ここで、異常発生時や速報データ受信時に適切な処置を行うために、多数の映像モニター、多数のPC、多数のボタンの中から、確認が必要な映像モニターや操作が必要なPC及びボタンを瞬時に選定して取り扱うことは、習熟した運行監視者であっても困難であった。又、特許文献1の発明は、アナログ放送時代のものであって、地上デジタル放送等にそのまま使用することはできない。
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、運行監視業務の負担を軽減し、放送の信頼性を向上することにある。
(発明の態様)
以下の発明の態様は、本発明の構成を例示するものであり、本発明の多様な構成の理解を容易にするために、項別けして説明するものである。各項は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。そのため、発明を実施するための最良の形態を参酌しつつ、各項の構成要素の一部を置換し、削除し、又は、更に他の構成要素を付加したものについても、本願発明の技術的範囲に含まれ得るものである。
(1)テレビ放送局の主調整室において運行監視者が複数のシステム機器を使用して行う運行監視業務を支援するシステムであって、運行監視者から当該システムに対する操作が入力されると共に、運行監視者に対して画面を表示するためのコンソール部と、前記複数のシステム機器及び前記コンソール部に接続され、前記コンソール部から入力される操作の伝達先、及び、前記コンソール部に表示させる操作画面の提供元を、前記複数のシステム機器の中で切り替える操作切替部と、前記複数のシステム機器及び前記コンソール部に接続され、前記コンソール部に表示させる映像モニター画面の提供元を、前記複数のシステム機器の中で切り替える映像切替部と、システム全体を制御する制御部と、を含み、該制御部は、前記複数のシステム機器から入力されるトリガ信号に応じて、前記複数のシステム機器の中から、運行監視者により操作されるべきシステム機器と、運行監視者に対して表示するべき前記映像モニター画面を提供しているシステム機器とを選択し、該選択結果に基づいて前記操作切替部及び前記映像切替部を制御する運行監視業務支援システム。
本項に記載の運行監視業務支援システムは、主調整室に設置される複数のシステム機器を使用した運行監視業務を支援するものであり、コンソール部、操作切替部、映像切替部、及び制御部を含んでいる。コンソール部は、運行監視者から運行監視業務支援システムに対して入力される操作を受け、その操作内容を操作切替部や制御部へと伝達する。更に、コンソール部は、運行監視者に対して様々な画面を表示する役割も担う。操作切替部は、コンソール部を介して操作されるシステム機器を、主調整室の複数のシステム機器の中で切り替えるものであり、複数のシステム機器とコンソール部とに接続される。すなわち、操作切替部は、コンソール部から入力される操作を切り替え先のシステム機器に対して伝達すると共に、切り替え先のシステム機器の操作画面をコンソール部へ送信する。映像切替部は、操作切替部と同じく複数のシステム機器とコンソール部とに接続され、コンソール部に表示される映像モニター画面を提供するシステム機器を、複数のシステム機器の中で切り替えるものである。この際、映像切替部からコンソール部へ送信される映像モニター画面は2つ以上であってもよく、映像モニター画面を提供するシステム機器も2台以上であってもよい。
制御部は、運行監視業務支援システム全体を制御するものであって、運行監視業務支援システムの他の構成要素や、複数のシステム機器と接続され、システム制御の1つとして以下のような制御を行う。すなわち、制御部は、複数のシステム機器から入力されるトリガ信号に応じて、複数のシステム機器の中から、運行監視者により操作されるべきシステム機器と、運行監視者に対して表示するべき映像モニター画面を提供しているシステム機器とを選択する。その結果、運行監視者により操作されるべきシステム機器として選択されたシステム機器が、コンソール部から操作されるように、操作切替部の切り替え先を制御する。更に、制御部は、運行監視者に対して表示するべき映像モニター画面を提供しているシステム機器として選択されたシステム機器が、コンソール部に対して映像モニター画面を提供するように、映像切替部の切り替え先を制御する。
これにより、操作が必要なシステム機器がコンソール部から操作されるようになるため、そのシステム機器の設置場所までの移動や、操作するべきシステム機器を判断する時間等が不要になり、迅速に対応されるものとなる。又、必要とする映像モニター画面がコンソール部に表示されるため、トリガ信号に応じた各オペレーション時や異常発生時等、画像確認が必要な場合に、短時間でかつ確実に状況確認が行われるものとなる。従って、経験が少ない運行監視者が業務を行う場合や、異常発生時等の緊急時であっても、的確な処置が迅速に行われるものとなり、延いては、業務負担の軽減等の大幅な業務改善と、放送の信頼性や安全性の向上とに貢献するものとなる。しかも、本運行監視業務支援システムは、操作切替部や映像切替部等を介した制御により、既設のシステム機器を改修する必要なく導入されるものである。
(2)上記(1)項において、前記制御部は、前記複数のシステム機器から入力されるトリガ信号に応じて、該トリガ信号が示す事象に対処するために実行するべき複数の操作を、前記複数のシステム機器に対する操作の中から選定し、前記複数の操作をまとめて行うための少なくとも1つの操作ボタンを、前記コンソール部に表示させる運行監視業務支援システム。
本項に記載の運行監視業務支援システムは、複数のシステム機器から入力されるトリガ信号が示す事象に対処するために、複数の操作をまとめて行うための操作ボタンを、制御部がコンソール部に表示させるものである。そのために、制御部は、入力されたトリガ信号が示す事象に対処するために実行するべき複数の操作を、複数のシステム機器に対する操作の中から選定する。そして、選定した複数の操作をまとめて行うための操作ボタンを、コンソール部に少なくとも1つ表示させる。すなわち、操作ボタンは2つ以上であってもよく、この場合は各操作ボタンに割り当てられた複数の操作が操作ボタン間で互いに異なるものになり、複数の操作を段階的に行わせるようになっていてもよい。又、操作ボタンに割り当てられる複数の操作は、システム機器を構成するPCを操作するものであってもよく、システム機器に設けられたボタンを疑似的に押下するものであってもよい。
このような構成によって、制御部は、コンソール部に表示させた操作ボタンが運行監視者により操作されると、その操作ボタンに割り当てられた複数の操作が、該当するシステム機器に対して実行されるように制御を行う。これにより、複数のシステム機器の各々を構成する複数のPCに対する操作や、各システム機器に設けられた多数のボタンの中から選定された、トリガ信号が示す事象に対処するための複数の操作が、操作ボタンの押下によってまとめて行われるようになるため、的確な操作がより確実に行われるものとなる。更に、複数の操作ボタンを表示させた場合に、操作ボタンやその周り等を色分け表示して、優先度や押下の順序を示唆することとすれば、操作の的確度がより一層向上されるものとなる。又、運行監視者は操作ボタンを押下すればよいため、運行監視者があまり詳しくないシステム機器に対しても、的確な操作が行われるものとなる。
(3)上記(2)項において、前記コンソール部は、前記操作画面を表示するための第1表示部と、複数の前記映像モニター画面を同時に表示するための第2表示部と、前記操作ボタンを表示するための第3表示部とを含み、少なくとも前記第3表示部が、タッチパネル式の入力表示装置により構成される運行監視業務支援システム。
本項に記載の運行監視業務支援システムは、コンソール部が第1表示部から第3表示部までを含むものであり、このうちの第1表示部は、操作切替部を介して提供される、操作切替部の切り替え先のシステム機器の操作画面を表示するものである。又、第2表示部は、映像切替部を介して提供される、映像切替部の切り替え先の1台以上のシステム機器からの、複数の映像モニター画面を同時に表示するものである。更に、第3表示部は、上記(2)項に記載した1つ以上の操作ボタンを表示するものである。これにより、複数の表示が機能的に分けられながらもコンソール部においてまとめて表示され、同一視界内で全ての確認が行われるものとなる。しかも、少なくとも第3表示部が、タッチパネル式の入力表示装置により構成されていることで、直感的かつ容易に操作ボタンの押下が行われるものとなる。
(4)上記(2)(3)項において、前記複数のシステム機器として、少なくとも、複数の映像音声信号を切り替えて放送用信号を作成し、該放送用信号を圧縮して複数の送信所へ送信するマスターシステムと、速報データを受信して文字スーパーを作成し、該文字スーパーを送出する速報システムと、前記複数のシステム機器の異常を監視し、異常が発生した場合に通知を行うアラーム監視システムと、CM素材と番組素材とテロップ素材との3種の素材を保持し、該3種の素材の各々を素材毎に複数の出力系統から出力するための統合バンクと、前記複数の送信所の各々に設置される放送機の監視及び制御を行うための放送機リモコンと、が含まれる運行監視業務支援システム。
本項に記載の運行監視業務支援システムは、複数のシステム機器に少なくとも、マスターシステム、速報システム、アラーム監視システム、統合バンク、及び放送機リモコンが含まれるものである。マスターシステムは、主調整室のメイン装置であって、複数の映像音声信号を切り替えて放送用信号を作成し、この放送用信号を圧縮して複数の送信所へ送信すること等を行い、そのために他の様々なシステム機器と連携する。速報システムは、受信した速報データから文字スーパーを作成して送出する装置であって、アラーム監視システムは、複数のシステム機器の異常を監視し、異常が発生した場合に通知を行う装置であり、この通知は制御部へ入力されるトリガ信号としても利用される。
又、統合バンクは、CM素材と番組素材とテロップ素材との3種の素材を保持し、これら3種の素材の各々を素材毎に複数の出力系統から出力する装置であり、換言すれば、CM素材を出力する複数の出力系統と、番組素材を出力する複数の出力系統と、テロップ素材を出力する複数の出力系統とを含んでいる。放送機リモコンは、複数の送信所の各々に設置される放送機の監視及び制御を遠隔で行うための装置である。このように、運行監視業務に必要な各装置が複数のシステム機器に含まれていることで、本運行監視業務支援システムによる業務支援の品質が向上するものである。
(5)上記(4)項において、前記制御部は、前記統合バンクにおいて出力の異常が発生したことを示すトリガ信号を、前記アラーム監視システムから受信した場合に、前記3種の素材毎の前記複数の出力系統からの映像と、前記マスターシステムにおいて圧縮される前の前記放送用信号による映像とを、複数の前記映像モニター画面として前記コンソール部に同時に表示させると共に、前記複数の出力系統の中で使用する系統を切り替えるための前記操作ボタンを、前記コンソール部に表示させる運行監視業務支援システム。
本項に記載の運行監視業務支援システムは、統合バンクにおいて出力の異常が発生したことを示すトリガ信号を、制御部がアラーム監視システムから受信した場合の制御を規定するものである。この場合、制御部は、運行監視者に対して表示するべき映像モニター画面を提供しているシステム機器として、統合バンクとマスターシステムとを選択する。
そして、制御部は、統合バンクに保持されている3種の素材のうち、何れか1つの素材を出力している複数の出力系統からの映像と、マスターシステムにおいて圧縮される前の放送用信号による映像とを、統合バンク及びマスターシステムから映像切替部を介してコンソール部へと提供し、複数の映像モニター画面としてコンソール部に同時に表示させる。このとき、コンソール部に表示させる映像の提供元の素材は、CM素材と番組素材とテロップ素材との中から、異常が発生した出力系統を含む素材であることが好ましく、又、映像を表示させる素材を、3つの素材の中から選択できるようにしてもよい。一方、制御部は、運行監視者により操作されるべきシステム機器として、統合バンクを選択する。そして、統合バンクに保持されている3種の素材のうち、例えば選択中の1つの素材について、複数の出力系統の中で使用する系統を切り替えるための操作ボタンを、コンソール部に表示させる。この操作ボタンが操作されると、制御部は、統合バンクを制御して、出力系統の切り替えを実行させる。
ここで、従来は、バンク出力で異常が発生した場合、モニターにより出力系統毎に出力状況を確認し、更に場所を移動して、出力系統を切り替えるための専用のボタンを押す必要があった。このため、状況把握に時間がかかり、対応に時間を要していた。しかしながら、本項に記載の運行監視業務支援システムは、上述したような構成であるため、統合バンクの複数の出力系統からの映像と、圧縮前の放送用信号による映像とが、コンソール部においてまとめて確認されながら、出力系統の切り替え操作が行われることになる。これにより、統合バンクの異常状況の把握時間と、適切な処置が行われるまでの時間とが短縮され、送出の安全性が向上されるものである。
(6)上記(4)(5)項において、前記制御部は、前記複数の送信所の中で前記放送機の異常が発生した送信所があることを示すトリガ信号を、前記アラーム監視システムから受信した場合に、前記マスターシステムにおいて圧縮された後の前記放送用信号による映像と、前記放送機の異常が発生している送信所からの電波を受信したチューナーからの映像とを、複数の前記映像モニター画面として前記コンソール部に同時に表示させると共に、前記放送機の異常が発生している送信所についての、前記放送機リモコンの前記操作画面と、前記放送機をリセットするための前記操作ボタンと、前記放送機が複数の放送系統を有する場合は該放送系統を切り替えるための前記操作ボタンとを、前記コンソール部に表示させる運行監視業務支援システム。
本項に記載の運行監視業務支援システムは、複数の送信所の中で放送機の異常が発生した送信所があることを示すトリガ信号を、制御部がアラーム監視システムから受信した場合の制御を規定するものである。この場合、制御部は、運行監視者に対して表示するべき映像モニター画面を提供しているシステム機器として、マスターシステムを選択する。そして、マスターシステムにおいて圧縮された後の放送用信号による映像と、放送機の異常が発生している送信所からの電波を受信したチューナーからの映像とを、マスターシステムから映像切替部を介してコンソール部へと提供し、複数の映像モニター画面としてコンソール部に同時に表示させる。このとき、マスターシステムにおいて放送用信号が現用と予備用とのように2系統以上ある場合は、それら全ての系統の放送用信号による映像を表示させてもよい。
一方、制御部は、運行監視者により操作されるべきシステム機器として、放送機リモコンを選択する。そして、放送機の異常が発生している送信所に対応した放送機リモコンの操作画面を、コンソール部に表示させる。加えて、制御部は、放送機の異常が発生している送信所について、放送機をリセットするための操作ボタンを、コンソール部に表示させる。更に、制御部は、放送機の異常が発生している送信所の放送機が、複数の放送系統を有している場合に限り、それら複数の放送系統の中で使用する放送系統を切り替えるための操作ボタンを、コンソール部に表示させる。これらの操作ボタンが操作されると、制御部は、放送機リモコンを制御して、異常が発生している送信所の放送機のリセットや放送系統の切り替えを実行させる。
ここで、従来は、送信所の放送機で異常が発生した場合、送り返し映像モニターによるオンエア状況の確認と、放送機リモコンの画面による異常発生状況の把握が必要であった。又、運行監視者は、通常、送信所の設備には詳しくないため、状況を送信担当者へ連絡した後、対応を行う必要があった。このような理由により、放送機の異常発生時の対応が非常に遅れるケースが多かった。しかしながら、本項に記載の運行監視業務支援システムは、上述したような構成であるため、圧縮後の放送用信号による映像と、放送機の異常が発生している送信所からの電波による映像と、異常が発生している放送機の操作画面とが、コンソール部においてまとめて確認されながら、放送機のリセット操作や、放送機の放送系統切り替え操作が行われることになる。これにより、送信設備に詳しくない運行監視者であっても、異常の原因がマスターシステムにあるか放送機にあるか等の判断が適切かつ迅速に行われ、異常発生時の対応時間が大幅に短縮されると共に、異常の影響が最小限に止められるものとなる。
(7)上記(4)から(6)項において、前記制御部は、前記速報データを受信したことを示すトリガ信号を前記速報システムから受信した場合に、前記マスターシステムにおいて圧縮される前の前記放送用信号による映像と、前記マスターシステムから出力される、前記文字スーパーのプレビュー表示が反映されるプレビュー映像と、オンエアの電波を受信したチューナーからの映像とを、複数の前記映像モニター画面として前記コンソール部に同時に表示させると共に、前記文字スーパーのプレビュー表示を行うための前記操作ボタンと、前記文字スーパーの送出を行うための前記操作ボタンとを、前記コンソール部に表示させる運行監視業務支援システム。
本項に記載の運行監視業務支援システムは、速報データを受信したことを示すトリガ信号を、制御部が速報システムから受信した場合の制御を規定するものである。この場合、制御部は、運行監視者に対して表示するべき映像モニター画面を提供しているシステム機器として、マスターシステムを選択する。そして、マスターシステムにおいて圧縮される前の放送用信号による映像と、文字スーパーのプレビュー表示が反映されるプレビュー映像と、オンエアの電波を受信したチューナーからの映像とを、マスターシステムから映像切替部を介してコンソール部へと提供し、複数の映像モニター画面としてコンソール部に同時に表示させる。このとき、マスターシステムにおいて放送用信号が現用と予備用とのように2系統以上ある場合は、現用の放送用信号による映像を表示させるようにし、更に現用の12セグと1セグとの双方の放送用信号による映像を表示させてもよい。一方、制御部は、運行監視者により操作されるべきシステム機器として、マスターシステムを選択する。そして、速報データを受けた速報システムにおいて作成された文字スーパーの、プレビュー表示を行うための操作ボタンと、送出を行うための操作ボタンとを、コンソール部に表示させる。これらの操作ボタンが操作されると、制御部は、マスターシステムを制御して、速報の文字スーパーのプレビューや送出を実行させる。
ここで、従来は、速報送出を行う際に、CMまでの時間確認と、各映像モニターを切り替えてのプレビュー及びオンエアチェックが必要であった。又、速報スーパーのプレビューや送出のために、主調整室のどのボタンを押すかを運行監視者が判断する必要があり、操作ミスによって速報を正常に送出できないケースもあった。しかしながら、本項に記載の運行監視業務支援システムは、上述したような構成であるため、圧縮前の放送用信号による映像と、文字スーパーのプレビュー映像と、オンエアの映像とが、コンソール部においてまとめて確認されながら、文字スーパーのプレビュー及び送出が行われることになる。これにより、速報送出の安全性が向上されると共に、速報送出までの時間が短縮されるものとなる。
本発明はこのように構成したので、運行監視業務の負担を軽減し、放送の信頼性を向上することが可能となる。
以下、本発明の実施の形態を図面に基づき説明する。ここで、図面の全体にわたって、同一部分又は対応する部分は、同一符号で示している。又、従来技術と同一部分、若しくは相当する部分については、詳しい説明を省略する。
図1は、テレビ放送局の主調整室において、運行監視者が複数のシステム機器70を使用して行う運行監視業務を支援する、本発明の実施の形態に係る運行監視業務支援システム10の構成の一例を示している。なお、ここでの運行監視者とは、純粋な運行監視者のみにあらず、運行監視業務に携わる全ての人物を指すものとする。図示のように、運行監視業務支援システム10は、コンソール部20、操作切替部40、映像切替部50、及び制御部60を含んでいる。
コンソール部20は、運行監視者に対して様々な情報を提示し、又、運行監視者から本運行監視業務支援システム10に対する操作が入力されるものである。そのために、コンソール部20は、第1表示部22、第2表示部24、第3表示部26、第4表示部28、キーボード36、及びマウス38を含んでいる。第1表示部22は、操作切替部40を経由して複数のシステム機器70から送られる操作画面を表示するものであり、第2表示部24は、映像切替部50を経由して複数のシステム機器70から送られる映像モニター画面を表示するものである。又、第2表示部24は、例えば図3〜図5に示すように、本実施形態では第1分割画面24a〜第4分割画面24dの4つの画面に分割されるようになっており、分割画面間で異なる映像モニター画面を表示する。なお、第2表示部24の画面分割数が、1〜4で切り替えられるようになっていてもよく、4つより多くの画面に分割されてもよい。
第3表示部26は、後述するように制御部60からの制御を受けて各種の操作ボタンBT(図3〜図5参照)を表示するものであり、第4表示部28は、各種のメニューを表示するためのものである(図3〜図5参照)。ここで、図2を参照して、本実施形態のコンソール部20は、第1表示部22がディスプレイ装置32により構成され、第2表示部24、第3表示部26、及び第4表示部28が、タッチパネル式の入力表示装置34により構成されている。すなわち、ディスプレイ装置32では、システム機器70の操作画面を表示し、入力表示装置34では、映像モニター画面と操作ボタンBTとメニューとを表示すると共に、これらに対する操作が入力表示装置34の画面から直接行えるようになっている。キーボード36及びマウス38は、運行監視業務支援システム10への操作を入力するためのものであって、それらの操作に、ディスプレイ装置32に表示される操作画面での操作や、入力表示装置34に表示される操作ボタンBT及びメニューに対する操作が含まれていてもよい。なお、第1表示部22〜第4表示部28の分け方は任意であり、図2の例に限定されるものではない。
図1に戻り、操作切替部40は、コンソール部20から入力される操作を伝達するシステム機器と、コンソール部20に表示させる操作画面を提供するシステム機器とを、複数のシステム機器70の中で切り替えるものである。このとき、操作の伝達先のシステム機器と、操作画面の提供元のシステム機器とは、同じであっても異なっていてもよく、夫々のシステム機器が複数であってもよい。操作切替部40による複数のシステム機器70の中での切り替えは、後述するように制御部60からの制御を受けて行われる。このために、操作切替部40は、コンソール部20、制御部60、及び複数のシステム機器70の各々に接続される。このような操作切替部40は、例えばKVMスイッチにより構成される。
映像切替部50は、コンソール部20に表示させる映像モニター画面を提供するシステム機器を、複数のシステム機器70の中で切り替えるものである。このとき、コンソール部20の第2表示部24では複数の映像モニター画面を同時に表示できることから、映像モニター画面の提供元のシステム機器が複数であってもよい。映像切替部50による複数のシステム機器70の中での切り替えは、後述するように制御部60からの制御を受けて行われる。このために、映像切替部50は、コンソール部20、制御部60、及び複数のシステム機器70の各々に接続される。このような映像切替部50は、例えばビデオルーターにより構成される。
制御部60は、運行監視業務支援システム10の全体を制御するものであって、コンソール部20、操作切替部40、及び映像切替部50に接続される。制御部60は、コンソール部20に対しては、例えば入力表示装置34の表示レイアウトの制御等を行い、コンソール部20からは、例えば入力表示装置34へのタッチパネル入力等を受ける。又、制御部60は、上述したように、操作切替部40に対して、複数のシステム機器70の中での接続先の切り替え制御を行い、映像切替部50に対しても、複数のシステム機器70の中での接続先の切り替え制御を行う。更に、制御部60は、トリガ信号を受けるため、及び制御を行うために、複数のシステム機器70に対しても接続される。
例えば、制御部60は、複数のシステム機器70の何れかのシステム機器からトリガ信号が入力されると、入力されたトリガ信号が示す事象に応じて、複数のシステム機器70の中から、運行監視者により操作されるべきシステム機器と、運行監視者に対して表示するべき映像モニター画面を提供しているシステム機器とを選択する。そして、操作されるべきものとして選択されたシステム機器が、コンソール部20から操作されるように、操作切替部40の切り替え先を制御し、表示するべきものとして選択されたシステム機器が、コンソール部20へ映像モニター画面を提供するように、映像切替部50の切り替え先を制御する。
更に、制御部60は、入力されたトリガ信号が示す事象に対処するために実行するべき複数の操作を、複数のシステム機器70に対する操作の中から選定し、選定した複数の操作をまとめて行うための操作ボタンBTを、コンソール部20に表示させる。このようなトリガ信号を受けての各種の制御内容、すなわち、操作切替部40や映像切替部50の切り替え先のシステム機器や、コンソール部20に表示させる操作ボタンBT等は、トリガ信号の種類毎に予め設定されているものとする。これらの制御の具体的な内容については、後ほど詳しく説明する。なお、制御部60は、上記のような各種の制御が行える任意のサーバー機器等により構成される。又、制御部60による複数のシステム機器70の制御は、例えば、キーボードエンコーダを利用して、各機器のソフトウェアの制御に適した信号を送信することで実現される。
次に、複数のシステム機器70について説明するが、複数のシステム機器70に含まれる各装置は、運行監視業務支援システム10自体を構成するものではなく、従来から存在するものであるため、簡単に説明するものとする。図1に示すように、本実施形態では、複数のシステム機器70として、マスターシステム72、速報システム74、データサーバー76、アラーム監視システム78、統合バンク82、放送機リモコン84、TS監視装置86、L字送出システム88、緊急地震速報システム92、WEB配信システム94、及びArcast96が含まれている。しかしながら、これらとは別の装置が含まれていてもよく、これらの一部の装置が含まれていなくてもよい。
マスターシステム72:運行監視業務支援システム10が設置されたテレビ局とは別のキー局や各系列局、運行監視業務支援システム10が設置されたテレビ局のスタジオ、統合バンク82(CMバンク及び番組バンク)等からの映像音声信号を秒単位で切り替えて、一つの放送用信号として複数の送信所へ信号を送る装置である。CMバンクや番組バンクのスタート制御も行う。なお、マスターシステム72は、複数のシステム機器70に含まれる後述する他の装置や、主調整室に設置される別の装置等と連携して、上記のような制御を行うものであって、場合によってはそれらの装置の一部を構成していることがあり、反対にそれらの装置によりマスターシステム72の一部が構成されていることもある。
速報システム74:気象速報(気象警報、地震速報、津波警報等)及びニュース速報(キー局及びローカル局の速報)について、速報データを受信し、速報データに基づいた文字スーパーを作成後、マスターシステム72のボタン操作で送出する装置である。運行監視業務支援システム10を介した制御については後述する。
データサーバー(DS)76:運行データ(放送進行データ)を一元管理するシステムである。APC(映像音声を切り替えるシステム)、統合バンク82、SI/EPGサーバー(EPG番組表の信号を出すシステム)、及びデータ放送設備のシステム等に対して、運行データを送る。又、運行データの作成や変更等も行い、例えば、スポーツ中継等で以降の番組開始時刻が変更になる場合に、その変更処理も行う。運行監視業務支援システム10を介して、映像モニター画面の表示対象及びPC操作対象として手動により切り替えられ、運行データの変更及びその後の確認等が行われる。
アラーム監視システム78:主調整室にある様々な装置の異常を一括で管理し、運行監視者へ異常を通知するシステムである。運行監視業務支援システム10を介して、自動で映像モニター画面の表示対象及びPC操作対象として切り替わり、瞬時に異常箇所が把握される。
統合バンク82:ローカルCMを送出するCMバンクと、ローカル番組を送出する番組バンクと、テロップ(提供スーパー等)を送出するVAFとの、3つのシステムが統合され1つとなったシステムである。CM素材、番組素材、VAF素材(テロップ素材)は、予め統合バンク82のメモリーにファイリングされ、APCからの指示により、自動で該当素材がスタート、送出される。本実施形態では、CM、番組、VAFの夫々が3重化され、各素材が3つの出力系統(A系、B系、X系)から出力される。運行監視業務支援システム10を介した制御については後述する。
放送機リモコン84:電波を送信する送信所の放送機の監視及び制御をする装置である。放送機の異常があった場合は、放送機リモコン84から運行監視者へ異常が通知される。又、放送機が二重化されている場合の切替制御や、放送終了後の停止制御等を行う。運行監視業務支援システム10を介した制御については後述する。
TS監視装置86:マスターシステム72の最終段において、圧縮処理されてTS(トラスポート・ストリーム)形式の信号に変換された映像・音声信号(TS信号)の中身を常時監視し、異常があった場合に運行監視者へ異常を通知する装置である。TS信号に異常があった場合に、運行監視業務支援システム10を介して、映像モニター画面の表示対象及びPC操作対象として自動で切り替わり、信号の異常が確認される。
L字送出システム88:台風や地震等の情報を画面の左側及び下側にL型で表示させるための装置である。運行監視業務支援システム10を介して、映像モニター画面の表示対象、PC操作対象、及び操作ボタンBTの表示対象等として手動で切り替え制御が行われ、操作ボタンBTが押されることでL字送出が行われる。
緊急地震速報システム92:緊急地震速報として、スーパー及び音声を送出するシステムである。速報が受信された時点で、運行監視業務支援システム10を介して、映像モニター画面の表示対象及びPC操作対象として自動で切り替え制御が行われ、速報送出の状況が確認される。
WEB配信システム94:ネット番組において、運行データが変更になった場合に、運行監視者へ通知するシステムである。運行監視業務支援システム10を介して、PC操作対象として手動で切り替え制御が行われ、データ変更内容の確認が行われる。
Arcast96:キー局や各系列局間で映像、音声の受け渡しをしている民放回線の、回線接続や接続先変更を行うシステムである。運行監視業務支援システム10を介して、PC操作対象として手動で切り替え制御が行われ、回線接続処理等が行われる。
ここで、図1に示す構成要素間の接続は、直接的或いは他の機器等を介して間接的に通信可能に接続されていることを示しており、それらの接続方法は、各要素を構成している機器に応じた任意の接続方法であってよく、そのような接続方法には、無線接続、有線接続、インターネットを介した接続等が含まれる。又、本発明の実施の形態に係る運行監視業務支援システム10は、図1に示すような構成に限定されるものでなく、図1に示された複数の構成要素の一部が削除又は置換されたものであってもよく、新たな構成要素が追加されたものであってもよい。更に、図1の各構成要素は、運行監視業務支援システム10の構成を機能的に分けて示したものであって、運行監視業務支援システム10を実際に構成する各機器と1対1で対応していなくてもよい。
続いて、本発明の実施の形態に係る運行監視業務支援システム10による制御について、より具体的な例を挙げて説明する。運行監視業務支援システム10の構成については、適宜、図1及び図2を参照されたい。
まず、図3には、バンク出力の異常が発生した場合にコンソール部20の入力表示装置34に表示される、第2表示部24、第3表示部26、及び第4表示部28の表示例を示している。なお、第2表示部24に表示される映像モニター画面の具体的な図示は省略している。図3のような表示は、バンクの出力に異常が発生したことを示すトリガ信号が、アラーム監視システム78から制御部60へ入力されて、制御部60により映像切替部50及びコンソール部20が制御されることで、自動で表示される。
すなわち、制御部60は、バンク出力の異常発生を示すトリガ信号が入力されると、映像切替部50を制御して、統合バンク82から提供される映像と、マスターシステム72から提供される映像とを、コンソール部20へ伝達させる。本実施形態の統合バンク82は、上述したように、番組バンクの3つの出力系統と、CMバンクの3つの出力系統と、VAFの3つの出力系統とを有しており、コンソール部20へ伝達される映像が、第4表示部28に表示されるメニューの操作によって、番組バンクとCMバンクとVAFとの間で切り替えられるようになっている。図3の第4表示部28では、左側の大メニュー欄で「統合バンク」が選択され、右側の小メニュー欄で「番組バンク」が選択された状態であるため、第2表示部24の第1分割画面24a〜第3分割画面24cに、番組バンクの3つの出力系統からの映像が表示される。具体的に、A系出力の映像が第1分割画面24aに表示され、B系出力の映像が第2分割画面24bに表示され、X系出力の映像が第3分割画面24cに表示される。
又、第4表示部28のメニューで「CMバンク」が選択されると、CMバンクの3つの出力系統からの映像が、第1分割画面24a〜第3分割画面24cに表示され、第4表示部28のメニューで「VAF」が選択されると、VAFの3つの出力系統からの映像が、第1分割画面24a〜第3分割画面24cに表示される。バンク出力の異常発生を示すトリガ信号が制御部60へ入力されたときに、第1分割画面24a〜第3分割画面24cに初めに表示される映像は、異常が発生した出力系統を含むバンクの映像である。なお、第1分割画面24a〜第3分割画面24cに表示される3つの出力系統の映像のうち、現在使用されている出力系統の映像は、各映像の上部または下部に「現用」と表示されて判別できるようになっている。一方、マスターシステム72からコンソール部20へ提供される映像は、マスターシステム72で取り扱っている複数の映像のうち、TS信号に圧縮される前の放送用信号のもので現在使用中の系統からの映像である。このマスターシステム72から提供される映像は、第2表示部24の第4分割画面24dに表示される。
更に、制御部60は、バンク出力の異常発生を示すトリガ信号が入力されると、コンソール部20を制御して、各バンクの出力系統を切り替えるための操作ボタンBT1〜BT6を、第3表示部26に表示させる。これらの操作ボタンBT1〜BT6は、第4表示部28の小メニュー欄で選択されているバンク(番組バンク、CMバンク、又はVAFの何れか)に対して機能するものであり、各ボタンがタッチされることで、各ボタンに割り当てられた操作が実行される。A系選択操作ボタンBT1は、3つの出力系統の中のA系出力を選択するものであって、B系選択操作ボタンBT2は、3つの出力系統の中のB系出力を選択するものである。又、X系選択操作ボタンBT3は、3つの出力系統の中のX系出力を選択するものであって、切り替え実行操作ボタンBT4は、選択中の出力系統への切り替えを実行するためのものである。なお、操作ボタンBT5は、A系、B系の出力系統の選択をバンク側で自動で行うか、或いは、運行監視業務支援システム10から手動で行うかを選択するためのものであり、操作ボタンBT6は、出力系統の選択状態をキャンセルするものである。
ここで、図3の実施形態では、第2表示部24の第1分割画面24a〜第3分割画面24cの何れかにタッチされることによっても、出力系統の選択が行われるようになっている。すなわち、第1分割画面24aがタッチされると、A系選択操作ボタンBT1がタッチされた場合と同様に、A系出力が選択された状態になり、第2分割画面24bがタッチされると、B系選択操作ボタンBT2がタッチされた場合と同様に、B系出力が選択された状態になる。同じく、第3分割画面24cがタッチされると、X系選択操作ボタンBT3がタッチされた場合と同様に、X系出力が選択された状態になる。
A系、B系、又はX系の何れかの出力系統が選択された状態で、切り替え実行操作ボタンBT4がタッチされると、制御部60は、統合バンク82を制御して、選択中の出力系統への切り替えを実行させる。このため、運行監視者は、第2表示部24の第1分割画面24a〜第3分割画面24cに表示される、3つの出力系統の映像を確認しながら、異常が発生していない系統を選択して、切り替え実行の操作を行えばよい。なお、制御部60がバンク出力の異常発生を示すトリガ信号を受信しなくても、第4表示部28に表示されるメニューの手動操作を受けて、図3のような各バンクの出力系統を切り替えるための表示が、第2表示部24及び第3表示部26に表示される。
次に、図4には、送信設備で異常が発生した場合にコンソール部20の入力表示装置34に表示される、第2表示部24、第3表示部26、及び第4表示部28の表示例を示している。なお、第2表示部24に表示される映像モニター画面の具体的な図示は省略している。図4のような表示は、送信設備に異常が発生したことを示すトリガ信号が、アラーム監視システム78から制御部60へ入力されて、制御部60により映像切替部50及びコンソール部20が制御されることで、自動で表示される。すなわち、制御部60は、送信設備の異常発生を示すトリガ信号が入力されると、映像切替部50を制御して、マスターシステム72から提供される映像を、コンソール部20へ伝達させる。マスターシステム72から提供される映像は、TS信号に圧縮された後の放送用信号のもので現用及び予備用の2つの系統の映像と、異常が発生している送信所の送信波を受信したチューナー出力の映像とである。
そして、コンソール部20の第2表示部24では、現用の放送用信号の映像が第1分割画面24aに表示され、予備用の放送用信号の映像が第2分割画面24bに表示され、送信所からの映像が第3分割画面24cに表示される。更に、第4分割画面24dには、操作マニュアルが確認できるようなマニュアル確認画面が表示される。又、図示は省略しているが、送信設備に異常が発生したことを示すトリガ信号が入力されると、制御部60は、上述した制御と同時に操作切替部40も制御し、コンソール部20のディスプレイ装置32に、放送機リモコン84を構成するPCの、異常が発生している送信所に対応した操作画面を表示させる。更に、キーボード36及びマウス38からは、放送機リモコン84を構成するPCを介して、異常が発生している送信所の放送機を操作できるようになる。
ここで、本実施形態では、図4の第4表示部28の右側の小メニュー欄に示されているように、主調整室から8つの送信所(図4では「送信所1」〜「送信所8」と示されている)へ放送用信号を送っており、この小メニュー欄の操作によって、送信所リモコンが対応する送信所が切り替えられるようになっている。すなわち、この小メニュー欄で選択される送信所が変更されると、ディスプレイ装置32(第1表示部22)には、放送機リモコン84を構成するPCの、変更後の送信所に対応した操作画面が表示され、又、キーボード36及びマウス38からは、変更後の送信所の放送機を操作できるようになる。同時に、マスターシステム72から提供されて第3分割画面24cに表示される映像も、変更後の送信所の送信波を受信したチューナー出力映像に切り替えられる。しかしながら、異常が発生したときには、上述したように、異常が発生している送信所に対応した表示や操作環境が初めに提供される。なお、第4表示部28の右側の小メニュー欄には、実際の送信所の名称を表示してもよい。
更に、制御部60は、送信設備の異常発生を示すトリガ信号が入力されると、コンソール部20を制御して、放送機を制御するための操作ボタンBT10〜BT13を、第3表示部26に表示させる。これらの操作ボタンBT10〜BT13は、第4表示部28の小メニュー欄で選択されている送信所に対して機能するものであり、各ボタンがタッチされることで、各ボタンに割り当てられた操作が実行される。リセット操作ボタンBT10は、放送機のリセットを行うことを選択するものであって、系統切り替え操作ボタンBT11は、放送機の放送系統切り替えを行うことを選択するものである。この系統切り替え操作ボタンBT11は、放送系統が2系統ある送信所についてのみ表示或いは有効になるものである。又、実行操作ボタンBT12は、選択中の制御(リセット或いは系統切り替え)を実行するためのものである。なお、操作ボタンBT13は、リセット或いは系統切り替えの選択状態をキャンセルするものである。
リセット或いは系統切り替えが選択された状態で、実行操作ボタンBT12がタッチされると、制御部60は、放送機リモコン84を制御して、選択中の制御を実行させる。すなわち、リセットが選択された状態で実行操作ボタンBT12がタッチされると、放送機リモコン84を介して、選択中の送信所の放送機をリセットする。又、系統切り替えが選択された状態で実行操作ボタンBT12がタッチされると、放送機リモコン84を介して、選択中の送信所の放送機の放送系統を、使用中の放送系統からもう一方の放送系統へと切り替える。このため、運行監視者は、第1表示部22に表示される放送機リモコン84の操作画面と、第2表示部24の第1分割画面24a〜第3分割画面24cに表示される、現用並びに予備用の放送用信号の映像及び送信所から送信された映像とを確認しながら、放送機のリセット又は放送系統の切り替えの操作を行えばよい。なお、制御部60が送信設備の異常発生を示すトリガ信号を受信しなくても、第4表示部28の左側の大メニュー欄において手動で「送信」が選択されることで、図4のような各送信所のリセットや放送系統切り替えを行うための表示が、第2表示部24及び第3表示部26に表示される。
続いて、図5には、速報データを受信した場合にコンソール部20の入力表示装置34に表示される、第2表示部24、第3表示部26、及び第4表示部28の表示例を示している。なお、第2表示部24に表示される映像モニター画面の具体的な図示は省略している。図5のような表示は、速報データを受信したことを示すトリガ信号が、速報システム74から制御部60へ入力されて、制御部60により映像切替部50及びコンソール部20が制御されることで、自動で表示される。すなわち、制御部60は、速報データ受信を示すトリガ信号が入力されると、映像切替部50を制御して、マスターシステム72から提供される映像を、コンソール部20へ伝達させる。
マスターシステム72から提供される映像は、TS信号に圧縮される前の放送用信号のもので現在使用中の系統の12セグ及び1セグの映像と、オンエア前に速報スーパーをプレビューするための映像と、オンエアの電波を受信したチューナー出力の映像とである。そして、コンソール部20の第2表示部24では、現用の放送用信号の12セグ映像が第1分割画面24aに表示され、現用の放送用信号の1セグ映像が第2分割画面24bに表示される。又、速報スーパーのプレビュー映像が第3分割画面24cに表示され、オンエアの映像が第4分割画面24dに表示される。
更に、制御部60は、速報データ受信を示すトリガ信号が入力されると、コンソール部20を制御して、速報の文字スーパーのプレビューや送出を行うための操作ボタンBT20〜BT26を、第3表示部26に表示させる。これらの操作ボタンBT20〜BT26は、各ボタンがタッチされることで、各ボタンに割り当てられた操作が実行される。プレビュー実行操作ボタンBT20は、第3分割画面24cに表示されるプレビュー映像に文字スーパーのプレビュー表示を反映するものであって、プレビュー強制終了操作ボタンBT21は、そのプレビュー表示を強制終了するものである。又、1回目送出操作ボタンBT22は、速報の文字スーパーの1回目の送出を実行するものであって、1回目送出停止操作ボタンBT23は、文字スーパーの1回目の送出を停止するためのものである。更に、2回目送出操作ボタンBT24は、速報の文字スーパーの2回目の送出を実行するものであって、2回目送出停止操作ボタンBT25は、文字スーパーの2回目の送出を停止するためのものである。なお、操作ボタンBT26は、速報の2回目の送出までが完了し、速報の送出が終了したことを入力するためのものである。
ここで、本実施形態では、操作ボタンBT20〜BT26が表示されているウィンドウの色が、操作するべき順序に応じて変化するようになっている。すなわち、例えば、現在操作するべき操作ボタンBTを表示しているウィンドウの色が黄色等にされ、それ以外の操作ボタンBTを表示しているウィンドウの色がグレー等にされる。そして、現在操作するべき操作ボタンBTがタッチされたら、その操作ボタンBTを表示しているウィンドウの色がグレー等にされ、次に操作するべき操作ボタンBTを表示しているウィンドウの色が黄色等にされる。すなわち、この例では現在操作するべき操作ボタンBTが、常に黄色のウィンドウにより示されるようになっている。なお、図5の実施形態では、互いに関連するボタン同士である、操作ボタンBT21及びBT22と、操作ボタンBT22及びBT23と、操作ボタンBT24及びBT25との夫々が、同じウィンドウに表示されている。そして、図5には、操作ボタンBT22及びBT23を表示しているウィンドウが、現在操作するべき操作ボタンBTとして、他のウィンドウと異なる色になっている状態が示されている。
プレビュー実行操作ボタンBT20がタッチされると、制御部60は、マスターシステム72を制御して、速報の文字スーパーのプレビューを実行させる。更に、1回目送出操作ボタンBT22や2回目送出操作ボタンBT24がタッチされると、制御部60は、マスターシステム72を制御して、文字スーパーの1回目の送出や2回目の送出を実行させる。なお、速報の文字スーパーは、速報データを受信した時点で、速報システム74により自動的に作成されている。このような構成により、運行監視者は、第2表示部24に表示される現用の放送用信号の映像、文字スーパーのプレビュー映像、及びオンエアの映像を確認しながら、例えば黄色のウィンドウにより示される順番通りに操作ボタンBT20〜BT26をタッチして、文字スーパーのプレビューや送出の操作等を行えばよい。
図5に示されている第4表示部28は、左側の大メニュー欄で「速報」が選択され、右側の小メニュー欄で「速報」が選択された状態である。この状態では、上記のような速報の文字スーパーの制御が行われる。ここで、小メニュー欄に表示された「緊急地震」及び「L字送出」について簡単に説明する。緊急地震速報のデータを受信すると、制御部60は、コンソール部20を制御して、第4表示部28の小メニュー欄で「緊急地震」が選択された状態にすると共に、第2表示部24に、緊急地震速報システム92により送出される緊急地震速報のスーパー及び音声が確認できる映像を表示させる。一方、運行監視者により第4表示部28の小メニュー欄で「L字送出」が選択されると、制御部60は、コンソール部20を制御して、第3表示部26に、L字送出システム88で作成されるL字情報を送出するための操作ボタンBTを表示させると共に、第2表示部24に、L字情報が確認できる映像を表示させる。
なお、図3〜図5に示した表示例は、本発明の実施の形態に係る運行監視業務支援システム10の表示内容を限定するものではなく、例えば、第2表示部24に表示される映像、第3表示部26に表示される操作ボタンBT、及び第4表示部28に表示されるメニューの内容は、図3〜図5と異なっていてもよい。すなわち、第1表示部22〜第3表示部26には、制御部60が受信したトリガ信号や、第4表示部28のメニューで選択された内容等に応じた、適切な操作画面、映像、及び操作ボタンBTが表示されればよい。又、第4表示部28には、運行監視業務支援システム10の構成や、複数のシステム機器70に含まれる装置等に応じて、任意のメニューを表示してよい。
さて、上記構成をなす本発明の実施の形態によれば、次のような作用効果を得ることが可能である。すなわち、本発明の実施の形態に係る運行監視業務支援システム10は、図1に示すように、主調整室に設置される複数のシステム機器70を使用した運行監視業務を支援するものであり、コンソール部20、操作切替部40、映像切替部50、及び制御部60を含んでいる。コンソール部20は、運行監視者から運行監視業務支援システム10に対して入力される操作を受け、その操作内容を操作切替部40や制御部60へと伝達する。更に、コンソール部20は、運行監視者に対して様々な画面を表示する役割も担う。操作切替部40は、コンソール部20を介して操作されるシステム機器を、主調整室の複数のシステム機器70の中で切り替えるものであり、複数のシステム機器70とコンソール部20とに接続される。すなわち、操作切替部40は、コンソール部20から入力される操作を切り替え先のシステム機器に対して伝達すると共に、切り替え先のシステム機器の操作画面をコンソール部20へ送信する。映像切替部50は、操作切替部40と同じく複数のシステム機器70とコンソール部20とに接続され、コンソール部20に表示される映像モニター画面を提供するシステム機器を、複数のシステム機器70の中で切り替えるものである。
制御部60は、運行監視業務支援システム10全体を制御するものであって、運行監視業務支援システム10の他の構成要素や、複数のシステム機器70と接続され、システム制御の1つとして以下のような制御を行う。すなわち、制御部60は、複数のシステム機器70から入力されるトリガ信号に応じて、複数のシステム機器70の中から、運行監視者により操作されるべきシステム機器と、運行監視者に対して表示するべき映像モニター画面を提供しているシステム機器とを選択する。その結果、運行監視者により操作されるべきシステム機器として選択されたシステム機器が、コンソール部20から操作されるように、操作切替部40の切り替え先を制御する。更に、制御部60は、運行監視者に対して表示するべき映像モニター画面を提供しているシステム機器として選択されたシステム機器が、コンソール部20に対して映像モニター画面を提供するように、映像切替部50の切り替え先を制御する。
これにより、操作が必要なシステム機器がコンソール部20から操作できるようになるため、そのシステム機器の設置場所までの移動や、操作するべきシステム機器を判断する時間等が不要になり、迅速に対応することができる。又、必要とする映像モニター画面がコンソール部20に表示されるため、トリガ信号に応じた各オペレーション時や異常発生時等、画像確認が必要な場合に、短時間でかつ確実に状況確認を行うことができる。従って、経験が少ない運行監視者が業務を行う場合や、異常発生時等の緊急時であっても、的確な処置を迅速に行うことが可能となり、延いては、業務負担の軽減等の大幅な業務改善と、放送の信頼性や安全性の向上とに貢献することができる。しかも、本運行監視業務支援システム10は、操作切替部40や映像切替部50等を介した制御により、既設のシステム機器を改修する必要なく導入することができる。
又、本発明の実施の形態に係る運行監視業務支援システム10は、複数のシステム機器70から入力されるトリガ信号が示す事象に対処するために、複数の操作をまとめて行うための操作ボタンBT(図3〜図5参照)を、制御部60がコンソール部20に表示させるものである。そのために、制御部60は、入力されたトリガ信号が示す事象に対処するために実行するべき複数の操作を、複数のシステム機器70に対する操作の中から選定する。そして、選定した複数の操作をまとめて行うための操作ボタンBTを、コンソール部20に少なくとも1つ表示させる。
このような構成によって、制御部60は、コンソール部20に表示させた操作ボタンBTが運行監視者により操作されると、その操作ボタンBTに割り当てられた複数の操作が、該当するシステム機器に対して実行されるように制御を行う。これにより、複数のシステム機器70の各々を構成する複数のPCに対する操作や、各システム機器に設けられた多数のボタンの中から選定された、トリガ信号が示す事象に対処するための複数の操作を、操作ボタンBTの押下によってまとめて行うことができるため、的確な操作をより確実に行うことが可能となる。更に、例えば図5に示すように、複数の操作ボタンBTを表示させた場合に、操作ボタンBTやその周り等を色分け表示して、優先度や押下の順序を示唆することとすれば、操作の的確度をより一層向上させることができる。又、運行監視者は操作ボタンBTを押下すればよいため、運行監視者があまり詳しくないシステム機器に対しても、的確な操作を行うことが可能となる。
更に、本発明の実施の形態に係る運行監視業務支援システム10は、コンソール部20が第1表示部22から第3表示部26までを含むものであり、このうちの第1表示部22は、操作切替部40を介して提供される、操作切替部40の切り替え先のシステム機器の操作画面を表示するものである。又、第2表示部24は、映像切替部50を介して提供される、映像切替部50の切り替え先の1台以上のシステム機器からの、複数の映像モニター画面を同時に表示するものである。更に、第3表示部26は、操作ボタンBTを表示するものである。これにより、複数の表示を機能的に分けながらもコンソール部20においてまとめて表示し、同一視界内で全ての確認を行うことができる。しかも、例えば図2に示すように、少なくとも第3表示部26が、タッチパネル式の入力表示装置34により構成されていることで、直感的かつ容易に操作ボタンBTの押下を行うことができる。
又、本発明の実施の形態に係る運行監視業務支援システム10は、図1に示すように、複数のシステム機器70に少なくとも、マスターシステム72、速報システム74、アラーム監視システム78、統合バンク82、及び放送機リモコン84が含まれるものである。このように、運行監視業務に必要な各装置が複数のシステム機器70に含まれていることで、本運行監視業務支援システム10による業務支援の品質を向上させることが可能となる。
又、本発明の実施の形態に係る運行監視業務支援システム10は、統合バンク82において出力の異常が発生したことを示すトリガ信号を、制御部60がアラーム監視システム78から受信した場合に、例えば図3に示すような表示をコンソール部20に表示させる。すなわち、制御部60は、運行監視者に対して表示するべき映像モニター画面を提供しているシステム機器として、統合バンク82とマスターシステム72とを選択する。そして、制御部60は、統合バンク82に保持されている3種の素材のうち、何れか1つの素材を出力している3つの出力系統からの映像と、マスターシステム72において圧縮される前の放送用信号による映像とを、統合バンク82及びマスターシステム72から映像切替部50を介してコンソール部20へと提供し、複数の映像モニター画面として第2表示部24の第1分割画面24a〜第4分割画面24dに同時に表示させる。
一方、制御部60は、運行監視者により操作されるべきシステム機器として、統合バンク82を選択する。そして、統合バンク82に保持されている3種の素材のうち、選択中の1つの素材(図3では番組素材)について、複数の出力系統の中で使用する系統を切り替えるための操作ボタンBT1〜BT4を、コンソール部20の第3表示部26に表示させる。これらの操作ボタンBT1〜BT4が操作されると、制御部60は、統合バンク82を制御して、出力系統の切り替えを実行させる。このような構成であるため、運行監視者は、統合バンク82の複数の出力系統からの映像と、圧縮前の放送用信号による映像とを、コンソール部20においてまとめて確認しながら、各操作ボタンBTの操作により、出力系統の切り替え操作を行うことができる。これにより、統合バンク82の異常状況の把握時間と、適切な処置が行われるまでの時間とを短縮することができ、送出の安全性を向上することが可能となる。
加えて、本発明の実施の形態に係る運行監視業務支援システム10は、複数の送信所の中で放送機の異常が発生した送信所があることを示すトリガ信号を、制御部60がアラーム監視システム78から受信した場合に、例えば図4に示すような表示をコンソール部20に表示させる。すなわち、制御部60は、運行監視者に対して表示するべき映像モニター画面を提供しているシステム機器として、マスターシステム72を選択する。そして、マスターシステム72において圧縮された後の放送用信号(現用及び予備用)による映像と、放送機の異常が発生している送信所からの電波を受信したチューナーからの映像とを、マスターシステム72から映像切替部50を介してコンソール部20へと提供し、複数の映像モニター画面として第2表示部24の第1分割画面24a〜第3分割画面24cに同時に表示させる。
一方、制御部60は、運行監視者により操作されるべきシステム機器として、放送機リモコン84を選択する。そして、放送機の異常が発生している送信所に対応した放送機リモコン84の操作画面を、コンソール部20の第1表示部22に表示させる。加えて、制御部60は、放送機の異常が発生している送信所について、放送機をリセットするための操作ボタンBT10を、コンソール部20の第3表示部26に表示させる。更に、制御部60は、放送機の異常が発生している送信所の放送機が、複数の放送系統を有している場合に限り、それら複数の放送系統の中で使用する放送系統を切り替えるための操作ボタンBT11を、第3表示部26に表示させる。これらの操作ボタンBT10又はBT11が選択された状態で、実行操作ボタンBT12が操作されると、制御部60は、放送機リモコン84を制御して、異常が発生している送信所の放送機のリセットや放送系統の切り替えを実行させる。
運行監視業務支援システム10が上記のような構成であるため、運行監視者は、圧縮後の放送用信号による映像と、放送機の異常が発生している送信所からの電波による映像と、異常が発生している放送機の操作画面とを、コンソール部20においてまとめて確認しながら、各操作ボタンBTの操作により、放送機のリセット操作や、放送機の放送系統切り替え操作を行うことができる。これにより、送信設備に詳しくない運行監視者であっても、異常の原因がマスターシステム72にあるか放送機にあるか等の判断を適切かつ迅速に行うことができ、異常発生時の対応時間を大幅に短縮することができると共に、異常の影響を最小限に止めることが可能となる。
しかも、本発明の実施の形態に係る運行監視業務支援システム10は、速報データを受信したことを示すトリガ信号を、制御部60が速報システム74から受信した場合に、例えば図5に示すような表示をコンソール部20に表示させる。すなわち、制御部60は、運行監視者に対して表示するべき映像モニター画面を提供しているシステム機器として、マスターシステム72を選択する。そして、マスターシステム72において圧縮される前の放送用信号(12セグ及び1セグ)による映像と、文字スーパーのプレビュー表示が反映されるプレビュー映像と、オンエアの電波を受信したチューナーからの映像とを、マスターシステム72から映像切替部50を介してコンソール部20へと提供し、複数の映像モニター画面として第2表示部24の第1分割画面24a〜第4分割画面24dに同時に表示させる。
一方、制御部60は、運行監視者により操作されるべきシステム機器として、マスターシステム72を選択する。そして、速報データを受けた速報システム74において作成された文字スーパーの、プレビュー表示を行うための操作ボタンBT20と、送出を行うための操作ボタンBT22及びBT24とを、コンソール部20の第3表示部26に表示させる。これらの操作ボタンBT20、BT22、BT24が操作されると、制御部60は、マスターシステム72を制御して、速報の文字スーパーのプレビューや送出を実行させる。このような構成であるため、運行監視者は、圧縮前の放送用信号による映像と、文字スーパーのプレビュー映像と、オンエアの映像とを、コンソール部20においてまとめて確認しながら、各操作ボタンBTの操作により、文字スーパーのプレビュー及び送出を行うことができる。これにより、速報送出の安全性を向上することができると共に、速報送出までの時間を短縮することが可能となる。