JP6817663B1 - ロボットハンド及びロボット - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構造で、汎用的に使用でき、対象物に応じて変形し、対象物を傷つけにくいロボットハンドを提供する。【解決手段】対象物と当接する2以上の指部を含むロボットハンド20であって、前記指部は、少なくとも一の指節部が複数のループ状の弾性を有する線材を所定間隔で配列してなる線材群により外形が形成されるロボットハンド。【選択図】図1

Description

本発明は、ロボットハンド及びロボットに関する。
対象物を掴む装置として、例えば、駆動機構を備えるグリッパ機構が提案されている(特許文献1を参照)。当該グリッパ機構は、押圧部材として、変位部材の変位に連動して互いに接近及び離間して開閉することでワークを把持する一組の把持部材を有するグリッパ部を備える(請求項3を参照)。
特開2009−125851号公報
上記特許文献1に記載のグリッパ機構は、対象物の形状や大きさによっては汎用的に把持できない場合がある。また、対象物が柔らかい場合は、対象物を傷つけるおそれがある。
本発明は、上記課題の少なくとも一つを解決するためのもので、汎用的に使用でき、対象物に応じて変形し、対象物を傷つけにくいロボットハンドを提供することを目的とする。
上述した少なくとも1つの課題を解決するために、本発明に係るロボットハンドは、対象物と当接する2以上の指部を含むロボットハンドであって、前記指部は、少なくとも一の指節部が複数のループ状の弾性を有する線材を所定間隔で配列してなる線材群により外形が形成される。
また、前記線材は、略C字形状または略U字形状であってもよい。
また、前記線材群は、背側及び腹側の少なくとも一方に凸の凸形状に構成されてもよい。
また、前記線材群は、左側及び右側の少なくとも一方に凸の凸形状に構成されてもよい。
また、前記線材群は、略筒形状を有してもよい。
また、前記指部の前記指節部は、使用状態において、対象物に最も近位の最近位線材と、対象物に2番目に近位の第2近位線材とが共同して対象物に当接できてもよい。
また、前記指部の前記指節部同士は、初期状態において、相手方に最も近位の最近位線材同士が当接する状態から、相手方に最も近位の最近位線材同士が当接し且つ相手方に2番目に近位の第2近位線材同士が当接する状態に切り替えることができてもよい。
また、前記線材群の前記線材は、前記一の指節部と他の指節部とを接続する関節部または接続部に末端が露出しないように固定されてもよい。
また、前記指節部は、二つの前記線材群により外形が形成されてもよい。
また、二つの前記線材群は、相対するように隣接の二つの関節部または接続部にそれぞれ両端部が固定されてもよい。
また、前記線材群は、対象物が後端側よりも前端側に寄るように構成されてもよい。
また、前記指節部は、指骨部材を有し、前記指骨部材は、前記線材群により囲まれてもよい。
また、前記指部は、二以上の前記指節部を有し、二以上の前記指節部における前記線材群は、互いに異なってもよい。
また、前記線材群には、変位センサが設けられてもよい。
また、前記線材群の少なくとも一部の線材は、前記一の指節部と他の指節部とを接続する関節部または接続部の反対側に凹入する避け部を有してもよい。
また、上述した少なくとも1つの課題を解決するために、本発明に係るロボットは、前述のいずれかのロボットハンドを含む。
本発明によれば、汎用的に使用でき、対象物に応じて変形し、対象物を傷つけにくいロボットハンドを提供することができる。
上記した以外の課題、構成及び効果は、以下の実施形態の説明により明らかにされる。
本発明の一実施形態に係るロボットハンドの一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係るロボットハンドの指部の一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係るロボットハンドの指部の一例を示す図で、図2の指部の一部拡大図である。 指部の線材群を説明するための模式図である。 指部の線材群を説明するための模式図である。 指部の線材群を説明するための模式図である。 指部の線材の他の例を示す図である。 本発明の一実施形態に係るロボットハンドの指部の線材群の他の例を示す図である。 本発明の一実施形態に係るロボットハンドの指部の線材群の他の例を示す図である。 本発明の一実施形態に係るロボットハンドの指部の線材群の他の例を示す図である。 本発明の一実施形態に係るロボットハンドの指部の一例を示す図で、図2の指部の一部拡大図である。 本発明の一実施形態に係るロボットハンドの指部の一例を示す図で、図2の一部拡大図である。 本発明の一実施形態に係るロボットハンドの指部の一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係るロボットハンドの根基部の一例を示す図で、図2の一部拡大図である。 ロボットハンドの指部の他の例を示す図である。 発明の一実施形態に係るロボットハンドの手基部の一例を示す図で、図1の一部拡大図である。 本発明の一実施形態に係るロボットハンドの指部の一例を示す図である。 図17の指部の屈伸動作の一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係るロボットハンドの指部の一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係るロボットハンドの指部の一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係るロボットの一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係るロボットの一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係るロボットハンド及びその指部の一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係るロボットハンド及びその指部の一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係るロボットハンド及びその指部の一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係るロボットハンド及びその指部の一例を示す模式図である。 本発明の一実施形態に係るロボットハンドを示す図である。 図27の一部拡大図である。 図27のロボットハンドの他の例である。 本発明の一実施形態に係るロボットの一例を示す図である。 指部の使用状態を説明するための図である。 指部の使用状態を説明するための図である。 指部の使用状態を説明するための図である。 指部の使用状態を説明するための図である。 第1指節部における線材群の他の例を示す図である。 第1指節部における線材群の他の例を示す図である。 第1指節部における線材群の他の例を示す図である。 第1指節部における線材群の他の例を示す図である。 本発明の一実施形態に係るロボットハンドの一例を示す図である。 本発明の一実施形態に係るロボットハンドの指部の補強部の例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図で、(a)は取付後、(b)は取付け前を示す図である。 図41の線材止め部の他の例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図で、(a)は取付け後、(b)は取付け前を示す図である。 図43の線材止め部の他の例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図である。 本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図で、(a)は取付け前の受け部、(b)は取付け後、(c)は線材を曲げた例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図である。 本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図で、(a)は斜視図、(b)はAA線断面の例である。 図48の線材止め部の他の例を示す図である。 本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図である。 本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図である。 本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図である。 本発明の一実施形態に係る線材のループ形状を示す図である。 本発明の一実施形態に係る線材のループ形状を示す図である。 本発明の一実施形態に係る線材のループ形状を示す図である。 本発明の一実施形態に係る線材のループ形状を示す図である。
以下に本発明の実施形態の例を図面を用いて説明する。なお、下記実施形態において共通する構成要素については、前出の符号と同様な符号を付し説明を省略することがある。また、構成要素等の形状、位置関係等に言及する場合は、特に明示した場合及び原理的に明らかにそうでないと考えられる場合等を除き、実質的にその形状等に近似または類似するもの等を含むものとする。
<ロボットハンド>
図1は、本発明の一実施形態に係るロボットハンドの一例を示す図である。ここでは、ロボットは、産業用ロボット(ロボットマニピュレータ、ロボットアーム)及び非産業用ロボット(サービスロボット)を含む。本実施形態では、主として人型ロボットを例に説明するが、本発明はそれ以外のロボットにも適用できる。
ロボットハンド(以下では「ハンド」とも略称する)20は、ロボットの前腕部930の先端部に取り付けられる。ハンド20は、2以上の指部200と、2以上の指部と対応する根基部240と、根基部と接続する手基部250と、ハンドをロボットの先端部に取り付ける取付部260とを含む。以下の説明では、ハンド20において対象物を掴む側を腹側、反対側を背側とする。また、ハンド20において、指の延在方向(前後方向)及び背腹方向(掴み方向)と直交する方向を左右方向とする。
2以上の指部は、2組に分けて配置される。一例として、図示のように、第1指部200aからなる一組と、第2指部200b、第3指部200c、第4指部200d及び第5指部200eからなる他組とが対向して配置される。一組の第1指部200aと他組の少なくとも1つの指部とが一方が他方に対して、または互いに、接近・離開することでハンド20が開閉して対象物を掴む。指部の数は、一組の指部の数が2本以上でもよいし、他組の指部の数が4本以下でもよく、適宜設定できる。
第1指部200aは、第1指節部210a、第2指節部220a及び第3指節部230aの3つの指節部を含む(第2指部200b等も同様である)。根基部240aは指節部の延在方向と同方向に延在し、第3指節部230aと後述の関節部を介して接続する(根基部240b等も同様である)。手基部250は延在方向が根基部の延在方向と略直交し、各根基部240と後述の関節部を介して接続する。
ハンド20において、第2指部を例に説明すると、指節部(210b、220b及び230b)は人の手の指骨及びその周辺組織に相当し、根基部240bは中手骨及びその周辺組織に相当し、手基部250bは手根骨及びその周辺の組織に相当する。ハンド20は、指節部210bの先端に爪のように先端爪203bが設けられてもよい。先端爪203bは、一例として、例えばシリコン樹脂などでブロック状に形成される。
ハンド20は、指節部同士、指節部と根基部、根基部と手基部を接続する接続部として関節部300を有する。関節部300は、一例として、図示の矢印方向に回転でき、これによって、上記指節部等が回転し、ハンド20が屈伸して物を掴んだり握ったりする。関節部の構成は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で従来技術が適宜用いられてよい。
一例として、ハンド20における関節部の駆動にはワイヤ等の腱部材で駆動(例えば、引っ張るなど)する腱駆動機構(ワイヤ駆動機構、ケーブル駆動機構)が用いられる。腱駆動機構は、腱部材を一方から駆動する(例えば引っ張るなど)ものでもよいし、両方から駆動するものでもよい。また、それぞれを連動して駆動するものでも良い。他の例として、ハンド20における関節部はモータ(例えば、サーボモータやステッピングモータ、モータと歯車の組合せ等)で駆動される。
<ロボットハンドの指部>
図2は、本発明の一実施形態に係るロボットハンドの指部の一例を示す図である。図示の指部200は、一例として、図1に示すハンド20に用いられる。一例として、図示の指部200は図1のような人型ロボットハンド以外のロボットハンドに用いられる。以下では、ハンド20の第2指部200bとして説明する(ハンド20の他の指部も同様に構成できる)。
図2に示すように、指部200bは、指骨部材を有する。より具体的には、前端で第1指関節部310bと接続し、後端で第2指関節部320bと接続する第2指骨部材520bと、前端で第2指関節部320bと接続し、後端で第3指関節部330bと接続する第3指骨部材530bとを有する。指部200bは、図1に示すように、前端で先端爪203bと接続し、後端で第1指関節部310bと接続する第1指骨部材を有してもよい。
指骨部材には、バネ性を有する太いワイヤや板材、またはバネ性を有しない鋼材等が用いられる。指骨部材の太さ(多角形では対面幅)は、例えば、下限は1.5mm、好ましくは1.6mm、より好ましくは1.8mmである。上限は10mm、好ましくは8.0mm、より好ましくは6.0mmである。なお、図示の指骨部材は、2本のワイヤから構成されるが、1本でもよいし、3本以上でもよい。
第1指関節部310b、第2指関節部320b及び第3指関節部330bは、略円柱状の外形を有し、軸方向が指部の延在方向と直交する。
一例として、各指関節部は、軸部及び軸受を有し、軸部の回転に伴って指節部が軸部の周りを回転し、指部が屈伸可能となっている。
一例として、第1指関節部310bの前端に第1指腱部材610bの前端が固定され、第2指関節部320bの前端に第2指腱部材620bの前端が固定され、第3指関節部330bの前端に第3指腱部材630bの前端が固定される。各軸部は、各指腱部材が引かれる方向に回転し、これによって指部が屈伸する。好ましくは、各関節部には指節部が屈伸後初期状態に戻れるように図示しないバネ等の復帰機構が設けられ、腱部材が緩むことで指節部が初期状態に戻れるようになっている。
一例として、各指骨部材はバネ性を有し、指腱部材が引かれることで、指骨部材が引かれる方向に曲がり、指腱部材が緩むと元の状態に戻るようになっている。単純な構造として、軸部が回転せず、各指骨部材がバネ性を有し、指腱部材が引かれることで、指骨部材が変形し、これによって指節部が屈伸するようになっていてもよい。
すなわち、前述の指関節部の少なくとも一部は、屈伸機能を有しない単なる接続部として構成されてもよい。また、指節部同士の間には屈伸機能を有する指関節部を設けず、第3指節部と根基部との間にのみ関節部を設けてもよい。その場合、その先の指節部の指骨部材は腹側に凹状に湾曲した形状でもよく、その周りの後述の線材群もその湾曲形状に応じた形状でもよい。
指部200は、複数の線材4(第1線材)を含んでその外形が形成される。線材4は、弾性を有し、好適には断面が丸い金属線材、例えばステンレス鋼線や、ピアノ線、真鍮線、貴金属線、貴金属メッキ線、チタン線などのワイヤからなる。ただし、これに限らず、断面4角形、6角形等の断面多角形の線材が用いられてもよい。線材の太さ(多角形では対面幅)は、例えば、下限は0.2mm、好ましくは0.25mm、より好ましくは0.3mmである。上限は5.0mm、好ましくは4.0mm、より好ましくは3.2mmである。
線材4は、前述線材の表面がナイロン、シリコン、テフロン等で被覆される、またはメッキ等が施されることで被覆層を有するものでもよい。線材4は、さらには、ナイロンなどのプラスチック樹脂(カーボンファイバー、ケブラー(登録商標)などを含有するものを含む)などの材料で形作られてもよい。また、撚り線、線や線の束に金属線等を巻き付けた(例えば、ギターの弦のような)構造の線などでもよい。また、両端部分で太く、中央部に向かって太さを徐々に細くされたものでもよい。なお、以下の説明で「ワイヤ」や「線材」として言及したとしても、ワイヤに限定する意味ではなく、任意の公知の好適な弾性線材であり得る。
さらに、その上に、ゴムやプラスチック樹脂などでの滑り止めや保護材が形成されても良い。
線材4は、ループ形状を有する。より具体的には、1本の線材を、一端(端部)から出発して、略中央で折り返して、他端(端部)が一端と並ぶ位置に戻る形状である。ここでは、ループは、閉じていないループ形状、例えば略U字状、C字状等である。ロボットハンドは、指部の少なくとも一の指節部が、複数のループ状の弾性を有する線材を所定間隔で配列してなる線材群により外形が形成される。言い換えれば、少なくとも一の指節部は、ワイヤで外形ないし外殻、表層部、表皮が形成される。一例として、図示のように、指部が二以上の指節部を有し、二以上の指節部における線材群が互いに異なる。好ましくは、線材群は背側、腹側、左側及び右側の少なくとも一方に凸の凸形状に構成される。
<指部の線材群(第1型線材群)>
図3は、本発明の一実施形態に係るロボットハンドの指部の一例を示す図で、図2の一部拡大図である。図4〜図6は指部の線材群を説明するための模式図である。図7は線材の他の例を示す図である。
図3に示すように、第1指節部210bは、線材群40によりその外形が形成される。線材群40は、ループ状の弾性を有する線材を複数含み、少なくとも一部が撓むことができる。線材群40は、一例として、線材401A、線材402A及び線材403Aの3本の線材からなる一組(第1組)と、線材401B、線材402B及び線材403Bからなる他組(第2組)との2組の線材が、腹側と背側で対向して構成される第1型線材群41である。各線材は、両端部が関節部310bに受け止められ、固定される。線材を固定する線材止め部(線材固定構造)の詳細は後述する。
線材群41の各線材は、略U字形状又は略C字形状のループ形状を有する。各線材は、一続きの線材で、中央部である先端4001と、関節部から延出する部分である基端4003と、先端4001と基端4003との間に延在する肢4002とを有する。言い換えれば、関節部から延出した両基端4003が両肢4002に移行し、先端4001が左右側で肢4002に移行している。線材が略U字形状である場合は、先端4001から両肢4002に移行する部分にそれぞれ角部4004(第1角部)が形成される。また、基端4003から両肢4002に移行する部分にそれぞれ角部4005(第2角部)が形成されてもよい。線材群の各線材の両端部は、関節部(接続部)に末端が露出しないように固定される。基端4003は、端部における末端以外の部分であって関節部(接続部)から露出している部分で、末端よりも中央部側の部分である。
2組の線材は、第1組(腹側)が、背側から腹側に向けて、ループが最も大きい最大線材401A、次に大きい第2大線材402A、最も小さい最小線材403Aの順に配置され、腹側に凸状となり、他組に対して凹状となって、内側空間を有する。第2組(背側)は、これと対称に配置され、腹側から背側に向けて、ループが最も大きい最大線材401B、次に大きい第2大線材402B、最も小さい最小線材403Bの順に配置され、背側に凸状となり、他組に対して凹状となって、内側空間を有する。好ましくは、線材群41の各線材は、U字形状ないしC字形状が背腹方向に直交する面に略含まれるようになっている。各線材同士の間には線材の線径(線材の厚みまたは幅)以上の隙間を有する。凸形状の底部に配置(配列)される最大線材401Aと401Bとの間の隙間は、他の隣接線材同士の間の隙間と大きく変わらない。そのため、線材群41は、筒状(より具体的には、例えば、中央の断面積が大きく前後端に向かって断面積が漸次小さくなる略丸筒状ないし楕円筒状)をなし、立体的に構成される。
このように構成することで、線材群41は、背・腹・左・右側に凸の凸形状となる。言い換えれば、腹側では線材401A、402A、403Aの両肢4002及び先端4001で凸曲面を構成し、背側では線材401B、402B、403Bの両肢4002及び先端4001で凸曲面を構成し、左側及び右側ではそれぞれ、401A、402A、403Aの一方の肢及び401B、402B、403Bの一方の肢で凸曲面を構成し、共通の内部空間を有する。言い換えれば、第1指節部210bは、図示の仮想線で示めすように、線材群41により略筒状のフレーム204を備える。本実施形態の指節部は、360度の全方向からの押圧に対して撓むとともに、共同して衝撃を低減したり、物を掴んだりすることができる。
第1指節部210には、好ましくは、変位センサ201が設けられる。変位センサ201は、線材群410bの一部の線材に取り付けられ、例えばループの基端や先端に取り付けられる。変位センサ201は、一例として、例えば、ひずみゲージである。他の例として、例えば、力学センサである。図示のように、2以上のセンサを、先端と基端など複数の位置に取り付けてもよい。変位センサにより線材の動きを検出し、検出された値に基づき指節部の動作を制御できる。または、変位センサは、例えば、ワイヤのゆがみを検出するゆがみセンサ、物に当たったときの圧を検出する圧力センサ、変動を検出する加速度センサ、傾き等を検出するジャイロセンサなどであってもよい。近接する物を検出する赤外線センサ、距離センサでもよい。
図4に背側の一例を示すと、塊状の物(対象物)Oが指節部に当ると、まず、物Oに最も近位の最近位線材(最小線材)403Bが負荷を受け、撓む。次に、物Oに2番目に近位の第2近位線材(第2大線材)402Bが負荷を受け、撓む。次に、物Oに最も遠位の最遠位線材(最大線材)401Bが負荷を受け、撓む。図示のa、b、c、d、eのように、指節部において負荷を受ける線材が順次増える、または入れ替わる。
各線材のループ(U字形状ないしC字形状)の先端4001は、物Oを保持し、負荷を支える支え部となる。
図5では、物Oが線材群に当たってから離れるまでの流れの一例を、背側(線材401B、402B、403B)を例に説明する。
(1)物Oが線材群に接近しているものの、まだ当たってない状態では、物Oと最も近位の背側に最小線材403Bが、物Oと最も離れている腹側に最大線材401Bが、その間に第2大線材402Bがあり、互いに線材の線径(厚み)以上の隙間を有する。各線材は、略U字形状ないしC字形状で、図示のように側面視略円弧状で、背側に凸状となっている。
(2)物Oが線材群に接近し、線材群に当たり始めた状態では、まず、物Oは最小線材(最近位線材)403Bの肢に当る。そうすると、最小線材403Bが腹側に撓み、隣接の第2大線材(第2近位線材)402Bに接近する。
(3)物Oの全負荷が線材群にかかった状態では、最小線材403Bが更に腹側に撓んで最小線材403Bの肢から先端に亘る部分が第2大線材402Bのループの内部に入り込む。そうすると、第2大線材402Bも物Oと当接して負荷を受けて、最小線材403B及び第2大線材402Bの2本の線材が物Oと当接し、これを支えるようになる。また、物Oの負荷によっては、第2大線材402Bも腹側に撓み、隣接の最大線材401Bに接近する。
(4)最小線材403B及び第2大線材402Bが更に腹側に撓んで最大線材401Bのループの内部に入り込む。そうすると、最大線材401Bも物Oと当接して負荷を受ける。これにより、最小線材403B、第2大線材402B及び最大線材401Bの3本の線材が物Oを支えるようになる。
一方、物Oは、線材の反力を受けながら、肢に沿って前方に滑り移動する。そうすると、最小線材403Bの先端が物Oを支え、前方で物Oの移動を阻む。
(5)物Oが最小線材403Bの先端を乗り越えると、第2大線材402Bの先端が物Oを支え、前方で物Oの移動を阻み、最小線材403Bは負荷から解放され、元の状態に戻る。これにより、第2大線材402B及び最大線材401Bの2本の線材が物Oを支えるようになる。
(6)物Oが第2大線材402Bの先端を乗り越えると、最大線材401Bの先端が物Oを支え、前方で物Oの移動を阻み、第2大線材402Bは負荷から解放される。ここで、最大線材401Bの先端のみで支えるため、最大線材401Bが大きく撓む。
(7)物Oが最大線材401Bの先端を乗り越えると、最大線材401Bが負荷から解放され、物Oは線材群から離れる。
このように、線材群は、物Oに当たっても撓みながら物Oが離れるまでその負荷を支えるので、内側に配置される骨部材や腱部材などを保護できる。また、物Oに優しく接触するので、物Oに当たっても、傷つけずにすむ。
一方、指節部の線材群で物Oを掴む場合は、腹側(線材401A、402A、403A)で物Oを掴むことになる。
この場合、初期状態において、対向する一対の指部の指節部同士における線材群41同士は、相手方に最も近位の最近位線材(最小線材)同士が当接する状態から、最近位線材同士が当接し且つ相手方に2番目に近位の第2近位線材(第2大線材)同士が当接する状態に切り替えることができる。さらに、最近位線材同士が当接し、第2近位線材同士が当接し、且つ相手方に最も遠位の最遠位線材(最大線材)同士が当接する状態に切り替えることができる。
また、使用状態において、対象物Oを掴む場合は以下のように作用する。
(1)線材群が物Oに接近しているものの、まだ掴んでいない状態では、物Oに最も近位の最小線材(最近位線材)403Aが、物Oに最も離れている背側に最大線材(最遠位線材)401Aが、その間に第2大線材(第2近位線材)402Aがあり、互いに線材の線径(厚み)以上の隙間を有する。各線材は、略U字形状ないしC形状で、側面視略円弧状で、腹側に向かって凸状となっている。
(2)線材群が物Oにさらに接近し、物Oを掴む場合は、まず、最小線材403Aの肢が物Oに当る。そうすると、最小線材403Aが背側に撓んで隣接の第2大線材402Aに接近しながら、他方の指節部の最小線材と共同して物Oを掴み上げる。
(3)(2)で物Oを掴み上げられず、最小線材403Aが更に背側に撓んで肢から先端に亘る部分が第2大線材402Aのループの内部に入り込むと、第2大線材402Aも物Oと当接し、最小線材403A及び第2大線材402Aの両方が、他方の指節部の線材と共同して物Oに当接し、これを掴み上げる。
(4)(3)で物Oを掴み上げられず、最小線材403A及び第2大線材402Aが更に背側に撓んで最大線材401Aのループの内部に入り込むと、最大線材401Aも物Oと当接し、最小線材403A、第2大線材402A及び最大線材401Aの三者が、他方の指節部の線材と共同して物Oを掴み上げる。
このように、線材群は、撓みながら物Oに当接する線材を順次増やし、物Oに適した力で掴み上げることができる。
また、図6に示すように線材群410bの腹側が物Oに当接する際、先端4001は、まるで人の指先の指紋のように、物Oを支え、前方で物Oの移動を阻む機能を有する。
このように、線材群41は、少なくとも一部が撓むことで、物Oに適した力で掴み上げることができ、物Oに優しく接触できるとともに、物Oを掴む際に滑り止め効果を有する。なお、前述のように、線材群41を構成する線材に柔らかい素材の被覆層を設ければ、物Oにより優しく接触できる。
また、指節部の外形を線材群で形成することで、指部の軽量化が図れる。また、隙間が多く空気抵抗が少なくなる。さらに、加工しやすく製造しやすい。例えば、外形の型が不要で、ワイヤを曲げるだけでよい。最初から表面が滑らかなワイヤを用いて製造すればよく、表層にバリが生じにくい。
図7(a)に示すように、線材4のループ先端に一又は複数の凹部(または凸部)81を設けて、波状に凹凸する滑止部を設けてもよい。図示の凹部81の凹み度合い(凸部の場合は突出度合い)は線材4の線径より大きいが、小さくてもよい。これにより、物Oが小さいものや形の安定しないものであっても対応しやすくなる。
図7(b)に示すように、線材4のループ先端に1または2以上の補強部82を設けてもよい。補強部82は、一例として、図示のように、ループの先端よりも後方に前方に凸の円弧状に設けられる。すなわち、U字状の線材4の内側に、U字状の線材を両端で結合して補強部82とする。補強部82には、線材4と同様な線材が用いられてもよい。補強部82の線材4への固定は、溶着や接着、固定部材による固定など既知の手法が適宜用いられてよい。
これらにより、対象物Oが小さいものや形の安定しないものであっても対応しやすくなる。また、先端付近の弾性を強めることができるとともに、1本の線材に対して段差を設けて、まるで指紋の密度を増やすように、さらに、物Oを確実に掴むことができる。
<指部の線材群(第2型線材群)>
図8は、本発明の一実施形態に係るロボットハンドの指部の線材群の他の例を示す図である。以下では、主として前述線材群と異なる点を説明する。
ここでは、線材群40は、大小異なる略U字状(又はC字状)のループを有する線材401C、402C、403Cからなる第1組が左側に配置され、大小異なるU字状(又はC字状)のループを有する線材401D、402D、403Dからなる第2組が右側に配置されて、全体として略筒状に形成される第2型線材群42である。好ましくは、線材群42の各線材は、U字形状ないしC字形状が背腹方向に平行する面に略含まれるようになっている。線材群42の各線材は、肢4002が屈曲されて例えば基端に近い位置に角部(第5角部)4011が形成されてもよい。
線材群42は、背・腹・左・右側に凸の凸形状である。言い換えれば、線材群42は、左側では線材401C、402C、403Cの両肢4002及び先端4001で凸曲面を構成し、右側では線材401D、402D、403Dの両肢4002及び先端4001で凸曲面を構成し、腹側では線材401C、402C、403Cの一方の肢及び線材401D、402D、403Dの一方の肢で凸曲面を構成し、背側では線材401C、402C、403Cの他方の肢及び線材401D、402D、403Dの他方の肢で凸曲面を構成し、共通の内部空間を保有する。これにより、指節部は、360度の全方向からの押圧に対して撓むとともに、共同して衝撃を低減したり、物を掴んだりすることができる。
線材群42は、腹側に対象物が当たった場合、まず、線材403C及び403Dの一方の肢に対象物が当接し、その次に、線材402C及び402Dの一方の肢に対象物が当接し、さらにその次に、線材401C及び401Dの一方の肢に対象物が当接するというように、負荷を受ける線材が順次増える、または入れ替わることができる。
線材群42は、物を掴む場合、腹側で、線材403C及び403Dの一方の肢のみが対象物に当接する状態から、これらとともに線材402C及び402Dの一方の肢も対象物に当接する状態に切り替え、さらにこれらとともに線材401C及び401Dの一方の肢も対象物に当接する状態に切り替えることができる(後述の図23及び図24を参照)。
<指部の線材群(第3型線材群)>
図9は、本発明の一実施形態に係るロボットハンドの指部の線材群の他の例を示す図である。以下では、主として前述線材群と異なる点を説明する。
ここでは、線材群40は、大小異なる略U字状(又はC字状)のループを有する線材401A、402Aからなる第1組が腹側に配置され、大小異なるU字状(又はC字状)のループを有する線材401B、402Bからなる第2組が背側に配置され、大小異なる略U字状(又はC字状)のループを有する線材401C、402Cからなる第3組が左側に配置され、大小異なる略U字状(又はC字状)のループを有する線材401D、402Dからなる第4組が右側に配置されて、全体として略筒状に形成される第3型線材群43である。
線材群43は、背・腹・左・右側に凸の凸形状である。言い換えれば、線材群43は、腹側では線材401A、402Aの両肢及び先端で凸曲面を構成し、背側では線材401B、402Bの両肢及び先端で凸曲面を構成し、左側では線材401C、402Cの両肢及び先端で凸曲面を構成し、右側では線材401D、402Dの両肢及び先端で凸曲面を構成し、共通の内部空間を保有する。これにより、指節部は、360度の全方向からの押圧に対して撓むとともに、共同して衝撃を低減したり、物を掴んだりすることができる。
<指部の線材群(第4型線材群)>
図10は、本発明の一実施形態に係るロボットハンドの指部の線材群の他の例を示す図である。以下では、主として前述線材群と異なる点を説明する。
ここでは、線材群40は、線材401、線材402及び線材403の3本の線材を含んで構成される。これらの線材は、略三次元U字形状(又は略三次元C字形状)を有し、線材群40は、複数の略三次元U字形状(略三次元C字形状)の線材を配列してなる第4型線材群44である。線材群44は、背・腹・左・右側に凸の凸形状である。
より具体的には、線材群44の各線材は、図10(b)で線材403を例に説明するように、まず、前述線材群の線材と同様に略二次元U次形状に折り曲げられ、両端部が関節部に固定される。前述線材と同様に、ループ形状が略U字形状である場合は、先端4001と両肢4002の間にそれぞれ第1角部4004が形成される。両基端4003と両肢4002の間に第2角部4005がそれぞれ形成されてもよく、両肢4002は屈曲されて例えば基端に近い位置に第5角部4011が形成されてもよい。
本実施形態では、略二次元U字形状の各線材が、両肢4002がさらに略二次元U字形状に曲げられることで、全体として略三次元U字形状を有する。各線材は、両肢4002が、両基端4003から前後方向にそれぞれ延在する一対の第1縦行肢4006、一対の第1縦行肢4006から背腹方向にそれぞれ延在する一対の横行肢4007、一対の横行肢4007から前後方向にそれぞれ延在する一対の第2縦行肢4008を有する。また、第1縦行肢4006と横行肢4007との間に第3角部4009が形成され、横行肢4007と第2縦行肢4008との間に第4角部4010が形成される。好ましくは、線材群44において、線材401の両肢が長さが最も長く、両肢間の間隔が最も狭く、線材403の両肢が長さが最も短く、両肢間の間隔が最も広い。
図10(a)で示すように、線材群44は、このような三次元U字形状の複数の線材を、腹側、背側、左側及び右側でそれぞれ凸曲面が形成されるように配列されて構成される。より具体的には、腹側では背側に向けて第1線材401、第2線材402、第3線材403の順に各線材の第1縦行肢を配列し、背側では腹側に向けて第1線材401、第2線材402、第3線材403の順に各線材の第2縦行肢及び先端を配列し、左側では右側に向けて第3線材403、第2線材402、第1線材401順に各線材の肢及び先端を配列し、右側では左側に向けて第3線材403、第2線材402、第1線材401の順に各線材の肢及び先端を配列している。これにより、指節部は、360度の全方向からの押圧に対して撓むとともに、共同して衝撃を低減したり、物を掴んだりすることができる。
<ロボットハンドの指部>
図11は、本発明の一実施形態に係るロボットハンドの指部の一例を示す図で、図2の一部拡大図である。ここでは、図2の指部の第2指節部の例を説明する。第2指節部における線材群は、前述の第4型線材群44である。
図示のように、第2指節部220bは、線材401、線材402及び線材403を含む第4型線材群44で外形が形成され、第2指骨部材520bは線材群44に周囲が囲まれる。線材群44は、第2指関節部320bに固定され、三次元U字形状の開口が後方に向いている。第2指節部220bは、左・右・背・腹各面において凸曲面を有し、図示の仮想線で示すように、略筒状のフレームを備える。なお、ここでは、中央部で断面積が大きく、前後端に向かって断面積が漸次小さくなる略筒状をなしている。これにより、指節部は、360度の全方向からの押圧に対して撓むとともに、共同して衝撃を低減したり、物を掴んだりすることができる。
図12は、本発明の一実施形態に係るロボットハンドの指部の一例を示す図で、図2の一部拡大図である。ここでは、図2の指部の第3指節部を説明する。
図示のように、第3指節部230bは、前後に配置される線材群44(第1線材群)及び線材群42(第2線材群)の2つの線材群により外形が形成され、第3指骨部材530bはこれら2つの線材群に周囲が囲まれる。第1線材群は、前述第4型線材群44であり、各線材の両端部が第2関節部320bに固定される。第2線材群は、前述第2型線材群42であり、各線材の両端部が第3関節部に固定される。すなわち、2つの線材群は、相対するように隣接の関節部にそれぞれ両端部が固定される。
これにより、図示のように、第3指節部230bにおける第1線材群44と第2線材群42は、第1線材群44の横行肢4007と第2線材群42の先端4001が向い合うように配置される。好ましくは、一方の線材群の少なくとも一部が他方の線材群の線材の間に入り込んでいる。これにより、両線材群は共同して動くことができ、いずれの線材群において線材同士の隙間が過度に広くなることを抑制できる。さらに、線材群が姿勢を調整しても線材群同士の間に隙間が生ずることなく物に当接できる。
また、図示のように、変位センサ201を、一方又は双方の線材群の先端ないし横行肢に近い位置に設ければ、先端周辺の負荷を検出し、検出した負荷に応じて指節部の動作を制御できる。変位センサとしては、ワイヤのゆがみを検出するゆがみセンサ、物に当たったときの圧を検出する圧力センサ、変動を検出する加速度センサ、ジャイロセンサなどであってもよい。近接する物を検出する赤外線センサ、距離センサでもよい。
図13は、本発明の一実施形態に係るロボットハンドの指部の一例を示す模式図である。図示のように、指節部は、第1線材群及び第2線材群の両方が前述の第2型線材群であってもよい。
図示のように、関節部300の間における2つの線材群40を先端同士が相対するように前後方向(延在方向)に配置すれば、指部で物Oを掴む場合に、線材群40の姿勢が自然に調整されて物Oの外形(例えば球状)に沿う形で湾曲できるため、物Oを壊さず包み込むように掴むことができる。
また、2つの線材群40の先端同士が互いに入り込むように配置すれば、線材群40が姿勢を調整しても線材群同士の間に隙間が生ずることなく物Oに当接できる。
<ロボットハンドの根基部>
図14は、本発明の一実施形態に係るロボットハンドの根基部の一例を示す図で、図2の一部拡大図である。ここでは、図2の指部の根基部の例を説明する。
図示のように、根基部240bは、線材群40と、螺旋状の線材409を有する。ここでは、線材群40は、第4型線材群44である例を図示し説明するが、前述の他の線材群であってもよい。線材409は、1本の線材が、両端部が第3指関節部330bの後端に固定され、中央部分が螺旋状をなしている。根基骨部材540bは、図示のように、周囲が線材409に囲まれる。さらに、その周りを線材群44が被さって、根基部240bは、線材群44により外形が形成される。言い換えれば、根基部240bは二重フレーム構造を有し、根基骨部材540bは周囲が二重に囲まれる。
このように、根基部240bを線材群及び螺旋状の線材を用いて二重フレーム構造とすることで、物に強く当たった場合でも骨部材や腱部材など内部の構成部分を保護できる。また、ロボット全体への衝撃を緩和できる。さらに、当てられた物に対しても衝撃を緩和できる。
<ロボットハンドの指部>
図15は、ロボットハンドの指部の他の例を示す図である。指部200bは、図示のように、全体を覆う表皮部202を備えてもよい。好ましくは、ハンド20全体が表皮部202に覆われる。表皮部202には、例えば、シリコン樹脂、ナイロン、布、ゴム、ケブラー(登録商標)などの素材が用いられる。または、ハンド20に手袋をはめてもよい。これにより、対象物が非常に柔らかい場合や表面に多数の突起を有する場合に線材の間に対象物が付着したり絡んだりすることを防止できる。また、各部材間の摩擦音などを低減できる。
<ロボットハンドの手基部>
図16は、図1の一部拡大図で、ロボットハンドの手基部の一例を示す図である。手基部250は、好ましくは、手基骨プレートと、関節部と、線材群とを有する。
手基部250は、一例として、第1手基骨プレート551と、第2手基骨プレート552と、第3手基骨プレート553とを有し、各プレートは板状であり、長手方向が根基部の延在方向と直交する。第1手基骨プレート551には第1指根基部が第1根基関節部340aにより回転可能に接続され、第2手基骨プレート552には第2指根基部、第3指根基部、第4指根基部及び第5指根基部が、第2根基関節部340b、第3根基関節部340c、第4根基関節部340d及び第5根基関節部340eにより回転可能に接続される。
第1手基骨プレート551は第1手基関節部351によって第3手基骨プレートに回転可能に接続され、第2手基骨プレート552は第2手基関節部352によって第3手基骨プレート553に回転可能に接続される。
手基部250の線材群は、複数の線材からなる2組以上の線材を横並びに配列してなる第5型線材群45である。一例として、例えば、2本の大小異なるループを有する線材をそれぞれ有する2組の線材を含む線材群45が、第1手基骨プレート551に長手方向に沿って並んで固定される。各組の線材は全体として同じ平面又は曲面に含まれるように重ねて配置される。さらに、例えば、2本の大小異なるループを有する線材をそれぞれ有する3組の線材を含む線材群45が、第2手基骨プレート552に長手方向に沿って並んで固定される。各組の線材は全体として同じ平面又は曲面に含まれるように重ねて配置される。2つの線材群45は、先端同士が向かい合うように配置される。また、一例として、先端同士が一部相手線材群側に入り込むように配置される。
手基部250は、取付部260を介して前腕部に取り付けられる。取付部260は略Y形状をなし、第1手基関節部351の軸方向両端部を二股に分かれた前端部で回転可能に保持する。取付部260は棒状の後端部で前腕部の先端部と関節部を介して接続する。図示のように、好ましくは、取付部260は弾性を有するループ状の線材4で覆われる。
<ロボットハンドの指部>
図17は、本発明の一実施形態に係るロボットハンドの指部の一例を示す図である。図18は、図17の指部の屈伸動作の一例を示す図である。以下では、第2指部の第1指節部、第2指節部及び第1関節部を例として説明するが、他の指節部や関節部にも同様な構成を適用してもよいことは言うまでもない。
第1指節部210bは、一例として、第1型線材群41を有する。線材群41は、ここでは、略楕円のループ形状で大小異なる4本の線材からなる第1組の線材と、同様な形状で同様に大小異なる4本の線材からなる第2組の線材とが、背側と腹側で対向して配列される。
第1指節部210bは、線材群41に囲まれる第1指骨部材510bを有する。第1指骨部材510bは、バネ性を有する太いワイヤで剛性が前述の線材4(第1線材)より高い1本の線材4’(第2線材)より構成される。線材4’(第2線材)は、両端部が第1指関節部310bに固定され、中央部分が螺旋状をなしている。このように、第1指節部210bは、剛性が低い第1線材で構成される線材群41で外形(フレーム)が形成され、剛性が高い第2線材で構成される第1指骨部材510bで強化芯材が形成される。
第2指節部220bは、一例として、第4型線材群44を有する。線材群44は、4本の線材群から構成され、各線材は、略三次元U字形状をなしている。各線材は、左右側及び腹側のいずれから観察してもU字形状をなし、全体で略角筒状、より具体的には前後端に向かって断面積が漸次小さくなる略角筒状をなしている。
線材群44は、図示のように、少なくとも一部の線材のループ部分に関節部の反対側に凹入する避け部4012が形成される。避け部4012を設けることで、後述の歯車等との接触を回避するとともに、強度を高めることができる。
図17(b)に示すように、例えば、線材403が、先端4001に関節部の反対側に凹入する避け部4012が形成されている。
第1指関節部310bは、第1指節部210b側に設けられる従動部311bと、第2指節部220b側に設けられる駆動部312bと、従動部311bと駆動部312bとを連結する連結部313bとを含む。
図18に示すように、従動部311bは、第1指節部210bの各線材の両端部が固定される受け部3111bと、後述の駆動歯車とかみ合う従動歯車3112bとを含む。駆動部312bは、動力源であるサーボモータ等のモータ3123bと、モータ3123bの出力軸上に設けられる駆動歯車3122bと、第2指節部220bの各線材の両端部が固定される受け部3121bとを含む。受け部3121bには、第2指骨部材520bの前端も固定される。
図18(b)に示すように、モータ3123bが駆動すると、その出力軸上の駆動歯車3122bが矢印方向(時計回り)に回転し、これとかみ合う従動歯車3112bが矢印方向(反時計回り)に回転して、第1指節部210bが第2指節部の駆動部の周りを旋回し、第1指節部210bが第2指節部220bに対して屈伸する。
なお、ここでは、歯車の噛み合いで駆動する例を示しているが、プーリーとベルトの組合せやスプロケットとチェーンの組合せ等でもよいし、ウォームギヤなどで駆動してもよい。
図19は、本発明の一実施形態に係るロボットハンドの指部の一例を示す図である。以下では、第2指部の第2指節部220b、第3指節部230b及び第2関節部320bの例を説明するが、他の指節部や関節部にも同様な構成を適用してもよいことは言うまでもない。
第2指関節部320bは、第2指節部側の従動部321bと、第3指節部側の駆動部322bとを含む。従動部321bと駆動部322bとを連結する連結部は、第3指節部の第3指骨部材530bが兼ねる。
従動部321bは、外周の一部、より具体的には駆動部に面する位置に複数の歯が設けられる従動歯車である。駆動部322bは、サーボモータ等のモータ3223bと、モータ3223bの出力軸上に設けられる駆動歯車3222bとを有する。駆動歯車3222bは、ここでは、外周の一部、より具体的には従動部に面する位置に複数の歯が設けられる。
第3指骨部材530bは、その前端から長手方向に直線状に延出する延伸部531bを有する。延伸部531bによって従動部321bと駆動部322bとが連結される。延伸部531bの長さは、従動歯車及び駆動歯車の中心軸の中心距離と対応している。
モータ3223bが駆動すると、その出力軸上の駆動歯車3222bが矢印方向(時計回り)に回転し、これとかみ合う従動歯車321bが矢印方向(反時計回り)に回転して、第2指節部220bが第3指節部の駆動部の周りを旋回し、第2指節部220bが第3指節部230bに対して屈伸する。
本実施形態では、従動歯車321b及び駆動歯車3222bは、変形歯車である。一例として、従動歯車321bは、ピッチ円半径が時計周りに漸次大きく、駆動歯車3222bは、ピッチ円半径が反時計周りに漸次小さい。図19(a)に示すように、伸展状態では、従動歯車321bのピッチ円半径がL11で、駆動歯車3222bのピッチ円半径がL12であるが、図19(b)に示すように、屈曲状態では、従動歯車321bのピッチ円半径が伸展状態より大きくL12となり、駆動歯車3222bのピッチ円半径が伸展状態より小さくL22となる。
本実施形態では、第3指節部230bの線材群42の線材の両端部は、第3指骨部材530bに固定される。また、図示のように、線材群を構成する少なくとも一部の線材が長手方向に対して起伏する起伏部4013を有してもよい。
なお、以上では、第2指節部220b、第3指節部230b及び第2関節部320bとして説明したが、上記構成は、第1指節部210b、第2指節部220b及び第1指関節部310bに適用されてもよい。また、第1指節部210bは、前方側に突出する先端爪203bを有してもよい。ここでは、先端爪は、一例として、例えば一以上の湾曲している線材で形成される。
図20は本発明の一実施形態に係るロボットハンドの指部の一例を示す図である。図20に示すように、指部の関節部300は、第2指節部側及第3指節部側にそれぞれ従動部が設けられ、両者の間に駆動部が設けられてもよい。ここでは、駆動部は駆動歯車を有し、両受動部は駆動部に面する位置に複数の歯が設けられる従動歯車をそれぞれ有する。また、第2指節部の線材群40は、例えば、第3型線材群43である。
<ロボット>
図21は、本発明の一実施形態に係るロボットの一例を示す図である。ここでは、人型ロボットの例を説明する。
ロボット90は、前述のハンド20が取り付けられる前腕部930と、上腕部935と、肩部940と、首部945と、頭部950と、体幹部960とを有する。また、前腕部と上腕部の間の前腕関節部932と、上腕部と肩部との間の上腕関節部936と、肩部と体幹部との間の肩関節部941とを有する。
ロボット90において、ハンド20は前腕先端部931の軸周りに回転でき、前腕部930は前腕関節部932の軸回りに回転でき、上腕部935は上腕関節部936の軸回りに回転できるとともに、肩関節部941の軸回りに回転できる。
図示のように、ロボット90は、前腕部930等各部分の骨部材を囲むように弾性を有するループ状の前述線材4で外形が形成される。このような線材で外形を形成することで、ロボット90は転倒したり、衝突したりした場合でも衝撃から身を守ることができる。また、衝突した相手を傷つけにくくなる。また、線材4を用いれば、軽量化でき、隙間も多く空気抵抗が少なくなる。また、安価で、外形の型が不要となり、ワイヤを曲げるだけなので加工しやすい。最初から表面が滑らかなワイヤを用いて製造すればよく、表層にバリが生じにくい。また、洗うこともでき、例えば水をかけるだけで洗えるようにできるので、衛生面でも優れている。
ロボット90は、外側を布などで覆ってもよい。外側を例えば、皮や不織布、発泡性や弾性のある合皮材、シリコン樹脂やゴムなどの弾力性のある表皮で覆ってもよい。
図22は本発明の一実施形態に係るロボットの一例を示す図である。ロボットの肩部には、図示のように、螺旋状の線材943が用いられてもよい。また、肩部だけでなく、他の部分に螺旋状の線材が用いられてもよい。
その他、上記ロボットハンドの指部と同様のループ状のワイヤ(線材)による構成としてもよい。
<ロボットハンド及びその指部>
図23〜図26は、本発明の一実施形態に係るロボットハンド及びその指部の一例を示す模式図である。図示のロボットハンド及びその指部は、前述の人型ロボットに適用されてもよいし、後述のマニピュレータ等の産業用ロボットに適用されてもよい。
本実施形態では、ハンド20は、2以上の指部を2組に分けて配置される。ここでは、一組の一本の指部200aと他組の一本の指部200bが対向(対峙)して配置される例を図示しているが、指部の数は、一対二でもよいし、複数対複数でもよい。ハンド20は、これらの指部が、一方が他方に対して、または互いに、接近・離開することで開閉して対象物を掴む。
ここでは、指部200a及び指部200bは、駆動部205により駆動されることで、矢印方向にそれぞれ回転して、接近して物Oを掴んだり、離開して物Oを離したりすることができる。両指部は、対称に構成され、以下では、指部200bを例に説明する。
指部200bは、第1指節部210bと、先端爪203bとを有する。先端爪203bは、屈曲機能を有しない先端接続部301bにより第1指節部210bに接続される。第1指節部210bは、第1接続部310bにより駆動部205に接続される。なお、ここでは、指部200bが一つの指節部210bを有する例を図示し説明するが、指部200bは前述と同様に2以上の指節部を有してもよく、この場合、第1指節部210bは後端で第1指関節部310bを介して第2指節部と接続する。
第1指節部210bは、複数のループ状の弾性を有する線材を所定間隔で配列してなる線材群40により外形が形成される。一例として、第1指節部210bは、2つの前述第2型線材群42により外形が形成され、2つの線材群42は相対するように隣接の先端接続部301b及び第1接続部310bに線材の末端が露出しないようにそれぞれ固定される。
好ましくは、第1指節部210bの線材群は、物Oが後端側よりも前端側に寄るように構成される。一例として、第1指節部210bは、後端側の線材群42の各線材の肢4002の後端側に背腹方向に突出する後端突出部4014を設けることで、物Oを後端側よりも前端側に寄せることができる。後端突出部4014は、前述の第5角部であってもよいし、別途設けてもよい。また、後端側の線材群42の各線材の両肢4002の間の間隔を後端側よりも先端側のほうを狭くすることで、物Oを後端側よりも前端側に寄せるようにしてもよい。また、後端側の線材群42の各線材の肢4002の後端側を先端側よりも剛性を高くすることで、物Oを後端側よりも前端側に寄せるようにしてもよい。
図23は、直径が大きい円柱状の物Oを掴む場合を示している。この場合、指部200a及び指部200bの線材群同士の腹側で物Oを掴むことになるが、後端側線材群42が例えば後端突出部4014を有することで物Oが後端よりも前端側に寄るようになるため、後方の駆動部205の動きを阻害することなく、物Oを掴むことができる。ここでは、物Oは、両線材群の先端4001の間で掴まれる。
指部200a及び指部200bの線材群は、図23(b)に示すように、まずは、物Oに最も近位の最近位線材同士が物Oに当接して掴み上げる。物Oが重く掴み上げらない場合や確実に掴む(例えば指部の中心付近からずれた位置で掴もうとしている場合などに中心部に寄せて安定して掴む)場合は、図23(c)に示すように、両指部の線材群は、大きく撓んで(図示の一点鎖線を参照)、物Oに最近位線材同士が当接し、2番目に近位の第2近位線材同士が当接し、更に最遠位線材同士も当接して掴み上げることができる。
この際に、関節部にループワイヤ(ループ状の線材)が取り付けられていることにより、ループワイヤの関節側が支軸となりループワイヤの先端側が撓る。これにより、関節間の中心側に物Oとの接触部(物Oの重心)が移り、安定した位置で弾力をもって掴むことになる。
線材群42は各線材が背腹方向に平行する面にループ形状が略含まるように形成されるが、ここでは、両線材群を含み、両線材群42が一方の線材群の少なくとも一部の線材の先端が他方の線材群に入り込んでいるため、線材同士の間隔が大きく開くことなく、安定して物Oを掴むことができる。
この際に、上記のように関節間の中心に物Oを移動させ掴むことが出来る。
図24に示すように、やや小さめの物Oの場合は、物Oに最も近位の最近位線材同士が物Oに当接して掴み上げられない場合、図24(c)に示すように、物Oに最近位線材同士が当接し、且つ2番目に近位の第2近位線材同士が当接して掴み上げることができる。
先端爪203bは、複数のループ状の弾性を有する線材を所定間隔で配列してなる線材群40により形成される。一例として、先端爪203bは、前述の第2型線材群42であり、線材の両端部の末端が露出しないように先端接続部に固定される。先端爪203bの線材群42は、背腹方向の最大幅が先端接続部301bの背腹方向の最大幅(直径)より大きくなっている。先端爪203bの線材群は、好ましくは、背腹方向に突出する突出部4015を有する。突出部4015は、前述の第1角部であってもよいし、別途設けられてもよい。
指部200bは、先端爪203bを有することで、爪のように物Oを指節部側に囲い込んで弾力をもって掴むことができる。
また、図25に示すように、指部200a及び指部200bで物Oを掴む場合、物Oを先端爪と指節部の間で掴むことができる。
図26に示すように、上記の指部200a及び指部200bは様々な形状の物Oに対応できる。図26(a)は断面が矩形の物Oを掴む場合を示し、図26(b)は断面が菱形の物Oを掴む場合を示し、図26(c)は断面が三角形の物Oを掴む場合を示している。
指節部は、角の有る物等に対しても、その外形に応じて変形し、弾力のバランスで、物が掴みやすい位置、安定した把持位置に移動や回転し調整されるようにする。
<ロボットハンド及びその指部>
図27は、本発明の一実施形態に係るロボットハンドを示す図である。ロボットハンド10は、ロボットの先端に取り付けられ、対象物を掴むことができる。ここで、ロボットは、産業用ロボット(ロボットマニピュレータ、ロボットアーム)及び非産業用ロボット(サービスロボット)を含み、いわゆるマジックハンドや自動的にないし自律的に操作する機器、例えば自動調理機、自動配膳機、自動洗浄機、自動包装機、自動掃除機、自動収集機、監視ロボット、人員整理ロボット等を含む。
ロボットハンド(以下では「ハンド」とも略称する)10は、図示のように、例えば、ロボットアーム等のロボット90の先端部に取り付けられる。一例として、ロボット90は、腕部が上下に動く(U軸)等の動作ができる。
ハンド10は、対象物を掴むための2以上の指部(100a、100b)と、指部をロボット90に取り付けるための取付部102とを有する。2以上の指部2は、2組に分けられて対向(対峙)して配置される。取付部102は、図示のように、例えば、指部2に対応して2組の取付部(102a、102b)が対向(対峙)して構成される。取付部102の構成は特に限定されず、図示以外の構成でもよい。また、ロボット90の先端部に大きさや形状が異なる複数のハンド10を取り付け、用途に合わせて切り替えて稼働してもよい。または、用途に応じて交換して稼働してもよい。
図示のように、ハンド10は、一例として、2つの指部が回動して接近・離開して開閉する。例えば、ロボット90の先端部901には、サーボモータ902及びサーボモータ903が設けられる。そして、一方の指部100aを取り付けるための取付部102aは、サーボモータ902に接続されて、W1方向に回動できる。また、他方の指部100bを取り付けるための取付部102bは、サーボモータ903に接続されて、W2方向に回動できる。これによって、対向して配置される指部100a及び指部100bが互いに接近・離開し、ハンド10が開閉する。ここでは、一方の指部が他方の指部に対して移動してもよいし、両方の指部が互いに相手方に対して移動してもよい。
一例として、先端部901の中心にサーボモータ904が設けられ、先端部901がV方向に回動できる。これにより、ハンド10全体がV方向に回動できる。また、両指部をそれぞれ180度回転させて両指部の現在の背側同士を対向させ、先端部901を180度回転させれば、背側同士が腹側になって対象物を掴むことができる。なお、ここでは、相手指部に面する側を腹側とし、その反対側を背側とする。
ハンド10は、少なくとも1つの指部が、弾性を有する線材4を複数含んで外形が構成される。線材4は、弾性を有し、好適には断面が丸い金属線材、例えばステンレス鋼や、ピアノ線、真鍮線、貴金属線、貴金属メッキ線などのワイヤからなる。ただし、これに限らず、断面4角形、6角形等の断面多角形の線材が用いられてもよい。線材の太さ(多角形では対面幅)は、例えば、下限は0.2mm、好ましくは0.25mm、より好ましくは0.3mmである。上限は8.0mm、好ましくは4.0mm、より好ましくは3.2mmである。
線材4は、前述線材の表面がナイロン、シリコン、テフロン等で被覆される、またはメッキ等が施されることで被覆層を有するものでもよい。線材4は、さらには、ナイロンなどのプラスチック樹脂(カーボンファイバー、ケブラー(登録商標)などを含有するものを含む)などの材料で形作られてもよい。線材4には、板材が加工されて用いられてもよい。また、両端部分で太く、中央部に向かって太さを徐々に細くされたものでもよい。なお、以下の説明で「ワイヤ」や「線材」として言及したとしても、ワイヤに限定する意味ではなく、任意の公知の好適な弾性線材であり得る。
図28は、図27の一部拡大図である。ハンド10における第1指部100aは関節部を有し、第1指節部110aと、第2指節部120aと、第1指節部110aと第2指節部120aの間の関節部S310aを含む。一方、第2指部100bは関節部を有しない。第1指部100a及び第2指部100bは、それぞれ基部101a及び基部101bを有し、これらによって取付部102a及び取付部102bにそれぞれ接続される。基部101a及び基部101bの構成は、特に限定されず、公知の技術が適宜用いられる。
各指部は、複数の線材4を含む線材群で外形が構成され、線材群が対象物に接触して対象物を掴む。以下では、第1指部100aを例に具体的に説明する。なお、以下、各図において、Xは掴み方向(開閉方向、背腹方向)を示し、Yは前後方向を示す。また、前後方向及び掴み方向と直交する方向を幅方向(左右方向)(Z)とする。なお、ここでは、相手方指部に面し、物を掴む側を腹側とし、反対側を背側とする。
本実施形態において、指部100aは、最も前方に位置する第1指節部110aの線材群410aが線材411a、線材412a、線材413a及び線材414aの4本の線材から構成される。好ましくは、第1指節部110aは前後方向中心線に対称な形状である。
線材411aは、1本の線材が一端(端部)から出発して、中央部分で折り返してループをなし、他端(端部)が一端に並ぶ位置に戻り、共通の部材に固定される。ループの具体的な形状は、特に限定されず、例えば、風船形状ないし楕円形状、円形、三角形、四角形等の多角形、瓢箪形状等でもよい。図示の線材411aは、略シャベル形状をなして後方に広がる形状で、前端が幅が狭く丸み有し、後端が略八の字状に収束して、両端部が関節部S310aに固定される。線材411aは、ここでは、両端部が接続しておらず、閉じていないループ形状である。
線材411aは、ループをなす部分が略同一平面(以下「主面」とも称する)に含まれる。好ましくは、主面が掴み方向に直交する。また、好ましくは、ループ部分は前後方向中心線に対称な形状である。言い換えれば、ループ部分は、2つの半ループ部分から構成される。
線材412a、線材413a及び線材414aは、ループが線材411aより順次小さく形成される以外は、線材411aと同様である(以下、それぞれ「最大線材」、「第2大線材」、「第3大線材」、「最小線材」とも称する)。
好ましくは、図示のように、4本の線材が略同心状に配列され、掴み方向に直交する方向から観察すると、隣接線材同士は隙間を有し、好ましくは、線径(線材の幅)以上の隙間を有する。
4本の線材は、さらに、掴み方向(開閉方向)において、隣接線材同士が隙間を有する。好ましくは、線材411aが相手方指部に最も近接する位置に配置され(最近位線材)、線材S412aがその次に近接する位置に配置され(第2近位線材)、線材413aがその次に近接する位置に配置され(第3近位線材)、線材414aが相手方指部に最も遠い位置に配置される(最遠位線材)。掴み方向における隣接線材間の隙間は、好ましくは、線径(線材の厚み)以上である。
このように構成することで、第1指節部110aの線材群410a(第6型線材群)は、窪みを有し、相手方指部に対して凹状となる。すなわち、線材群410aは、背側に凸の凸形状である。ここでは、線材群410aは、窪みの深さが深くなるにつれて広さが徐々に狭まる内部空間を備える。また、線材群410aは、対象物に当接するループ部分の数を増減できる。
第2指節部120aは、線材群420aが線材421a、線材422a、線材423a、線材424a、線材425a、線材426a及び線材427aの7本の線材から構成され、好ましくは、前後方向中心線に対称である。
線材421aは、1本の線材が折り返されず、両端部が前端と後端とに離れ、その間を中央部分が前後方向に延伸する形状である。ここでは、線材421aは、一端の端部と他端の端部が異なる部材、より具体的には所定の距離で対向する一対の部材にそれぞれ固定される。一対の部材は、ここでは、関節部S310aと、基部101aである。線材S421aは、前端の端部が関節部S310aに固定され、中央部分が外側に突出して、略円弧状ないしく字状をなし、後端の端部が基部101aに固定される。線材422aは、中央部分が線材421aより小さく形成されること以外は、線材421aと同様である。また、線材423aは、中央部分が線材422aより小さく形成されること以外は、線材422aと同様である(以下、それぞれ「最大線材」、「第2大線材」、「第3大線材」とも称する)。線材424aは、掴み方向に直交する方向から観察した場合、略直線状に前後方向に延在する(以下「最小線材」とも称する」。線材424aは、中央部分が下方に湾曲してもよい。線材427aは線材421aと前後方向中心線に対称に形成され、線材S426aは線材422aと対称に形成され、線材425aは線材423aと対称に形成される。
線材群420aは、線材421aと線材427aが相手方指部に最も近接の位置に配置され(最近位線材)、線材422aと線材426aが次に相手方指部に近接の位置に配置され(第2近位線材)、線材423aと線材425aが次に相手方指部に近接の位置に配置される(第3近位線材)。線材群420aは、掴み方向において、隣接線材同士の間に隙間を有し、好ましくは、線径(線材の厚み)以上の隙間を有する。
このように構成することで、第2指節部120aの線材群420aは、相手方指部に対して凹状の曲面状となる。すなわち、線材群420aは、背側に凸の凸形状である。
指部100bにおける第1指節部110bの線材群410bは、線材の端部を固定する部材が基部101bであること以外は、指部100aの線材群410aと対称に構成される。すなわち、線材群410bは、背側に凸の凸形状である。
関節部S310aは、軸部S311aと、軸部S312aと、両軸部を連結する連結部S313aとを有する。軸部S311aには前述のように第1指節部110aの線材の両端部が接続され、軸部S312aには前述のように第2指節部120aの一端部(前方端部)が接続される。軸部S311a及び軸部S312aは、連結部S313aにより外周面同士が摺動可能に接続される。一例として、軸部S311a及び軸部S312aは、幅方向に長い断面円形の棒状部材で、軸方向に貫通孔が設けられ、連結部S313aが挿通される。連結部S313aは例えば矩形の枠状の部材で、バネ性を有し、断面が円形である。
関節部S310aによって、第1指節部110aは第2指節部120aに対して屈伸可能となる。これにより、より柔軟に物を掴むことができる。また、第1指節部110aが背側で何らかの力を受けても、第1指節部110aが屈曲することで負荷をかわすことができる。このように、本実施形態では、柔軟性を有する関節部S310aを簡易な部材で構成できる。なお、関節部S310aは、他の例として、サーボモータで構成されもよいし、熱で曲がるなど変形する部材で構成されてもよい。
図29は、図27のロボットハンドの他の例である。図示のように、ロボット90は、一例として、手首部がT方向に回転する、腕部がR方向に旋回する、腕部が上下に動く(U軸)等の動作ができる。ハンド10の2つの指部は、例えば、取付部102又はロボット90の先端部に設けられた直動アクチュエータによって、X方向に互いに接近・離開して開閉できる。取付部102の構成は、図示に限定されず、公知の構成を適宜用いることができる。
指部100aと指部100bは、対称に構成されるため、以下では指部100aを例に説明する。図示のように、ここでは、指部100aは、第1指節部110aと、基部101aとを有し、第1指節部110aと基部101aの間に関節部S310aを有する。第1指節部110aは、各線材が関節部S310aに固定される。関節部S310aは、例えばサーボモータなどで構成される。第1指節部110a及び第1指節部110bは関節部S310aの駆動によりS方向に回動できる。
<ロボット>
図30は、本発明の一実施形態に係るロボットの一例を示す図である。ロボット90は、例えば、物の一例である食材O(例えば、総菜)を弁当箱に詰める箱詰めロボットである。ロボット90は、ここでは双腕型ロボットを図示しているが、これに限定されず、単腕型ロボットでもよい。
図示のように、ロボット90は、例えば、アーム910A及びアーム910Bの2つのアームと、ベース920と、を有し、アーム910Aの先端部に本実施形態の一例に係るハンド10が取り付けられ、アーム910Bの先端部に弁当箱Pを掴むためのハンドA10が取り付けられる。ハンド10は、図示のように、両指部が対称に構成されてもよい。また、各指部は、第1指節部及び第2指節部の2つの指節部を有し、第2指節部と基部との間に関節部を有してもよい。なお、ロボット90のその他の構成は特に限定されず、公知の技術が適宜用いられる。
ロボット90は、箱詰めラインに立ち、アーム910Aを用いて、トレーから食材Oを掴み上げた後、前方のベルトコンベアの上方まで食材を移動して、ベルトコンベア上の弁当箱Pの中に離して箱詰めする。この際、アーム910Aのハンド10は、弾性を有する複数の線材を含む線材群で外形が構成され、対象物に応じて撓むため、柔らかい総菜等の食材でも傷つけることなく掴み上げられる。
図示しないが、他の例として、ロボット90は、前述のいずれかの指節部または2以上の指節部の組み合わせ、並びにいずれかの関節部または関節部の組み合わせからなる構造を有してもよい。
<ロボットハンドの指部>
図31は、指部の使用状態を説明するための図である。なお、ここでは、説明の便宜上、線材群410a、線材群410bを構成するそれぞれ1本の線材4a、線材4bを図示して説明する。物Oは、一例として、不均一な厚みを有する。
まず、図31(a)に示すように、線材を固定する線材止め部7a及び線材止め部7bが離開して、線材4aと線材4b間の前方隙間(対向する内側部分間の前方間隔)mが物Oの最も厚い部分(以下「最厚部」と称する)の厚みより大きくなる。このとき、両線材止め部間(対向する内側部分間)の隙間はnである。線材止め部は、前述の関節部や基部など線材を固定する部分である。
次いで、図31(b)に示すように、両線材止め部が接近して、隙間nが狭くなり、線材間の前方隙間mが狭くなって、両線材が物Oの最厚部に当接する。
次いで、図31(c)に示すように、両線材止め部間の隙間nはさらに狭くなるが、線材間の前方隙間mはほぼ変わらない。これは、両線材が物Oの形状に沿うように開く方向に撓んでいるためである。
次いで、図31(d)に示すように、両線材止め部間の隙間nはさらに狭くなるが、線材間の前方隙間mはほぼ変わらない。これは、両線材が物Oの形状に沿うようにさらに開く方向に撓んでいるためである。
物Oの厚みが均一でない場合、従来のハンドで掴むと、最厚部に指部が当接し、この部分に力が集中して傷つくことがある。これに対して、本実施形態のハンド10は、線材群が対象物と当接するため、弾性線材が撓み、物に沿って変形するので、物を傷つけることはない。
ロボットハンドは、物を掴む力の制御が難しい。力が大きいと物が傷つき、力が小さいと物を掴み上げられず、落とす恐れもある。本実施形態のハンド10は、加わる力が大きく、両線材止め部が過度に接近しても、線材群が撓んで変形するため、物に過度な力がかからず、物が傷つくことを防止できる。
図32は、指部の使用状態を説明するための図である。なお、他方の指部は図示を省略している(以下において同じ)。
図示のように、線材群は、物Oを掴む場合、最大線材S411aのループ部分が2箇所(以下「押え部」と称する)で物Oと交差してこれを押え、不図示の他方の指部の最大線材のループ部分も同様に2つの押え部で物Oと交差してこれを押える。すなわち、1つの物Oに対して一対の最大線材の4つの押え部4016で2箇所掴んでいる。そのため、箸等のように1箇所を掴む場合より摩擦力が大きくなり、物Oが滑り落ちにくくなる。対向する線材群がそれぞれ2本のループ状の線材を含んで構成される場合は、1つの物Oに対して二対の線材の8つの押え部4016で計4箇所掴むことになるため、摩擦力がさらに大きくなり、物Oがさらに滑り落ちにくくなる。
また、物Oが、例えば、スパゲッティ等弾力があるものの場合、物Oは押さえられると凹む。そのため、線材の押え部4016と物Oとの間の摩擦力が強まり、1本のループ状の線材でこれが計2箇所で生じるため、物Oは押え部4016から滑り落ちにくくなる。押え部4016の断面を円形等丸みを有する形状とすれば、物Oの周面を円弧面で押えるため、物を傷つけることもない。また、ループの先端では、物Oと接触する押え部4016(矢印4016部分)が広く形成され、ループの先端も前方で物Oと当接するため、物Oがさらに滑り落ちにくくなる。
また、例えばループ部分の線材(主面)上に左右に垂れて左右に重みが掛かったスパゲッティを前方に傾けた場合、スパゲッティは線材上で前方に滑り移動しようとする。すると凹み部が前方に移動しようとする。しかし、ループ形状をなしている為前方ほど凹み部間の間隔が狭くなり(部位によっては広がり)、移動の妨げ(抵抗)になる。結果として、傾けても移動して線材から外れることなく安定して挟んで保持することが出来る。また、この際にも、上記の押え部4016が広く形成された部分(矢印4016部分)が支えとなる。また、例えば、スパゲッティが連なって把持された状態においても支え効果が高い。
また、線材の数を適宜増減すれば、物Oが大きな塊の場合も効果を奏する。また、木材や鋼材、樹脂で物Oが形成されて、硬く、弾力を有しない場合は、線材自体に柔らかい被覆層を設けて押え部4016が凹むことで、摩擦力を高めてもよい。
図33は、指部の使用状態を説明するための図である。図示のように、線材群410は、腹側に窪みを有するため、丸みを有する食材をその内部空間に収納して保持でき、アーム910Aが上行、下行、旋回などの動作を行っても、滑り落ちにくい。
初期状態において、一対の指部における第1指節部同士の線材群は、好ましくは、最近位線材同士のループ同士が当接する状態から、近位線材同士のループ同士が当接し且つ第2近位線材のループ同士が当接する状態に切り替えることができる。
そして、第1指節部同士の線材群は、物Oにいずれのループ同士も当接しない状態から、最近位線材のループ同士が当接する状態に切り替わり、さらに、第2近位線材のループ同士が当接する状態に切り替わり、さらに、第3近位線材のループ同士が当接する状態に切り替わるなど、ループ同士が順次に当接できる。このように構成することで、使用状態において、物に接触するループの数を増減できる。物に接触する数が増減すると、物との接触面積が増減し、摩擦力が増減するため、物に適した力で物を掴むことができ、アームが上行、下行、旋回などの動作を行っても、物が滑り落ちにくい。また、物との接触面積が増減さるため、軟らかい物でも、外形を損なわず、傷つけることなく掴むことができる。
例えば、図33(a)に示すように、線材群S410a、線材群S410bで対象物Oを掴む場合、最近位線材S411a、S411bのループ部分の一部が対象物Oと交差して対象物Oを押え、第2近位線材S411a、S411bのループ部分の一部も対象物Oと交差して対象物を押えることができる(以下、各線材のループ部分における対象物を押えている部分を「押え部」と称する)。
図33(b)に示すように、最近位線材411a、411bのループの押え部4016同士が両側で物Oを挟み、第2近位線材412a、412bのループの押え部4016同士が両側で物Oを挟んでいる。最近位線材411a、411bのループ同士が外側、第2近位線材412a、412bのループ同士が内側で、1本の物Oに対して計4箇所を8つの押え部4016で挟み、押えている。これによって、物を確実に掴むことが出来る。
図33(c)に示すように、押え部4016の断面が円形で、物Oの周面を円弧面で押えているため、物を傷つけにくくなっている。また、物Oにおいて押え部4016で押された部分は、中央に凹み部O1が、両サイドに段差部O2がそれぞれ形成されるため、押え部4016を用いて両側で挟んだ場合、滑り落ちにくくなっている。なお、ここでは、説明の便宜上、2対の線材のうちの一対の線材のみを図示している。
また、外形が線材群で構成されているため、食材がくっつきにくく、弁当箱の中に素早く離すことができる。例えば、ポテトサラダなどの食材でも簡単に離すことが出来る。
図34は、指部の使用状態を説明するための図である。前述のように、初期状態において、一対の指部における第1指節部同士の線材群は、好ましくは、最近位線材同士のループ同士が当接する状態から、近位線材同士のループ同士が当接し且つ第2近位線材のループ同士が当接する状態に切り替えることができる。ここでは、このような指節部により物Oを掴む例を説明する。物Oは、例えばスパゲッティ等である(ここでは断面を示している。例えばスパゲティーをお湯から掴み出す際に、ハンド10で掴んで持ち上げようとすると、それぞれのスパゲッティがハンド10の両側に自重で垂れ下がる)。ハンド10は、図示のように、物Oを整えながら掴むことができる。
図34(a)に示すように、物Oは無造作に複数置かれている。この状態で、両線材止め部(7a、7b)を矢印方向に動かすと、線材群(410a、410b)間の隙間が狭まる。図34(b)に示すように、両線材群間の隙間が狭まると、最近位線材(411a、411b)同士が複数の物Oと当接し、こられの物とその間にある物(以下「物群」とも称する)が掴まる。次に、図34(c)に示すように、両線材群間の隙間がさらに狭まると、第2近位線材同士(412a、412b)も物群に当接し、そのうちの少なくとも一部の物が動き、前後に広まる。次に、図34(d)に示すように、両線材群間の隙間がさらに狭まると、第3近位線材(413a、413b)同士も物Oに当接し、物Oがさらに動き、1列に整列される。
例えば、図34(b)に図示の状態で、掴んだ物群を持ち上げると、少なくとも一部の物が滑り落ちるおそれがある。しかし、図34(d)に図示の状態で、物群を持ち上げ、さらに移動しても、物が滑り落ちることはない。この例のように、本実施形態は、複数のループが順次物に当接し、物を整列しながら、掴み上げることができ、物の滑り落ちを抑制できる。
なお、線材群を構成する各線材は、外側になるに従って撓みやすい線材であってもよい。これにより、内側でしっかり掴むと共に外側を撓みやすくすることで、物の周りの部分を壊しにくくすることが出来る。または、内側になるに従って撓みやすい線材であってもよい。これは、内側に位置する線材が、長さが短くなるため、剛性が高くなる傾向にあるためである。そこで、内側になるに従って線材を撓みやすい線材によって構成することにより、凹状に撓みやすい外形が得られる。中央部が幅広い形状の対象物に対して、ソフトに包み込むように掴むことができるようになり、撓みやすくなる。このように、各線材の撓みを変化させることで、色々な物に対応し、掴み方を変えることが出来る。
図35は、第1指節部における線材群の他の例を示す図である。線材群410aは、一例として、2組の線材を含んで構成される。
第1組410aBは、図27の例と同様に構成され、他方の指部に対して凹状である。一方、第2組410aAは、最近位線材411aAのループ部分が最も小さく、第2近位線材412aAのループ部分部が次に小さく、さらに第3近位線材413aAのループ部分がその次に小さく、最遠位線材414aAのループ部分が最も大きい。そのため、線材群410aAは、窪みを有し、他方の指部に対して全体として凸状である。また、好ましくは、線材群410aAのループ部分は、全体として、線材群410aBのループ部分より小さい。
線材群410aは、図示のように、線材群410aAと線材群410aBを、線材群410aBの内部空間内に線材群410aAを収めるように重ねて構成される。好ましくは、線材群410aAの各線材が線材群410aBの各線材より撓みやすい。また、線材群410aAの各線材が線材群410aBの各線材より細い。
なお、他方の指部に対して、線材群410aAを凹状に構成してもよい。例えば、線材群410aBの凹状の窪みの深さより、線材群410aAの窪みの深さを浅くし、さらに線材の線径を細くすることで、例えばトマトなどの食材を掴むときにソフトに接触できる。また、例えば、トマトの大きさ、重さが異なるなどの場合も対応できる。
また、線材群410aAと線材群410aBの外形の大きさを同じにしたり、線材群410aBより線材群410aAの外形の大きさを大きくしたり、線材群410aAと線材群410aBを交差させる様に構成しても良い。
このように、対象とする物に合わせて線材群の腹側を形成する部分の形状を凹、凸形状としたり、主面を斜面としたり、これらを組み合わせたりすることで、専用のロボットハンドを形成することが出来る。また、これらをロボットの先端部に複数取り付け、用途に合わせて切り替えて稼働する、交換して稼働するようにしてもよい。
さらには、例えば線材群410aに形状記憶合金を用い変態点以下の温度で物Oの外形形状に変形させることで、物Oを適正に把持しやすくすることが出来る。また、変態点以上の温度で元の形状に戻すことが出来、色々な机上に対応させることが出来る。
図36は、第1指節部における線材群の他の例を示す図である。ハンド10は、線材群に含まれる線材の少なくとも一部に、主面と直交する方向に湾曲する湾曲部を設けてもよい。例えば、線材群を構成する線材のうちの、例えば、最近位線材411a及び第2近位線材412aが主面と直交する方向(開閉方向)に凹状に湾曲する湾曲部4017を有してもよい。これによって、円柱状の対象物(例えば、アンプル、缶など)が持ちやすくなる。
図37及び図38は、第1指節部における線材群の他の例を示す図である。ハンド10は、線材群に含まれる線材の少なくとも一部に、滑止部を設けてもよい。滑止部は、例えば、段差や凹みを設けることで構成される。例えば、図37に示すように、例えば、線材4が主面に直交する方向に線材の太さより小さい幅の凹みで構成される複数の滑止部4018を有してもよい。また、線材4の一部を潰したり、削ったりして、断面を楕円状としたり、図38に示すように平坦面を含むようにしたりしてもよい。
図39は、本発明の一実施形態に係るロボットハンドの一例を示す図である。ハンドは、一例として、線材4のループの先端近辺に補強部を設けて強度を補強してもよい。補強部は、ループ状の線材で構成されてもよいし、直線状の線材で構成されてもよい。
図39(a)に示すように、一例として、ハンド1は、補強部4019が、ループの先端4001より突出するように設けられる。例えば、図示のように、補強部4019は、ループ状の弾性線材で構成され、リング状の爪のように形成されて、一部が先端4001から爪状にはみ出している。補強部4019は、例えば、点溶接で先端4001に固着され、複数の溶接部4020が形成される。なお、補強部の線材への固定方法は特に限定されず、既知の技術が適宜用いられる。
図39(b)に示すように、一例として、ハンド1は、補強部4019が、先端より後方に設けられてもよい。例えば、図示のように、補強部4019は、ループ状の線材で構成され、例えば、点溶接で線材4に固着され、複数の溶接部4020が形成される。
図39(c)に示すように、線材に限らず、補強部4019は、帯状の金属またはプラスチック樹脂製の部材で構成されてもよい。補強部4019は、例えば、このような帯状の部材で、線材4を橋状に渡るように形成される。補強部4019の両端部は、例えば、線材4に巻き付けられて固定される。
図40は本発明の一実施形態に係るロボットハンドの指部の補強部の例を示す図である。図40(a)に示すように、補強部4021は、2以上の線材を跨って設けられてもよい。また、1つの指部に対して、補強部4021は、1つ設けられてもよいし、2つ以上設けられてもよい。ここでは、一例として2つの補強部4021がそれぞれ2本の線材を跨る例を説明する。補強部4021は、例えば、長尺の板状で、長手方向に前後並ぶ2つの孔であって板面を貫通する貫通孔を有する。一方の貫通孔が、一方の線材4がちょうど挿通するようにその外周と概ね同じか若干大きい内周を有し、他方の貫通孔(遊び孔)が、他方の線材4が貫通孔内で移動できるようにその外周より大きい内周を有する。他方の貫通孔は、例えば、図示のように補強部4021の長手方向に長い孔である。
図40(b)は、図40(a)の補強部の他の例を示す図である。2つの線材の間には、他の例として、図示のように、ブロック状の1つの補強部4021が設けられる。また、補強部4021は、一方の線材4が挿通する孔が大きく形成されて一方の線材4が孔内で移動でき、他方の線材4が挿通する孔がその線材の外周の大きさと概ね同じか若干大きい内周を有する。
<線材止め部(線材固定(取付)構造)>
図41は本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図で、図41(a)は取付後、図41(b)は取付け前を示す図である。
線材止め部7は、受け部71と、止め具72とを含む。受け部71は、一例として、関節部、接続部、骨プレート、基部などである。ここでは、受け部71は、板状のものを図示しているが、これに限定されず、適宜な形状であり得る。
止め具72は、一例として、挟み板721及び挟み板722の2つの挟み板と、両挟み板を締結する締結部723とを含む。挟み板721及び挟み板722は、線材4の末端4022を収容する収容部7211、7221を含む。収容部7211、7221は、例えば半円形状など線材4の断面形状に応じた断面形状を有する。収容部7211、7221の両側のサイド部7212、7222には、締結部723が設置される。締結部723は、例えば、ねじやボルト、ナット等の締結具である。なお、締結部723は、点溶接等でもよい。挟み板722は、受け部71と接続するための接続部7223を有する。接続部7223は、一例として、収容部7221から長手方向に延出後収容側と反対側に屈曲して略L字状に形成される。接続部7223の幅は収容部7221より狭く、両者の間には、略L字状の切欠きが形成される。接続部7223の受け部71への接続は、特に限定されず、公知の技術が適宜用いられる。
図42は図41の線材止め部の他の例を示す図である。ロボットハンドは、線材4の捩じれを防止するため、末端4022を屈曲させて屈曲部4023を設けることがある。この場合は、図示のように、挟み板721には収容部7211から長手方向に延出する延出部7213が設けられる。延出部7213は幅が収容部7211より狭く、両者の間には略L字状の切欠きが形成される。線材4の屈曲部4023は、挟み板721の収容部7211と延出部7213とで形成されるL字状の切欠きと、挟み板722の収容部7221と接続部7223とで形成されるL字状の切欠きとに挟まれ、固定される。なお、線材の捩じれ防止は、末端4022の一部を潰して略円形の断面形状を略楕円形や平坦面を有する形状とし、収容部7211、7221をこれに応じた断面形状とすることで実現してもよい。また、接続部付近の表面にブラスト仕上げや、ヘアライン仕上げなどの滑り止めをすることで、捩じれ防止を施しても良い。
図43は本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図で、図43(a)は取付け後、図43(b)は取付け前を示す図である。
線材止め部7は、受け部71と、止め具73とを含む。受け部71は、孔部711を有する点が前述例と異なる。孔部711は、貫通孔が中央を貫通し、孔の周りの周壁部が断面視略テーパ状である。
止め具73は、一例として、孔部711を挿通するボルト部材731と、ボルト部材731の雄ねじ部と螺合するナット732と、ボルト部材731とナット732との間の座金733とを有する。
ボルト部材731は、頭部に六角孔を有する。また、ボルト部材731の頭部の軸部に隣接する部分は断面視略テーパ状で、このテーパ状の部分が孔部711の周壁部に当接する。ボルト部材731の軸部は外周面に雄ねじが設けられ、軸部の先端は縮径して漸次細くなる形状である。また、ボルト部材731は軸部または頭部及び軸部の両方の中央を軸方向に貫通する貫通孔を有し、この貫通孔の内周面に雌ねじが設けられる。線材4は末端4022の外周面に雄ねじが設けられ、末端4022の雄ねじとボルト部材731の内周面の雌ねじが螺合する。
図44は図43の線材止め部の他の例を示す図である。線材4は、例えば、炭素繊維強化樹脂で成形し、末端4022の雄ねじを設ける部分を太く成形して補強してもよい。
図45は本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図である。線材止め部7は受け部71と、止め部77とを含む。受け部71は、孔部711を有し、この孔部711に線材4の末端4022を蝋付けなど溶着や接着など、またはカシメで止め部77を形成して固定する。
図46は本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図で、(a)は取付け前の受け部、(b)は取付け後、(c)は線材を曲げた例を示す図である。
図46(a)に示すように、受け部71は、表面から凹む溝部712を有し、溝部712の少なくとも一部の上方には屋根のように押え部713が設けられる。受け部71は、押え部713とその下方の溝部712によってその表面に空洞がトンネルのように形成される。図46(b)に示すように、線材4の末端4022はこの空洞な挿通されて固定される。線材4は末端4022をそのまま空洞を挿通させてもよいし、図示のように略直角に折り曲げてから挿通させてもよい。図46(c)に示すように、線材4は、さらに、端部において末端4022よりも中央部側を折り曲げて曲げ部4024を形成して、線材4の強度を高めるようにしてもよい。
図47は本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図である。線材止め部はインサート成形により形成できる。図47(a)、図47(b)、図47(c)はそれぞれ一例を示す図である。線材止め部7は、線材4が直接受け部にインサート成形されて設けられてもよいが、一例として台座部74を含み、台座部74を介して線材4が受け部に固定される。台座部74の受け部への固定は特に限定されず、従来技術を適宜用いることができる。
台座部74は、例えば、プラスチック樹脂、ゴム等により板状に形成される。線材4は、末端4022が折り曲げられた状態でインサート成形されて台座部74内で面状に延在し、ループ部分が台座部74に対して所定角度で突出して固定される。図示では、ループ部分が台座部74に対して略垂直に突出しているが、これに限定されず、ロボットハンドの全体構成に合わせて角度を設けて台座部74から突出するように形成できる。末端4022は、図47(a)に示すように略S字状折り曲げられてもよいし、L字形状や直線状などに折り曲げられてもよい。また、末端4022と台座部74の接合部分に補助部741が設けられてよい。
図47(b)に示すように、一例として、インサート成形により、1本の線材で2つのループ部分を形成できる。例えば、1本の線材を略U字状に折り曲げた後、さらに略U字状またはC字状等の形状に折り曲げて、両末端を一方で間隔を置いて固定し、中央部を他方で固定することで、その間に2つのループ部分を形成できる。
図47(c)に示すように、金具75に末端4022を取り付けてから、金具75とともに末端をインサート成形により台座部74内に固定してもよい。
図48は本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図で、図48(a)は斜視図、図48(b)はAA線断面の例である。
図48(a)に示すように、一例として、線材4は台座部74と一体成型されて形成される。線材4は、一例として、両端部がループ部分よりも線径(断面)が拡径(拡大)して形成される。ループ部分が先端では線径(断面)が細く(小さく)、基端に向かって徐々に太く(大きく)なってもよい。全体として、ループ部分の先端から線径(断面)を徐々に拡径(拡大)して形成されてもよい。
図示のように、複数の線材を含む場合、隣接の線材同士は、両端部が上下、左右のいずれの方向でも隙間を有して、層をなすように形成される。そうすると、上方に凸な線材群、または下方に凸な線材群が構成される。また、台座部74には、好ましくは、他の構成部と接続するための貫通孔742が設けられる。
図48(b)に示すように、線材4の断面は、一例として円形である。または、楕円形に形成して、横方向の動きを制限できるようにし、斜めに傾きにくくしてもよい。または、対向する平面を有し、横幅が縦幅より大きい多角形に形成して、横方向の動きを制限できるようにし、斜めに傾きにくくしてもよい。
図49は、図48の線材止め部の他の例を示す図である。一例として、線材4は、補強部4019を線材4本体と一体に形成されてもよい。例えば、図示のように、補強部4019は、線材のループ部分から分岐し且つ両端がループ部分と交わるように形成される。
図50は本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図である。一例として、受け部71は円柱状で、軸方向に両端の端面中央を貫通する軸孔716を有する。線材4の両端部は、受け部71の両端面にそれぞれ固定される。
受け部71に3本のループが大小異なる線材を固定する例を説明する。受け部71は、両端面のそれぞれに周方向に沿って所定間隔で配置される3つの受け孔711が設けられる。受け孔711は外周縁と軸孔716の内周縁の間に開口し、軸方向に入り込んでいる。線材4は、ループが大きくなる順に、またはループが小さくなる順に、両端部が受け孔に挿入され、固定される。そうすると、図示のように上方に凸な線材群、または下方に凸な線材群が構成される。
図51は本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図である。図51(a)に示すように、一例として、受け部71は板状である。ループが大小異なる複数の線材4は、受け部71に、ループが大きくなる順に、または小さくなる順に固定され、隣接の線材同士の両端部が上下、左右のいずれの方向でも隙間を有するように固定される。そうすると、上方に凸な線材群または下方に凸な線材群が構成される。
図51(b)に示すように、複数の線材4は、板状の受け部71に一列に横並びに並んで固定されてもよい。
図52は本発明の一実施形態に係る線材止め部を示す図である。図示のように、複数の線材4は、両端部に近い部分が折り曲げられて、両端部とループ部分とが段違い状になっていている。好ましくは、図示のように、複数の線材は、ループ部分同士の間に隙間を有するように折り曲げられている。両端部は、板状の受け部71に蝋付けやスポット溶接などで固定される。また、図示のように、一例として、受け部71の線材固定部分が、皮革等の素材のカバー部材76で覆われる。
<ループ形状>
図53は本発明の一実施形態に係る線材のループ形状を示す図である。ここでは、例として、1本の線材を図示し、説明する。(a)〜(d)はそれぞれ上が平面図、下が正面図である。
図53(a)に示すように、一例として、線材4のループは平面視半楕円形状ないしU字形状で、正面視直線状である。図53(b)に示すように、一例として、線材4のループは平面視C字形状、正面視肢部分が直線状で、先端付近が円弧状である。図53(c)に示すように、一例として、線材4のループは前半がC字形状、後半が八の字状に開脚する形状で、正面視曲線状である。図53(d)に示すように、一例として、線材4のループは平面視左右非対称の形状で、正面視凹みがある曲線状である。
図54は本発明の一実施形態に係る線材のループ形状を示す図である。ここでは、例として、複数本の線材を含む線材群の例を図示し、説明する。
図54(a)に示すように、一例として、線材群400は、平面図において、C字形状ないしU字形状の線材を、大ループの線材の内部に隙間を置いて小ループの線材を順に包含する形状である。線材群400は、正面図で示されているように、大ループの線材の上に隙間を置いて小ループの線材が順に重なる形状で、先端が傾斜している。好ましくは、図示のように、線材の先端4001をつなぐ仮想線が曲線である。
図54(b)に示すように、一例として、線材群400は、平面視において、前半がC字形状、後半が直線状の線材4を、大ループの線材の内部に隙間を置いて小ループの線材を順に包含する形状である。線材群400は、その斜視図で示されているように、大ループの線材の上に隙間を置いて小ループの線材が順に重なる形状で、凸状になっている。好ましくは、図示のように、線材の先端4001をつなぐ仮想線が曲線である。
図54(c)に示すように、一例として、線材群400は、平面視において、先端が後方に凹む形状で、大ループの線材ほど先端が後方に位置する形状である。また、正面図で示されているように、線材4は、大ループの線材の上に隙間を置いて小ループの線材が順に重なる形状で、先端から肢にかけて下方に湾曲している。好ましくは、小ループの線材の先端4001が更に後方に湾曲して隣接のそれより大きいループの線材の内部に少なくとも一部が入り込んでいる。
図54(d)に示すように、一例として、線材群400は、平面視において、先端が後方に凹む形状で、大ループの線材ほど先端が後方に位置する形状である。また、正面図で示されているように、線材4は、大ループの線材の上に隙間を置いて小ループの線材が順に重なる形状で、先端から肢にかけて一旦上方に湾曲した後に下方に湾曲している。また、小ループの線材ほど下方に湾曲する部分が短く、前方への突出度合いが大きく、大ループの線材ほど下方に湾曲する部分が長く、前方への突出度合いが小さい。好ましくは、小ループの線材の先端4001が更に後方に湾曲して隣接のそれより大きいループの線材の内部に少なくとも一部が入り込んでいる。
図55は本発明の一実施形態に係る線材のループ形状を示す図である。
図55(a)に示すように、一例として、線材4は、一端部の末端4022から出発して中央部分で折り返してC字形状のループを形成し、他端の末端4022’が一端の末端4022と並ぶ位置に戻る形状である。
図55(b)に示すように、一例として、線材4は、一端の末端4022から出発して閉ループを形成し、他端の末端4022’が交差するようにして一端の末端4022と並ぶ位置に戻る形状である。
図55(c)に示すように、一例として、線材4は、一端の末端4022から出発して上昇しながら螺旋状の多重ループを形成し、他端の末端4022’がループの内部を通って一端の末端4022と並ぶ位置に戻る形状である。
図55(d)に示すように、一例として、線材4は、一端の末端4022から出発して上昇しながら螺旋状の多重ループを形成した後、形成された多重ループを囲うように下降しながら多重ループを形成し、他端の末端4022’が一端の末端4022と並ぶ位置に戻る形状である。
図56は本発明の一実施形態に係る線材のループ形状を示す図である。ここでは、例として、複数本の線材を含む線材群の例を図示し、説明する。
図示のように、一例として、複数の図55(a)に示す形状の線材が、大ループの内部に小ループを重ねるようにして、線材群40が形成される。線材の両端部は、一例として、図56(a)に示すように、複数の一端部の末端4022同士が所定間隔を有してそれぞれ固定され、複数の他端部の末端4022’同士が所定間隔を有してそれぞれ固定される。また、一例として、図56(b)に示すように、複数の一端の末端4022同士が溶着や接着、治具による固定等でまとめて固定され、複数の他端部の末端4022’同士が溶着や接着、治具による固定等でまとめて固定される。
なお、上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した実施形態の例に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
10、20 ロボットハンド(ハンド)
100、200 指部
201 変位センサ
110、210 第1指節部
120、220 第2指節部
230 第3指節部
240 根基部
250 手基部
260 取付部
300 関節部(接続部)
4、401、402、403、404、411、412、413、414 線材
40、41、42、43、44、45、410、420 線材群
4001 先端
4002 肢
4003 基端
510 第1指骨部材
520 第2指骨部材
530 第3指骨部材
610 第1指腱部材
620 第2指腱部材
630 第3指腱部材
90 ロボット

Claims (16)

  1. 対象物と当接する2以上の指部を含み、前記指部同士の間で対象物を掴むロボットハンドであって、
    前記指部は、掴み方向がその延在方向に略直交し、少なくとも一の指節部が複数のループ状の弾性を有する線材を所定間隔で配列してなる線材群により外形が形成され
    前記線材群において、前記線材はループ形状が前記指部の延在方向に延びるように配列され、前記線材同士の間に前記指部の延在方向に延びる隙間を有する
    ことを特徴とするロボットハンド。
  2. 請求項1に記載のロボットハンドであって、
    前記線材は、略C字形状または略U字形状である
    ことを特徴とするロボットハンド。
  3. 請求項1または2に記載のロボットハンドであって、
    前記線材群は、対象物を掴む側である腹側及びその反対側である側の少なくとも一方に凸の凸形状に構成される
    ことを特徴とするロボットハンド。
  4. 請求項1〜3のいずれか一項に記載のロボットハンドであって、
    前記線材群は、前記指部の延在方向と直交し且つ対象物を掴む側である腹側及びその反対側である背側と直交する左側及び右側の少なくとも一方に凸の凸形状に構成される
    ことを特徴とするロボットハンド。
  5. 請求項1〜4のいずれか一項に記載のロボットハンドであって、
    前記線材群は、略筒形状を有する
    ことを特徴とするロボットハンド。
  6. 請求項1〜5のいずれか一項に記載のロボットハンドであって、
    前記指部の前記指節部は、複数の前記線材のループの大小が異なり且つ前記線材同士の間に線径以上の前記隙間を有し、使用状態において、対象物に最も近位の最近位線材と対象物に2番目に近位の第2近位線材とが一方が他方のループ内に入り込んで共同して対象物に当接できる
    ことを特徴とするロボットハンド。
  7. 請求項1〜6のいずれか一項に記載のロボットハンドであって、
    前記指部の前記指節部は、複数の前記線材のループの大小が異なり且つ前記線材同士の間に線径以上の前記隙間を有し、
    前記指部同士の前記指節部同士は、初期状態において、相手方に最も近位の最近位線材同士が当接する状態から、相手方に最も近位の最近位線材同士が当接し且つ相手方に2番目に近位の第2近位線材同士が当接する状態に切り替えることができる
    ことを特徴とするロボットハンド。
  8. 請求項1〜7のいずれか一項に記載のロボットハンドであって、
    前記線材群の前記線材は、前記一の指節部と他の指節部とを接続する関節部または接続部に末端が露出しないように固定される
    ことを特徴とするロボットハンド。
  9. 請求項1〜8のいずれか一項に記載のロボットハンドであって、
    前記指節部は、二つの前記線材群により外形が形成される
    ことを特徴とするロボットハンド。
  10. 請求項9に記載のロボットハンドであって、
    二つの前記線材群は、相対するように隣接の二つの関節部または接続部にそれぞれ両端部が固定される
    ことを特徴とするロボットハンド。
  11. 請求項10に記載のロボットハンドであって、
    前記指節部は、前記指部の延在方向の先端側である前端側に配置される前端側線材群と、その反対側である後端側に配置される後端側線材群の二つの前記線材群により外形が形成され、
    前記後端側線材群は、後端側に対象物を掴む側である腹側及びその反対側である背側に突出する後端突出部が設けられ、対象物が後端側よりも前端側に寄るように構成される
    ことを特徴とするロボットハンド。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載のロボットハンドであって、
    前記指節部は、指骨部材を有し、
    前記指骨部材は、前記線材群により囲まれる
    ことを特徴とするロボットハンド。
  13. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のロボットハンドであって、
    前記指部は、二以上の前記指節部を有し、
    二以上の前記指節部における前記線材群は、互いに異なる
    ことを特徴とするロボットハンド。
  14. 請求項1〜12のいずれか一項に記載のロボットハンドであって、
    前記線材群には、変位センサが設けられる
    ことを特徴とするロボットハンド。
  15. 請求項1〜14のいずれか一項に記載のロボットハンドであって、
    前記線材群の少なくとも一部の線材は、前記一の指節部と他の指節部とを接続する関節部または接続部の反対側に凹入する避け部を有する
    ことを特徴とするロボットハンド。
  16. 請求項1〜15のいずれか一項に記載のロボットハンドを含む
    ことを特徴とするロボット。
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