JP6820192B2 - 送信装置及び受信装置 - Google Patents

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Description

本発明は、衛星放送及び地上放送並びに固定通信及び移動通信の技術分野に関するものであり、特に、デジタルデータの送信装置及び受信装置に関する。
白色雑音下での伝送性能を向上させる技法として、デジタル変調において、誤り訂正符号の強さと変調マッピングのビットとを適切に組み合わせることで、伝送性能の向上を可能とする符号化変調技術が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
この非特許文献1等に記載される符号化変調技術は、日本の衛星デジタル放送規格ISDB−S(例えば、非特許文献2参照)でも採用されており、伝送性能の向上に寄与する技法として実績がある。
非特許文献1に記載される技法の基本的な原理は、シンボルにビットをマッピングした後の信号点間のユークリッド距離を考慮し、シンボルを構成するビット(以下、シンボル構成ビットと呼ぶ)のうち、ユークリッド距離が互いに短い信号点間で1/0が反転するビットに対しては強い誤り訂正を施し、ユークリッド距離が互いに長い信号点間で1/0が反転するビットに対しては逆に弱い誤り訂正を施す、又は符号化処理を施さないことによって、全体の情報効率を維持しつつ、雑音耐性を向上させる、というものである。
また、非特許文献1においては、8PSK(phase-shift keying)を例とした集合分割法とよばれる信号点へのシンボル割り当て方法が提案されている。集合分割法は、ビット毎に分割可能な複数の符号系列を入力シンボル系列とし、該入力シンボル系列のシンボル構成ビットを、一様に信号点間の最小ユークリッド距離が拡大するように分割して、変調に用いる信号点へのシンボルの割り当てを行う伝送方式である。
ところで、欧州の衛星デジタル放送方式であるDVB−S2(非特許文献3参照)、DVB−S2X(非特許文献4参照)やARIB STD−B44に記載の高度広帯域衛星デジタル放送の伝送方式(以下、高度衛星放送方式と呼ぶ。例えば、非特許文献5参照)においては、信号点へのシンボルの割り当て技法としてグレイコードが採用されている。
尚、64APSKの従来技法であるDVB−S2X規格(非特許文献4参照)のうち、符号化率7/9、4/5及び5/6に適用されるシンボルへのビット割り当て例を図9に示す。図9では、6ビットの割り当ては左から順に第1ビット(a1)、第2ビット(a2)、…、第6ビット(a6)とし、左から3ビット毎に8進数表記(例点64=110:100)で表記している。DVB−S2Xではシンボルへのビット割り当て技法としてグレイコードが採用されている。
ただし、グレイコードは、BPSK及びQPSKにおいてはビット毎の訂正能力は一様であるが、8PSK以上の多値変調においては、シンボルに含まれるビット間の誤り訂正能力が不均一となることから、所定の符号化率において伝送性能を向上する際の障害となっている。
このため、グレイコードによる上記の問題を改善するべく、当該集合分割法による伝送方式を更に改善し、各ビットの訂正能力が異なる場合の伝送性能を向上させる技法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
また、グレイコード又は集合分割法による伝送方式における64APSKの符号化変調に関する新たな信号点配置が提案され、特に集合分割法による伝送方式における新たなビット割り当てを提案するとともに、当該新たな信号点配置及びビット割り当てに基づく誤り訂正符号の性能改善について開示されている(例えば、非特許文献6〜9参照)。
より具体的に、代表して非特許文献9の技法では、64APSKの新たな信号点配置として、ユークリッド距離の拡大の観点から4つの同心円上における各信号点の配置個数を最適化し、当該4つの同心円のいずれかに各信号点の振幅値をほぼ一致させ、各信号点の位相値を調整したものとしている。
そして、非特許文献9の技法では、当該64APSKの新たな信号点配置を利用した集合分割法によるビット割り当てとして、所定の計算法に基づき最適化されたビット割り当てから所定の信号電力対雑音電力比を満たすようビット入れ替えを施したものとしている。
更に、非特許文献9の技法では、当該64APSKの新たな信号点配置及び新たな集合分割法によるビット割り当てを基に、誤り訂正符号として、LDPC符号とBCH符号による連接符号として6スロットのスロット構成について、その全体のLDPC符号の平均符号化率を4/5を満たすものとし、当該6スロットにおける個々のスロットのLDPC符号化率を定義し、集合分割法におけるLDPC符号の検査行列初期値テーブルを最適化したものとしている。
特開2014−155195号公報
G. Ungerboeck, "Channel coding with multilevel/phase signals", IEEE Transaction Information Theory, Vol.IT-28, No.1, 1982年1月,p.55−67 "衛星デジタル放送の伝送方式 標準規格 ARIB STD-B20 3.0版"、[online]、平成13年5月31日改定、ARIB、[平成28年11月29日検索]、インターネット〈URL:http://www.arib.or.jp/english/html/overview/doc/2-STD-B20v3_0.pdf〉 Digital Video Broadcasting (DVB), "Second generation framing structure, channel coding and modulation systems for Broadcasting, Interactive Services, News Gathering and other broadband satellite applications(DVB-S2)" ,[online], Final draft ETSI EN 302 307 V1.2.1(2009-04)、[平成28年11月29日検索]、インターネット<URL:http://www.etsi.org/deliver/etsi_en/302300_302399/302307/01.02.01_40/en_302307v010201o.pdf> Digital Video Broadcasting (DVB), "Second generation framing structure, channel coding and modulation systems for Broadcasting, Interactive Services, News Gathering and other broadband satellite applications; Part2: DVB-S2 Extensions(DVB-S2X)" ,[online],Draft ETSI EN 302 307-2 V1.1.1(2014-10)、[平成28年11月29日検索]、インターネット<URL:http://www.etsi.org/deliver/etsi_en/302300_302399/30230702/01.01.01_20/en_30230702v010101a.pdf> "高度広帯域衛星デジタル放送の伝送方式 標準規格 ARIB STD-B44 2.1版"、[online]、平成28年3月25日改定、ARIB、[平成28年11月29日検索]、インターネット〈URL: http://www.arib.or.jp/english/html/overview/doc/2-STD-B44v2_1.pdf〉 小泉雄貴・鈴木陽一・小島政明・斎藤恭一・田中祥次,"64APSK符号化変調の検討(その1)−64APSK 信号点配置の検討−"、電子情報通信学会、2016年ソサイエティ大会講演論文集、B-5-21, 2016, p291、2016年9月20日発表 小泉雄貴・鈴木陽一・小島政明・斎藤恭一・田中祥次,"64APSK符号化変調の検討−64APSK 符号化変調のビット割り当てに関する検討−"、映像情報メディア学会、年次大会講演予稿集、32C-1, 2016、2016年9月2日発表 鈴木陽一・小泉雄貴・小島政明・斎藤恭一・田中祥次,"64APSK符号化変調の検討(その2)−LDPC符号化率最適化による性能改善−"、電子情報通信学会、2016年ソサイエティ大会講演論文集、B-5-22,2016, p292、2016年9月20日発表 Yuki Koizumi, Yoichi Suzuki, Masaaki Kojima, Hyoichi Daito,Shoji Tanaka, "A study on 64APSK Coded Modulation"、[online]、信学技報(IEICE Tech. Rep.), vol. 116, no. 243, SAT2016-55, pp. 51-56, 2016年10月6日発行、[平成28年11月29日検索]、インターネット〈URL: http://www.ieice.org/ken/paper/20161013cblh/eng/〉
前述したように、変調時のマッピング技法として、大別してグレイコードと集合分割法があるが、いずれにおいても伝送性能を向上させるためには、伝送路容量が増大する信号点配置を適用することが有効である。
例えば、4Kや8K等の超高精細映像に対する高画質化へのニーズへ対応するためには情報ビットレートを向上する必要があるが、そのためには変調多値数を上げるだけでなく、伝送路容量を拡大させる信号点配置を適用することが、より効果的である。
特に、将来において、伝送する映像の高解像度化等に伴い、12GHz帯衛星放送で1つの衛星中継器につき利用可能な帯域幅である34.5MHzを満たしつつ、64APSKを用いてデジタルデータを伝送する際に伝送ビットレートとして150Mbps以上となる伝送システムが要求されており、DVB−S2Xの64APSKよりも性能向上させる技法が望まれる。
一方、非特許文献6〜9には、当該グレイコードの問題点を改善する技法として、新たな信号点配置及びビット割り当てに基づく誤り訂正符号の性能改善について開示されているが、更に性能改善を図る余地がある。
そこで、本発明の目的は、上述の問題に鑑みて、従来技法よりも伝送路容量が増大するような信号点配置を適用するようにして、64APSKを用いてデジタルデータを伝送可能とする送信装置及び受信装置を提供することにある。
本発明の送信装置は、デジタルデータの伝送を行う送信装置であって、64APSKの変調方式における信号点配置として、表1に示すIQ信号のマッピングを行うマッピング手段を備えることを特徴とする。
更に、本発明の受信装置は、本発明の送信装置により送信された64APSKのIQ信号に基づく変調波信号を受信し、前記64APSKの信号点配置に対応する直交復調処理を施す手段を備えることを特徴とする。
本発明によれば、既存技術と比較して、64APSKを用いてデジタルデータを伝送する際の伝送路容量を拡大させることができる。
本発明における一実施形態の送信装置及び受信装置の構成例を示す図である。 本発明に係る64APSK及びDVB−S2Xの64APSK、並びに64QAMにおけるC/N対周波数利用効率特性を示す図である。 本発明に係る64APSKの伝送路容量を基準とした第1ビット〜第6ビットまでのビット割り当て結果を示す図である。 本発明に係る64APSKのビット毎の誤り訂正前のC/N対ビット誤り率特性を示す図である。 本発明に係る64APSKのビット入替え後の第1ビット〜第6ビットまでのビット割り当て結果を示す図である。 本発明に係る64APSKのビット入替え後のビット毎の誤り訂正前のC/N対ビット誤り率特性を示す図である。 本発明に係る第1ビットLDPC符号化率46/120、第2ビットLDPC符号化率80/120、第3ビットLDPC符号化率97/120、第4ビットLDPC符号化率117/120、第5ビットLDPC符号化率116/120、第6ビットLDPC符号化率120/120(LDPCパリティ無し)、及びBCH(65535,65167)短縮符号の場合のスロット構成例を示す図である。 本発明に係る実施例と従来技法を対比するC/N対ビット誤り率特性を示す図である。 従来技術のDVB−S2Xのビット割り当てを示す図である。
以下、図面を参照して、本発明による一実施形態の送信装置及び受信装置を説明する。図1は、本発明による一実施形態の送信装置10及び受信装置20のブロック図である。尚、実際の送信装置10は、誤り訂正符号の先頭を識別するために変調波信号に同期信号を多重する機能、ISDB−S等に採用されている伝送方式の設定等の情報を受信機に予告するための伝送多重制御信号(TMCC信号とも呼ぶ)を変調波信号に多重する機能などを有する。また、実際の受信装置20には、変調波信号に多重された同期信号を検出し誤り訂正符号の先頭を検出する同期検出機能や、伝送多重制御信号から伝送方式の設定等の情報を検出して変調方式や符号化率等の設定を行う制御機能などを有するが、その詳細な図示を省略している。
(装置構成)
〔送信装置〕
図1を参照するに、本実施形態の送信装置10は、前方向誤り訂正方式の送信装置であり、誤り訂正符号化部11と、マッピング部12と、直交変調部13とを備える。即ち、送信装置10の機能ブロック構成は、グレイコードや集合分割法による符号化変調送信装置と変わらないが、マッピング部12が従来技法と異なる。
誤り訂正符号化部11は、伝送するデータに対し、外符号をBCH符号、内符号をLDPC符号とする連接符号で構成された誤り訂正処理を施しシンボルを構成してマッピング部12に出力する。尚、外符号をリードソロモン(RS)符号とすることや、内符号を畳込み符号やターボ符号とすることもできる。
マッピング部12は、誤り訂正符号化部11による符号化後の信号を入力シンボル系列とし、シンボルに対応した信号点のI軸及びQ軸の振幅値をIQ信号(同相成分I及び直交位相成分Qからなる複素信号)の信号点系列として直交変調部13に出力する。ここで、マッピング部12による64APSKの信号点配置は、所定の信号電力対雑音電力比(実施例では、C/N=16dB)を基準に伝送路容量が最大化するものとなっている。そして、この信号点配置に基づくビット割り当て例として、図5には、本発明に係る64APSKにおける集合分割法を適用した場合のシンボルへのビット割り当て例を示している。ただし、本発明に係るマッピング部12は、集合分割法に限らずグレイコードによるマッピング処理にも、当該信号点配置を適用できる点に留意する。
従って、マッピング部12は、上記対応関係に基づいて、複数の符号系列からなる入力シンボル系列を信号点系列に変換するシンボル/信号点変換手段として機能する。
直交変調部13は、マッピング部12により生成されたIQ信号に対して、ロールオフフィルタ処理を実行後、直交変調を施した変調波信号を生成し、外部の伝送路に伝送する。
〔受信装置〕
本実施形態の受信装置20は、前方向誤り訂正方式の受信装置であり、復調部21と、デマッピング部22と、誤り訂正復号部23とを備える。即ち、受信装置20の機能ブロック構成は、グレイコードや集合分割法による符号化変調受信装置と変わらないが、復調部21及びデマッピング部22における直交復調処理が従来技法と異なる。
復調部21は、IQ信号の信号点系列を変調した64APSKの変調波信号を、伝送路を介して送信装置10から受信して、送信側の変調部13における変調処理に対応する復調処理を施し、デマッピング部22に出力する。
デマッピング部22は、復調部21により復調した信号に対し、送信側のマッピング部12におけるデマッピング処理を施して、誤り訂正符号化部11による符号化後の信号を復元し、誤り訂正復号部23に出力する。
誤り訂正復号部23は、デマッピング部22により復元した誤り訂正前の信号に対し、送信側の誤り訂正符号化部11に対応した誤り訂正復号処理を施して、データを復元して外部に出力する。
(64APSKの信号点配置)
ここで、マッピング部12における64APSKの信号点配置とビット割り当てについて詳細に説明する。解決すべき課題として上述したように、将来において、伝送する映像の高解像度化等に伴い、12GHz帯衛星放送で1つの衛星中継器につき利用可能な帯域幅である34.5MHzを満たしつつ、64APSKを用いて伝送する際に伝送ビットレートとして150Mbps以上となる伝送システムが要求されている観点から、DVB−S2Xの64APSKよりも性能向上させる技法が望まれている。
そこで、多値変調方式の性能改善のために、適切な信号点配置の設計から検討することとした。その設計基準として変調方式を限定したシャノン限界である伝送路容量T(式(1))を利用する。伝送路容量TはAWGN伝送路において送信シンボルx、受信シンボルyとしたとき式 (1)で定義される。Mは信号点数、p(y|x)は式(2)で示されるC/Nと信号点間の最小ユークリッド距離から決まる遷移確率密度関数、σ2は白色雑音電力である。式(1)の第一項は受信シンボルyの平均情報量であり信号点数Mから決まる。式(1)の第二項はある送信シンボルxを送信したとき、受信シンボルがyとなる平均情報量を示している。
ここで伝送路容量Tを最大化させることを考えると、信号点数M及びC/Nを固定した場合、式(1)の第二項の値を最小化すればよい。このとき式(1)の第二項は信号点間の最小ユークリッド距離の関数となり、最小ユークリッド距離が大きくなるほど第二項が小さくなる。よって式 (1)における伝送路容量Tを最大化することは、信号点間の最小ユークリッド距離を拡大することと等価である。信号点間の最小ユークリッド距離を拡大することにより、ある受信シンボルが隣接する他のシンボルとして誤って受信されてしまう可能性を低くすることができ、受信後の誤り率改善につながる。
以上より伝送路容量Tが最大となる信号点配置を設計することで、信号点間の最小ユークリッド距離を拡大することができ、多値変調方式の伝送性能改善につながる。
伝送路容量を基準とした64APSKの信号点配置設計については、信号点数M=64、設計C/N=16dBとし、式(1)により計算した伝送路容量が最大となる信号点配置を設計した。設計C/Nは64APSK(LDPC符号化率4/5)の理論限界C/N=14.9dBに対し、約1dBのギャップを性能目標としC/N=16dBとした。
設計した64APSKの信号点配置は上述した表1に示している。尚、表1は、本設計により生成した送信電力1で規格化したIQ信号の信号点座標を示している。また、本設計、DVB−S2X、64QAMのC/N対周波数利用効率(伝送路容量の単位)特性を図2に示している。
即ち、本発明に係るマッピング部12は、表1に示すIQ信号のマッピングを行う。
伝送路容量を基準として64APSKの信号点配置を設計することで、C/N=16dBにおいてDVB−S2Xを上回る伝送路容量5.10549bps/Hzを達成可能である。
(上記信号点配置におけるビット割り当ての実施例)
以下、上記の64APSKの信号点配置の検証のために、本発明に係る64APSKの信号点配置へのビット割り当てについても最適化を行った際の実施例について説明する。従来技術である集合分割法を適用した多値符号化変調は、集合分割法に基づき前ビットの復号結果に応じて信号点を分割していき、各ビットを復号していく。例えば第2ビット(a2)の復号については、第1ビット(a1)の復号結果によりa1=0, a1=1の信号点にそれぞれ分割した後復号され、第2ビット以降についても同様の手順で信号点を分割し復号していく。このように信号点の分割を進めるごとに、信号点間の最小ユークリッド距離を拡大することが可能であり、上位ビット(第1ビットを最下位ビットとする)へ行くに従い各ビットのBER特性は向上し、全体としての伝送特性を改善することが可能である。
このように集合分割法を適用するためには、分割後の信号点の最小ユークリッド距離がなるべく大きくなるよう各信号点へビットを割り当てる必要がある。QAMのような信号点が格子配列のものについては、幾何学的に隣接する信号点の最小ユークリッド距離を拡大するビット割り当てが可能であるが、APSKのように信号点配置が一意に決まらないような変調方式については、幾何学的に最小ユークリッド距離を拡大することが難しい。
そこで本発明に係る64APSKのマッピングにおいては、上記の伝送路容量T(式(1))を基準に各信号点へのビット割り当てを行う。上述の通り伝送路容量を最大化することは最小ユークリッド距離を拡大することと等価である。よって信号点分割後の伝送路容量が最大となるビット割り当てを行うことで、64APSKに集合分割法を適用した際、信号点分割後の最小ユークリッド距離を拡大することが可能である。
具体的には、集合分割法に基づく64APSKの信号点配置にビット割り当てを行う際の評価関数として伝送路容量の式(1)を適用し、C/N=16dBで信号分割後の伝送路容量が最大となるようなビット割り当てを行った結果、図3に示す結果が得られる。図3では、信号点に割り当てた6ビットは左から順に第1ビット(a1)、第2ビット(a2)、…、第6ビット(a6)と定義し、左から3ビット毎に8進数表記で記している。また、図4に、受信装置20側における復調部21の出力に相当する、ビットごとの誤り訂正前のBER特性を示している。
ただし、集合分割法に基づく64APSKの誤り訂正符号として、ビット毎にLDPC符号(内符号)とBCH符号(外符号)から成る連接符号を適用するには、現行規格(ISDB−S3:非特許文献5)で採用されているLDPC符号は、誤り訂正前のBERが10−3オーダーを下回る場合、符号のランダム性を保った設計が困難となる。また、BCH(65535,65167,t=23)符号を外符号として適用する場合、疑似エラーフリー(1×10−11)が期待できる誤り訂正前のBERは1.2×10−4以下である。即ち、誤り訂正前のBERが1.0×10−3から1.2×10−4の範囲ではLDPC符号およびBCH符号による誤り訂正が困難となる。ここで、図4においてC/N=16dBに着目すると第5ビットのBERが8.97×10−4であり、LDPC符号およびBCH符号適用範囲外である。
そこで、図3のビット割り当てからビット入替えを行うことにより、第1ビット〜第5ビットのBERがLDPC符号適用範囲内となるようなビット割り当てを行った。そのときのビット割り当て結果を図5に、ビットごとの誤り訂正前のBER特性を図6に示す。
即ち、マッピング部12は、図5に示すように、64APSKの信号点配置に対するシンボルを構成する各ビットのビット割り当てとして、表2に示すようマッピングを行う。
ここで、図6のBER特性よりC/N=16dBにおける第6ビット(a6)のBERは2.54×10−7であり、BCH外符号のみでエラーフリーが達成できる。最終的に、本発明では信号全体のLDPC平均符号化率4/5を満たしつつ、第1ビット(a1) から第5ビット(a5)に適用するLDPC符号化率を調整し、白色雑音の下で所要C/N(BER=1×10−11 相当のC/N と定義)が最小となるLDPC符号を設計した。
このとき、LDPC検査行列の構造はISDB−S3と同一とした。即ち、誤り訂正符号化部11は、符号化率毎に固有の検査行列を用いて当該デジタルデータをLDPC符号化する符号化器を備えるよう構成し、この符号化器は、44880ビットからなる符号長で符号化率毎に予め定めた検査行列初期値テーブルを初期値として、符号化率に応じた情報長に対応する部分行列の1の要素を、列方向に374列毎の周期で配置して構成した検査行列を用いてLDPC符号化を行う。
設計したLDPC符号の仕様として、表3に示すビット毎の符号化率で、LDPC平均符号化率4/5を満たすスロット構成とした。尚、表3に示すビット毎のLDPC符号における各符号化率の検査行列の初期値テーブルは、本発明に係るマッピング処理に直接関係しないためその説明は省略する。
また、外符号のBCH符号については、BCH(65535,65167)短縮符号とした。ただし、BCH(65535,65343)短縮符号を用いてもよい。BCH(65535,65167)短縮符号の生成多項式は、特許文献1に開示されているとおりである。また、BCH(65535,65343)短縮符号の生成多項式は、非特許文献5に開示されているとおりである。
図1の送信装置10及び受信装置20、表3に従うスロット構成を用いた場合の伝送性能(シミュレーション結果)を説明する。表3に従うスロット構成図を図7に示す。伝送モデルは白色雑音を想定し、BCH外符号はBCH(65535,65167,t=23)符号とし、LDPC符号の復号反復回数は1段あたり最大50回に設定した。
表3に従い、白色雑音下における計算機シミュレーションによるC/N対BER特性を図8に示す。図8では、同等の周波数利用効率を有するDVB−S2Xの64APSK (符号化率4/5)にLDPC符号を適用した場合もプロットした。計算機シミュレーションはBER=1×10−10 オーダーまで行い、線形補間によりBER=1×10−11 まで外挿した。図8より、本発明技術の所要C/N は15.6dBであり、DVB−S2Xより0.42dB性能改善していることが分かる。また、本発明技術は、非特許文献9の技法に対しても0.11dBの性能改善が可能である。
特に、非特許文献9の技法では、64APSKの新たな信号点配置として、ユークリッド距離の拡大の観点から4つの同心円上における各信号点の配置個数を最適化し、当該4つの同心円のいずれかに各信号点の振幅値をほぼ一致させ、各信号点の位相値を調整したものとしている。一方、本発明に係る64APSKの更に新たな信号点配置では、5つの同心円を基準としながら、各信号点の振幅値を当該5つの同心円上へと拘束することなく、ユークリッド距離の拡大の観点から最大振幅値を既存の64APSKと同等としつつ各信号点の配置を最適化したものとしている。
また、本発明に係る64APSKの更に新たな信号点配置を利用した集合分割法によるビット割り当てでは、式(1)に基づく計算法に基づき最適化されたビット割り当てから上述した所定の信号電力対雑音電力比を満たすようビット入れ替えを施したものとすることで、ビット誤り率をより抑えることができる。
更に、本発明に係る当該64APSKの新たな信号点配置及び新たな集合分割法によるビット割り当てを基にした誤り訂正符号では、LDPC符号とBCH符号による連接符号として6スロットのスロット構成について、その全体のLDPC符号の平均符号化率を4/5を満たすものとし、当該6スロットにおける個々のスロットのLDPC符号化率を表3に示すように定義し、集合分割法におけるLDPC符号の検査行列初期値テーブルを最適化したものとすることで、伝送性能をより向上させることができる。
これによって、本発明に係る一実施形態の送信装置10及び受信装置20の構成では、非特許文献9の技法に対しても0.11dBの性能改善が可能となっている。
このように、表1に示す本発明に係る64APSKの信号点配置により、伝送路容量が拡大してその伝送性能が向上することが検証できた。
以上、特定の実施形態の例を挙げて本発明を説明したが、本発明は前述の実施形態の例に限定されるものではなく、その技術思想を逸脱しない範囲で種々変形可能である。例えば、上述した説明では主として集合分割法による伝送例を実施例として説明したが、伝送路容量を拡大させることができる信号点配置を適用していることからグレイコードによる伝送方式にも有効である。同様に、上記の実施例では特定の誤り訂正処理及び符号化率について伝送性能を検証したが、他の誤り訂正処理及び符号化率についても有効である。従って、本発明に係る送信装置及び受信装置は、上述した実施形態の例に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載によってのみ制限される。
本発明によれば、64APSKを用いてデジタルデータを伝送する際、伝送路容量を拡大させることができる信号点配置を適用するので、デジタルデータの送信装置及び受信装置の用途に有用である。
10 送信装置
11 誤り訂正符号化部
12 マッピング部
13 直交変調部
20 受信装置
21 直交復調部
22 デマッピング部
23 誤り訂正復号部

Claims (2)

  1. デジタルデータの伝送を行う送信装置であって、
    64APSKの変調方式における信号点配置として、
    に示すIQ信号のマッピングを行うマッピング手段を備えることを特徴とする送信装置。
  2. 請求項1に記載の送信装置により送信された64APSKのIQ信号に基づく変調波信号を受信し、前記64APSKの信号点配置に対応する直交復調処理を施す手段を備えることを特徴とする受信装置。
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