JP6821463B2 - 電気化学反応単位および電気化学反応セルスタック - Google Patents

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Description

本明細書によって開示される技術は、電気化学反応単位に関する。
水素と酸素との電気化学反応を利用して発電を行う燃料電池の1つとして、固体酸化物形の燃料電池(以下、「SOFC」という)が知られている。SOFCの構成単位である燃料電池発電単位(以下、「発電単位」という)は、燃料電池単セル(以下、「単セル」という)を備える。単セルは、電解質層と、電解質層を挟んで所定の方向(以下、「第1の方向」という)に互いに対向する空気極および燃料極とを含む。
また、発電単位は、インターコネクタと、セパレータと、フレーム部材とを備える。インターコネクタは、上記第1の方向に略直交する略平板状の部材である。セパレータは、貫通孔が形成された部材であり、該貫通孔を取り囲む部分が単セルの周縁部と接合され、空気極に面する空気室と燃料極に面する燃料室とを区画する。フレーム部材は、セパレータとインターコネクタとの間に配置され、燃料室と空気室との一方を構成する貫通孔が形成されたフレーム状の部材である。
発電単位において、ガスシール性を向上させるため、例えば、インターコネクタの表面からレーザー溶接を行うことにより、インターコネクタとインターコネクタに隣接するフレーム部材との間を接合する溶接部を設けることがある。このような構成では、インターコネクタの表面から溶接部のビードが突出し、インターコネクタと他の部材とを第1の方向に積層する際に溶接部の突出部が他の部材と干渉して両部材の密着性が低下し、ガスシール性が低下するおそれがある。そのため、インターコネクタに凹部を形成し、該凹部の位置に溶接部を形成することにより、インターコネクタの表面からのビードの突出を抑制する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
特開2013−232385号公報
上記従来の構成では、例えばレーザー溶接の際の入射エネルギー量が過度に大きくなることによって、溶接部の不具合(例えば、ハンピング)が発生し、溶接部の信頼性が低下する場合がある。また、上記従来の構成では、例えばレーザー溶接の際に、レーザーヘッドへの戻り光(「バックリフレクション」とも呼ばれる)の量が過度に多くなることによって、装置が損傷したり、装置の継続使用が制限されたりするおそれがある。
なお、このような課題は、インターコネクタの表面からレーザー溶接を行うことによりインターコネクタとフレーム部材とを接合する溶接部を設ける場合に限らず、インターコネクタとフレーム部材とセパレータとの内の互いに隣接するいずれか2つの部材を接合する溶接部を設ける場合に共通の課題である。また、このような課題は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形の電解セル(以下、「SOEC」という)の構成単位である電解セル単位にも共通の問題である。なお、本明細書では、燃料電池発電単位と電解セル単位とをまとめて、電気化学反応単位と呼ぶ。また、このような課題は、SOFCやSOECに限らず、他のタイプの電気化学反応単位にも共通の課題である。
本明細書では、上述した課題を解決することが可能な技術を開示する。
本明細書に開示される技術は、例えば、以下の形態として実現することが可能である。
(1)本明細書に開示される電気化学反応単位は、電解質層と前記電解質層を挟んで第1の方向に互いに対向する空気極および燃料極とを含む単セルと、前記第1の方向に略直交する略平板状のインターコネクタと、貫通孔が形成され、前記貫通孔を取り囲む部分が前記単セルの周縁部と接合され、前記空気極に面する空気室と前記燃料極に面する燃料室とを区画するセパレータと、前記セパレータと前記インターコネクタとの間に配置され、前記燃料室と前記空気室との一方を構成する貫通孔が形成されたフレーム部材と、を備える電気化学反応単位において、前記インターコネクタと前記セパレータと前記フレーム部材との内、前記第1の方向に互いに隣接するいずれか2つの部材の組合せについて、前記2つの部材は、共に金属製であり、前記2つの部材の組合せの一方である特定部材は、前記第1の方向に略直交する基準表面を有する基準部分と、板厚が前記基準部分の板厚以下であり、かつ、前記第1の方向に直交する第2の方向において前記基準部分から離れるほど板厚が薄くなるような傾斜表面を有する傾斜部分と、を含み、前記特定部材と、前記2つの部材の組合せの他方である隣接部材と、の間を接合し、かつ、一部が前記傾斜表面から突出している溶接部が形成されている。本電気化学反応単位によれば、特定部材と隣接部材との間を接合する溶接部の一部(ビード)が傾斜表面から突出しているため、溶接部の一部が基準表面から突出している形態と比較して、第1の方向における特定部材からの溶接部の突出量を抑制することができ、例えば特定部材と他の部材とを第1の方向に積層する際に溶接部の突出部が他の部材と干渉してガスシール性が低下することを抑制することができる。また、本電気化学反応単位によれば、溶接部の突出位置が傾斜表面であるため、溶接の際に発生するビードが傾斜表面に沿って移動してビード高さが抑制され、ビードを透過させる分のレーザー出力を低下させることができ、入射エネルギー量が大きくなることに起因する溶接部の不具合(例えば、ハンピング)の発生を抑制することができる。さらに、本電気化学反応単位によれば、溶接部の突出位置が傾斜表面であるため、例えばレーザー溶接装置を用いてレーザー溶接を行う際の反射光の方向が装置(レーザーヘッド)に戻るような方向となることを抑制することができ、装置が損傷したり、装置の継続使用が制限されたりすることを抑制することができる。
(2)上記電気化学反応単位において、前記基準表面に対する前記傾斜表面の平均傾斜角は、2度以上、60度以下である構成としてもよい。本電気化学反応単位によれば、基準表面に対する傾斜表面の平均傾斜角が2度以上であるため、例えばレーザー溶接装置を用いてレーザー溶接を行う際の反射光の方向が装置(レーザーヘッド)に戻るような方向となることをより確実に抑制することができ、装置が損傷したり、装置の継続使用が制限されたりすることをより確実に抑制することができる。また、本電気化学反応単位によれば、基準表面に対する傾斜表面の平均傾斜角が60度以下であるため、例えばレーザー溶接装置を用いてレーザー溶接を行う際に、装置に対するワークの第2の方向における位置の僅かなずれに起因して、装置からワークまでの第1の方向における距離(ワーキングディスタンス)の変動や溶融すべきワークの厚さの変動が大きくなることを抑制することができ、溶接部の不具合の発生を抑制することができると共に、装置の出力の増大を抑制することができる。
(3)上記電気化学反応単位において、前記傾斜表面は、略平面であり、前記溶接部の突出位置は、前記傾斜表面の内、前記傾斜部分の板厚の薄い側の端点からの前記第2の方向における距離が0.5mmより短い範囲と、前記傾斜部分の板厚の厚い側の端点からの前記第2の方向における距離が前記第2の方向における前記傾斜部分の全幅の1/4より短い範囲を除いた範囲内にある構成としてもよい。本電気化学反応単位によれば、溶接部の突出部の位置が、傾斜部分の板厚の薄い側の端点からの第2の方向における距離が0.5mmより短い範囲内にはないため、ワークの寸法精度やワークを固定する溶接治具の精度に起因する溶接部の不具合の発生を抑制することができる。また、本電気化学反応単位によれば、溶接部の突出部の位置が、傾斜部分の板厚の厚い側の端点からの第2の方向における距離が第2の方向における傾斜部分の全幅の1/4より短い範囲内にはないため、溶融すべきワークの厚さが厚くなったり傾斜表面の角度が不安定となったりすることを抑制することができ、溶接部の不具合の発生を抑制することができる。
(4)上記電気化学反応単位において、前記傾斜表面は、凹曲面であり、前記溶接部の突出位置は、前記傾斜表面の内、前記第1の方向および前記第2の方向に平行な断面における前記基準表面に対する前記傾斜表面の接線の傾斜角が2度以上、60度以下の範囲内にある構成としてもよい。本電気化学反応単位によれば、基準表面に対する溶接部の突出位置における傾斜表面の傾斜角が2度以上であるため、例えばレーザー溶接装置を用いてレーザー溶接を行う際の反射光の方向が装置(レーザーヘッド)に戻るような方向となることをより確実に抑制することができ、装置が損傷したり、装置の継続使用が制限されたりすることをより確実に抑制することができる。また、本電気化学反応単位によれば、基準表面に対する溶接部の突出位置における傾斜表面の傾斜角が60度以下であるため、例えばレーザー溶接装置を用いてレーザー溶接を行う際に、装置に対するワークの第2の方向における位置の僅かなずれに起因して、装置からワークまでの第1の方向における距離(ワーキングディスタンス)の変動や溶融すべきワークの厚さの変動が大きくなることを抑制することができ、溶接部の不具合の発生を抑制することができると共に、装置の出力の増大を抑制することができる。
(5)上記電気化学反応単位において、前記電気化学反応単位は、燃料電池発電単位である構成としてもよい。本電気化学反応単位によれば、燃料電池発電単位において、ガスシール性の低下を抑制することができると共に、溶接部の不具合(例えば、ハンピング)の発生を抑制することができ、さらに、例えばレーザー溶接装置が損傷したり、装置の継続使用が制限されたりすることを抑制することができる。
なお、本明細書に開示される技術は、種々の形態で実現することが可能であり、例えば、電気化学反応単位(燃料電池発電単位または電解セル単位)、複数の電気化学反応単位を備える電気化学反応セルスタック(燃料電池スタックまたは電解セルスタック)、それらの製造方法等の形態で実現することが可能である。
本実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図である。 図1のII−IIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図である。 図1のIII−IIIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。 図2に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図である。 図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図である。 図4のVI−VIの位置における発電単位102のXY断面構成を示す説明図である。 図4のVII−VIIの位置における発電単位102のXY断面構成を示す説明図である。 図4のVIII−VIIIの位置における発電単位102のXY断面構成を示す説明図である。 発電単位102の詳細構成を示す説明図である。 第1の比較例の発電単位102Xにおける溶接部400付近のXZ断面構成を拡大して示す説明図である。 本実施形態の発電単位102における溶接部400付近のXZ断面構成を拡大して示す説明図である。 第2の比較例の発電単位102Yにおける溶接部400付近のXZ断面構成を拡大して示す説明図である。 第1の変形例における発電単位102aの詳細構成を示す説明図である。 第2の変形例における発電単位102bの詳細構成を示す説明図である。 第3の変形例における発電単位102cの詳細構成を示す説明図である。
A.実施形態:
A−1.装置構成:
(燃料電池スタック100の構成)
図1は、実施形態における燃料電池スタック100の外観構成を示す斜視図であり、図2は、図1(および後述する図6〜図8)のII−IIの位置における燃料電池スタック100のXZ断面構成を示す説明図であり、図3は、図1(および後述する図6〜図8)のIII−IIIの位置における燃料電池スタック100のYZ断面構成を示す説明図である。各図には、方向を特定するための互いに直交するXYZ軸が示されている。本明細書では、便宜的に、Z軸正方向を上方向と呼び、Z軸負方向を下方向と呼ぶものとするが、燃料電池スタック100は実際にはそのような向きとは異なる向きで設置されてもよい。図4以降についても同様である。また、本明細書では、Z軸方向に直交する方向を、面方向と呼ぶものとする。
燃料電池スタック100は、複数の(本実施形態では7つの)燃料電池発電単位(以下、単に「発電単位」という)102と、一対のエンドプレート104,106とを備える。7つの発電単位102は、所定の配列方向(本実施形態では上下方向)に並べて配置されている。一対のエンドプレート104,106は、7つの発電単位102から構成される集合体を上下から挟むように配置されている。なお、上記配列方向(上下方向)は、特許請求の範囲における第1の方向に相当する。
燃料電池スタック100を構成する各層(発電単位102、エンドプレート104,106)のZ方向回りの周縁部には、上下方向に貫通する複数の(本実施形態では8つの)孔が形成されており、各層に形成され互いに対応する孔同士が上下方向に連通して、一方のエンドプレート104から他方のエンドプレート106にわたって上下方向に延びる連通孔108を構成している。以下の説明では、連通孔108を構成するために燃料電池スタック100の各層に形成された孔も、連通孔108と呼ぶ場合がある。
各連通孔108には上下方向に延びるボルト22が挿通されており、ボルト22とボルト22の両側に嵌められたナット24とによって、燃料電池スタック100は締結されている。なお、図2および図3に示すように、ボルト22の一方の側(上側)に嵌められたナット24と燃料電池スタック100の上端を構成するエンドプレート104の上側表面との間、および、ボルト22の他方の側(下側)に嵌められたナット24と燃料電池スタック100の下端を構成するエンドプレート106の下側表面との間には、絶縁シート26が介在している。ただし、後述のガス通路部材27が設けられた箇所では、ナット24とエンドプレート106の表面との間に、ガス通路部材27とガス通路部材27の上側および下側のそれぞれに配置された絶縁シート26とが介在している。絶縁シート26は、例えばマイカシートや、セラミック繊維シート、セラミック圧粉シート、ガラスシート、ガラスセラミック複合剤等により構成される。
各ボルト22の軸部の外径は各連通孔108の内径より小さい。そのため、各ボルト22の軸部の外周面と各連通孔108の内周面との間には、空間が確保されている。図1および図2に示すように、燃料電池スタック100のZ方向回りの外周における1つの辺(Y軸に平行な2つの辺の内のX軸正方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22A)と、そのボルト22Aが挿通された連通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から酸化剤ガスOGが導入され、その酸化剤ガスOGを各発電単位102に供給するガス流路である酸化剤ガス導入マニホールド161として機能し、該辺の反対側の辺(Y軸に平行な2つの辺の内のX軸負方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22B)と、そのボルト22Bが挿通された連通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の空気室166から排出されたガスである酸化剤オフガスOOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する酸化剤ガス排出マニホールド162として機能する。なお、本実施形態では、酸化剤ガスOGとして、例えば空気が使用される。
また、図1および図3に示すように、燃料電池スタック100のZ方向回りの外周における1つの辺(X軸に平行な2つの辺の内のY軸正方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22D)と、そのボルト22Dが挿通された連通孔108とにより形成された空間は、燃料電池スタック100の外部から燃料ガスFGが導入され、その燃料ガスFGを各発電単位102に供給する燃料ガス導入マニホールド171として機能し、該辺の反対側の辺(X軸に平行な2つの辺の内のY軸負方向側の辺)の中点付近に位置するボルト22(ボルト22E)と、そのボルト22Eが挿通された連通孔108とにより形成された空間は、各発電単位102の燃料室176から排出されたガスである燃料オフガスFOGを燃料電池スタック100の外部へと排出する燃料ガス排出マニホールド172として機能する。なお、本実施形態では、燃料ガスFGとして、例えば都市ガスを改質した水素リッチなガスが使用される。
燃料電池スタック100には、4つのガス通路部材27が設けられている。各ガス通路部材27は、中空筒状の本体部28と、本体部28の側面から分岐した中空筒状の分岐部29とを有している。分岐部29の孔は本体部28の孔と連通している。各ガス通路部材27の分岐部29には、ガス配管(図示せず)が接続される。また、図2に示すように、酸化剤ガス導入マニホールド161を形成するボルト22Aの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、酸化剤ガス導入マニホールド161に連通しており、酸化剤ガス排出マニホールド162を形成するボルト22Bの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、酸化剤ガス排出マニホールド162に連通している。また、図3に示すように、燃料ガス導入マニホールド171を形成するボルト22Dの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、燃料ガス導入マニホールド171に連通しており、燃料ガス排出マニホールド172を形成するボルト22Eの位置に配置されたガス通路部材27の本体部28の孔は、燃料ガス排出マニホールド172に連通している。
(エンドプレート104,106の構成)
一対のエンドプレート104,106は、略矩形の平板形状の導電性部材であり、例えばステンレスにより形成されている。一方のエンドプレート104は、最も上に位置する発電単位102の上側に配置され、他方のエンドプレート106は、最も下に位置する発電単位102の下側に配置されている。一対のエンドプレート104,106によって複数の発電単位102が押圧された状態で挟持されている。上側のエンドプレート104は、燃料電池スタック100のプラス側の出力端子として機能し、下側のエンドプレート106は、燃料電池スタック100のマイナス側の出力端子として機能する。
(発電単位102の構成)
図4は、図2に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のXZ断面構成を示す説明図であり、図5は、図3に示す断面と同一の位置における互いに隣接する2つの発電単位102のYZ断面構成を示す説明図である。また、図6は、図4のVI−VIの位置における発電単位102のXY断面構成を示す説明図であり、図7は、図4のVII−VIIの位置における発電単位102のXY断面構成を示す説明図であり、図8は、図4のVIII−VIIIの位置における発電単位102のXY断面構成を示す説明図である。
図4および図5に示すように、発電単位102は、単セル110と、セパレータ120と、空気極側フレーム130と、空気極側集電体134と、燃料極側フレーム140と、燃料極側集電体144と、発電単位102の最上層および最下層を構成する一対のインターコネクタ150とを備えている。セパレータ120、空気極側フレーム130、燃料極側フレーム140、インターコネクタ150におけるZ方向回りの周縁部には、上述したボルト22が挿通される連通孔108に対応する孔が形成されている。
図8に示すように、インターコネクタ150は、Z軸方向に略直交する略矩形の平板形状の導電性部材であり、例えばフェライト系ステンレスにより形成されている。インターコネクタ150は、発電単位102間の電気的導通を確保すると共に、発電単位102間での反応ガスの混合を防止する。なお、本実施形態では、2つの発電単位102が隣接して配置されている場合、1つのインターコネクタ150は、隣接する2つの発電単位102に共有されている。すなわち、ある発電単位102における上側のインターコネクタ150は、その発電単位102の上側に隣接する他の発電単位102における下側のインターコネクタ150と同一部材である。また、燃料電池スタック100は一対のエンドプレート104,106を備えているため、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102は上側のインターコネクタ150を備えておらず、最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていない(図2および図3参照)。
単セル110は、電解質層112と、電解質層112を挟んで上下方向(発電単位102が並ぶ配列方向)に互いに対向する空気極(カソード)114および燃料極(アノード)116とを備える。なお、本実施形態の単セル110は、燃料極116で電解質層112および空気極114を支持する燃料極支持形の単セルである。
電解質層112は、Z方向視で略矩形の平板形状部材であり、緻密な(気孔率が低い)層である。電解質層112は、例えば、YSZ(イットリア安定化ジルコニア)、ScSZ(スカンジア安定化ジルコニア)、SDC(サマリウムドープセリア)、GDC(ガドリニウムドープセリア)、ペロブスカイト型酸化物等の固体酸化物により形成されている。空気極114は、Z方向視で電解質層112より小さい略矩形の平板形状部材であり、多孔質な(電解質層112より気孔率が高い)層である。空気極114は、例えば、ペロブスカイト型酸化物(例えばLSCF(ランタンストロンチウムコバルト鉄酸化物)、LSM(ランタンストロンチウムマンガン酸化物)、LNF(ランタンニッケル鉄))により形成されている。燃料極116は、Z方向視で電解質層112と略同一の大きさの略矩形の平板形状部材であり、多孔質な(電解質層112より気孔率が高い)層である。燃料極116は、例えば、Ni(ニッケル)、Niとセラミック粒子からなるサーメット、Ni基合金等により形成されている。このように、本実施形態の単セル110(発電単位102)は、電解質として固体酸化物を用いる固体酸化物形燃料電池(SOFC)である。
セパレータ120は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔121が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。セパレータ120における孔121を取り囲む部分は、電解質層112における空気極114の側の表面の周縁部に対向している。セパレータ120は、その対向した部分に配置されたロウ材(例えばAgロウ)により形成された接合部124により、電解質層112(単セル110)と接合されている。セパレータ120により、空気極114に面する空気室166と燃料極116に面する燃料室176とが区画され、単セル110の周縁部における一方の電極側から他方の電極側へのガスのリークが抑制される。
図6に示すように、空気極側フレーム130は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔131が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、マイカ等の絶縁体により形成されている。空気極側フレーム130の孔131は、空気極114に面する空気室166を構成する。空気極側フレーム130は、セパレータ120における電解質層112に対向する側とは反対側の表面の周縁部と、インターコネクタ150における空気極114に対向する側の表面の周縁部とに接触している。また、空気極側フレーム130によって、発電単位102に含まれる一対のインターコネクタ150間が電気的に絶縁される。また、空気極側フレーム130には、酸化剤ガス導入マニホールド161と空気室166とを連通する酸化剤ガス供給連通孔132と、空気室166と酸化剤ガス排出マニホールド162とを連通する酸化剤ガス排出連通孔133とが形成されている。
図7に示すように、燃料極側フレーム140は、中央付近に上下方向に貫通する略矩形の孔141が形成されたフレーム状の部材であり、例えば、金属により形成されている。燃料極側フレーム140の孔141は、燃料極116に面する燃料室176を構成する。燃料極側フレーム140は、セパレータ120における電解質層112に対向する側の表面の周縁部と、インターコネクタ150における燃料極116に対向する側の表面の周縁部とに接触している。すなわち、燃料極側フレーム140は、Z軸方向において、セパレータ120とインターコネクタ150との間に配置されている。また、燃料極側フレーム140には、燃料ガス導入マニホールド171と燃料室176とを連通する燃料ガス供給連通孔142と、燃料室176と燃料ガス排出マニホールド172とを連通する燃料ガス排出連通孔143とが形成されている。燃料極側フレーム140は、特許請求の範囲におけるフレーム部材に相当する。
燃料極側集電体144は、燃料室176内に配置されている。燃料極側集電体144は、インターコネクタ対向部146と、電極対向部145と、電極対向部145とインターコネクタ対向部146とをつなぐ連接部147とを備えており、例えば、ニッケルやニッケル合金、ステンレス等により形成されている。電極対向部145は、燃料極116における電解質層112に対向する側とは反対側の表面に接触しており、インターコネクタ対向部146は、インターコネクタ150における燃料極116に対向する側の表面に接触している。ただし、上述したように、燃料電池スタック100において最も下に位置する発電単位102は下側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102におけるインターコネクタ対向部146は、下側のエンドプレート106に接触している。燃料極側集電体144は、このような構成であるため、燃料極116とインターコネクタ150(またはエンドプレート106)とを電気的に接続する。なお、電極対向部145とインターコネクタ対向部146との間には、例えばマイカにより形成されたスペーサー149が配置されている。そのため、燃料極側集電体144が温度サイクルや反応ガス圧力変動による発電単位102の変形に追随し、燃料極側集電体144を介した燃料極116とインターコネクタ150(またはエンドプレート106)との電気的接続が良好に維持される。
空気極側集電体134は、空気室166内に配置されている。空気極側集電体134は、複数の略四角柱状の集電体要素135から構成されており、例えば、フェライト系ステンレスにより形成されている。空気極側集電体134は、空気極114における電解質層112に対向する側とは反対側の表面と、インターコネクタ150における空気極114に対向する側の表面とに接触している。ただし、上述したように、燃料電池スタック100において最も上に位置する発電単位102は上側のインターコネクタ150を備えていないため、当該発電単位102における空気極側集電体134は、上側のエンドプレート104に接触している。空気極側集電体134は、このような構成であるため、空気極114とインターコネクタ150(またはエンドプレート104)とを電気的に接続する。なお、本実施形態では、空気極側集電体134とインターコネクタ150とは一体の部材として形成されている。すなわち、該一体の部材の内の、上下方向(Z軸方向)に直交する平板形の部分がインターコネクタ150として機能し、該平板形の部分から空気極114に向けて突出するように形成された複数の凸部である集電体要素135が空気極側集電体134として機能する。また、空気極側集電体134とインターコネクタ150との一体部材は、導電性のコートによって覆われていてもよく、空気極114と空気極側集電体134との間には、両者を接合する導電性の接合層が介在していてもよい。
A−2.燃料電池スタック100の動作:
図2および図4に示すように、酸化剤ガス導入マニホールド161の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して酸化剤ガスOGが供給されると、酸化剤ガスOGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して酸化剤ガス導入マニホールド161に供給され、酸化剤ガス導入マニホールド161から各発電単位102の酸化剤ガス供給連通孔132を介して、空気室166に供給される。また、図3および図5に示すように、燃料ガス導入マニホールド171の位置に設けられたガス通路部材27の分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料ガスFGが供給されると、燃料ガスFGは、ガス通路部材27の分岐部29および本体部28の孔を介して燃料ガス導入マニホールド171に供給され、燃料ガス導入マニホールド171から各発電単位102の燃料ガス供給連通孔142を介して、燃料室176に供給される。
各発電単位102の空気室166に酸化剤ガスOGが供給され、燃料室176に燃料ガスFGが供給されると、単セル110において酸化剤ガスOGに含まれる酸素と燃料ガスFGに含まれる水素との電気化学反応による発電が行われる。この発電反応は発熱反応である。各発電単位102において、単セル110の空気極114は空気極側集電体134を介して一方のインターコネクタ150に電気的に接続され、燃料極116は燃料極側集電体144を介して他方のインターコネクタ150に電気的に接続されている。また、燃料電池スタック100に含まれる複数の発電単位102は、電気的に直列に接続されている。そのため、燃料電池スタック100の出力端子として機能するエンドプレート104,106から、各発電単位102において生成された電気エネルギーが取り出される。なお、SOFCは、比較的高温(例えば700℃から1000℃)で発電が行われることから、起動後、発電により発生する熱で高温が維持できる状態になるまで、燃料電池スタック100が加熱器(図示せず)により加熱されてもよい。
各発電単位102の空気室166から排出された酸化剤オフガスOOGは、図2および図4に示すように、酸化剤ガス排出連通孔133を介して酸化剤ガス排出マニホールド162に排出され、さらに酸化剤ガス排出マニホールド162の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29の孔を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示せず)を介して燃料電池スタック100の外部に排出される。また、各発電単位102の燃料室176から排出された燃料オフガスFOGは、図3および図5に示すように、燃料ガス排出連通孔143を介して燃料ガス排出マニホールド172に排出され、さらに燃料ガス排出マニホールド172の位置に設けられたガス通路部材27の本体部28および分岐部29の孔を経て、当該分岐部29に接続されたガス配管(図示しない)を介して燃料電池スタック100の外部に排出される。
A−3.発電単位102の詳細構成:
図9は、発電単位102の詳細構成を示す説明図である。図9には、図8のIX−IXの位置における発電単位102の一部のXZ断面構成が示されている。図9に示すように、本実施形態の発電単位102では、インターコネクタ150の端部における下側(Z軸負方向側)の表面に、テーパーが形成されている。より詳細には、インターコネクタ150は、基準部分151と傾斜部分152とを有する。基準部分151は、Z軸方向に略直交する(すなわち、面方向に略平行な)基準表面S1(下側の表面)を有する部分である。本実施形態では、基準部分151は、一様の板厚(Z軸方向の厚さ)を有する。また、傾斜部分152は、基準部分151に隣接して設けられている。傾斜部分152は、板厚が基準部分151の板厚以下であり、かつ、面方向(X軸方向)において基準部分151から離れるほど板厚が薄くなるような傾斜表面S2を有する部分である。本実施形態では、傾斜部分152における基準部分151との境界部分(X軸正方向側の端の部分)の板厚は、基準部分151の板厚と同一である。また、傾斜表面S2は、略平面である。
このように、本実施形態の発電単位102では、インターコネクタ150が傾斜部分152を有しているため、インターコネクタ150の傾斜部分152における傾斜表面S2と、該インターコネクタ150に対して下側に隣接する空気極側フレーム130の上側の表面との間には、空間SPが存在している。
また、本実施形態の発電単位102は、溶接部400を備えている。溶接部400は、インターコネクタ150の下側の表面から上方向に向けて延び、インターコネクタ150を貫通して燃料極側フレーム140の内部まで達しており、インターコネクタ150と燃料極側フレーム140との間を接合している。溶接部400は、インターコネクタ150の傾斜部分152における傾斜表面S2からレーザー溶接を行うことによって形成される。すなわち、溶接部400は、インターコネクタ150における傾斜部分152の位置に形成されている。
図7および図8に破線で示すように、インターコネクタ150と燃料極側フレーム140との間を接合する溶接部400は、発電単位102のZ軸方向回りの外周の内側に沿って連続的に形成されている。また、溶接部400は、各連通孔108を取り囲む位置にも形成されている。本実施形態の発電単位102は、このような構成の溶接部400を備えているため、燃料室176や各ガス流路からのガスリークを抑制することができる。
図9に示すように、溶接部400の一部(溶接ビードであり、以下「突出部402」という)は、インターコネクタ150の傾斜部分152における傾斜表面S2から下側に突出している。本実施形態では、インターコネクタ150の板厚が燃料極側フレーム140やセパレータ120と比較して厚いことから、溶接部400の形成の際に比較的大きな突出部402が生成される。Z軸方向における突出部402の最下点は、インターコネクタ150の基準部分151における基準表面S1より上側に位置している。すなわち、突出部402は、全体が、インターコネクタ150の傾斜部分152における傾斜表面S2と他の部材(空気極側フレーム130)の表面との間の空間SP内に収まっている。なお、本実施形態の発電単位102では、インターコネクタ150が特許請求の範囲における特定部材に相当し、燃料極側フレーム140が特許請求の範囲における隣接部材に相当する。
A−4.本実施形態の効果:
以上説明したように、本実施形態の発電単位102は、電解質層112と電解質層112を挟んでZ軸方向に互いに対向する空気極114および燃料極116とを含む単セル110と、Z軸方向に略直交する略平板状の金属製のインターコネクタ150と、孔121が形成され、孔121を取り囲む部分が単セル110の周縁部と接合され、空気極114に面する空気室166と燃料極116に面する燃料室176とを区画するセパレータ120と、セパレータ120とインターコネクタ150との間に配置され、燃料室176を構成する孔141が形成された金属製の燃料極側フレーム140とを備える。また、インターコネクタ150は、Z軸方向に略直交する基準表面S1を有する基準部分151と、板厚が基準部分151の板厚以下であり、かつ、Z軸方向に直交するX軸方向において基準部分151から離れるほど板厚が薄くなるような傾斜表面S2を有する傾斜部分152とを含む。また、本実施形態の発電単位102には、インターコネクタ150と、インターコネクタ150に隣接する燃料極側フレーム140との間を接合し、かつ、一部(突出部402)が傾斜表面S2から突出している溶接部400が形成されている。
本実施形態の発電単位102は、インターコネクタ150と燃料極側フレーム140との間を接合する溶接部400を備えているため、ガスシール性を向上させることができる。また、溶接部400の突出部402がインターコネクタ150の傾斜部分152における傾斜表面S2から突出しているため、突出部402がインターコネクタ150の基準部分151における基準表面S1から突出している構成と比較して、溶接部400の突出部402が他の部材(例えば空気極側フレーム130)と干渉することによってガスシール性が低下することを抑制することができる。
さらに、本実施形態の発電単位102では、以下に説明するように、溶接部400の不具合(例えば、ハンピング)の発生を抑制することができると共に、溶接のための装置が損傷したり、装置の継続使用が制限されたりすることを抑制することができる。
図10は、第1の比較例の発電単位102Xにおける溶接部400付近のXZ断面構成を拡大して示す説明図である。図10には、第1の比較例の発電単位102Xにおいて、レーザーヘッドLHからインターコネクタ150の表面S3に向けてレーザー光Leを照射することにより溶接部400を形成している様子が示されている。なお、図10では、Z軸方向における発電単位102の向きが、図9とは逆になっている。すなわち、発電単位102における下方向(Z軸負方向)は、図10の紙面における上方向となる。
図10に示すように、第1の比較例の発電単位102Xにおけるインターコネクタ150には、下側(Z軸負方向側)の表面に、テーパーが形成されていない。すなわち、第1の比較例の発電単位102Xにおけるインターコネクタ150は、基準部分151に加えて、傾斜部分152の代わりに薄板部分153を有する。基準部分151は、上記実施形態における基準部分151と同様の構成であり、Z軸方向に略直交する基準表面S1(下側の表面)を有する。また、薄板部分153は、板厚が基準部分151の板厚より薄く、かつ、Z軸方向に略直交する表面S3を有する。表面S3は、基準表面S1と略平行な平面であり、基準表面S1より上側(Z軸正方向側)に位置する。
図10に示す第1の比較例の発電単位102Xでは、溶接部400は、インターコネクタ150の薄板部分153の位置に形成されている。また、Z軸方向における溶接部400の突出部402の最下点(最もZ軸負方向側に位置する点)は、インターコネクタ150の基準部分151における基準表面S1より上側(Z軸正方向側)に位置している。そのため、図10に示す第1の比較例の発電単位102Xでは、上記実施形態と同様に、溶接部400の突出部402が他の部材(例えば空気極側フレーム130)に干渉することを抑制することができ、そのような干渉を原因としてガスシール性が低下することを抑制することができる。
しかしながら、図10に示す第1の比較例の発電単位102Xでは、溶接部400の突出部402(溶接ビード)が突出している薄板部分153の表面S3が、Z軸方向に略直交する平面である。そのため、Z軸方向に沿ってインターコネクタ150の薄板部分153における表面S3にレーザー光Leを照射することにより溶接部400を形成する際には、突出部402が、主としてZ軸方向に(レーザーヘッドLH側に)成長する。その結果、Z軸方向において、薄板部分153の表面S3からの突出部402の突出高さH1が比較的高くなる。このように、レーザー溶接の際に突出部402の突出高さH1が高くなると、レーザー光Leが突出部402を透過して溶融箇所まで到達するように、レーザー光Leの出力を高める必要がある。レーザー光Leの出力が高くなると、入射エネルギー量が過度に大きくなることによって溶接部400の不具合(例えば、ハンピング)が発生し、溶接部400の信頼性が低下するおそれがある。
さらに、図10に示す第1の比較例の発電単位102Xでは、薄板部分153の表面S3がZ軸方向に略直交する平面であるため、レーザーヘッドLHから照射されたレーザー光Leがワーク(インターコネクタ150)に反射した反射光Lrの方向が、レーザーヘッドLHに戻るような方向となる。反射光LrがレーザーヘッドLHに戻るような方向になると、レーザーヘッドLHが損傷したり、レーザーヘッドLHの保護機能が作用してレーザーヘッドLHの継続使用が制限されたりするおそれがある。
図11は、本実施形態の発電単位102における溶接部400付近のXZ断面構成を拡大して示す説明図である。図11には、図10と同様に、本実施形態の発電単位102において、レーザーヘッドLHからインターコネクタ150の傾斜表面S2に向けてレーザー光Leを照射することにより溶接部400を形成している様子が示されている。
図11に示すように、本実施形態の発電単位102では、溶接部400の突出部402(溶接ビード)が、インターコネクタ150の傾斜部分152における傾斜表面S2から突出している。そのため、Z軸方向に沿ってインターコネクタ150の傾斜部分152における傾斜表面S2にレーザー光Leを照射することにより溶接部400を形成する際には、突出部402が、重力によって傾斜表面S2に沿ってレーザー光Leの照射位置から離れるように移動する。その結果、Z軸方向において、傾斜部分152の傾斜表面S2からの突出部402の突出高さH1が比較的低くなる。従って、本実施形態の発電単位102では、突出部402を透過させる分のレーザー光Leの出力を低下させることができ、入射エネルギー量が過度に大きくなることに起因する溶接部400の不具合(例えば、ハンピング)の発生を抑制することができ、溶接部400の信頼性が低下することを抑制することができる。
さらに、本実施形態の発電単位102では、レーザーヘッドLHからのレーザー光Leがインターコネクタ150の傾斜部分152における傾斜表面S2に照射されるため、反射光Lrの方向がレーザーヘッドLHに戻るような方向となることを抑制することができる。そのため、本実施形態の発電単位102では、レーザーヘッドLHが損傷したり、レーザーヘッドLHの保護機能が作用してレーザーヘッドLHの継続使用が制限されたりすることを抑制することができる。
なお、レーザー溶接を行う際には、溶融した金属の微粒子(スパッタ)が飛散し、レーザーヘッドLHを汚損するおそれがあるが、本実施形態の発電単位102では、インターコネクタ150の傾斜部分152における傾斜表面S2にレーザー光Leが照射されることにより溶接部400が形成されるため、上記微粒子がレーザーヘッドLHの方向に飛散することを抑制することができ、レーザーヘッドLHが汚損されることを抑制することができる。
また、本実施形態の発電単位102では、インターコネクタ150の傾斜部分152における傾斜表面S2にレーザー光Leが照射されることにより溶接部400が形成されるため、傾斜表面S2において反射された反射光Lrを、反射方向に設置された受光装置等によってモニタすることができ、レーザー溶接の際の溶接の状態をオンラインでモニタリングすることができる。
なお、本実施形態の発電単位102において、基準表面S1に対する傾斜表面S2の平均傾斜角θ1は、2度以上であることが好ましい。レーザー溶接の際のレーザーヘッドLHの端面通過時のレーザー光Leの径を4.5mmとし、レーザーヘッドLHからワーク(インターコネクタ150の傾斜表面S2)までの距離(以下、「ワーキングディスタンス」という)D1を13.5mmとし、スポット径を15μmとして計算すると、基準表面S1に対する傾斜表面S2の平均傾斜角θ1が2度より小さいと、反射光LrがレーザーヘッドLHに戻ることとなるためである。なお、より確実に反射光LrがレーザーヘッドLHに戻らないようにするために、基準表面S1に対する傾斜表面S2の平均傾斜角θ1は、5度以上であることがさらに好ましく、10度以上であることが一層好ましい。
また、本実施形態の発電単位102において、基準表面S1に対する傾斜表面S2の平均傾斜角θ1は、60度以下であることが好ましい。図12は、第2の比較例の発電単位102Yにおける溶接部400付近のXZ断面構成を拡大して示す説明図である。図12には、図11と同様に、第2の比較例の発電単位102Yにおいて、レーザーヘッドLHからインターコネクタ150の傾斜部分152における傾斜表面S2に向けてレーザー光Leを照射することにより溶接部400を形成している様子が示されている。図12に示す第2の比較例の発電単位102Yでは、基準表面S1に対する傾斜表面S2の平均傾斜角θ1が60度を超えている。
図12に示すように、基準表面S1に対する傾斜表面S2の平均傾斜角θ1が60度を超えると、ワーク(インターコネクタ150)に対するレーザーヘッドLHのX軸方向における相対位置が僅かにずれるだけで(例えば、図12の位置P1から位置P2にずれるだけで)、ワーキングディスタンスD1が大きく変動してレーザー溶接の安定性が低下すると共に、溶融すべきインターコネクタ150の厚さが大きく変動して溶接不良(溶接部400が燃料極側フレーム140に到達しない等の問題)が発生するおそれがある。また、基準表面S1に対する傾斜表面S2の平均傾斜角θ1が60度を超えると、レーザー光Leの照射量に対する反射光Lrの割合が大きく増加するため、より大きなパワーのレーザーヘッドLHを用いる必要がある。基準表面S1に対する傾斜表面S2の平均傾斜角θ1を60度以下とすることにより、上記問題の発生を抑制することができる。なお、上記問題の発生をより確実に抑制するために、基準表面S1に対する傾斜表面S2の平均傾斜角θ1は、50度以下であることがさらに好ましく、40度以下であることが一層好ましい。
また、図9に示すように、本実施形態の発電単位102において、溶接部400の突出部402の位置は、インターコネクタ150の傾斜部分152の傾斜表面S2における範囲R0内にあることが好ましい。ここで、範囲R0は、傾斜部分152の傾斜表面S2の内、傾斜部分152の板厚の薄い側の端点E1からのX軸方向における距離が0.5mmより短い範囲R1と、板厚の厚い側の端点E2からのX軸方向における距離が、X軸方向における傾斜部分152の全幅の1/4より短い範囲R2と、を除いた範囲である。溶接部400の突出部402の位置が、傾斜部分152の傾斜表面S2における上記範囲R1内にあると、ワーク(インターコネクタ150)の寸法精度やワークを固定する溶接治具の精度に起因して、溶接部400の不具合が発生するおそれがある。また、溶接部400の突出部402の位置が、傾斜部分152の傾斜表面S2における上記範囲R2内にあると、溶融すべきワーク(インターコネクタ150)の厚さが厚くなると共に、傾斜表面S2の角度が安定しにくくなるため、やはり溶接部400の不具合が発生するおそれがある。溶接部400の突出部402の位置を、傾斜部分152の傾斜表面S2における上記範囲R0内にすることにより、溶接部400の不具合の発生を効果的に抑制することができる。なお、上述した溶接部400の突出部402の位置とは、図9に示すように、溶接部400の延伸方向に平行な断面において、溶接部400の内の特定部材(図9の例ではインターコネクタ150)内に位置する部分の任意の位置での上記延伸方向に直交する方向の幅の中点P11と、溶接部400の内の隣接部材(図9の例では燃料極側フレーム140)内に位置する部分の任意の位置での上記延伸方向に直交する方向の幅の中点P12とを結ぶ仮想直線VL1と、突出部402の表面とが交差する点P10の位置を意味する。
B.変形例:
本明細書で開示される技術は、上述の実施形態に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の形態に変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
図13は、第1の変形例における発電単位102aの詳細構成を示す説明図である。図13には、第1の変形例における発電単位102aの一部のXZ断面構成が示されている。図13に示す第1の変形例における発電単位102aは、インターコネクタ150の傾斜部分152の構成が、上記実施形態の発電単位102と異なっている。すなわち、図13に示す第1の変形例における発電単位102aでは、インターコネクタ150の傾斜部分152における基準部分151との境界部分(X軸正方向側の端の部分)の板厚が、基準部分151の板厚より薄くなっている。なお、傾斜表面S2は、上記第1実施形態と同様に、略平面である。図13に示す第1の変形例の発電単位102aにおいて、基準表面S1に対する傾斜表面S2の平均傾斜角θ1は、図示する断面において、基準表面S1を表す直線と、傾斜表面S2の両端点E1,E2を結ぶ直線とのなす角である。
図13に示す第1の変形例の発電単位102aでは、上記実施形態と同様に、インターコネクタ150と燃料極側フレーム140との間を接合する溶接部400の突出部402(溶接ビード)がインターコネクタ150の傾斜部分152における傾斜表面S2から突出しているため、入射エネルギー量が過度に大きくなることに起因する溶接部400の不具合(例えば、ハンピング)の発生を抑制することができると共に、レーザーヘッドLHが損傷したりレーザーヘッドLHの継続使用が制限されたりすることを抑制することができる。また、図13に示す第1の変形例の発電単位102aでは、上記実施形態と同様に、基準表面S1に対する傾斜表面S2の平均傾斜角θ1は、2度以上であることが好ましく、5度以上であることがさらに好ましく、10度以上であることが一層好ましく、また、60度以下であることが好ましく、50度以下であることがさらに好ましく、40度以下であることが一層好ましい。また、図13に示す第1の変形例の発電単位102aでは、上記実施形態と同様に、溶接部400の突出部402の位置が上述した範囲R0内にあることが好ましい。
図14は、第2の変形例における発電単位102bの詳細構成を示す説明図である。図14には、第2の変形例における発電単位102bの一部のXZ断面構成が示されている。図14に示す第2の変形例における発電単位102bは、インターコネクタ150の傾斜部分152の構成が、上記実施形態の発電単位102と異なっている。すなわち、図14に示す第2の変形例における発電単位102bでは、インターコネクタ150の傾斜部分152における傾斜表面S2が、平面ではなく凹曲面である。なお、インターコネクタ150の傾斜部分152における基準部分151との境界部分(X軸正方向側の端の部分)の板厚は、基準部分151の板厚と同一となっている。図14に示す第2の変形例の発電単位102bにおいて、基準表面S1に対する傾斜表面S2の平均傾斜角θ1は、図示する断面において、基準表面S1を表す直線と、傾斜表面S2の両端点E1,E2を結ぶ直線とのなす角である。
図14に示す第2の変形例の発電単位102bでは、上記実施形態と同様に、インターコネクタ150と燃料極側フレーム140との間を接合する溶接部400の突出部402(溶接ビード)がインターコネクタ150の傾斜部分152における傾斜表面S2から突出しているため、入射エネルギー量が過度に大きくなることに起因する溶接部400の不具合(例えば、ハンピング)の発生を抑制することができると共に、レーザーヘッドLHが損傷したりレーザーヘッドLHの継続使用が制限されたりすることを抑制することができる。また、図14に示す第2の変形例の発電単位102aでは、上記実施形態と同様に、基準表面S1に対する傾斜表面S2の平均傾斜角θ1は、2度以上であることが好ましく、5度以上であることがさらに好ましく、10度以上であることが一層好ましく、また、60度以下であることが好ましく、50度以下であることがさらに好ましく、40度以下であることが一層好ましい。
また、図14に示す第2の変形例の発電単位102bでは、溶接部400の突出部402の位置が、図14に示すXZ断面における基準表面S1に対する傾斜表面S2の接線TLの傾斜角θ2が、2度以上、60度以下の範囲R0z内にあることが好ましい。このようにすれば、上記実施形態において説明したのと同様の理由から、反射光LrがレーザーヘッドLHに戻ることを抑制することができるために、レーザーヘッドLHが損傷したりレーザーヘッドLHの継続使用が制限されたりすることを抑制することができると共に、ワーキングディスタンスD1や溶融すべきインターコネクタ150の厚さの変動による溶接不良の発生を抑制することができ、さらに、レーザーヘッドLHの出力を抑制することができる。
図15は、第3の変形例における発電単位102cの詳細構成を示す説明図である。図15には、第3の変形例における発電単位102cの一部のXZ断面構成が示されている。図15に示す第3の変形例における発電単位102cは、インターコネクタ150の傾斜部分152の構成が、上記実施形態の発電単位102と異なっている。すなわち、図15に示す第3の変形例における発電単位102cでは、インターコネクタ150の傾斜部分152における基準部分151との境界部分(X軸正方向側の端の部分)の板厚が、基準部分151の板厚より薄くなっている。また、図15に示す第3の変形例における発電単位102cでは、インターコネクタ150の傾斜部分152における傾斜表面S2が、平面ではなく凹曲面である。図15に示す第3の変形例の発電単位102cにおいて、基準表面S1に対する傾斜表面S2の平均傾斜角θ1は、図示する断面において、基準表面S1を表す直線と、傾斜表面S2の両端点E1,E2を結ぶ直線とのなす角である。
図15に示す第3の変形例の発電単位102cでは、上記実施形態と同様に、インターコネクタ150と燃料極側フレーム140との間を接合する溶接部400の突出部402(溶接ビード)がインターコネクタ150の傾斜部分152における傾斜表面S2から突出しているため、入射エネルギー量が過度に大きくなることに起因する溶接部400の不具合(例えば、ハンピング)の発生を抑制することができると共に、レーザーヘッドLHが損傷したりレーザーヘッドLHの継続使用が制限されたりすることを抑制することができる。また、図14に示す第2の変形例の発電単位102aでは、上記実施形態と同様に、基準表面S1に対する傾斜表面S2の平均傾斜角θ1は、2度以上であることが好ましく、5度以上であることがさらに好ましく、10度以上であることが一層好ましく、また、60度以下であることが好ましく、50度以下であることがさらに好ましく、40度以下であることが一層好ましい。
また、図15に示す第3の変形例の発電単位102cでは、上記第2の変形例と同様に、溶接部400の突出部402の位置が、図15に示すXZ断面における基準表面S1に対する傾斜表面S2の接線TLの傾斜角θ2が、2度以上、60度以下の範囲R0z内にあることが好ましい。
また、上記実施形態(および変形例、以下同様)における燃料電池スタック100の構成は、あくまで一例であり、種々変形可能である。例えば、上記実施形態では、傾斜部分152がインターコネクタ150の端部にあるとしているが、傾斜部分152が2つの基準部分151に挟まれているとしてもよい。
また、上記実施形態では、インターコネクタ150が基準表面S1を有する基準部分151と傾斜表面S2を有する傾斜部分152とを備え、インターコネクタ150と燃料極側フレーム140との間を接合する溶接部400の突出部402が該傾斜表面S2から突出しているが、インターコネクタ150ではなく燃料極側フレーム140が同様の基準表面を有する基準部分と傾斜表面を有する傾斜部分とを備え、インターコネクタ150と燃料極側フレーム140との間を接合する溶接部400の突出部402が燃料極側フレーム140の該傾斜表面から突出しているとしてもよい。なお、この場合には、燃料極側フレーム140が特許請求の範囲における特定部材に相当し、インターコネクタ150が特許請求の範囲における隣接部材に相当する。
また、上記実施形態では、発電単位102が、インターコネクタ150と燃料極側フレーム140との間を接合する溶接部400を備えているが、そのような溶接部400に代えて、または、そのような溶接部400に加えて、セパレータ120と燃料極側フレーム140との間を接合する溶接部を備えるとしてもよい。その場合に、セパレータ120と燃料極側フレーム140との一方が、上記実施形態と同様の基準表面を有する基準部分と傾斜表面を有する傾斜部分とを備え、溶接部の突出部が該傾斜表面から突出しているとしてもよい。なお、この場合には、傾斜部分を備える部材が特許請求の範囲における特定部材に相当し、溶接部によって特定部材に接合される部材が特許請求の範囲における隣接部材に相当する。
また、空気極側フレーム130が金属製である場合には、上記溶接部400に代えて、または、上記溶接部400に加えて、インターコネクタ150と空気極側フレーム130との間を接合する溶接部と、セパレータ120と空気極側フレーム130との間を接合する溶接部との少なくとも一方を備えるとしてもよい。その場合に、インターコネクタ150と空気極側フレーム130との一方、または、セパレータ120と空気極側フレーム130との一方が、上記実施形態と同様の基準表面を有する基準部分と傾斜表面を有する傾斜部分とを備え、溶接部の突出部が該傾斜表面から突出しているとしてもよい。なお、この場合には、傾斜部分を備える部材が特許請求の範囲における特定部材に相当し、溶接部によって特定部材に接合される部材が特許請求の範囲における隣接部材に相当する。
また、上記実施形態において、燃料電池スタック100に含まれる発電単位102(単セル110)の個数は、あくまで一例であり、発電単位102の個数は燃料電池スタック100に要求される出力電圧等に応じて適宜決められる。また、上記実施形態における各部材を形成する材料は、あくまで例示であり、各部材が他の材料により形成されてもよい。
また、本明細書において、部材(または部材のある部分、以下同様)Aを挟んで部材Bと部材Cとが互いに対向するとは、部材Aと部材Bまたは部材Cとが隣接する形態に限定されず、部材Aと部材Bまたは部材Cとの間に他の構成要素が介在する形態を含む。例えば、電解質層112と空気極114との間に他の層が設けられていてもよい。このような構成であっても、空気極114と燃料極116とは電解質層112を挟んで互いに対向すると言える。
また、上記実施形態では、燃料ガスに含まれる水素と酸化剤ガスに含まれる酸素との電気化学反応を利用して発電を行うSOFCを対象としているが、本発明は、水の電気分解反応を利用して水素の生成を行う固体酸化物形電解セル(SOEC)の構成単位である電解セル単位や、複数の電解セル単位を備える電解セルスタックにも同様に適用可能である。なお、電解セルスタックの構成は、例えば特開2016−81813号に記載されているように公知であるためここでは詳述しないが、概略的には上述した実施形態における燃料電池スタック100と同様の構成である。すなわち、上述した実施形態における燃料電池スタック100を電解セルスタックと読み替え、発電単位102を電解セル単位と読み替え、単セル110を電解単セルと読み替えればよい。ただし、電解セルスタックの運転の際には、空気極114がプラス(陽極)で燃料極116がマイナス(陰極)となるように両電極間に電圧が印加されると共に、連通孔108を介して原料ガスとしての水蒸気が供給される。これにより、各電解セル単位において水の電気分解反応が起こり、燃料室176で水素ガスが発生し、連通孔108を介して電解セルスタックの外部に水素が取り出される。このような構成の電解セル単位および電解セルスタックにおいても、上記実施形態と同様に、隣接する2つの金属製の部材を接合する溶接部の突出部(溶接ビード)が一方の部材の傾斜部分における傾斜表面から突出する構成とすれば、入射エネルギー量が過度に大きくなることに起因する溶接部の不具合(例えば、ハンピング)の発生を抑制することができると共に、レーザーヘッドが損傷したりレーザーヘッドの継続使用が制限されたりすることを抑制することができる。
また、上記実施形態では、固体酸化物形燃料電池(SOFC)を例に説明したが、本発明は、溶融炭酸塩形燃料電池(MCFC)といった他のタイプの燃料電池(または電解セル)にも適用可能である。
22:ボルト 24:ナット 26:絶縁シート 27:ガス通路部材 28:本体部 29:分岐部 100:燃料電池スタック 102:燃料電池発電単位 104:エンドプレート 106:エンドプレート 108:連通孔 110:単セル 112:電解質層 114:空気極 116:燃料極 120:セパレータ 121:孔 124:接合部 130:空気極側フレーム 131:孔 132:酸化剤ガス供給連通孔 133:酸化剤ガス排出連通孔 134:空気極側集電体 135:集電体要素 140:燃料極側フレーム 141:孔 142:燃料ガス供給連通孔 143:燃料ガス排出連通孔 144:燃料極側集電体 145:電極対向部 146:インターコネクタ対向部 147:連接部 149:スペーサー 150:インターコネクタ 151:基準部分 152:傾斜部分 153:薄板部分 161:酸化剤ガス導入マニホールド 162:酸化剤ガス排出マニホールド 166:空気室 171:燃料ガス導入マニホールド 172:燃料ガス排出マニホールド 176:燃料室 400:溶接部 402:突出部

Claims (6)

  1. 電解質層と前記電解質層を挟んで第1の方向に互いに対向する空気極および燃料極とを含む単セルと、
    前記第1の方向に略直交する略平板状のインターコネクタと、
    貫通孔が形成され、前記貫通孔を取り囲む部分が前記単セルの周縁部と接合され、前記空気極に面する空気室と前記燃料極に面する燃料室とを区画するセパレータと、
    前記セパレータと前記インターコネクタとの間に配置され、前記燃料室と前記空気室との一方を構成する貫通孔が形成されたフレーム部材と、
    を備える電気化学反応単位において、
    前記インターコネクタと前記セパレータと前記フレーム部材との内、前記第1の方向に互いに隣接するいずれか2つの部材の組合せについて、
    前記2つの部材は、共に金属製であり、
    前記2つの部材の組合せの一方である特定部材は、前記第1の方向に略直交する基準表面を有する基準部分と、板厚が前記基準部分の板厚以下であり、かつ、前記第1の方向に直交する第2の方向において前記基準部分から離れるほど板厚が薄くなるような傾斜表面を有する傾斜部分と、を含み、
    前記特定部材と、前記2つの部材の組合せの他方である隣接部材と、の間を接合し、かつ、一部が前記傾斜表面から突出している溶接部が形成されており、
    前記特定部材の前記傾斜部分における前記傾斜表面と、前記特定部材に隣接する他の部材の表面との間には、前記溶接部における前記傾斜表面から突出している突出部が収容される空間が存在していることを特徴とする、電気化学反応単位。
  2. 請求項1に記載の電気化学反応単位において、
    前記基準表面に対する前記傾斜表面の平均傾斜角は、2度以上、60度以下であることを特徴とする、電気化学反応単位。
  3. 請求項1または請求項2に記載の電気化学反応単位において、
    前記傾斜表面は、略平面であり、
    前記溶接部の突出位置は、前記傾斜表面の内、前記傾斜部分の板厚の薄い側の端点からの前記第2の方向における距離が0.5mmより短い範囲と、前記傾斜部分の板厚の厚い側の端点からの前記第2の方向における距離が前記第2の方向における前記傾斜部分の全幅の1/4より短い範囲を除いた範囲内にあることを特徴とする、電気化学反応単位。
  4. 請求項1または請求項2に記載の電気化学反応単位において、
    前記傾斜表面は、凹曲面であり、
    前記溶接部の突出位置は、前記傾斜表面の内、前記第1の方向および前記第2の方向に平行な断面における前記基準表面に対する前記傾斜表面の接線の傾斜角が2度以上、60度以下の範囲内にあることを特徴とする、電気化学反応単位。
  5. 請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の電気化学反応単位において、
    前記電気化学反応単位は、燃料電池発電単位であることを特徴とする、電気化学反応単位。
  6. 前記第1の方向に並べて配置された複数の電気化学反応単位を備える電気化学反応セルスタックにおいて、
    前記複数の電気化学反応単位の少なくとも1つは、請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の電気化学反応単位であることを特徴とする、電気化学反応セルスタック。
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