JP6825846B2 - 保全支援装置、保全支援用プログラム、及び保全支援方法 - Google Patents
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Description
本発明は、上記のような点に着目し、プラントの構造物が使用不能状態となる確率を精度よく算出可能な保全支援装置、保全支援用プログラム及び保全支援方法を提供することを目的とする。
本実施形態は、本発明を、プラントの構造物の保全方式や検査仕様等の決定を支援する保全支援装置に適用したものである。この保全支援装置は、構造物が寿命に到達する確率、つまり、構造物の損傷によって構造物が使用不能状態となる確率(以下、「寿命到達確率」とも呼ぶ)Pを演算するものである。構造物としては、例えば、配管、熱交換器、塔がある。本実施形態では、構造物として、保温材で被覆された配管等を対象としている。また、損傷としては、構造物(配管等)の外面に生じる保温材下腐食を対象としている。
なお、以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の形状、構造、配置等を下記のものに特定するものでない。本発明の技術的思想は、請求の範囲に記載された請求項が規定する技術的範囲内において、種々の変更を加えることができる。
図1に示すように、本実施形態の保全支援装置1は、キーボードやマウス等の入力装置2と、構造物の状態を検出する検出部5と、画像データを表示する表示装置3と、各種演算処理を行う装置本体(以下、「コンピュータ」とも呼ぶ)4とを備えている。
検出部5は、保全対象となる構造物(配管等)の環境状態及び腐食状態の少なくとも一方を検出する。環境状態としては、例えば、保全対象となる構造物(配管等)を被覆している保温材の環境状態を採用できる。具体的には、保温部材内の温湿度(温度、湿度)、保温材に浸透している水分率、保温材の濡れ状態等が挙げられる。また、腐食状態としては、例えば、保全対象となる構造物(配管等)の腐食状態を採用できる。そのため、検出部5としては、例えば、温湿度計、中性子水分計、サーモカメラ、ACMセンサ、アコースティック・エミッション計測器、超音波計、X線撮影装置、インテリジェントピグを採用できる。本実施形態では、検出部5として、保温部材内の温湿度を検出する温湿度計を採用している。そして、検出部5は、検出結果(温湿度)をコンピュータ4に出力する。
なお、寿命到達確率演算処理の開始後に、測定値xを多数取得するために種々のプラントで検査を行うというのは現実的ではなく、実際には、種々のプラントにおける過去の検査の際に取得した測定値xを方々に依頼して、予め収集(取得)しておくことになる。
続いて、算出部420は、オペレータが入力装置2を操作してグループ分けの間隔を入力すると、入力された間隔をもとに、コンピュータ4のHDDが記憶している複数の測定値x、つまり、取得部410で取得した複数の測定値xを属性(使用期間)でグループ分けする。本実施形態では、10〜15年、16〜20年、21〜25年、26〜30年、31〜35年、36〜40年の6グループに分けている。続いて、それらのグループ毎に、グループに属する測定値xそれぞれに対し、測定値x(確率変数)が予め定めた確率分布に従うものとして、確率分布の累積確率Fに対応する基準化変数yを算出する。
平均ランク法では、まず、図4に示すように、グループ毎に、測定値xを昇順に並べ、並べた測定値xそれぞれに順位を表す番号(以下、「データ番号」とも呼ぶ)を対応付ける。続いて、測定値xそれぞれに対し、対応付けたデータ番号とグループのデータ総数(データ番号の最大値)とに基づき、下記(1)式に従うことで累積確率Fを算出する。
F=(データ番号)/(データ総数+1) ………(1)
続いて、算出部420は、算出した累積確率Fを、下記(2)に従ってグンベル分布の基準化変数yに変換する。図4の例では、基準化変数yは−1〜+6程度となっている。
y=−ln(−ln(F)) ………(2)
第1の回帰式算出部431は、図5に示すように、算出部420で設定したグループ毎に、コンピュータ4のHDDが記憶している測定値x、つまり、取得部410で取得した測定値xと、その測定値xに対応する基準化変数yとの関係を表す回帰式(以下、「第1の回帰式」とも呼ぶ)を算出する。本実施形態では、第1の回帰式として、直線近似式を採用している。また、第1の回帰式の算出方法としては、最小二乗法を採用している。続いて、第1の回帰式算出部431は、第1の回帰式に対し、決定係数R2を算出する。
続いて、図5に示すように、横軸が測定値xに対応し縦軸が基準化変数yに対応する二次元座標系に、測定値xと基準化変数yとの組からなる座標をプロットし、第1の回帰式の近似直線、決定係数R2を描画した散布図の画像データを作成する。そして、作成した画像データを表示装置3に表示させる。これにより、表示した画像データ(決定係数R2等)をもとに、オペレータに、算出された第1の回帰式が適切であるかを判断させる。例えば、決定係数R2が0.5以上、好ましくは0.7以上である場合に第1の回帰式が適切であると判断する。なお、このような判断は、演算部430が行うようにしてもよい。
y=−ln(−lnF)) ………(3)
一方、第1の損傷度合算出部432は、オペレータが入力装置2を操作して第1の回帰式が適切でないとの判断を入力すると、上記手順を、図2の散布図におけるグループ分けから再度行う。
一方、第2の損傷度合算出部434は、オペレータが入力装置2を操作して第2の回帰式が適切でないとの判断を入力すると、上記手順を、図2の散布図におけるグループ分けから再度行う。
続いて、図11に示すように、横軸が第2の減肉深さx2に対応し縦軸が基準化変数yに対応する二次元座標系に、第2の減肉深さxと所定の基準化変数yoとの組からなる座標をプロットし、第3の回帰式の近似直線を描画した散布図の画像データを作成する。そして、作成した画像データを表示装置3に表示させる。これにより、表示した画像データをもとに、オペレータに、算出された第3の回帰式が適切であるかを判断させる。ここで、図11は、図5の散布図を標準化(回帰等を用いて整理)した散布図といえる。
一方、第2の変数算出部436は、オペレータが入力装置2を操作して第3の回帰式が適切でないとの判断を入力すると、上記手順を、図2の散布図におけるグループ分けから再度行う。
Fs=exp(−exp(−y2)) ………(4)
続いて、寿命到達確率演算部437は、図14に示すように、変換した標準化後累積確率Fs(第2のテーブルの標準化後累積確率Fs)を、下記(5)式に従って寿命到達確率Pに変換する。続いて、所定の使用期間uoを、対象とする構造物の使用期間u1とする。続いて、減肉深さが板厚と等しくなって貫通孔が形成され使用不能状態になる状況を想定し、第2のテーブルの所定の減肉深さxoを、対象とする構造物の板厚x3とする。これにより、予め定めた構造物の属性(構造物の使用期間)及び板厚x3の組み合わせそれぞれに対し、寿命到達確率Pを表すテーブル(以下、「第3のテーブル」を形成する。
なお、本実施形態では、第3のテーブル(図14)では、第2のテーブル(図13)の所定の減肉深さxoを、板厚x3としてそのまま用いる例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、構造物内の液体等の圧力によって構造物の外面に貫通孔を生じることがない肉厚の下限値(以下、「必要肉厚」とも呼ぶ)を考慮して、第2のテーブル(図13)の所定の減肉深さxoから必要肉厚を減算して算出される余裕肉厚を、図15に示すように、第3のテーブル(図14)の板厚x3に代えて用いるようにしてもよい。
ここで、実際のプラントにおける検査を計画する際には、まずは検査に費やせる予算があり、その予算内でどの構造物に対して検査を行うべきかの意思決定が重要である。これは、化学プラント等で検査を行う場合、検査のためには大掛かりな足場を設置する必要があるため、どうしても検査費用が高額になりやすく、毎年、プラントの全ての構造物に対して検査を行うことは現実的ではないからである。そこで、本実施形態によって得られた図17に示すようなテーブルを用いれば、寿命到達確率Pを判断指標としてどの構造物から優先的に検査をおこなうかという意思決定を行うことができる。すなわち、保全方式や検査仕様等の決定を支援することができる。これは、熟練作業者の勘に頼るような手法に比べ、意思決定者が合理的な判断を行うことに大きく貢献することができる。
(1)このように、本実施形態では、取得した構造物(配管等)の減肉深さの測定値xを使用期間でグループ分けし、そのグループ毎に、測定値xそれぞれに対し、測定値xがグンベル分布に従うものとして、グンベル分布の累積確率Fに対応する基準化変数yを算出する。続いて、所定の使用期間uo及び板厚x3の組み合わせそれぞれに対し、構造物(配管等)が使用不能状態となる確率(寿命到達確率P)を算出した。これにより、構造物の損傷によってその構造物(配管等)が使用不能状態となる確率(寿命到達確率P)を提示することができる。また、検査者の勘や経験等によらず、構造物(配管等)の保全方式や検査仕様等を統計的手法によって決定できる。それゆえ、構造物(配管等)の保全方式や検査仕様等をより適切に決定することができる。また、寿命到達確率Pが得られるため、プラントの予算決定権者に検査の必要性が理解され易い。さらに、構造物(配管等)の環境状態及び腐食状態の少なくとも一方に基づき、算出した寿命到達確率Pを補正するようにした。そのため、寿命到達確率Pを、より精度よく算出することができる。
(1)なお、本実施形態では、検出部5として、保温材内の温湿度を検出する温湿度計を備える例を示したが、他の構成を採用することもできる。例えば、図18に示すように、検出部5として、中性子を放出しその中性子が変化した熱中性子を検出することで、保温材に浸透している水分率を検出する中性子水分計510を備える構成としてもよい。この場合、補正部443は、保温材内の水分率に基づき、寿命到達確率演算部437で算出した寿命到達確率Pを補正する。一般に、金属材料は、水分率が高いほど、保温材内の湿度は高くなる。温度で決まる限界湿度以上の場合に、腐食の生ずる可能性が高くなる。そのため、寿命到達確率Pの補正方法としては、例えば、保温材内の水分率が予め定めた所定閾値以上である場合に、寿命到達確率Pを予め定めた所定値(>1)倍する方法を採用できる。これにより、図16に示すように、第3のテーブルを補正する。
さらに、例えば、図23に示すように、検出部5として、保温材で被覆された構造物をX線撮影するデジタルX線撮影装置560と、そのデジタルX線撮影装置560の撮影結果に基づき構造物(配管等)の腐食度合い(例えば撮影範囲内で最大の減肉深さ)を検出する画像処理装置570とを備える構成としてもよい。X線撮影装置560としては、例えば、フィルムに代えて、フラットパネルを用いるフラットパネル放射線検査法、高感度イメージングプレートを用いるFCR(Fuji Computed Radiography)法を採用できる。
また、例えば、属性として、構造物(配管等)の質的属性を用いてもよい。この場合、算出部420で、質的属性で測定値xのグループ分けを行う。また、演算部430で、構造物(配管等)の質的属性及び板厚x3の組み合わせそれぞれに対する寿命到達確率Pの演算を行う。これにより、図26に示すように、構造物(配管等)の質的属性及び板厚x3の組み合わせそれぞれに対し、寿命到達確率Pを色彩や図柄で表す画像データを生成できる。図26の例では、質的属性として、種類(配管、熱交換器、塔等)を用いている。
具体的には、本変形例では、図28に示すように、寿命到達確率演算処理のプログラムが、コンピュータ4を、予測費用推定部439、優先順位設定部440、目安算出部441及び期待値提示部442としても機能させるようになっている。
予測費用推定部439は、補正部443で補正した寿命到達確率Pに基づき、損害額の期待値(以下、「予測費用」とも呼ぶ)を推定する。予測費用の算出方法としては、例えば、寿命到達確率Pに、構造物(配管等)で推定される腐食箇所の数(以下、「系当たりのCUI箇所数推定」とも呼ぶ)を乗算し、その乗算結果に構造物(配管等)に貫通孔が形成された場合に被る損害額(以下、「漏れ費用」とも呼ぶ)を乗算する方法を用いている。
目安算出部441は、予測費用推定部439で算出した予測費用を構造物(配管等)の検査にかけられる費用の上限値の目安(以下「検査費目安」とも呼ぶ)として設定する。
期待値提示部442は、図29に示すように、構造物(配管等)それぞれに対し、予測費用推定部439で推定した予測費用、優先順位設定部440で設定した検査優先順位、目安算出部441で設定した検査費目安を表す第4のテーブルの画像データを表示装置3に表示させる。図29の例では、予測費用、検査優先順位及び検査費目安に加え、配管番号、板厚、使用期間、寿命到達確率P、系当たりのCUI箇所数推定、真の貫通確率、及び漏れ費用も提示している。
これにより、表示した画像データをもとに、オペレータは、構造物(配管等)の検査の実施の優先順位、時期、及び予算配布をより容易に決定でき、構造物(配管等)の保全方式や検査仕様等をより適切に決定することができる。また、予測費用、検査優先順位及び検査費目安が得られるため、プラントの予算決定権者に検査の必要性等が理解され易い。
ここで、単位面積当たりまたは単位長さ当たりの損傷度合の推定値(取得部410が取得する測定値)は、例えば、各構造物(配管等)の損傷度合(例えば、CUIによる減肉深さ)の分布をもとに導出する構成としてもよい。各構造物(配管等)の損傷度合の分布としては、例えば、1つの構造(例えば、配管系)に複数(2点以上)の損傷度合(例えば、CUIによる減肉深さの測定値)がある場合には、測定の単位面積または単位長さを仮定して得られる損傷度合いの分布(例えば、グンベル分布)を採用することができる。
Claims (20)
- プラントの構造物の損傷度合の測定値をその属性と関連付けて多数取得する取得部と、
前記取得部で取得した前記測定値を前記属性でグループ分けし、そのグループ毎に、グループに属する前記測定値それぞれに対し、前記測定値が予め定めた確率分布に従うものとして、該確率分布の累積確率に対応する基準化変数を算出する算出部と、
予め定めた構造物の属性及び板厚の組み合わせそれぞれに対し、前記算出部で算出した基準化変数に基づき、構造物の損傷によって該構造物が使用不能状態となる確率である寿命到達確率を演算する演算部と、
保全対象となる構造物の環境状態及び腐食状態の少なくとも一方を検出する検出部と、
前記検出部で検出した検出結果に基づき、前記演算部で演算した寿命到達確率を補正する補正部と、を備え、
前記属性は、構造物の使用期間を含み、
前記演算部は、
前記算出部で設定したグループ毎に、前記測定値と、その測定値に対応する前記基準化変数との関係を表す第1の回帰式を算出すると共に、それら第1の回帰式に対し、該グループを規定する使用期間の代表値を対応付ける第1の回帰式算出部と、
前記第1の回帰式それぞれに対し、該第1の回帰式に従って、複数の所定の累積確率に対応する複数の第1の損傷度合を算出する第1の損傷度合算出部と、
複数の前記所定の累積確率それぞれに対し、該所定の累積確率に対応する複数の前記第1の損傷度合と、それら複数の第1の損傷度合に対応する複数の前記使用期間の代表値との関係を表す第2の回帰式を算出する第2の回帰式算出部と、
前記第2の回帰式それぞれに対し、該第2の回帰式に従って、複数の所定の使用期間に対応する複数の第2の損傷度合を算出すると共に、それら複数の第2の損傷度合に対し、該第2の回帰式に対応する前記所定の累積確率を対応付ける第2の損傷度合算出部と、
複数の前記所定の使用期間それぞれに対し、該所定の使用期間に対応する複数の前記第2の損傷度合と、それら複数の前記第2の損傷度合に対応する複数の前記所定の累積確率との関係を表す第3の回帰式を算出する第3の回帰式算出部と、
前記第3の回帰式それぞれに対し、該第3の回帰式に従って、複数の所定の損傷度合に対応する複数の第2の基準化変数を算出する第2の変数算出部と、
前記所定の使用期間及び前記板厚の組み合わせそれぞれに対し、前記第2の基準化変数に基づいて前記寿命到達確率を演算する寿命到達確率演算部と、を有することを特徴とする保全支援装置。 - 前記環境状態は、保全対象となる構造物を被覆している保温材内の環境状態であり、
前記腐食状態は、保全対象となる構造物の腐食状態であることを特徴とする請求項1に記載の保全支援装置。 - 前記検出部は、保温材内の温湿度を検出する温湿度計であることを特徴とする請求項2に記載の保全支援装置。
- 前記検出部は、保温材に浸透している水分率を検出する中性子水分計であることを特徴とする請求項2または3に記載の保全支援装置。
- 前記検出部は、保温材及び構造物の温度分布を撮影するサーモカメラと、該サーモカメラの撮影結果に基づき保温材の濡れ状態を検出する画像処理装置とを備えることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の保全支援装置。
- 前記検出部は、互いに絶縁された二種類の金属間を流れる腐食電流を検出し、検出した腐食電流に基づき構造物の腐食状態と相対湿度とを評価するACMセンサであることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の保全支援装置。
- 前記検出部は、腐食によって生じた錆の剥離または破壊によって錆層から放出される弾性波を検出して構造物の腐食度合いを検出するアコースティック・エミッション計測器であることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載の保全支援装置。
- 前記検出部は、構造物に超音波を伝播させ、構造物で散乱した超音波のエコーを検出して腐食度合いを検出する超音波計であることを特徴とする請求項2から7のいずれか1項に記載の保全支援装置。
- 前記検出部は、構造物をX線撮影するデジタルX線撮影装置であることを特徴とする請求項2から8のいずれか1項に記載の保全支援装置。
- 前記保全対象となる構造物は、配管であり、
前記検出部は、配管内に配され、超音波及び洩磁束の少なくとも一方によって配管内外面の減肉深さを測定するインテリジェントピグであることを特徴とする請求項2から9のいずれか1項に記載の保全支援装置。 - 前記損傷度合は、保温材下腐食による減肉深さ、架台接触部腐食による減肉深さ、孔食状腐食による局部減肉、応力腐食割れによる割れ深さ、すきま腐食起点応力腐食割れによる割れ深さ、エロージョンによる減肉深さ、及びエロージョン・コロージョンによる減肉深さの少なくともいずれかであることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の保全支援装置。
- 前記属性は、構造物の使用期間と、構造物の温度、種類、環境、塗装有無及び塗装種類、内部溶液の組成、同伴物及び流速、架台との接触の有無、保温材による被覆の有無、並びに保温材の種類の少なくともいずれかと、を含むことを特徴とする請求項1から11のいずれか1項に記載の保全支援装置。
- 前記属性は、構造物の使用期間と構造物の種類との組み合わせからなり、
前記算出部は、使用期間と種類との組み合わせで前記測定値のグループ分けを行い、
前記演算部は、構造物の種類毎に、使用期間及び板厚の組み合わせそれぞれに対する前記寿命到達確率の演算を行うことを特徴とする請求項12に記載の保全支援装置。 - 前記第2の回帰式算出部は、前記第1の損傷度合に前記測定値の数に応じた重み付けをして、前記第2の回帰式の算出を行うことを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の保全支援装置。
- 前記第2の回帰式算出部は、前記第2の回帰式として、べき乗曲線近似式を用いることを特徴とする請求項1から14のいずれか1項に記載の保全支援装置。
- 前記確率分布は、グンベル分布及びワイブル分布の少なくともいずれかであり、
前記累積確率の算出方法としては、平均ランク法、メジアンランク法及びモードランク法の少なくともいずれかを用いていることを特徴とする請求項1から15のいずれか1項に記載の保全支援装置。 - 前記取得部は、単位面積当たりまたは単位長さ当たりの損傷度合の測定値を取得することを特徴とする請求項1から16のいずれか1項に記載の保全支援装置。
- 前記演算部は、一方の軸が属性に対応し他方の軸が板厚に対応する二次元座標系の各座標を、該座標が表す属性と板厚とに対応する前記寿命到達確率を表す色彩および図柄の少なくともいずれかとした画像データを提示する提示部を更に備えることを特徴とする請求項1から17のいずれか1項に記載の保全支援装置。
- コンピュータを、
プラントの構造物の損傷度合いの測定値をその属性と関連付けて多数取得する取得部、
取得した前記測定値を前記属性でグループ分けし、そのグループ毎に、グループに属する前記測定値それぞれに対し、前記測定値が予め定めた確率分布に従うものとして、該確率分布の累積確率に対応する基準化変数を算出する算出部、
及び予め定めた構造物の属性及び板厚の組み合わせそれぞれに対し、前記算出部で算出した基準化変数に基づいて、構造物の損傷によって該構造物が使用不能状態となる確率である寿命到達確率を演算する演算部として機能させると共に、
前記属性は、構造物の使用期間を含み、
前記演算部は、
前記算出部で設定したグループ毎に、前記測定値と、その測定値に対応する前記基準化変数との関係を表す第1の回帰式を算出すると共に、それら第1の回帰式に対し、該グループを規定する使用期間の代表値を対応付け、
前記第1の回帰式それぞれに対し、該第1の回帰式に従って、複数の所定の累積確率に対応する複数の第1の損傷度合を算出し、
複数の前記所定の累積確率それぞれに対し、該所定の累積確率に対応する複数の前記第1の損傷度合と、それら複数の第1の損傷度合に対応する複数の前記使用期間の代表値との関係を表す第2の回帰式を算出し、
前記第2の回帰式それぞれに対し、該第2の回帰式に従って、複数の所定の使用期間に対応する複数の第2の損傷度合を算出すると共に、それら複数の第2の損傷度合に対し、該第2の回帰式に対応する前記所定の累積確率を対応付け、
複数の前記所定の使用期間それぞれに対し、該所定の使用期間に対応する複数の前記第2の損傷度合と、それら複数の前記第2の損傷度合に対応する複数の前記所定の累積確率との関係を表す第3の回帰式を算出し、
前記第3の回帰式それぞれに対し、該第3の回帰式に従って、複数の所定の損傷度合に対応する複数の第2の基準化変数を算出し、
及び前記所定の使用期間及び前記板厚の組み合わせそれぞれに対し、前記第2の基準化変数に基づいて前記寿命到達確率を演算する保全支援用プログラム。 - プラントの構造物の損傷度合の測定値をその使用期間と関連付けて多数取得し、取得した前記測定値を前記使用期間でグループ分けし、そのグループ毎に、グループに属する前記測定値それぞれに対し、前記測定値が予め定めた確率分布に従うものとして、該確率分布の累積確率に対応する基準化変数を算出し、予め定めた構造物の使用期間及び板厚の組み合わせそれぞれに対し、算出した基準化変数に基づき、構造物の損傷によって構造物が使用不能状態となる確率である寿命到達確率を表すテーブルを作成し、
更に、保全対象となる構造物の環境状態及び腐食状態の少なくとも一方を検出し、その検出結果に基づき、前記テーブルの前記寿命到達確率を補正し、補正後の前記テーブルから、前記保全対象となる構造物の使用期間の年数に対応する前記寿命到達確率を読み出すか、若しくは前記保全対象となる構造物の使用期間の年数を補正し、前記テーブルから、補正後の使用期間の年数に対応する前記寿命到達確率を読み出すと共に、
前記テーブルを作成する際に、
前記グループ毎に、前記測定値と、その測定値に対応する前記基準化変数との関係を表す第1の回帰式を算出すると共に、それら第1の回帰式に対し、該グループを規定する使用期間の代表値を対応付け、
前記第1の回帰式それぞれに対し、該第1の回帰式に従って、複数の所定の累積確率に対応する複数の第1の損傷度合を算出し、
複数の前記所定の累積確率それぞれに対し、該所定の累積確率に対応する複数の前記第1の損傷度合と、それら複数の第1の損傷度合に対応する複数の前記使用期間の代表値との関係を表す第2の回帰式を算出し、
前記第2の回帰式それぞれに対し、該第2の回帰式に従って、複数の所定の使用期間に対応する複数の第2の損傷度合を算出すると共に、それら複数の第2の損傷度合に対し、該第2の回帰式に対応する前記所定の累積確率を対応付け、
複数の前記所定の使用期間それぞれに対し、該所定の使用期間に対応する複数の前記第2の損傷度合と、それら複数の前記第2の損傷度合に対応する複数の前記所定の累積確率との関係を表す第3の回帰式を算出し、
前記第3の回帰式それぞれに対し、該第3の回帰式に従って、複数の所定の損傷度合に対応する複数の第2の基準化変数を算出し、
前記所定の使用期間及び前記板厚の組み合わせそれぞれに対し、前記第2の基準化変数に基づいて前記寿命到達確率を演算することを特徴とする保全支援方法。
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