以下、スイッチング電源装置の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
スイッチング電源装置の一例としてのスイッチング電源装置1aは、図1に示すように、直流入力部としての一対の直流入力端子2a,2b、交流出力部としての一対の交流出力端子Pa,Pb、直流出力部としての一対の直流出力端子3a,3b、複数の共振型スイッチング回路部(同図では一例として2個の共振型スイッチング回路部41,42)、1つの共振整流平滑回路部5a、および制御部6を備え、直流入力端子2a,2b間に入力される直流入力電圧Viに基づいて直流出力電圧Voを生成して直流出力端子3a,3bから出力可能に構成されている。なお、本例では一例として、直流入力電圧Viは、基準電位(本例では共通グランドG)に接続された直流入力端子2bを低電位側として、直流入力端子2a,2b間に入力される。また、本例では、直流出力端子3a,3bのうちの直流出力端子3bも共通グランドGに接続されて、スイッチング電源装置1aが非絶縁型コンバータ装置として構成されるため、直流出力電圧Voは、直流出力端子3bを低電位側として、直流出力端子3a,3b間から出力される。また、本例では、交流出力端子Pa,Pbのうちの交流出力端子Pbも共通グランドGに接続されている。
共振型スイッチング回路部41,42(以下、単にスイッチング回路部41,42ともいう)は、一例として同一の構成を備えたインバータ回路として構成されて、直流入力端子2a,2bと交流出力端子Pa,Pbとの間に並列接続されている。
具体的には、スイッチング回路部41は、第1インダクタ411およびスイッチング素子421の直列回路、スイッチング素子421に並列接続された第1共振キャパシタ431、および一端が第1インダクタ411およびスイッチング素子421の接続点(第1接続点A1)に接続された第2共振インダクタ441を備えている。また、スイッチング回路部41では、第1インダクタ411およびスイッチング素子421の直列回路が一対の直流入力端子2a,2b間に接続され、第1インダクタ411および第2共振インダクタ441の直列回路が一対の直流入力端子2a,2bのうちの一方の直流入力端子(この例では直流入力端子2a)と一対の交流出力端子Pa,Pbのうちの一方の交流出力端子(この例では交流出力端子Pa)との間に接続され、かつスイッチング素子421の一対の端子のうちの第1接続点A1に接続されていない端子が一対の直流入力端子2a,2bのうちの他方の直流入力端子(この例では直流入力端子2b)と一対の交流出力端子Pa,Pbのうちの他方の交流出力端子(この例では交流出力端子Pb)とに接続されている。なお、第1共振キャパシタ431には、スイッチング素子421の出力容量(不図示)が含まれるものとする。
また、スイッチング回路部42は、図1に示すように、第1インダクタ412、スイッチング素子422、第1共振キャパシタ432、および第2共振インダクタ442を備え、第1接続点A2で互いに接続された第1インダクタ412およびスイッチング素子422の直列回路が一対の直流入力端子2a,2b間に接続され、第1接続点A2で互いに接続された第1インダクタ412および第2共振インダクタ442の直列回路が直流入力端子2aと交流出力端子Paとの間に接続され、かつスイッチング素子422の一対の端子のうちの第1接続点A2に接続されていない端子が直流入力端子2bと交流出力端子Pbとに接続されて、スイッチング回路部41と同一に構成されている。なお、第1共振キャパシタ432には、スイッチング素子422の出力容量(不図示)が含まれるものとする。以上の構成を備えたスイッチング回路部41,42は、2相のE級インバータ回路として構成されている。
この場合、スイッチング素子421,422は、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)などの電界効果型トランジスタ、バイポーラトランジスタまたはGaN(窒化ガリウム)デバイスなどで構成されている。
以上の構成を備えた各スイッチング回路部41,42は、制御部6から供給される後述の駆動電圧Vp1,Vp2でそれぞれのスイッチング素子421,422がインターリーブ駆動されることにより、直流入力端子2a,2b間に入力される直流入力電圧Viを交流出力電圧Vacに変換して交流出力端子Pa,Pbに出力することが可能となっている。
共振整流平滑回路部5aは、一例として、共振整流素子としてのダイオード51、第2共振キャパシタ52および平滑キャパシタ53を備えて、共振整流平滑回路として構成されている。具体的には、ダイオード51は、アノード端子が一方の交流出力端子Paに接続され、カソード端子が一方の直流出力端子3aに接続されている。第2共振キャパシタ52は、ダイオード51に並列に接続されている。なお、第2共振キャパシタ52には、ダイオード51のPN接合容量が含まれるものとする。平滑キャパシタ53は、直流出力端子3a,3b間に接続されている。つまり、このスイッチング電源装置1aでは、共振整流平滑回路部5aは、各スイッチング回路部41,42によって共用される構成となっている。この構成により、共振整流平滑回路部5aは、交流出力端子Pa,Pb間に生じる交流出力電圧Vacを直流出力電圧Voに変換して直流出力端子3a,3bから出力することが可能となっている。
詳細には、共振整流平滑回路部5aでは、定常状態において、平滑キャパシタ53の両端の直流出力電圧Voを電圧源として、スイッチング素子421,422のオン/オフによってスイッチング素子421,422の両端に発生した直流分を含む交流成分電圧が第2共振インダクタ441,442と第2共振キャパシタ52とで構成されるLC共振回路に入力することで、交流出力端子Pa,Pb間に共振電圧(交流出力電圧Vac)が発生する。この場合、スイッチング素子421,422の両端に発生した上記の直流分を含む交流成分電圧の基本波周波数が上記のLC共振回路の共振周波数に接近すればするほど交流出力電圧Vacの振幅が大きくなる。また、ダイオード51の順方向導通電圧を無視できるとすると、交流出力電圧Vacが出力電圧Voより高くなると、ダイオード51がオンにし、交流出力電圧Vacが直流出力電圧Voにクランプされる。また、交流出力電圧Vacが直流出力電圧Voより低くなるとダイオード51がオフすることから、上記のLC共振回路において共振が発生して、交流出力電圧Vacが振動することで、交流出力電圧Vacに負の共振ピークが生じる。また、図2に示すように、ダイオード51のオンからオフへの切替時には第2共振キャパシタ52の両端電圧がゼロで、ダイオード51と第2共振キャパシタ52の並列回路全体に流れる電流Irもゼロである。
制御部6は、直流出力電圧Voを検出しつつ、各スイッチング回路部41,42のスイッチング素子421,422をインターリーブ駆動するための駆動信号としての駆動電圧Vp1,Vp2を生成して出力する。本例では、並列接続されているスイッチング回路部の数が、スイッチング回路部41,42の2つであるため、駆動電圧Vp1,Vp2は、図2に示すように、互いの位相が180°(=360°/2)ずれた信号(逆相の信号)となっている。なお、並列接続されているスイッチング回路部の数がn(3以上の数)のときには、制御部6が生成する駆動信号(駆動電圧Vp)の数もn個となり、n個の駆動電圧Vpは、互いの位相が360°/nずれた信号となる。これにより、本例では、2つのスイッチング回路部41,42(具体的には、スイッチング回路部41,42の各スイッチング素子421,422)は、交互にオン状態に移行する。
次に、スイッチング電源装置1aの基本動作について、図2の定常動作波形図を参照して説明する。
まず、時間t0から時間t1までの期間での動作について説明する。
この期間では、スイッチング素子421のオン/オフを制御する制御部6からの駆動電圧Vp1は、スイッチング素子421をオンとするために時間t(=t0)のときにハイレベルになり、その後、時間t(=t1)までハイレベルを維持する。また、スイッチング素子422のオン/オフを制御する制御部6からの駆動電圧Vp2は、スイッチング素子422をオフとするために時間t(=t0)のときにローレベルになり、その後、時間t(=t1)までローレベルを維持する。
このため、スイッチング回路部41,42では、スイッチング素子421がオンとなり(導通状態となり)、スイッチング素子422はオフとなる(遮断状態となる)。これにより、スイッチング回路部41では、スイッチング素子421の両端間の電圧V21は零であり、第1共振キャパシタ431に流れる電流Ic1は零である。一方、スイッチング回路部42では、第1インダクタ412、第2共振インダクタ442および第1共振キャパシタ432で構成されるネットワークの応答によって共振が生じ、これによって図2に示すような電流Ic2が第1共振キャパシタ432に流れる。この結果、スイッチング素子422の両端間の電圧V22は、時間t0のときの零から上昇し始め、その後、正の共振ピークに達した後に、時間t1までに零に戻る(低下する)。
この期間において、共振整流平滑回路部5aは、スイッチング回路部41,42から交流出力端子Pa,Pb間に出力される交流出力電圧Vacを共振整流平滑することにより、リップル成分の周波数がスイッチング素子421,422のスイッチング周波数(駆動電圧Vp1,Vp2の周波数)の2倍となる直流出力電圧Voを生成して出力する。この場合、交流出力電圧Vacは、正弦波状の共振波形として発生するが、実際にダイオード51の順方向導通電圧を無視できるとすると、図2に示すように、時間t(=t0)のときの電圧値(直流出力電圧Vo)から低下し始め、その後、共振ピーク値まで低下すると共に、時間t1までに直流出力電圧Voに達する(上昇する)。また、交流出力電圧Vacは、直流出力電圧Voに達した後は、ダイオード51が導通状態となることから直流出力電圧Voにクランプされる。よって、交流出力電圧Vacは、図2に示すように逆となった半波状の波形で発生する。
次に、時間t1から時間t2までの期間での動作について説明する。
この期間では、スイッチング素子421のオン/オフを制御する駆動電圧Vp1は、スイッチング素子421をオフとするために時間t(=t1)のときにローレベルになり、その後、時間t(=t2)までにローレベルを維持する。また、スイッチング素子422のオン/オフを制御する駆動電圧Vp2は、スイッチング素子422をオンとするために時間t(=t1)のときにハイレベルになり、その後、時間t(=t2)までにハイレベルを維持する。
このため、スイッチング回路部41,42では、スイッチング素子422がオンとなり、スイッチング素子421はオフとなる。これにより、スイッチング回路部42では、スイッチング素子422の両端間の電圧V22は零であり、第1共振キャパシタ432に流れる電流Ic2は零である。一方、スイッチング回路部41では、第1インダクタ411、第2共振インダクタ441および第1共振キャパシタ431で構成されるネットワークの応答によって共振が生じ、これによって図2に示すような電流Ic1が第1共振キャパシタ431に流れる。この結果、スイッチング素子421の両端間の電圧V21は、時間t1のときの零から上昇し始め、その後、正の共振ピークに達した後に、時間t2までに零に戻る(低下する)。
この期間においても、共振整流平滑回路部5aは、スイッチング回路部41,42から交流出力端子Pa,Pb間に出力される交流出力電圧Vacを共振整流平滑することにより、リップル成分の周波数がスイッチング素子421,422のスイッチング周波数(駆動電圧Vp1,Vp2の周波数)の2倍となる直流出力電圧Voを生成して出力する。この場合、交流出力電圧Vacは、正弦波状の共振波形として発生するが、実際にダイオード51の順方向導通電圧を無視できるとすると、図2に示すように、上記した時間t0から時間t1までの期間のときと同様にして、時間t(=t1)のときの電圧値(直流出力電圧Vo)から低下し始め、その後、共振ピーク値まで低下すると共に、時間t2までに直流出力電圧Voに達する(上昇する)。また、交流出力電圧Vacは、直流出力電圧Voに達した後は、ダイオード51が導通状態となることから直流出力電圧Voにクランプされる。よって、交流出力電圧Vacは、図2に示すように逆となった半波状の波形で発生する。
その後の時間t2から時間t3までの期間では、駆動電圧Vp1はハイレベルを維持し、駆動電圧Vp2はローレベルを維持する。これにより、スイッチング回路部41,42および共振整流平滑回路部5aは、上記した時間t0から時間t1までの期間のときと同様に動作する。また、その次の時間t3から時間t4までの期間では、駆動電圧Vp1はローレベルを維持し、駆動電圧Vp2はハイレベルを維持する。これにより、スイッチング回路部41,42および共振整流平滑回路部5aは、上記した時間t1から時間t2までの期間のときと同様に動作する。つまり、図2に示すように、スイッチング素子421,422のオン/オフを制御するための各駆動電圧Vp1,Vp2が180°位相がずれ、かつ周期Tでハイレベルとなることにより、スイッチング回路部41,42および共振整流平滑回路部5aは、上記した時間t0から時間t2までの期間のときの動作を周期Tで繰り返し実行する。
このように、このスイッチング電源装置1aによれば、各スイッチング回路部41,42が1つの共振整流平滑回路部5aを共用する構成のため、平滑キャパシタ53を除く共振整流平滑回路部5aの各構成要素(ダイオード51および第2共振キャパシタ52)で構成される不図示の共振整流平滑回路をスイッチング回路部41,42毎に個別に設ける従来例の構成と比較して、並列接続するスイッチング回路部41,42の数に関係なく共振整流平滑回路部5aを1つとすることができるため、その分だけ部品点数を削減することができ、これにより、大電力化を図りつつ装置全体をより小型化することができる。
次に、スイッチング電源装置の他の一例としてのスイッチング電源装置1bについて、図3,4を参照して説明する。なお、スイッチング電源装置1aと同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略する。
まず、スイッチング電源装置1bの構成について説明する。スイッチング電源装置1bは、図3に示すように、一対の直流入力端子2a,2b、一対の交流出力端子Pa,Pb、一対の直流出力端子3a,3b、複数の共振型スイッチング回路部(同図では一例として2個の共振型スイッチング回路部41,42)、1つの共振整流平滑回路部5b、および制御部6を備え、直流入力端子2a,2b間に入力される直流入力電圧Viに基づいて直流出力電圧Voを生成して直流出力端子3a,3bから出力可能に構成されている。このように、スイッチング電源装置1bは、共振整流平滑回路部5aに代えて共振整流平滑回路部5bを使用している構成においてのみスイッチング電源装置1aと相違し、他の構成についてはスイッチング電源装置1aと同一に構成されている。
共振整流平滑回路部5bは、一例として、第2共振キャパシタ52および第3共振キャパシタ54の直列回路と、第3共振キャパシタ54に並列接続された第3共振インダクタ55と、第2共振キャパシタ52および第3共振キャパシタ54の接続点(第2接続点B)と直流出力端子3a,3b(本例では直流出力端子3a)との間に接続されたダイオード51とを備えると共に、第2共振キャパシタ52および第3共振キャパシタ54の直列回路が交流出力端子Pa,Pb間に接続されて、共振整流平滑回路として構成されている。本例では、第2共振キャパシタ52およびダイオード51の直列回路が、交流出力端子Paと直流出力端子3aとの間に接続されるように、第2共振キャパシタ52および第3共振キャパシタ54の直列回路が交流出力端子Pa,Pb間に接続されている。また、平滑キャパシタ53は、直流出力端子3a,3b間に接続されている。なお、第3共振キャパシタ54には、ダイオード51のPN接合容量が含まれるものとする。これにより、このスイッチング電源装置1bにおいても、共振整流平滑回路部5bは、各スイッチング回路部41,42によって共用される構成となっている。
次に、スイッチング電源装置1bの基本動作について、図4の定常動作波形図を参照して説明する。
まず、時間t0から時間t1までの期間での動作について説明する。
この期間では、スイッチング素子421のオン/オフを制御する駆動電圧Vp1は、スイッチング素子421をオンとするために時間t(=t0)のときにハイレベルになり、その後、時間t(=t1)までハイレベルを維持する。また、スイッチング素子422のオン/オフを制御する駆動電圧Vp2は、スイッチング素子422をオフとするために時間t(=t0)のときにローレベルになり、その後、時間t(=t1)までローレベルを維持する。
このため、スイッチング回路部41,42では、スイッチング素子421がオンとなり、スイッチング素子422はオフとなる。これにより、スイッチング素子421の両端間の電圧V21は零であり、第1共振キャパシタ431に流れる電流は零である。一方、スイッチング素子422の両端間の電圧V22は、第1インダクタ412、第2共振インダクタ442および第1共振キャパシタ432で構成されるネットワークの応答によって共振が生じ、電流が第1共振キャパシタ432に流れる。この結果、スイッチング素子422の両端間の電圧V22は、時間t0のときの零から上昇し始め、その後、正の共振ピークに達した後に、時間t1までに零に戻る(低下する)。
この期間において、共振整流平滑回路部5aは、スイッチング回路部41,42から交流出力端子Pa,Pb間に出力される交流出力電圧Vacを共振整流平滑することにより、リップル成分の周波数がスイッチング素子421,422のスイッチング周波数(駆動電圧Vp1,Vp2の周波数)の2倍となる直流出力電圧Voを生成して出力する。この場合、交流出力電圧Vacは、正弦波状の共振波形として発生するが、実際にダイオード51の順方向導通電圧を無視できるとすると、図4に示すように、時間t(=t0)のときの電圧値(直流出力電圧Vo)から低下し始め、その後、共振ピーク値まで低下すると共に、時間t1までに直流出力電圧Voに達する(上昇する)。また、交流出力電圧Vacは、直流出力電圧Voに達した後は、ダイオード51が導通状態となることから直流出力電圧Voにクランプされる。よって、交流出力電圧Vacは、図4に示すように逆となった半波状の波形で発生する。
次に、時間t1から時間t2までの期間での動作について説明する。
この期間では、スイッチング素子421のオン/オフを制御する駆動電圧Vp1は、スイッチング素子421をオフとするために時間t(=t1)のときにローレベルになり、その後、時間t(=t2)までローレベルを維持する。また、スイッチング素子422のオン/オフを制御する駆動電圧Vp2は、スイッチング素子422をオンとするために時間t(=t1)のときにハイレベルになり、その後、時間t(=t2)までハイレベルを維持する。
このため、スイッチング回路部41,42では、スイッチング素子422がオンとなり、スイッチング素子421はオフとなる。これにより、スイッチング回路部42では、スイッチング素子422の両端間の電圧V22は零であり、第1共振キャパシタ432に流れる電流は零である。一方、スイッチング回路部41では、第1インダクタ411、第2共振インダクタ441および第1共振キャパシタ431で構成されるネットワークの応答によって共振が生じ、これによって電流が第1共振キャパシタ431に流れる。この結果、スイッチング素子421の両端間の電圧V21は、時間t1のときの零から上昇し始め、その後、正の共振ピークに達した後に、時間t2までに零に戻る(低下する)。
この期間においても、共振整流平滑回路部5aは、スイッチング回路部41,42から交流出力端子Pa,Pb間に出力される交流出力電圧Vacを共振整流平滑することにより、リップル成分の周波数がスイッチング素子421,422のスイッチング周波数(駆動電圧Vp1,Vp2の周波数)の2倍となる直流出力電圧Voを生成して出力する。この場合、交流出力電圧Vacは、正弦波状の共振波形として発生するが、実際にダイオード51の順方向導通電圧を無視できるとすると、図4に示すように、上記した時間t0から時間t1までの期間のときと同様にして、時間t(=t1)のときの電圧値(直流出力電圧Vo)から低下し始め、その後、共振ピーク値まで低下すると共に、時間t2までに直流出力電圧Voに達する(上昇する)。また、交流出力電圧Vacは、直流出力電圧Voに達した後は、ダイオード51が導通状態となることから直流出力電圧Voにクランプされる。よって、交流出力電圧Vacは、図4に示すように逆となった半波状の波形で発生する。
その後の時間t2から時間t3までの期間では、駆動電圧Vp1はハイレベルを維持し、駆動電圧Vp2はローレベルを維持する。これにより、スイッチング回路部41,42および共振整流平滑回路部5aは、上記した時間t0から時間t1までの期間のときと同様に動作する。また、その次の時間t3から時間t4までの期間では、駆動電圧Vp1はローレベルを維持し、駆動電圧Vp2はハイレベルを維持する。これにより、スイッチング回路部41,42および共振整流平滑回路部5aは、上記した時間t1から時間t2までの期間のときと同様に動作する。つまり、図4に示すように、スイッチング素子421,422のオン/オフを制御するための各駆動電圧Vp1,Vp2が180°位相がずれ、かつ周期Tでハイレベルとなることにより、スイッチング回路部41,42および共振整流平滑回路部5aは、上記した時間t0から時間t2までの期間のときの動作を周期Tで繰り返し実行する。
このように、このスイッチング電源装置1bにおいても、各スイッチング回路部41,42が1つの共振整流平滑回路部5bを共用する構成のため、スイッチング電源装置1bによっても、平滑キャパシタ53を除く共振整流平滑回路部5bの各構成要素(ダイオード51、第2共振キャパシタ52、第3共振キャパシタ54および共振インダクタ55)で構成される不図示の共振整流平滑回路をスイッチング回路部41,42毎に個別に設ける従来例の構成と比較して、並列接続するスイッチング回路部41,42の数に関係なく共振整流平滑回路部5bを1つとすることができるため、その分だけ部品点数を削減することができ、これにより、大電力化を図りつつ装置全体をより小型化することができる。
なお、スイッチング電源装置を非絶縁共振型コンバータ装置として構成したスイッチング電源装置1a,1bについて上記したが、スイッチング電源装置はこれに限定されるものではなく、図5,6に示すスイッチング電源装置1c,1dのように絶縁共振型コンバータ装置として構成して、直流入力端子2a,2b側の基準電位(共通グランドG)と、直流出力端子3a,3b側の基準電位(共通グランドG1)とを絶縁(電気的に分離)することもできる。以下、このスイッチング電源装置1c,1dの構成および動作について説明する。なお、構成の説明においては、スイッチング電源装置1bと同一の構成については同一の符号を付して重複する説明を省略し、また動作の説明においても、スイッチング電源装置1bと同一の動作についての説明を省略する。
まず、スイッチング電源装置1cについて説明する。スイッチング電源装置1cは、図5に示すように、一対の直流入力端子2a,2b、一対の交流出力端子Pa,Pb、一対の直流出力端子3a,3b、複数の共振型スイッチング回路部(同図では一例として2個の共振型スイッチング回路部41,42)、1つの共振整流平滑回路部5c、および制御部6を備え、直流入力端子2a,2b間に入力される直流入力電圧Viに基づいて直流出力電圧Voを生成して直流出力端子3a,3bから出力可能に構成されている。このように、スイッチング電源装置1cは、共振整流平滑回路部5bに代えて共振整流平滑回路部5cを使用している構成においてのみスイッチング電源装置1bと相違し、他の構成についてはスイッチング電源装置1bと同一に構成されている。
共振整流平滑回路部5cは、一例として、第2共振キャパシタ52(本例では、2つの第2共振キャパシタ521,522で構成されている)および第3共振キャパシタ54の直列回路と、第3共振キャパシタ54に並列接続された第3共振インダクタ55と、第2共振キャパシタ52および第3共振キャパシタ54の接続点(第2接続点B)と直流出力端子3a,3b(本例では直流出力端子3a)との間に接続されたダイオード51とを備えると共に、第2共振キャパシタ52および第3共振キャパシタ54の直列回路が交流出力端子Pa,Pb間に接続されて、共振整流平滑回路として構成されている。本例では、第2共振キャパシタ52および第3共振キャパシタ54の直列回路は、2つの第2共振キャパシタ521,522間に第3共振キャパシタ54が配置される接続形態で構成されており、第2共振キャパシタ521が交流出力端子Paに接続され、第2共振キャパシタ522が交流出力端子Pbに接続されている。また、第2接続点Bは、第2共振キャパシタ521および第3共振キャパシタ54の接続点に規定されている。よって、第2共振キャパシタ521およびダイオード51の直列回路は、交流出力端子Paと直流出力端子3aとの間に接続されている。また、平滑キャパシタ53は、直流出力端子3a,3b間に接続されている。これにより、このスイッチング電源装置1cにおいても、共振整流平滑回路部5cは、各スイッチング回路部41,42によって共用される構成となっている。
この構成、つまり、交流出力端子Paに第2共振キャパシタ521が直列に接続されると共に、交流出力端子Pbに第2共振キャパシタ522が直列に接続される構成により、この共振整流平滑回路部5cは、一対の第2共振キャパシタ521,522によって直流入力端子2a,2b側の基準電位(共通グランドG)と直流出力端子3a,3b側の基準電位(共通グランドG1)とを電界によって絶縁(直流的に分離)している。
次いで、スイッチング電源装置1cの動作について説明する。スイッチング電源装置1cでは、一対の第2共振キャパシタ521,522が全体としてスイッチング電源装置1bの第2共振キャパシタ52と同等に機能する。このため、スイッチング電源装置1cでは、各スイッチング回路部41,42がスイッチング電源装置1bと同様に動作して、直流入力端子2a,2b間に入力される直流入力電圧Viを交流出力電圧Vacに変換して交流出力端子Pa,Pbに出力し、共振整流平滑回路部5cが、この交流出力電圧Vacを共通グランドG側と絶縁した状態で直流出力電圧Voに変換して直流出力端子3a,3bから出力する。
このように、このスイッチング電源装置1cにおいても、各スイッチング回路部41,42が1つの共振整流平滑回路部5cを共用する構成のため、スイッチング電源装置1cによっても、平滑キャパシタ53を除く共振整流平滑回路部5cの各構成要素(ダイオード51、第2共振キャパシタ521,522、第3共振キャパシタ54および共振インダクタ55)で構成される不図示の共振整流平滑回路をスイッチング回路部41,42毎に個別に設ける従来例の構成と比較して、並列接続するスイッチング回路部41,42の数に関係なく共振整流平滑回路部5cを1つとすることができるため、その分だけ部品点数を削減することができ、これにより、大電力化を図りつつ装置全体をより小型化することができる。
次に、スイッチング電源装置1dについて説明する。スイッチング電源装置1dは、図6に示すように、一対の直流入力端子2a,2b、一対の交流出力端子Pa,Pb、一対の直流出力端子3a,3b、複数の共振型スイッチング回路部(同図では一例として2個の共振型スイッチング回路部41,42)、1つの共振整流平滑回路部5d、および制御部6を備え、直流入力端子2a,2b間に入力される直流入力電圧Viに基づいて直流出力電圧Voを生成して直流出力端子3a,3bから出力可能に構成されている。このように、スイッチング電源装置1dは、共振整流平滑回路部5bに代えて共振整流平滑回路部5dを使用している構成においてのみスイッチング電源装置1bと相違し、他の構成についてはスイッチング電源装置1bと同一に構成されている。
共振整流平滑回路部5dは、一例として、第2共振キャパシタ52および第3共振キャパシタ54の直列回路と、第1巻線56aおよび第2巻線56bを有して第1巻線56aが第3共振キャパシタ54に並列接続された絶縁トランス56と、第2巻線56bの一端と直流出力端子3a,3b(本例では直流出力端子3a)との間に接続されたダイオード51とを備えると共に、第2共振キャパシタ52および第3共振キャパシタ54の直列回路が交流出力端子Pa,Pb間に接続され、かつ第2巻線56bの他端が直流出力端子3b(共通グランドG1に接続されている端子)に接続されて、共振整流平滑回路として構成されている。本例では、第2共振キャパシタ52および第3共振キャパシタ54の直列回路は、第2共振キャパシタ52が交流出力端子Paに接続される接続形態で構成されている。また、平滑キャパシタ53は、直流出力端子3a,3b間に接続されている。これにより、このスイッチング電源装置1dにおいても、共振整流平滑回路部5dは、各スイッチング回路部41,42によって共用される構成となっている。
この構成により、この共振整流平滑回路部5dは、絶縁トランス56によって直流入力端子2a,2b側の基準電位(共通グランドG)と直流出力端子3a,3b側の基準電位(共通グランドG1)とを磁界によって絶縁(電気的に分離)している。
次いで、スイッチング電源装置1dの動作について説明する。スイッチング電源装置1dでは、絶縁トランス56の第1巻線56aがスイッチング電源装置1bの共振インダクタ55と同等に機能する。このため、スイッチング電源装置1dでは、各スイッチング回路部41,42がスイッチング電源装置1bと同様に動作して、直流入力端子2a,2b間に入力される直流入力電圧Viを交流出力電圧Vacに変換して交流出力端子Pa,Pbに出力し、共振整流平滑回路部5dが、この交流出力電圧Vacを共通グランドG側と絶縁した状態で直流出力電圧Voに変換して直流出力端子3a,3bから出力する。
このように、このスイッチング電源装置1dにおいても、各スイッチング回路部41,42が1つの共振整流平滑回路部5dを共用する構成のため、スイッチング電源装置1dによっても、平滑キャパシタ53を除く共振整流平滑回路部5dの各構成要素(ダイオード51、第2共振キャパシタ52、第3共振キャパシタ54および絶縁トランス56)で構成される不図示の共振整流平滑回路をスイッチング回路部41,42毎に個別に設ける従来例の構成と比較して、並列接続するスイッチング回路部41,42の数に関係なく共振整流平滑回路部5dを1つとすることができるため、その分だけ部品点数を削減することができ、これにより、大電力化を図りつつ装置全体をより小型化することができる。
以上、スイッチング電源装置について、種々の実施の形態を挙げて説明したが、上記した実施の形態の構成に限定されず、種々の変形実施が可能である。例えば、直流入力端子2a,2bと交流出力端子Pa,Pbとの間に並列に接続するスイッチング回路部の数については、上記した2個に限定されず、3個以上の任意の個数とすることもできる。
また、上記のスイッチング回路部41,42では、第1インダクタ411および第2共振インダクタ441の直列回路と、第1インダクタ412および第2共振インダクタ442の直列回路とを、直流入力端子2aと交流出力端子Paとの間に接続し、かつスイッチング素子421の第1接続点A1に接続されていない端子およびスイッチング素子422の第1接続点A2に接続されていない端子を直流入力端子2bと交流出力端子Pbとに接続する構成を採用しているが、これに限定されるものではない。例えば、第1インダクタ411および第2共振インダクタ441の直列回路と、第1インダクタ412および第2共振インダクタ442の直列回路とを、直流入力端子2bと交流出力端子Pbとの間に接続し(共通グランドG側に配置し)、かつスイッチング素子421の第1接続点A1に接続されていない端子およびスイッチング素子422の第1接続点A2に接続されていない端子を直流入力端子2aと交流出力端子Paとに接続する構成を採用することもできる。