以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。なお、本件明細書に添付する図面においては、図示と理解のしやすさの便宜上、適宜縮尺及び縦横の寸法比等を、実物のそれらから変更し誇張してある。
さらに、本明細書において用いる、形状や幾何学的条件並びにそれらの程度を特定する、例えば、「平行」、「直交」、「同一」等の用語や長さや角度の値等については、厳密な意味に縛られることなく、同様の機能を期待し得る程度の範囲を含めて解釈することとする。
図1は本開示による実施の形態を説明するための図である。図1は、照明装置1の全体構成を模式的に示す平面図である。照明装置1は、光を射出する光源10と、光源10から射出した光に作用する光路調整光学系20、光路幅調整光学系25及びホログラム50を有している。図1に示された例において、光路調整光学系20、光路幅調整光学系25及びホログラム50は、光源10からの光の光路に沿ってこの順で配置され、この順で光に対して作用する。この照明装置1は、ホログラム50を照射することによって、ホログラム50に記録されたホログラム再生像を被投影面に投影する装置である。
ここで説明する照明装置1は、以下に詳述するように、光源10によってホログラム50の大面積の領域を照明することができ、また、光路調整光学系20での光学作用によって、ホログラム50上の被照明領域における照度バラツキを低減することができる。以下、各構成要素について、順に説明していく。
図1に示された例において、光源10は、レーザ光を発光する複数の発光部11,12を有する。複数の発光部11,12は、独立して設けられていてもよいし、共通の基板上に複数の発光部11,12を並べて配置した光源モジュールであってもよい。ここで、複数の発光部が近接して配置されていると、互いから発せられる熱によって発光強度が弱められてしまって光源10から所望の発光強度の光束が得られない、という不具合が生じる。このような不具合を防ぐため、図1に示す例においては、第1発光部11及び第2発光部12は、互いから距離xだけ離間して配置されている。第1発光部11及び第2発光部12は、第1発光部11から射出される第1光束f1の光軸d1aと、第2発光部12から射出される第2光束f2の光軸d2aと、が互いに概ね平行となるように配置されている。以下、当該2つの光軸d1a,d2aの中心を通る線を中心線Lとする。
第1発光部11及び第2発光部12は、同色の発光波長域の光束を射出するものであってもよいし、異なる色の発光波長域の光束を射出するものであってもよい。また、第1発光部11及び第2発光部12は、レーザ発振部を有し、レーザ光を射出するものであってもよい。さらに、第1発光部11及び第2発光部12は、コリメータを含み、発散する光束が平行光束に変換された光束を射出するものであってもよい。
ところで、大面積のホログラム50に光を入射させるには、光源から射出した光束の光路幅を拡大する必要がある。しかしながら、互いから離間して配置された複数の発光部11,12から射出された複数の光束f1,f2の光路幅を拡大しようとすると、一般に、光路幅調整光学系が大型化してしまう。また、このような複数の光束f1,f2の光路幅を拡大すると、複数の光束f1,f2間のギャップも拡大される。結果として、ホログラム50上の領域を均一な明るさで照明することができず、ホログラム50は所定の像を所望のように再生することができないという不具合が生じやすい。
このような事情を考慮して、本開示の実施形態の照明装置1は、第1発光部11から射出した第1光束f1及び第2発光部12から射出した第2光束f2のうちの少なくとも一方の光束の光路を調整して、第1光束f1の光軸d1a及び第2光束f2の光軸d2aを接近させる光路調整光学系20を有している。好適には、光路調整光学系20は、第1発光部11から射出した第1光束f1及び第2発光部12から射出した第2光束f2のうちの少なくとも一方の光束の光路を、調整前後の光軸のなす角度が−5°から+5°の範囲内、好適には−1°から+1°の範囲内、さらに好適には平行となるように、調整する。
図1に示す例では、光路調整光学系20は、第1発光部11から射出した第1光束f1の光路を、調整前の第1光束f1の光軸d1aと、調整後の第1光束f1の光軸d1cと、が平行となるように、調整するものである。また、光路調整光学系20は、第2発光部12から射出した第2光束f2の光路を、調整前の第2光束f2の光軸d2aと、調整後の第2光束f2の光軸d2cと、が平行となるように、調整するものである。そして、調整前の第1光束f1の光軸d1a及び第2光束f2の光軸d2aの距離が距離Waであるのに対し、調整後の第1光束f1の光軸d1c及び第2光束f2の光軸d2cの距離が距離Waよりも短い距離Wcとなるように、光束f1,f2の光路を調整するものである。
より具体的には、光路調整光学系20は、少なくとも一方の光束が通過する入射面及び出射面を有し、当該入射面及び当該出射面は、平行である。特に図1に示す例においては、光路調整光学系20は、第1光束f1が通過する第1入射面A1及び第1出射面a1を有し、第1入射面A1及び第1出射面a2は、平行である。また、光路調整光学系20は、第2光束f2が通過する第2入射面A2及び第2出射面a2を更に有し、第2入射面A2及び第2出射面a2は、平行である。
図1に示す例では、光路調整光学系20は、底面の形状が互いに相似な第1の角柱21と第2の角柱22とを、平面視において、第1の角柱21の底面の各辺と、当該各辺に対応する第2の角柱22の底面の各辺と、が互いに平行となるように組み合せた形状を有する。とりわけ、図1に示す例では、第1及び第2の角柱21,22は、三角柱である。
図1を参照してより詳細に説明すると、光路調整光学系20は、底面が二等辺三角形の形状である三角柱状に形成された第1プリズム部分21と、第1プリズム部分21の底面形状と相似な底面形状を有する三角柱状に形成された第2プリズム部分22であって、底面の寸法が第1プリズム部分21の底面の寸法よりも小さい第2プリズム部分22と、を含んでいる。第1プリズム部分21は、二等辺三角形状の底面の等辺を各々含む2つの主側面A1,A2と、当該2つの主側面A1,A2が形成する頂部P1に対向する面である副側面ASと、を有している。同様に、第2プリズム部分22は、二等辺三角形状の底面の等辺を各々含む2つを主側面a1,a2と、当該2つの主側面a1,a2が形成する頂部P2に対向する面である副側面asと、を有している。そして、光路調整光学系20は、第1プリズム部分21の副側面ASと第2プリズム部分22の副側面asとが、第1プリズム部分21の頂部P1を通り副側面ASに垂直な仮想面と、第2プリズム部分22の頂部P2を通り副側面asに垂直な仮想面と、が一致するように接合されている。第1プリズム部分21と第2プリズム部分22とは、屈折率の等しい材料で形成されている。
第1プリズム部分21は、第1主側面A1が、第1光束f1の光路を横切るように、且つ、第2主側面A2が、第2光束f2の光路を横切るように配置されている。これにより、第1プリズム部分21の主側面A1,A2は、それぞれ、第1入射面A1及び第2入射面A2とされる。第1主側面A1及び第2主側面A2は、非平行、すなわち交差している。したがって、図1に示すように、第1光束f1及び第2光束f2は、第1入射面A1及び第2入射面A2を通過して第1プリズム部分21を通過する際に、屈折によってその進行方向を曲げる。
また、第2プリズム部分22は、第1主側面a1が、第1プリズム部分21を通過して進行方向を曲げた第1光束f1の光路を横切るように、且つ、第2主側面a2が、第1プリズム部分21を通過して進行方向を曲げた第2光束f2の光路を横切るように配置されている。これにより、第2プリズム部分22の主側面a1,a2は、それぞれ、第1出射面a1及び第2出射面a2とされる。
なお、第1プリズム部分21の頂部P1の角度、第2プリズム部分22の頂部P2の角度、第1プリズム部分21の寸法、第2プリズム部分22の寸法、並びに、第1プリズム部分21及び第2プリズム部分22の屈折率は、光源10から出射した光束f1,f2が、各々、第1プリズム部分21の入射面A1,A2に入射して屈折した後、第2プリズム部分22の出射面a1,a2から出射することができるように、調整される。また、光路調整光学系20は、第2プリズム部分22の出射面a1,a2から出射した光束f1,f2の光軸d1c,d2cが所望の程度に十分近接するように、設計及び/または位置決めされる。具体的には、光路調整光学系20内を進行する光束f1,f2の光軸d1b,d2bの交点Cfが、第2プリズム部分22の頂部P2に十分接近するように、調整される。
なお、図1に示す例では、第1プリズム部分21と第2プリズム部分22とは、別体で形成されているが、一体形成されてもよい。また、第1プリズム部分21及び第2プリズム部分22は、三角柱状に形成されていなくてもよく、例えば、台形柱状に形成されて頂部P1,P2を含まないようにしてもよい。頂部P1,P2を含まないプリズム部分21,22であっても、第1光束f1が通過する第1入射面A1及び第1出射面a1が平行であり、第2光束f2が通過する第2入射面A2及び第2出射面a2が平行であれば、頂部P1,P2を含むプリズム部分21,22と同様の作用効果を発揮することができる。また、第1プリズム部分21の底面の寸法と、第2プリズム部分22の底面の寸法と、は、等しくてもよいし、第1プリズム部分21と第2プリズム部分22とは、互いから離間していてもよい。
さらに、図1に示す例では、光路調整光学系20の入射面及び出射面は、平行であるが、これに限られない。具体的には、調整前後の光軸d1a,d1cあるいはd2a,d2cのなす角度が−5°から+5°の範囲内、より好適には−1°から+1°の範囲内となれば、当該入射面及び出射面は、平行でなくてもよい。
次に、光路幅調整光学系25について説明する。光路幅調整光学系25は、第1光束f1の光路幅V1cを拡大し且つ第2光束f2の光路幅V2cを拡大するものである。図示された例において、光路幅調整光学系25は、第1光束f1を平行光束に維持して、その光路幅を拡大している。同様に、光路幅調整光学系25は、第2光束f2を平行光束に維持して、その光路幅を拡大している。さらに、図示された例において、光路幅調整光学系25は、拡大前の第1光束f1の光軸d1cと、拡大後の第1光束f1の光軸d1eと、が平行となるようにして、第1光束f1の光路幅を拡大している。同様に、光路幅調整光学系25は、拡大前の第2光束f2の光軸d2cと、拡大後の第2光束f2の光軸d2eと、が平行となるようにして、第2光束f2の光路幅を拡大している。
具体的な構成として、図1に示された光路幅調整光学系25は、第1の光学部材30と、第2の光学部材40と、を有している。第1の光学部材30は、入射してくる平行光束としての第1光束f1及び第2光束f2を発散させる。第2の光学部材40は、第1の光学部材30で発散された第1光束f1及び第2光束f2をコリメートする。図1に示された例において、第1の光学部材30及び第2の光学部材40は、凸レンズから構成されている。第1の光学部材30をなす凸レンズ及び第2の光学部材40をなす凸レンズは、光軸が中心線Lと平行になるようにして、配置されている。第1の光学部材30の主点及び第2の光学部材40の主点は、第1の光学部材30をなす凸レンズの焦点距離と第2の光学部材40をなす凸レンズの焦点距離とを足し合わせた距離だけ、中心線Lに沿って互いから離間している。
ただし、この例に限られず、第1の光学部材30は、凹面鏡から構成されていてもよいし、第2の光学部材40は、凹面鏡から構成されていてもよい。
ホログラム50は、光路幅調整光学系25で光路幅を拡大された第1光束f1及び第2光束f2を回折するものである。ホログラム50は、透過型ホログラムであってもよいし、反射型ホログラムであってもよい。また、ホログラムとしては、エンボスホログラム、体積型ホログラム、電子ホログラムなどを挙げることができる。さらに、計算機を用いた演算により所定の記録面上に干渉縞を記録させて作成する計算機合成ホログラムなども挙げることができる。また、計算機合成ホログラムのうち、フーリエ変換光学系を用いた計算機合成ホログラムであるフーリエ変換ホログラムを用いるようにしてもよい。
次に、以上の構成からなる照明装置1の作用について説明する。
まず、図1に示すように、光源10において互いから距離xだけ離間して配置された第1発光部11及び第2発光部12が、各々、レーザ光を発振し、第1光束f1及び第2光束f2を射出する。第1発光部11から射出された第1光束f1の光軸d1aと、第2発光部12から射出された第2光束f2の光軸d2aと、は互いに概ね平行であり、第1光束f1の光軸d1aと第2光束f2の光軸d2aとの間隔は、距離Waである。光源10から射出された第1光束f1及び第2光束f2は、まず、光路調整光学系20に向かい、各々、第1プリズム部分21の第1入射面A1及び第2入射面A2に入射する。
光路調整光学系20の第1入射面A1に入射した第1光束f1及び第2入射面A2に入射した第2光束f2は、屈折によってその進行方向を互いに向けて曲げ、各々の光軸d1b,d2b間の距離を縮めながら第2プリズム部分22に向かう。
第2プリズム部分22に入射した第1光束f1及び第2光束f2は、第1プリズム部分21と第2プリズム部分22とが屈折率の等しい材料で形成されていることにより、進行方向を曲げることなく、第2プリズム部分22内を進む。そして、第1光束f1及び第2光束f2は、第2プリズム部分22において交差し、各々、第1出射面a1及び第2出射面a2に向かう。このとき、光束f1,f2は、第2プリズム部分22の頂部P2に十分接近した位置で交差する。そして、第1光束f1及び第2光束f2は、各々、第1入射面A1に平行な第1出射面a1及び第2入射面A2に平行な第2出射面a2から出射する。
第1出射面a1が第1入射面A1に平行であることにより、第1出射面a1から出射した第1光束f1は、その光軸d1cが第1入射面A1に入射する第1光束f1の光軸d1aと平行となるように進行方向を曲げる。また、第1光束f1の光路幅は、第1入射面A1への入射前と第1出射面a1からの出射後とで同一となる。同様に、第2出射面a2が第2入射面A2に平行であることにより、第2出射面a2から出射した第2光束f2は、その光軸d2cが第2入射面A2に入射する第2光束f2の光軸d2aと平行となるように進行方向を曲げる。また、第2光束f2の光路幅は、第2入射面A2への入射前と第2出射面a2からの出射後とで同一となる。このようにして、第1発光部11から出射した第1光束f1及び第2発光部12から出射した第2光束f2は、光路調整光学系20において、その光路を、当該光束f1,f2の光軸が調整前後で平行となるように、調整される。
また、光束f1,f2が第2プリズム部分22の頂部P2に十分接近した位置で交差することにより、第1出射面a1から出射した第1光束f1の光軸d1cと、第2出射面a2から出射した第2光束f2の光軸d2cと、の間の距離Wcは、光路調整光学系20に入射する第1光束f1の光軸d1aと、光路調整光学系20に入射する第2光束f2の光軸d2aと、の間の距離Waよりも十分に小さい。このようにして、第1発光部11から射出された第1光束f1及び第2発光部12から射出された第2光束f2は、光路調整光学系20において、その光路を、当該光束f1,f2の光軸が接近するように、調整される。これにより、第1光束f1及び第2光束f2間のギャップが狭められる。
光路調整光学系20から出射した光束f1,f2は、その光軸d1c,d2cの間の距離を距離Wcに維持したまま、光路幅調整光学系25に向かう。光路幅調整光学系25において、光束f1,f2は、まず、第1の光学部材30に入射する。このとき、光束f1,f2の光路幅は、各々、光路幅V1c,V2cである。第1の光学部材30を出射した光束f1,f2は、一度その焦点に向かって収束した後、発散して、第2の光学部材40に向かう。このようにして、光束f1,f2の光路幅は、第1の光学部材30に入射する前よりも拡大されて、第2の光学部材40に入射する際には、各々、光路幅V1d,V2dとなる。このとき、光束f1,f2間のギャップも拡大されるが、当該ギャップは光路調整光学系20を通過した際に十分に狭められているため、光路調整光学系20により調整される前の光束f1,f2のギャップよりも、十分小さいままである。
光路幅調整光学系25の第2の光学部材40に入射した光束f1,f2は、第2の光学部材40においてコリメートされて平行光束に変換されて第2の光学部材40から出射する。第2の光学部材40から出射した第1光束f1は、その光軸d1eが拡大前の第1光束f1の光軸d1cと平行となるように、ホログラム50に向けて進む。また、第2の光学部材40から出射した第2光束f2は、その光軸d2eが拡大前の第2光束f2の光軸d2cと平行となるように、ホログラム50に向けて進む。すなわち、光路幅調整光学系25において、第1光束f1の光路幅は、入射前の光路幅V1cから出射後の光路幅V1dまで拡大される。同様に、第2光束f2の光路幅は、入射前の光路幅V2cから出射後の光路幅V2dまで拡大される。エタンデュの保存則からすれば、光路幅の拡大にともない第1光束f1の発散角及び第2光束f2の発散角は小さくなり、この結果、第1光束f1の平行度及び第2光束f2の平行度が改善される。
光束f1,f2は、その改善された平行度、拡大された光路幅V1d,V2d、及び、光束f1,f2間の縮小されたギャップを維持したまま、ホログラム50に入射する。ホログラム50に入射した光束f1,f2は、回折されて、ホログラム50に記録されたホログラム再生像が、図示しない被投射面に投影される。とりわけ、光路幅調整光学系25での光路幅の調整にともなって光束の平行度が改善されているため、ホログラムは高効率でホログラム再生像を意図した方向又は領域に再生することができる。
以上のような本開示の実施形態によれば、照明装置1は、第1発光部11と第1発光部11から離間して配置された第2発光部12とを有する光源10と、第1発光部11から射出した第1光束f1及び第2発光部12から射出した第2光束f2のうちの少なくとも一方の光束の光路を調整して、第1光束f1の光軸及び第2光束f2の光軸を接近させる光路調整光学系20と、第1光束f1の光路幅を拡大し且つ第2光束f2の光路幅を拡大する光路幅調整光学系25と、を備える。このような照明装置1では、光路調整光学系20が、複数の発光部11,12から射出した光束f1,f2の光軸を調整して光束間のギャップを狭め、且つ、光路幅調整光学系25が、複数の発光部11,12から射出した光束の光路幅を拡大することができる。したがって、この照明装置1によれば、必要となる大面積の領域を均一な明るさで照明することができ、この結果、照明装置1を種々の用途やアプリケーションに使用することができる。特に、図1に示す例のように、照明装置1がホログラム50を用いてホログラム再生像を照射するものである場合、ホログラム50の必要となる大面積の領域に平行光を当てることが容易である。この結果、ホログラム再生像を意図した方向または領域に照射することができる。さらに、光路調整光学系20で複数の光束f1,f2のギャップを狭めることができるため、光路調整光学系20よりも光路の下流側に配置される光学系を小型かつ単純な構成にすることができる。この結果、照明装置1を小型化し、その構成を単純化することが可能である。
また、本開示の実施形態によれば、光路調整光学系20は、光源10から射出した光の光路に沿って光源10と光路幅調整光学系25との間に位置している。光路調整光学系20が光源10と光路幅調整光学系25との間に位置することにより、光源10から射出した光束が光路幅調整光学系25で拡大される前に、光束f1,f2間のギャップが狭められる。これにより、二光束f1,f2が入射する光路幅調整光学系25の大型化を効果的に抑制しながら、大面積の領域を、より確実に均一な明るさで照明することができる。
また、本開示の実施形態によれば、第1光束f1及び第2光束f2は、光路幅調整光学系25の出射後において、平行光束となっている。平行光束は取り扱いが容易なので、さらに広い分野の用途やアプリケーションに使用することができる。典型的には、ホログラムを利用した光路を最終的に調整するアプリケーションに好適である。したがって、本開示の実施形態によれば、照明装置1は、光路幅調整光学系20で光路幅を拡大された第1光束f1及び第2光束f2を回折するホログラム50を更に備えている。ホログラム50は、入射光が平行光束であると、比較的作製が容易かつ安価となり、また、回折効率が向上して、高効率でホログラム再生像を意図した方向又は領域に再生することができる。
また、本開示の実施形態によれば、光路幅調整光学系25は、第1の光学部材30及び第2の光学部材40を有し、第1光束f1は、第1の光学部材30及び第2の光学部材40の両方で光路を調整され、第2光束f2は、第1の光学部材30及び第2の光学部材40の両方で光路を調整される。この場合、光路幅調整光学系25を、簡単に構成することができる。第1の光学部材30、第2の光学部材40は、例えば凸レンズ、凹レンズ、非球面レンズ等の各種レンズ類又は凹面鏡である。この場合、光路幅が拡大された光束f1,f2を、取り扱いの容易な平行光束として出射させることができる。また、光源10が平行光束f1,f2を射出するものである場合にあっては、光束f1,f2を、平行光束に維持して、その光路幅を拡大させることが可能である。このことは、取り扱いが容易な平行光束の平行度を維持することができる、という点で好ましい。
また、本開示の実施形態によれば、光路調整光学系20は、少なくとも一方の光束f1が通過する入射面A1及び出射面a1を有し、入射面A1及び出射面a1は、平行である。この場合、極めて簡単な構成により、光束のプロファイル(光軸や外輪郭)を維持しながら光軸を平行移動させることができる。
また、本開示の実施形態によれば、光路調整光学系20は、第1光束f1が通過する第1入射面A1及び第1出射面a1を有し、第1入射面A1及び第1出射面a1は、平行である。また、光路調整光学系20は、第2光束f2が通過する第2入射A2面及び第2出射面a2を更に有し、第2入射面A2及び第2出射面a2は、平行である。この場合も、極めて簡単な構成により、二つの光束のプロファイル(光軸や外輪郭)を維持しながら光軸を平行移動させることができる。また、光路調整光学系20は二つの光束の光路をシフトさせることができるので、照明装置の占有面積を小型化することができる。
特に、本開示の実施形態によれば、光路調整光学系20は、底面の形状が互いに相似な第1の角柱21と第2の角柱22とを、平面視において、第1の角柱21の底面の各辺と、当該各辺に対応する第2の角柱22の底面の各辺と、が互いに平行となるように組み合せた形状を有し、とりわけ、第1及び第2の角柱21,22は、三角柱である。この場合、光路調整光学系20の作製が容易である。
なお、上述した実施の形態に対して様々な変更を加えることが可能である。以下、図面を参照しながら、変形の一例について説明する。以下の説明及び以下の説明で用いる図面では、上述した実施の形態と同様に構成され得る部分について、上述の実施の形態における対応する部分に対して用いた符号と同一の符号を用いるとともに、重複する説明を省略する。
図2は、図1に対応する図であって、図1に示す照明装置1の一変形例を説明するための図である。図2に示す照明装置201は、図1に示す照明装置1と比較して、光源210が第1発光部11と第2発光部12との間に第3発光部13を更に有し、また、光路調整光学系220が、底面の形状が互いに相似な第1の台形柱221と第2の台形柱222とを、当該底面に対して垂直な方向に見る平面視において、第1の台形柱221の底面の各辺と、当該各辺に対応する第2の台形柱222の底面の各辺と、が互いに平行となるように組み合わせた形状を有している点が異なっているのみである。
図2を参照して、更に詳細に説明すると、光源210は、第1発光部11と、第3発光部13と、第2発光部12と、を有している。第1発光部11と、第3発光部13と、は、互いから距離xだけ離間して配置されており、第2発光部12と、第3発光部13と、は、互いから距離xだけ離間して配置されている。
光路調整光学系220は、図1に示す第1プリズム部分21の頂部P1及び第2プリズム部分22の頂部P2を含まない台形柱状に形成されている。光路調整光学系220の第1プリズム部分221は、副側面ASに対向し、且つ、副側面ASに平行な第3主側面A3を有している。また、光路調整光学系220の第2プリズム部分222は、副側面asに対向し、且つ、副側面asに平行な第3主側面a3を有している。第1プリズム部分221の副側面ASと、第2プリズム部分222の副側面asと、は接合されているので、第1プリズム部分221の第3主側面A3と、第2プリズム部分222の第3主側面a3と、は、互いに平行である。光路調整光学系220は、第1プリズム部分221の第3主側面A3が、第3発光部13に対向し、且つ、第3発光部13からの光束f3の光軸d3aに対して垂直になるように、配置されている。このように光路調整光学系220を配置することにより、第3発光部13からの光束f3が第3主側面A3に入射し、第3主側面a3から出射することとなる。これにより、第1プリズム部分221の第3主側面A3は、第3入射面A3とされ、第2プリズム部分222の第3主側面a3は、第3出射面a3とされる。
以上の構成からなる照明装置201の作用を簡単に説明する。
第1発光部11及び第2発光部12から出射した第1光束f1及び第2光束f2は、図1に示す例と同様に、各々、光路調整光学系220の第1入射面A1及び第2入射面A2に入射し、光路調整光学系220内で交差して、第1出射面a1及び第2出射面a2から出射する。一方、第1発光部11と第2発光部12との間に配置された第3発光部13から出射した第3光束f3は、まず、光路調整光学系220に向かう。このとき、第1光束f1及び第3光束f3の光軸d1a,d3a間の距離は、距離Wa1である。また、第2光束f2及び第3光束f3の光軸d2a,d3a間の距離は、距離Wa2である。
第3光束f3は、光路調整光学系220の第3入射面A3に入射し、その進行方向を維持したまま、第3出射面a3から出射する。第2プリズム部分222から出射した第3光束f3は、光路調整光学系220を通って光路を調整された第1光束f1及び第2光束f2と共に、光路幅調整光学系25に向かう。このとき、第1光束f1及び第3光束f3の光軸d1c,d3c間の距離は、距離Wa1より小さい距離Wc1である。また、第2光束f2及び第3光束f3の光軸d2c,d3c間の距離は、距離Wa2より小さい距離Wc2である。
光路幅調整光学系25に入射した第3光束f3は、第1の光学部材30によって、第1光束f1及び第2光束f2と共にその光路幅を光路幅V3cから光路幅V3dに拡大され、また、第2の光学部材40によって、第1光束f1及び第2光束f2と共にコリメートされて平行光束に変換される。光路幅調整光学系25を出射した第3光束f3は、第1光束f1及び第2光束f2と共に、ホログラム50に入射する。
本変形例によれば、光路調整光学系220が、底面の形状が互いに相似な第1の台形柱221と第2の台形柱222とを、平面視において、第1の台形柱221の底面の各辺と、当該各辺に対応する第2の台形柱222の底面の各辺と、が互いに平行となるように組み合わせた形状を有している。これにより、さらに多くの発光部11,12,13が必要となるより大面積の領域を均一な明るさで照明することができる。また、第1発光部11と第2発光部12との間に配置された第3発光部13から出射する第3光束f3が被照明領域に入射するため、被照明領域の中央領域を確実に照明することができる。
次に、図3を参照して、図1に示す照明装置1の更に他の変形例について説明する。
図3は、図1に対応する図であって、図1に示す照明装置1の他の変形例を説明するための図である。図3に示す照明装置301は、図1に示す照明装置1と比較して、光路調整光学系320の形状が平行四辺形柱状である点が異なっているのみである。
図3を参照して、更に詳細に説明すると、光路調整光学系320は、一対の平行な辺を有する平行四辺形状、とりわけ菱形状の底面を有している。光路調整光学系320は、また、当該一対の平行な辺のうち一方の辺を含む第1主側面A1と、他方の辺を含む第2主側面a1と、を含んでいる。第1主側面A1は、第1発光部11からの光束f1の光路を横切るように、且つ、当該光束f1の光軸d1aに対して非垂直に配置されている。第2主側面a1は、第1主側面A1に入射し、屈折によってその進行方向を曲げた第1光束f1の光路を横切るように配置されている。これにより、光路調整光学系320の主側面A1,a1は、ぞれぞれ、第1入射面A1及び第1出射面a1とされる。
なお、第1入射面A1の光軸d1aに対する角度、並びに、光路調整光学系320の寸法、屈折率及び配置は、第1発光部11から射出した第1光束f1が、入射面A1に入射して、第2発光部12からの第2光束f2に向けて屈折した後、第2光束f2に所望の程度に十分接近して出射面a1から出射することができるように、調整される。また、光路調整光学系320は、第2発光部12からの第2光束f2の光路を横切ってその光路を屈折させることのないように、配置される。図示された例では、光路調整光学系320の他方の一対の平行な辺が、第2光束f2の光軸d2aと略平行となり、且つ、他方の一方の平行な辺に含まれる一つの辺が、第2光束f2の光路に接近して配置される。
次に、以上の構成からなる照明装置301の作用について簡単に説明する。
第2発光部12から射出した第2光束f2は、その進行方向を維持したまま、光路調整光学系320に入射することなく、光路幅調整光学系25に向かう。一方、第1発光部11から射出した第1光束f1は、図1に示す例と同様に、光路調整光学系320に向かう。このとき、第1光束f1及び第2光束f2の光軸d1a,d2aの間の距離は、距離Waである。第1光束f1は、光路調整光学系320の入射面A1に入射し、その進行方向を第2光束f2の側に曲げて、出射面a1から出射する。出射面a1から出射した第1光束f1は、出射面a1が入射面A1と平行であることにより、その光軸d1cが入射面A1に入射する第1光束f1の光軸d1aと平行となるように進行方向を曲げ、光路幅調整光学系25に向かう。このとき、第1光束f1及び第2光束f2の光軸d1c,d2aの間の距離は、距離Waよりも小さい距離Wcである。
光路幅調整光学系25に入射した第1光束f1及び第2光束f2は、図1に示す例と同様に、第1の光学部材30によって、その光路幅を光路幅V1c,V2cから光路幅V1d,V2dに拡大され、また、第2の光学部材40によって、コリメートされて平行光束に変換される。光路幅調整光学系25を出射した第1光束f1及び第2光束f2は、ホログラム50に入射する。
本変形例によっても、複数の発光部11,12が必要となる大面積の領域を均一な明るさで照明することができる。また、図1に示す光路調整光学系22よりもさらに簡単な構成の光路調整光学系320により、光束のプロファイル(光軸や外輪郭)を維持しながら光軸を平行移動させることができる。
なお、以上において、図1乃至図3を参照して図1乃至図3の紙面と平行な平面内に配置された複数の発光部を含む光源を用いて大面積の領域を照明する照明装置について説明してきたが、これに限られない。
図4を参照して、光源が、図1の紙面と平行な平面内に並んだ発光部11,12の他に、図1の紙面垂直方向に並んだ発光部を含む場合の、変形例について説明する。
図4は、発光部11,12からなる発光部対T1の他に、発光部11,12と同様の発光部を含む発光部対T2,T3,T4が、発光部対T1と共に図1の紙面の垂直方向に複数並んでなる光源410の側面図である。各発光部対T1,T2,T3,T4からは、各々、第1光束f1及び第2光束f2、第1光束f21及び第2光束f22、第1光束f31及び第2光束f32、並びに、第1光束f41及び第2光束f42が射出する。図4に示す例においては、光路調整光学系20は、その第1プリズム部分21の入射面A1,A2及び出射面a1,a2が、発光部対T1乃至T4から射出する第1光束f1,f21,f31,f41及び第2光束f2,f22,f32,f42の光路を横切ることができるよう、十分な長さを有している。また、光路幅調整光学系25をなす第1の光学部材30及び第2の光学部材40も、例えば柱状に形成されたシリンドリカルレンズとして構成され、多数対の発光部の配列方向(図1の紙面に垂直な方向)に十分な長さを有している。
本変形例によっても、図1に示す照明装置1と同様の効果を得ることができ、さらに、図1の紙面垂直方向により広い面積の領域を照明することができる。なお、図2に示す照明装置201や図3に示す照明装置301についても、同様の変形例が適用可能である。
次に、図5を参照して、光源が、図1の紙面と平行な平面内に並んだ発光部11,12の他に、図1の紙面垂直方向に並んだ発光部を含む場合の、更なる変形例について説明する。
図5に示す例においては、光源510は、発光部11,12と同様に構成され配置された発光部511,512からなる第1の発光部対T1の他に、発光部511,512と同様の発光部513,514を含む第2の発光部対T2であって、発光部513,514の各々が発光部511,512を中心線Lに垂直な面内において中心線Lを軸として90度回転させた位置に配置されている第2の発光部対T2を有するものとする。また、図5に示す例においては、第1の発光部対T1から射出する第1光束及び第2光束の光路の調整だけでなく、第2の発光部対T2から射出する第3光束及び第4光束の光路も調整されるものとする。すなわち、第2の発光部対T2から射出する第3光束及び第4光束の光路を、当該2つの光束の光軸が調整前後で平行となるように、調整して、第2の発光部対T2から射出する第3光束の光軸及び第4光束の光軸を接近させるものとする。
この場合、図5に示すように、光路調整光学系として、互いに相似な第1の角錐521と第2の角錐522とを組み合わせた形状を有する光路調整光学系520であって、第1の角錐521の各面と、当該各面に対応する第2の角錐522の各面と、が互いに平行である光路調整光学系520が採用可能である。とりわけ図5に示す例においては、光路調整光学系520は、四角錐形状の第1プリズム部分521及び第2プリズム部分522から構成されている。この場合、第1プリズム部分521の対向する一対の三角形状の面が、各々、第1の発光部対T1に含まれる第1発光部511及び第2発光部512から射出する第1光束及び第2光束が入射する入射面A11,A12となる。また、第1プリズム部分521の他の対向する一対の三角形状の面が、各々、第2の発光部対T2に含まれる第3発光部513及び第4発光部514から射出する第3光束及び第4光束が入射する入射面A13,A14となる。そして、第2プリズム部分522の三角形状の面のうち、入射面A11に平行な面a11、入射面A12に平行な面a12、入射面A13に平行な面a13及び入射面A14に平行な面a14が、各々、入射面A11,A12,A13,A14に入射した光束が出射する出射面a11,a12,a13,a14となる。
本変形例によれば、光路調整光学系520は、互いに相似な第1の角錐521と第2の角錐522とを、第1の角錐521の各面と、当該各面に対応する第2の角錐522の各面と、が互いに平行となるように組み合わせた形状を有している。これにより、発光部511,512から射出する第1光束及び第2光束の間のギャップだけでなく、図1の紙面垂直方向に並んだ第2の発光部対T2の発光部513,514から射出する第3光束及び第4光束の間のギャップも縮小される。これにより、図1の紙面垂直方向により広い面積の領域を、均一な明るさで照明することができる。なお、第1プリズム部分521及び第2プリズム部分522は、頂部P1,P2を含まない錘台形状であってもよい。また、第1プリズム部分521及び第2プリズム部分522を錘台形状とすることにより、図3に示す照明装置201についても、同様の変形例が適用可能である。
本開示は、上述の実施形態及び変形例に限定されるものではなく、当業者が想到しうる種々の変形が加えられた各種態様も含みうるものであり、本開示によって奏される効果も上述の事項に限定されない。したがって、本開示の技術的思想及び趣旨を逸脱しない範囲で、特許請求の範囲及び明細書に記載される各要素に対して種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。