JP6823002B2 - ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルを含む射出成型用組成物及びその製造方法 - Google Patents

ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルを含む射出成型用組成物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルを含む射出成型物及びその製造方法に関する。
射出成型は、医薬用固形製剤、例えば硬カプセルを製造するために用いられる手法の一つである。このような手法では、溶媒の使用を回避することができ、乾燥工程におけるエネルギーの削減が可能となる点でメリットがある。
このような医薬用固形製剤には、一般に医薬的に許容し得る、例えば経口的に摂取し得る高分子材料が用いられる。高分子材料の一例として、セルロース骨格にメチル基(−CH)とヒドロキシプロピル基(−COH)の2つの置換基を導入してエーテル構造とするほか、アセチル基(−COCH)とスクシニル基(−COCCOOH)の2つの置換基を導入してエステル構造として、計4種類の置換基を導入した高分子であるヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル(以下、「HPMCAS」ともいう。)がある。
ここで、第17改正日本薬局方に収載されているHPMCASの各置換基含有量は、以下の通りに規定されている(非特許文献1)。
Figure 0006823002
HPMCASを含む射出成型物としては、例えば、HPMCAS(市販品のAS−LG;ヒドロキシプロポキシ基のモル置換度0.16〜0.35)に可塑剤、潤滑剤及び溶解修飾賦形剤を含有する射出された医薬組成物から製造される投与形態が報告されており、可塑剤を添加することにより、HPMCASの軟化温度を下げる方法が提案されている(特許文献1)。
また、水難溶性薬物のポサコナゾールとHPMCAS(市販品のAS−MF及びAS−MG;ヒドロキシプロポキシ基のモル置換度0.15〜0.34)を加熱溶融押出法により製剤化する方法(特許文献2)や、水難溶性薬物の脂質阻害剤CETP(コレステロールエステル転送タンパク)阻害剤とHPMCASを加熱溶融押出法により製剤化する方法(特許文献3)が提案されている。
更に、水難溶性薬物とヒドロキシプロポキシ基のモル置換度が0.40以上であるHPMCASを用いた固体分散体組成物を加熱熔融押出する方法(特許文献4)も提案されている。
特表2011−503048号公報 特表2011−516612号公報 特表2005−523895号公報 特開2015−127316号公報
第17改正日本薬局方医薬品各条「ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル」
HPMCASを射出成型に使用する場合、現在商業的に入手可能なHPMCASのガラス転移温度(Tg)は約115〜135℃であり、単独で射出成型を行うには高い射出成型温度が必要である。射出成型温度が高いとHPMCASが分解や着色を起こしやすいため、射出可能な温度を低下させるべく可塑剤を加える手法がとられることがある。しかし、可塑剤の添加によって射出成型物の強度が低下する懸念がある。このため、射出成型により適した品種、すなわちより低温でも射出成型可能なHPMCASの品種が望まれていた。
特許文献1に記載の方法では、可塑剤を含むため射出成型物の強度が低下する懸念がある。また、可塑剤として用いられるクエン酸トリエチル(TEC)、トリアセチン、グリセロールは、常温で液状であるため、HPMCASに添加すると団粒が発生し、均一な混合は困難である。更に、TECは酸性であるため貯蔵時にHPMCASのエステル基の安定性を欠如させ、トリアセチンはそのものが貯蔵時に比較的不安定であるという懸念がある。
一方、特許文献2、特許文献3及び特許文献4に記載の加熱熔融押出では、押出物は切断及び粉砕されており、成型物の強度については記載されていない。水難溶性薬物の多くはHPMCASに比べ低分子であるため、水難溶性薬物の添加によって押出性が改善されるが、成型物の強度を著しく低下させる懸念がある。
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、従来よりも低い温度で簡便に射出成型が可能であり、射出成型物の強度を改善した射出成型用組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、HPMCASの4種類の置換基のうち、ヒドロキシプロポキシ基を特定範囲にすることにより、従来よりも低いガラス転移温度(Tg)を有するHPMCASが得られることができることを見出し、本発明を完成させた。
本発明の1つの態様では、ヒドロキシプロポキシ基のモル置換度が0.40以上のHPMCASを少なくとも含む射出成型用組成物が提供される。本発明の別の態様では、この射出成型用組成物を、50〜250℃でモールドに射出する工程を少なくとも含む射出成型物の製造方法が提供される。
本発明によれば、従来よりも低い温度で射出成型が可能となり、熱等によるHPMCASの分解がない方法によって強度が向上した射出成型物が得られる。
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
HPMCASのヒドロキシプロポキシ基のモル置換度は、0.40以上、好ましくは0.40〜1.50、より好ましくは0.40〜1.0、更に好ましくは0.40〜0.90である。ヒドロキシプロポキシ基のモル置換度が0.40未満の場合、射出成型温度が高温となり、HPMCASの熱分解により加水分解が生じて、一部のエステル基がセルロース骨格から遊離する。
ヒドロキシプロポキシ基のモル置換度は、第17改正日本薬局方医薬品各条「ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステル」に記載されている方法により測定した値から換算することができる。
HPMCASのガラス転移温度(Tg)は、好ましくは115℃以下(さらに好ましくは60〜115℃)、より好ましくは110℃以下(さらに好ましくは60〜110℃)、さらにより好ましくは70〜110℃、特に好ましくは70〜100℃である。ガラス転移温度が115℃より高い場合、射出成型温度も高くなり、上述の熱分解が起こる可能性がある。
ガラス転移温度(Tg)は、通常、示差走査熱量分析装置(DSC)により、以下のように測定される。即ち、HPMCAS10mgを窒素雰囲気下、室温(25℃)から10℃/分の昇温度速度で150℃まで上げ、更に10℃/分の降温速度で25℃まで一旦冷却し、再度10℃/分の速度で230℃まで昇温したときに見られた変曲点をガラス転移温度とする。このように絶乾状態でガラス転移温度を測定するのは、試料中の水分がTgの測定値に影響するためである。
HPMCASにおけるヒドロキシプロポキシ基以外の他の置換基であるメトキシ基のモル置換度は特に限定されないが、好ましくは0.70〜2.83、より好ましくは1.00〜2.40、更に好ましくは1.4〜2.0である。
HPMCASにおけるアセチル基のモル置換度も特に限定されないが、好ましくは0.10〜2.30、より好ましくは0.10〜1.00、更に好ましくは0.40〜0.80である。
HPMCASにおけるスクシニル基のモル置換度も特に限定されないが、好ましくは0.10〜1.78、より好ましくは0.10〜1.00、更に好ましくは0.15〜0.50である。
各置換基のモル置換度の測定は、ヒドロキシプロポキシ基のモル置換度の測定方法と同様である。
20℃における、HPMCASを2質量%含む希(0.1mol/L)水酸化ナトリウム水溶液の粘度は、好ましくは1.1〜20mPa・s、より好ましくは1.5〜3.6mPa・sである。粘度が1.1mPa・s未満では、射出成型物は十分な強度が得られない場合がある。一方、粘度が20mPa・sを超えると、射出成型用組成物の粘度が高くなり過ぎ、ピストン又はスクリューにかかるトルクが過大となり、ピストン又はスクリューが回らない又は機械が安全上停止する場合がある。粘度の測定方法は、第17改正日本薬局方のHPMCASの一般試験法に記載の第一法、毛細管粘度計法により測定することができる。
HPMCASは、例えば、特開昭54−61282号公報に記載の方法を用いて製造できる。原料となるヒプロメロース(別名ヒドロキシプロピルメチルセルロース、以下、「HPMC」ともいう。)を氷酢酸に溶解し、エステル化剤として無水酢酸と無水コハク酸、反応触媒として酢酸ナトリウムを添加して加熱反応させる。反応終了後、反応液に多量の水を添加してHPMCASを析出させ、その析出物を水洗後、乾燥する。このとき、ヒドロキシプロポキシ基のモル置換度が0.40以上のHPMCを使用すれば、生成するHPMCASのヒドロキシプロポキシ基のモル置換度も0.40以上となる。
更に、本発明の組成物は、好ましい溶解プロファイル、物理的安定性、化学的安定性、引張強度ならびに製造の容易性及び再現性を有するカプセルを製造するために、添加剤を添加してもよい。添加剤として、潤滑剤及び強化剤等の加工補助剤、溶解修飾剤、賦形剤等が挙げられる。
一般に、射出成型時の粘度を低下させることにより、射出成型を補助することができる可塑剤を使用することができる。HPMCASを可塑化する様々な可塑剤が見出されているものの、一般的に可塑剤の添加は射出成型物を可塑化させるため、強度及び引張特性を低下させることが知られている。特に、プロピレングリコール及びグリセロールに代えてポリエチレングリコールの添加は、ある種のポリマーに対して成型物に比較的劣った強度及び引張特性を付与する可能性があることが特表2011−503048号公報で知られている。加えて、可塑剤として用いられるTEC、トリアセチン等は、酸性の性質を持っており、保存中にエステル基の酸加水分解を補助する可能性が考えられる。HPMCASにおいてエステル基の酸加水分解は溶解するpHの変化、耐酸性の低下等を招く可能性がある。このような観点から、射出成型物中にはなるべく可塑剤を含まないことが好ましい。本発明によれば、射出成型用組成物は、従来よりも低い温度で射出成型が可能となるため、射出温度を低下させる目的で可塑剤を添加する必要がない。また、本発明によれば、射出成型用組成物は、強度が向上した射出成型物を生じるため、射出成型後の成型物の強度を低下させない範囲であれば、射出成型時の粘度を下げる目的で可塑剤を含むことができ、その含有量は、HPMCAS100質量部に対して、好ましくは8質量部以下、より好ましくは5質量部以下である。
可塑剤としては、トリエチルシトレート(TEC)、トリアセチン、トリブチルシトレート、アセチルトリエチルシトレート(ATEC)、アセチルトリブチルシトレート(ATBC)、ジブチルフタレート、ジブチルセバケート(DBS)、ジエチルフタレート、グリセロール、ビニルピロリドングリコールトリアセテート、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート、プロピレングリコール、分画したココナツ油またはヒマシ油、及びこれらの組合せが挙げられる。
潤滑剤は、押出法におけるダイ壁及び射出成型法におけるモールド壁において潤滑を与えることができるものであり、カプセルをモールドから取り外した際のひずみを低減するために用いられる。潤滑剤には、ステアリルアルコール、ステアリン酸、グリセロールモノステアレート(GMS)、タルク、ステアリン酸マグネシウム、二酸化ケイ素、無定形ケイ酸、ヒュームドシリカ、ラウリン酸、レシチン、スクロース脂肪酸エステル、例えば、ステアリン酸、オレイン酸、パルミチン酸又はラウリン酸から誘導される炭素数12〜18の高級脂肪酸エステル及びこれらの組合せが含まれるが、これらに限定はされない。
強化剤は、射出成型物の強度を改善するために用いられる。強化剤には、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム及びこれらの組合せが含まれるが、これらに限定はされない。
溶解修飾剤は、崩壊剤、膨潤性固体、界面活性剤等が挙げられる。射出成型物の溶解性を補助、改善するために用いられる物質であり、添加することにより好ましい溶解プロファイルが得られる。
崩壊剤は、膨潤特性を変え、放出修飾を助ける物質である。射出成型物がカプセルである場合、内包する活性物質を放出するために射出成型物は吸収される消化管内で速やかに溶解することが好ましい。崩壊剤は、速やかな崩壊を補助するため、多くの異なる群の物質を使用することができる。崩壊剤には、例えば、既知のスーパー崩壊剤、代表的にはデンプングリコール酸ナトリウム、カルボキシメチルデンプンナトリウム、カルメロース及びそのナトリウム塩、クロスカルメロースナトリウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン(PVP)、架橋したPVP、PVPの共重合体、及びこれらの組合せが含まれるが、これらに限定はされない。
また、一般には崩壊剤として用いられないが、膨潤性を持つ固体として膨潤性固体を使用することで、放出修飾を助けることができる。膨潤性固体には、例えば、ポリエチレンオキシド、セルロース誘導体(例えば、セルロースアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート(HPMCP)及び他のヒドロキシアルキルセルロース誘導体が含まれるが、これらに限定はされない。)及びこれらの組合せが含まれるが、これらに限定されない。
界面活性剤は、適切に選択したときに、それ自体が吸収増強剤として働くことができる。例えば、ラウリル硫酸ナトリウム等の陰イオン性界面活性剤、ジグリセリド、ポロクサマー、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(ツイン20、60、80)、グリセリン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤、レシチン、タウロコール酸ナトリウム等の天然界面活性剤等が挙げられる。
次に、射出成型物の製造方法について説明する。
まず、ヒドロキシプロポキシ基のモル置換度が0.40以上のHPMCASに、必要に応じてその他の成分を加えて混合して、射出成型用組成物を調製する。調製された射出成型用組成物を射出成型機により、カプセル状、円形及び四角形等の形状の他、柱状やフィルム状の形状等、所望の形状に押出又は射出して、成型体を得ることができる。
射出成型用組成物は、様々な形状で成型することができるが、射出成型は、好ましくはカプセル、より好ましくは硬カプセルを得る射出成型である。カプセル壁の厚みは、カプセルの強度の改善、溶出プロファイルの遅延抑止といった観点から、好ましくは0.1〜1.0mm、より好ましくは0.3〜0.8mmの壁厚みを有する。硬カプセルは、経口投与されるカプセル基材であり、有効成分に賦形剤等の添加剤を加えて混和して均質としたもの、又は適切な方法で粒状もしくは成型物としたものを被包成型することを目的とするものである。
射出成型用組成物から得られたカプセルは、好ましくは腸溶性である。腸溶性であることで、胃酸から薬物を保護し、吸収部位となる小腸での速やかな溶出が可能となる。
射出成型機は、射出成型用組成物を加熱しながら、ピストン又はスクリューで剪断力を加えて溶融して練合後、ダイからモールドへ射出後に冷却する射出成型機であれば特に制限はない。具体的には、サーモフィッシャーサイエンティフィック(ThermofisherScientific)社製のHaake MiniJet Pro(一軸ピストン型射出成型押出装置)やファナック(Fanuc)社製のRoboshot i5A(二軸スクリュー型押出装置)が挙げられる。
射出温度は、特に限定されないが、好ましくは射出用組成物が溶融して射出が無理なくでき、熱によるHPMCAS及びその他の成分の分解をできるだけ避けることができる温度範囲で行うのが好ましい。具体的な射出温度は、好ましくは50〜250℃、より好ましくは60〜200℃、更に好ましくは90〜190℃である。50℃よりも低いと溶融が不完全となり押出又は射出が困難となる場合があり、250℃を超えるとHPMCASが分解する可能性がある。
射出された組成物は冷却されることで固形物となるが、例えば、3Dプリンターにより直接固形物を得たり、モールドと呼ばれる鋳型の中で冷却されることで所望の形状に成型したりすることが可能である。射出された組成物をモールド内で均一に分布させるために、形状によってモールドを適切な温度に設定し、その後に冷却することが好ましい。モールドの温度は、好ましくは0〜250℃、より好ましくは20〜200℃、更に好ましくは40〜190℃である。
以下に、実施例及び比較例を示して本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<HPMCAS−1の合成>
50Lニーダーに氷酢酸12kg秤込み、ヒドロキシプロポキシ基のモル置換度0.84、メトキシ基のモル置換度1.58のヒプロメロース(HPMC)6kgを加えて溶解した。更に、無水酢酸4.1kg及び無水コハク酸1.5kg、酢酸ナトリウム4.8kgを加えて、85℃で5時間反応を行った。これに精製水6.7kgを加えて撹拌した後、この溶液に精製水を添加してHPMCASを粒状に沈殿させ、濾過により粗HPMCASを採取した。この粗HPMCASを精製水にて洗浄し、乾燥後、10メッシュ(目開き:1700μm)の篩にて篩過し、最終水分1.2質量%のHPMCAS−1を得た。
得られたHPMCAS−1の各置換基含有量を第17改正日本薬局方記載の方法により測定したところ、ヒドロキシプロポキシ基21.1質量%(モル置換度:0.84)、メトキシ基16.3質量%(モル置換度:1.58)、アセチル基8.5質量%(モル置換度:0.59)、スクシニル基14.2質量%(モル置換度:0.42)であった。20℃における、HPMCAS−1を2質量%含む希(0.1mol/L)水酸化ナトリウム水溶液の粘度を第17改正日本薬局方記載の第1法、毛細管粘度計法で測定したところ、2.92mPa・sであった。
<HPMCAS−2〜5の合成>
同様な方法で置換基の含有量が異なる原料HPMCを用いて、無水酢酸と無水コハク酸の添加量を適宜変更して、表2に示す各種HPMCAS−2〜5を得た。
Figure 0006823002
<HPMCASのガラス転移温度の測定>
HPMCAS−1〜7のガラス転移温度(Tg)を示差走査熱量分析装置(Bruker社製DSC3200SA)で測定した。即ち、各HPMCAS10mgを窒素雰囲気下、室温から10℃/分の昇温度速度で150℃まで上げ、更に10℃/分の降温速度で25℃まで一旦冷却し、再度10℃/分の速度で230℃まで昇温したときに見られる吸・発熱曲線における変曲点の温度、即ち2度目の昇温時に測定される変曲点の温度をガラス転移温度とした。
Figure 0006823002
実施例1〜4及び比較例1〜4
予め測定試料中の水分を1質量%未満になるように、乾燥したHPMCAS−1〜4を含む射出成型用組成物及びHPMCAS−5と可塑剤であるクエン酸トリエチル(TEC)を混合した射出成型用組成物をサーモフィッシャー製射出成型装置(Haake MiniJet Pro)によって射出成型した。モールドの温度を80℃、シリンダー温度を180℃に設定し成型性を観察した。吐出圧は900バールで1秒間、その後200バールで5秒間の保持とした。モールドの型は長さ6センチメートル、底面の直径が5ミリメートルの円錐状とし、底面が射出側となるように設置した。射出後にモールド内で10分間放置して、冷却した後に成型物を得た。射出成型用組成物の質量分率と射出成型の可否を表4に示す。表4中、射出性の評価基準として、「○」は モールド全体に射出物が充填されている状態であり、「×」はモールド全体に射出物が充填されておらず、モールド先端側に空隙が存在する状態とした。
Figure 0006823002
ヒドロキシプロポキシ基のモル置換度が0.40以上のHPMCASを用いた実施例1〜6は可塑剤を用いることなく射出が可能であり、得られた射出成型物の表面は非常に滑らかであった。それに対して、0.4未満のHPMCASを用いた比較例1では射出できず成型物が得られなかった。これは、ガラス転移温度が高いため射出成型時の粘度が高くモールド内への射出が困難であるためと考えられる。一方、ヒドロキシプロポキシ基のモル置換度が0.4未満のHPMCASを用いて、かつ可塑剤を添加した比較例2〜4では射出成型物が得られたが、可塑剤の添加に伴って欠けが発生することにより表面の平滑性は失われ、粗くなった。これは可塑剤の持つ付着性によりモールドからの剥離が困難となったためと考えられる。特に、TECを全体の20質量部含んだ比較例4は射出可能であったが、モールドから剥がす際に歪み・欠けが発生し、目的の成型物として取り出すことができなかった。
射出成型物の強度を測るために、ORIENTEC社製の引っ張り試験器(TENSILON:RTC−1310A)を用いて測定した。ピンチ間の距離は2cmとなるように予め調整した。円錐の底面が上部になるように設置し、掴み位置は射出成型物の上部から4cmの部分を下のピンチで挟み、その後に上部を挟んだ。引っ張り速度は10mm/minとして引っ張り時の破断荷重と破断伸びを測定し、表5に結果を示した。可塑剤であるTEC及びトリアセチンを含まない実施例1〜6で得られた射出成型物に比べて、TEC又はトリアセチンを含んでいる比較例2及び3で得られた射出成型物は、低い破断荷重、破断伸びを示した。これは可塑剤の添加によって射出成型物の強度が低下したためであると考えられる。
Figure 0006823002

Claims (4)

  1. ヒドロキシプロポキシ基のモル置換度が0.40以上であるヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルを少なくとも含む射出成型用組成物。
  2. 前記ヒプロメロース酢酸エステルコハク酸エステルのガラス転移温度(Tg)が、110℃以下である請求項1に記載の射出成型用組成物。
  3. 前記射出成型が、硬カプセルを得る射出成型である請求項1又は請求項2に記載の射出成型用組成物。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載の射出成型用組成物を、50〜250℃でモールドに射出する工程を少なくとも含む射出成型物の製造方法。
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