JP6817316B2 - 高圧燃料供給ポンプ - Google Patents

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Description

本発明は、内燃機関の燃料噴射弁に燃料を圧送する高圧燃料供給ポンプに関し、特には、吐出する燃料の量を調節する電磁吸入弁を備えた高圧燃料ポンプに関する。
自動車等の内燃機関の内、燃焼室へ直接的に燃料を燃焼室内部へ噴射する直接噴射タイプにおいて、燃料を高圧化し所望の燃料流量を吐出する電磁吸入弁を備えた高圧燃料供給ポンプが広く用いられている。たとえば以下の特許文献1(特開2012−251447号公報)においては、次世代の高圧燃料ポンプとして、アンカーとロッドとが別体で構成された構造が記載されている。
特開2012−251447号公報
上記特許文献1の高圧燃料供給ポンプにおいて、ソレノイド部の部品の構成上、ソレノイド部内は燃料で満たされている。すると可動子の移動に伴って燃料通路内の係合部材突出部付近に流体剥離が生じ、キャビテーションが発生しやすくなる。
本発明の高圧燃料ポンプは、上記課題に鑑み、加圧室の吸入側に設けられた吸入弁と、外周側に突出する突出部を有し、バネの力により吸入弁を付勢する係合部材と、磁気吸引力を発生させる固定子と、磁気吸引力により吸引され、突出部と係合することで固定子に向かって係合部材を駆動する可動子とを備え、突出部の外周部と可動子の内周部との間の燃料通路の通路面積が最も小さくなっており、さらに前記突出部は、前記外周部のうち前記内周部との間の流路面積が最も小さい部位から前記固定子の側に向かって外径を小さくし流路面積を広げるテーパ部と、前記内周部との間の流路面積が最も小さい前記部位から前記燃料通路に向かって外径を小さくし流路面積を広げるテーパ部と、が形成され、係合部材は突出部よりも小径でバネの側に向かって延びる円筒部を有し、突出部と円筒部の一部とは可動子に形成された凹み部の内周側に配置され、かつ、凹み部の内周側において円筒部に前記バネが巻かれて保持され、円筒部と固定子との間の燃料流路よりも突出部の外周部と可動子の内周部との間の流路面積が小さい構成とする。
このように構成した本発明によれば、係合部材突出部近傍の剥離領域を低減し、キャビテーションの抑制に寄与することが出来る。
本発明の第一実施例及び第二実施例の高圧燃料供給ポンプの縦断面図である。 本発明の第一実施例及び第二実施例の高圧燃料供給ポンプの別の縦断面図であり、エンジンへの取付けについても示した断面図である。 本発明の第一実施例及び第二実施例の高圧燃料供給ポンプの電磁吸入弁の拡大縦断面図であり、電磁吸入弁が開弁状態にある状態を示す。 本発明の第一実施例及び第二実施例の高圧燃料供給ポンプの電磁吸入弁の拡大縦断面図であり、電磁吸入弁が閉弁初期の状態であり、電磁吸入弁に通電中の状態を示す。 本発明の第一実施例及び第二実施例の高圧燃料供給ポンプの電磁吸入弁の拡大縦断面図であり、電磁吸入弁が閉弁後期の状態であり、電磁吸入弁への通電を解除した状態を示す。 本発明の第一実施例及び第二実施例の高圧燃料供給ポンプのプランジャ及び電磁吸入弁の動作を示すタイミングチャートである。 本発明の第一実施例及び第二実施例の高圧燃料供給ポンプの電磁吸入弁の分解斜視図である。 本発明の第一実施例及び第二実施例の高圧燃料供給ポンプを含む燃料供給システム図の一例である。 本発明第一実施例の高圧燃料供給ポンプのロッド突出部の気相体積分率図。 請求項5の対策形状を実施した本発明の第一実施例の高圧燃料供給ポンプのロッド突出部の気相体積分率図。 本発明の第二実施例による高圧燃料供給ポンプのロッド突出部の断面図。
以下、図面を用いて本発明の実施例について詳細に説明する。
図1の高圧燃料供給ポンプの縦断面図及び図8に示すシステムの全体構成図を用いてシステムの構成と動作を説明する。 図8において、破線で囲まれた部分が高圧燃料供給ポンプ(以下高圧ポンプと呼ぶ)本体を示し、この破線の中に示されている機構、部品は高圧ポンプ本体1に一体に組み込まれていることを示す。
燃料タンク20の燃料は、エンジンコントロールユニット27(以下ECUと称す)からの信号に基づきフィードポンプ21によって汲み上げられ、適切なフィード圧力に加圧されて吸入配管28を通して高圧ポンプの低圧燃料吸入口10aに送られる。吸入ジョイント10aを通過した燃料は圧力脈動低減機構9、吸入通路10dを介して容量可変機構を構成する電磁吸入弁300の吸入ポート31bに至る。
電磁吸入弁300に流入した燃料は、吸入弁30を通過し加圧室11に流入する。エンジンのカム機構によりプランジャ2に往復運動する動力が与えられ、プランジャ2の往復運動により、プランジャ2の下降工程には吸入弁30から燃料を吸入する。また、プランジャ2の上昇工程には、燃料が加圧される。この上昇行程において加圧室11の燃料圧力が吐出通路12の燃料圧力より高くなると、吐出弁8が開く。すると吐出弁8を介し、圧力センサ26が装着されているコモンレール23へ燃料が圧送される。コモンレール23の高圧燃料は、ECU27からの信号に基づきインジェクタ24によりエンジンへ噴射される。
高圧ポンプは、ECU27から電磁吸入弁への信号により、所望の供給燃料となるよう燃料流量を吐出する。異常な高圧を防止するためにリリーフバルブ100が構成され、コモンレール23、又は吐出通路12の燃料圧力がリリーフバルブ100の設定圧力以上の異常高圧に上昇すると、リリーフバルブ100が開弁する。これによりコモンレール23、又は吐出通路12の燃料が高圧ポンプの加圧室11内に戻されることでコモンレール内の異常な高圧状態を防止する。
ポンプ本体1にはさらに、吐出弁8bの下流側の吐出通路12と加圧室11とを連通するリリーフ通路110が吐出弁をバイパスして設けられている。リリーフ通路110には燃料の流れを吐出通路12から加圧室11への一方向のみに制限するリリーフ弁102が設けられている。リリーフ弁102は、押付力を発生するリリーフばね105によりリリーフ弁シート101に押付けられており、加圧室11内とリリーフ通路110内との間の圧力差が予め設定された設定圧力以上になるとリリーフ弁102がリリーフ弁シート101から離れ、開弁するように設定されている。
高圧ポンプの電磁吸入弁300の故障等によりコモンレール23が異常な高圧となった場合、吐出通路12と連通するリリーフ通路110と加圧室11の差圧がリリーフ弁102の開弁圧力以上になると、リリーフ弁102が開弁する。これにより、吐出通路12の異常高圧となった燃料がリリーフ通路110から加圧室11へと戻され、コモンレール23等の高圧側配管が保護される。
図1、図2及び図8を用い高圧ポンプの構成及び動作について述べる。
一般に高圧ポンプは、ポンプ本体1に設けられたフランジ1eが内燃機関のシリンダヘッド90の平面に密着し、複数のボルト91で固定される。取付けフランジ1eは溶接部1fにてポンプ本体1に全周を溶接結合されて環状固定部を形成している。本実施例では、レーザー溶接を用いている。
シリンダヘッド90とポンプ本体1間のシールのためにOリング61がポンプ本体1に嵌め込まれ、エンジンオイルが外部に漏れるのを防止する。ポンプ本体1にはプランジャ2の往復運動をガイドし、かつ内部に加圧室11を形成するよう端部が有底筒型状に形成されたシリンダ6が取り付けられている。さらに加圧室11は燃料を供給するための電磁吸入弁300と加圧室11から吐出通路に燃料を吐出するための吐出弁機構8に連通するよう、外周側に環状の溝6aと、前記環状の溝と加圧室とを連通する複数個の連通穴6bが設けられている。
シリンダ6はその外径において、ポンプ本体1と圧入固定され、ポンプ本体1との隙間から加圧した燃料が低圧側に漏れないよう圧入部円筒面でシールしている。また、シリンダ6の加圧室側外径に小径部6cを有し、加圧室11の燃料が加圧されることによりシリンダ6が低圧燃料室10c側に力が作用するが、ポンプ本体1に小径部1aを設けることで、シリンダ6が低圧燃料室10c側に抜けることを防止している。お互いの面を軸方向に平面に接触させることで、ポンプ本体1とシリンダ6との前記接触円筒面のシールに加え、二重のシールの機能をも果たす。
プランジャ2の下端には、内燃機関のカムシャフトに取り付けられたカムの回転運動を上下運動に変換し、プランジャ2に伝達するタペット92が設けられている。プランジャ2はリテーナ15を介してばね4にてタペット92に圧着されている。これによりカム93の回転運動に伴い、プランジャ2を上下に往復運動させることができる。
また、シールホルダ7の内周下端部に保持されたプランジャシール13がシリンダ6の図中下方部においてプランジャ2の外周に摺動可能に接触する状態で設置されており、低圧室7aの燃料をプランジャ2が摺動した場合にでもシール可能な構造とし、外部に燃料が漏れることを防止する。同時に内燃機関内の摺動部を潤滑する潤滑油(エンジンオイルも含む)がポンプ本体1の内部に流入するのを防止する。
ポンプ本体1の頭部にはダンパカバー14が固定されている。ダンパカバー14には吸入ジョイント51が設けられており、低圧燃料吸入口10aを形成している。低圧燃料吸入口10aを通過した燃料は、吸入ジョイント51の内側に固定されたフィルタ52を通過し、圧力脈動低減機構9、低圧燃料流路10dを介して電磁吸入弁300の吸入ポート31bに至る。
吸入ジョイント51内の吸入フィルタ52は、燃料タンク20から低圧燃料吸入口10aまでの間に存在する異物を燃料の流れによって高圧燃料供給ポンプ内に吸収することを防ぐ役目がある。
プランジャ2は、大径部2aと小径部2bを有する。大径部2aと小径部2bとにより、プランジャ2が往復運動すると、環状低圧燃料室7aの体積を増減させる。体積の増減分は、燃料通路1dにより低圧燃料室10と連通していることにより、プランジャ2の下降時は、環状低圧燃料室7aから低圧燃料室10へ、上昇時は、低圧燃料室10から環状低圧燃料室7aへと燃料の流れが発生する。このことにより、ポンプの吸入工程もしくは、戻し工程におけるポンプ内外への燃料流量を低減することができ、脈動を低減する機能を有している。
低圧燃料室10には高圧ポンプ内で発生した圧力脈動が燃料配管28へ波及するのを低減させる圧力脈動低減機構9が設置されている。一度加圧室11に流入した燃料が、容量制御のため再び開弁状態の吸入弁体30を通して吸入通路10d(吸入ポート31b)へと戻される場合、吸入通路10d(吸入ポート31b)へ戻された燃料により低圧燃料室10には圧力脈動が発生する。しかし、低圧燃料室10に設けた圧力脈動低減機構9は、波板状の円盤型金属板2枚をその外周で張り合わせ、内部にアルゴンのような不活性ガスを注入した金属ダンパで形成されており、圧力脈動はこの金属ダンパが膨張・収縮することで吸収低減される。9bは金属ダンパをポンプ本体1の内周部に固定するための取付金具であり、燃料通路上に設置されるため、複数の穴を設け前記取付金具9bの表裏に流体が自由に行き来できるようにしている。
加圧室11の出口には吐出弁機構8が設けられている。吐出弁機構8は吐出弁シート8a、吐出弁シート8aと接離する吐出弁8b、吐出弁8bを吐出弁シート8aに向かって付勢する吐出弁ばね8c、吐出弁8bと吐出弁シート8aとを収容する吐出弁ホルダ8dから構成され、吐出弁シート8aと吐出弁ホルダ8dとは当接部8eで溶接により接合されて一体の吐出弁機構8を形成している。
なお、吐出弁ホルダ8dの内部には、吐出弁8bのストロークを規制するスットパーを形成する段付部8fが設けられている。加圧室11と燃料吐出口12に燃料差圧が無い状態では、吐出弁8bは吐出弁ばね8cによる付勢力で吐出弁シート8aに圧着され閉弁状態となっている。加圧室11の燃料圧力が、燃料吐出口12の燃料圧力よりも大きくなった時に始めて、吐出弁8bは吐出弁ばね8cに逆らって開弁し、加圧室11内の燃料は燃料吐出口12を経てコモンレール23へと高圧吐出される。吐出弁8bは開弁した際、吐出弁ストッパ8fと接触し、ストロークが制限される。
したがって、吐出弁8bのストロークは吐出弁ストッパ8dによって適切に決定される。これによりストロークが大きすぎて、吐出弁8bの閉じ遅れにより、燃料吐出口12へ高圧吐出された燃料が、再び加圧室11内に逆流してしまうのを防止でき、高圧ポンプの効率低下が抑制できる。また、吐出弁8bが開弁および閉弁運動を繰り返す時に、吐出弁8bがストローク方向にのみ運動するように、吐出弁ホルダ8dの内周面にてガイドしている。以上のようにすることで、吐出弁機構8は燃料の流通方向を制限する逆止弁となる。
これらの構成により、加圧室11は、ポンプハウジング1、電磁吸入弁300、プランジャ2、シリンダ6、吐出弁機構8にて構成される。カム93の回転により、プランジャ2がカム93方向に移動して吸入工程状態にある時は、加圧室11の容積は増加し加圧室11内の燃料圧力が低下する。この工程で加圧室11内の燃料圧力が吸入通路10dの圧力よりも低くなると、燃料は、開口状態にある吸入弁30を通り、ポンプ本体1に設けられた連通穴1bと、シリンダ外周通路6aを通過し、加圧室11に流入する。
プランジャ2が吸入工程を終了した後、プランジャ2が圧縮工程に移る。ここで電磁コイル43は無通電状態を維持したままであり磁気付勢力は作用しない。よって、吸入弁30は、ロッド付勢ばね40の付勢力により開弁したままである。加圧室11の容積は、プランジャ2の圧縮運動に伴い減少するが、この状態では、一度加圧室11に吸入された燃料が、再び開弁状態の吸入弁30を通して吸入通路10dへと戻されるので、加圧室の圧力が上昇することは無い。この工程を戻し工程と称する。
この状態で、エンジンコントロールユニット27(以下ECUと呼ぶ)からの制御信号が電磁吸入弁300に印加されると、電磁コイル43には電流が流れ、磁気付勢力によりロッド35が吸入弁30から離れる方向に移動し、吸入弁付勢ばね33による付勢力と燃料が吸入通路10dに流れ込むことによる流体力により吸入弁30が閉弁する。閉弁後、加圧室11の燃料圧力はプランジャ2の上昇運動と共に上昇し、燃料吐出口12の圧力以上になると、吐出弁機構8を介して燃料の高圧吐出が行われ、コモンレール23へと供給される。この工程を吐出工程と称する。
すなわち、プランジャ2の圧縮工程(下始点から上始点までの間の上昇工程)は、戻し工程と吐出工程からなる。そして、電磁吸入弁300のコイル43への通電タイミングを制御することで、吐出される高圧燃料の量を制御することができる。電磁コイル43へ通電するタイミングを早くすれば、圧縮工程中の、戻し工程の割合が小さく、吐出工程の割合が大きい。すなわち、吸入通路10dに戻される燃料が少なく、高圧吐出される燃料は多くなる。一方、通電するタイミングを遅くすれば圧縮工程中の、戻し工程の割合が大きく吐出工程の割合が小さい。すなわち、吸入通路10dに戻される燃料が多く、高圧吐出される燃料は少なくなる。電磁コイル43への通電タイミングは、ECU27からの指令によって制御される。
以上のように構成することで、電磁コイル43への通電タイミングを制御することで、高圧吐出される燃料の量を内燃機関が必要とする量に制御することが出来る。
ここで、本発明の対象とする、電磁吸入弁について、図3から図5の断面図及び図6のタイミングチャートを用い詳細に説明する。
図3は電磁吸入弁300の拡大図で、電磁コイル43に通電されていない無通電の状態であり、加圧室11の圧力が低い(フィードポンプ21で圧送される圧力)状態の図である。この状態で、吸入工程と戻し工程とが行われる。
図4は電磁吸入弁300の拡大図で、電磁コイル43に通電され、可動部であるアンカー36が電磁吸引力により第二コア39に接触し、吸入弁30が閉弁した状態の図である。
図5は電磁吸入弁300の拡大図で、ポンプ室の圧力が十分増加した後の吸入弁が閉まった状態での、電磁コイル43への通電が解除された無通電の状態の図である。吸入弁部は、吸入弁30、吸入弁シート31、吸入弁ストッパ32、吸入弁付勢ばね33、吸入弁ホルダ34からなる。
吸入弁シート31は円筒型で、内周側軸方向にシート部31a、円筒の軸を中心に放射状に2つ以上の吸入通路部31bを有し、外周円筒面でポンプ本体1に圧入保持される。吸入弁ホルダ34は、放射状に2方向以上の爪を有し、爪外周側が吸入弁シート31の内周側で同軸に嵌合保持される。さらに円筒型で一端部につば形状を持つ吸入ストッパ32が吸入弁ホルダ34の内周円筒面に圧入保持される。
吸入弁付勢ばね33は、吸入弁ストッパ32の内周側に、一部前記ばねの一端を同軸に安定させるための細径部に配置され、吸入弁30が、吸入弁シート部31aと吸入弁ストッパ32の間に、弁ガイド部30bに吸入弁付勢ばね33が嵌合する形で構成される。吸入弁付勢ばね33は圧縮コイルばねであり、吸入弁30が吸入弁シート部31aに押し付けられる方向に付勢力が働く様に設置される。圧縮コイルばねに限らず、付勢力を得られるものであれば形態を問わないし、吸入弁と一体になった付勢力を持つ板ばねの様なものでも良い。
この様に吸入弁部を構成することで、ポンプの吸入工程においては、吸入通路31bを通過し内部に入った燃料が、吸入弁30とシート部31aの間を通過し、吸入弁30の外周側及び吸入弁ホルダ34の爪の間を通り、ポンプ本体1及びシリンダの通路を通過し、ポンプ室へ燃料を流入させる。また、ポンプの吐出工程においては、吸入弁30が吸入弁シート部31aと接触シールすることで、燃料の入口側への逆流を防ぐ逆止弁の機能を果たす。
吸入弁30の動きを滑らかにするために、吸入弁ストッパの内周側の液圧を吸入弁の動きに応じて逃がすために、通路32aが設けられている。吸入弁30の軸方向の移動量30eは吸入弁ストッパ32によって有限に規制されている。移動量が大きすぎると吸入弁30の閉じる時の応答遅れにより前記逆流量が多くなりポンプとしての性能が低下するためである。この移動量の規制は、吸入弁シート31a、吸入弁30、吸入弁ストッパ32の軸方向の形状寸法及び、圧入位置で規定することが可能である。
吸入弁ストッパ32には、環状突起32bが設けられ、吸入弁32が開弁している状態において、吸入弁ストッパ32との接触面積を小さくしている。開弁状態から閉弁状態へ遷移時、吸入弁32が吸入弁ストッパ32から離れやすい様、すなわち閉弁応答性を向上させるためである。前記環状突起が無い場合、すなわち前記接触面積が大きい場合、吸入弁30と吸入弁ストッパ32の間に大きなスクイーズ力が働き、吸入弁30が吸入弁32から離れにくくなる。
吸入弁30、吸入弁シート31a、吸入弁ストッパ32は、お互い作動時に衝突を繰返すため、高強度、高硬度で耐食性にも優れるマルテンサイト系ステンレスに熱処理を施した材料を使用する。吸入弁スプリング33及び吸入弁ホルダ34には耐食性を考慮しオーステナイト系ステンレス材を用いる。
次にソレノイド機構部について述べる。ソレノイド機構部は、可動部であるロッド35、アンカー36、固定部であるロッドガイド37、第一コア38、第二コア39、そして、ロッド付勢ばね40、アンカー付勢ばね41からなる。
可動部であるロッド35とアンカー36は別部材に構成している。ロッド35はロッドガイド37の内周側で軸方向に摺動自在に保持され、アンカー36の内周側は、ロッド35の外周側で摺動自在に保持される。すなわち、ロッド35及びアンカー36共に幾何学的に規制される範囲で軸方向に摺動可能に構成されている。
アンカー36は燃料中で軸方向に自在に滑らかに動くために、部品軸方向に貫通する貫通穴36aを1つ以上有し、アンカー前後の圧力差による動きの制限を極力排除している。
ロッドガイド37は、径方向には、ポンプ本体1の吸入弁が挿入される穴の内周側に挿入され、軸方向には、吸入弁シートの一端部に突き当てられ、ポンプ本体1に溶接固定される第一コア38とポンプ本体1との間に挟み込まれる形で配置される構成としている。
ロッドガイド37にもアンカー36と同様に軸方向に貫通する貫通穴37aが設けられ、アンカーが自在に滑らかに動くことができる様、アンカー側の燃料室の圧力がアンカーの動きを妨げない様に構成している。
第一コア38は、ポンプ本体と溶接される部位との反対側の形状を薄肉円筒形状としており、その内周側に第二コア39が挿入される形で溶接固定される。第二コア39の内周側にはロッド付勢ばね40が、細径部をガイドに配置され、ロッド35が吸入弁30と接触し、前記吸入弁が吸入弁シート部31aから引き離す方向、すなわち吸入弁の開弁方向に付勢力を与える。
アンカー付勢ばね41は、ロッドガイド37の中心側に設けた円筒径のガイド部37bに方端を挿入し同軸を保ちながら、アンカー36にロッドつば部35a方向に付勢力を与える配置としている。アンカー36の移動量36eは吸入弁30の移動量30eよりも大きく設定される。確実に吸入弁30が閉弁するためである。
ロッド35とロッドガイド37にはお互い摺動するため、またロッド35は吸入弁30と衝突を繰返すため、硬度と耐食性を考慮しマルテンサイト系ステンレスに熱処理を施したものを使用する。アンカー36と第二コア39は磁気回路を形成するため磁性ステンレスを用い、さらにアンカー36と第二コア39のそれぞれの衝突面には、硬度を向上させるための表面処理を施している。特には硬質Crめっき等であるがその限りでは無い。ロッド付勢スプリング40、アンカー付勢スプリング41には耐食性を考慮しオーステナイト系ステンレスを用いる。
吸入弁部とソレノイド機構部には、3つのばねが構成されることになる。吸入弁部に構成される吸入弁付勢ばね33と、ソレノイド機構部に構成されるロッド付勢ばね40、アンカー付勢ばね41で構成される。本実施例ではいずれのばねもコイルばねを使用しているが付勢力を得られる形態であればいかなるものでも構成可能である。
この3つのばね力の関係は、下記の式で構成する。 ロッド付勢ばね40力>アンカー付勢ばね41力+吸入弁付勢ばね33力+流体により吸入弁が閉じようとする力 ‥‥(1)式
この関係により、無通電時では、各ばね力により、ロッド35は吸入弁30を吸入弁シート部31aから引き離す方向、すなわち弁が開弁する方向に力f1が作用する。(1)式より、f1は下記である。
f1=ロッド付勢ばね力−(アンカー付勢ばね力+吸入弁付勢ばね力+流体により吸入弁が閉じようとする力) ‥‥(2)式
次にコイル部の構成について述べる。コイル部は、第一ヨーク42、電磁コイル43、第2ヨーク44、ボビン45、端子46、コネクタ47から成る。ボビン45に銅線が複数回巻かれたコイル43が、第一ヨーク42と第二ヨーク44により取り囲まれる形で配置され、樹脂部材であるコネクタ47と一体にモールドされ固定される。二つの端子46のそれぞれの方端はコイルの銅線の両端にそれぞれ通電可能に接続される。端子46も同様にコネクタ47と一体にモールドされ残りの方端がエンジン制御ユニット側と接続可能な構成とする。
コイル部は第一ヨーク42の中心部の穴部が、第一コア38に圧入され固定される。その時、第二ヨーク44の内径側は、第二コア39と接触もしくは僅かなクリアランス近接する構成となる。
第一ヨーク42、第二ヨーク44共に、磁気回路を構成するために、また耐食性を考慮し磁性ステンレス材料とし、ボビン45、コネクタ47は強度特性、耐熱特性を考慮し、高強度耐熱樹脂を用いる。コイル43は銅、端子46には真鍮に金属めっきを施した物を使用する。
上述の様にソレノイド機構部とコイル部とを構成することで、図3の矢印部に示す様に、第一コア38、第一ヨーク42、第二ヨーク44、第二コア39、アンカー36で磁気回路を形成し、コイルに電流を与えると、第二コア39、アンカー36間に電磁力が発生し、互いに引き寄せられる力が発生する。第一コア38において、第二コア39とアンカー36とがお互い吸引力を発生させる軸方向部位を極力薄肉にすることで、磁束のほぼ全てが第二コア39とアンカー36の間を通過するため、効率良く電磁力を得ることができる。
上記電磁力が前記f1を上回った時に、可動部であるアンカー36がロッド35と共に第二コア39に引き寄せられる運動、またコア39とアンカー36が接触し、接触を継続することを可能とする。
以下、図3〜5、及び図6のタイミングチャートを用いて動作と効果について詳細に述べる。
≪吸入工程≫
プランジャ2が上死点から下降を始めると、加圧室内の圧力が例えば20MPaレベルの高圧の状態から急激に小さくなり、前述の力f1によりロッド35、アンカー36、吸入弁30とが、吸入弁30の開弁方向に移動を始める。吸入弁30が開弁することで、吸入弁シートの通路31bからバルブシート31内径側に流入した燃料が、加圧室内に吸入され始める。
吸入弁30が吸入弁ストッパ32に衝突し、吸入弁30はその位置で停止する。同じくロッド35も先端が吸入弁30に接触する位置(図6におけるプランジャロッドの開弁位置)で停止する。
アンカー36についてもロッド35と同速度で吸入弁30開弁方向に移動する。しかし、図6のAに示すように、ロッド35が吸入弁30に接触し停止した後でも慣性力で移動を続けようとする。ところが、アンカー付勢ばね41がその慣性力に打ち勝ち、アンカー36は再び第二コア39に近付く方向に移動し、ロッドつば部35aにアンカー36が押し当てられる形で接触する位置(図6におけるアンカー開弁位置)で停止することができる。この時点におけるアンカー36、ロッド35、吸入弁30の位置を示す状態が図3の状態である。
前述及び図6においては、Aに示す部分で、ロッド35とアンカー36とが完全に離れる説明としているが、ロッド35とアンカー36とが接触したままの状態でも良い。言い換えると、ロッドつば部35aとアンカー36との接触部に作用する荷重は、ロッドの運動停止後減少し、0になるとアンカー36がロッドに対し分離を開始するが、0にならず僅かの荷重を残すアンカー付勢ばね41の設定力でも良い。
吸入弁30が吸入弁ストッパ32に衝突する時には、製品としての重要な特性となる異音の問題が発生する。異音の大きさは前記衝突時のエネルギーの大きさに起因するが、ロッド35とアンカー36とを別体に構成しているために、吸入弁ストッパ32に衝突するエネルギーは、吸入弁30の質量とロッド35の質量のみで発生することとなる。すなわちアンカー36の質量は衝突エネルギーに寄与しないため、ロッド35とアンカー36とを別体に構成することで、異音の問題を低減している。
ロッド35とアンカー36とを別体に構成したとしても、アンカー付勢ばね41が無い構成の場合、前記慣性力でアンカー36は吸入弁30の開弁方向に移動を続け、ロッドガイド37の中央軸受部37bに衝突し、前記衝突部とは相違する部分で異音が発生する問題が起こる。異音の問題に加え、衝突することでアンカー36とロッドガイド37の摩耗や変形等が起こるばかりでなく、前記摩耗により金属異物が発生し、その異物が摺動部やシート部に挟まることで、又、変形し軸受機能を損なうことで、吸入弁ソレノイド機構の機能を損なう恐れがある。
また、アンカー付勢ばね41が無い構成の場合、アンカーが前記慣性力でコア39から離れ過ぎてしまう(図6のA部)ため、動作時刻として後工程である、戻し工程から吐出工程に遷移させるためにコイル部に電流を加えた時に、必要な電磁吸引力が得られない問題が発生する。必要な電磁吸引力が得られない場合、高圧ポンプから吐出する燃料を所望の流量に制御出来ない大きな問題となる。
このため、アンカー付勢ばね41は前記問題を発生させないための重要な機能を持っている。吸入弁30が開弁した後、さらにプランジャ2が降下を行い下死点に到達する。この間、加圧室11には燃料が流入し続け、この工程が吸入工程である。
≪戻し工程≫
下死点まで降下したプランジャ2は、上昇工程に入る。吸入弁は前記f1の力で開弁状態に停止したままであり、吸入弁を通過する流体の方向が真逆になる。すなわち吸入工程では燃料が、吸入弁シート通路31bから加圧室に流入していたのに対し、上昇工程となった時点で、加圧室から吸入弁シート通路31b方向に戻される。この工程を戻し工程と呼ぶ。
この戻し工程において、エンジン高回転時すなわちプランジャ2の上昇速度が大きい条件において、戻される流体による吸入弁の閉弁力が増大し、前記力f1が小さくなる。この条件において、各ばね力の設定力を誤り、f1が負の値になった場合、吸入弁30は意図せず閉弁してしまう。所望の吐出流量よりも大きな流量が吐出されてしまうため、燃料配管内の圧力が所望の圧力以上に上昇し、エンジンの燃焼制御に悪影響を及ぼすことになる。そのため、プランジャ2の上昇速度が最も大きい条件で、前記力f1が正の値を保つように各ばね力を設定する必要がある。
≪戻し工程〜吐出工程への遷移状態≫
所望の吐出時刻よりも、電磁力の発生遅れ、吸入弁の閉弁遅れを考慮した早い時刻において、電磁コイル43に電流が与えられ、アンカー36と第二コア39の間に磁気吸引力が働く。電流は前記力f1に打ち勝つに必要な大きさの電流を与える必要がある。この磁気吸引力が前記力f1に打ち勝った時点で、アンカー36が第二コア39方向へ移動を開始する。アンカー36が移動することで、軸方向につば部35aで接触しているロッド35も同じく移動し、吸入弁30が吸入弁付勢ばね33の力と、流体力、主には、加圧室側からシート部を通過する流速による静圧の低下により閉弁を開始する。
電磁コイル43に電流が与えられた時、アンカー36と第二コア39が規定の距離より離れすぎている場合、すなわちアンカー36が図6の「開弁位置」を超えて、Aの状態が継続した場合、前記磁気吸引力が弱いために前記力f1に打ち勝つことができず、アンカーが第二コア39側に移動することに時間を要したり、移動できない問題が発生する。
この問題を起こさない為にアンカー付勢ばね41を設けている。アンカー36が所望のタイミングで第二コア39に移動できない場合、吐出したいタイミングにおいても吸入弁が開いた状態を維持するため、吐出工程が開始できない。つまり、すなわち必要な吐出量が得られないため所望のエンジン燃焼ができない懸念がある。このため、アンカー付勢ばね41は、吸入工程で発生が懸念される異音問題を防止するため、また吐出工程が開始できない問題を防止するための重要な機能を持っている。
移動を始めた吸入弁30は、シート部31aに衝突し停止することで、閉弁状態となる。閉弁すると、筒内圧が急速に増大するため、吸入弁30は筒内圧により閉弁方向に前記力f1よりも遥かに大きい力で強固に押し付けられ、閉弁状態の維持を開始する。
ここで、本実施例で課題とするソレノイド機構部内に発生する虞のある壊食の問題について説明する。コイルに電流が与えられアンカー36が第二コア39に引き寄せられる際、二物体の間にある空間体積が急速に縮小することで、その空間にある流体は行き場を失う。よって、速い流れを持ってアンカー外周側へ押し流され、第一コア薄肉部に衝突し、そのエネルギーによる壊食発生の懸念がある。また、押し流された流体がアンカーの外周を通過しロッドガイド側に流れるが、アンカー外周側の通路が狭いために流速が大きくなる。すると静圧が急速に低下することによるキャビテーションが発生し、第一コア薄肉部においてキャビテーション壊食が発生する懸念がある。
これらの問題を回避するためにアンカー中心側に1つ以上の軸方向の貫通穴36aを設置している。アンカー36が第二コア39側に引き寄せられる際、その空間の流体が、極力、アンカー外周側の狭い通路を通過しない様、貫通穴36aを通過させるためである。
本実施例ではこのキャビテーション壊食の原因となるキャビテーションの発生を低減することを目的としている。燃料通路が狭く、燃料の流速が速くなる箇所では流れは直線的なであるため、急な角度をもった形状では剥離が発生しやすくなるため圧力が低下し、キャビテーション発生の主要因となる。そこで、燃料通路が狭いところから流路を緩やかに広げることで流速が徐々に低下し、圧力降下を抑えることが出来るため上記壊食の問題を解決することができる。
アンカー36とロッド35を一体で構成している場合、上記問題がさらに懸念される事象が発生する。エンジン高回転時すなわちプランジャの上昇速度が大きい条件において、コイルに電流が付与されアンカー36が第二コア39に移動しようとする力に、さらに非常に速度の大きい流体による吸入弁30を閉じる力が追加付与力として増加され、ロッド35及びアンカー36が第二コア39へ急激に接近するため、その空間の流体が押し出される速度がさらに大きくなり、前記壊食の問題がさらに大きなものになる。アンカー36の貫通穴36aの容量が不足する場合、壊食の問題が解決できない。
今回の実施例ではアンカー36とロッド35が別体で構成されているため、吸入弁30を閉じる力がロッド35に与えられた場合においても、ロッド35のみが第二コア39側に押し出され、アンカー36は取り残されながら、通常の電磁吸引力のみの力で第二コア39側に移動を行う。すなわち急激な空間の減少は起こらず、壊食の問題の発生を防ぐことができる。
アンカー36とロッド35を別体で構成する弊害は前述した通り、所望の磁気吸引力を得られない問題、異音、機能低下があるが、アンカー付勢ばね41を設置することで、この弊害を取り払うことが可能となる。
≪吐出工程≫
プランジャが下死点から上昇工程に転じ、所望のタイミングでコイル43に電流が与えられ吸入弁30が閉じるまでの戻し工程が終了した直後、加圧室内の圧力が急速に増大し、吐出工程となる。吐出工程後には、省電力の観点からコイルに与える電力を削減することが望ましいため、コイルに与える電流を切断する。電磁力が付加されなくなりアンカー36及びロッド35が、ロッド付勢ばね40とアンカー付勢ばね41の合力により、第二コア39から離れる方向へ移動する。ところが、吸入弁30が強固な閉弁力で閉弁位置にあるためロッド35は閉弁状態の吸入弁30に衝突した位置で停止する。すなわちこの時のロッドの移動量は36e−30eとなる。
この様に、燃料が吐出される吐出工程が行われ、次の吸入工程直前においては、吸入弁30、ロッド35、アンカー36は図5の状態となっている。プランジャが上死点に達した時点で、吐出工程が終了し、再び吸入工程が開始される。
かくして、低圧燃料吸入口10aに導かれた燃料はポンプ本体としてのポンプ本体1の加圧室11にてプランジャ2の往復動によって必要な量が高圧に加圧され、燃料吐出口12からコモンレール23に圧送されるのに好適な高圧ポンプを提供することができる。
本実施例の高圧ポンプは、図9のアンカーロッド突出部拡大図に示すように、バネ空間48からアンカー36に形成された燃料通路36aに至る間において、突出部35aの外周部35dとアンカー36の内周部36cとの間の流路面積が最も小さくなるように形成される。そして突出部35aは、外周部35dのうち内周部36cとの間の流路面積が最も小さい部位36dから燃料通路36aに向かって外径を小さくし流路面積を広げるテーパ部35cが形成されることを特徴とする。
これにより、図4の吸入弁30の開閉弁によるアンカー36の移動に伴って生じる液体の流れに際して、最小流路面積36d通過後に流路が緩やかに拡大するため流速が徐々に小さくなり、圧力降下が抑えられるため剥離部が低減されることで、キャビテーションの抑制に寄与する。
また上記構成の高圧燃料供給ポンプにおいて、図3の高圧燃料ポンプソレノイド部断面図よりアンカー36が第二コア39に向かって移動する場合に、燃料通路36aと燃料通路36fを介してバネ40が配置されたバネ空間48の燃料を吸入弁30側に流すことを特徴としている。これにより、アンカーの動作によって燃料の移動を可能にする。
また上記構成の高圧燃料供給ポンプにおいて、図9のアンカーロッド突出部拡大図よりテーパ部35cは、燃料通路36aに向かって徐々に外径が小さくなり流路面積を広げることを特徴としている。これにより、最小流路面積36d通過後の流路面積が広がるため燃料の流速が減少し、剥離部の低減に寄与する。
また上記構成の高圧燃料供給ポンプにおいて、図10のアンカーロッド突出部の拡大図に示すように、本実施例では、アンカー36の燃料通路36aよりも内周側において、テーパ35cはアンカー36と係合するように構成することを特徴としている。これにより、燃料が最小流路面積部36d通過後に流路面積が拡大し、流速が減少することに寄与する。
また上記構成の高圧燃料供給ポンプにおいて、図9の構成でも上記したように、キャビテーションの抑制に寄与することができる。しかし、図9の構成でも剥離による圧力低下よりキャビテーション発生が生じ得る箇所がある。そこで図10に示す本発明の実施例では、テーパ部35cは、テーパ部の燃料通路側の端部が燃料通路36aの最も内周側に対応する位置になるように形成されることを特徴とする。つまり、図9に示すようなテーパ部35cからロッド部までの段部が無く、テーパ部35cとロッド部とが滑らかに接続される。これにより、最小流路面積部36dに流路面積が拡大することで燃料の流速が減少し、剥離部の低減によるキャビテーションの抑制に寄与する。
また上記構成の高圧燃料供給ポンプにおいて、図3の吸入弁開弁時におけるソレノイド部断面図よりロッド35は突出部35aよりも小径でバネ40の側に向かって延びる円筒部35eを有し、円筒部は、円筒部の端部35fが第二コア39におけるアンカー36と対向する端面と対応する位置になるように形成されることを特徴とする。これにより、円筒部から第二コアへの磁気漏れを防ぐ働きに寄与する。
また上記構成の高圧燃料供給ポンプにおいて、図3の吸入弁弁時におけるソレノイド部断面図よりロッド35は突出部35aよりも小径でバネ40の側に向かって延びる円筒部35eを有し、突出部及び円筒部はアンカーに形成された凹み部36gの内周側に配置され、かつ、円筒部35eは、円筒部の端部35fが第二コア39におけるアンカー36と対向する端面と対応する位置になるように形成されることを特徴とする。
また上記構成の高圧燃料供給ポンプにおいて、図4の吸入弁閉弁時におけるソレノイド部断面図よりロッド35は突出部35aよりも小径でバネ40の側に向かって延びる円筒部35eを有し、突出部35a及び円筒部35eはアンカー36に形成された凹み部36gの内周側に配置するとともに凹み部の内周側において、円筒部35eにバネ40が巻かれて保持されることを特徴とする。これにより、バネ40の姿勢を安定させる効果がある。
また上記構成の高圧燃料供給ポンプにおいて、図4の吸入弁閉弁時におけるソレノイド部断面図よりバネ40は円筒部35eに1.5周以上巻かれることを特徴とする。これにより、バネ40の姿勢を安定させる効果がある。
また上記構成の高圧燃料供給ポンプにおいて、図4の吸入弁閉弁時におけるソレノイド部断面図よりロッド35は突出部35aよりも小径でバネ40の側に向かって延びる円筒部35eを有し、アンカー36の燃料通路36aはアンカー36の移動方向において、第二コア39に形成された凹み部の内周面と重なるように形成され、円筒部35eの外周部は燃料通路36aの最も内周側よりもさらに内周側に位置することを特徴とする。これにより、バネ空間48の燃料が移動する流路を確保することでできる。
また上記構成の高圧燃料供給ポンプにおいて、図4の吸入弁閉弁時におけるソレノイド部断面図よりロッド35は突出部35aよりも小径でバネ40の側に向かって延びる円筒部35eを有し、円筒部35eと第二コア39との間の燃料流路36aよりも突出部35aの外周部35dとアンカー36の内周部との間の流路面積が小さいことを特徴とする。
これにより、外周部35dとアンカー36の内周部との間の流路での流速が速くなるため、本発明のテーパによって剥離部を低減することが出来る。
上記したように図9の構成は図10に比べるとキャビテーションが発生し易い。この理由を説明する。図9にアンカー36内の燃料通路を示すが、電磁コイル43に通電することによってアンカー36と第二コア39間に磁気吸引力が発生し、アンカー36とロッド35が第二コア側に移動することによって流体は押し出され、燃焼通路36aを通って吸入弁側へ向かって流れる。その際、ロッド突出部35a付近通過後の流れの影響によって剥離部が生じて圧力が低下し、キャビテーションが発生する。
これに対して図10は上記したように本実施例におけるアンカーロッド突出部の拡大図を示す図9では、ロッド35が第二コア側に移動することによって流体が吸入弁側へ押し出されてロッド突出部35a付近で剥離が生じていた。これに対して図10に示すように、本実施例では突出部35aにテーパを設けることによって燃料通路内の段差を無くした滑らかな形状とした。これより燃料流れの整流化によって剥離を低減し、キャビテーション発生を抑制できる。
図11に本実施例におけるアンカー・アンカーロッド突出部の拡大図を示す。ロッド突出部35aに示す通り、テーパを突出部の第二コア側35bと吸入弁側35cの両側に設けることにより、吸入弁開閉弁時のアンカーの移動に伴って突出部近傍に発生する剥離部を低減することができ、キャビテーション発生を抑制できる。
図11に示す通り、ロッドの突出部35aとアンカーの突出部36bにテーパもしくは緩やかな曲面を設けることで吸入弁開閉弁時のロッド35の移動に伴って突出部近傍に発生する流体剥離部を低減でき、キャビテーション発生を抑制できる。
1 ポンプ本体
2 プランジャ
6 シリンダ
7 シールホルダ
8 吐出弁機構
9 圧力脈動低減機構
10a 低圧燃料吸入口
11 加圧室
12 燃料吐出口
13 プランジャシール
30 吸入弁
31 吸入弁シート
33 吸入弁ばね
35 ロッド
35a ロッド突出部
35b ロッド突出部第二コア側
35c ロッド突出部吸入弁側
35d ロッド突出部外径
36 アンカー
36a 燃料通路
36b アンカー突出部
36c アンカー内周部
36d 流路面積最小部
36f 燃料通路(サイドギャップ部)
38 第一コア
39 第二コア
40 ロッド付勢ばね
41 アンカー付勢ばね
43 電磁コイル
48 バネ空間
300 電磁吸入弁

Claims (8)

  1. 加圧室の吸入側に設けられた吸入弁と、
    外周側に突出する突出部を有し、バネの力により前記吸入弁を付勢する係合部材と、
    磁気吸引力を発生させる固定子と、
    前記磁気吸引力により吸引され、前記突出部と係合することで前記固定子に向かって前記係合部材を駆動する可動子と、を備え、
    前記バネが配置されたバネ空間から前記可動子に形成された燃料通路に至る間において、前記突出部の外周部と前記可動子の内周部との間の流路面積が最も小さくなるように形成され、
    さらに前記突出部は、前記外周部のうち前記内周部との間の流路面積が最も小さい部位から前記固定子の側に向かって外径を小さくし流路面積を広げるテーパ部と、前記内周部との間の流路面積が最も小さい前記部位から前記燃料通路に向かって外径を小さくし流路面積を広げるテーパ部と、が形成され、
    前記係合部材は前記突出部よりも小径で前記バネの側に向かって延びる円筒部を有し、
    前記突出部と前記円筒部の一部とは前記可動子に形成された凹み部の内周側に配置され、かつ、前記凹み部の内周側において前記円筒部に前記バネが巻かれて保持され、
    前記円筒部と前記固定子との間の燃料流路よりも前記突出部の外周部と前記可動子の前記内周部との間の前記流路面積が小さいことを特徴とする高圧燃料供給ポンプ。
  2. 請求項1に記載の高圧燃料供給ポンプにおいて、
    前記燃料通路は、前記可動子が前記固定子に向かって移動する場合に前記バネ空間の燃料を前記加圧室に流すように構成された燃料通路が形成されたことを特徴とする高圧燃料供給ポンプ。
  3. 請求項1に記載の高圧燃料供給ポンプにおいて、
    前記テーパ部は、前記突出部の外径が徐々に小さくなるように形成されることを特徴とする高圧燃料供給ポンプ。
  4. 請求項1に記載の高圧燃料供給ポンプにおいて、
    前記可動子の前記燃料通路よりも内周側において、前記突出部は前記可動子と係合することを特徴とする高圧燃料供給ポンプ。
  5. 請求項4に記載の高圧燃料供給ポンプにおいて、
    前記テーパ部は、前記テーパ部の前記燃料通路の側の端部が前記燃料通路の最も内周側に対応する位置になるように形成されることを特徴とする高圧燃料供給ポンプ。
  6. 請求項1に記載の高圧燃料供給ポンプにおいて、
    前記吸入弁の開弁時に、前記円筒部は、前記円筒部の端部が前記固定子の前記可動子と対向する端面と対応する位置になるように形成されることを特徴とする高圧燃料供給ポンプ。
  7. 請求項1に記載の高圧燃料供給ポンプにおいて、
    前記バネは前記円筒部に1.5周以上巻かれることを特徴とする高圧燃料供給ポンプ。
  8. 請求項1に記載の高圧燃料供給ポンプにおいて、
    前記可動子の前記燃料通路は前記可動子の移動方向において、前記固定子に形成された凹み部の内周面と重なるように形成され、
    前記円筒部の外周部は前記燃料通路の最も内周側よりもさらに内周側に位置することを特徴とする高圧燃料供給ポンプ。
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