Ubbelohde粘度計によりTHF中で35℃で試験した。上記表1を参照されたい。(図3もまた参照されたい)。
PPFポリマーの固有粘度測定のための一般手順
(00120) 別段に指定されない限り、実施例3において合成されたPPF試料の固有粘度は、Ubbelohde粘度計を使用して、THF中で35℃で測定した。各PPF試料(M:0.7kDa、1.27kDa、1.86kDa、2.45kDa、及び3.16kDa)を秤量し、メスフラスコ(10mL)内でTHF中に希釈した。新たに蒸留したTHFを、0.45μmフィルタでメスフラスコに10mLの標線まで添加し、封止した。毛細管粘度計を純THFで清浄化した。恒温水浴を、35℃の温度を維持するように加熱した。毛細管粘度計を、恒温浴内で少なくとも15分間事前に平衡化し、熱平衡を確立した。注射器を使用して、毛細管粘度計の上部ボールの1/3超まで液体を充填し、次いで液体を下方に流動させた。ストップウォッチを使用して、液体が毛細管粘度計の第1の線を通過する時間を記録し、液体が毛細管粘度計の第2の線を通過したら、記録を終了した。この期間の時間を記録した。流動時間は、少なくとも5回記録した。毛細管粘度計を、PPF及びTHFで調製された5.0mLの溶液でフィルタにより再充填した。毛細管粘度計を、恒温浴内に戻した。上述のように、少なくとも3回流動時間を測定し、記録した。次いで、5.0mL、3.0mL及びさらに1.8mL又は2.0mL(結果に依存する)の純THF溶媒を、それぞれフィルタを使用して毛細管粘度計内に添加し、対応する流動時間をそれぞれ少なくとも3回測定及び記録した。各PPFポリマーに対する計算及び実験の詳細は、実施例5〜9に記される。
PPFポリマー(M=700Da)の固有粘度
実験
(00121) 材料及び機器。恒温浴、Ubbelohde毛細管粘度計(Cannon State College、PA、16804、0016、USA、50 L79)、ストップウォッチ(精度:0.01秒)、ポリ(プロピレンフマレート)(PPF)試料、純THF溶媒、化学天秤、メスフラスコ(10mL)、フィルタ(0.45μm)。
(00122) 調製。各PPF試料を秤量し、メスフラスコ(10mL)内でTHF中に希釈した。純THFをフィルタによりメスフラスコに10mLの標線まで添加し、次いで栓をした。
(00123) 測定。まず、毛細管粘度計を純THFで濯ぎ、次いで純THFをフィルタにより適切なレベルまで充填した。恒温水浴を、35℃の温度を維持するように加熱した。毛細管粘度計を、恒温浴内で少なくとも15分間保持し、熱平衡を確立した。注射器を使用して、毛細管粘度計の上部ボールの1/3超まで液体を充填し、次いで液体を下方に流動させた。ストップウォッチを使用して、液体が毛細管粘度計の第1の線を超えて流動する時間を記録し、液体が毛細管粘度計の第2の線を通過したら、記録を終了した。この期間の時間を記録した。流動時間は、少なくとも5回測定し、0.2秒以下のΔtを3回得た。次いで、毛細管粘度計内のTHFを注ぎ出した。毛細管粘度計を、PPF及びTHFで調製された5mLの溶液でフィルタにより再充填した。毛細管粘度計を、恒温浴内に戻した。上記手順のように、少なくとも3回流動時間を測定し、記録した。次いで、5mL、3mL及びさらに1.8mL(結果に依存する)の純THF溶媒を、それぞれフィルタにより毛細管粘度計内に添加し、上記手順のように、対応する流動時間をそれぞれ少なくとも3回測定及び記録した。
結果及び考察
(00124) 流動時間。実験において、異なる濃度(c、c、c、c、及びc)を有する溶液の流動時間が得られた。流動時間の平均値及び誤差を計算した。700DaのPPFの代表的データを、表7に示す。
(00125) 実験から得られたデータに基づき、以下の式を用いて一連の量を計算した。
(式1)
(式2)
ηsp=η−1 (2)
(式3)
(式4)
式中、ηは、相対粘度であり、ηspは、比粘度であり、ηinhは、固有粘度であり、ηredは、低減された比粘度であり、ηは、溶液の粘度であり、ηは、溶媒の粘度であり、tは、溶液の流動時間であり、tは、溶媒の流動時間であり、cは、溶液の濃度である。結果を表8に示す。
(00126) 次いで、Hugginsの式及びKraemerの式(式中、[η]は、固有粘度であり、k’、k”は、定数である)により、固有粘度([η])を得ることができる。
Hugginsの式:
(式5)
ηsp/c=[η]+k’[η]c (5)
Kraemerの式:
(式6)
ln(η)/c=[η]+k”[η]c (6)
ηsp/c及びln(η)/cは共に、図10に示されるように、origin 8.0によりcに対してプロットされた(以下の表9も参照されたい)。図10のηsp/c対cのフィッティングされた線に関して、origin 8.0により直線フィッティングが得られた。
(00127) 図10によれば、低減された粘度と濃度との間の関係は、ηsp/c=0.00253+0.0000149cである。式5と比較して、以下を得ることができる。
[η]=0.00253L/g
σ[η]=0.000134L/g
[η]=(0.00253±0.000134)L/g
同様に、固有粘度と濃度との間の関係は、lnη/c=0.00322+0.0000025cであり、式6と比較すると、以下が得られる。
[η]=(0.00322±0.00012)L/g
[η]の平均が、最終結果として処理される。
[η]=0.0029±0.0001L/g
(00128) 誤差分析。誤差は、多くの側面から生じ得る。(1)溶液の濃度が正確ではない可能性がある;(2)流動時間が目による誤差に起因して正確ではない可能性がある;(3)粘度計における温度が、恒温浴の温度と等しくない可能性がある。
PPFポリマー(M=1270Da)の固有粘度
実験
(00129) この実施例において使用された材料及び機器、ならびに調製は、上記実施例4及び5に記載のものと同じであった。
(00130) 測定。まず、毛細管粘度計を純THFで濯ぎ、次いで純THFをフィルタにより適切なレベルまで充填した。恒温浴を、35℃の温度を維持するように加熱した。毛細管粘度計を、恒温浴内で少なくとも15分間保持し、熱平衡を確立した。注射器を使用して、毛細管粘度計の上部ボールの1/3超まで液体を充填し、次いで液体を下方に流動させた。ストップウォッチを使用して、液体が毛細管粘度計の第1の線を超えて流動する時間を記録し、液体が毛細管粘度計の第2の線を通過したら、記録を終了した。この期間の時間を記録した。流動時間は、少なくとも5回測定し、0.2秒以下のΔtを3回得た。次いで、毛細管粘度計内のTHFを注ぎ出した。毛細管粘度計を、PPF及びTHFで調製された5mLの溶液でフィルタにより再充填した。毛細管粘度計を、恒温浴内に戻した。上記手順のように、少なくとも3回流動時間を測定し、記録した。次いで、5mL、3mL及びさらに2mL(結果に依存する)の純THF溶媒を、それぞれフィルタにより毛細管粘度計内に添加し、上記手順のように、対応する流動時間をそれぞれ少なくとも3回測定及び記録した。
結果及び考察
(00131) 流動時間。実験において、異なる濃度(c、c、c、c、及びc)を有する溶液の流動時間が得られた。流動時間の平均値及び誤差を計算した。1270DaのPPFの代表的データを、表10に示す。
(00132) 実験から得られたデータに基づき、以下の式を用いて一連の量を計算した。
(式1)
(式2)
ηsp=η−1 (2)
(式3)
(式4)
式中、ηは、相対粘度であり、ηspは、比粘度であり、ηinhは、固有粘度であり、ηredは、低減された比粘度であり、ηは、溶液の粘度であり、ηは、溶媒の粘度であり、tは、溶液の流動時間であり、tは、溶媒の流動時間であり、cは、溶液の濃度である。結果を表11に示す。
(00133) 次いで、Hugginsの式及びKraemerの式(式中、[η]は、固有粘度であり、k’、k”は、定数である)により、固有粘度([η])を得ることができる。
Hugginsの式:
(式5)
ηsp/c=[η]+k’[η]c (5)
Kraemerの式:
(式6)
ln(η)/c=[η]+k”[η]c (6)
ηsp/c及びln(η)/cは共に、図11に示されるように、origin 8.0によりcに対してプロットされた(以下の表12も参照されたい)。図11のηsp/c対cのフィッティングされた線に関して、origin 8.0により直線フィッティングが得られた。
(00134) 図11によれば、低減された粘度と濃度との間の関係は、ηsp/c=0.00498+0.000000957cである。式5と比較して、以下を得ることができる。
[η]=0.00498L/g
σ[η]=0.00000159L/g
[η]=(0.00498±0.00000159)L/g
(00135) 同様に、固有粘度と濃度との間の関係は、lnη/c=0.00482+0.0000183cであり、式6と比較すると、以下が得られる。
[η]=(0.00482±0.0000117)L/g
(00136) [η]の平均が、最終結果として処理される。
[η]=0.00490±0.00001L/g
PPFポリマー(M=1860Da)の固有粘度
実験
(00137) この実施例において使用された材料及び機器、ならびに調製は、上記実施例4に記載のものと同じであった。
(00138) 測定。まず、毛細管粘度計を純THFで濯ぎ、次いで純THFをフィルタにより適切なレベルまで充填した。恒温浴を、35℃の温度を維持するように加熱した。毛細管粘度計を、恒温浴内で少なくとも15分間保持し、熱平衡を確立した。注射器を使用して、毛細管粘度計の上部ボールの1/3超まで液体を充填し、次いで液体を下方に流動させた。ストップウォッチを使用して、液体が毛細管粘度計の第1の線を超えて流動する時間を記録し、液体が毛細管粘度計の第2の線を通過したら、記録を終了した。この期間の時間を記録した。流動時間は、少なくとも5回測定し、0.2秒以下のΔtを3回得た。次いで、毛細管粘度計内のTHFを注ぎ出した。毛細管粘度計を、PPF及びTHFで調製された5mLの溶液でフィルタにより再充填した。毛細管粘度計を、恒温浴内に戻した。上記手順のように、少なくとも3回流動時間を測定し、記録した。次いで、5mL、3mL及びさらに2mL(結果に依存する)の純THF溶媒を、それぞれフィルタにより毛細管粘度計内に添加し、上記手順のように、対応する流動時間をそれぞれ少なくとも3回測定及び記録した。
結果及び考察
(00139) 流動時間。実験において、異なる濃度(c、c、c、c、及びc)を有する溶液の流動時間が得られた。流動時間の平均値及び誤差を計算した。1860DaのPPFの代表的データを、表13に示す。
(00140) 実験から得られたデータに基づき、以下の式を用いて一連の量を計算した。
(式1)
(式2)
ηsp=η−1 (2)
(式3)
(式4)
式中、ηは、相対粘度であり、ηspは、比粘度であり、ηinhは、固有粘度であり、ηredは、低減された比粘度であり、ηは、溶液の粘度であり、ηは、溶媒の粘度であり、tは、溶液の流動時間であり、tは、溶媒の流動時間であり、cは、溶液の濃度である。結果を表14に示す。
(00141) 次いで、Hugginsの式及びKraemerの式(式中、[η]は、固有粘度であり、k’、k”は、定数である)により、固有粘度([η])を得ることができる。
Hugginsの式:
(式5)
ηsp/c=[η]+k’[η]c (5)
Kraemerの式:
(式6)
ln(η)/c=[η]+k”[η]c (6)
ηsp/c及びln(η)/cは共に、図12に示されるように、origin 8.0によりcに対してプロットされた(以下の表15も参照されたい)。図12のηsp/c対cのフィッティングされた線に関して、origin 8.0により直線フィッティングが得られた。
(00142) 図12によれば、低減された粘度と濃度との間の関係は、ηsp/c=0.00487+0.0000476cである。式5と比較して、以下を得ることができる。
[η]=0.00487L/g [η]=0.00487L/g
σ[η]=0.00024L/g σ[η]=0.00024L/g
[η]=(0.00487±0.00024)L/g [η]=(0.00487±0.00024)L/g
(00143) 同様に、固有粘度と濃度との間の関係は、lnηr/c=0.00571+0.00000921cであり、式6と比較すると、以下が得られる。
[η]=(0.00571±0.000109)L/g [η]=(0.00571±0.000109)L/g
(00144) [η]の平均が、最終結果として処理される。
[η]=0.00529±0.00013L/g
PPFポリマー(M==2450Da)の固有粘度
実験
(00145) この実施例において使用された材料及び機器、ならびに調製は、上記実施例4に記載のものと同じであった。
(00146) 測定。まず、毛細管粘度計を純THFで濯ぎ、次いで純THFをフィルタにより適切なレベルまで充填した。恒温浴を、35℃の温度を維持するように加熱した。毛細管粘度計を、恒温浴内で少なくとも15分間保持し、熱平衡を確立した。注射器を使用して、毛細管粘度計の上部ボールの1/3超まで液体を充填し、次いで液体を下方に流動させた。ストップウォッチを使用して、液体が毛細管粘度計の第1の線を超えて流動する時間を記録し、液体が毛細管粘度計の第2の線を通過したら、記録を終了した。この期間の時間を記録した。流動時間は、少なくとも5回測定し、0.2秒以下のΔtを3回得た。次いで、毛細管粘度計内のTHFを注ぎ出した。毛細管粘度計を、PPF及びTHFで調製された5mLの溶液でフィルタにより再充填した。毛細管粘度計を、恒温浴内に戻した。上記手順のように、少なくとも3回流動時間を測定し、記録した。次いで、5mL、3mL及びさらに2mL(結果に依存する)の純THF溶媒を、それぞれフィルタにより毛細管粘度計内に添加し、上記手順のように、対応する流動時間をそれぞれ少なくとも3回測定及び記録した。
結果及び考察
(00147) 流動時間。実験において、異なる濃度(c、c、c、c、c)を有する溶液の流動時間が得られた。流動時間の平均値及び誤差を計算した。2450DaのPPFの代表的データを、表16に示す。
(00148) 実験から得られたデータに基づき、以下の式を用いて一連の量を計算した。
(式1)
(式2)
ηsp=η−1 (2)
(式3)
(式4)
式中、ηは、相対粘度であり、ηspは、比粘度であり、ηinhは、固有粘度であり、ηredは、低減された比粘度であり、ηは、溶液の粘度であり、ηは、溶媒の粘度であり、tは、溶液の流動時間であり、tは、溶媒の流動時間であり、cは、溶液の濃度である。結果を表17に示す。
(00149) 次いで、Hugginsの式及びKraemerの式(式中、[η]は、固有粘度であり、k’、k”は、定数である)により、固有粘度([η])を得ることができる。
Hugginsの式:
(式5)
ηsp/c=[η]+k’[η]c (5)
Kraemerの式:
(式6)
ln(η)/c=[η]+k”[η]c (6)
ηsp/c及びln(η)/cは共に、図13に示されるように、origin 8.0によりcに対してプロットされた(以下の表18も参照されたい)。図13のηsp/c対cのフィッティングされた線に関して、origin 8.0により直線フィッティングが得られた。
(00150) 図13によれば、低減された粘度と濃度との間の関係は、ηsp/c=0.00611+0.0000553cである。式5と比較して、以下を得ることができる。
[η]=0.00611L/g
σ[η]=0.0000282L/g
[η]=(0.00611±0.0000282)L/g
(00151) 同様に、固有粘度と濃度との間の関係は、lnη/c=0.00633+0.0000205cであり、式6と比較すると、以下が得られる。
[η]=(0.00633±0.000072)L/g
(00152) [η]の平均が、最終結果として処理される。
[η]=0.00622±0.00006L/g
PPFポリマー(M=3160Da)の固有粘度
実験
(00153) この実施例において使用された材料及び機器、ならびに調製は、上記実施例4に記載のものと同じであった。
(00154) 測定。まず、毛細管粘度計を純THFで濯ぎ、次いで純THFをフィルタにより適切なレベルまで充填した。恒温浴を、35℃の温度を維持するように加熱した。毛細管粘度計を、恒温浴内で少なくとも15分間保持し、熱平衡を確立した。注射器を使用して、毛細管粘度計の上部ボールの1/3超まで液体を充填し、次いで液体を下方に流動させた。ストップウォッチを使用して、液体が毛細管粘度計の第1の線を超えて流動する時間を記録し、液体が毛細管粘度計の第2の線を通過したら、記録を終了した。この期間の時間を記録した。流動時間は、少なくとも5回測定し、0.2秒以下のΔtを3回得た。次いで、毛細管粘度計内のTHFを注ぎ出した。毛細管粘度計を、PPF及びTHFで調製された5mLの溶液でフィルタにより再充填した。毛細管粘度計を、恒温浴内に戻した。上記手順のように、少なくとも3回流動時間を測定し、記録した。次いで、5mL、3mL及びさらに2mL(結果に依存する)の純THF溶媒を、それぞれフィルタにより毛細管粘度計内に添加し、上記手順のように、対応する流動時間をそれぞれ少なくとも3回測定及び記録した。
結果及び考察
(00155) 流動時間。実験において、異なる濃度(c、c、c、c、c)を有する溶液の流動時間が得られた。流動時間の平均値及び誤差を計算した。3160DaのPPFの代表的データを、表19に示す。
(00156) 実験から得られたデータに基づき、以下の式を用いて一連の量を計算した。
(式1)
(式2)
ηsp=η−1 (2)
(式3)
(式4)
式中、ηは、相対粘度であり、ηspは、比粘度であり、ηinhは、固有粘度であり、ηredは、低減された比粘度であり、ηは、溶液の粘度であり、ηは、溶媒の粘度であり、tは、溶液の流動時間であり、tは、溶媒の流動時間であり、cは、溶液の濃度である。結果を表20に示す。
(00157) 次いで、Hugginsの式及びKraemerの式(式中、[η]は、固有粘度であり、k’、k”は、定数である)により、固有粘度([η])を得ることができる。
Hugginsの式:
(式5)
ηsp/c=[η]+k’[η]c (5)
Kraemerの式:
(式6)
ln(η)/c=[η]+k”[η]c (6)
ηsp/c及びln(η)/cは共に、図14に示されるように、origin 8.0によりcに対してプロットされた(以下の表21も参照されたい)。図14のηsp/c対cのフィッティングされた線に関して、origin 8.0により直線フィッティングが得られた。
(00158) 図14によれば、低減された粘度と濃度との間の関係は、ηsp/c=0.00722+0.0000728cである。式5と比較して、以下を得ることができる。
[η]=0.00722L/g
σ[η]=0.00041L/g
[η]=(0.00722±0.0004)L/g
(00159) 同様に、固有粘度と濃度との間の関係は、lnη/c=0.00837+0.00000543cであり、式6と比較すると、以下が得られる。
[η]=(0.00837±0.000136)L/g
(00160) [η]の平均が、最終結果として処理される。
[η]=0.00780±0.00022L/g
印刷樹脂配合物
(00161) 1496Daの分子質量(M)を有するポリ(プロピレンフマレート)(PPF)を、印刷試験に使用した。ポリマーの粘度を低減するために、ジエチルフマレート(DEF)(Sigma−Aldrich、St. Louis、MO)を、PPFに1:3の質量比で添加した。熱と共に、DEFを溶媒として使用して、光開始剤及びオキシベンゾンを溶解してから、3:1のPPF対DEFの質量比の樹脂に添加した。ドラフト内でこの混合物を撹拌し、200°Fで加熱した。次いで、光開始剤Irgacure 819及びIrgacure 784(BASF、Ludwigshafen、Germany)、ならびにオキシベンゾン(Sigma−Aldrich)を添加することにより、3:1のPPF:DEF混合物から光架橋に好適な樹脂を形成し、追加のDEFを添加して、1:1のPPF:DEFの質量比を達成した。最終樹脂配合物は、1:1のPPF対DEFの質量比を有し、PPF及びDEFの重量当たり、3%のIrgacure 819、0.4%のIrgacure 784、及び0.7%のオキシベンゾンを含有していた。
ポリ(プロピレンフマレート)硬化試験
(00162) EnvisionTEC Perfactory(商標)3 Mini Multi Lens(Dearborn、MI)を使用して、PPF樹脂に対する硬化試験を行った。硬化試験は、3Dスキャフォールドを成功裏に印刷するPPFの可能性を測定するために行った。30秒、60秒、及び90秒の露光時間で重複試験(n=4)を行った。露光時間は、3Dスキャフォールドの1層を印刷するのに要する時間に関連する。硬化試験を開始する前に、材料厚ゲージ(MTG)(Checkline Electromatic、Cedarhurst、NY)を使用して、2つの顕微鏡スライドの厚さを測定した。350mW dm−2の標的放射照度の正方形のUVマスクを生成するように、Perfactory(商標)3を較正した。較正中、1つのガラススライドの厚さを考慮した。均質性を確保するために、以前に言及した樹脂をドラフト内で200°F近くまで加熱及び撹拌した。硬化試験を開始するために、ピペットを使用して、較正に使用された顕微鏡スライドの中心に5〜7滴の樹脂を滴下した。適切な試験時間を反映させるために、Perfactory(商標)3上で露光時間を調節した。UV光の正方形マスクの上のPerfactory(商標)3の較正プレート上にスライドを設置し、硬化試験を開始した。硬化試験の完了後、スライドをプリンタから外した。樹脂を含有するスライドの上部を拭くことができるように、スライドを裏返した。これは、スライドからいかなる過剰の液体樹脂も除去されること、また硬化した正方形の樹脂のみが残留することを確実とするために行った。別のスライド、すなわち試験前に測定されたスライドを、硬化した材料を含有するスライドの上に設置した。MTGを使用して、このスライドのスタックを測定した。間に硬化した材料を有する2つのスライドの厚さを、間に材料を有さずに互いにスタックされた2つのスライドの厚さと比較した。これらの2つの測定値の間の差を取って、硬化した材料の厚さを得た。このプロセスを、各硬化試験に対して繰り返した(n=4)。
3D光化学印刷(350μm細孔サイズ)
(00163) 3Dスキャフォールドの印刷を開始するために、350mW dm−2の公称放射照度のUVマスクを生成するようにEnvisionTEC Perfactory(商標)3 3Dプリンタを較正した。スキャフォールド構成を選択し、SolidWorksソフトウェア(Dassault Systemes SolidWorks Corp.、Waltham、MA)を使用して以前に作成された設計ファイルを得た。選択されたスキャフォールド構成は、350μmの正方形の細孔及び底部に支持部を有する螺旋スリーブ設計であった(図15を参照されたい)。50mLの樹脂を、Perfactory(商標)3 3Dプリンタのベースプレートに注ぎ込んだ。ビルドファイルは、Perfactory(商標)Software Suite 2.6(EnvisionTEC、Dearborn、MI)を使用して、コンピュータからプリンタに送信された。Perfactory(商標)3Dプリンタは、75mm焦点距離レンズを使用して操作した。これにより、XY平面での42μmのネイティブ解像度が可能であった。XY平面における21μmのネイティブ解像度を可能にする解像度強化モジュール(ERM)は、この試験には使用しなかった。印刷ジョブは、4時間11分で完了した。スキャフォールドが終了したら、付随したスキャフォールドを含有するビルドプレートをプリンタから取り外した。スキャフォールドを、まず70%アセトンで洗浄して、スキャフォールドの細孔内からいかなる未硬化樹脂も除去した。次いで、スキャフォールドを70%のEtOHで軽く濯ぎ、続いてdHOで濯いだ。圧縮空気を使用して、スキャフォールドを優しく乾燥させた。次いで、剃刀の刃を使用してスキャフォールドをビルドプレートから取り外した(プラスチックカード又はスクレーパもまた使用され得る)。スキャフォールドを顕微鏡スライド上に立てて設置し、さらに8時間UVチャンバ内に入れて、さらなる架橋を完了させた。
3D光化学印刷
(00164) 開環法により合成された吸収性ポリ(プロピレンフマレート)(PPF)が3Dプリントされ得ることを保証するために、我々は、EnvisionTEC(Dearborn、MI)Perfactory P3光架橋ベースデバイスにおける3D印刷試験に、1496Daの分子質量を有する材料を試験した。ポリマーの粘度を低減するために、ジエチルフマレート(DEF)(Sigma−Aldrich、St. Louis、MO)を、PPFに1:3の質量比で添加した。次いで、ドラフト内でこの混合物を撹拌し、200°Fで加熱した。次いで、光開始剤Irgacure 819及びIrgacure 784(BASF、Ludwigshafen、Germany)、ならびにオキシベンゾン(Sigma−Aldrich)を添加することにより、1:3のDEF:PPF混合物から光架橋に好適な樹脂を形成し、追加のDEFを添加して、最終樹脂組成を1:1のDEF:PPF、3%のIrgacure 819、0.4%のIrgacure 784、及び0.7%のオキシベンゾンとした。熱と共に、DEFを溶媒として使用して、光開始剤及びオキシベンゾンを溶解してから、3:1のPPF:DEFの樹脂に添加した。
(00165) 125μmのストラット厚、600μmの細孔直径、及び93.5%の空隙率を有する、Schoenジャイロイド三次元周期極小曲面細孔構成を使用した、多孔質円筒スキャフォールドCADファイルを、SolidWorks(Dassault Systemes、Waltham、MA)において作成した。EnvisionTEC(Dearborn、MI) Perfactory P3 3Dプリンタ(図16A〜Cを参照されたい)を使用して、前述のPPF含有樹脂を用いてCADファイルを3D印刷した。スキャフォールドの形態計測分析は行わなかった(それらの比較は現在進行中である)が、3D印刷精度は、段階成長法により合成されたPPFを使用したスキャフォールドと同一であることが、カリパスを用いた手早い検査で判明した。
スキャフォールド画像化
(00166) Olympus Stereoscope(Center Valley、PA)を使用して、スキャフォールドを画像化し、スキャフォールドの特徴及び個々に湾曲した層をさらに詳細に描写した(図15を参照されたい)。
PPFの薄いフィルム
(00167) 薄いフィルムを形成するために使用する前に、均質性を確保するために上記実施例3の樹脂を加熱した。薄いフィルムを形成するために、ホールピペットを使用して、スライドガラスの中央に、縦方向に5〜7滴の樹脂を滴下した。第2のスライドガラスをゆっくりと第1のスライドの上に置き、樹脂が2つのスライドの間に均一に広がる間気泡が形成されないことを確実にした。スライドを、UVチャンバ(3D Systems、Rock Hill、SC)内に30分間設置した。この時点の後、スライドを取り外し、剃刀の刃を使用して、部分的に架橋したPPF樹脂の薄いフィルムをスライドから剥がした。フィルムを、各縁に沿って1cmとなるように正方形に切り出した。切り出した正方形を2つのスライドの間に挟んで湾曲を防止し、UVチャンバ内に7.5時間戻して、さらなる架橋を完了させた。
洗浄/滅菌
(00168) 直接接触アッセイを開始する前に、薄いフィルムを洗浄及び滅菌した。洗浄プロトコルは、生成中に導入された表面残屑を除去するための、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水(DPBS)(Life Technologies、Carlsbad、CA)中で15分の洗浄から開始した。これに続いて、70%のアセトン中で30分、20分、及び10分の3回の別個の洗浄を行った。アセトン洗浄の合間に、フィルムをDPBS中に含浸し、フィルムから過剰のアセトンを除去し、完全に乾燥するのを防止した。このプロトコルは、それぞれDPBS中で15分のさらに2回の洗浄を完了することにより終了する。薄いフィルムに洗浄プロトコルが2回行われるように、この全プロセスを繰り返した。洗浄後、37℃、5%COのインキュベータ内で、薄いフィルムをDPBS中に72時間含浸させた。
細胞培養
(00169) マウス線維芽細胞、L929細胞株(Sigma−Aldrich、St. Louis、MO)を、直接接触アッセイの標準を概説したISO標準10993−5に従うin vitro細胞毒性分析に使用した。製造者により概説されるように、10%ウマ血清(Sigma−Aldrich、St. Louis、MO)及び1%ペニシリン−ストレプトマイシン(Life Technologies、Carlsbad、CA)を含有する最小必須培地(MEM)(Sigma−Aldrich、St. Louis、MO)を用いて、L929細胞を培養した。24ウェルポリスチレン細胞培養プレート(Corning Life Sciences、Corning、NY)にウェル当たり75,000細胞で細胞を播種した。直接接触アッセイを開始する前に、細胞をカバースリップ上で約80%の密集度まで成長させた。カバースリップは、染色後に除去し、蛍光顕微鏡下での検査のために顕微鏡スライドに載せることができるように使用した。
細胞毒性アッセイ
(00170) 上記実施例17の細胞培養物を使用して、ISO標準10993−5に従い、直接接触試験を行った。24時間、48時間及び72時間で細胞毒性を評価した。試験を開始するために、細胞を含有するウェルから培地を吸引した。次いで、PPFの薄いフィルムを、各ウェル内の細胞単層の上に置いた。次いで、ウェルを被覆するのに十分であるが、薄いフィルムが細胞単層の上に浮上しないようにしながら、約150μLの培地を再び各ウェルに添加した。次いで、細胞及び薄いフィルムを、37℃及び5% COで、24時間、48時間又は72時間インキュベートした。その後、蛍光顕微鏡法により材料の細胞毒性を評価し、後述のように分析した(実施例19及び20を参照されたい)。蛍光下において死滅細胞が赤色で示され、生存細胞が緑色で示される生存/死滅溶液により、細胞をインキュベートした。画像化を行い、緑色=生存細胞及び赤色=死滅細胞である画像において結果を定性的に評価した。これらの評価から、試験したPPFポリマーが毒性ではないことが決定された。
顕微鏡法。
(00171) Olympus Stereoscope(Center Valley、PA)を使用して、スキャフォールドを画像化し、スキャフォールドの特徴及び個々に硬化した層をさらに詳細に描写した(図15を参照されたい)。上に記載されたように、生存/死滅染色を行って、PPFの細胞毒性を評価した。細胞毒性キット(Life Technologies、Carlsbad、CA)を使用して、2μΜのカルセインAM及び4μΜのエチジウムホモ二量体−1(EthD−1)を含む溶液をDPBS中で調製した。薄いフィルム、及び対照として機能するものを含有するウェルを、150μLの生存/死滅溶液により、室温で30分間、暗所条件下でインキュベートした。前述のように培養され、次いで生存/死滅溶液中でのインキュベーションの前に70%メタノールで30分間インキュベートされた細胞を、陽性細胞毒性対照として使用した。陰性非細胞毒性対照として、生存/死滅染色の前に細胞をポリスチレン培養プレート上で標準条件で培養し、他の処理は行わなかった。生存/死滅溶液によるインキュベーション後、以下の実施例20に記載のように、12.8MPデジタルカメラ(Olympus、Center Valley、PA)を装備したOlympus CKX41蛍光顕微鏡を用いて画像を撮影した。
蛍光画像化
(00172) カバースリップ上で生存/死滅染色を行って、実施例17の細胞培養物に対するPPFの細胞毒性を評価した。細胞毒性キット(Life Technologies、Carlsbad、CA)を使用して、2μΜのカルセインAM及び4μΜのエチジウムホモ二量体−1(EthD−1)を含む溶液をDPBS中で調製した。付着した細胞を有するカバースリップを、生存/死滅溶液により、室温で30分間、暗所条件下でインキュベートした。70%メタノール中で30分間インキュベートされた細胞を、陽性細胞毒性対照として使用した。陰性非細胞毒性対照として、細胞をHDPE培養プレート上で標準条件で培養した。生存/死滅溶液でのインキュベーション後、カバースリップをウェルプレートから取り外し、画像化のために顕微鏡スライド上に載せた。画像は、落射蛍光キット(Nikon、千代田、東京)及び5.0MP CCDデジタルカメラ(Amscope、Irvine、CA)を装備した倒立Diaphot−TMD顕微鏡(Nikon、千代田、東京、東京)で撮影した。生存細胞が緑色の蛍光を発し、死滅細胞が赤色の蛍光を発する画像から、結果を定性的に評価した。これらの評価から、試験したPPFポリマーが毒性ではないことが決定された。
3D印刷された多孔質PPFスキャフォールドの分解
(00173) 本発明の一実施形態によるPPFポリマーを使用して、上記実施例12に記載の手順を用いて多孔質3Dスキャフォールドを印刷した。PPFポリマーは、1260ダルトンの数平均分子量M及び1.5のDを有し、上記実施例1〜3に記載のように合成された。図17A〜Eに示される多孔質3Dスキャフォールドを生成するために使用された樹脂は、PPFポリマー対DEFの1:1の質量比を有する溶液を使用して作製され、光開始剤としての30.0mg/g(DEF+PPF)のIrgacure−819(BAPO)(BASF、Germany)、光開始剤としての4.0mg/g(DEF+PPF)のI−784(BASF、Germany)、及び光吸収色素としての7.0mg/g(DEF+PPF)の2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン(オキシベンゾン又はHMBとしても知られる)(Sigma−Aldrich Co.、St. Louis、MO)を含有していた。3D印刷されたスキャフォールドは、Schoenジャイロイド多孔質構造を有する、略円筒形状であった(図17A〜Dを参照されたい)。それらは、88.2%の空隙率であり、約200μmのストラット直径及び約700μmの細孔直径を有する。図17Eを参照されたい。3D印刷されたスキャフォールドは、約5mmの高さ、及び約10mmの直径を有しており、硬化時の収縮は、X−Y=17.16±0.26%;Z=13.96±0.32%(収縮後の実際のサイズ:h=4.30±0.02;φ=8.28±0.03)であった。5つの3D印刷されたスキャフォールドを秤量し、次いで、0.1MのNaOH(13.0pH)溶液中に、静的条件下、37℃で7日間含浸した(n=5)。第2のセットの5つの3D印刷されたスキャフォールド(K〜O)を秤量し、次いで、0.1MのNaOH(13.0pH)溶液中に、静的条件下、37℃で14日間含浸した。処理された試料(A〜E)及び(K〜O)を秤量し、分解速度を決定し、図18にプロットした。5つの他の非分解試料(C〜C)を、対照として使用した。
動的機械分析
(00174) 試料C〜C(対照:非分解)、A〜E(処理後)、及び(K〜O)(上記実施例21に記載)を乾燥させ、450Nロードセルを装備したBOSE ElectroForce 3230機器を使用して、その動的機械特性(損失弾性率、貯蔵弾性率、TanΔ)を分析した。結果を図19〜22に報告する。
破断までの圧縮
(00175) 次いで、同じBOSE ElectroForce 3230機器及び450Nロードセルを使用して、1.0%/秒の歪み速度で試料C〜C(対照:非分解)及びA〜E(処理後)(上記実施例21に記載)を破断まで圧縮し、その応力及び歪み特性を分析した。平均ヤング率は、26MPaと推定された。対照試料(C〜C)の降伏応力(σ)は、1.27±0.06MPaであった。7日間処理された試料(A〜E)の場合、σは、0.69±0.04Mpaであり、14日間処理された試料(K〜O)の場合、σは、0.51±0.12であった。結果を図23及び24に示す。
(00176) 上記を踏まえて、本発明は、いくつかの様式において構造的及び機能的に改善されたPPFポリマー(及びPPFポリマーを作製する関連した方法)を提供することにより、当技術を大幅に前進させることが理解されるべきである。本明細書において本発明の特定の実施形態が詳細に開示されたが、本発明はこれに限定されないこと、又は、そのために本明細書における本発明の変形例が当業者によって容易に理解されることが理解されるべきである。本発明の範囲は、以下に続く特許請求の範囲から理解されるものとする。

Claims (21)

  1. 3D印刷における使用のためのポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを作製するための方法であって、
    A.不活性雰囲気下で、無水マレイン酸及びプロピレンオキシドを好適な溶媒中に溶解するステップと;
    B.好適な開始剤を、ステップAの溶液に添加するステップと;
    C.ステップBの混合物を、約60℃から約120℃の温度まで、約0.5時間から約100時間の期間加熱して、ポリ(無水マレイン酸−co−プロピレンオキシド)ポリマーを生成するステップと;
    D.ポリ(無水マレイン酸−co−プロピレンオキシド)ポリマーを回収及び精製するステップと;
    E.ポリ(無水マレイン酸−co−プロピレンオキシド)を好適な溶媒中に溶解し、触媒を添加するステップと;
    F.ステップEの混合物を、約5℃から約80℃の温度まで、約5時間から約100時間の期間加熱して、ポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを生成するステップと
    を含む方法。
  2. ステップAの溶媒が、トルエン、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  3. ステップAの溶媒が、トルエンである、請求項1に記載の方法。
  4. ステップBの開始剤が、マグネシウムエトキシド(Mg(OEt)2)である、請求項1に記載の方法。
  5. ステップAの無水マレイン酸対ステップBの開始剤又はステップAのプロピレンオキシド対ステップBの開始剤のいずれかのモル比が、約3:1から約400:1である、請求項1に記載の方法。
  6. ステップDが、
    G.不活性雰囲気下でステップCの混合物を冷却するステップと;
    H.ステップGの混合物から揮発性化合物を蒸発させるステップと;
    I.クロロホルム又はジクロロメタンを、ステップHの混合物に添加するステップと;
    J.ステップIの溶液を水溶液で洗浄し、それにより有機層及び水層を形成するステップと;
    K.ステップJの有機層を回収し、それを非極性有機溶媒に添加して、ポリ(無水マレイン酸−co−プロピレンオキシド)ポリマーを沈殿させるステップと;
    L.ポリ(無水マレイン酸−co−プロピレンオキシド)ポリマーを回収するステップと;
    M.ポリ(無水マレイン酸−co−プロピレンオキシド)ポリマーを少量の好適な溶媒中に溶解し、蒸発により溶液を濃縮するステップと;
    N.ステップMの濃縮された溶液を真空下で乾燥させて、精製されたポリ(無水マレイン酸−co−プロピレンオキシド)ポリマーを生成するステップと
    をさらに含む、請求項1に記載の方法。
  7. 不活性雰囲気が、窒素を含む、請求項6に記載の方法。
  8. 揮発性化合物が、蒸留又は減圧によりステップGの混合物から蒸発される、請求項6に記載の方法。
  9. ステップLのポリ(無水マレイン酸−co−プロピレンオキシド)ポリマーが、分液漏斗により回収される、請求項6に記載の方法。
  10. ステップMの好適な溶媒が、クロロホルム又はジクロロメタンを含む、請求項6に記載の方法。
  11. ステップEの溶媒が、クロロホルム、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、及びそれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
  12. ステップEの溶媒が、クロロホルムである、請求項1に記載の方法。
  13. ステップEの触媒が、ジエチルアミンである、請求項1に記載の方法。
  14. ポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを回収及び精製するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
  15. O.ステップFの混合物を蒸発により濃縮するステップと;
    P.ステップOの混合物を緩衝水溶液で洗浄して触媒を除去し、それにより有機層及び水層を形成するステップと;
    Q.有機層を回収するステップと;
    R.有機層を蒸発により濃縮するステップと;
    S.無機乾燥剤、酸性プロトン又は分子篩を添加して、残留水を除去するステップと;
    T.ステップSの混合物を濾過して、無機乾燥剤、酸性プロトン又は分子篩を除去するステップと;
    U.ステップTの混合物を非極性有機溶媒中に添加して、ポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを沈殿させるステップと;
    V.ステップUのポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを回収するステップと;
    W.ステップVのポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを真空下で乾燥させて、精製されたポリ(プロピレンフマレート)ポリマーを生成するステップと
    を含む、請求項14に記載の方法。
  16. ステップOの混合物が、回転蒸発又は減圧により濃縮される、請求項15に記載の方法。
  17. ステップPの緩衝水溶液が、リン酸緩衝生理食塩水を含む、請求項15に記載の方法。
  18. ステップQの有機層が、分液漏斗により回収される、請求項15に記載の方法。
  19. ステップRの有機層が、蒸留、回転蒸発又は減圧により濃縮される、請求項15に記載の方法。
  20. ステップRの混合物に硫酸ナトリウムが添加されて、残留水が除去される、請求項15に記載の方法。
  21. ステップUの非極性有機溶媒が、ヘキサンを含む、請求項15に記載の方法。
JP2017545531A 2014-11-18 2015-11-18 明確に定義された分解性ポリ(プロピレンフマレート)ポリマー及びその合成のための拡張可能な方法 Active JP6826990B2 (ja)

Applications Claiming Priority (5)

Application Number Priority Date Filing Date Title
US201462081219P 2014-11-18 2014-11-18
US62/081,219 2014-11-18
US201562139196P 2015-03-27 2015-03-27
US62/139,196 2015-03-27
PCT/US2015/061314 WO2016081587A1 (en) 2014-11-18 2015-11-18 Well-defined degradable poly(propylene fumarate) polymers and scalable methods for the synthesis thereof

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2018500450A JP2018500450A (ja) 2018-01-11
JP6826990B2 true JP6826990B2 (ja) 2021-02-10

Family

ID=55229787

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017545531A Active JP6826990B2 (ja) 2014-11-18 2015-11-18 明確に定義された分解性ポリ(プロピレンフマレート)ポリマー及びその合成のための拡張可能な方法

Country Status (10)

Country Link
US (1) US10465044B2 (ja)
EP (1) EP3221379A1 (ja)
JP (1) JP6826990B2 (ja)
KR (1) KR102527453B1 (ja)
CN (1) CN107207714B (ja)
AU (1) AU2015349988B2 (ja)
BR (1) BR112017010057B1 (ja)
CA (1) CA2967949C (ja)
IL (1) IL252288A0 (ja)
WO (1) WO2016081587A1 (ja)

Families Citing this family (40)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106674503B (zh) * 2016-12-12 2018-07-13 暨南大学 一种聚富马酸频哪醇酯材料及制备方法与应用
EP3576801A4 (en) * 2017-02-02 2020-12-16 The University of Akron FUNCTIONALIZED POLY (PROPYLENE FUMARATE) POLYMERS MANUFACTURED BY CYCLE OPENING POLYMERIZATION USING MAGNESIUM CATALYSTS
US11931478B2 (en) 2017-05-03 2024-03-19 The University Of Akron Post-3D printing functionalization of polymer scaffolds for enhanced bioactivity
KR20200035195A (ko) * 2017-05-03 2020-04-02 더 유니버시티 오브 아크론 락톤 및 폴리(프로필렌 푸마레이트)의 블록 공중합체
IT201700050248A1 (it) * 2017-05-09 2018-11-09 Graf Synergy Srl Procedimento per la stampa tridimensionale, particolarmente per la realizzazione di finestre, elementi lastriformi per pavimenti o simili
AU2018313090A1 (en) * 2017-08-07 2020-02-27 The University Of Akron Synthesis and characterization of well defined poly(propylene fumarate) and poly(ethylene glycol) block copolymers
CN108309517B (zh) * 2018-01-25 2019-08-30 中国人民解放军新疆军区总医院 一种可吸收颈椎椎间融合器及其制备方法
US10959721B2 (en) 2018-02-21 2021-03-30 Ethicon Llc Three dimensional adjuncts
USD882782S1 (en) 2018-02-21 2020-04-28 Ethicon Llc Three dimensional adjunct
US10813637B2 (en) 2018-02-21 2020-10-27 Ethicon Llc Three dimensional adjuncts
USD870888S1 (en) 2018-03-02 2019-12-24 Restor3D, Inc. Accordion airway stent
USD870890S1 (en) 2018-03-02 2019-12-24 Restor3D, Inc. Spiral airway stent
USD870889S1 (en) 2018-03-02 2019-12-24 Restor3D, Inc. Cutout airway stent
USD871577S1 (en) 2018-03-02 2019-12-31 Restor3D, Inc. Studded airway stent
US10183442B1 (en) 2018-03-02 2019-01-22 Additive Device, Inc. Medical devices and methods for producing the same
US10577458B2 (en) * 2018-03-07 2020-03-03 Xerox Corporation Powders for laser sintering
US20210284791A1 (en) * 2018-07-13 2021-09-16 The University Of Akron Poly(propylene fumarate)-based copolymers for 3d printing applications
EP3849624A4 (en) * 2018-09-10 2022-06-22 The University of Akron POLY(PROPYLENE FUMARATE) STAR COPOLYMERS FOR 3D PRINTING APPLICATIONS
US10889053B1 (en) 2019-03-25 2021-01-12 Restor3D, Inc. Custom surgical devices and method for manufacturing the same
EP3791806A1 (en) 2019-09-16 2021-03-17 Ethicon LLC Compressible non-fibrous adjuncts
US11490890B2 (en) 2019-09-16 2022-11-08 Cilag Gmbh International Compressible non-fibrous adjuncts
US11672537B2 (en) 2019-09-16 2023-06-13 Cilag Gmbh International Compressible non-fibrous adjuncts
EP4031020A1 (en) 2019-09-16 2022-07-27 Carbon, Inc. Bio absorbable resin for additive manufacturing
EP3791800A1 (en) 2019-09-16 2021-03-17 Ethicon LLC Compressible non-fibrous adjuncts
EP3791807B1 (en) 2019-09-16 2023-10-04 Ethicon LLC Compressible non-fibrous adjuncts
EP3791804B1 (en) 2019-09-16 2023-11-29 Ethicon LLC Compressible non-fibrous adjuncts
EP3791799A1 (en) 2019-09-16 2021-03-17 Ethicon LLC Compressible non-fibrous adjuncts
EP3791809A1 (en) 2019-09-16 2021-03-17 Ethicon LLC Compressible non-fibrous adjuncts
EP4052656A1 (en) 2019-09-16 2022-09-07 Ethicon LLC Compressible non-fibrous adjuncts
EP3791808A1 (en) 2019-09-16 2021-03-17 Ethicon LLC Compressible non-fibrous adjuncts
EP3791810B1 (en) 2019-09-16 2023-12-20 Ethicon LLC Compressible non-fibrous adjuncts
US20210094226A1 (en) * 2019-09-26 2021-04-01 The Curators Of The University Of Missouri Oxidation polymerization additive manufacturing
USD920515S1 (en) 2020-01-08 2021-05-25 Restor3D, Inc. Spinal implant
USD920516S1 (en) 2020-01-08 2021-05-25 Restor3D, Inc. Osteotomy wedge
US10772732B1 (en) 2020-01-08 2020-09-15 Restor3D, Inc. Sheet based triply periodic minimal surface implants for promoting osseointegration and methods for producing same
USD920517S1 (en) 2020-01-08 2021-05-25 Restor3D, Inc. Osteotomy wedge
US11952457B2 (en) 2021-06-30 2024-04-09 Carbon, Inc. Bioabsorbable resin for additive manufacturing with non-cytotoxic photoinitiator
US11850144B1 (en) 2022-09-28 2023-12-26 Restor3D, Inc. Ligament docking implants and processes for making and using same
US11806028B1 (en) 2022-10-04 2023-11-07 Restor3D, Inc. Surgical guides and processes for producing and using the same
US11960266B1 (en) 2023-08-23 2024-04-16 Restor3D, Inc. Patient-specific medical devices and additive manufacturing processes for producing the same

Family Cites Families (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
DE1770548A1 (de) 1967-06-02 1972-02-10 Gen Tire & Rubber Co Polyester und ihre Herstellung
US4888413A (en) * 1988-01-11 1989-12-19 Domb Abraham J Poly(propylene glycol fumarate) compositions for biomedical applications
US5733951A (en) * 1994-04-28 1998-03-31 Yaszemski; Michael J. Poly(propylene fumarate)
WO1999052469A1 (en) 1998-04-10 1999-10-21 Wm. Marsh Rice University Synthesis of poly(propylene fumarate) by acylation of propylene glycol in the presence of a proton scavenger
JP2002256065A (ja) * 2000-07-19 2002-09-11 Showa Denko Kk 新規なフマル酸エステルおよびその製造方法
WO2002085246A2 (en) * 2001-04-19 2002-10-31 Case Western Reserve University Fabrication of a polymeric prosthetic implant
JP4897699B2 (ja) * 2004-11-18 2012-03-14 メイヨ フオンデーシヨン フオー メデイカル エジユケーシヨン アンド リサーチ ポリカプロラクトンとポリ(プロピレンフマレート)とのブロックコポリマー
WO2007035938A2 (en) 2005-09-22 2007-03-29 Medivas, Llc BIS-(α-AMINO)-DIOL-DIESTER-CONTAINING POLY(ESTER AMIDE) AND POLY(ESTER URETHANE) COMPOSITIONS AND METHODS OF USE
WO2007038246A2 (en) 2005-09-22 2007-04-05 Medivas, Llc Solid polymer delivery compositions and methods for use thereof
EP1945682A2 (en) 2005-10-21 2008-07-23 Medivas, LLC Poly(ester urea) polymers and methods of use
US8974815B2 (en) 2005-12-16 2015-03-10 Cornell University Fibrous membrane for biomedical application based on poly(ester-amide)s
CA2685965A1 (en) 2007-03-30 2008-10-09 Medivas, Llc Bioabsorbable elastomeric polymer networks, cross-linkers and methods of use
US8809212B1 (en) 2009-11-10 2014-08-19 Stc.Unm Electrospun fiber mats from polymers having a low Tm, Tg, or molecular weight

Also Published As

Publication number Publication date
KR102527453B1 (ko) 2023-04-28
CA2967949A1 (en) 2016-05-26
BR112017010057A2 (pt) 2019-11-05
US20170355815A1 (en) 2017-12-14
AU2015349988B2 (en) 2019-08-01
AU2015349988A1 (en) 2017-05-25
CN107207714A (zh) 2017-09-26
IL252288A0 (en) 2017-07-31
CN107207714B (zh) 2021-02-05
BR112017010057B1 (pt) 2022-11-29
CA2967949C (en) 2023-04-04
US10465044B2 (en) 2019-11-05
WO2016081587A1 (en) 2016-05-26
JP2018500450A (ja) 2018-01-11
EP3221379A1 (en) 2017-09-27
KR20170107430A (ko) 2017-09-25
WO2016081587A9 (en) 2017-07-27

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6826990B2 (ja) 明確に定義された分解性ポリ(プロピレンフマレート)ポリマー及びその合成のための拡張可能な方法
Gonçalves et al. The potential of unsaturated polyesters in biomedicine and tissue engineering: Synthesis, structure-properties relationships and additive manufacturing
Elomaa et al. Preparation of poly (ε-caprolactone)-based tissue engineering scaffolds by stereolithography
Le Fer et al. Poly (propylene fumarate) stars, using architecture to reduce the viscosity of 3D printable resins
US11661477B2 (en) Star-shaped poly(propylene fumarate) copolymers for 3D printing applications
Thijssen et al. From chain growth to step growth polymerization of photoreactive poly‐ε‐caprolactone: the network topology of bioresorbable networks as tool in tissue engineering
Dhand et al. Simultaneous one‐pot interpenetrating network formation to expand 3d processing capabilities
Jain et al. Role of pendant side-chain length in determining polymer 3D printability
Herwig et al. Customized Fading Scaffolds: Strong Polyorthoester Networks via Thiol–Ene Cross-linking for Cytocompatible Surface-Eroding Materials in 3D Printing
US20210069986A1 (en) Location-Based Mode(s) For Biasing Provisioning Of Content When An Automated Assistant Is Responding To Condensed Natural Language Inputs
CN111587128B (zh) 定义明确的聚富马酸丙二醇酯和聚乙二醇嵌段共聚物的合成与表征
Melchels Preparation of advanced porous structures by stereolithography for application in tissue engineering
Karamzadeh et al. High‐Resolution Additive Manufacturing of a Biodegradable Elastomer with A Low‐Cost LCD 3D Printer
US20230347014A1 (en) Resorbable complex shape memory poly(propylene fumarate) star scaffolds for 4d printing applications
EP4301723A1 (en) Synthesis and 3d printing of triblock copolymer
Ramos-Díez et al. Low molecular weight poly ((d, l)-lactide-co-caprolactone) liquid inks for diluent-free DLP printing of cell culture platforms
Dinis Development of biocompatible polyesters based formulations for microstereo-thermal-lithography

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181102

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191011

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20191120

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20191203

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20200214

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20200612

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201009

C60 Trial request (containing other claim documents, opposition documents)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C60

Effective date: 20201009

C11 Written invitation by the commissioner to file amendments

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C11

Effective date: 20201020

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20201109

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20201109

A911 Transfer to examiner for re-examination before appeal (zenchi)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A911

Effective date: 20201127

C21 Notice of transfer of a case for reconsideration by examiners before appeal proceedings

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: C21

Effective date: 20201201

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20210105

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20210118

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6826990

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250