JP6817119B2 - 緊急用シール及び密封構造 - Google Patents

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Description

本発明は、回転軸のシールであって緊急時に作動する緊急用シール及び密封構造に関する。
高圧流体を圧送するポンプや流通させる配管等を有するシステムでは、流体が機外へ漏洩するのを抑制するために、メカニカルシール等のシール装置が用いられる。シール装置は、例えば、回転する軸が挿通されるハウジングと軸との間の環状隙間を密封するよう構成される。このようなシール装置は、例えばシステムに何らかの異常が発生し軸の回転が停止し、流体の温度が過度に高温になった場合、シール装置が十分に機能しなくなり、流体が機外へ漏洩してしまう可能性がある。そこで、システム異常時においても流体が機外へ漏洩するのを抑制できるように、システムにはバックアップとしての緊急用シール(シャットダウンシールともいう)を備えることが求められる。
緊急用シールとして、システムの外部からオペレータが操作することによって作動させる構成のものが考えられる。しかしながら、システム異常時にはオペレータが現場で作業することが困難な事態になることを想定する必要がある。緊急用シールとして、例えばアクチュエータを備え、電気信号により遠隔から起動させる構成のものも考えられる。しかしながら、システム異常時には電源が確保できなくなる事態になることを想定する必要がある。電源喪失時にはアクチュエータを用いた緊急遮断シール装置は作動しない。
そこで、システム異常時に電源を要せず自動的に作動する緊急用シールが求められている。特許文献1には、システム異常時に電源を要せず自動的に作動する緊急用シールとして、熱膨張係数の異なる2部材を組み合わせた構成のものが開示されている。具体的には、図5に示すように、ハウジングとその軸孔に挿入される回転軸500との間の環状隙間を緊急時にシールする緊急用シールにおいて、熱膨張係数が比較的大きな金属で形成されたハウジングに設けられる保持部250の内周に、熱膨張係数が比較的小さな金属で形成されたシール環260が固定されており、シール環260をフランジ230の側へ付勢するコイルスプリング320が設けられる。シール環260と保持部250とは、シール環260に設けられた凸部410と保持部250に設けられた凹部390とが係合するように設けられ、通常運転時の温度ではシール環260の面290に設けられた突起310がフランジ230の面300から離間する位置でシール環260が固定される。保持部250とシール環260との間はOリング270によってシールされる。一方、システム故障等により緊急用シールが異常高温にさらされると、熱膨張係数が大きい保持部250は膨張して内径が大きくなり、保持部250の凹部390とシール環260の凸部410との係合が外れ、コイルスプリング320の付勢力によりシール環260が機内側600に押し出される。これにより、突起部310とフランジ230の面300とが接触し、シール面が形成される。その他の関連する技術として特許文献2,3に開示された技術がある。
特開2012−241724号公報 国際公開第2010/068615号 特開平2−26369号公報
特許文献1に記載の技術では、熱膨張係数が大きい材料で保持部250が形成されるが、保持部250はハウジングの一部であり、部材の大きさが大きく、全体に均一に熱が伝達するのに時間を要する。そのため保持部250とシール環260との係合が外れるほどの膨張が保持部250に生じるのに比較的長い時間がかかる。そのため、システム故障が発生してから緊急用シールが作動するまでに長い時間がかかる可能性がある。また、保持部250にシール環260を組み込むために焼き嵌めを行う必要があるが、加熱対象が保持部250で部材の大きさが大きいため、組み込みの作業に手間がかかる。また、凸部410と凹部390の係合が外れた後、シール環260がフランジ230の方向へ移動する際に、凸部410がOリング270を通過するため、シール環260の作動時にOリング270が抵抗となる。Oリング270において引っかかりが生じると突起部310とフランジ230の面300とが適切に接触せず十分なシール性能が得られない可能性がある。
本発明は、システム異常時に電源を要せず、確実にかつ早期に作動し、組み込み性が高い緊急用シールを提供することを目的とする。
本発明は、ハウジングと、前記ハウジングの軸孔に挿入され外向きフランジ部を有する回転軸と、の間の環状隙間をシステム故障時に密封する緊急用シールであって、
前記フランジ部より機内側に配置され、前記フランジ部の機内側の面との間でシール面を形成することが可能な対向面を有するシール部材と、
前記シール部材を前記フランジ部の方向へ付勢する付勢部材と、
前記シール部材を前記フランジ部から離間した位置で保持する保持部材と、
を有し、
前記保持部材には、通常温度下で前記シール部材の内径より大きい外径を有し、前記シール部材の前記対向面の一部に係合することで前記シール部材の前記フランジ部の方向への移動を規制する係合部が設けられ、
前記シール部材は、前記係合部より熱膨張係数が大きい材料で形成され、
システム故障時の高温環境下で前記シール部材が熱膨張により拡径した場合、前記シール部材の内径は前記係合部の外径より大きくなり、
前記シール部材と前記保持部材との間の環状隙間をシールするOリングをさらに備え、
前記Oリングが設けられる軸方向の位置は、前記係合部に対し前記フランジ部とは反対側の位置であり、
前記シール部材における前記Oリングが当接する内周面は、前記シール部材が前記フランジ部の方向へ移動する際の移動方向に拡径するテーパ面を有することを特徴とする緊急用シールである。
この緊急用シールでは、通常温度下では、シール部材はフランジ部から離間した位置で保持されるため、通常温度下では緊急用シールはハウジングと回転軸との間の環状隙間をシールしない。一方、システム故障時の高温環境下においては、シール部材の熱膨張係数が係合部の熱膨張係数より大きいため、シール部材が熱膨張して拡径し、シール部材の内径が係合部の外径より大きくなる。そのため、係合部とシール部材との係合が外れ、シール部材のフランジ部の方向への移動に対する規制が解除される。これにより、シール部材は付勢部材の付勢力を受けてフランジ部の方向へ移動し、フランジ部の機内側の面とシール部材の対向面との間にシール面が形成される。従って、システムの故障時の高温環境下では、緊急用シールはハウジングと回転軸との間の環状隙間をシールする。
このようなシール部材の動作は、熱膨張を駆動力とするものであり、オペレータによる操作や電源を要しない。また、熱膨張するシール部材はハウジングの一部ではなく、部材のサイズを比較的小さくすることができるため、従来技術のようにハウジングのような大きな部材の熱膨張係数を大きくする場合と比較して、シール部材の全体に均一に熱が伝達するのに要する時間が短縮される。従って、システム故障時に緊急用シールのシール機能が早期に発揮される。これにより、システム故障時においても機内側の作動流体の機外への漏洩を最小限に抑えることができる。また、シール部材と保持部材との組み込みを焼き嵌めによって行う場合に、シール部材のサイズを小さくすればシール部材を加熱する工程を短縮できるので、組み込みの作業性が向上する。また、システム故障時の高温環境下において、係合部とシール部材との係合が外れ、シール部材がフランジ部の方向へ移動する際に、Oリングが当接するシール部材の内周面が移動方向に拡径するテーパ面となっていることにより、Oリングがシール部材の移動に対し抵抗となることを抑制できる。これにより、Oリングにおいて引っかかりが生じることを抑制でき、係合が解除された場合にシール部材がより確実にフランジ部の方向へ移動することができる。よって、システム故障時の緊急用シールのより確実に作動が可能になる。
前記シール部材の前記対向面には環状の突起部が形成され、前記突起部と前記フランジ部の機内側の面との間に前記シール面が形成される構成としてもよい。
シール部材及び保持部材をともに金属材料で形成し、シール部材を形成する金属材料の熱膨張係数が保持部材を形成する金属材料の熱膨張係数より大きくなるようにしてもよい。これにより、シール部材を保持部材より熱膨張係数が大きい材料で形成することができる。また、シール部材を耐熱性を有するエンジニアリングプラスチックで形成し、保持部材を金属材料で形成しても良い。これによりシール部材を保持部材より熱膨張係数が大きい構成とすることができる。エンジニアリングプラスチックの耐熱性能は、システムの故障時に達することが想定される温度に応じて設定すればよい。
本発明の緊急用シールは、種々の軸封装置を有するシステムに適用可能である。例えば、加圧水型原子力発電所の一次冷却材ポンプ用軸シールに適用する場合、通常運転時の系統水(密封流体)の温度は70〜88℃であるが、電源喪失等の異常発生時に冷却機能が失われた場合、系統水の温度は300℃まで上昇する。そこで、70〜88℃の温度環境下において保持部材がシール部材のフランジ部の方向への移動を規制し、300℃の温度環境下においてシール部材が熱膨張して拡径し、保持部材によるシール部材の規制が解除されるように、シール部材及び保持部材の寸法や材料を定めるとよい。これにより、異常発生時に回転軸の回転が停止し通常の軸封装置がシール機能を失い、さらに冷却機能の喪失により系統水の温度が上昇した場合でも、緊急用シールにより系統水の外部漏洩を抑制できる。
本発明は、上記のようにハウジングと回転軸との間の環状隙間を緊急時に密封する緊急用シールとして捉えることもできるし、そのような緊急用シールを備えた密封構造として捉えることもできる。すなわち、本発明の第2の態様は、
ハウジングと、
前記ハウジングの軸孔に挿入され外向きフランジ部を有する回転軸と、
前記ハウジングと前記回転軸との間の環状隙間をシステム故障時に密封する緊急用シールと、
を有する密封構造であって、
前記緊急用シールは、
前記フランジ部より機内側に配置され、前記フランジ部の機内側の面との間でシール面を形成することが可能な対向面を有するシール部材と、
前記シール部材を前記フランジ部の方向へ付勢する付勢部材と、
前記シール部材を前記フランジ部から離間した位置で保持する保持部材と、
を有し、
前記保持部材に、通常温度下で前記シール部材の内径より大きい外径を有し、前記シール部材の前記対向面の一部に係合することで前記シール部材の前記フランジ部の方向への移動を規制する係合部が設けられ
前記シール部材は、前記係合部より熱膨張係数が大きい材料で形成され、
システム故障時の高温環境下で前記シール部材が熱膨張により拡径した場合、前記シール部材の内径は前記係合部の外径より大きくなり、
前記シール部材と前記保持部材との間の環状隙間をシールするOリングをさらに備え、
前記Oリングが設けられる軸方向の位置は、前記係合部に対し前記フランジ部とは反対側の位置であり、
前記シール部材における前記Oリングが当接する内周面は、前記シール部材が前記フランジ部の方向へ移動する際の移動方向に拡径するテーパ面を有することを特徴とする密封構造である。
本発明によれば、システム異常時に電源を要せず、確実にかつ早期に作動し、組み込み性が高い緊急用シールを提供することができる。
実施例1の緊急用シールが組み込まれるシステムの軸シール部分を示す縦断面図 実施例1の緊急用シールの通常運転時の構成を示す図 実施例1の緊急用シールの高温時の作動を示す図 実施例1の変形例の緊急用シールの通常運転時の構成を示す図 従来技術にかかる緊急用シールを説明する図
(実施例1)
本発明の実施例1を説明する。
図1は、本発明の実施例1の緊急用シールが組み込まれるシステムの軸シール部分を示す縦断面図である。このシステムは、例えば、加圧水型原子力発電所の一次冷却材ポンプ用軸シールを例示できるが、本発明が適用できるシステムはこれに限定されない。
図1において、回転軸5が圧力容器であるハウジング3の中心を鉛直方向に挿入されている。回転軸5はハウジング3内で密封される。ハウジング3の機内側6と機外側1との間に一定の圧力差を維持しながら、回転軸5がハウジング3内で回転し得るように、下部の第1シール装置7及び上部の第2シール装置8が、直列に、ハウジング3内の回転軸5の周りに設けられている。各シール装置の形式は種々のものが採用可能であるが、実施例1では、シール機能の大部分を担う第1シール装置7を非接触式とし、第2シール装置8を接触式とした。
各シール装置7,8は、回転軸5と共に回転するように取り付けられた回転側密封要素であるメイティングリング10,11と、ハウジング3側に装着された静止側密封要素であるシールリング13,14をそれぞれ有する。対をなすメイティングリング10,11とシールリング13,14とは、それぞれ、互いに対向する上向きの端面16,17と、下向きの端面19,20とを有する。また、各シール装置7,8には、EPDM等のゴム又は樹脂等から作製され複数のOリング40が装着されている。
第1シール装置7は、機内側6に最も近い位置に設けられ、メイティングリング10は、回転軸5に装着されたカラー22により機内側6から支持される。第2シール装置8は、機外側1に最も近い位置に設けられる。第2シール装置8よりさらに機外側1の位置Aにおいて、回転軸5に緊急用シール30が設けられる。
緊急用シール30は、通常の冷却系統の作動温度以下では作動せず、通常の冷却系統の作動温度より高温の状態、特に、冷却系統の故障や電源喪失等に起因する異常高温状態で作動し、回転軸5に対するシールとして機能する緊急用遮断シールである。緊急用シール30が第2シール装置8よりさらに機外側1の位置Aに設けられる場合、異常高温時に各シール装置のシール機能が失われ、最も機外側の第2シール装置8を介して機内の流体が漏洩した場合でも、緊急用シール30によって流体が機外へ漏洩することを抑制できる。
以下、実施例1では、本発明の緊急用シールを加圧水型原子力発電所の一次冷却材ポンプ用軸シールに適用した場合の温度条件を例に説明する。加圧水型原子力発電所の一次冷却材ポンプ用軸シールにおいては、通常運転時の系統水(密封流体)の温度は70〜88℃であるが、電源喪失等の異常発生時に冷却機能が失われた場合、系統水の温度は約300℃まで上昇する。そこで、以下の説明で「通常運転時」とは、システムが通常動作している場合の作動流体(密封流体)の温度に基づき、88℃(第1温度)以下であるとする。また、「高温時」とは、システムに異常が発生して回転軸5が停止した場合の機内の作動流体(密封流体)の温度に基づき、300℃(第2温度)以上であるとする。これらの温度条件の具体的な数値は一例であって、本発明の緊急用シールを適用するシステムの通常運転時の温度及び何らかの異常が発生した場合に到達し得る温度の条件に応じて、通常運転時と高温時の定義は適宜定められる。
図2は、実施例1の緊急用シール30の通常運転時の構成を示す図である。図2(A)は、通常運転時における図1のA部の拡大図であり、図2(B)は図2(A)の緊急用シール30の部分の拡大図である。図3は、実施例1の緊急用シール30の高温時の作動を示す図である。図3(A)は、システム故障時等の異常高温時における図1のA部の拡大図であり、図3(B)は図3(A)の緊急用シール30の部分の拡大図である。
緊急用シール30は、ハウジング3と、ハウジング3の軸孔に挿入され外向きフランジ部28を有する回転軸5と、の間の環状隙間をシステム故障時に密封する緊急用のシール装置である。外向きのフランジ部28は、回転軸5の外周面に設けられたスリーブ23に設けられている。
フランジ部28より機内側には、フランジ部28の機内側の面29との間でシール面を形成することが可能な対向面31を有するシール部材24が配置される。実施例1の場合、シール部材24の対向面31には、環状の突起部32が形成され、突起部32の機外側の面310とフランジ部28の機内側の面29との間にシール面が形成されるよう構成されている。
シール部材24は、機外側の第1環状部241と機内側の第2環状部242とを有し、第1環状部241の内径は第2環状部242の内径より小さい。
ハウジング3には、係合部270と、係合部270より機内側の第3環状部271と、第3環状部271より機内側の第4環状部272と、を有し、シール部材24をフランジ部28から離間した位置で保持する保持部材27が設けられる。
係合部270は、通常温度下でシール部材24の第1環状部241の内径より大きい外径を有し、第1環状部241の対向面31の一部に係合することでシール部材24のフランジ部28の方向への移動を規制する。
第3環状部271は、シール部材24の第1環状部241を軸方向に案内し、第4環状部272は、シール部材24の第2環状部242を軸方向に案内する。第3環状部271の外径は第4環状部272の外径より小さい。
第4環状部22の最も機外側の外周面には環状の段部33が設けられる。段部33の外周面と対向する位置における第2環状部242の内周面35には、機外側に向かって拡径するテーパ面34が形成される。段部33の外周面と第2環状部242の内周面35との間の環状隙間には、金属製のOリング26が配置される。これにより、シール部材24におけるOリング26が当接する内周面35は、シール部材24がフランジ部28の方向へ移動する際の移動方向に拡径するテーパ面34を有することとなる。
保持部材27とシール部材24との間の環状隙間をシールするOリング26として金属製のOリングを採用したのは、システム故障時の高温環境下でゴム製のOリングが使用できなくなる場合を想定したものである。Oリング26は金属製であるが、Oリング26と接触するシール部材24の内周面35には上記のようにテーパ面34が形成されているため、シール部材24がフランジ部28の方向へ移動する動きに対する金属製のOリング26の抵抗が軽減される。
保持部材27の第4環状部272には、シール部材24の第1環状部241の機内側の面36に対しフランジ部28の方向、すなわち機外側への付勢力を作用させる付勢部材25が設けられる。実施例1では、付勢部材25はスプリングである。
シール部材24と保持部材27とはともに金属材料で形成されるが、シール部材24を形成する金属材料の熱膨張係数は保持部材27を形成する金属材料の熱膨張係数より大きい。例えば、シール部材24の材料としてSUS316を採用し、保持部材27の材料としてSUS403やTF340を採用することでこのような構成が可能である。
実施例1の緊急用シールは、システム故障時の高温環境下においてシール部材24が拡径した場合に、シール部材24の第1環状部241の内径が保持部材27の係合部270の外径より大きくなるよう構成されていることを特徴とする。
この構成により、通常温度下では、図(B)に示すように、シール部材24の第1環状部241は係合部270によってフランジ部28の方向への移動が規制されるため、シール部材24はフランジ部28から離間した位置で保持される。従って、通常温度下では緊急用シール30はハウジング3と回転軸5との間の環状隙間をシールしない。
一方、システム故障時の高温環境下においては、シール部材24の熱膨張係数が保持部材27の係合部270の熱膨張係数より大きいため、シール部材24が熱膨張して拡径し、シール部材24の第1環状部241の内径が係合部270の外径より大きくなる。そのため、図3(B)に示すように、係合部270とシール部材24との係合が外れ、シール部材24のフランジ部28の方向への移動に対する規制が解除される。これにより、シール部材24は付勢部材25の付勢力を受けてフランジ部28の方向へ移動する。
シール部材24がフランジ部28の方向へ移動すると、フランジ部28の機内側の面29と、シール部材24の突起部32の機外側の面310との間にシール面が形成される。従って、システム故障時の高温環境下では、緊急用シール30はハウジング3と回転軸5との間の環状隙間をシールする。
(実施例1の緊急用シールの優れた点)
緊急用シール30は、通常運転時にはハウジング3と回転軸5との間の環状隙間をシールしないが、熱膨張によりハウジング3と回転軸5との間の環状隙間をシールし得るように設計されている。よって、システムの故障等に起因して異常高温になった場合に、ハウジング3と回転軸5との間の環状隙間がシールされる。緊急用シール30は、シール装置7,8うち最も機外側にあるシール装置8よりさらに機外側に設けられている。よって、システムに故障や電源喪失等の異常が発生した場合に、各シール装置7,8通常運転時より過度に高温の作動流体にさらされ、また回転軸5の回転停止により各シール装置7,8シール機能が失われたとしても、緊急用シール30のシール機能により、シール装置7,8から漏洩した流体がシールされる。よって、回転軸5のシールは維持される。
緊急用シール30は、異常発生に伴う高温時にのみシール機能を有し、通常運転時には
シール部材24とフランジ部28とが離間しているためシール機能を有しない。従って、緊急用シール30をシール装置7,8対し機外側及び機内側のいずれの位置に設けたとしても、通常運転時におけるシール装置7,8動作に影響することはない。
システム故障時の高温環境下における緊急用シール30のシール部材24の動作は、熱膨張を駆動力とするものであり、オペレータによる操作や電源を要しない。また、熱膨張するシール部材24はハウジング3の一部ではなく、部材のサイズを比較的小さくすることができるため、従来技術のようにハウジング3のような大きな部材の熱膨張係数を大きくする場合と比較して、シール部材24の全体に均一に熱が伝達するのに要する時間が短縮される。
従って、システム故障時に緊急用シール30のシール機能が早期に発揮される。これにより、システム故障時においても機内側6の作動流体の機外1への漏洩を最小限に抑えることができる。また、シール部材24と保持部材2との組み込みを焼き嵌めによって行う場合に、シール部材24のサイズを小さくすればシール部材24を加熱する工程を短縮できるので、組み込みの作業性が向上する。また、緊急用シール30は、回転軸5の軸封装置の内部に組み込まれているため、システムの組み立て工数の増加を抑制でき、また、緊急用シール30の設置するための大きなスペースを要しない。
また、シール部材24と保持部材27との間の環状隙間をシールするOリング26が設けられている軸方向の位置は、図2(B)に示すように、係合部270に対してフランジ部28とは反対側の位置である。そのため、システム故障時の高温環境下において係合部270とシール部材24との係合が外れ、シール部材24フランジ部28の方向へ移動する際に、図3(B)に示すように、Oリング26がシール部材24の移動に対し抵抗となることを抑制できる。
これにより、Oリング26において引っかかりが生じることを抑制でき、係合が解除された場合にシール部材24がより確実にフランジ部28の方向へ移動することができる。よって、システム故障時の緊急用シール30のより確実な動作が可能になる。
また、シール部材24がフランジ部28の方向へ移動を始めた後は、機内側の作動流体の圧力が図3(B)の矢印39で示す方向に作用する。従って、Oリング26は保持部材27の方向へ押し付けられる。これにより、Oリング26が作動流体の漏洩の経路となることが抑制される。
一方、シール部材24の第1環状部241の機内側の面3には、作動流体の圧力がフランジ部28の方向へ押すように作用する。これにより、シール部材24のフランジ部28の方向への移動が促進され、システム故障時の緊急用シール30による確実なシールが可能となる。
(変形例)
実施例1ではスリーブにフランジ部28が設けられる例を示したが、フランジ部28は回転軸5に設けられる構成でも良い。付勢部材25は、シール部材24に対しフランジ部28の方向への付勢力を作用させることが可能な部材であればスプリングに限定されない。例えばゴム等の弾性部材を付勢部材25として採用しても良い。
実施例1ではシール部材24に設けられた突起部32とフランジ部28との間でシール面が形成される例を示したが、フランジ部28の機内側の面29に突起部が設けられ、そのような突起部の機内側の面とシール部材24の対向面31との間でシール面が形成され
る構成でもよい。また、突起部がシール部材24の対向面31とフランジ部28の機内側の面29との両方に設けられ、両者の突起部の対向する面が接触することでシール面が形成される構成でもよい。
実施例1ではシール部材24と保持部材27とがともに金属材料で形成される例を示したが、これらの部材を形成する材料はこれに限らない。例えば、シール部材24を耐熱性を有するエンジニアリングプラスチックで形成し、保持部材27を金属材料で形成することによって、シール部材24が保持部材27より熱膨張係数が大きい構成とすることができる。この構成において、シール部材24を形成するエンジニアリングプラスチックとしては、PEEKやPBIを例示でき、保持部材27を形成する金属材料としては、SUS316やSUS403を例示できる。
実施例1では保持部材27とシール部材24との間の環状隙間をシールするOリング26として金属製のOリングを設ける例を説明したが、システム故障時の高温環境下で使用可能な耐熱性能を有するのであればゴム製のOリングを用いることもできる。ゴム製のOリングを使用可能な場合、Oリングによるシール箇所は図4に示すように、簡潔な構造とすることができる。すなわち、図4に示すように、保持部材27の第4環状部272の外周面に環状溝36を設け、環状溝36にゴム製のOリング37を設ける。シール部材24の第2環状部242の内周面38は内径が変化しない簡潔な形状とすることができる。
緊急用シールの位置は、システムに備わるシール装置の機外側又は機内側のいずれでもよい。例えば、第1シール装置7よりさらに機内側6に緊急用シールを設けた場合、異常高温時に緊急用シールが作動することで、機内の流体が緊急用シールにおいて密封されるので、各シール装置7,8流体が流入することを抑制できる。従って、たとえ各シール装置7,8シール機能が失われたとしても、機外に流体が漏洩することを抑制できる。
1:機外側
3:ハウジング
5:回転軸
6:機内側
7:第1シール装置
8:第2シール装置
10,11:メイティングリング
13,14:シールリング
16,17:上向きの端面
19,20:下向きの端面
22:カラー
23:スリーブ
241:第1環状部
242:第2環状部
25:付勢部材
26:Oリング
27:保持部材
270:係合部
271:第3環状部
272:第4環状部
28:フランジ部
29:フランジ部の機内側の面
30:緊急用シール
31:シール部材の対向面
310:突起部の機外側の面
32:突起部
33:段部
34:テーパ面
35:第2環状部の内周面
36:環状溝
37:Oリング
38:内周面

Claims (5)

  1. ハウジングと、前記ハウジングの軸孔に挿入され外向きフランジ部を有する回転軸と、の間の環状隙間をシステム故障時に密封する緊急用シールであって、
    前記フランジ部より機内側に配置され、前記フランジ部の機内側の面との間でシール面を形成することが可能な対向面を有するシール部材と、
    前記シール部材を前記フランジ部の方向へ付勢する付勢部材と、
    前記シール部材を前記フランジ部から離間した位置で保持する保持部材と、
    を有し、
    前記保持部材には、通常温度下で前記シール部材の内径より大きい外径を有し、前記シール部材の前記対向面の一部に係合することで前記シール部材の前記フランジ部の方向への移動を規制する係合部が設けられ、
    前記シール部材は、前記係合部より熱膨張係数が大きい材料で形成され、
    システム故障時の高温環境下で前記シール部材が熱膨張により拡径した場合、前記シール部材の内径は前記係合部の外径より大きくなり、
    前記シール部材と前記保持部材との間の環状隙間をシールするOリングをさらに備え、
    前記Oリングが設けられる軸方向の位置は、前記係合部に対し前記フランジ部とは反対側の位置であり、
    前記シール部材における前記Oリングが当接する内周面は、前記シール部材が前記フランジ部の方向へ移動する際の移動方向に拡径するテーパ面を有することを特徴とする緊急用シール。
  2. 前記シール部材の前記対向面には環状の突起部が形成され、前記突起部と前記フランジ部の機内側の面との間に前記シール面が形成されることを特徴とする請求項1に記載の緊急用シール。
  3. 前記シール部材及び前記保持部材はともに金属材料で形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の緊急用シール。
  4. 前記シール部材はエンジニアリングプラスチックで形成され、前記保持部材は金属材料で形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の緊急用シール。
  5. ハウジングと、
    前記ハウジングの軸孔に挿入され外向きフランジ部を有する回転軸と、
    前記ハウジングと前記回転軸との間の環状隙間をシステム故障時に密封する緊急用シールと、
    を有する密封構造であって、
    前記緊急用シールは、
    前記フランジ部より機内側に配置され、前記フランジ部の機内側の面との間でシール面を形成することが可能な対向面を有するシール部材と、
    前記シール部材を前記フランジ部の方向へ付勢する付勢部材と、
    前記シール部材を前記フランジ部から離間した位置で保持する保持部材と、
    を有し、
    前記保持部材に、通常温度下で前記シール部材の内径より大きい外径を有し、前記シール部材の前記対向面の一部に係合することで前記シール部材の前記フランジ部の方向への移動を規制する係合部が設けられ
    前記シール部材は、前記係合部より熱膨張係数が大きい材料で形成され、
    システム故障時の高温環境下で前記シール部材が熱膨張により拡径した場合、前記シール部材の内径は前記係合部の外径より大きくなり、
    前記シール部材と前記保持部材との間の環状隙間をシールするOリングをさらに備え、
    前記Oリングが設けられる軸方向の位置は、前記係合部に対し前記フランジ部とは反対側の位置であり、
    前記シール部材における前記Oリングが当接する内周面は、前記シール部材が前記フランジ部の方向へ移動する際の移動方向に拡径するテーパ面を有することを特徴とする密封構造。
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