JP6816909B1 - 避難誘導システム、避難誘導方法、および、眼鏡型ディスプレイ - Google Patents

避難誘導システム、避難誘導方法、および、眼鏡型ディスプレイ Download PDF

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Abstract

【課題】災害時における避難者の利便性を向上させ、また、避難者が周辺の現実空間の状況の把握および直感的な避難行動の実施を促すことを可能とする避難誘導システムを提供する。【解決手段】眼鏡型ディスプレイ4及び中央管理システム1を含んで構成される避難誘導システムであって、中央管理システムは、現実空間に対応した3次元モデルを管理するモデル管理手段と、災害情報を収集する収集手段と、眼鏡型ディスプレイの位置および向きを含む位置情報を取得する位置取得手段と、収集手段にて収集した災害情報、位置取得手段にて取得した位置情報および3次元モデルにて示される形状に基づいて、避難経路を導出する導出手段と、導出手段にて導出された避難経路を、眼鏡型ディスプレイにて現実空間に重畳表示させる制御手段と、を有する。【選択図】図1

Description

本願発明は、現実世界に対応した3次元モデルに基づく避難誘導システム、避難誘導方法、および、眼鏡型ディスプレイに関する。
近年、拡張現実(AR:Augmented Reality)などの技術を利用したサービスが普及してきている。その一例として、AR技術を災害時に利用するものが挙げられる。例えば、特許文献1では、携帯端末を用いて、災害時に避難経路などを現実空間に重畳表示を行わせることで、避難者をサポートする技術が開示されている。また、特許文献2では、防災情報をリアルタイムに携帯端末が受信し、画面上に表示することが記載されている。
特開2014−142758号公報 特開2011−186681号公報
上記の特許文献1では、位置情報に基づいて避難経路を携帯端末上に表示させ、避難者を誘導することが記載されているが、現実世界における形状などを考慮した避難経路を表示するものではない。また、手に保持した携帯端末を想定して情報提供を行っているため、避難時を想定した場合に、被害者の利便性が高いものではない。また、特許文献2においても、位置座標に基づいて防災情報を表示しているが、現実空間における形状を考慮した防災情報を表示するものではない。更には、避難時において避難者が視認している状況を十分に考慮した構成ではないため、避難者に直感的に避難行動を行わせるためには改良の余地があった。
本願発明は、上記課題を鑑み、従来よりも災害時における避難者の利便性を向上させ、また、避難者が周辺の現実空間の状況の把握および直感的な避難行動の実施を促すことを可能とするシステムを提供することを目的とする。
上記課題を解決するために本願発明は以下の構成を有する。すなわち、眼鏡型ディスプレイ、および管理システムを含んで構成される避難誘導システムであって、
前記管理システムは、
現実空間に対応した3次元モデルを管理するモデル管理手段と、
災害情報を収集する収集手段と、
前記眼鏡型ディスプレイの位置および向きを含む位置情報を取得する位置取得手段と、
前記収集手段にて収集した災害情報、前記位置取得手段にて取得した位置情報、および前記3次元モデルにて示される形状に基づいて、避難経路を導出する導出手段と、
前記導出手段にて導出された避難経路を、前記眼鏡型ディスプレイにて現実空間に重畳表示させる制御手段と
を有し、
前記災害情報は、災害の発生を示す発生情報を含み、
前記制御手段は、前記収集手段が前記発生情報を収集した際に、前記眼鏡型ディスプレイに対して、前記災害に対応して避難を促す旨、および、前記眼鏡型ディスプレイの装着を促す旨を報知させる
また、本願発明の別の一形態として以下の構成を有する。すなわち、眼鏡型ディスプレイ、および管理システムを含んで構成される避難誘導システムによる避難誘導方法であって、
前記管理システムにおいて、
災害情報を収集する収集工程と、
前記眼鏡型ディスプレイの位置および向きを含む位置情報を取得する位置取得工程と、
前記収集工程にて収集した災害情報、前記位置取得工程にて取得した位置情報、および現実空間に対応して生成されている3次元モデルにて示される形状に基づいて、避難経路を導出する導出工程と、
前記導出工程にて導出された避難経路を、前記眼鏡型ディスプレイにて現実空間に重畳表示させる制御工程と
を有し、
前記災害情報は、災害の発生を示す発生情報を含み、
前記制御工程において、前記収集工程にて前記発生情報を収集した際に、前記眼鏡型ディスプレイに対して、前記災害に対応して避難を促す旨、および、前記眼鏡型ディスプレイの装着を促す旨を報知させる
また、本願発明の別の一形態として以下の構成を有する。すなわち、管理システムに通信可能に接続された眼鏡型ディスプレイであって、
自装置の位置および向きを含む位置情報を取得する位置検知手段と、
前記管理システムからの指示に基づき災害の発生を報知する報知手段と、
前記災害の発生を報知した後、前記位置情報を前記管理システムに提供し、当該位置情報に対応した避難経路を取得する取得手段と、
前記避難経路を現実空間に重畳表示させる表示手段と
を有し、
前記報知手段は、前記管理システムからの指示に基づいて前記災害の発生を報知する際に、前記災害に対応して避難を促す旨、および、前記眼鏡型ディスプレイの装着を促す旨を報知し、
前記避難経路は、前記災害の情報、前記位置情報、および前記現実空間に対応して生成されている3次元モデルに基づいて導出されている。
本願発明によれば、従来よりも災害時における避難者の利便性を向上させ、また、避難者が周辺の現実空間の状況の把握および直感的な避難行動の実施を促すことが可能となる。
本願発明の一実施形態に係る避難誘導システムの全体構成の例を示す概要図。 本願発明の一実施形態に係る各装置の機能構成の例を示す図。 本願発明の一実施形態に係るデータ構成の例を示す図。 本願発明の一実施形態に係る避難時の眼鏡型ディスプレイ側での表示例を示す図。 本願発明の一実施形態に係る災害発生時の管理システム側での表示例を示す図。 本願発明の一実施形態に係る装置間の連携を説明するための図。 本願発明の一実施形態に係る避難誘導処理(眼鏡型ディスプレイ側)のフローチャート。 本願発明の一実施形態に係る避難経路導出処理(管理システム側)のフローチャート 本願発明の一実施形態に係る避難誘導処理(管理システム側)のフローチャート。 本願発明の一実施形態に係る安否登録処理(管理システム側)のフローチャート。 本願発明の一実施形態に係る安否確認処理(管理システム側)のフローチャート。 本願発明の一実施形態に係る安否情報の確認画面の例を示す図。 本願発明の第2の実施形態に係る救助要請処理のフローチャート。 本願発明の第2の実施形態に係る自動救助要請処理のフローチャート。
以下、本願発明を実施するための形態について図面などを参照して説明する。なお、以下に説明する実施形態は、本願発明を説明するための一実施形態であり、本願発明を限定して解釈されることを意図するものではなく、また、各実施形態で説明されている全ての構成が本願発明の課題を解決するために必須の構成であるとは限らない。また、各図面において、同じ構成要素については、同じ参照番号を付すことにより対応関係を示す。
<第1の実施形態>
以下、本願発明の第1の実施形態について説明を行う。
[システム構成]
図1は、本実施形態に係る避難誘導システムの全体構成の例を示す概要図である。本実施形態に避難誘導システムは、中央管理システム1、災害情報提供システム2、エッジコンピュータ3、眼鏡型ディスプレイ4、および携帯端末5を含んで構成される。各装置は、ネットワーク6を介して通信可能に接続される。ネットワーク6の通信規格や有線/無線は特に限定するものではなく、複数の通信規格が組み合わせて実現されてもよい。また、図1においては、各装置はそれぞれ1つずつが示されているが、複数の装置が含まれてよい。例えば、中央管理システム1や災害情報提供システム2は、負荷分散や障害耐性のために複数の装置から構成されてよい。また、エッジコンピュータ3は、管轄エリアの数等に応じて複数が設置されてよい。人物7は、災害時において避難を行う避難者であり、眼鏡型ディスプレイ4の利用者(装着者)であるとして説明する。人物8は、携帯端末5の利用者であり、中央管理システム1が提供するサービスを、携帯端末5を介して利用するものとして説明する。
中央管理システム1は、避難情報や災害情報を統括的に管理、制御するシステムである。災害情報提供システム2は、災害の発生時などに自発的または要求に応じて、災害の発生時などに災害情報を提供したり、ハザードマップや避難場所のエリア情報などを提供したりする。災害情報提供システム2は、例えば、行政機関や公共機関により設けられる。災害情報提供システム2は、既存のシステムを利用するものとして詳細な説明は省略するが、本実施形態に係る中央管理システム1は、適時、災害情報提供システム2から災害情報やエリア情報を取得しているものとして説明する。
エッジコンピュータ3は、所定の管轄エリア9に位置する眼鏡型ディスプレイ4に対して、災害時などに避難場所までの避難経路を導出し、提供する機能を有する。本実施形態において、管轄エリア9はエッジコンピュータ3に予め対応付けて規定されているものとする。エッジコンピュータ3の設置位置は特に限定するものではなく、例えば、街中のビルのいずれかに設置され、避難経路を導出するための基地局として機能する。エッジコンピュータ3は、適時、中央管理システム1と通信を行い、避難経路の導出に必要な各種情報を取得する。
眼鏡型ディスプレイ4は、拡張現実(AR:Augmented Reality)技術による表示機能を搭載したデバイスであり、現実空間に対して所定のオブジェクトを重畳表示することで装着者に対して情報の提供を行うことができる。本実施形態において、眼鏡型ディスプレイ4は、自装置が位置する管轄エリア9に対応するエッジコンピュータ3と無線により通信可能であるものとする。図1には示していないが、眼鏡型ディスプレイ4は、ネットワーク6を介して中央管理システム1と直接通信可能な構成であってもよい。
携帯端末5は、例えば、Webブラウザ(不図示)などを用いて、中央管理システム1が提供するサービスを利用するための情報処理装置である。携帯端末5は、スマートフォンやタブレット端末などの携帯端末の他、PC(Personal Computer)などの情報処理装置であってもよい。
[機能構成]
図2は、本実施形態に係る各装置の機能構成の例を示す図である。なお、上述したように、災害情報提供システム2は既存のシステムを利用するものとして、ここでの構成に関する詳細な説明は省略する。また、携帯端末5についても、例えば、Webブラウザ(不図示)などからネットワーク6を介して中央管理システム1にアクセスするための機能を有していればよく、ここでの詳細な説明は省略する。
図2(a)は、本実施形態に係る中央管理システム1の機能構成の例を示す図である。中央管理システム1は、不図示の処理部、記憶部、および入出力部を備えた情報処理装置として構成される。処理部は例えば、CPU(Central Processing Unit)や専用回路などから構成されてよい。記憶部は、ROM(Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性の記憶装置や、RAM(Random Access Memory)などの揮発性の記憶領域などから構成されてよい。入出力部は、ネットワークインターフェース(NIC)や、ディスプレイなどが含まれてよい。以下に示す各部位は、例えば、記憶部に格納されたプログラムを処理部が読み出して実行することにより実現されてよい。
災害情報収集部101は、災害情報提供システム2から提供される災害情報を収集する。ここでの収集は、定期的に災害情報提供システム2に要求を行い、災害情報を取得するような構成であってもよいし、災害発生時などに災害情報提供システム2から送信されてくる災害情報を取得するような構成であってもよい。災害情報の例については、図3を用いて後述する。エリア情報収集部102は、災害情報提供システム2から提供されるエリア情報を収集する。ここでの収集は、定期的に災害情報提供システム2に要求を行い、エリア情報を取得するような構成であってもよいし、平時や災害発生時などに災害情報提供システム2から送信されてくるエリア情報を取得するような構成であってもよい。なお、本実施形態では、災害情報とエリア情報はいずれも災害情報提供システム2が提供する構成として説明するが、それぞれが異なるシステムから提供されるような構成であってもよい。
避難情報収集部103は、エッジコンピュータ3を介して、もしくは、眼鏡型ディスプレイ4から直接、避難状況に関する情報(以下、避難情報)を収集する。避難情報の例については、図3を用いて後述する。安否情報抽出部104は、避難情報収集部103にて収集した避難情報に基づいて、安否情報の抽出や特定などを行う。情報管理部105は、各収集部で収集された災害情報、エリア情報、避難情報や、安否情報抽出部104にて抽出された安否情報を、記憶部(不図示)に構成されたDBに登録して管理する。
3次元モデル生成部106は、災害情報収集部101、エリア情報収集部102、もしくは、別途収集された地図情報や画像情報、点群データに基づいて、3次元モデルを生成する。3次元モデルの生成タイミングは特に限定するものではないが、災害の発生前に予め生成されているものとする。3次元モデルは、街区の構成の他、建築物内部の構成を含んでよい。また、3次元モデルの生成方法は公知の方法を用いてよく、特に限定するものではない。
3次元モデル管理部107は、3次元モデル生成部106にて生成された3次元モデルを管理する。ここでは、3次元モデルに対応する現実空間の位置や時間などを関連付けて管理してよい。また、3次元モデル管理部107は、過去に生成した3次元モデル間の比較や、収集した各種データ間の比較などにより、現実空間の対象物の形状の変化を検出する。この時、変化情報として、時間の経過に伴う対象物の変化量や変化の向き、変化の傾向などが検出されてよい。
通信制御部108は、外部装置との通信を制御する。例えば、通信制御部108は、他の部位からの指示に基づき、災害情報提供システム2に対して災害情報の要求を行ったり、エッジコンピュータ3に対して避難経路導出に要する各種情報を定期的に送信したりする。
図2(b)は、本実施形態に係るエッジコンピュータ3の機能構成の例を示す図である。エッジコンピュータ3は、不図示の処理部、記憶部、および入出力部を備えた情報処理装置として構成される。処理部は例えば、CPU(Central Processing Unit)や専用回路などから構成されてよい。記憶部は、ROM(Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性の記憶装置や、RAM(Random Access Memory)などの揮発性の記憶領域などから構成されてよい。入出力部は、無線通信を実現可能な通信部やネットワークインターフェース(NIC)などが含まれてよい。以下に示す各部位は、例えば、記憶部に格納されたプログラムを処理部が読み出して実行することにより実現されてよい。
エリア情報取得部301は、自装置が管轄する管轄エリア9に関するエリア情報を中央管理システム1から取得する。例えば、中央管理システム1が生成して管理している3次元モデルのうち、管轄エリア9に含まれる範囲の3次元モデルを取得してよい。また、管轄エリア9に含まれる避難場所の情報や、ハザードマップ等に基づいた災害発生時の危険エリアの情報が取得されてもよい。災害情報取得部302は、災害発生時などに中央管理システム1から発生した災害に関する災害情報を取得する。情報管理部303は、エリア情報取得部301や災害情報取得部302にて取得した各種情報を記憶部(不図示)にて管理する。
避難経路導出部304は、災害発生時において、眼鏡型ディスプレイ4(人物7)の現在位置に基づき、避難場所までの避難経路を導出する。避難経路の導出処理については、図面を用いて後述する。避難制御部305は、避難経路導出部304にて導出した避難経路等に基づいて、眼鏡型ディスプレイ4の利用者(人物7)に対して避難の誘導等を行うように、眼鏡型ディスプレイ4を制御する。通信制御部306は、外部装置(例えば、眼鏡型ディスプレイ4や中央管理システム1)との通信を制御する。
図2(c)は、本実施形態に係る眼鏡型ディスプレイ4の機能構成の例を示す図である。眼鏡型ディスプレイ4は、不図示の処理部、記憶部、および入出力部を備えた情報処理装置として構成される。処理部は例えば、CPU(Central Processing Unit)や専用回路などから構成されてよい。記憶部は、ROM(Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性の記憶装置や、RAM(Random Access Memory)などの揮発性の記憶領域などから構成されてよい。入出力部は、無線通信を実現可能な通信部やネットワークインターフェース(NIC)、カメラなどが含まれてよい。以下に示す各部位は、例えば、記憶部に格納されたプログラムを処理部が読み出して実行することにより実現されてよい。なお、眼鏡型ディスプレイ4は、グラス部(不図示)に映像(オブジェクト)を投影する透過型であってもよいし、装着者の網膜に映像(オブジェクト)を投影する網膜投影型であってもよい。
撮像部401は、カメラ(不図示)を含んで構成され、眼鏡型ディスプレイ4の周辺における現実空間の撮影を行う。撮影範囲は、眼鏡型ディスプレイ4の装着者(ここでは、人物7)の視野範囲を少なくとも含むことが望ましい。表示部402は、眼鏡型ディスプレイ4の装着者の視野範囲を覆うように構成されたグラス部(不図示)を含んで構成される。また、表示部402は、エッジコンピュータ3から提供される避難経路情報などを、装着者の視野範囲において、現実空間に重畳して表示させる機能を有する。
位置検出部403は、自装置の位置を検出する部位である。例えば、GPS(Global Positioning System)などの測位衛星を利用する全世界測位システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を用いることができる。このとき、複数の測位衛星が用いられてよい。位置検出部403は、受信した信号(電波)には衛星からの送信時刻が含まれており、この送信時間と受信時間から得られる電波の伝搬時間と、電波の速度とを用いて、自装置の位置を検出する。自装置の位置としては、緯度、経度、および標高などが該当する。センサー部404は、加速度センサー、ジャイロセンサー、地磁気センサー等により、装着者の顔の向きを検出する。なお、センサー部404にて検出可能な情報は上記に限定するものではなく、他の情報を取得するためのセンサーを更に含めてもよい。
表示制御部405は、表示部402にて表示させる内容(例えば、オブジェクト)を制御する。なお、本実施形態にて用いられる、オブジェクトを現実空間に重畳表示させる手法は、公知のAR技術に基づく手法を用いてよく、ここでの詳細な説明は省略する。音声入力部406は、マイク(不図示)を含んで構成され、装着者の発話や周辺環境における音を入力として取得する。報知部407は、スピーカー(不図示)を含んで構成され、装着者に対して各種情報を音声にて報知する。例えば、報知部407は、エッジコンピュータ3からの指示に基づき、災害が発生した旨を報知したりする。通信制御部408は、外部装置(例えば、エッジコンピュータ3や中央管理システム1)との通信を制御する。
[3次元モデル]
本実施形態では、現実世界の建築物や地物を3次元形状にてデジタル化して再現した3次元モデルを利用する。3次元モデルは、任意の手法により生成、管理され、適時取得された画像データや点群データを用いて現実空間の形状に合わせて更新される。3次元モデルは、中央管理システム1側の出力装置(不図示)などを介して、表示や確認が可能である。また、3次元モデルは、中央管理システム1側の入力装置(不図示)を介して、表示内容の変更や修正が可能であってもよい。ここでは、画像データから得られる点群データを用いた3次元モデルの生成方法の一例について説明する。
3次元モデルを作成する際に、同一対象物を含む可能性のある複数枚の撮影画像を収集し、各撮影画像の特徴点の候補を、特徴量計算関数を用いて検出する。この関数としては、Harris、AKAZE、またはORB(Oriented FAST and Rotated BRIEF)などを利用することができる。次に、検出した特徴点の候補の特徴量の値が予め設定された閾値を越えた場合にその候補を特徴点とする(特徴点抽出)。
各画像にて検出された特徴点が同一対象物に起因している場合には、それらの特徴点は点群データ間で対応している。そこで、画像間における特徴点の対応付けを行う(特徴点マッチング)。特徴点マッチングができた特徴点は同一対象物のある箇所を示しているため、その対象物の3次元座標を、測定結果に含まれる各種情報に基づいて算出する。ここでの情報としては、検出手段の向きや位置情報などが挙げられる。このようにして算出した複数の3次元座標点が3次元点群を形成することとなる。
3次元点群は、単なる3次元座標点の集まりであるため、これを人が視認しやすいように、3次元モデルに変換する。その場合には、画像の近傍3点の特徴点で囲まれる領域を、その特徴点の3点で形成された3次元座標の3点に張り付ける(テキスチャーマッピング)。これにより三角ポリゴン面で構成された3次元モデルが形成できる。なお、現実空間の物体を測定する測定装置(不図示)が点群データを取得可能な構成である場合には、その点群データを用いて、同様に3次元モデルを生成することも可能である。
[データ構成]
以下、本実施形態に係る各種データ(情報)の種類およびその構成例について説明する。なお、各種データの用途の詳細については、後述するフローチャートなどと併せて説明する。なお、以下に示す各種情報の名称や分類は便宜上のものであり、これに限定するものではない。
(災害情報)
本実施形態に係る災害情報は、災害情報提供システム2から中央管理システム1に適時提供される。災害情報としては、例えば、災害が発生した場合に、災害の種別、発生位置や被害状況、今後の予測などが含まれる。更には、災害発生に伴って変化する街の状況などに関する各種情報(画像など)が含まれてもよい。
(エリア情報)
本実施形態に係るエリア情報は、災害情報提供システム2から中央管理システム1に適時提供される。エリア情報としては、例えば、各エリアにおけるハザードマップや避難場所の情報(収容人数や対応可能災害など)などが含まれる。更には、災害時において刻々と変化する避難場所の稼働状況や避難人数などがエリア情報に含まれてよい。
(避難情報)
本実施形態に係る避難情報は、災害が発生したことに伴う、眼鏡型ディスプレイ4の位置情報や、眼鏡型ディスプレイ4から入力される音声情報が含まれる。避難情報は、中央管理システム1やエッジコンピュータ3が眼鏡型ディスプレイ4から適時取得するものとする。
(安否情報)
本実施形態に係る安否情報は、災害時において眼鏡型ディスプレイ4の利用者(装着者)の安否を示す情報である。安否情報は、眼鏡型ディスプレイ4から取得される音声情報や、位置情報に基づいて抽出される。
(避難経路情報)
本実施形態に係る避難経路情報は、災害時において眼鏡型ディスプレイ4の利用者(装着者)に対して提示される避難経路を含む情報である。避難経路情報には、更に、避難を促すために、眼鏡型ディスプレイ4にて表示されるオブジェクトに関する情報が含まれてよい。
(管理テーブル)
図3は、中央管理システム1にて管理されるデータベース(DB)のテーブル構成例を示す図である。なお、後述する各種識別情報(ID)の仕様(桁数や使用文字など)は一例であり、これに限定するものではない。また、各DBを構成する項目についても一例であり、必要に応じて増減してよい。また、後述する各DBを複数のDBに分けて構成してもよいし、いくつかをまとめて1つのDBとして構成してもよい。
図3(a)は、眼鏡型ディスプレイ4のユーザ(例えば、人物7)の情報を管理するためのユーザ管理テーブルの構成例を示す。ユーザ管理テーブルは、デバイスID、ユーザID、名前、住所、年齢、性別、職業、家族、個人情報開示可否、安否、現在位置、避難場所ID、管轄エリア、および移動履歴の項目を含んで構成される。デバイスIDは、眼鏡型ディスプレイ4を一意に識別するための識別情報である。ユーザIDは、眼鏡型ディスプレイ4のユーザを一意に識別するための識別情報である。名前、住所、年齢、性別、職業、および家族はそれぞれ、ユーザに関する個人情報である。なお、個人情報の一部または全部は、予め登録されていてもよいし、後述する処理により避難時に登録されてもよい。個人情報開示可否は、避難時などにおいて個人情報の開示の可否に関する項目である。本項目において、「可」の場合は、避難を行った際に個人情報を公開することを許可することを示す。「不可」の場合は、避難を行った際に個人情報を公開することを許可しないことを示す。なお、個人情報開示可否の設定は、個人情報の項目ごとに行われてもよい。安否は、ユーザの安否に関する情報である。現在位置は、眼鏡型ディスプレイ4の現在位置を示す。避難場所IDは、眼鏡型ディスプレイ4の装着者が災害の発生に伴って避難を行った際の避難場所のIDを示す。管轄エリアIDは、眼鏡型ディスプレイ4の現在位置に対応した管轄エリアのIDを示す。移動履歴は、眼鏡型ディスプレイ4の移動履歴を示す。ここでの移動履歴は、災害発生後の移動履歴であってもよいし、平時の移動履歴を含めてもよい。
図3(b)は、避難場所の情報を管理するための避難場所管理テーブルの構成例を示す。避難場所管理テーブルは、避難場所ID、位置、名前、収容人数、管轄エリアID、避難人数、稼働状況、および対応可能災害の項目を含んで構成される。避難場所IDは、避難場所を一意に識別するための識別情報である。位置は、避難場所の所在地(位置座標)を示す。名前は、避難場所の名称を示す。収容人数は、災害等に対応して収容可能な人数を示す。管轄エリアIDは、避難場所を管轄するエリアのIDを示す。避難人数は、現時点において避難している人数を示す。稼働状況は、現時点における避難場所の稼働状況を示す。避難人数や稼働状況は災害発生時の状況に応じて、災害情報やエリア情報により適時変化することとなる。対応可能災害は、避難場所として機能できる場合の災害の種類を示す。例えば、避難場所ID「EID00001」の避難場所は、洪水が発生した際に避難場所として機能できることを示す。
図3(c)は、管轄エリアの情報を管理するための管轄エリア管理テーブルの構成例を示す。管轄エリア管理テーブルは、管轄エリアID、エッジID、エッジ位置、およびエリア名称の項目を含んで構成される。管轄エリアIDは、管轄エリアを一意に識別するための識別情報である。エッジIDは、管轄エリアに対応するエッジコンピュータを一意に識別するための識別情報である。エッジ位置は、対応するエッジコンピュータの設置位置(位置座標)を示す。エリア名称は、管轄エリアの名称を示す。なお、上記の例では、説明を簡単にするため、管轄エリア9とエッジコンピュータ3とが1対1の関係となるように示したが、この構成に限定するものではない。例えば、1の管轄エリアを複数のエッジコンピュータ3にて対応してもよいし、その逆であってもよい。
[表示例]
(眼鏡型ディスプレイ)
図4は、本実施形態に係る眼鏡型ディスプレイ4において、災害発生時の避難経路を現実空間に重畳して表示させた際の例を示す図である。図4(a)は、眼鏡型ディスプレイ4を介してユーザが現実空間(室内)を視認している状況の例を示す。枠41は、眼鏡型ディスプレイ4の視野範囲のうち、オブジェクトを重畳表示可能な領域を示す。本例では、現実空間において非常口である出口に向けて避難経路を示すオブジェクト42を重畳表示している。また、表示されているオブジェクト42を補助するための情報がオブジェクト43として表示されている。図4(b)は、眼鏡型ディスプレイ4を介してユーザが現実空間(屋外)を視認している状況の例を示す。枠44は、眼鏡型ディスプレイ4の視野範囲のうち、オブジェクトを重畳表示可能な領域を示す。本例では、現実空間において避難場所がある方向に向けて、移動可能な道路に沿って避難経路を示すオブジェクト45を重畳表示している。眼鏡型ディスプレイ4の装着者の顔の向きが変化することに伴って、視野範囲に含まれる現実空間も変化するため、この変化に伴って表示されるオブジェクトも変化する。
(中央管理システム)
図5は、本実施形態に係る中央管理システム1側において、災害発生時の3次元モデルの表示例を示す図である。本画面は、中央管理システム1が備える表示手段(不図示)などにより表示されてよい。画面500上において、管理されている3次元モデルが表示される。更に、災害の内容に応じて、浸水領域や危険領域を示すオブジェクト501が画面上に重畳表示される。また、各避難場所に対応した位置において、その避難場所を示すアイコン502が選択可能に表示される。ここでは、5つの避難場所(「避難場所A」〜「避難場所E」)それぞれを示すアイコン502が表示されている。アイコン502が選択された場合、その避難場所に関する避難状況の情報が表示される。例えば、「避難場所C」のアイコン502が選択された場合、対応する避難状況を示す画面503が表示される。本例においては、画面503にて、避難場所の名称、避難人数、および避難者を示す避難者ID(図3のユーザIDに対応)のリスト504が表示される。リスト504において、いずれかの避難者IDを選択した場合、その避難者IDに対応するユーザの詳細情報を示す画面505が表示される。本例においては、画面503のリスト504において避難者ID「UID010111」が選択された際に、画面505において、避難者ID「UID010111」に対応する避難者の名前、年齢、住所、職業、および家族構成が表示されている。
なお、画面505にて表示される情報は、個人情報であるため、図3(a)にて示したユーザ管理テーブルの個人情報開示可否の設定に基づいて表示が制御されてよい。また、画面503や画面505に表示される項目は上記に限定するものではなく、他の項目が含まれてもよい。また、画面500上において表示される3次元モデルは操作に応じて視点や拡大・縮小が切り替えられてよい。また、災害に応じて表示するオブジェクト501も切り替え可能に構成されてよい。更には、避難途中の眼鏡型ディスプレイ4の位置を3次元モデル上に表示してもよい。
[装置の機能および連携]
図6は、本実施形態に係る各装置の機能および装置間の連携を説明するための概略図である。災害情報提供システム2は、中央管理システム1に対して災害情報やエリア情報の提供を行う。災害情報やエリア情報の提供タイミングは特に限定するものでは無いが、少なくとも避難を要する災害が発生した場合などの緊急時には、その災害に関する災害情報が中央管理システム1に対して提供される。
中央管理システム1は、3次元モデルの生成及び更新を行う。また、中央管理システム1は、災害情報提供システム2から取得した災害情報やエリア情報の管理を行う。また、中央管理システム1は、エッジコンピュータ3に対して、そのエッジコンピュータ3の管轄エリアに対応する災害情報およびエリア情報を提供する。また、中央管理システム1は、眼鏡型ディスプレイ4から提供される避難情報を収集し、その避難情報から安否情報を抽出した上で管理する。また、中央管理システム1は、要求に応じて携帯端末5に安否情報を提供する。エッジコンピュータ3は、災害発生時において、眼鏡型ディスプレイ4の位置と各種情報とに基づき、眼鏡型ディスプレイ4それぞれに応じた避難経路を導出し、眼鏡型ディスプレイ4に提供する。避難経路の導出に要する眼鏡型ディスプレイ4の位置情報は、エッジコンピュータ3に適時提供される。眼鏡型ディスプレイ4は、災害発生時にエッジコンピュータ3から提供された避難経路情報を用いて、利用者に対する避難誘導を行う。また、眼鏡型ディスプレイ4は、位置情報や音声情報を含む避難情報を中央管理システム1に提供することで、中央管理システム1に安否情報を登録させる。
[処理フロー]
(避難誘導処理:眼鏡型ディスプレイ側)
図7は、本実施形態に係る眼鏡型ディスプレイ4における避難誘導処理のフローチャートである。以下に示す処理は、例えば、眼鏡型ディスプレイ4が備えるCPU(不図示)が記憶装置に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。ここでは説明を簡略化するため、中央管理システム1またはエッジコンピュータ3のいずれかが処理主体となる場合には、「管理システム」としてまとめて記載する場合がある。
S701にて、眼鏡型ディスプレイ4は、管理システム側の指示に基づき、災害発生の報知および避難指示を行う。本実施形態において、眼鏡型ディスプレイ4は管理システムに登録されており、定期的に通信を行うことでその死活状態が管理システムによって確認されているものとする。また、ここでの眼鏡型ディスプレイ4による報知方法は特に限定するものでは無いが、例えば、眼鏡型ディスプレイ4が備えるスピーカー(不図示)を用いて音声による報知を行ってよい。また、発生した災害の概略を併せて報知してもよい。このとき、眼鏡型ディスプレイ4は、自装置を装着の上、避難するように利用者(ここでは、人物7)に促す。
S702にて、眼鏡型ディスプレイ4は、利用者(例えば、人物7)に自装置が装着されたか否かを判定する。ここでの判定は、例えば、センサ(不図示)による検知結果により判定してよい。眼鏡型ディスプレイ4が装着された場合(S702にてYES)、眼鏡型ディスプレイ4の処理はS703へ進む。一方、眼鏡型ディスプレイ4が未装着である場合は(S702にてNO)S701へ戻り、報知及び避難指示を繰り返す。なお、一定回数報知した場合や報知を開始してから一定時間が経過した場合において、未装着である際には、報知を中断する構成であってもよい。
S703にて、眼鏡型ディスプレイ4は、各種センサーにより自装置の位置情報を取得する。このとき、位置情報には、現在位置の他、眼鏡型ディスプレイ4の向きの情報が含まれてよい。
S704にて、眼鏡型ディスプレイ4は、S703にて取得した位置情報を管理システム側に送信する。
S705にて、眼鏡型ディスプレイ4は、送信した位置情報に対応する避難経路を含む避難経路情報を取得する。
S706にて、眼鏡型ディスプレイ4は、S705にて取得した避難経路情報に基づき、現実空間に所定のオブジェクトを重畳表示させる。例えば、図4にて示したような表示が行われる。避難経路情報には、眼鏡型ディスプレイ4が位置するエリアにおける災害情報も含まれてよく、その場合には、眼鏡型ディスプレイ4は、災害情報を併せて利用者に報知する。ここでの災害情報の報知方法は特に限定するものではないが、例えば、音声にて聴覚的に報知してもよいし、画面上にて視覚的に表示してもよい。
S707にて、眼鏡型ディスプレイ4は、各種センサーにより自装置の位置情報を取得する。このとき、位置情報には、現在位置の他、眼鏡型ディスプレイ4の向きの情報が含まれてよい。
S708にて、眼鏡型ディスプレイ4は、S707にて取得した位置情報により、位置や向きの変化に応じて重畳表示させる内容を更新する。
S709にて、眼鏡型ディスプレイ4は、S707にて取得した位置情報を管理システム側に送信する。
S710にて、眼鏡型ディスプレイ4は、S709にて送信した位置情報に応答して、更新された避難経路情報が取得されたか否かを判定する。例えば、災害時には刻々と状況が変化していることが想定される。そのため、これ以前に設定されていた避難場所が閉鎖され、避難できない状況となった場合には、管理システム側で新たな避難場所が設定され、避難経路が更新されることとなる。そのほか、すでに取得している避難経路とは異なる経路へ眼鏡型ディスプレイ4(すなわち、人物7)が移動した場合、避難場所への避難経路を更新する必要が生じる。そのような場合にも、新たな避難経路情報が取得されることとなる。避難経路が更新された場合(S710にてYES)、眼鏡型ディスプレイ4の処理はS711へ進む。一方、避難経路が更新されていない場合(S710にてNO)、眼鏡型ディスプレイ4の処理はS712へ進む。
S711にて、眼鏡型ディスプレイ4は、新たな避難経路(および、避難場所)となったことを、眼鏡型ディスプレイのユーザ(すなわち、人物7)に報知する。ここでの報知方法は特に限定するものではないが、例えば、音声にて聴覚的に報知してもよいし、画面上にて視覚的に表示してもよい。そして、S706へ戻り、以降の処理を繰り返す。
S712にて、眼鏡型ディスプレイ4は、自装置(すなわち、人物7)が、避難経路にて示される避難場所に到着したか否かを判定する。ここでの判定は、自装置の位置情報に基づいて判定してよい。避難場所に到着した場合(S712にてYES)、眼鏡型ディスプレイ4は、本処理フローを終了する。一方、避難場所に到着していない場合(S712にてNO)、S707へ戻り、以降の処理を繰り返す。
(避難誘導処理:管理システム側)
図8は、本実施形態に係る管理システム(中央管理システム1またはエッジコンピュータ3)における避難誘導処理のフローチャートである。以下に示す処理は、例えば、中央管理システム1やエッジコンピュータ3が備えるCPU(不図示)が記憶装置に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。本処理が行われる際には、中央管理システム1は、災害情報提供システム2から災害情報を適時収集しているものとする。
S801にて、中央管理システム1は、収集した災害情報(災害の規模や種類など)に基づき、避難を要する災害が発生したか否かを判定する。ここでの判定は、管轄エリアごとに行われてよい。避難を要する災害が発生した場合(S801にてYES)、中央管理システム1の処理はS802へ進む。一方、災害が発生していない場合(S801にてNO)、S801の判定を繰り返して継続する。
S802にて、中央管理システム1は、災害が発生した管轄エリアに対応するエッジコンピュータ3を介して、そのエリアに位置する眼鏡型ディスプレイ4に対して、災害の発生および避難を促す旨を通知するように制御する。このとき、エッジコンピュータ3を介さずに直接、中央管理システム1が眼鏡型ディスプレイ4に対して通知を行わせる制御を行ってもよい。この処理により、眼鏡型ディスプレイ4側では、図7のS701の処理が行われることとなる。
S803にて、中央管理システム1は、エッジコンピュータ3を介して、または直接、眼鏡型ディスプレイ4から位置情報を取得する。
S804にて、中央管理システム1は、S803にて取得した位置情報に基づき、管理している3次元モデルに眼鏡型ディスプレイ4の位置を反映させる。更に、中央管理システム1は、図5にて示したように、反映後の3次元モデルを中央管理システム1が備える表示部(不図示)に表示させる。
S805にて、エッジコンピュータ3は、管轄エリアに位置する眼鏡型ディスプレイ4の現在位置、避難場所の位置、および3次元モデルにて示される形状に基づいて、避難経路を導出する。災害により建築物や道路の形状などが変化したり、避難に伴う混雑具合などが変化したりすることが想定される。そのため、本実施形態では、これらの情報を3次元モデルに反映させることで、避難経路の導出の際に利用する。本処理の詳細は、図9を用いて後述する。
S806にて、エッジコンピュータ3は、S805にて導出した避難経路を含む避難経路情報を眼鏡型ディスプレイ4に提供する。そして、エッジコンピュータ3は、眼鏡型ディスプレイ4に対して、現実空間に避難経路情報を重畳表示するように指示する。このとき、避難経路情報には、対象エリアにおける災害情報も含まれてよく、この災害情報も併せて報知させる。この処理により、眼鏡型ディスプレイ4側では、図7のS705〜S706の処理が行われることとなる。
S807にて、エッジコンピュータ3は、眼鏡型ディスプレイ4の位置情報を取得する。
S808にて、エッジコンピュータ3は、S807にて取得した位置情報に基づき、眼鏡型ディスプレイ4(すなわち、人物7)が避難経路情報にて示される避難場所に到着したか否かを判定する。避難場所に到着した場合(S808にてYES)、エッジコンピュータ3は、本処理フローを終了する。避難場所に到着していない場合(S808にてNO)、エッジコンピュータ3の処理はS809へ進む。
S809にて、エッジコンピュータ3は、災害情報やエリア情報などの更新された情報を確認する。ここでは、避難場所の情報の他、新たに取得された災害情報や更新された3次元モデルの情報、避難場所の稼働状況などが参照されてよい。
S810にて、エッジコンピュータ3は、S809にて参照した災害情報に基づき、避難場所の状況が変化し、避難場所を変更する必要があるか否かを判定する。避難場所を変更する必要がある場合(S810にてYES)、エッジコンピュータ3の処理はS812へ進む。一方、避難場所の変更が必要ない場合は(S810にてNO)、エッジコンピュータ3の処理はS811へ進む。
S811にて、エッジコンピュータ3は、眼鏡型ディスプレイ4の位置が既に提供した避難経路上とは異なる場所に位置するか否かを判定する。つまり、エッジコンピュータ3は、眼鏡型ディスプレイ4が避難経路とは異なる経路を移動しているか否かを判定する。眼鏡型ディスプレイ4が避難経路とは異なる場所に位置する場合(S811にてYES)、エッジコンピュータ3の処理はS812へ進む。一方、眼鏡型ディスプレイ4が避難経路上に位置する場合は(S811にてNO)、エッジコンピュータ3の処理はS807へ戻り、以降の処理を継続する。
S812にて、エッジコンピュータ3は、管轄エリアに位置する眼鏡型ディスプレイ4の現在位置、避難場所の位置、および3次元モデルにて示される形状に基づいて、新たな避難場所に対応した避難経路を導出する。そして、S806へ戻り、以降の処理を繰り返す。本処理は、S805と同じ方法で導出されてよく、図9を用いて後述する。
(避難経路導出処理:管理システム側)
図9は、管理システム側(例えば、エッジコンピュータ3)による避難経路導出処理のフローチャートである。本処理は、図8のS805やS812の工程に対応する。
S901にて、エッジコンピュータ3は、予め設定されている避難場所の中から未処理の避難場所の1つに着目する。避難場所は、公共施設などが地域ごとに予め設定されているものとする。各避難場所に対して、優先度を設定しておき、その優先度に基づいて順に着目してもよい。
S902にて、エッジコンピュータ3は、着目している避難場所が、発生した災害の種類に基づき、適切な避難場所か否かを判定する。ここでの判定は例えば、図3(b)に示す対応可能災害の項目の値と災害情報にて示される災害の種類とに基づいて判定されてよい。また、災害の発生位置やハザードマップにて示される危険度、眼鏡型ディスプレイ4の現在位置からの距離などから判定されてもよい。避難場所が適切であると判定された場合(S902にてYES)、エッジコンピュータ3の処理はS903へ進む。一方、避難場所が適切でないと判定された場合(S902にてNO)、エッジコンピュータ3の処理はS901へ戻り、処理を繰り返す。
S903にて、エッジコンピュータ3は、着目している避難場所が、エリア情報に基づき、適切な避難場所か否かを判定する。ここでの判定は例えば、図3(b)に示す稼働状況の項目の値に基づいて判定されてよい。避難場所が適切であると判定された場合(S903にてYES)、エッジコンピュータ3の処理はS904へ進む。一方、避難場所が適切でないと判定された場合(S903にてNO)、エッジコンピュータ3の処理はS905へ戻り、処理を繰り返す。
S904にて、エッジコンピュータ3は、着目している避難場所を、誘導を行う避難場所(目的地)として決定する。そして、エッジコンピュータ3は、決定した避難場所、眼鏡型ディスプレイ4の位置、および3次元モデルに基づき、避難経路を導出する。
S905にて、エッジコンピュータ3は、S904の処理にて避難経路が導出できたか否かを判定する。例えば、災害により道路が封鎖されている場合や避難者の混雑状況により通行が困難である場合などに避難経路を導出することができないと判定してよい。この場合の封鎖状況や混雑状況などは、3次元モデルの情報を参照することで特定することが可能であるとする。避難経路が導出できた場合(S905にてYES)、本処理フローを終了し、図8のS806の工程へ進む。一方、避難経路が導出できない場合(S905にてNO)、エッジコンピュータ3の処理はS906へ進む。
S906にて、エッジコンピュータ3は、予め設定されている避難場所の全てに対して、S901以降の処理が完了したか否かを判定する。すなわち、エッジコンピュータ3は、予め設定された避難場所の全てが、発生した災害に対する避難場所として適切でないと判定されたか否かを判定する。本実施形態では、予め設定された避難場所の全てが、発生した災害に対する避難場所として適切でないと判定された場合には、既存の避難場所は利用できないものとし、発生した災害に応じて避難位置を決定する。全ての避難場所に対して処理が完了した場合(S906にてYES)、エッジコンピュータ3の処理はS907へ進む。一方、未処理の避難場所がある場合(S906にてNO)、エッジコンピュータ3の処理はS901へ戻り、未処理の避難場所に対する処理を繰り返す。
S907にて、エッジコンピュータ3は、災害情報、眼鏡型ディスプレイ4の位置、および3次元モデルに基づいて、避難が可能な避難位置を導出する。例えば、眼鏡型ディスプレイ4の現在位置からの距離、災害の種類、土地や建築物の形状などに基づいて、避難位置を導出してよい。より具体的には、津波が発生した場合には、所定の高度以上の地点を避難場所として導出してもよいし、地震が発生した場合には周囲に崩壊の恐れのある高層の建築物が無い地点を避難場所としてもよい。
S908にて、エッジコンピュータ3は、S907にて導出した避難位置、眼鏡型ディスプレイ4の位置、および3次元モデルに基づき避難経路を導出する。そして、本処理フローを終了する。
続いて、図10〜図12を用いて本実施形態に係る避難者の安否に関する処理について説明する。本実施形態では、上述した避難誘導処理により避難者を避難場所に誘導した後に本処理が行われるものとして説明する。
(安否登録処理:管理システム側)
図10は、本実施形態に係る中央管理システム1における避難誘導処理のフローチャートである。以下に示す処理は、例えば、中央管理システム1が備えるCPU(不図示)が記憶装置に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。
S1001にて、中央管理システム1は、眼鏡型ディスプレイ4の位置情報に基づいて、眼鏡型ディスプレイ4の利用者(例えば、人物7)が避難場所に到着したか否かを判定する。ここでの避難場所の情報や眼鏡型ディスプレイ4の位置情報は、エッジコンピュータ3を介して取得してもよいし、眼鏡型ディスプレイ4から直接取得してもよい。避難場所に到着した場合(S1001にてYES)、中央管理システム1の処理はS1002へ進む。一方、避難場所に到着していない場合は(S1001にてNO)、中央管理システム1は、避難場所に到着するまで待機する。
S1002にて、中央管理システム1は、眼鏡型ディスプレイ4に対し、利用者(例えば、人物7)に対して安否情報の音声入力を実施することを促すように制御する。ここでの制御は例えば、眼鏡型ディスプレイ4に対して、眼鏡型ディスプレイ4が備えるスピーカー(不図示)を用いて音声により利用者に入力を促すように制御してもよい。または、図4(a)のオブジェクト43に示したように視覚的に安否情報の入力を促すような表示を行わせてもよい。なお、ここでの制御は、エッジコンピュータ3を介して行わせてもよい。このとき、音声入力をサポートするために、入力の際に所定の情報(例えば、名前や年齢、負傷の有無など)を含めるように促してもよい。
S1003にて、中央管理システム1は、S1002の制御に対応して入力された音声情報を取得する。ここでの音声情報は、エッジコンピュータ3を介して取得してもよいし、眼鏡型ディスプレイ4から直接取得してもよい。また、複数回に分けて、音声情報が取得されるような構成であってもよい。
S1004にて、中央管理システム1は、S1003にて取得した音声情報に対して音声解析を行い、安否情報を抽出する。ここでの音声解析の手法は特に限定するものではなく、公知の手法が用いられてよい。また、音声解析においては、予め登録された個人の音声情報に基づいて、眼鏡型ディスプレイ4を装着している人物の識別を行ったり、声認証を行ったりする構成であってもよい。
S1005にて、中央管理システム1は、S1004にて抽出した安否情報と避難場所の情報を、図3に示すように対応付けて登録する。そして、本処理フローを終了する。
(安否確認処理:管理システム側)
図11は、本実施形態に係る中央管理システム1における安否確認処理のフローチャートである。以下に示す処理は、例えば、中央管理システム1が備えるCPU(不図示)が記憶装置に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。
S1101にて、中央管理システム1は、携帯端末5から安否情報の確認要求を受信する。ここでの確認要求は、携帯端末5が備えるWebブラウザ(不図示)を介したWebサービスの要求として行われてもよいし、携帯端末5にインストールして利用されるアプリケーションの要求として行われてもよい。
S1102にて、中央管理システム1は、S1101にて受信した要求に応答して確認画面を携帯端末5に提供する。本実施形態に係る確認画面の例は図12を用いて後述する。
S1103にて、中央管理システム1は、確認画面を介して入力された検索条件を取得する。
S1104にて、中央管理システム1は、S1103にて取得した検索条件に基づいて、登録されている安否情報の中から該当する安否情報を検索する。
S1105にて、中央管理システム1は、S1104の検索結果を安否情報として携帯端末5の確認画面上に表示するように提供する。このとき、該当する安否情報が存在しない場合には、その旨を表示させる。そして、本処理フローを終了する。
(確認画面の例)
図12は、本実施形態に係る安否情報の確認画面1200の構成例を示す図である。確認画面1200が、安否情報を確認する際に携帯端末5にて表示される。確認画面1200は、リスト1201、条件入力エリア1203、及び検索ボタン1204を含んで構成される。条件入力エリア1203に検索条件(ここでは、文字列)を入力し、検索ボタン1204を押下することで、その検索条件に該当する安否情報がリスト1201に表示される。リスト1201には、中央管理システム1側に登録されている情報が表示される。ここでは、氏名、本人の安否、家族情報、家屋の被害、および避難場所が示されているが、登録される安否情報の内容に応じて表示される項目や内容は変動してよい。
更にリスト1201において、避難場所1202の領域を選択することで、携帯端末5の現在位置と避難場所との位置に基づいて、避難場所までの経路が表示される。ここでの経路は、例えば、中央管理システム1が、図9にて説明した避難経路導出処理と同等の手法にて導出してもよい。また、リスト1201に含まれる家屋の被害の情報は、3次元モデルを参照して推定することで特定してもよい。なお、上記では、携帯端末5の利用者(ここでは、人物8)が確認画面1200に入力した検索条件に基づいて安否情報の確認を行う例を示した。しかし、この構成に限定するものではなく、予め所定の情報(例えば、家族情報)を登録しておき、その登録した内容に対応する人物の安否情報をリスト1201に表示するような構成であってもよい。
以上、本実施形態により、従来よりも災害時における避難者の利便性を向上させ、また、避難者が周辺の現実空間の状況の把握および直感的な避難行動の実施を促すことが可能となる。
本実施形態では、所定の管轄エリア9が設定されたエッジコンピュータ3を用いて避難場所への避難経路を導出する構成を示した。しかし、この構成に限定するものではなく、エッジコンピュータ3と中央管理システム1とを一体とした管理システムが、避難時の避難経路を導出するような構成であってもよい。
また、上記の例では、安否情報を携帯端末5から確認する構成であったがこれに限定するものではない。例えば、眼鏡型ディスプレイ4の表示部(不図示)において、予め登録されていた他のユーザ(例えば、家族)の安否情報を表示するような構成であってもよい。
<第2の実施形態>
以下、本実施形態に係る第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と重複する構成については説明を省略し、差異に着目して説明を行う。
本実施形態に係る避難誘導システムは、第1の実施形態にて示した各構成に加え、以下のような機能を備えてよい。
・避難者の音声入力に基づく救助要請機能
・避難者の行動履歴に基づく自動救助要請機能
・眼鏡型ディスプレイの自動照明機能
・リアルタイムの周辺情報(画像)の取得および3次元モデルの更新機能
(救助要請機能)
避難途中において、何らかの理由により避難者が避難できない状況に陥ることが想定される。そのような場合を想定し、中央管理システム1は、眼鏡型ディスプレイ4を介した音声入力を受け付け、その内容に基づく救助要請を行う機能を設ける。なお、以下の説明では、中央管理システム1が処理を行うものとして説明するが、エッジコンピュータ3が処理を実行してもよい。
図13は、本実施形態に係る中央管理システム1における救助要請処理のフローチャートである。以下に示す処理は、例えば、中央管理システム1が備えるCPU(不図示)が記憶装置に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。本処理は、災害が発生した際に開始され、中央管理システム1にて継続的に繰り返し実行されているものとする。
S1301にて、中央管理システム1は、眼鏡型ディスプレイ4から音声情報を受信したか否かを判定する。ここでの音声情報は、エッジコンピュータ3を介して取得してもよいし、眼鏡型ディスプレイ4から直接取得してもよい。また、複数回に分けて、音声情報が取得されるような構成であってもよい。このとき、中央管理システム1は、音声情報と併せて、眼鏡型ディスプレイ4の位置情報も取得する。音声情報を取得した場合(S1301にてYES)、中央管理システム1の処理はS1302へ進む。一方、音声情報を取得していない場合は(S1301にてNO)、本処理フローを終了する。
S1302にて、中央管理システム1は、S1301にて取得した音声情報に対して音声解析を行い、要求内容を抽出する。ここでの音声解析の手法は特に限定するものではなく、公知の手法が用いられてよい。
S1303にて、中央管理システム1は、S1302にて抽出した要求内容が救助要請に相当するか否かを判定する。ここでの判定基準は特に限定するものでは無いが、例えば、所定のキーワードが含まれていた場合には救助要請であると判定してよい。救助要請であると判定した場合(S1303にてYES)、中央管理システム1の処理はS1304へ進む。一方、救助要請でないと判定した場合(S1303にてNO)、本処理フローを終了する。
S1304にて、中央管理システム1は、救助要請を所定の通知先に送信する。このとき、中央管理システム1は、救助対象者(眼鏡型ディスプレイ4)の位置情報、および、S1302にて抽出した情報のうち救助に要する情報(例えば、負傷の程度や状況)を併せて送信してよい。救助要請の通知先は予め設定されていてよく、救助対象者の位置に応じて、通知先が切り替えられてもよい。そして、本処理フローを終了する。
(自動救助要請機能)
避難途中において、何らかの理由により避難者が避難できない状況に陥り、更には、避難者自らが救助要請を行うことが困難な場合が想定される。そのような場合を想定し、中央管理システム1は、眼鏡型ディスプレイ4の移動履歴に基づいて、救助要請を自動的に行う機能を設ける。なお、以下の説明では、中央管理システム1が処理を行うものとして説明するが、エッジコンピュータ3が処理を実行してもよい。
図14は、本実施形態に係る中央管理システム1における救助要請処理のフローチャートである。以下に示す処理は、例えば、中央管理システム1が備えるCPU(不図示)が記憶装置に記憶されたプログラムを読み出して実行することにより実現される。本処理は、災害が発生した際に開始され、中央管理システム1にて継続的に繰り返し実行されているものとする。
S1401にて、中央管理システム1は、眼鏡型ディスプレイ4から位置情報を取得する。ここでの位置情報は、エッジコンピュータ3を介して取得してもよいし、眼鏡型ディスプレイ4から直接取得してもよい。このとき、中央管理システム1は、位置情報と併せて避難経路が示す避難場所の情報も併せて取得する。
S1402にて、中央管理システム1は、S1401にて取得した位置情報および避難経路にて示される避難場所の情報に基づき、避難場所に到着したか否かを判定する。避難場所に到着した場合(S1402にてYES)、本処理フローを終了する。一方、避難場所に到着していない場合(S1402にてNO)、中央管理システム1の処理はS1403へ進む。
S1403にて、中央管理システム1は、図3(a)のユーザ管理テーブルにて示されるような移動履歴を参照する。なお、眼鏡型ディスプレイ4から適時取得される位置情報が、移動履歴(すなわち、位置の変化履歴)としてユーザ管理テーブルにて管理されているものとする。ここでの移動履歴は、災害発生後の移動履歴に限定して管理されてもよい。
S1404にて、中央管理システム1は、S1401にて位置情報を取得した時点から、一定時間遡った期間までにおいて、位置の変化が所定の閾値以下か否かを判定する。ここでの閾値は予め設定されているものとする。位置の変化が所定の閾値以下である場合(S1404にてYES)、中央管理システム1の処理はS1405へ進む。一方、位置の変化が所定の閾値より大きい場合は(S1404にてNO)、本処理フローを終了する。
S1405にて、中央管理システム1は、眼鏡型ディスプレイ4に対し、利用者に対して安否確認のための音声入力を実施することを促すように制御する。ここでの制御は例えば、眼鏡型ディスプレイ4に対して、眼鏡型ディスプレイ4が備えるスピーカー(不図示)を用いて音声により利用者に入力を促すように制御してもよい。または、図4(a)のオブジェクト43に示したように視覚的に安否確認の音声入力を促すような表示を行わせてもよい。なお、ここでの制御は、エッジコンピュータ3を介して行わせてもよい。つまり、利用者が移動しないことが意図的に行われているか否かを、安否確認のための音声入力を行わせることで判定する。
S1406にて、中央管理システム1は、S1405にて入力された音声情報を音声解析することにより、安否確認ができたか否かを判定する。安否確認ができた場合(S1406にてYES)、本処理フローを終了する。一方、安否確認ができない場合(S1406にてNO)、避難者は何らかの要因により避難が困難な状態もしくは不可であるものとして、中央管理システム1の処理はS1407へ進む。
S1407にて、中央管理システム1は、救助要請を所定の通知先に送信する。このとき、中央管理システム1は、救助対象者(眼鏡型ディスプレイ4)の位置情報、および、救助に要する情報(例えば、すでに登録されている避難対象者の個人情報)を併せて送信してよい。救助要請の通知先は予め設定されていてよく、救助対象者の位置に応じて、通知先を切り替えてもよい。そして、本処理フローを終了する。
(自動照明機能)
眼鏡型ディスプレイ4は、ライトなどの照明部(不図示)および周辺の明度を検出するセンサ(不図示)を更に備えてよい。例えば、災害が夜間に発生した場合に周辺が停電により、周辺環境が暗い状況において避難を行う場合が想定される。このような状況において、周辺の明度に応じて、照明を点灯させることで、より安全な避難が可能となる。また、眼鏡型ディスプレイ4が照明機能を備えることにより、避難者の両手が塞がれることなく避難行動をとることができるため、より安全性を向上させることができる。
(画像取得機能および3次元モデル更新機能)
上述したように、眼鏡型ディスプレイ4は、カメラを含む撮像部401を備える。例えば、災害が発生した際には、建築物などが被害を受け、その形状が変化していることが想定される。このような状況において、実際にその場所にいる避難者が装着している眼鏡型ディスプレイ4の撮像部401を介して周辺画像を取得し、中央管理システム1が収集することで、最新の現実世界の状況を反映させた3次元モデルに更新することが可能となる。そして、その更新した3次元モデルを用いることで、より適切な、現状の現実空間に合わせた避難経路を導出することが可能となる。
以上、本実施形態により、第1の実施形態の効果に加え、更に、災害時における避難者の利便性を向上させることが可能となる。
<その他の実施形態>
また、本願発明において、上述した1以上の実施形態の機能を実現するためのプログラムやアプリケーションを、ネットワーク又は記憶媒体等を用いてシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1)眼鏡型ディスプレイ、および管理システムを含んで構成される避難誘導システムであって、
前記管理システムは、
現実空間に対応した3次元モデルを管理するモデル管理手段と、
災害情報を収集する収集手段と、
前記眼鏡型ディスプレイの位置および向きを含む位置情報を取得する位置取得手段と、
前記収集手段にて収集した災害情報、前記位置取得手段にて取得した位置情報、および前記3次元モデルにて示される形状に基づいて、避難経路を導出する導出手段と、
前記導出手段にて導出された避難経路を、前記眼鏡型ディスプレイにて現実空間に重畳表示させる制御手段と
を有することを特徴とする避難誘導システム。
この構成によれば、従来よりも災害時における避難者の利便性を向上させ、また、避難者が周辺の現実空間の状況の把握および直感的な避難行動の実施を促すことが可能となる。
(2)前記災害情報は、災害の発生を示す発生情報を含み、
前記制御手段は、前記収集手段が前記発生情報を収集した際に、前記眼鏡型ディスプレイに対して、前記災害に対応して避難を促す旨、および、前記眼鏡型ディスプレイの装着を促す旨を報知させる
ことを特徴とする(1)に記載の避難誘導システム。
この構成によれば、災害発生に伴い、避難者に対して眼鏡型ディスプレイの装着および避難を促し、避難者の利便性を向上させることができる。
(3)前記制御手段は、前記眼鏡型ディスプレイに対して、前記収集手段にて収集した災害情報のうち、前記眼鏡型ディスプレイの位置情報に応じた災害情報を報知させる
ことを特徴とする(1)または(2)に記載の避難誘導システム。
この構成によれば、眼鏡型ディスプレイの位置に応じた災害情報を表示させ、状況に応じた避難誘導が可能となる。
(4)前記導出手段は、前記位置情報が更新されることに応じて、前記避難経路を更新する
ことを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の避難誘導システム。
この構成によれば、眼鏡型ディスプレイの位置の変化に応じて避難経路を変更し、現在位置に応じた避難誘導が可能となる。
(5)前記導出手段は、前記眼鏡型ディスプレイの新たな位置情報が、すでに導出した避難経路上とは異なる位置を示す場合、当該新たな位置情報に応じた新たな避難経路を導出する
ことを特徴とする(4)に記載の避難誘導システム。
この構成によれば、眼鏡型ディスプレイが避難経路から外れた場合でも、その変化に応じて避難経路を変更し、現在位置に応じた避難誘導が可能となる。
(6)前記制御手段は、前記眼鏡型ディスプレイの向きの変化に応じて重畳表示させる内容を切り替えることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の避難誘導システム。
この構成によれば、眼鏡型ディスプレイの向きに応じて重畳表示の内容を切り替えることで、状況に応じた避難誘導が可能となる。
(7)前記導出手段は、前記避難経路を導出した後に、前記モデル管理手段にて管理されている3次元モデルの更新が行われた場合、当該更新された3次元モデルに基づいて新たな避難経路を導出する
ことを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の避難誘導システム。
この構成によれば、現実空間の状況を示す3次元モデルが更新された場合に、避難経路を更新することで、直近の現実空間の状況に応じた避難誘導を行うことが可能となる。
(8)前記管理システムは、避難者の安否情報を管理する安否管理手段を有し、
前記眼鏡型ディスプレイは、音声入力部を有し、
前記制御手段は、前記眼鏡型ディスプレイの新たな位置情報が、前記避難経路が示す避難場所の位置を示す場合、前記眼鏡型ディスプレイに対して、前記音声入力部を介して前記眼鏡型ディスプレイを装着している避難者の安否情報の入力を促す旨を報知させ、
前記安否管理手段は、前記音声入力部を介して入力された安否情報と、前記避難場所とを対応付けて登録する
ことを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の避難誘導システム。
この構成によれば、避難場所への避難に伴って、避難者の安否情報を適切に管理することが可能となる。
(9)前記管理システムは、
前記音声入力部を介して入力された音声に基づいて前記眼鏡型ディスプレイの利用者の識別を行う識別手段を更に有し、
前記安否管理手段は、前記識別手段にて識別された利用者と前記安否情報とを対応付けて管理する
ことを特徴とする(8)に記載の避難誘導システム。
この構成によれば、避難者の取り違えを抑制し、適切に避難状況を把握することが可能となる。
(10)前記管理システムは、
前記音声入力部を介して入力された音声に基づいて前記眼鏡型ディスプレイの利用者の避難の可否を判定する第1の判定手段と、
前記第1の判定手段により避難が不可であると判定された場合、所定の通知先に救助要請を通知する第1の通知手段と
を更に有することを特徴とする(9)に記載の避難誘導システム。
この構成によれば、避難者自身による避難行動が困難になった場合でも適切な救助を行うことが可能となる。
(11)前記導出手段にて導出した避難経路と、前記眼鏡型ディスプレイの位置の変化履歴とに基づいて、前記眼鏡型ディスプレイの利用者の避難の可否を判定する第2の判定手段と、
前記第2の判定手段により避難が不可であると判定された場合、所定の通知先に救助要請を通知する第2の通知手段と
を更に有することを特徴とする(9)または(10)に記載の避難誘導システム。
この構成によれば、避難者自身による避難行動が困難になった場合でも適切な救助を行うことが可能となる。
(12)前記管理システムは、前記モデル管理手段にて管理されている3次元モデル上に、前記眼鏡型ディスプレイの位置情報に基づくアイコンを表示する表示手段を更に有することを特徴とする(1)〜(11)のいずれかに記載の避難誘導システム。
この構成によれば、管理システム側において、現実空間に対応した3次元モデルと避難状況とを対応付けて把握することが可能となる。
(13)前記眼鏡型ディスプレイは、照明部を有し、
前記照明部は、前記避難経路に基づいて避難を行っている際に、前記眼鏡型ディスプレイの周辺の明度に応じて発光強度を調整することを特徴とする(1)〜(12)のいずれかに記載の避難誘導システム。
この構成によれば、避難時において周辺が暗い場合でも、避難者の利便性を向上させ、適切に避難誘導を行うことが可能となる。
(14)前記3次元モデルは、建築物の内部の構造、および、街区の構造を含むことを特徴とする(1)〜(13)のいずれかに記載の避難誘導システム。
この構成によれば、避難時に建築物の内部等にいる場合でも、その形状に応じて適切に避難誘導を行うことが可能となる。
(15)前記眼鏡型ディスプレイは、
撮像部と、
前記撮像部にて撮像された画像と前記位置情報とを前記管理システムに送信する送信手段と
を有し、
前記モデル管理手段は、前記眼鏡型ディスプレイから送信された画像と位置情報とを用いて、前記3次元モデルを更新することを特徴とする(1)〜(13)のいずれかに記載の避難誘導システム。
この構成によれば、災害によって発生した建築物等の変化を把握でき、その変化に応じて更新された3次元モデルに基づいて、適切に避難誘導を行うことが可能となる。
(16)眼鏡型ディスプレイ、および管理システムを含んで構成される避難誘導システムによる避難誘導方法であって、
前記管理システムにおいて、
災害情報を収集する収集工程と、
前記眼鏡型ディスプレイの位置および向きを含む位置情報を取得する位置取得工程と、
前記収集工程にて収集した災害情報、前記位置取得工程にて取得した位置情報、および現実空間に対応して生成されている3次元モデルにて示される形状に基づいて、避難経路を導出する導出工程と、
前記導出工程にて導出された避難経路を、前記眼鏡型ディスプレイにて現実空間に重畳表示させる制御工程と
を有することを特徴とする避難誘導方法。
この構成によれば、従来よりも災害時における避難者の利便性を向上させ、また、避難者が周辺の現実空間の状況の把握および直感的な避難行動の実施を促すことが可能となる。
(17)管理システムに通信可能に接続された眼鏡型ディスプレイであって、
自装置の位置および向きを含む位置情報を取得する位置検知手段と、
前記管理システムからの指示に基づき災害の発生を報知する報知手段と、
前記災害の発生を報知した後、前記位置情報を前記管理システムに提供し、当該位置情報に対応した避難経路を取得する取得手段と、
前記避難経路を現実空間に重畳表示させる表示手段と
を有し、
前記避難経路は、前記災害の情報、前記位置情報、および前記現実空間に対応して生成されている3次元モデルに基づいて導出されていることを特徴とする眼鏡型ディスプレイ。
この構成によれば、従来よりも災害時における避難者の利便性を向上させ、また、避難者が周辺の現実空間の状況の把握および直感的な避難行動の実施を促すことが可能となる。
1…中央管理システム
2…災害情報提供システム
3…エッジコンピュータ(基地局)
4…眼鏡型ディスプレイ
5…携帯端末
6…ネットワーク
7、8…人物

Claims (8)

  1. 眼鏡型ディスプレイ、および管理システムを含んで構成される避難誘導システムであって、
    前記管理システムは、
    現実空間に対応した3次元モデルを管理するモデル管理手段と、
    災害情報を収集する収集手段と、
    前記眼鏡型ディスプレイの位置および向きを含む位置情報を取得する位置取得手段と、
    前記収集手段にて収集した災害情報、前記位置取得手段にて取得した位置情報、および前記3次元モデルにて示される形状に基づいて、避難経路を導出する導出手段と、
    前記導出手段にて導出された避難経路を、前記眼鏡型ディスプレイにて現実空間に重畳表示させる制御手段と
    を有し、
    前記災害情報は、災害の発生を示す発生情報を含み、
    前記制御手段は、前記収集手段が前記発生情報を収集した際に、前記眼鏡型ディスプレイに対して、前記災害に対応して避難を促す旨、および、前記眼鏡型ディスプレイの装着を促す旨を報知させることを特徴とする避難誘導システム。
  2. 前記管理システムは、避難者の安否情報を管理する安否管理手段を有し、
    前記眼鏡型ディスプレイは、音声入力部を有し、
    前記制御手段は、前記眼鏡型ディスプレイの新たな位置情報が、前記避難経路が示す避難場所の位置を示す場合、前記眼鏡型ディスプレイに対して、前記音声入力部を介して前記眼鏡型ディスプレイを装着している避難者の安否情報の入力を促す旨を報知させ、
    前記安否管理手段は、前記音声入力部を介して入力された安否情報と、前記避難場所と
    を対応付けて登録する
    ことを特徴とする請求項に記載の避難誘導システム。
  3. 前記管理システムは、
    前記音声入力部を介して入力された音声に基づいて前記眼鏡型ディスプレイの利用者の識別を行う識別手段を更に有し、
    前記安否管理手段は、前記識別手段にて識別された利用者と前記安否情報とを対応付けて管理する
    ことを特徴とする請求項に記載の避難誘導システム。
  4. 前記管理システムは、
    前記音声入力部を介して入力された音声に基づいて前記眼鏡型ディスプレイの利用者の避難の可否を判定する第1の判定手段と、
    前記第1の判定手段により避難が不可であると判定された場合、所定の通知先に救助要請を通知する第1の通知手段と
    を更に有することを特徴とする請求項に記載の避難誘導システム。
  5. 前記導出手段にて導出した避難経路と、前記眼鏡型ディスプレイの位置の変化履歴とに基づいて、前記眼鏡型ディスプレイの利用者の避難の可否を判定する第2の判定手段と、
    前記第2の判定手段により避難が不可であると判定された場合、所定の通知先に救助要請を通知する第2の通知手段と
    を更に有することを特徴とする請求項3または4に記載の避難誘導システム。
  6. 前記眼鏡型ディスプレイは、
    撮像部と、
    前記撮像部にて撮像された画像と前記位置情報とを前記管理システムに送信する送信手段と
    を有し、
    前記モデル管理手段は、前記眼鏡型ディスプレイから送信された画像と位置情報とを用いて、前記3次元モデルを更新することを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載の避難誘導システム。
  7. 眼鏡型ディスプレイ、および管理システムを含んで構成される避難誘導システムによる避難誘導方法であって、
    前記管理システムにおいて、
    災害情報を収集する収集工程と、
    前記眼鏡型ディスプレイの位置および向きを含む位置情報を取得する位置取得工程と、
    前記収集工程にて収集した災害情報、前記位置取得工程にて取得した位置情報、および現実空間に対応して生成されている3次元モデルにて示される形状に基づいて、避難経路を導出する導出工程と、
    前記導出工程にて導出された避難経路を、前記眼鏡型ディスプレイにて現実空間に重畳表示させる制御工程と
    を有し、
    前記災害情報は、災害の発生を示す発生情報を含み、
    前記制御工程において、前記収集工程にて前記発生情報を収集した際に、前記眼鏡型ディスプレイに対して、前記災害に対応して避難を促す旨、および、前記眼鏡型ディスプレイの装着を促す旨を報知させることを特徴とする避難誘導方法。
  8. 管理システムに通信可能に接続された眼鏡型ディスプレイであって、
    自装置の位置および向きを含む位置情報を取得する位置検知手段と、
    前記管理システムからの指示に基づき災害の発生を報知する報知手段と、
    前記災害の発生を報知した後、前記位置情報を前記管理システムに提供し、当該位置情報に対応した避難経路を取得する取得手段と、
    前記避難経路を現実空間に重畳表示させる表示手段と
    を有し、
    前記報知手段は、前記管理システムからの指示に基づいて前記災害の発生を報知する際に、前記災害に対応して避難を促す旨、および、前記眼鏡型ディスプレイの装着を促す旨を報知し、
    前記避難経路は、前記災害の情報、前記位置情報、および前記現実空間に対応して生成されている3次元モデルに基づいて導出されていることを特徴とする眼鏡型ディスプレイ。
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