以下、図面に基づいて本発明の実施形態を詳細に説明する。各図において、同一符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、その構成について、既に説明している内容については、その説明を省略する。
図1は、実施形態に係るはんだこて管理システム1000の構成を示すブロック図である。はんだこて管理システム1000は、複数のはんだこて制御装置100と、複数のはんだこて200と、複数の温度測定装置300と、コンピュータ装置400と、を備える。
はんだこて200は、ハンドル部210と、カートリッジ220と、を備える。カートリッジ220は、ハンドル部210に対して取り付けおよび取り外し可能にされている。カートリッジ220の先端がこて先221である。
はんだこて200の用途は、はんだ付けに限らない。はんだこて200は、はんだ吸取器ではんだを吸い取るために、はんだを溶かすことに用いられてもよいし、基板にはんだ付けされた電子部品に対して、はんだを溶かして、電子部品を基板から取り外すことに用いられてもよい。後者の用途のはんだこて200は、ホットツイーザー(hot tweezers)と称される。
温度測定装置300は、こて先221の温度を測定する。温度測定装置300は、オペレータがこて先221の温度を管理するために用いられる。温度測定装置300の数は、はんだこて制御装置100の数より少なくてもよい。例えば、複数のはんだこて制御装置100が1つの温度測定装置300を共用してもよい。
はんだこて制御装置100は、ケーブルCBによって、ハンドル部210と接続されている。このように、はんだこて制御装置100は、はんだこて200と電気的接続可能に、はんだこて200と分離して設けらている。はんだこて制御装置100は、こて先221の温度を制御する機能等を有する。
コンピュータ装置400は、複数のはんだこて制御装置100とネットワークNWによって接続されている。コンピュータ装置400は、例えば、ディスクトップ型、ノート型、タブレット型などのパーソナルコンピュータ、スマートフォンである。ネットワークNWは、例えば、インターネット、イントラネットである。コンピュータ装置400は、カートリッジ220に備えられる不揮発性メモリ224(図2)に記憶されている情報を収集する機能等を有する。
図2は、はんだこて200の電気的構成を示すブロック図である。カートリッジ220は、こて先221と、ヒータ部222と、温度センサ223と、不揮発性メモリ224と、を備える。
ヒータ部222は、こて先221を加熱する。ヒータ部222の方式は、例えば、発熱体(ニクロム線、セラミックス等)によって、こて先221を加熱する方式でもよいし(抵抗加熱方式)、こて先221を発熱させる方式でもよい(高周波誘導加熱方式)。
温度センサ223は、こて先221の付近に配置され、こて先221の温度の測定に用いられるセンサである。温度センサ223は、例えば、熱電対である。温度センサ223を用いて測定されたこて先221の温度を管理するために、温度測定装置300が用いられる。
不揮発性メモリ224は、情報を繰り返し書き込みが可能であり、カートリッジ220のID等の所定の情報(以下、カートリッジ情報CI)を記憶する。カートリッジ情報CIの詳細は、後で説明する。不揮発性メモリ224は、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read−Only Memory)である。
ハンドル部210は、マイコン211と加速度センサ212とを備える。マイコン211は、例えば、はんだこて制御装置100からの命令に従って、不揮発性メモリ224に記憶されているカートリッジ情報CIを不揮発性メモリ224から読み出して、はんだこて制御装置100へ送信する機能、はんだこて制御装置100からの命令に従って、不揮発性メモリ224にカートリッジ情報CIを書き込む機能を有する。
加速度センサ212は、はんだこて200に生じる加速度を測定する。加速度センサ212は、例えば、はんだこて200の落下の検出に用いられる。加速度センサ212は、例えば、静電容量検出方式でもよいし、ピエゾ抵抗方式でもよい。
ハンドル部210とはんだこて制御装置100とは、ケーブルCBによって接続されている。ケーブルCBは、ヒータ部222に電力を供給する電力線と、温度センサ223の出力信号を送る信号線と、マイコン211との通信に用いられる通信線と、を含む。電力線搬送通信を用いれば、信号線および通信線が不要となる。
図3は、温度測定装置300の電気的構成を示すブロック図である。温度測定装置300は、温度センサ301と、電圧測定回路302と、抵抗測定回路303と、マイコン304と、を備える。温度測定装置300は、こて先221の温度を測定する機能に加えて、リーク電圧を測定する機能、および、こて先221とアースとの間の抵抗を測定する機能を有する。
温度センサ301は、例えば、熱電対であり、こて先221の温度の測定に用いられる。
電圧測定回路302は、リーク電圧の測定に用いられる。リーク電圧は、こて先221(図1)から、ワーク(基板、電子部品)に漏れるリーク電流で生じる電圧である。リーク電圧は、リーク電流のレベルを具体的に示している。リーク電流は、電子部品に悪影響を与えるので、リーク電圧の管理は重要である。
抵抗測定回路303は、こて先221とアースとの間の抵抗の測定に用いられる。リーク電流の大部分は、こて先221からアース線を経て、コンセントのアースターミナルに流れる。これにより、デバイスへの悪影響を防止できる。よって、こて先221とアースとの間の抵抗の管理は重要である。
図4は、はんだこて制御装置100の機能ブロック図である。はんだこて制御装置100は、制御処理部101と、通信部102と、温度制御部103と、電圧測定部104と、電流測定部105と、入力部106と、表示制御部107と、表示部108と、第1機能部109と、第2機能部110と、第3機能部111と、第4機能部112と、第5機能部113と、を備える。
制御処理部101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、及び、HDD(Hard Disk Drive)等のハードウェアプロセッサ、並びに、制御処理部101の機能を実行するためのプログラムおよびデータ等によって実現される。以上説明したことは、温度制御部103、表示制御部107、第1機能部109〜第5機能部113についても同様のことが言える。
通信部102は、ハンドル部210に備えられるマイコン211(図2)と通信する機能を有する。詳しくは、通信部102は、マイコン211とシリアル通信をするために、例えば、UART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)を備える。実施形態では有線通信を例にしているが、無線通信でもよい(例えば、IrDA(Infrared Data Association)規格などの赤外線通信、Bluetooth(登録商標))。
通信部102は、ネットワークNWと通信する機能を有する。詳しくは、通信部102は、例えば、産業用イーサネット(登録商標)用のインターフェースを備える。実施形態では有線通信を例にしているが、無線通信でもよい(例えば、無線LAN)。
通信部102は、温度測定装置300と通信する機能を有する。詳しくは、通信部102は、温度測定装置300のマイコン304とシリアル通信をするために、例えば、UARTを備える。実施形態では有線通信を例にしているが、無線通信でもよい(例えば、IrDA規格などの赤外線通信、Bluetooth(登録商標))。
電圧測定部104は、ヒータ部222に印加されている電圧を測定する回路である。電流測定部105は、ヒータ部222に供給されている電流を測定する回路である。ヒータ部222と、電圧測定部104と、電流測定部105との接続関係が、図25によって示されている。図25のヒーターは、ヒータ部222と対応し、電圧計Vは、電圧測定部104と対応し、電流計Iは、電流測定部105と対応する。
図4を参照して、電圧測定部104および電流測定部105は、ヒータ部222に電力を供給する電力線(この電力線は、ケーブルCBに含まれている)にそれぞれ接続されている。電流測定部105は、ヒータ部222のアース端子とアースとの間に直列接続されている。電圧測定部104は、ヒータ部222の電源端子とアースとの間に直列に接続されている。
温度制御部103は、フィードバック制御によって、ヒータ部222の温度を制御し、これにより、こて先221の温度を設定温度にする。詳しくは、温度制御部103は、カートリッジ220に備えられる温度センサ223が示す温度と、電圧測定部104が測定した電圧と、電流測定部105が測定した電流と、を基にして、温度センサ223が示す温度を設定温度にするための電力量を算出し、この電力量をヒータ部222に与える制御をする。
電力量の制御について詳しく説明する。温度制御部103は、外部AC電源からの交流を全波整流し、全波整流で得られたパルスのうち、ヒータ部222に供給するパルスの数を調節し、これにより、ヒータ部222に供給する電力を制御する。所定数のパルスの生成に要する時間が1サイクルとする。例えば、所定数が21パルスとする。60Hzの交流の場合、交流が全波整流されると、1秒間に120パルスが生成される。1パルスの生成に要する時間は、0.00833・・・秒となる。よって、21パルスの生成に要する時間(1サイクル)は、0.175秒(=21×0.00833・・・)となる。
50Hzの交流の場合、交流が全波整流されると、1秒間に100パルスが生成される。1パルスの生成に要する時間は、0.01秒となる。よって、21パルスの生成に要する時間(1サイクル)は、0.21秒(=21×0.01)となる。
電力量の制御は、上記方式に限定されず、他の方式でもよい(例えば、PWM(Pulse Width Modulation)制御)。
入力部106は、オペレータが、はんだこて制御装置100に各種の入力をするための装置である。各種の入力の具体例を説明する。オペレータは、入力部106を操作して、設定温度をはんだこて制御装置100に入力する。オペレータは、入力部106を操作して、カートリッジ220に備えられる不揮発性メモリ224に記憶されているカートリッジ情報CIの読み出し、書き込みをする命令を入力する。入力部106は、ハードキー(ボタン、スイッチ等)およびソフトキー(タッチパネル)の少なくとも一方によって実現される。
表示制御部107は、表示部108に各種のデータ、情報を表示する。例えば、表示制御部107は、表示部108に、設定温度を表示させたり、カートリッジ情報CIを表示させたりする。表示部108は、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ(Organic Light Emitting Diode display)である。
はんだこて制御装置100は、第1機能部109〜第5機能部113を備える。第1機能部109から説明する。第1機能部109は、熱負荷の算出、累積負荷回数の算出等を実行する。熱負荷、累積負荷回数については、後で説明する。図5は、第1機能部109の機能ブロック図である。第1機能部109は、識別部109aと、記憶部109bと、測定部109cと、算出部109dと、命令部109eと、を備える。
識別部109aは、こて先221が負荷状態か否かを識別する。ワークをはんだ付けするために、こて先221がワークに接触したとき、こて先221の熱が、ワークとはんだに伝導し、こて先221の温度が設定温度より低くなる。こて先221の温度が設定温度から所定量(例えば、5度)以上低下したとき、これを負荷状態と称する。これに対して、アイドリング状態がある。アイドリング状態とは、こて先221が非接触であり(こて先221がワークに接触していない)、かつ、こて先221の温度が設定温度を含む所定範囲内に保たれた状態である。こて先221の温度が設定温度にされるとは、こて先221の温度が設定温度に到達し、アイドリング状態にされることである。なお、ワークとは、はんだ付けの対象となる電子部品および基板のランド(電子部品がはんだ付けされる部分)少なくとも一方を含む意味である。
図6は、アイドリング状態および負荷状態において、温度制御部103の制御に従って、ヒータ部222に供給されるパルス数の例を説明する説明図である。1サイクルが0.175秒とする。アイドリング状態のとき、ヒータ部222に供給される電力量は比較的少ない(室温に応じて、ヒータ部222に供給される電力量は異なる)。図6の(a)は、アイドリング状態において、ヒータ部222に供給されるパルス数の例である。温度制御部103は、アイドリング状態を保つために、例えば、8パルスをヒータ部222に供給するサイクルと、0パルスをヒータ部222に供給するサイクルとを交互に繰り返す。
温度制御部103は、負荷状態のとき、アイドリング状態よりもヒータ部222に供給する電力量を多くして、アイドリング状態に戻す制御をする。温度制御部103は、負荷状態が大きくなるにしたがって(こて先221の温度と設定温度との差が大きくなる)、ヒータ部222に供給する電力量を多くし、負荷状態が小さくなるにしたがって(こて先221の温度と設定温度との差が小さくなる)、ヒータ部222に供給する電力量を少なくする。
例えば、2つの負荷状態を例にして説明する。図6の(b)は、比較的小さい負荷状態において(こて先221の温度と設定温度との差が比較的小さい)、ヒータ部222に供給されるパルス数の例である。温度制御部103は、例えば、8パルスをヒータ部222に供給するサイクルを繰り返す。図6の(c)は、比較的大きい負荷状態において(こて先221の温度と設定温度との差が比較的大きい)、ヒータ部222に供給されるパルス数の例である。温度制御部103は、例えば、16パルスをヒータ部222に供給するサイクルを繰り返す。
なお、1サイクルで21パルスをヒータ部222に供給された状態で、1サイクルの電力量が測定され、これを21で割ることにより、1パルスの電力量が分かる。
図5を参照して、記憶部109bは、フラッシュメモリ、HDD等によって実現され、第1電力量を予め記憶する。第1電力量は、アイドリング状態において、はんだこて200に供給される電力量である。はんだこて200に供給される電力量とは、ヒータ部222に供給される電力量である。第1電力量の計算に用いる期間(時間)は、1サイクルとする。
第1電力量の測定方法について詳しく説明する。図4および図6を参照して、測定部109c(図5)は、アイドリング状態において、電流測定部105が測定した電流と電圧測定部104が測定した電圧とを用いて、1サイクルの電力量e1を、下記式を用いて算出する。
e1=I1×V1×S
I1は、アイドリング状態において、電流測定部105が測定した電流である。V1は、アイドリング状態において、電圧測定部104が測定した電圧である。Sは、1サイクルである。
アイドリング状態では、1サイクルにおいて、21パルスの全部がヒータ部222に供給されるのではなく、所定数N(例えば、8)のパルスが、ヒータ部222に供給される。また、アイドリング状態では、ヒータ部222にパルスが供給されないサイクルがある。ここでは、ヒータ部222にパルスを供給するサイクルと供給しないサイクルとが交互に繰り返されるとする。測定部109cは、以下の式を用いて、第1電力量E1を算出する。
E1=(N÷21×e1)÷2
測定部109cによって、設定温度毎に第1電力量E1が予め測定されている。記憶部109bは、各設定温度について、第1電力量E1と対応付けたテーブルを予め記憶している。
測定部109cは、第2電力量から第1電力量を引いた第3電力量を測定する。第2電力量は、こて先221が負荷状態のときに、はんだこて200に供給される電力量である。第1電力量は、こて先221がアイドリング状態のときに、はんだこて200に供給される電力量である。第3電力量は、第2電力量から第1電力量を引いた電力量である。従って、負荷状態のとき、ワークとはんだには、第3電力量で発生した熱エネルギーが加えられることになる(正確には、第3電力量で発生した熱エネルギーから、ワークとはんだから空気中に放射した熱エネルギーを引いた熱エネルギーが加えられる)。言い換えれば、第3電力量は、負荷状態において、ワークとはんだに対する熱負荷である。従って、第1機能部109は、ワークとはんだの熱負荷を算出することができる。
なお、電力量(第1電力量、第2電力量、第3電力量)は、電気によるエネルギーであり、電力量の単位はジュールである。
第2電力量の計算に用いる時間(期間)は、1サイクルとする。第2電力量の測定方法について詳しく説明する。
測定部109cは、負荷状態のとき、電流測定部105が測定した電流と電圧測定部104が測定した電圧とを用いて、1サイクルの電力量e2を、下記式を用いて算出する。
e2=I2×V2×S
I2は、負荷状態において、電流測定部105が測定した電流である。V2は、負荷状態において、電圧測定部104が測定した電圧である。Sは、1サイクルである。
負荷状態では、1サイクルにおいて、21パルスの全部がヒータ部222に供給されるではなく、所定数N(例えば、8、16)のパルスが、ヒータ部222に供給される。測定部109cは、以下の式を用いて、第2電力量E2を算出する。
E2=N÷21×e2
測定部109cは、負荷状態が解消されるまで、第2電力量を1サイクル(所定期間)の単位で繰り返し測定し、第2電力量から第1電力量を引いた値を、1サイクル(所定期間)の単位で繰り返し算出し、この値を積算する。この積算値が第3電力量となる。第3電力量の測定が終了する前に、表示制御部107が表示部108に積算値を表示させてもよい。これにより、オペレータは、第3電力量の途中経過を知ることができる。
例えば、負荷状態からアイドリング状態に戻ったタイミングが、負荷状態の解消としてもよいし、こて先221がワークとはんだから離れたタイミングが、負荷状態の解消としてもよい。こて先221がワークとはんだから離れるとは、例えば、こて先221の温度の低下が止まり、こて先221の温度が小刻みに変動した状態から、設定温度に向けて上昇を開始するタイミングである。
測定部109cは、負荷状態が解消したとき、第3電力量の測定を終了する。測定部109cは、この時点での上記積算値を第3電力量と確定する。
算出部109dは、累積負荷回数を算出する。累積負荷回数は、負荷状態から負荷状態の解消へ遷移した回数を、カートリッジ220が最初に使用されたときから累積した値である。負荷状態から負荷状態の解消への遷移を、こて先221への1回の負荷とする。累積負荷回数とこて先221の劣化の程度とは相関する。累積負荷回数が多くなるに従って、こて先221の劣化が進むので、累積負荷回数は、カートリッジ220の寿命の指標にすることができる。
命令部109eは、算出部109dが算出した累積負荷回数を、カートリッジ220に含まれる不揮発性メモリ224(図2)に書き込む命令をする。カートリッジ220に含まれる不揮発性メモリ224に、このカートリッジ220についての累積負荷回数を記憶させることができる。これにより、はんだこて制御装置100が、各カートリッジ220についての累積負荷回数を管理する必要をなくすことができる。
第3電力量の測定動作について説明する。図7は、これを説明するフローチャートである。図2、図5および図7を参照して、温度制御部103(図4)は、こて先221の温度を設定温度にするフィードバック制御を実行している。測定部109cは、このフィードバック制御の設定温度に対応付けられた第1電力量を記憶部109bから読み出す(ステップS1)。識別部109aは、フィードバック制御の状態で、アイドリング状態から負荷状態へ遷移したか否かを判定する(ステップS2)。識別部109aは、遷移していないと判定したとき(ステップS2でNo)、ステップS2の処理を繰り返す。
識別部109aは、アイドリング状態から負荷状態へ遷移したと判定したとき(ステップS2でYes)、測定部109cは、第3電力量の測定を開始する(ステップS3)。
識別部109aは、負荷状態から負荷状態の解消へ遷移したか否かを判定する(ステップS4)。識別部109aが、遷移していないと判定したとき(ステップS4でNo)、ステップS4の処理を繰り返す。識別部109aが、遷移したと判定したとき(ステップS4でYes)、測定部109cは、第3電力量の測定を終了する(ステップS5)。測定部109cは、この時点での上記積算値を第3電力量として確定する。表示制御部107(図4)は、確定された第3電力量を表示部108に表示させる(ステップS6)。
ステップS6後、算出部109dは、負荷状態から負荷状態の解消へ遷移した回数n(負荷回数)として、1をカウントし、記憶する(ステップS7)。負荷状態から負荷状態の解消へ遷移することが繰り返される毎に、回数nが1つづつ大きくなる。
次に、累積負荷回数の書き込み(更新)について説明する。図8は、これを説明するフローチャートである。図2、図5および図8を参照して、命令部109eは、所定のタイミングで、ハンドル部210に備えられるマイコン211に対して、カートリッジ220に備えられる不揮発性メモリ224に記憶されている累積負荷回数を読み出す命令をする。通信部102(図4)は、この命令に従って、マイコン211へ累積負荷回数の読出命令を送信する(ステップS22)。
マイコン211は、累積負荷回数の読出命令を受信する(ステップS23)。マイコン211は、累積負荷回数を不揮発性メモリ224から読み出して、通信部102へ送信する(ステップS24)。通信部102は、不揮発性メモリ224から読み出された累積負荷回数を受信する(ステップS25)。
算出部109dは、今回のはんだ付けでカウントされた回数n(図7のステップS6)を、不揮発性メモリ224から読み出された累積負荷回数に加算し、新たな累積負荷回数を算出する(ステップS26)。命令部109eは、マイコン211に対して、不揮発性メモリ224に累積負荷回数を書き込む命令(更新命令)をする。通信部102(図4)は、この命令に従って、マイコン211へ累積負荷回数の書込命令(更新命令)、および、新たな累積負荷回数を送信する(ステップS27)。
マイコン211は、書込命令(更新命令)および新たな累積負荷回数を受信する(ステップS28)。マイコン211は、不揮発性メモリ224に新たな累積負荷回数を書き込む(ステップS29)。すなわち、マイコン211は、不揮発性メモリ224に記憶される累積負荷回数を更新する。
第2機能部110について説明する。第2機能部110は、累積通電時間を算出する機能等を有する。累積通電時間は、カートリッジ220に備えられるヒータ部222(図2)に電力が供給された時間を、このカートリッジ220が最初に使用されたときから累積した値を示す。図9は、第2機能部110の機能ブロック図である。第2機能部110は、計測部110aと、算出部110bと、命令部110cと、を備える。
計測部110aは、カートリッジ220に備えられるヒータ部222に電力が供給された時間を計測する。詳しく説明する。図2、図4および図9を参照して、ハンドル部210にカートリッジ220が取り付けられた状態で、オペレータが入力部106を用いて、はんだ付け作業を開始する命令を入力する。これにより、温度制御部103は、カートリッジ220に備えられるヒータ部222に電力を供給することを開始し、かつ、計測部110aは、通電時間の計測を開始する。計測部110aは、通電時間を計測するタイマーを備える。通電時間の計測は、秒単位でもよいし、分単位でもよい。後者の場合、計測部110aは、60秒計測のタイマーを作動させ、60秒計測毎に、1分づつカウントアップする。
オペレータは、入力部106を用いて、現在使用しているカートリッジ220によるはんだ付け作業を終了する命令を入力する。これにより、温度制御部103は、カートリッジ220に備えられるヒータ部222に電力を供給することを停止し、かつ、計測部110aは、通電時間の計測を終了する。ここで計測された通電時間が、今回、このカートリッジ220を用いて、はんだ付け作業をしたときの通電時間である。
算出部110bは、カートリッジ220に備えられる不揮発性メモリ224から読み出された累積通電時間に、今回の通電時間を加算し、新たな累積通電時間を算出する。
命令部110cは、新たな累積通電時間を不揮発性メモリ224に書き込む命令をする(累積通電時間の更新命令)。
図10は、累積通電時間の書き込み処理を説明するフローチャートである。図2、図9および図10を参照して、オペレータは、現在使用しているカートリッジ220によるはんだ付け作業を終了するとき、入力部106(図4)を用いて、はんだ付け作業の終了命令を入力する(ステップS41)。命令部110cは、この命令が入力されたとき、ハンドル部210に備えられるマイコン211に対して、カートリッジ220に備えられる不揮発性メモリ224に記憶されている累積通電時間を読み出す命令をする。通信部102(図4)は、この命令に従って、マイコン211へ累積通電時間の読出命令を送信する(ステップS42)。
マイコン211は、累積通電時間の読出命令を受信する(ステップS43)。マイコン211は、累積通電時間を不揮発性メモリ224から読み出して、通信部102へ送信する(ステップS44)。通信部102は、不揮発性メモリ224から読み出された累積通電時間を受信する(ステップS45)。
算出部110bは、計測部110aによって今回のはんだ付けで計測された通電時間を、不揮発性メモリ224から読み出された累積通電時間に加算し、新たな累積通電時間を算出する(ステップS46)。命令部110cは、マイコン211に対して、不揮発性メモリ224に累積通電時間を書き込む命令(更新命令)をする。通信部102は、この命令に従って、マイコン211へ累積通電時間の書込命令(更新命令)、および、新たな累積通電時間を送信する(ステップS47)。
マイコン211は、書込命令(更新命令)および新たな累積通電時間を受信する(ステップS48)。マイコン211は、不揮発性メモリ224に新たな累積通電時間を書き込む(ステップS49)。すなわち、マイコン211は、不揮発性メモリ224に記憶される累積通電時間を更新する。
上述した累積負荷回数および累積通電時間は、カートリッジ情報CI(図2)に含まれる。カートリッジ情報CIは、ID情報、形状情報、専用情報、累積負荷回数、累積通電時間等により構成される。ID情報は、カートリッジ220のIDを示す。形状情報は、このカートリッジ220に備えられるこて先221の形状を示す。専用情報は、カートリッジ220が鉛含有はんだ専用であるのか、鉛フリーはんだ専用であるのかを示す。
カートリッジ220に備えられる不揮発性メモリ224は、このカートリッジ220に関するカートリッジ情報CIを記憶する。不揮発性メモリ224には、カートリッジ情報CIを記憶する領域が予め設定されている。詳しく説明する。図11は、不揮発性メモリ224に予め設定された領域の例を説明する説明図である。領域224aには、ID情報が記憶される。領域224bには、形状情報が記憶される。領域224cには、専用情報が記憶される。領域224dには、累積負荷回数が記憶される。領域224eには、累積通電時間が記憶される。
はんだこて制御装置100は、IoTに対応することができる。図1、図2および図4を参照して、はんだこて制御装置100は、カートリッジ220に備えられる不揮発性メモリ224からカートリッジ情報CIを読み出し、ネットワークNWを用いてカートリッジ情報CIをコンピュータ装置400に送信することができる。コンピュータ装置400は、送信されてきたカートリッジ情報CIを保存する。
第3機能部111について説明する。第3機能部111は、はんだこて制御装置100の設定とカートリッジ220とが間違った組み合わせのとき、報知する機能等を有する。
カートリッジ220は、鉛含有はんだに対して使用されると、このカートリッジ220は、鉛フリーはんだに対して使用することができなくなる。従って、鉛含有はんだ専用のカートリッジ220と、鉛フリーはんだ専用のカートリッジ220とに分けて、カートリッジ220は使用される。
以上より、オペレータは、はんだこて制御装置100の設定とカートリッジ220とを正しく組み合わせる必要がある。図12は、第3機能部111の機能ブロック図である。第3機能部111は、設定部111aと、要求部111bと、報知部111cと、を備える。
入力部106(図4)は、はんだこて制御装置100を鉛含有はんだに対して使用するのか、鉛フリーはんだに対して使用するのかを選択する入力が可能である。設定部111aは、入力部106を用いて、はんだこて制御装置100を鉛含有はんだに対して使用する入力がされたとき、鉛含有はんだに対して使用する第1設定をし、入力部106を用いて、はんだこて制御装置100を鉛フリーはんだに対して使用する入力がされたとき、鉛フリーはんだに対して使用する第2設定をする。
要求部111bは、ハンドル部210に取り付けられたカートリッジ220に備えられる不揮発性メモリ224に記憶されている専用情報を要求する。専用情報は、カートリッジ220が鉛含有はんだ専用であるのか、鉛フリーはんだ専用であるのかを示す。通信部102(図4)は、この不揮発性メモリ224から読み出された専用情報を受信する。
報知部111cは、設定部111aに第1設定がされており、カートリッジ220が鉛フリーはんだ専用を示す専用情報であるとき、または、設定部111aに第2設定がされており、カートリッジ220が鉛含有はんだ専用を示す専用情報であるとき、報知する。報知部111cは、音声で報知してもよいし、画像で報知してもよい。
音声の場合、報知部111cは、スピーカとアンプとにより実現される。画像の場合、報知部111cは、表示制御部107と表示部108とにより実現される。報知部113b(図21)についても同様である。
オペレータは、第1設定または第2設定のいずれかを予め設定する。図13は、これを説明するフローチャートである。図4、図12および図13を参照して、オペレータは、入力部106を用いて、上記設定をするための設定画面を表示させる命令を入力する(ステップS61)。表示制御部107は、この命令に従って、設定画面を表示部108に表示させる(ステップS62)。
オペレータは、はんだこて制御装置100を鉛含有はんだに対して使用する場合、入力部106を用いて、設定画面に、鉛含有はんだを対象とする入力をし、はんだこて制御装置100を鉛フリーはんだに対して使用する場合、入力部106を用いて、設定画面に、鉛フリーはんだを対象とする入力をする(ステップS63)。設定部111aは、入力に従って、第1設定または第2設定をする(ステップS64)。
オペレータは、カートリッジ220に備えられる不揮発性メモリ224に専用情報を設定する。図14は、これを説明するフローチャートである。図2、図4および図14を参照して、ハンドル部210にカートリッジ220が取り付けられた状態で、オペレータが入力部106を用いて、カートリッジ情報CIを読み出す命令を入力する(ステップS71)。設定部111a(図12)は、この命令が入力されたとき、ハンドル部210に備えられるマイコン211に対して、カートリッジ220に備えられる不揮発性メモリ224に記憶されているカートリッジ情報CIを読み出す命令をする。通信部102は、この命令に従って、マイコン211へカートリッジ情報CIの読出命令を送信する(ステップS72)。
マイコン211は、カートリッジ情報CIの読出命令を受信する(ステップS73)。マイコン211は、カートリッジ情報CIを不揮発性メモリ224から読み出して、通信部102へ送信する(ステップS74)。通信部102は、不揮発性メモリ224から読み出されたカートリッジ情報CIを受信する(ステップS75)。
表示制御部107は、受信されたカートリッジ情報CIの一覧を表示部108に表示させる(ステップS76)。オペレータは、入力部106を用いて、この一覧に含まれる、専用情報の欄に専用情報を入力する(ステップS77)。例えば、専用情報の欄には、鉛含有はんだ専用のフラグを示すボックスと鉛フリーはんだ専用のフラグを示すボックスとがある。オペレータが、前者のボックスにチェックを入れると、カートリッジ220が鉛含有はんだ専用を示す専用情報が入力される。オペレータが、後者のボックスにチェックを入れると、カートリッジ220が鉛フリーはんだ専用を示す専用情報が入力される。
オペレータは、入力部106を用いて、確定を入力する。これにより、設定部111a(図12)は、マイコン211に対して、専用情報の設定を命令する。通信部102は、この命令に従って、マイコン211へ専用情報の設定命令を送信する(ステップS78)。
マイコン211は、専用情報の設定命令を受信する(ステップS79)。マイコン211は、不揮発性メモリ224の領域224c(図11)に、専用情報を記憶させる。これにより、不揮発性メモリ224に専用情報が設定される(ステップS80)。
以上説明した設定により、はんだこて制御装置100は、鉛含有はんだを使用する設定(第1設定)または鉛フリーはんだを使用する設定(第2設定)がされ、カートリッジ220も、鉛含有はんだ専用と鉛フリーはんだ専用とに分けられる。オペレータは、はんだこて制御装置100の設定とカートリッジ220とを正しく組み合わせる必要がある。すなわち、鉛含有はんだ専用のカートリッジ220が使用されるとき、はんだこて制御装置100は、第1設定でなければならず、鉛フリーはんだ専用のカートリッジ220が使用されるとき、はんだこて制御装置100は、第2設定でなければならない。
ハンドル部210にカートリッジ220が取り付けられ状態で、はんだこて制御装置100の電源がオンされると、はんだこて制御装置100は、はんだこて制御装置100の設定とカートリッジ220とが正しい組み合わせか否かを確認する。図15は、この確認を説明するフローチャートである。図2、図4および図15を参照して、要求部111b(図12)は、ハンドル部210に備えられるマイコン211に対して、専用情報を要求する。通信部102は、この要求に従って、マイコン211へ専用情報要求を送信する(ステップS91)。
マイコン211は、専用情報要求を受信する(ステップS92)。マイコン211は、不揮発メモリの領域224c(図11)にアクセスし、領域224cから専用情報を読み出す(ステップS93)。マイコン211は、専用情報を通信部102に送信する(ステップS94)。
通信部102は、専用情報を受信する(ステップS95)。報知部111c(図12)は、設定部111aに設定されている内容と、専用情報の内容とを基にして、報知するか否かを決定する(ステップS96)。すなわち、報知部111cは、設定内容が鉛含有はんだを使用する設定であり(第1設定)、専用情報が鉛フリーはんだ専用を示すとき(ステップS96でYes)、報知する(ステップS97)。報知部111cは、設定内容が鉛フリーはんだを使用する設定であり、専用情報が鉛含有はんだ専用を示すとき(ステップS96でYes)、報知をする(ステップS97)。例えば、報知部111cは、「カートリッジの取り換え、または、設定内容を変更して下さい」の文字画像を表示部108に表示させる。
報知部111cは、設定内容が鉛含有はんだを使用する設定であり(第1設定)、専用情報が鉛含有はんだ専用を示すとき(ステップS96でNo)、報知をしない。報知部111cは、設定内容が鉛フリーはんだを使用する設定であり、専用情報が鉛フリーはんだ専用を示すとき(ステップS96でNo)、報知をしない。はんだこて制御装置100は、はんだこて制御装置100の設定とカートリッジ220とが正しい組み合わせか否かの確認を終了する。
温度制御部103は、報知部111cが報知をしたとき(ステップS97)、設定部111aに電力供給の禁止の設定がされているか否かを判断する。オペレータは、入力部106を用いて、設定部111aに電力供給の禁止を予め設定することができる。温度制御部103が、設定部111aに電力供給の禁止の設定がされていないと判定したとき(ステップS98でNo)、はんだこて制御装置100は、はんだこて制御装置100の設定とカートリッジ220とが正しい組み合わせか否かの確認を終了する。
温度制御部103は、設定部111aに電力供給の禁止の設定がされていると判定したとき(ステップS98でYes)、カートリッジ220のヒータ部222に電力を供給しない制御をする(ステップS99)。はんだこて制御装置100は、はんだこて制御装置100の設定とカートリッジ220とが正しい組み合わせか否かの確認を終了する。
第4機能部112について説明する。第4機能部112は、カートリッジ220に備えられる不揮発性メモリ224に、このカートリッジ220に関する校正結果(言い換えれば、校正記録)を記憶させる。図16は、第4機能部112の機能ブロック図である。第4機能部112は、記憶処理部112aと、記憶部112bと、判定部112cと、を備える。
記憶処理部112aは、温度制御部103(図4)によって、カートリッジ220のこて先221の温度が設定温度に制御されている状態(アイドリング状態)で、温度測定装置300(図3)が、このこて先221の温度の校正に成功したか否かを校正結果として、このカートリッジ220に備えられる不揮発性メモリ224に書き込む命令をする。同様に、記憶処理部112aは、温度測定装置300がリーク電圧の校正に成功したか否かを校正結果として、不揮発性メモリ224に書き込む命令をし、温度測定装置300が、こて先221とアースとの間の抵抗の校正に成功したか否かを校正結果として、不揮発性メモリ224に書き込む命令をする。不揮発性メモリ224は、所定の記憶部の機能を有する。
記憶部112bは、設定温度に対して、温度補正が不要な温度範囲を予め記憶する。
判定部112cは、温度測定装置300がこて先221の温度を測定して得られた温度が、温度範囲(予め設定された正常範囲)に入るか否かを判定する。
温度測定装置300およびはんだこて制御装置100によって、自動校正をすることができる。自動校正は、こて先221の温度、リーク電圧、こて先221とアースとの間の抵抗について、自動的に校正をすることである。自動校正について詳しく説明する。図17は、自動校正のルーチンを説明するフローチャートである。図3、図4および図17を参照して、はんだこて制御装置100は、自動校正モードに移行する(ステップS101)。
詳しく説明する。温度測定装置300とはんだこて制御装置100とが有線接続の場合、オペレータは、はんだこて制御装置100の入力部106を用いて、温度測定装置300の機種(種類)を入力する。これにより、制御処理部101は、はんだこて制御装置100のモードを自動校正モードにする。温度測定装置300とはんだこて制御装置100とが無線接続の場合、オペレータは、温度測定装置300に設けられた所定のボタン(例えば、送信ボタン)を押下する。温度測定装置300は、はんだこて制御装置100へ温度測定装置300の機種を特定できるデータを送信する。はんだこて制御装置100の通信部102は、そのデータを受信する。キー入力(ステップS103)により、制御処理部101は、はんだこて制御装置100のモードを自動校正モードにする。
温度測定装置300の機種には、こて先221の温度を測定できる機種と、こて先221の温度、リーク電圧およびこて先221とアースとの間の抵抗を測定できる機種と、がある。前者は、リーク電圧およびこて先221とアースとの間の抵抗を測定できない。実施形態の温度測定装置300は、後者である。
表示制御部107は、所定の画像(例えば、「自動校正の実行指示待ち」を示す文字画像)を表示部108に表示させる(ステップS102)。
オペレータが、入力部106に設けられたエンターキーを押下したとき(ステップS103の「ENTER」)、はんだこて制御装置100は、サブルーチンを実行する(ステップS104)。サブルーチンは、自動温度校正のルーチンと、自動電圧校正のルーチンと、自動抵抗校正のルーチンとがある。自動温度校正は、こて先221の温度を自動的に校正する。自動電圧校正は、リーク電圧を自動的に校正する。自動抵抗校正は、こて先221とアースとの間の抵抗を自動的に校正する。
温度測定装置300が、こて先221の温度を測定できる機種の場合、サブルーチンは、自動温度校正のルーチンである。温度測定装置300が、こて先221の温度、リーク電圧およびこて先221とアースとの間の抵抗を測定できる機種の場合、サブルーチンは、上記三つのルーチンがある。後者の場合、オペレータが、入力部106を用いて、制御処理部101に実行したい校正を予め設定することができる。例えば、自動温度校正、自動電圧校正および自動抵抗校正が設定されているとき、はんだこて制御装置100は、三つのルーチンを実行する。例えば、自動温度校正が設定されているとき、はんだこて制御装置100は、自動温度校正のルーチンを実行する。
制御処理部101は、サブルーチンが終了したか否かを判断する(ステップS105)。制御処理部101は、サブルーチンが終了していないと判断したとき(ステップS105でNo)、はんだこて制御装置100は、ステップS104の処理をする。
制御処理部101は、サブルーチンが終了したと判断したとき(ステップS105でYes)、表示制御部107は、校正結果等を表示部108に表示させる(ステップS106)。そして、はんだこて制御装置100は、自動校正のルーチンを終了する。校正結果は、各校正について、合格または不合格を示す。合格は、こて先221の温度等の校正に成功したことである(すなわち、こて先221の温度等が予め設定された正常範囲内である)。不合格は、こて先221の温度等の測定に失敗したこと、または、こて先221の温度等が予め設定された正常範囲内でないことである。表示部108には、校正結果と共に、各校正において、合格の場合、測定値が表示され、こて先221の温度の補正が試みられた場合、温度補正の成功または失敗が表示される。
オペレータが、入力部106に設けられたバックキーを押下したとき(ステップS103の「BACK」)、はんだこて制御装置100は、自動校正のルーチンを終了する。
オペレータが、入力部106に設けられたエンターキーまたはバックキーを押下しないとき(ステップS103の「なし」)、制御処理部101は、タイムアウトか否かを判断する(ステップS107)。タイムアウトとは、予め定められた制限時間に到達することである。制御処理部101が、タイムアウトと判断しないとき(ステップS107でNo)、ステップS103の処理がされる。制御処理部101が、タイムアウトと判断したとき(ステップS107でYes)、はんだこて制御装置100は、自動校正のルーチンを終了する。
ステップS104(図17)のサブルーチンの1つである自動温度校正のルーチンについて説明する。図18Aおよび図18Bは、これを説明するフローチャートである。図3、図4および図18Aを参照して、制御処理部101は、自動温度校正の設定がされているか否かを判断する(ステップS1041)。制御処理部101は、自動温度校正の設定がされていないと判断したとき(ステップS1041でNo)、はんだこて制御装置100は、自動温度校正のルーチンを終了する(図18B)。
制御処理部101が、自動温度校正の設定がされていると判断したとき(ステップS1041でYes)、温度制御部103は、カートリッジ220に備えられる温度センサ223(図2)が示す温度(センサ温度)が、温度制御部103に設定されている設定温度に到達したか否かを判断する(ステップS1042)。温度制御部103が、センサ温度が設定温度に到達していないと判断したとき(ステップS1042でNo)、表示制御部107は、所定の画像(例えば、「センサ温度の到達待ち」を示す文字画像)を表示部108に表示させる(ステップS1043)。そして、温度制御部103は、ステップS1042の処理をする。
温度制御部103が、センサ温度が設定温度に到達したと判断したとき(ステップS1042でYes)、通信部102が、温度測定装置300によって測定されたこて先221の温度(温度データ)を受信するまで待機する。表示制御部107は、所定の画像(例えば、「温度データの受信待ち」を示す文字画像)を表示部108に表示させる(ステップS1044)。
制御処理部101は、通信部102が、温度測定装置300によって送信された温度データを受信したか否かを判断する(ステップS1045)。制御処理部101は、通信部102が温度データを受信していないと判断したとき(ステップS1045でNo)、制御処理部101は、タイムアウトか否かを判断する(ステップS1046)。タイムアウトの時間は、比較的長くされる(例えば、5分)。温度測定装置300によるこて先221の温度測定に時間を要することがあるからである。制御処理部101が、タイムアウトと判断しないとき(ステップS1046でNo)、ステップS1045の処理に戻る。制御処理部101が、タイムアウトと判断したとき(ステップS1046でYes)、校正結果等を、カートリッジ220に備えられる不揮発性メモリ224に書き込む処理がされる(ステップS1048)。
詳しく説明する。ここでは、記憶処理部112a(図16)は、校正結果(不合格)を不揮発性メモリ224に書き込む命令をする。校正結果が不合格とは、校正が失敗したことである。校正結果が合格とは、校正が成功したことである。後で説明するように、校正結果が合格の場合、温度データが不揮発性メモリ224に書き込まれる。通信部102は、この命令に従って、書込命令および校正結果(不合格)をはんだこて200へ送信する。ハンドル部210に備えられるマイコン211(図2)は、書込命令に従って、校正結果(不合格)を不揮発性メモリ224に書き込む。この処理は、図8のステップS28,S29と同様なので、詳しい説明は省略する。はんだこて制御装置100は、自動温度校正のルーチンを終了する(図18B)。
制御処理部101は、通信部102が温度測定装置300によって送信された温度データを受信したと判断したとき(ステップS1045でYes)、判定部112c(図16)は、温度データが設定温度に対して予め定められた範囲内(例えば、±10度以内)か否かを判断する(ステップS1047)。すなわち、記憶部112b(図16)は、温度補正が不要な温度範囲(こて先221の温度が予め設定された正常範囲)を予め記憶しており、判定部112cが、温度測定装置300がこて先221の温度を測定した得られた値が、温度範囲に入るか否かを判定する。
判定部112cが、温度データが予め定められた範囲内と判断したとき(ステップS1047でYes)、校正結果等を、カートリッジ220に備えられる不揮発性メモリ224に書き込む処理がされる(ステップS1048)。詳しく説明する。記憶処理部112a(図16)は、校正結果(合格)と温度データとを紐付けて、不揮発性メモリ224に書き込む命令をする。通信部102は、この命令に従って、書込命令、校正結果(合格)および温度データをはんだこて200へ送信する。ハンドル部210に備えられるマイコン211(図2)は、書込命令に従って、校正結果(合格)と温度データとを紐付けて不揮発性メモリ224に書き込む。
判定部112cは、温度データが予め定められた範囲内でないと判断したとき(ステップS1047でNo)、オフセットを算出する(ステップS1049)。オフセットは、温度データと設定温度との差である。
判定部112cは、オフセットが予め定められた範囲内(例えば、設定温度に対して±50度以内)か否かを判断する(ステップS1050)。判定部112cが、オフセットが予め定められた範囲内でないと判断したとき(ステップS1050でNo)、温度補正は実行されない。すなわち、オフセットが大きすぎるとき、温度補正はされない。表示制御部107は、所定の画像(例えば、「温度補正不実行」を示す文字画像)を表示部108に表示させる(ステップS1051)。
そして、校正結果等を、カートリッジ220に備えられる不揮発性メモリ224に書き込む処理がされる(ステップS1048)。詳しく説明する。記憶処理部112a(図16)は、校正結果(不合格)と、温度データと、温度補正の不実行を示す情報とを紐付けて、不揮発性メモリ224に書き込む命令をする。不合格は、前述したように校正失敗を意味する。通信部102は、この命令に従って、書込命令、校正結果(不合格)、温度データおよび温度補正の不実行を示す情報を、はんだこて200へ送信する。ハンドル部210に備えられるマイコン211(図2)は、書込命令に従って、校正結果(不合格)と、温度データと、温度補正の不実行を示す情報とを紐付けて不揮発性メモリ224に書き込む。
判定部112cが、オフセットが予め定められた範囲内と判断したとき(ステップS1050でYes)、温度制御部103は、このオフセットの下で、温度を補正する制御をする(ステップS1052)。温度制御部103は、オフセットがプラスの場合、ヒータ部222への電力供給量を多くし、オフセットがマイナスの場合、ヒータ部222への電力供給量を少なくし、こて先221の温度を設定温度と一致させる。
温度制御部103がこの制御をしているとき、表示制御部107は、所定の画像(例えば、「温度補正待ち」を示す文字画像)を表示部108に表示させる(ステップS1053)。温度制御部103は、温度補正が完了するまで(ステップS1054でNo)、温度補正の制御をする。
温度制御部103が温度補正を完了したとき(ステップS1054でYes)、補正が正しくされたことを確認するために、温度測定装置300が、再度、こて先221の温度を測定する。図3、図4および図18Bを参照して、表示制御部107は、所定の画像(例えば、「確認用温度データの受信待ち」を示す文字画像)を表示部108に表示させる(ステップS1055)。
制御処理部101は、通信部102が温度測定装置300によって送信された温度データを受信したか否かを判断する(ステップS1056)。制御処理部101は、通信部102が温度データを受信していないと判断したとき(ステップS1056でNo)、制御処理部101は、タイムアウトか否かを判断する(ステップS1057)。制御処理部101が、タイムアウトと判断しないとき(ステップS1057でNo)、ステップS1056の処理に戻る。制御処理部101が、タイムアウトと判断したとき(ステップS1057でYes)、表示制御部107は、所定の画像(例えば、「温度補正失敗」を示す文字画像)を表示部108に表示させる(ステップS1058)。オフセットは、元に戻される。すなわち、温度補正が失敗したので、オフセット値は変更されず、元の値のまま保持される。
そして、校正結果等を、カートリッジ220に備えられる不揮発性メモリ224に書き込む処理がされる(ステップS1059)。詳しく説明する。記憶処理部112a(図16)は、校正結果(不合格)と、温度データと、温度補正失敗を示す情報とを紐付けて、不揮発性メモリ224に書き込む命令をする。通信部102は、この命令に従って、書込命令、校正結果(不合格)、温度データおよび温度補正失敗を示す情報を、はんだこて200へ送信する。ハンドル部210に備えられるマイコン211(図2)は、書込命令に従って、校正結果(不合格)と、温度データと、温度補正失敗を示す情報とを紐付けて不揮発性メモリ224に書き込む。はんだこて制御装置100は、自動温度校正のルーチンを終了する。
制御処理部101は、通信部102が温度データを受信したと判断したとき(ステップS1056でYes)、判定部112c(図16)は、温度データが設定温度に対して予め定められた範囲内か否かを判断する(ステップS1060)。この処理は、ステップS1047(図18A)と同じである。
判定部112cが、温度データが予め定められた範囲内と判断したとき(ステップS1060でYes)、校正結果等を、カートリッジ220に備えられる不揮発性メモリ224に書き込む処理がされる(ステップS1059)。詳しく説明する。記憶処理部112a(図16)は、校正結果(合格)と、温度データと、温度補正成功を示す情報とを紐付けて、不揮発性メモリ224に書き込む命令をする。通信部102は、この命令に従って、書込命令、校正結果(合格)、温度データおよび温度補正成功を示す情報をはんだこて200へ送信する。ハンドル部210に備えられるマイコン211(図2)は、書込命令に従って、校正結果(合格)と、温度データと、温度補正成功を示す情報とを紐付けて不揮発性メモリ224に書き込む。はんだこて制御装置100は、自動温度校正のルーチンを終了する。
判定部112cが、温度データが予め定められた範囲内でないと判断したとき(ステップS1060でNo)、判定部112cは、予め定められたリトライ回数が残っているか否かを判断する(ステップS1061)。リトライは、判定部112cによって、温度データが予め定められた範囲内でないと判断されたとき(ステップS1060でNo)、ステップS1049〜ステップS1060の処理を再度することである。リトライがされるたびに、リトライ回数が1つずつ減る。
判定部112cが、リトライ回数が残っていると判断したとき(ステップS1061でYes)、オフセットを算出する(ステップS1049)。ここでは、リトライ前のオフセット値は、破棄されず、再補正される。
判定部112cが、リトライ回数が残っていないと判断したとき(ステップS1061でNo)、ステップS1058の処理がされる。そして、校正結果等を、カートリッジ220に備えられる不揮発性メモリ224に書き込む処理がされる(ステップS1059)。
詳しく説明する。記憶処理部112a(図16)は、校正結果(不合格)と、温度データと、温度補正失敗を示す情報とを紐付けて、不揮発性メモリ224に書き込む命令をする。通信部102は、この命令に従って、書込命令、校正結果(不合格)、温度データおよび温度補正失敗を示す情報をはんだこて200へ送信する。ハンドル部210に備えられるマイコン211(図2)は、書込命令に従って、校正結果(不合格)と、温度データと、温度補正失敗を示す情報とを紐付けて不揮発性メモリ224に書き込む。はんだこて制御装置100は、自動温度校正のルーチンを終了する。
ステップS104(図17)のサブルーチンの1つである自動電圧校正のルーチンについて説明する。図19は、これを説明するフローチャートである。図3、図4および図19を参照して、制御処理部101は、自動温度校正が終了していないと判断したとき(ステップS1071でNo)、ステップS1071の処理を継続する。
制御処理部101は、自動温度校正が終了したと判断したとき(ステップS1071でYes)、温度測定装置300の機種を基にして、温度測定装置300がリーク電圧を測定する機能を有するか否かを判断する(ステップS1072)。温度測定装置300の機種については、ステップS101(図17)で説明されている。なお、制御処理部101に自動温度校正が設定されていないとき、制御処理部101は、ステップS1071を省略し、ステップS1072の処理をする。
制御処理部101は、温度測定装置300がリーク電圧を測定する機能を有しないと判断したとき(ステップS1072でNo)、はんだこて制御装置100は、自動電圧校正のルーチンを終了する。
制御処理部101は、温度測定装置300がリーク電圧を測定する機能を有すると判断したとき(ステップS1072でYes)、自動電圧校正の設定がされているか否かを判断する(ステップS1073)。制御処理部101は、自動電圧校正の設定がされていないと判断したとき(ステップS1073でNo)、はんだこて制御装置100は、自動電圧校正のルーチンを終了する。
制御処理部101は、自動電圧校正の設定がされていると判断したとき(ステップS1073でYes)、はんだこて制御装置100と温度測定装置300とが有線接続されているか否かを判断する(ステップS1074)。制御処理部101は、有線接続と判断したとき(ステップS1074でYes)、温度測定装置300のモードを、リーク電圧測定モードに設定する制御をする(ステップS1075)。表示制御部107は、所定の画像(例えば、「リーク電圧データの受信待ち」を示す文字画像)を表示部108に表示させる(ステップS1076)。
制御処理部101は、有線接続でないと判断したとき(ステップS1074でNo)、オペレータが、温度測定装置300のモードをリーク電圧測定モードに設定する。そして、ステップS1076の処理がされる。有線接続でないとは、はんだこて制御装置100と温度測定装置300とが無線通信(例えば、赤外線通信)することである。
制御処理部101は、通信部102が温度測定装置300によって送信されたリーク電圧データを受信したか否かを判断する(ステップS1077)。リーク電圧データとは、温度測定装置300が測定したリーク電圧である。制御処理部101は、通信部102がリーク電圧データを受信していないと判断したとき(ステップS1077でNo)、制御処理部101は、タイムアウトか否かを判断する(ステップS1078)。制御処理部101が、タイムアウトと判断しないとき(ステップS1078でNo)、ステップS1077の処理に戻る。
制御処理部101が、タイムアウトと判断したとき(ステップS1078でYes)、校正結果等を、カートリッジ220に備えられる不揮発性メモリ224に書き込む処理がされる(ステップS1079)。詳しく説明する。ここでは、記憶処理部112a(図16)は、校正結果(不合格)を不揮発性メモリ224に書き込む命令をする。後で説明するように、校正結果が合格の場合(すなわち、リーク電圧が予め設定された正常範囲内である)、リーク電圧データが不揮発性メモリ224に書き込まれる。通信部102は、この命令に従って、書込命令および校正結果(不合格)をはんだこて200へ送信する。ハンドル部210に備えられるマイコン211(図2)は、書込命令に従って、校正結果(不合格)を不揮発性メモリ224に書き込む。はんだこて制御装置100は、自動電圧校正のルーチンを終了する。
制御処理部101は、通信部102がリーク電圧データを受信したと判断したとき(ステップS1077でYes)、校正結果等を、カートリッジ220に備えられる不揮発性メモリ224に書き込む処理がされる(ステップS1079)。詳しく説明する。制御処理部101は、リーク電圧データが示すリーク電圧が、予め設定された正常範囲内のとき、校正結果が合格(校正成功)とし、正常範囲内でないとき、校正結果が不合格(校正失敗)とする。記憶処理部112a(図16)は、校正結果とリーク電圧データとを紐付けて不揮発性メモリ224に書き込む命令をする。通信部102は、この命令に従って、書込命令、校正結果およびリーク電圧データをはんだこて200へ送信する。ハンドル部210に備えられるマイコン211は、書込命令に従って、校正結果とリーク電圧データとを紐付けて不揮発性メモリ224に書き込む。はんだこて制御装置100は、自動電圧校正のルーチンを終了する。
ステップS104(図17)のサブルーチンの1つである自動抵抗校正のルーチンについて説明する。図20は、これを説明するフローチャートである。図3、図4および図20を参照して、制御処理部101は、自動電圧校正が終了していないと判断したとき(ステップS1091でNo)、ステップS1091の処理をする。
制御処理部101は、自動電圧校正が終了したと判断したとき(ステップS1091でYes)、温度測定装置300の機種を基にして、温度測定装置300が、こて先221とアースとの間の抵抗を測定する機能を有するか否かを判断する(ステップS1092)。温度測定装置300の機種については、ステップS101(図17)で説明されている。なお、制御処理部101に自動電圧校正が設定されていないとき、制御処理部101は、ステップS1091を省略し、ステップS1092の処理をする。
制御処理部101は、温度測定装置300がこて先221とアースとの間の抵抗を測定する機能を有しないと判断したとき(ステップS1092でNo)、はんだこて制御装置100は、自動抵抗校正のルーチンを終了する。
制御処理部101は、温度測定装置300がこて先221とアースとの間の抵抗を測定する機能を有すると判断したとき(ステップS1092でYes)、自動抵抗校正の設定がされているか否かを判断する(ステップS1093)。制御処理部101は、自動抵抗校正の設定がされていないと判断したとき(ステップS1093でNo)、はんだこて制御装置100は、自動抵抗校正のルーチンを終了する。
制御処理部101は、自動抵抗校正の設定がされていると判断したとき(ステップS1093でYes)、はんだこて制御装置100と温度測定装置300とが有線接続されているか否かを判断する(ステップS1094)。制御処理部101は、有線接続と判断したとき(ステップS1094でYes)、温度測定装置300のモードを、こて先221とアースとの間の抵抗を測定するモードに設定する制御をする(ステップS1095)。表示制御部107は、所定の画像(例えば、「抵抗データの受信待ち」を示す文字画像)を表示部108に表示させる(ステップS1096)。
制御処理部101は、有線接続でないと判断したとき(ステップS1094でNo)、オペレータが、温度測定装置300のモードを、こて先221とアースとの間の抵抗を測定するモードに設定する。そして、ステップS1096の処理がされる。
制御処理部101は、通信部102が温度測定装置300によって送信された抵抗電圧データを受信したか否かを判断する(ステップS1097)。抵抗データとは、温度測定装置300が測定した、こて先221とアースとの間の抵抗である。制御処理部101は、通信部102が抵抗データを受信していないと判断したとき(ステップS1097でNo)、制御処理部101は、タイムアウトか否かを判断する(ステップS1098)。制御処理部101が、タイムアウトと判断しないとき(ステップS1098でNo)、ステップS1097の処理に戻る。
制御処理部101が、タイムアウトと判断したとき(ステップS1098でYes)、校正結果等を、カートリッジ220に備えられる不揮発性メモリ224に書き込む処理がされる(ステップS1099)。詳しく説明する。ここでは、記憶処理部112a(図16)は、校正結果(不合格)を不揮発性メモリ224に書き込む命令をする。通信部102は、この命令に従って、書込命令および校正結果(不合格)をはんだこて200へ送信する。ハンドル部210に備えられるマイコン211(図2)は、書込命令に従って、校正結果(不合格)を不揮発性メモリ224に書き込む。はんだこて制御装置100は、自動抵抗校正のルーチンを終了する。
制御処理部101は、通信部102が抵抗データを受信したと判断したとき(ステップS1097でYes)、校正結果等を、カートリッジ220に備えられる不揮発性メモリ224に書き込む処理がされる(ステップS1099)。詳しく説明する。制御処理部101は、抵抗データが示す値が、予め設定された正常範囲内のとき、校正結果が合格(校正成功)とし、正常範囲内でないとき、校正結果が不合格(校正失敗)とする。記憶処理部112a(図16)は、校正結果と抵抗データとを紐付けて不揮発性メモリ224に書き込む命令をする。通信部102は、この命令に従って、書込命令、校正結果および抵抗データをはんだこて200へ送信する。ハンドル部210に備えられるマイコン211は、書込命令に従って、校正結果と抵抗データとを紐付けて不揮発性メモリ224に書き込む。はんだこて制御装置100は、自動抵抗校正のルーチンを終了する。
校正結果等は、不揮発性メモリ224に記憶される替わりに、記憶部112b(所定の記憶部)に記憶されてもよい。この場合、記憶処理部112aは、校正結果等を、この校正結果等が得られたカートリッジ220の識別情報(ID情報)と紐付けて記憶部112bに記憶させる。カートリッジ220の識別情報は、カートリッジ情報CIから得ることができる。なお、カートリッジ220が不揮発性メモリ224を有しないとき、例えば、カートリッジ220に貼り付けられたバーコードから識別情報が得られる。
第5機能部113について説明する。第5機能部113は、はんだこて200の落下を監視する。図21は、第5機能部113の機能ブロック図である。第5機能部113は、判定部113aと、報知部113bと、を備える。
図2、図4および図21を参照して、判定部113aは、ハンドル部210に備えられる加速度センサ212の出力信号を基にして、はんだこて200が落下したか否かを判定する。判定方法の一例を詳しく説明する。判定部113aは、加速度のしきい値を予め記憶しており、加速度センサ212の出力信号が示す加速度が、しきい値を超えたとき、はんだこて200が落下したと判定する。しきい値は、重力加速度(約9.80m/s2)より低い値であり、重力加速度を基にして決められる。
温度制御部103は、判定部113aがはんだこて200が落下したと判定したとき、はんだこて200に含まれるヒータ部222への電力供給を停止(禁止)する制御をする。
報知部113bは、判定部113aがはんだこて200が落下したと判定したとき、報知する。報知部113bは、アラームを鳴らすことにより、報知してもよいし、表示部108にアラームを表示することにより、報知してもよい。実施形態は、電力供給を停止する機能と報知をする機能とを有するが、いずれか一方の機能だけでもよい。
はんだこて200の落下を監視する処理について説明する。図22は、これを説明するフローチャートである。図2、図4および図22を参照して、判定部113a(図21)は、温度制御部103によって、はんだこて200のカートリッジ220に備えられたヒータ部222に電力が供給されている状態(言い換えれば、はんだこて200の使用が可能な状態)のとき、マイコン211に対して、加速度センサ212の出力信号を要求する命令をする。通信部102は、この命令に従って、マイコン211に対して、加速度センサ212の出力信号の要求を送信する(ステップS141)。
マイコン211は、この要求を受信する(ステップS142)。マイコン211は、ケーブルCBを用いて、加速度センサ212の出力信号を通信部102に送信する(ステップS143)。
通信部102は、加速度センサ212の出力信号を受信する(ステップS144)。判定部113aは、通信部102が受信した加速度センサ212の出力信号が示す加速度が、しきい値を超えたか否かを判定する(ステップS145)。判定部113aは、加速度センサ212の出力信号が示す加速度が、しきい値を超えていないと判定したとき(ステップS145でNo)、ステップS145の処理を繰り返す。
判定部113aは、加速度センサ212の出力信号が示す加速度が、しきい値を超えたと判定したとき(ステップS145でYes)、温度制御部103は、ヒータ部222への電力供給を停止する制御をする(ステップS146)。これにより、こて先221への加熱が強制的に終了させられる。そして、報知部113b(図21)は、報知をする(ステップS147)。
以下は、本発明の創作の基になった米国仮出願(US62/543,797)の内容である。この米国仮出願は、図23に示すように、システム10、制御ステーション20、センサ装置28、ホストマシン40、メモリ素子92が含まれる。システム10は、はんだこて管理システム1000と対応し、制御ステーション20は、はんだこて制御装置100と対応し、センサ装置28は、温度測定装置300と対応し、ホストマシン40は、コンピュータ装置400と対応し、メモリ素子92は、不揮発性メモリ224と対応する。
米国仮出願において、発明の名称は、コンポジットはんだ付け、はんだ除去ステーション・システムとされている。
米国仮出願において、概要として、以下の記載がされている。はんだ付け加熱具、負荷検出機能、チップ管理、自動チップ温度校正、カートリッジ/ハンドル位置・移動検知、インタラクティブ機能の拡張機能を含むはんだ付けおよびはんだ除去ステーションおよびシステム。
米国仮出願において、発明の要約として、以下の記載がされている。本発明は、制御ステーションを含む交換可能システムの構成要素、ハンドルおよびカートリッジを含む加熱ツール、関連するセンサ装置およびコンポーネントに関してであり、コンポーネントは、イントラネットまたはインターネット経由でホストまたはサーバに接続を可能にする。制御ステーションは、はんだ付け加熱具、負荷検出機能、チップ管理、自動チップ温度校正、カートリッジ/ハンドル位置・移動検知の制御と相互作業、及び、ゲートウエイまたはホストシステムの双方向機能の拡張機能を含む。
米国仮出願の発明の詳細な説明には、以下の記載がされている。
図23は、本発明のシステム10のブロックおよび概略図を提供する。システム10は、制御ステーション20の周囲に構成され、ケーブルアセンブリ22を介してハンドル24およびカートリッジ26に接続される。制御ステーション20は、カートリッジ26に制御信号および電力を供給し、オペレータがはんだ付けまたははんだ除去操作を行うために使用する。制御ステーション20は、ゲートウェイボックス30およびホストマシン40と同様に、様々なセンサ装置28と通信するように構成されている。ホストマシン40は、保護されたイントラネットシステムの構成要素であってもよく、代替的にインターネットに接続することもできる。
制御ステーション20は、フロントパネル20Aおよびリアパネル20Bを有し、図23に横向に示されている。フロントパネル20Aでは、制御ステーション20は表示部50、例えば液晶ディスプレイ(LCD)を有するが、例えば、発光ダイオード(LED)ディスプレイを使用することもできる。フロントパネル20Aは、また、ケーブルアセンブリ22への接続を可能にするソケット52と、制御ステーション20の電力供給をオン/オフするための電源スイッチ54とを含む。フロントパネル20Aは、また、操作ボタン56A、56B、56C、56Dとして示される多数の制御またはデータ入力部品を含む。データ入力部品は、例えばトグルスイッチ、ノブ、ダイアル、およびタッチまたは光学センサを含む任意の数の電気部品であってもよい。
制御ステーション20のリアパネル20Bは、電源ソケット60、回路基板ドック62および1つ以上のコネクタポート64を含む。図23は、例えばカバープレート70、RS232C用ボード72、変換用ボード74、USB用ボード76およびLAN用ボード78を含む回路基板ドック62に取り付けられる種々の項目を図式的に示す。これらのボード72、74、76、78の各々は、制御ステーション20をゲートウェイボックス30またはホストマシン40に接続するために適切なケーブルで使用することができる。また、ボードは、制御自動化テクノロジーのイーサネット(EtherNetCAT)、産業用イーサネットプロトコル(EtherNet/IP)、CAN(Controller Area Network)、UART((Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)やI2C(Inter−Integrated Circuit)、SPI(Serial Peripheral Interface)のいずれかでも使用できる。
センサ装置28は、1つ以上の温度計80、バーコードリーダー82、及び/またはRFIDリーダー84を含んでもよい。システム10は、有線温度計80、バーコードリーダー82およびRFIDリーダー84が、制御ステーション20によって使用され得るデータに変換される変換ボックス86に結合されてもよい。
図23は、また、カートリッジ26を固定するハンドル24を概略的に示す。ハンドル24は、加速度センサ90を含み、カートリッジ26は、例えば、PROM、EPROMまたはEEPROMなどのメモリ素子92を含むことができる。メモリ素子92は、変更できない(固定データ)カートリッジ26のタイプに特有の情報を格納するために使用され、制御ステーション20(可変データ)によってメモリに書き込まれる情報を格納することができる。固定データは、例えば、それぞれのカートリッジ26のシリアル番号、チップ形状データ、および、工場の設定温度データを含むことができる。可変データは、プログラムされた設定温度データ、温度のオフセット値、累積負荷回数、累積通電時間、累積はんだ操作、および、鉛はんだでの使用を含むことができる。累積負荷回数は、非はんだ操作を考慮することや(したがって累積はんだ操作より数が多い)、電力時間の合計となることができる。
[負荷検出機能]
制御ステーション20は、好ましくは各はんだ付け作業中にカートリッジ26の熱負荷を識別および定量化するための負荷検出機能を含む。はんだが液化した温度まで部品を加熱したときに生じる熱負荷と、はんだを液化するめに必要な負荷を検出し、負荷の時間を計ることにより、各はんだ付けの各負荷サイクルを測定、カウント、監視することができる。特定のカートリッジ26に関連する負荷サイクルをカウントすることにより、カートリッジ寿命を監視することができる。加えて、負荷サイクルを測定することにより、各はんだ付け動作のはんだ負荷を記録し、以下に更に説明するように作業のトレーサビリティに使用することができる。また、制御ステーション20が特定のはんだ付けに対して定義された負荷サイクルを記録すると、制御ステーション20は、後続のはんだ付けの負荷サイクルが定義された負荷サイクルの許容範囲外であるときにオペレータに指示を与えることができる。
図24は、はんだ付けカートリッジ26の使用に応じた、時間間隔ブロックにおけるカートリッジ26の通電または通電サイクルを図式的に示す。図24に示すように、カートリッジ26は、60Hzサイクルで電力を供給され、負荷または電力量は、0.175秒すなわち21パルス毎に決定される。通電の長さは、サイクルによって変化する。例えばカートリッジ26が50Hzで電力を供給された時、負荷あるいは通電量は、0.21秒すなわち21パルス毎に決定される。通電負荷量は、カートリッジチップに設置された温度センサによって測定される実際の温度と設定温度の差に応じて決定される。通常、チップ温度が設定温度点の電力レベルでアイドリングしている場合、設定温度と温度センサで測定された実際の温度との差は小さくなり、負荷量は最小であると判断される。はんだ付け動作が開始されると、カートリッジ26からワークに熱が転送され、制御ステーション20がカートリッジ26への出力を増加させるため、カートリッジ26の負荷は増加する。カートリッジ26に通電するエネルギーの量が増加したり、量が同じであっても、通電サイクルの回数が増加すると、システム10は、はんだ付け負荷が加えられていると判断する。カートリッジ26への通電のために供給されるエネルギー量がアイドリング状態に近づくと、制御ステーション20は、はんだ付け負荷が終了したと判断する。はんだ付け負荷は、1サイクル(0.175秒、21パルス)では検出されず、熱負荷が印加される期間内の総エネルギーに基づいて決定される。
負荷判定の前述の説明は、この方法の例示として提供される。負荷の識別方法は、変化するかもしれず、また、ヒータ性能などの回路部品の他の要素の変化に対応するように適合する必要がある場合もある。しかしながら負荷を検出するには、設定温度と温度センサによって測定された実際のチップ温度の温度差を識別することが好ましい。
図25は、負荷検出回路の簡略化された概略図である。この実施形態では、制御ステーション20は、供給電圧Vおよび供給電流Iを検出する。検出されたVおよびIから、投入エネルギーWを計算することができる(V×I=W)。制御ステーション20は、次のように、時間Sにわたる投入エネルギーWの積として、ジュールJでの熱負荷を計算する(W×S=J)。カートリッジチップにはんだ付け負荷がない場合のアイドル状態では、制御ステーション20は、所定の時間間隔でアイドル負荷Jiを測定する。負荷が検出されると、制御ステーション20は、はんだ付け負荷が加えられるSsの期間にわたって、はんだ付け熱負荷エネルギーJsを算出する。
W×Ss=Js
負荷中のエネルギーJsおよびアイドル状態のエネルギーJiから、制御ステーション20は、はんだ付け動作に使用されるジュールJtlの熱負荷を算出することができる(Js−Ji=Jtl)。この算出されたJtlは負荷に対する投入エネルギーであり、定義された負荷サイクルとして設定され得る。
図26は、負荷検出機能のためのソフトウェアのプログラム論理図である。負荷検出サイクルの“START”100は、制御ステーション20がオンになっており、カートリッジ26が電力供給されているときはいつでも、負荷検出機能が作動するように、すべての制御サイクルで開始される。ステップ102で、カートリッジチップ温度センサの温度が低下したか否かを判定する。Yesの場合、ステップ104において、制御ステーション20は、カートリッジヒータ駆動電圧Vを測定する。ステップ106において、制御ステーション20は、カートリッジヒータ駆動電流Iを測定する。ステップ108において、制御ステーション20は、カートリッジ26の必要な追加の投入エネルギーを算出する。ステップ110で、追加の投入エネルギーEがカートリッジ26に送られる。ステップ112において、制御ステーション20は、負荷が除去またはクリアされたかどうか、すなわちはんだ付け機能が完了したか否かを判定する。ステップ112において、判定がYesである場合、制御ステーション20は、はんだ付け動作のためにカートリッジ26に供給される総負荷時間と総投入エネルギーを決定する。次に、ステップ116において、制御ステーション20は、負荷のためのメモリフィールドの値を増加させる。サイクル完了後、制御ステーション20は、ENDステップ118に進む。ステップ102の判定がNoである場合、制御ステーション20は、ENDステップ118に進む。また、ステップ112において負荷状態が解除されないと、制御ステーション20は、ENDステップ118に進む。
[チップ管理機能]
図23に関して前述したように、カートリッジ26は、例えばPROM、EPROMまたはEEPROMなどのメモリ素子92を含むことができる。メモリ素子92は、変更できないカートリッジ26のタイプ(固定データ)に特有の情報を記憶するために使用され、制御ステーション20(可変データ)によってメモリに書き込まれる情報を記憶することができる。固定データは、特定のカートリッジ26の識別およびデザイン要求に固有の情報を含む。はんだカートリッジチップは、特定のはんだ付け作業のために多くの異なるデザインを持つ事ができる。したがって、カートリッジチップは、例えば、尖っていても、丸くても、三角形の、面取りされた円錐形、正方形長方形またはのみ型であってもよく、様々なサイズおよび寸法のものであってもよい。チップのデザインおよびチップの熱質量の両方は、カートリッジ26内の発熱体からカートリッジチップを介してハンダ付けされるワークへの熱の供給に影響を与える。
非常に小さいチップは、カートリッジ26の発熱体から熱エネルギーを効率的に伝達するが、その熱質量が低いということは、チップが最初にワークに接触すると、チップ温度が急速に低下し、容易に感知され、制御ステーション20に供給される電力を増加させる。比較すると、より大きいチップは、チップ温度を維持するためにより高い電力レベルを必要とするが、そのより大きなサイズ、したがってより大きな熱質量バランスによりチップがワークに接触し熱のワークへの伝達が始まった時にチップ温度はそれほど低下しない。
本発明のシステム10は、かなりの数の異なるはんだ付けおよびはんだ除去ツール、したがって多種多様な異なるヒーター形状およびカートリッジチップデザインとともに使用されるように構成されている。したがって、カートリッジ26およびカートリッジチップに関する特定の情報を記憶するカートリッジ26内のメモリ素子92のオプションを提供することが有益である。例えば、各カートリッジ26には、カートリッジ26がハンドル24に挿入され、制御ステーション20の電源が投入されたときに制御ステーション20によって読み取られる固有のシリアル番号が割り当てられてもよい。シリアル番号の第1の部分は、特定のカートリッジシリーズのモデル番号を識別し、シリアル番号の第2の部分は、モデル番号内の個々のカートリッジ26を一意に識別することができる。制御ステーション20は、制御ステーション20のメモリに記憶されたルックアップテーブルを参照して、シリアル番号の第1の部分を読み取ることができ、カートリッジ26の特定のモデル番号に共通の特性を識別することができる。例えば、特性には、設定温度ならびに最小および最大動作温度が含まれてもよい。あるいは、制御ステーション20は、カートリッジ26のシリアル番号を読み取ってもよく、次いで、制御ステーション20は、特定のカートリッジ26に関する特定の情報または操作指示のために、ホストマシン40に直接またはゲートウェイボックス30を介して問い合わせることができる。
カートリッジ26のメモリ素子92は、カートリッジ26およびそのこて先に関する様々な情報でプログラムされてもよい。例えば、メモリ素子92は、先端形状、制御ステーション20が特定のカートリッジモデルに対してカートリッジ26に使用すべき設定温度、カートリッジ26に特有のオフセット温度、「使用した負荷」はカートリッジ26がコンポーネントをはんだ付けするために使用された回数を反映した数、カートリッジ26のために合計の“電源投入”時間をメモリにプログラムされてもよい。メモリ素子92は、また、はんだ付け作業に使用される平均エネルギーを記録するようにプログラムされてもよく、制御ステーション20が特定のはんだ付け動作を監視するために使用されるはんだ付けパラメータのユーザプログラミングを可能にしてもよい。
制御ステーション20は、それ自体のプログラミングに基づいて、または、ホストマシン40に命令を問い合わせることによって、カートリッジ26のメモリ素子92の情報を読み取ることができ、メモリ素子92からプログラムされたデータを利用して、特定のカートリッジ26へ電力の供給制御や使用を制御する。例えば、制御ステーション20は、カートリッジ26の設定温度データを読み取り、オペレータの設定温度を設定して表示することができる。設定温度は、カートリッジ26が製造されるときに設定されてもよいし、特定のはんだ付け作業またははんだのために制御ステーション20を使用してオペレータによってプログラムされてもよい。設定温度は、制御ステーション20に指示を与えるホストマシン40によって設定することもできる。カートリッジ26の特定のモデルシリーズは全て同様の設定温度を有することができるが、それぞれのこて先は特有である可能性もあり、例えば、その使用履歴のために、電源投入時の先端の温度が設定温度と異なる場合がある。したがって、こて先温度センサまたは外部温度計に基づいて実際の先端温度を比較することによって、制御ステーション20は、特定のカートリッジ26のオフセット温度を決定することができる。オフセット温度は、メモリ素子92に記録され、標準チップ温度電力レベルをオフセットチップ温度電力レベルに調整する事に用いられる。
メモリ素子92は、また、カートリッジ26に加えられた全負荷時間およびカートリッジ26の総作動時間の記録を維持してもよい。これらのカウントのデータを使用してホストマシン40にアップロードすることができる。この情報は、繰り返しはんだ付け作業に使用される特定のカートリッジ26に対する寿命予測のベースラインを確立し、カートリッジ26が早期に故障する時を認識するのに有用であり得る。特定のカートリッジモデルに対してベースラインが確立されると、制御ステーション20またはホストマシン40は、交換カートリッジが予想される耐用年数の終わりに近づいていることを認識することができる。
メモリ素子92は、また、カートリッジ26が最初に鉛入りはんだを使用した時に作動する「鉛はんだ」フラグを含み得る。「鉛はんだ」フラグは、鉛フリーでなければならないワークの相互汚染を回避するように、鉛を含有するはんだを以前に使用した特定のカートリッジ26を使用しないように作業者に警告するため、制御ステーション20によって使用されてもよい。メモリ素子92の情報は、制御ステーション20に、視覚信号またはオーディオ信号のいずれかによってオペレータに警告を出力させるために使用されてもよく、オペレータが警告信号に肯定的に肯定応答するまで、オペレータが特定のカートリッジ26を使用するのを防止するために使用されてもよい。例えば、制御ステーション20は、警告を出すことができ、制御ステーション20によって「鉛はんだ」フラグが読み取られた場合、カートリッジ26に電力を供給することができない。その場合、オペレータは、「鉛はんだ」警告を確認し、ボタン56A〜56Dのいずれかを有効にしてカートリッジ26の電源を入れても良いことを制御ステーション20に確認する。「鉛はんだ」フラグは、どの制御ステーション20でも読み取られる事が特に重要で、制御ステーション20が最初にフラグを作動させてなかったとしても、ワークステーション(作業場所)の間でカートリッジ26を借りた場合や交換した場合に偶然にワークを相互に汚染する事がない。好ましくは、「鉛はんだ」フラグは、一旦作動されると、偶然または意図的にリセットすることができないメモリ素子92内のメモリの一部に書き込まれることが好ましい。
制御ステーション20またはホストマシン40のための例示的なカートリッジチップ管理プログラムが図27Aおよび図27Bに示されている。カートリッジチップ管理プログラムの「開始」200は、新しいカートリッジ26がハンドル24に挿入されると開始され、制御ステーション20の電源が入る。カートリッジチップ管理プログラムの「開始」200は、制御ステーション20またはホストマシン40にプログラムされたスケジュールで定期的に起動することもできる。
ステップ202では、カートリッジこて先が取り外されたか交換されたかあるいはグリップが制御ステーション20に接続されていないかを検出するハンドルエラーまたはカートリッジセンサーエラーの結果、制御ステーション20がリセットされているかどうかが判定される。ハンドルエラーやセンサーエラーが発生し、その後エラーが訂正されシステムがエラーから復帰し、制御ステーション20を最初に電源が入った時、プログラムはステップ204に進み、制御ステーション20はメモリ素子92に記憶されたデータを問い合わせる。ステップ206において、制御プログラムは、メモリ素子92からのデータが、“鉛はんだ”フラグが含まれているかを決定する。イエスならば、プログラムはステップ208に進み、プログラムは制御ステーション20上に表示または警報を出力して、カートリッジ26が鉛はんだと共に使用されたことをオペレータに知らせる。
ステップ202またはステップ206において、判定が否定である場合、ステップ208の後、プログラムはステップ210に進む。ステップ210で、プログラムは、カートリッジ26の設定温度を読み取るコマンドがあるかどうかを判定する。ステップ210での判定がイエスであれば、プログラムはステップ212に進み、プログラムは制御ステーション20の設定温度をカートリッジ26のメモリ素子92から検索された設定温度に変更する。ステップ212の後、またはステップ210での判定が否定である場合、プログラムはステップ214に進む。
ステップ214で、プログラムは、オフセット温度を読み取る命令があるかどうかを判定する。そのようなコマンドがあれば、メモリ素子92からオフセット温度が読み取られ、次いでプログラムはステップ216に進み、プログラムはメモリ素子92から検索されたオフセット温度値を用いて制御設定温度を変更する。ステップ216の後、またはステップ214の否定判定のときには、ステップ218に進む。ステップ218で、プログラムは、更新された設定温度をメモリ素子92に書き込むコマンドがあるかどうかを判定する。判定がYESである場合、プログラムはステップ220に進み、制御ステーション20は、ハンドル24を介してコマンドを送信する メモリ素子92に記憶されているカートリッジ26の設定温度を更新するようにカートリッジ26に指示する。ステップ220の後、または、ステップ218の否定判定の後、プログラムはステップ222に進む。ステップ222において、プログラムは、新しいオフセット温度値を書き込むよう指示があるかどうかを判定する。そのような指示があれば、プログラムはステップ224に進み、プログラムはオフセット温度の新しいデータをハンドル24を介してカートリッジ26内のメモリ素子92に送る。ステップ224の後、または、ステップ222で否定の判定の後、プログラムはステップ226に進む。
ステップ226では、タイミング機能が開始され、プログラムは1分が経過したかどうかを判断する。1分が経過したと判断し、カートリッジ26が制御ステーション20によって電源が投入された1分毎に、プログラムはステップ228で機能を実行して、メモリ素子92の「電源投入」データフィールドの次の1分の増加を更新する。ステップ228の後、または、ステップ226で否定の判定の後(1分がタイムアウトしていないとき)には、プログラムはステップ230に進む。ステップ230では、カートリッジ26ははんだ付け事象に等しい負荷がかかったかが判断される。はんだ付け事象が発生したと判定された場合、カートリッジ26が経験したエネルギー負荷に基づき、プログラムはステップ232へと進む。ステップ232において、プログラムはメモリ素子92に負荷回数を更新する。ステップ232の後、または、ステップ230における否定の判定の後、プログラムはステップ234に進み、チップ管理プログラムを終了する。
前述のプログラム記述は単なる例示であり、メモリ素子92に格納された他のデータ要素を利用するためにチップ管理プログラムの追加の機能を組み込むためのサブルーチンを補足することができる。
[自動温度調整および校正記録]
図23のシステム10は、制御ステーション20に接続されたハンドル24内に取り外し可能に挿入されるカートリッジ26を示す。上述のように、カートリッジ26は、任意の数のこて先形状を有することができる。しかしながら、一般に、各カートリッジ26は、加熱要素と温度センサとを含む。温度センサは、こて先温度を正確に監視しようとするために、一般にこて先の内側および近傍に位置する熱電対であってもよい。温度センサにおける温度は、熱電対の起電力に基づいて制御ステーション20によって決定される。
図23は、また、制御ステーション20およびカートリッジ26の外部の一対の温度計80を示す。温度計は、図23に示すように、変換ボックス86を介して制御ステーション20に直接接続された配線であってもよい。あるいは、温度計80は、赤外線、光学的、Bluetooth(登録商標)または無線周波数データリンクを介して制御ステーション20に送信する。外部温度計80によって感知された温度は、カートリッジ26のチップ内部の温度センサの精度を監視するために使用されてもよい。電源が投入されたチップカートリッジの温度計80によって測定された温度が、カートリッジ26内の温度センサによって決定される温度と異なる場合、制御ステーション20はカートリッジ26の設定温度を更新する。
さらに、2つの温度測定値の差によって、制御ステーション20がカートリッジ26内のメモリ素子92に記録することができる調整値が提供される。制御ステーション20は、また、カートリッジ26内のメモリ素子92に校正結果データを記録し、校正結果データをホストマシン40に報告することもできる。
制御ステーション20は、受け入れ可能なオフセットの大きさに関するプログラムされた制限パラメータを含むことができる。したがって、制御ステーション20は、固定された数、例えば10度、50度またはさらには100度よりも大きなオフセットを許容しないことができる。
図28は、カートリッジ26のオフセット温度を更新するための基本的なプログラム論理図のステップを示す。開始ステップ300において、制御ステーション20は、オフセット温度決定モードで動作するように制御され、カートリッジ26は制御されたレベルで電力供給され、プログラムはステップ302に進む。ステップ302において、制御ステーション20は、温度計80からカートリッジチップ温度信号を受信しているか決定する。ステップ302での判定がYESの場合、プログラムはステップ304に直接進むか、任意のステップ303に進む(不図示)。ステップ303(不図示)のケースは、温度計80が制御ステーション20に接続されているとき温度計80からの温度信号がカートリッジ26内の温度センサで接続された温度の許容範囲にあるかを判定する。
温度計80からの温度信号が、許容範囲内にない場合、制御ステーション20は、温度計80がこて先カートリッジ温度を実際に測定していないことを感知し、ステップ312まで進む。しかし、ステップ302において、温度計80が測定したチップ温度が適切な範囲内にある場合、温度計測定値は受け入れられ、プログラムはステップ304に進む。ステップ304において、制御ステーションは、温度計80によって決定されたチップ温度を、カートリッジ温度センサから求めた温度と比較しオフセット値を算出する。カートリッジ温度センサの性能および精度が経時的に低下する可能性があるので、オフセット値は正数または負数であってもよいことに留意されたい。
ステップ304の後、プログラムはステップ306に進み、オフセット値が許容範囲内にあるかどうかの判定が行われる。ステップ306でオフセット値が許容範囲内にある場合、プログラムはステップ308に進み、制御ステーション20は新しいオフセット値を確認し、カートリッジ26のメモリ素子92に新しいオフセット値を書き込む。ステップ306でオフセット値が許容範囲外であると判定された場合、プログラムはステップ310に進む。ステップ310では、範囲外オフセット値は破棄され、制御ステーション20はオフセット値が許容できないことをオペレータに警告する。例えば、50度を超えるオフセット値は、許容範囲外であるとみなされ、制御ステーション20は、カートリッジ26が不良であるという表示を表示することができる。308または312の完了後、および、ステップ302で否定の判定が行われた後、プログラムはステップ312に進み、そこでプログラムは終了する。
前述のプログラム記述は単に例示的なものであり、温度計80およびメモリ素子92に記憶されたデータ構成要素の追加の機能を組み込むためのサブルーチンを補足することができる。
[モーションセンサ]
図23に表されるシステム10のハンドル24は、好ましくは加速度センサ34を含む。加速度センサ34は、好ましくは6軸加速度センサで、ハンドル24、すなわちカートリッジ26のあらゆる動きを反映させて制御ステーション20に出力信号を提供する。制御ステーション20は、加速度センサ34により提供されたデータ信号を使用し、カートリッジ26の動作やオペレータの使用をモニターできる。故に、予め決められた時間(たとえば1分)に制御ステーション20が加速度センサ34の動きを示す信号を受けなかった場合、制御ステーション20は工具が使用されていないと判断し、電力保存の為、あるいはこて先寿命を延ばすためパワーを下げるか「スリープ」モードに移行できる。
代替的に、加速度センサ34がハンドル24の自由落下を示す信号を提供した場合、制御ステーション20は、直ちにカートリッジ26への電力を切ることができる。あるいはさらに、制御ステーション20は、加速度センサ34から提供されたデータを使用し、オペレータがカートリッジ26のこて先をクリーニングしていると結論付けることができる。これは加速度センサ34の動きが典型的な半田付けの動作と違い、クリーニングパッドへのブラシストロークを示すからである。
図29はスリープまたはシャットオフモードに制御するため加速度センサのデータを使用する、基本的なプログラムの論理ダイアグラムのステップを表す。加速度センサプログラムは、制御ステーション20がONになっている間、定期的に起動する。代替的に、プログラムは一定の時間間隔(例えば30秒)、制御ステーション20が加速度センサ34からデータ信号を受信しなかった場合起動することができる。プログラムは「スタート」ステップ400で開始し、ステップ402に進む。ステップ402では加速度センサ34が実行可能な状態かを確認する出力信号を提供するため、制御ステーション20が加速度センサ34にコマンドクエリ信号(問合せ指令信号)を送る。プログラムは次にステップ404に進み、加速度センサ34から実行信号を受信したかを判断する。
信号が受信されない場合、プログラムは実行信号を受信するまでステップ404を繰り返し行い、受信するとステップ406に移行する。ステップ406では、制御プログラムは加速度センサ34のハンドル24の動きを示す信号をモニターする。ハンドル24の動きを示す信号を受信すると、プログラムはステップ408に進み、プログラムはスリープまたは自動シャットオフタイマーを再起動させ、プログラムは終了ステップ414に進む。しかしながら、ステップ406で制御ステーション20がハンドル24の動きを示す信号を一定時間受信しなかった場合(例えば30秒や60秒)、プログラムはステップ410に進んでもよく、一定時間のタイマーがタイムアウトしたかどうかの判定が行われる。
タイムアウトしていない場合、システムはステップ406に戻り、タイムアウトした場合、動きがないため使用していないと仮定され、プログラムはステップ412にすすみ、カートリッジ26への電力をオフにする。ステップ412からステップ414に進み、ステップ406でカートリッジ26への電力を再開する加速度センサ34により一定時間スリープモードから起動されなかった場合、スリープを継続する。
上記のプログラムの記述は単に説明的で、加速度センサ34の更なる機能を取り入れるサブルーチンにより補足されうる。例えば、9.8m/s2に等しい加速度センサ34の信号をモニターし、ハンドル24の自由落下を反映し、直ちにカートリッジ26の電力を停止するなどである。
[モノのインターネット(IoT)適合性]
図23に示されるシステム10は、制御ステーション20、ゲートウェイボックス30およびホストマシン40を含む。図示されるように、システム10は、バーコードリーダ82およびRFIDリーダー84を含むセンサ装置28を含むこともできる。
リーダー82および84は、例えば、回路基板、電気部品、またはオペレータがはんだ付けしている電気部品または装置のワークと同様、はんだ付け装置上または内部のバーコードまたはRFIDタグをスキャンまたは読み取るために使用されてもよい。ワークは、リーダー82および84のうちの1つによって読み取り可能な固有のシリアル番号を有し、シリアル番号が制御ステーション20およびホストマシン40に報告されてもよい。ホストマシン40、および必要に応じて制御ステーション20は、ワークのシリアル番号に関連するはんだ付けの記録を保持することができる。
ゲートウェイボックス30は、ホストマシン40への多数の個々の制御ステーション20の相互接続を可能にする。図示のように、ゲートウェイボックス30は、8つのデータポートを含み、8つの制御ステーション20、20−2、20−3、20−4などへの接続を可能にする。ホストマシン40に報告される制御ステーション20の数が増加すると、ホストマシン40は、制御ステーション20、カートリッジ26内のメモリ素子92、およびセンサ装置28から相当量の情報を収集することができる。
図30は、システム10のコンポーネントおよびシステム10内の通信を提供するそれらの主要サブコンポーネントのブロック図を提供する。図示のように、制御ステーション20は、中央処理ユニット(CPU)500、インターフェースコンバーター502、赤外線受信機504、RFIDリーダー506、および少なくとも1つのデータポート508を含むことができる。ゲートウェイボックス30は、CPU510と、インターフェースコンバーター512と、イーサネットインターフェース514とを含む。インターフェースコンバーター512は、複数のデータポート508に接続されるように構成されており、これにより、多数の制御ステーション20や、例えばブロワー、排気ファンおよび除去器などの関連するはんだ付けシステム装置との接続が可能になる。ホストマシン40は、関連メモリを伴うCPU520、インターフェースボード522、出力ボード524、データポート526、および、モニタ530、キーボード532、マウスまたはトラックパッド534、オーディオシステム536などのインタラクティブ装置528も含む。
図30のブロック図に概略的に示されるように、制御ステーション20のCPU500は、制御ステーション20のインターフェースコンバーター502、データポート508、データポート508に接続されたワイヤーハーネス、および、ゲートウェイボックス30のインターフェースコンバーター512を介してゲートウェイボックス30のCPU510に接続されてもよい。ゲートウェイボックス30は、CPU510内で多数の制御ステーション20からの信号を処理し、イーサネットインターフェース514、データポート516、ホストマシン40のデータポート526につながるイーサネットケーブル、ホストマシン40のインターフェースボード522を介してホストマシン40にデータを出力する。インターフェースボード522はCPU520に接続され、制御ステーション20からのデータを処理し、そのデータをその関連メモリに格納する。インタラクティブ装置528は、オペレータがホストマシン40にしたがって制御ステーション20と相互作用することを可能にする。
図30に概略的に示されているように、カートリッジ26のハンドル24、またはカートリッジ26自体は、インターフェース552を介したハードワイヤ接続を通じるか、制御ステーション20の赤外線受信機504と通信する赤外線送信機554を使用して制御ステーション20との通信を許可するため、インターフェース552を通じての有線接続または赤外線送信機554に接続されたCPU550を含むことができる。上記のカートリッジ26のハンドル24またはカートリッジ26自体の制御ステーション20とのデータ通信は赤外線以外のRFIDなどの他の無線通信手段であってもよい。同様に、温度計80はインターフェース562を介したハードワイヤ接続か、または制御ステーション20の赤外線受信機504と通信する赤外線送信機564使用して、制御ステーション20との通信を許可するため、CPU560とインターフェース562または赤外線送信機564を含むことができる。温度計80の無線通信も赤外線以外の無線通信手段であってもよい。
制御ステーションバーコードリーダー82およびRFIDリーダー84および温度計80の外部は、変換ボックス86を介して制御ステーション20に接続されると、図30に概略的に示される。ただし、変換装置86は制御ステーション20内の基板であってもよい。
図30のシステム10の概略図は、システム10の相互通信能力、およびシステム10によってサポートされ、IoTと相互作用するはんだ付け動作および構成要素に関するデータの通信を示す。例えば、オペレータがバーコードまたはRFIDデバイスを含むワークまたはデバイス上で作業を開始すると、オペレータは、適切なスキャナ82または84でワークまたはデバイスをスキャンし、制御ステーション20がデバイス識別し、ホストマシン40に報告できる。ホストマシン40が、ワークまたはデバイスに8つのはんだ付けがあることを予測するようにプログラムされている場合、ホストマシン40は、オペレータに直接または制御ステーション20を介して警告を出力し、8つのはんだ付け作業の各セットの後に次のワークまたはデバイスをスキャンするようオペレータに促す。
ホストマシン40がはんだ付けされるワークまたはデバイスを識別するデータを備えている場合、ホストマシン40は、特定のワークに必要なはんだ付けステップを通じてオペレータをガイドするワークステーションのモニタ530に出力を提供することができる。はんだ付け動作中、制御ステーション20は、各はんだ付け動作に関する情報を記録し、ホストマシン40に情報を報告する。例えば、制御ステーション20は、上述のようにカートリッジ26に加えられた負荷に基づいて8つのはんだ付けイベントを識別し、各はんだ付けが成功したことを確認することができる。また制御ステーション20は、例えば、バーコードまたはRFIDデバイスによって識別された特定カートリッジ26の使用をホストマシン40に報告し、データを記録し、カートリッジ26のメモリ素子92内の使用データを更新するため、制御ステーション20に出力命令を与える。オペレータがワークまたはデバイス上のはんだ付けを完了し、はんだ付けされる次のワークをスキャンすると、ホストマシン40は、8つの必要なはんだ付けが完了したことを確認するデータを持つ。
後続ワークのはんだ付けプロセス中に、制御ステーション20が7つのはんだ付けのみをホストマシン40に提供する場合、ホストマシン40は、例えば、8つのはんだ付けタスクを実行するよう、画面または音声で促し、オペレータに警告するようプログラムされてもよい。また、ホストマシン40は、シリアル番号に基づいて特定のワークに関連する各はんだ付けタスクのデータを記録することができ、そのため、その後の試験や使用の際に不具合やサービスの問題が発生した場合には、ワークに行われたはんだ付け作業をリコールすることができる。
制御ステーション20およびホストマシン40の通信能力は、予想されるはんだ付け、使用されるまたははんだ付けされる材料、カートリッジ26に関する情報と共に制御ステーション20を効率的にプログラムするために使用されてもよい。
例えば、新規プロジェクトまたは生産サイクルの開始時に、ホストマシン40は、はんだ付けされるワークの回路上の設計制約により、特定のタイプのカートリッジ設計を使用するように各制御ステーションを指示し、カートリッジ26の最小および最大動作温度だけでなく、特定の設定温度を提供することもできる。
また、ホストマシン40は、各カートリッジ26のオフセット温度要件の記録を保持することができるので、例えばシリアルナンバーに基づき、カートリッジ26が制御ステーション20間で共有される場合、各制御ステーション20は、カートリッジ26にメモリ素子92がない場合でも、特定のカートリッジ26のオフセット温度要件に対する更新を受け取ることができる。あるいは、ホストマシン40はチップシリアル番号またはチップ形状を受信または認識することによって、特定のチップに対するオフセット温度要件の記録を維持し、回収することができる。あるいは、ホストマシン40は、特定のはんだ付けタスクと特定のカートリッジ設計に必要な電力量が5〜10ジュールの範囲であることを制御ステーション20に通知することができる。制御ステーション20またはホストマシン40が、はんだ付け動作中にその範囲外の電力使用を識別する場合、制御ステーション20は、はんだ付け動作もしくはカートリッジ26自体の欠陥をオペレータに警告することができる。また、所定の電力使用量は、制御ステーション20に表示されてもよく、トレーニングプロセスにおいても有益であり、新人オペレータは、はんだ付け動作の進行状況を確認できる。
システム10のIoT互換性とホストマシン40によって管理されるデータとは、オペレータおよびエンドユーザに大きな利益を提供する。例えば、前述の例の8つのはんだ付けの各々に関連するはんだ付けデータがホストマシン40に記録される場合、データは、バーコードまたはRFIDデバイスによって特定された特定のデバイスに後続の欠陥や不良が発生した場合にリコールおよびレビューされ得る。制御ステーション20が使用されている施設については、システム10のIoT互換性を使用して、特定の制御ステーション20またはオペレータの生産速度を監視することができる。この情報はまた、有能なオペレータが訓練を提供することによって新人オペレータの訓練を支援するために使用される。また、ホストマシン40は、種々の異なるカートリッジ26のライフサイクルに関する情報を保持し、交換を命じるべきタイミングを識別することができる。上記の例で述べたように、ホストマシン40は、ワークが新しい要求、要件または制限を有する場合、多数の制御ステーション20を効率的に更新して、設定温度および温度範囲などの制御パラメータを書き換えることができる。ホストマシン40は、多数の制御ステーション20に接続し、データを受信することができるので、ホストマシン40は、非効率的または不適切に動作する制御ステーション20を識別するようプログラムされてもよい。
システム10のIoT互換性とホストマシン40によって管理されるデータはまた、システムコンポーネントのサプライヤーに大きな利益を提供する。例えば、ホストマシン40がインターネットに接続されている場合、ホストマシン40は、カートリッジ使用データをシステムのサプライヤーに報告し、製造プロセスにおいて有用であり得るフィードバックを提供し、カートリッジ交換要件を識別することができる。また、制御ステーション20のソフトウェア更新は、更新を効率的に実施するため、インターネットを使用してホストマシン40に配信されることができる。
図30に示されるシステム10の制御ステーション20、ゲートウェイボックス30、ホストマシン40、インタラクティブ装置528、変換ボックス86、温度計80、及びハンドル24とカートリッジ26のデータの相互通信は有線であってもよいし、無線であってもよい。
本発明は、図に関連して詳細に説明されてきたが、システムは他の構成要素を含み、他の機能を可能にすることができることを理解すべきである。当業者は、上述の開示は、例示及び仕様のためのものであり、図は本発明を説明するために提供され、本発明を実施する可能性のあるモードを制限するものではないと理解するであろう。本発明の範囲は、添付の請求項およびそれに相当する等価物によってのみ定義される。
米国仮出願のクレームには、以下の記載がされている。
(1)電気装置の半田付け及び半田除去に使用するシステムで、以下を含むシステム:
中央プロセスユニットとオペレーションプログラムを含む制御ステーションであって、前記制御ステーションは、さらに、前記制御ステーションをホストマシンに接続されることを可能にする出力インターフェイスを含み、それが前記制御ステーションがホストマシンに操作データを出力し、指令をホストマシンから受け取ることを可能にし;
ケーブルアセンブリ;
前記ケーブルアセンブリにより前記制御ステーションに接続されるハンドル;
前記ハンドルにより通電され、前記ハンドルに着脱可能に挿入されるカートリッジで、前記カートリッジはカートリッジの使用に特有の情報を保存するメモリ要素を含む。
(2)上記(1)によるシステムであって、前記制御ステーションは、さらに
ディスプレイ、制御ボタン、電源スイッチおよびソケットを含むフロントパネルと電源ソケット、コネクタポート、回路基板ドックを有するリアパネルとを有するケースからなり、
前記回路基板ドックは標準コネクタ基板、変換用ボード、USB用ボードまたはLAN用ボードのうち少なくとも1つの、または制御自動化テクノロジーのイーサネット、産業用イーサネットプロトコル、CAN、UARTやI2C、SPIのいずれかのボードを受けるよう形成されている。
(3)上記(1)によるシステムであって、複数の第一コミュニケーションポートと少なくとも一つの第二コミュニケーションポートを有するゲートウェイボックスからなり、前記複数の第一コミュニケーションポートの少なくとも一つは前記制御ステーションと前記ゲートウェイボックスに接続され、第二コミュニケーションポートはホストマシンに接続され、それにより前記ゲートウェイボックスは制御ステーションからホストマシンに接続される。
(4)上記(1)によるシステムで、前記ハンドルは加速度センサを含み、前記加速度センサは前記ケーブルアセンブリを通じて前記制御ステーションに加速度データを出力し、前記制御ステーションはカートリッジの不使用や動きをモニタするために前記加速度データを使用するプログラムを含み、制御ステーションが予め決められた時間の間、前記加速度センサから動きを示す信号を受信しなかった場合、制御ステーションはカートリッジが使用されていないと判断し、加速度センサが前記ハンドルの自由落下を示す加速度データを提供した場合、前記制御ステーションはカートリッジへのパワーを直ちに遮断し、加速度センサにより提供された加速度データが典型的な半田付け操作の動きとは違いブラシストロークを示した場合、制御ステーションはクリーニング操作を認識する。
(5)上記(1)によるシステムで、カートリッジ特有の情報を保存する前記メモリ要素は以下のグループのみ(consisting of)から選択されるカートリッジ特有の前記情報のためのデータフィールドを含む;カートリッジシリアルナンバー、カートリッジこて先形状データ、工場設定温度データ、プログラムされた設定温度データ、温度オフセット値データ、与えられた負荷カウントデータ、合計通電時間データ、合計はんだオペレーションデータ、鉛入りはんだ使用のデータ。
(6)上記(1)によるシステムで、さらに前記制御ステーションに温度データを提供するよう形成された温度計からなり、特定のカートリッジのオフセット温度を計算するため前記制御ステーションは前記温度計からの前記温度データを使用するためのプログラムを有する。
(7)上記(1)によるシステムで、前記制御ステーションに接続された少なくとも1つのセンサ装置を更に含み、前記少なくとも1つのセンサ装置は温度計、バーコードリーダー、RFIDリーダーのみの(consisting of)グループから選択される。
(8)上記(1)によるシステムで、半田付けされるワークピースに関連する半田付けオペレーションデータをホストマシンに報告するため、前記制御ステーション内のプログラムに半田付けされるワークピースのバーコードまたはRFIDタグをスキャンする、前記制御ステーションに接続されたバーコードリーダーまたはRFIDリーダーをさらに備える。
(9)上記(1)によるシステムで、前記制御ステーションは前記カートリッジに送られるパワーをモニターするプログラムをさらに備え、前記カートリッジにより経験されたエネルギー負荷に基づきそれぞれの半田付けオペレーションの完了を識別する。
(10)はんだ付け作業に使用するためのシステムであって、以下の構成を持つ。
少なくとも1つの制御ステーションであって中央処理装置と関連回路と、ディスプレイ、制御ボタン、電源スイッチとソケットを含むフロントパネルおよび電源ソケット、コネクタポートと基板ドックを持つリアパネルを備えたケースを有し、前記回路基板ドックは、少なくとも一つの標準コネクタボード、変換ボード、USB接続ボードまたはLANボード、または制御自動化テクノロジーのイーサネット、産業用イーサネットプロトコル、CAN、UARTやI2C、SPIのいずれかのボードのうち少なくとも1つを受け入れるように構成され、
ゲートウェイボックスであって、中央演算処理装置、インターフェース変換器とイーサネットインターフェースとを有し、双方は中央処理装置と協働し、前記ゲートウェイボックスは複数の制御ステーションへの接続を可能にする複数のデータポートを備え、
ホストマシンであって前記ゲートウェイボックスに電気的に接続され、前記ホストマシンは、はんだ付け作業およびカートリッジ使用に関する情報を受信、処理および記憶するための中央処理装置および関連メモリを備え、
前記制御ステーションの前記ソケットに係合するように構成された基端部と、カートリッジを受け入れるためのハンドルに終端する先端部とを有し、前記ハンドルが前記ケーブルアセンブリによって前記制御ステーションに接続されているケーブルアセンブリと、
少なくとも1つのはんだ付けカートリッジであってハンドル内に着脱可能に挿入及び電力供給され、前記カートリッジに固有の情報を記憶する記憶素子を含み、前記記憶素子に記憶するカートリッジに特有の前記情報は、カートリッジシリアル番号、カートリッジチップ形状データ、工場設定温度データ、プログラム設定温度データ、温度オフセット値データ、適用負荷カウントデータ、総電力時間データ、総はんだ作業データ、および鉛はんだ使用のデータ(のみ)からなるグループから選択される。
(11)上記(10)によるシステムであって、前記カートリッジの前記メモリ要素は、カートリッジシリアル番号、カートリッジ先端形状データ、および工場設定温度データ(のみ)からなるグループから選択された前記カートリッジに固有の情報の固定データメモリと;プログラム設定温度データ、温度オフセット値データ、適用負荷カウントデータ、総通電時間データ、総はんだ付け作業データ、及び鉛はんだ使用データ(のみ)からなるグループから選択されたカートリッジの使用履歴に特有の情報の可変データメモリとを含む。
(12)上記(10)によるシステムであって、前記カートリッジの前記メモリ要素は、カートリッジのシリアル番号、カートリッジ先端形状データ、を含む前記カートリッジに固有の情報のためのデータフィールドを有する固定データメモリを含み、プログラムされた設定温度データ、温度オフセット値データ、適用負荷カウントデータ、総電力時間データ、総はんだ付け作業データ、および鉛はんだデータの使用を含むカートリッジの使用履歴に特有の情報のためのデータフィールドを有する可変データメモリを含む。
(13)上記(10)によるシステムであって、前記ハンドルは加速度センサを含み、前記加速度センサは、前記ケーブルアセンブリを介して前記制御ステーションに加速度データを出力し、前記制御ステーションは、前記加速度データを使用して前記カートリッジの不使用および動きを監視するプログラムを含み、前記制御ステーションが、前記加速度センサからの所定の時間の動きを示す信号を受信しない場合、前記カートリッジが使用されていないと判断し、前記カートリッジをパワーダウンするか、前記加速度センサが前記ハンドルの自由落下を示す加速度データを提供する場合、前記制御ステーションは、前記カートリッジへの電力を直ちに遮断するか、または前記加速度センサによって提供される加速度データが、はんだ付け動作の典型的な動作に対抗してブラシで拭う動きである場合、制御ステーションはクリーニング動作を認識する。
(14)上記(10)によるシステムであって、前記制御ステーションは、前記カートリッジに供給される電力を監視し、前記カートリッジが受けるエネルギー負荷に基づいて各はんだ付け作業の完了を識別するプログラムをさらに備え、前記プログラムは、前記メモリ素子に、適用された負荷カウントデータ、合計電力供給時間データおよび合計はんだ付け作業データのうちの1つまたは複数を更新する書き込み命令をさらに提供する。
(15)上記(14)によるシステムであって、前記制御ステーションの前記プログラムは、各はんだ付け作業の完了を示すカートリッジ使用データ信号を前記ホストマシンに出力する。
(16)上記(10)によるシステムであって、前記制御ステーションに温度データを提供するように構成された温度計をさらに備え、前記制御ステーションは、前記温度計からの前記温度データを使用して特定のカートリッジのオフセット温度を計算するプログラムを有する。
(17)上記(10)によるシステムであって、前記制御ステーションに接続された少なくとも1つのセンサデバイスをさらに備え、前記少なくとも1つのセンサデバイスは、温度計、バーコードリーダ、およびRFIDリーダからなるグループから選択される。
(18)上記(10)によるシステムであって、さらに前記はんだ付けされるべきワークピースのバーコードやRFIDタグをスキャンするための前記制御ステーションに接続されたバーコードリーダーまたはRFIDリーダーを持ち、前記制御ステーション内のプログラムが、ワークピースに関連したはんだ付け作業のデータをホストマシンに報告する事を可能にする。
(19)はんだ付けシステムで使用するための制御ステーションであって、
中央処理装置(CPU)であって、ディスプレイ、制御ボタン、電源スイッチとソケットを有するフロントパネルおよび電源ソケット、コネクタポート、回路基板ドックとを有するリアパネルを有するケース内の動作プログラム及び関連する回路を持ち、前記回路基板ドックは、標準コネクタボード、変換ボード、USBコネクタボードまたはLANボードまたは制御自動化テクノロジーのイーサネット、産業用イーサネットプロトコル、CAN、UARTやI2C、SPIのいずれかのボードのうちの少なくとも1つを受け入れる様に構成され、
前記制御ステーションがホストマシンに接続され、前記制御ステーションが前記ホストマシンにはんだ付け作業データを出力し、前記ホストマシンから命令を受け取ることを可能にする出力インターフェースと、
前記動作プログラムには、カートリッジの不使用および移動を監視するための加速度データを利用するプログラム、外部温度計からの温度データを使用して特定のカートリッジのオフセット温度を計算するプログラム、カートリッジに伝達された電力を監視し、カートリッジによって経験されたエネルギー負荷に基づいて各はんだ付け作業の完了を特定するプログラム、カートリッジのメモリ要素に書き込み命令を提供して、適用された負荷カウントデータ、合計電力供給時間データおよび合計はんだ付け作業データを記憶素子に書き込む命令をするプログラムを有する。
(20)上記(19)による制御ステーションであって、赤外線温度計からの温度データ提供するために前記CPUに接続された赤外線受信器、バーコードを読み取る為のバーコードリーダー、およびRFIDデータを読み取る為のRFIDリーダーをさらに備え、前記RFIDリーダは前記CPUに接続されていることを特徴とする。
(実施形態の纏め)
実施形態の第1局面に係るはんだこて制御装置は、はんだこてと電気的接続が可能であり、前記はんだこてのこて先の温度を制御するはんだこて制御装置であって、前記はんだこては、ハンドル部と、前記ハンドル部に対して取り付けおよび取り外し可能にされ、前記こて先および不揮発性メモリを有するカートリッジと、を含み、前記不揮発性メモリは、前記カートリッジが鉛含有はんだ専用であるのか、鉛フリーはんだ専用であるのかを示す専用情報を記憶しており、前記はんだこて制御装置は、前記はんだこて制御装置を前記鉛含有はんだに対して使用するのか、前記鉛フリーはんだに対して使用するのかを選択する入力が可能な入力部と、前記入力部を用いて、前記はんだこて制御装置を前記鉛含有はんだに対して使用する入力がされたとき、前記鉛含有はんだに対して使用する第1設定をし、前記入力部を用いて、前記はんだこて制御装置を前記鉛フリーはんだに対して使用する入力がされたとき、前記鉛フリーはんだに対して使用する第2設定をする設定部と、前記不揮発性メモリから読み出された前記専用情報を受信する通信部と、前記設定部に前記第1設定がされており、前記カートリッジが前記鉛フリーはんだ専用を示す前記専用情報であるとき、または、前記設定部に前記第2設定がされており、前記カートリッジが前記鉛含有はんだ専用を示す前記専用情報であるとき、報知する報知部と、を備える。
鉛含有はんだと鉛フリーはんだとは、融点が30℃〜40℃異なるので、鉛含有はんだと鉛フリーはんだとは、設定温度が異なる。鉛含有はんだが使用される設定(第1設定)で、鉛フリーはんだが使用されることは好ましくない。鉛フリーはんだが使用される設定(第2設定)で、鉛含有はんだが使用されることは好ましくない。適切なはんだ付けを行うためには、設定温度を変更しなければならない。
カートリッジは、鉛含有はんだに対して使用されると、このカートリッジは、鉛フリーはんだに対して使用することができなくなる。従って、鉛含有はんだ専用のカートリッジと、鉛フリーはんだ専用のカートリッジとに分けて、カートリッジは使用される。
以上より、オペレータは、はんだこて制御装置の設定とカートリッジとを正しく組み合わせる必要がある。すなわち、鉛含有はんだ専用のカートリッジが使用されるとき、はんだこて制御装置は、第1設定でなければならず、鉛フリーはんだ専用のカートリッジが使用されるとき、はんだこて制御装置は、第2設定でなければならない。
実施形態の第1局面に係るはんだこて制御装置は、はんだこて制御装置の設定とカートリッジとが間違った組み合わせのとき、報知をする。これにより、オペレータは、これらが間違った組み合わせであることを知ることができる。よって、実施形態の第1局面に係るはんだこて制御装置によれば、鉛含有はんだを使用する設定と鉛フリーはんだを使用する設定とを有するはんだこて制御装置が使用されるとき、はんだこて制御装置の設定とカートリッジとが間違った組み合わせになることを防止することが可能となる。
鉛含有はんだ専用のカートリッジと鉛フリーはんだとを用いて、はんだ付けがされると、はんだ接合部の剥離等のトラブルが発生する。この組み合わせで、はんだ付けを絶対にしてはならない。実施形態の第1局面に係るはんだこて制御装置によれば、鉛含有はんだ専用のカートリッジと第2の設定との組み合わせのとき、報知される。従って、鉛含有はんだ専用のカートリッジと鉛フリーはんだとを用いて、はんだ付けがされることを防止することができる。
ここでの不揮発性メモリは、情報を繰り返し書き込みできるタイプが望ましい。
上記構成において、前記カートリッジは、前記こて先を加熱するヒータ部をさらに有しており、前記はんだこて制御部は、前記設定部に前記第1設定がされており、前記カートリッジが前記鉛フリーはんだ専用を示す前記専用情報であるとき、または、前記設定部に前記第2設定がされており、前記カートリッジが前記鉛含有はんだ専用を示す前記専用情報であるとき、前記ヒータ部への電力供給を禁止する制御部をさらに備える。
この構成によれば、はんだこて制御装置の設定とカートリッジとが間違った組み合わせのとき、カートリッジに備えられるヒータ部への電力供給を禁止する。これにより、オペレータに対して、強制的にはんだこてを使用できないようにする。
実施形態の第2局面に係るはんだこて制御装置は、はんだこてと電気的接続が可能であり、前記はんだこてのこて先の温度を制御するはんだこて制御装置であって、前記こて先が非接触であり、かつ、前記こて先の温度が設定温度を含む所定範囲内に保たれたアイドリング状態において、前記はんだこてに供給される第1電力量を予め記憶する記憶部と、前記こて先がワークに接触することにより、前記こて先の温度が前記設定温度から所定量以上低下した負荷状態になったとき、前記負荷状態において前記はんだこてに供給される第2電力量から前記第1電力量を引いた第3電力量を測定する測定部と、を備える。
第1電力量は、アイドリング状態のときに、はんだこてに供給される電力量である。第2電力量は、負荷状態のときに、はんだこてに供給される電力量である。第3電力量は、第2電力量から第1電力量を引いた電力量である。従って、負荷状態のとき、ワークとはんだには、第3電力量で発生した熱エネルギーが加えられることになる(正確には、第3電力量で発生した熱エネルギーから、ワークとはんだから空気中に放射した熱エネルギーを引いた熱エネルギーが加えられる)。言い換えれば、第3電力量は、負荷状態において、ワークとはんだに対する熱負荷である。第3電力量が少なすぎれば、ワークとはんだが加熱不足となり、第3電力量が多すぎれば、ワークとはんだが過加熱となる。実施形態の第2局面に係るはんだこて制御装置によれば、第3電力量を測定できるので、はんだ付けのトレーサビリティを確保したい要請に応えることができる。なお、ワークとは、はんだ付けの対象となる電子部品および基板のランド(電子部品がはんだ付けされる部分)少なくとも一方を含む意味である。以下のワークもこの意味である。
上記構成において、前記測定部は、前記こて先が前記ワークと前記はんだから離れるまで、前記第3電力量を測定する。
こて先がワークとはんだから離れると、ワークとはんだには熱負荷がかからなくなるので、こて先がワークとはんだから離れるタイミングは、第3電力量の測定終了のタイミングにすることができる。こて先がワークとはんだから離れるタイミングは、例えば、負荷状態において、こて先の温度の上昇が開始したタイミングである。
上記構成において、前記測定部は、前記第1電力量の算出に用いた期間の単位で前記第2電力量を繰り返し測定し、前記第2電力量から前記第1電力量を引いた値を前記期間の単位で繰り返し算出し、前記値を積算することにより前記第3電力量を測定する。
この構成によれば、オペレータは、第3電力量の測定が終了する前に、第3電力量の途中経過を知ることが可能となる。
実施形態の第3局面に係るはんだこて制御装置は、はんだこてと電気的接続が可能であり、前記はんだこてのこて先の温度を制御するはんだこて制御装置であって、前記はんだこては、ハンドル部と、前記ハンドル部に対して取り付けおよび取り外し可能にされ、前記こて先を有するカートリッジと、を含み、前記はんだこて制御装置は、前記こて先がワークに接触することにより、前記こて先の温度が設定温度から所定量以上低下した負荷状態か否かを識別する識別部と、前記負荷状態から前記負荷状態の解消へ遷移した回数を、前記カートリッジが最初に使用されたときから累積した値である累積負荷回数を算出する算出部と、を備える。
はんだ付けをするとき、まず、こて先をワークに接触させて、ワークを加温し、次に、こて先をはんだに接触させてはんだを溶かす。はんだ付けを終了するとき、こて先をワークとはんだから離す。識別部は、こて先がワークに接触することにより、負荷状態か否かを識別する。
例えば、負荷状態からアイドリング状態に戻ったタイミングが、負荷状態の解消としてもよいし、こて先がワークとはんだから離れたタイミングが、負荷状態の解消としてもよい。
負荷状態から負荷状態の解消への遷移を、こて先への1回の負荷とする。累積負荷回数とこて先の劣化の程度とは相関する。累積負荷回数が多くなるに従って、こて先の劣化が進むので、累積負荷回数は、カートリッジの寿命の指標にすることができる。実施形態の第3局面に係るはんだこて制御装置によれば、累積負荷回数を算出できるので、オペレータは、累積負荷回数を知ることが可能となる。
上記構成において、前記カートリッジは、情報を繰り返し書き込み可能な不揮発性メモリをさらに有しており、前記はんだこて制御装置は、前記累積負荷回数を前記不揮発性メモリに書き込む命令をする命令部をさらに備える。
この構成によれば、カートリッジに含まれる不揮発性メモリに、このカートリッジについての累積負荷回数を記憶させることができる。これにより、はんだこて制御装置が、各カートリッジについての累積負荷回数を管理する必要をなくすことができる。
実施形態の第4局面に係るはんだこて制御装置は、はんだこてと電気的接続が可能であり、前記はんだこてのこて先の温度を制御するはんだこて制御装置であって、前記はんだこては、ハンドル部と、前記ハンドル部に対して取り付けおよび取り外し可能にされ、前記こて先および前記こて先の温度の測定に用いられる温度センサを有するカートリッジと、を含み、前記はんだこて制御装置は、前記温度センサが測定した温度を基にして、前記こて先の温度を設定温度に制御する制御部と、前記こて先の温度が前記設定温度に制御されている状態で、前記温度センサと別の温度測定装置が前記こて先の温度の校正に成功したか否かを校正結果として、所定の記憶部に記憶させる処理をする記憶処理部と、を備える。
こて先の温度の校正に成功するとは、温度測定装置を用いて測定されたこて先の温度が予め設定された正常範囲であることを確認することである。校正結果を保存することにより、カートリッジのトレーサビリティを確保したい要請に応えることができる。実施形態の第4局面に係るはんだこて制御装置によれば、カートリッジに含まれる不揮発性メモリに、このカートリッジについての校正結果を記憶させることができる。これにより、はんだこて制御装置が、各カートリッジについての校正結果を管理する必要をなくすことができる。
上記構成において、前記温度測定装置は、前記こて先からのリーク電流で生じるリーク電圧を測定するリーク電圧測定部を備え、前記記憶処理部は、前記温度測定装置が前記リーク電圧の校正に成功したか否かを前記校正結果として、前記記憶部に記憶させる処理をする。
リーク電圧の校正に成功するとは、温度測定装置を用いて測定されたリーク電圧が予め設定された正常範囲であることを確認することである。この構成によれば、リーク電圧を校正結果に含めることができる。
上記構成において、前記温度測定装置は、前記こて先とアースとの間の抵抗を測定する抵抗測定部を備え、前記記憶処理部は、前記温度測定装置が前記抵抗の校正に成功したか否かを前記校正結果として、前記記憶部に記憶させる処理をする。
抵抗の校正に成功するとは、温度測定装置を用いて測定された、こて先とアースとの間の抵抗が予め設定された正常範囲であることを確認することである。温度測定装置を用いて、こて先とアースとの間の抵抗を測定できたことである。この構成によれば、こて先とアースとの間の抵抗を校正結果に含めることができる。
上記構成において、前記はんだこて制御装置は、前記記憶部をさらに備え、前記記憶処理部は、前記校正結果を前記カートリッジの識別情報と紐付けて前記記憶部に記憶させる。
この構成によれば、校正結果を記憶する記憶部がはんだこて制御装置に備えられる。
上記構成において、前記カートリッジは、前記記憶部として機能し、情報を繰り返し書き込み可能な不揮発性メモリを有し、前記記憶処理部は、前記校正結果を前記不揮発性メモリに書き込む命令をする。
この構成によれば、校正結果を記憶する記憶部がカートリッジに備えられる。
実施形態の第5局面に係るはんだこて制御装置は、はんだこてと電気的接続が可能であり、前記はんだこてのこて先の温度を制御するはんだこて制御装置であって、前記はんだこてに含まれる加速度センサの出力信号を基にして、前記はんだこてが落下したか否かを判定する判定部を備える。
誤って、はんだこてが落下し、はんだこてが宙づりの状態になることがある。このとき、こて先が何かの物に接触することがある。こて先が加熱状態(言い換えれば、こて先を加熱するヒータ部に電力が供給された状態)であると、火災の原因となり、危険である。実施形態の第5局面に係るはんだこて制御装置によれば、はんだこてに含まれる加速度センサの出力信号を基にして、はんだこてが落下したか否かを判定することができる。
上記構成において、前記判定部が前記はんだこてが落下したと判定したとき、前記はんだこてに含まれ、前記こて先を加熱するヒータ部への電力供給を停止する制御をする制御部をさらに備える。
この構成によれば、はんだこてが落下したとき、ヒータ部への電力供給を自動的に停止することができる。
上記構成において、前記判定部が前記はんだこてが落下したと判定したとき、報知する報知部をさらに備える。
この構成によれば、はんだこてが落下したとき、オペレータに知らせることができる。
実施形態の第6局面に係るカートリッジは、はんだこてのハンドル部に取り付けおよび取り外しができるカートリッジであって、こて先と、前記こて先を加熱するヒータ部と、情報を繰り返し書き込み可能な不揮発性メモリと、を備え、前記不揮発性メモリは、前記こて先がワークに接触することにより、前記こて先の温度が設定温度から所定量以上低下した負荷状態について、前記負荷状態から前記負荷状態の解消へ遷移した回数を、前記カートリッジが最初に使用されたときから累積した値である累積負荷回数と、前記ヒータ部に通電した時間を、前記カートリッジが最初に使用されたときから累積した値である累積通電時間と、前記カートリッジが鉛含有はんだ専用であるのか、鉛フリーはんだ専用であるのかを示す専用情報と、のうち、少なくとも1つを記憶する領域を有する。
累積通電時間は、累積負荷回数と同様に、カートリッジの寿命の指標にすることができる。実施形態の第6局面に係るカートリッジは、累積負荷回数、累積通電時間、専用情報のうち少なくとも1つの情報を記憶する不揮発性メモリを備える。これにより、はんだこて制御装置が、3つの情報のうち、不揮発性メモリが記憶している情報について、管理する必要をなくすことができる。
実施形態の第7局面に係るはんだこて管理システムは、はんだこてと電気的接続が可能であり、前記はんだこてのこて先の温度を制御するはんだこて制御装置と、前記はんだこて制御装置とネットワークを用いて通信可能なコンピュータ装置と、を備える、はんだこて管理システムであって、前記はんだこては、ハンドル部と、前記ハンドル部に対して取り付けおよび取り外し可能にされ、前記こて先および情報を繰り返し書き込み可能な不揮発性メモリを有するカートリッジと、を含み、前記はんだこて制御装置は、前記不揮発性メモリに記憶されている前記情報を、前記ネットワークを用いて前記コンピュータ装置に送信可能な通信部を含む。
実施形態の第7局面に係るはんだこて管理システムによれば、不揮発性メモリに記憶されている情報(例えば、上述した累積負荷回数、累積通電時間)を、コンピュータ装置で管理することができる。
上記構成において、前記ハンドル部は、加速度センサをさらに含み、前記はんだこて制御装置は、前記加速度センサの出力信号を基にして、前記はんだこてが落下したか否かを判定する判定部をさらに含む。
この構成によれば、実施形態の第5局面に係るはんだこて制御装置の効果を得ることができる。
上記構成において、前記カートリッジは、前記こて先を加熱するヒータ部をさらに有しており、前記はんだこて制御装置は、前記こて先がワークに接触することにより、前記こて先の温度が設定温度から所定量以上低下した負荷状態について、前記負荷状態から前記負荷状態の解消へ遷移した回数を、前記カートリッジが最初に使用されたときから累積した値である累積負荷回数と、前記ヒータ部に通電した時間を、前記カートリッジが最初に使用されたときから累積した値である累積通電時間と、前記カートリッジが鉛含有はんだ専用であるのか、鉛フリーはんだ専用であるのかを示す専用情報と、のうち、少なくとも1つを前記不揮発性メモリに書き込む命令をする命令部をさらに含む。
この構成によれば、はんだこて制御装置が、3つの情報のうち、不揮発性メモリが記憶している情報について、管理する必要をなくすことができる。
上記構成において、前記カートリッジは、前記こて先の温度を測定する温度センサをさらに有しており、前記はんだこて制御装置は、前記温度センサが測定した温度を基にして、前記こて先の温度を設定温度に制御する制御部と、前記こて先の温度が前記設定温度に制御されている状態で、前記温度センサと別の温度測定装置が前記こて先の温度を測定して得られた温度と前記設定温度とのオフセットを算出する算出部と、をさらに含む。
オフセットは、制御部が温度補正をするか否かの判断に用いられる。オフセットが設定温度と中心にした所定範囲内であれば、温度補正が実行され、オフセットが所定範囲外であれば(言い換えれば、オフセットが大きすぎて補正不可能である)、温度補正が実行されない。この構成によれば、オフセットを算出することができる。