JP6816731B2 - 鋼製ダクトの高温酸化腐食防止方法 - Google Patents

鋼製ダクトの高温酸化腐食防止方法 Download PDF

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Description

本発明は、内面を流れる流体が高温ガスであり、高温酸化腐食環境に晒される鋼製ダクトの高温酸化腐食を防止する方法に関する。
製鉄所の製鋼工程では、高炉から出銑された溶銑を転炉に装入し、転炉内の溶銑に工業用純酸素ガスを供給して酸素吹錬し、溶銑に含有される炭素を酸化除去して、溶銑から溶鋼を溶製している。この酸素吹錬では、転炉内に供給された純酸素ガスは、溶銑中の炭素と反応し、COガスを主成分とする高温の排ガスとして排出される。COガスを主成分とする高温の排ガスは、一般的に、非燃焼式排ガス処理設備であるOG設備(Oxygen converter Gas recovery system 設備)によって未燃焼のまま回収され、ガスホルダーに一時保管され、その後、燃料用の副生ガスとして製鉄所内へ供給されている。尚、本明細書では、転炉から排出される、COガスを主成分とする高温の排ガスを「転炉ガス」と称し、一方、転炉から排出されてガスホルダーに回収された、COガスを主成分とする常温の排ガスを「LDガス」と称す。
OG設備の一例の全体図を図1に示す。OG設備1(OG設備の詳細説明は後述する)として、転炉50の直上に、下部フード2、上部フード3、第一輻射部4、第二輻射部5がこの順に設けられ、下部フード2の下端には、上下移動が可能で、転炉50の炉口50aとの間隔を調整するスカート6が設けられている。また、第二輻射部5の下流側には、湿式の一次集塵機7及び二次集塵機8が設けられており、転炉50から排出される転炉ガスは、二次集塵機8の下流側に設けられた誘引送風機11及び誘引送風機12の作動によってスカート6から吸引され、一次集塵機7などで、鉄粒やスラグ粒などからなるダストが除去された後に、ガスホルダー16に回収される、または、放散塔17で燃焼後に大気に放散されるように構成されている。
OG設備1において、転炉ガスは、一次集塵機7の下流側では集塵水によって冷却されてガス温度が低下するが、一次集塵機7に導入されるまでは、転炉ガスの温度は1000℃以上であり、1400℃以上に達する場合もある。また、転炉炉口からの輻射熱の影響もあることから、下部フード2から第二輻射部5までの範囲は、その内部を冷却水が流れる複数の鋼製の水管と鋼製のフィンとを相互に溶接し、複数の水管が並列に並んだ、全体として円筒状または角型の筒状になるように形成されたメンブレン構造の鋼製ダクトとなっている。また、転炉ガスの有する熱を回収するために、下部フード2から第二輻射部5までの範囲をボイラー構造とすることもあり、その場合も、メンブレン構造の鋼製ダクトとなっている。
転炉の操業形態はバッチ式であり、転炉ガスが発生する時期は、溶銑に向けて純酸素ガスを供給している期間であり、転炉への溶銑の装入時期及び溶製した溶鋼の転炉からの払い出しの時期は、転炉ガスは発生しない。転炉ガスが発生しない時期には、雰囲気の常温の大気がOG設備1のガス回収経路を通過する。
したがって、下部フード2から第二輻射部5までの範囲の鋼製ダクトは、酸素吹錬中の1000℃以上の高温のガスと、雰囲気の大気が通過するときの約100℃程度のガスとに交互に繰り返して接触する。つまり、下部フード2から第二輻射部5までの範囲の鋼製ダクトは、1000℃以上の高温のガスに晒され、且つ、900℃以上の温度変化による繰り返しの熱衝撃を受ける。更に、酸素吹錬時以外は、大気が高温の鋼製ダクトの内面を流れることから、鋼製ダクトの内面は、繰り返して高温酸化腐食環境に晒される。
このようなことから、OG設備1の下部フード2から第二輻射部5までの範囲の鋼製ダクトでは、従来から、ダクト本体の減肉が問題になっており、そこで、OG設備1の鋼製ダクトの減肉を防止して長寿命化を目的とする幾つかの提案がなされている。
例えば、特許文献1には、メンブレン構造の鋼製ダクトの内面に、ニッケル基合金(Cr;15質量%以下、Fe;8質量%以下、B;1〜3質量%、Si;1.5〜6質量%)を100〜2000μmの厚さに粉末式溶射法で皮膜形成し、その後、皮膜形成領域を1223〜1353Kの温度に1秒以上保持し、皮膜表面硬さをHCスケールで20以上とした保護皮膜を形成させる方法が提案されている。
また、特許文献2には、メンブレン構造の鋼製ダクトの内面に、厚みが1.0mm以上2.0mm以下であるインコネル系合金(Cr;20〜23質量%、Fe;5質量%以下、Mo;8〜10質量%、Ni;58質量%以上)の肉盛り層を形成する方法が提案されている。
特開2002−146508号公報 特開2015−137398号公報
上記のように、OG設備の鋼製ダクトは、繰り返して高温酸化腐食環境下に晒されるとともに、転炉ガスの発生時(酸素吹錬時)と非発生時(溶銑装入及び溶鋼払い出し時)との温度変化の大きい環境下に晒され、更に、製鉄所特有の多量のダスト環境下にも晒される。
そのために、特許文献1の溶射法により形成されたニッケル基合金の被膜は、当該皮膜と鋼製ダクト表面との密着強度が温度変化による鋼製ダクトの熱膨張及び収縮に追従しきれず、剥離してしまい、鋼製ダクト表面が露出し、鋼製ダクト表面の高温酸化腐食が進行するという問題があった。
また、特許文献2の肉盛りにより形成されたインコネル系合金の被膜は、溶射法によって形成されたニッケル基合金の被膜に比べて、鋼製ダクト表面との密着強度は高くなるが、耐摩耗性が低く、ダストによる被膜の損耗が激しく、鋼製ダクト表面が露出し、鋼製ダクト表面の高温酸化腐食が進行するという問題があった。インコネル系合金の被膜を厚くして摩耗性の低下を補償するという方法もあるが、この場合には、熱伝導率が低下し、水管の割れに繋がるという問題が発生する。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、内面を流れる流体が高温ガスであり、温度変化の大きい環境下で使用され、高温酸化腐食環境に晒される鋼製ダクトの高温酸化腐食を防止する方法を提供することである。
上記課題を解決するための本発明の要旨は以下のとおりである。
[1]内面を流れる流体が500℃以上の高温ガスであり、高温酸化腐食環境に晒される鋼製ダクトの高温酸化腐食防止方法であって、前記鋼製ダクトの内面に高温酸化抑制ガスを流入させ、前記鋼製ダクトの高温酸化腐食を抑制することを特徴とする、鋼製ダクトの高温酸化腐食防止方法。
[2]前記高温酸化抑制ガスにより、前記鋼製ダクトの内面温度を450℃以下に低下することを特徴とする、上記[1]に記載の鋼製ダクトの高温酸化腐食防止方法。
[3]前記高温酸化抑制ガスが、酸素ガスを含有しないガス、または、酸素ガス含有量が1.0体積%以下のガスであることを特徴とする、上記[1]または上記[2]に記載の鋼製ダクトの高温酸化腐食防止方法。
[4]前記高温酸化抑制ガスが、常温の工業用窒素ガスであることを特徴とする、上記[1]または上記[2]に記載の鋼製ダクトの高温酸化腐食防止方法。
[5]前記高温酸化抑制ガスが、製鉄所の製鋼工程の転炉で発生し、回収された常温のLDガスであることを特徴とする、上記[1]または上記[2]に記載の鋼製ダクトの高温酸化腐食防止方法。
[6]前記鋼製ダクトが、製鉄所の製鋼工程の転炉で発生する転炉ガスを回収するためのOG設備におけるメンブレン構造の鋼製ダクトであることを特徴とする、上記[1]から上記[5]のいずれかに記載の鋼製ダクトの高温酸化腐食防止方法。
[7]前記高温酸化抑制ガスの前記鋼製ダクトへの流入箇所、流入方法、流入量のいずれか1種または2種以上を制御し、前記鋼製ダクトの局所的な高温酸化腐食を抑制することを特徴とする、上記[1]から上記[6]のいずれかに記載の鋼製ダクトの高温酸化腐食防止方法。
本発明によれば、鋼製ダクトが高温酸化腐食環境に晒される期間を短縮するので、インコネル系合金の被膜などを鋼製ダクトの内面に形成しなくても、鋼製ダクトの高温酸化腐食を抑制することができる。
転炉ガスを回収するためのOG設備の一例の概略構成図である。 メンブレン構造の鋼製ダクトの一部分を示す横断面図である。 第一輻射部において、脱炭処理時に通過するガスの温度及び酸素ガス濃度を測定した結果を示す図である。 鋼製ダクトの内面に、常温の窒素ガスを吹き込んで冷却した場合と、窒素ガスを吹き込まない通常の冷却の場合とで、ガス温度を比較調査した結果を示す図である。 上部フードのAの部位から、水平方向に対して斜め45度上方の角度で窒素ガスを吹き込んだ場合を想定した流体解析結果である。
以下、本発明に係る鋼製ダクトの高温酸化腐食防止方法を、製鉄所の製鋼工程の転炉で発生する高温の転炉ガスを回収するためのOG設備におけるメンブレン構造の鋼製ダクトに適用した場合を例として、添付図面を参照して説明する。
図1は、転炉ガスを回収するためのOG設備の一例の概略構成図である。図1に示すように、転炉50の上方には、OG設備1として、下部フード2、上部フード3、第一輻射部4、第二輻射部5が、この順に設けられ、下部フード2の下端には、上下移動が可能なスカート6が設置されている。上部フード3には、転炉50の炉内へ挿入される上吹きランス(図示せず)を通すためのランス孔(図示せず)、サブランス(図示せず)を通すためのサブランス孔(図示せず)、炉内に副原料を投入するための副原料投入孔(図示せず)が設置されている。通常、下部フード2、上部フード3、第一輻射部4、第二輻射部5は、図2に示すように、その内部を冷却水が流れる複数の鋼製水管21と複数の鋼製フィン22とを相互に溶接金属23で溶接し、複数の鋼製水管21が並列に並んだ、全体として円筒状または角形の筒状になるように形成されたメンブレン構造の鋼製ダクト20となっている。また、一般的に、スカート6もメンブレン構造の鋼製ダクト20で形成されている。
第二輻射部5の下流には、一次集塵機7、二次集塵機8、エルボーセパレーター9、排ガス流量計10、誘引送風機11、誘引送風機12、サイレンサー13、三方弁14の順に設置されており、溶銑(図示せず)の酸素吹錬によって発生する転炉ガスの回収経路を構成している。
三方弁14以降のガス回収経路は2つに分岐しており、1つは、回収弁15を経てガスホルダー16に至り、ガスホルダー16で回収される経路であり、他の1つは、放散塔17に至り、放散塔17で転炉ガス中のCOガスを燃焼し、燃焼後のガスを大気に放散する経路である。
誘引送風機11及び誘引送風機12は、それぞれ電動機(図示せず)によって駆動され、これにより転炉50で発生する転炉ガスが吸引され、ガスホルダー16に回収されるか、または、放散塔17から放散される。転炉50で酸素吹錬によって溶銑を精錬する際には、スカート6が下降して炉口50aと接触または所定の間隔を保持し、回収経路に設けたバンパー(図示せず)の開度調整などによって炉内圧を大気圧よりもわずかに低くすることで、大気の巻き込みを最小限として、転炉ガスを回収するように構成されている。転炉50で酸素吹錬を行っていない時期も、誘引送風機11及び誘引送風機12は作動しており、その場合には、転炉50の周囲の雰囲気ガス(大気)が、スカート6から吸引されてガス回収経路を流れ、放散塔17から大気中に放散される。
図1は2基の誘引送風機11、12を直列に設置した例であるが、誘引送風機の設置数は2基に限るものではなく、3基以上としてもまたは1基であってもよい。また、図1における符号18は上部安全弁、符号19は下部安全弁であり、その他、OG設備1には、複数のダンパーなどが配置されるが、図1では省略している。
転炉50での酸素吹錬による溶銑の精錬としては、脱炭処理、脱燐処理、脱珪処理が行われるが、いずれの精錬もバッチ式であり、(1);転炉50への溶銑の装入、(2);酸素吹錬、(3);精錬した溶湯の転炉50からの出湯(炉内スラグの排滓を含む)の順で行われる。転炉50への溶銑の装入から転炉50からの出湯までの時間は、精錬の種類によって差があるが、通常、20〜70分の範囲である。尚、転炉50での酸素吹錬による溶銑の脱炭処理時に発生する転炉ガスは、炉口50aの部位で、COガス濃度が約90%、含塵量が約120g/Nm、温度が約1500℃の状態にあり、その発生量は300トンクラスの大型転炉では220000Nm/hrにも達する。
転炉50で脱炭処理を連続して行う場合を例として、第一輻射部4において、通過するガスの温度及び酸素ガス濃度を測定した結果を図3に示す。転炉50への溶銑の装入時は100〜200℃であったガス温度は、酸素吹錬による脱炭処理が開始されると直ちに上昇し、1000℃を超える温度に達する。また、ガス中の酸素ガス濃度は、脱炭処理が開始される前は大気と同等の21体積%であるが、脱炭処理が開始されると、直ちに0(ゼロ)体積%に降下する。一方、酸素吹錬を停止して脱炭処理が終了すると、ガス中の酸素ガス濃度は直ちに大気と同等の21体積%に上昇する。ガス温度は、脱炭処理終了後から徐々に降下し、脱炭処理終了から350秒以上経過後には、200℃以下まで降下する。
鋼材の酸素ガスによる高温酸化腐食は、鋼材の温度が450℃以上の温度範囲で起こることが知られている。下部フード2、上部フード3、第一輻射部4、第二輻射部5のメンブレン構造の鋼製ダクト20の内面温度(内面の表面温度)は、接触するガスの温度よりも低いものの、ガスの温度と同等になると考えられる。
この観点から、OG設備1の鋼製ダクト20の内面が高温酸化腐食環境に晒される期間を求めると、この期間は、ガス中の酸素ガス濃度が上昇する脱炭精錬の終了直後から、ガス温度が450℃よりも低くなる時点までの期間と考えられる。つまり、図3において、「高温酸化腐食領域」として示す、およそ120秒間の期間と考えられる。この期間のガスは、温度が450℃以上と高く、且つ、酸素ガス濃度もほぼ大気と同等で高いことから、「高温酸化腐食を発生させる高温ガス」と呼ぶことができる。尚、転炉ガスを回収している期間は、ガス温度は高いものの酸素ガス濃度が低く、鋼製ダクト20は高温による劣化は受けるものの、高温酸化腐食を起こす環境ではない。
本発明者らは、OG設備1のように、内面を流れる流体が高温ガスであり、温度変化の大きい環境下で使用され、使用中に「高温酸化腐食を発生させる高温ガス」が、内面を流れる流体として生成され、高温酸化腐食環境に晒される鋼製ダクト20の高温酸化腐食を防止するには、図3に示す「高温酸化腐食領域」を短時間にすることが有効であることを見出した。
ここで、「高温ガス」とは、鋼製ダクト20の内面が、使用中に高温酸化腐食環境に晒される期間を形成するに十分な温度を有するガスであり、高温酸化腐食環境は450℃以上で起こることから、厳密には450℃を超える温度のガスであるが、高温酸化腐食環境の期間を考慮して、本明細書では、ガス温度が500℃以上のガスを「高温ガス」と定義する。つまり、本発明では、500℃以上のガスが内面を流れる鋼製ダクト20を対象とする。したがって、鋼製ダクト20は、使用中に、その内面がおよそ400℃以上の温度変化の環境下に晒されることになる。
具体的には、鋼製ダクト20の内面に酸素ガスを含有していない高温酸化抑制ガスを流入させて、上記「高温酸化腐食を発生させる高温ガス」を、酸素ガスを含有していない高温酸化抑制ガスで置換して「高温酸化腐食領域」を短時間にすること、または、常温の高温酸化抑制ガスを流入させて、常温の高温酸化抑制ガスでガス温度を低下させ、「高温酸化腐食領域」を短時間にすることを見出した。
本発明は、上記知見に基づくものであり、本発明に係る鋼製ダクトの高温酸化腐食防止方法は、内面を流れる流体が500℃以上の高温ガスであり、使用中に「高温酸化腐食を発生させる高温ガス」が内面を流れる流体として生成され、これによって高温酸化腐食環境に晒される鋼製ダクトの高温酸化腐食防止方法であって、前記鋼製ダクトの内面に、「高温酸化腐食を発生させる高温ガス」とは異なるガス種である高温酸化抑制ガスを流入させ、前記鋼製ダクトの高温酸化腐食を抑制する方法である。
この場合に、高温酸化抑制ガスによって、鋼製ダクトの内面温度を迅速に450℃以下に低下することが好ましい。また、高温酸化抑制ガスは、酸素ガスを含有しないガス、または、酸素ガス含有量が1.0体積%以下のガスであることが好ましい。酸素ガスの含有量が1.0体積%以下のガスであれば、鋼材の高温酸化反応は遅く、高温酸化腐食を防止することができる。
この観点から、高温酸化抑制ガスとしては、常温で且つ酸素ガスを含有しないガスが最も好ましく、具体的には、常温の工業用窒素ガス、または、回収された常温のLDガスを高温酸化抑制ガスとして使用することが好ましい。ここで、常温とは、季節によって変化するが、5〜30℃程度の範囲の温度である。
高温酸化抑制ガスの吹き込み口の設置個所は、鋼製ダクト20の内表面の全体を450℃以下に冷却可能とすることができる数量を設置することが好ましい。この吹き込み口の数量は、鋼製ダクト20の大きさ、高温酸化抑制ガスの流量に応じて、吹き込み口数量を適宜設定すればよい。
転炉50のOG設備1においては、特に、上部フード3における高温酸化腐食が著しいので、高温酸化抑制ガスの流入位置は、下部フード2または上部フード3とすることが好ましい。
一方、高温酸化腐食環境に晒される範囲が局所的である場合には、高温酸化抑制ガスの鋼製ダクト20への流入箇所、流入方法、流入量のいずれか1種または2種以上を制御し、鋼製ダクト20の局所的な高温酸化腐食を抑制することもできる。
以上説明したように、本発明によれば、鋼製ダクト20が高温酸化腐食環境に晒される期間を短縮するので、インコネル系合金の被膜などを鋼製ダクト20の内面に形成しなくても、鋼製ダクト20の高温酸化腐食を抑制することが実現される。
尚、上記説明は、本発明を転炉50のOG設備1に適用した場合を例としているが、高温酸化反応が発生する環境にある鋼製ダクトであれば、本発明を適用することができ、鋼製ダクトの用途により、本発明の制限を受けることはない。
図1に示す転炉50及びOG設備1において、転炉内の溶銑を脱珪処理した後、第一輻射部4に設置した窒素ガス吹き込み口から、第一輻射部4の内面に常温の工業用窒素ガスを吹き込み、第二輻射部5でガス温度を測定する試験を実施した。
試験では、第一輻射部4に設置した4つの窒素ガス吹き込み口から、4つの窒素ガス吹き込み口の合計で21000Nm/hrの吹き込み速度で、脱珪処理の終了後、鋼製ダクト内の排ガス流量が100000Nm/hrの条件下で、排ガス温度が1000℃になった時点から1分間、鋼製ダクトの軸心方向に垂直に、25℃の窒素ガスを吹き込んだ。排ガス温度が1000℃になった時点から窒素ガスを吹き込んだ理由は、窒素ガスを吹き込まない場合との比較を容易にするためである。
図4に、常温の窒素ガスを吹き込んで冷却した場合と、窒素ガスを吹き込まない通常の冷却の場合とで、ガス温度の推移を比較調査した結果を示す。窒素ガスを吹き込まない場合には、ガス温度が1000℃になった以降も、更におよそ200秒程度は高温酸化腐食環境に晒されるが、常温の窒素ガスを吹き込んで冷却した場合には、窒素ガスの吹き込み後、およそ80秒後にはガス温度は450℃未満になっており、常温の窒素ガスを吹き込むことで、高温酸化腐食環境の期間を1/2以下に低減できることが確認できた。
鋼材の酸化反応は、450℃以上の温度であっても温度が低いほど、また、雰囲気の酸素ガス濃度が低下するほど、進行しない。上記のように、常温の工業用窒素ガスを吹き込んで鋼製ダクトの内面を冷却することで、温度から求められる高温酸化腐食環境の期間が1/2以下になるのみならず、鋼製ダクト内面が酸化反応の活発な高温域に晒される期間も短くなり、更に、雰囲気の酸素ガス濃度が低下することも相俟って、少なくとも、鋼製ダクトの高温酸化腐食量を1/2以下に軽減できることが確認できた。
また、図1に示す転炉50及びOG設備1において、常温の窒素ガスの吹き込み方法を変更して流体解析を行い、鋼製ダクト内のガス温度の分布を求めた。図5に流体解析結果を示す。
図5は、脱珪処理後、鋼製ダクト内の排ガス流量が100000Nm/hrの条件下で、上部フード3のAの部位から、水平方向に対して斜め45度上方の角度で、25℃の窒素ガスを21000Nm/hrの吹き込み速度で、脱珪処理の終了後に吹き込んだ場合を想定した流体解析結果である。尚、水平方向に対して斜め45度上方の角度は、上部フード3、第一輻射部4及び第二輻射部5で形成される鋼製ダクトの軸心方向よりも上向きである。
図1に示すOG設備1では、図中のBの部位における高温酸化腐食の進行が著しいが、窒素ガスの注入方向を制御して、図中のBの部位に向けて重点的に窒素ガスを送り込むことで、Bの部位におけるガス温度が他の部位におけるガス温度よりも大幅に低下し、Bの部位における高温酸化腐食を抑制できることがわかった。
1 OG設備
2 下部フード
3 上部フード
4 第一輻射部
5 第二輻射部
6 スカート
7 一次集塵機
8 二次集塵機
9 エルボーセパレーター
10 排ガス流量計
11 誘引送風機
12 誘引送風機
13 サイレンサー
14 三方弁
15 回収弁
16 ガスホルダー
17 放散塔
18 上部安全弁
19 下部安全弁
20 鋼製ダクト
21 鋼製水管
22 鋼製フィン
23 溶接金属
50 転炉

Claims (6)

  1. 鋼製ダクトの内面を流れる流体が500℃以上の高温ガスであり、前記高温ガスによって高温酸化腐食環境に晒される鋼製ダクトの高温酸化腐食防止方法であって、
    高温酸化抑制ガスとして、酸素ガスを含有しないガス、または、酸素ガス含有量が1.0体積%以下のガスを使用し、
    前記鋼製ダクトの前記内面に前記高温酸化抑制ガスを流入させ、前記鋼製ダクトの高温酸化腐食を抑制することを特徴とする、鋼製ダクトの高温酸化腐食防止方法。
  2. 前記高温酸化抑制ガスにより、前記鋼製ダクトの前記内面温度を450℃以下に低下することを特徴とする、請求項1に記載の鋼製ダクトの高温酸化腐食防止方法。
  3. 前記高温酸化抑制ガスが、常温の工業用窒素ガスであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の鋼製ダクトの高温酸化腐食防止方法。
  4. 前記高温酸化抑制ガスが、製鉄所の製鋼工程の転炉で発生し、回収された常温のLDガスであることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の鋼製ダクトの高温酸化腐食
    防止方法。
  5. 前記鋼製ダクトが、製鉄所の製鋼工程の転炉で発生する転炉ガスを回収するためのOG設備におけるメンブレン構造の鋼製ダクトであることを特徴とする、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の鋼製ダクトの高温酸化腐食防止方法。
  6. 前記高温酸化抑制ガスの前記鋼製ダクトへの流入箇所、流入方法、流入量のいずれか1種または2種以上を制御し、前記鋼製ダクトの局所的な高温酸化腐食を抑制することを特徴とする、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の鋼製ダクトの高温酸化腐食防止方法。
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