以下、本発明の実施形態1,2について説明する。下記の実施形態1,2は、本発明の様々な実施形態の一部に過ぎない。また、下記の実施形態1,2は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
(実施形態1)
実施形態1の推定システム10は、図1に示すように、例えば分電盤3に用いられ、複数の分岐回路61(図2参照)の各々に電気的に接続される電気機器8の種類を含む機器情報を推定するためのシステムである。本実施形態では、分電盤3の一例として、戸建住宅に設置される住宅用分電盤について説明する。また、機器情報には、電気機器8の種類(エアコン等の電気機器8の名称)だけでなく、電気機器8が設置される場所(リビング、子供部屋等)と電気機器8の製造元である電気機器メーカーとの少なくとも一方が含まれていてもよい。さらに、機器情報には、電気機器8に関わる情報であれば、上記以外の情報が含まれていてもよい。言い換えると、機器情報には、少なくとも電気機器8の種類が含まれていればよい。
例えば、単相三線式の配電方式であれば、分電盤3は、図1及び図2に示すように、第1電圧線71(L1)と第2電圧線72(L2)と中性線73(N)とを有する電力線7を介して系統電源6(商用電源)に電気的に接続されている。
そして、分電盤3は、電力線7を介して系統電源6から供給される交流電力を、複数(図2の例では6つ)の分岐回路61A〜61Fに分配する。そのため、複数の分岐回路61A〜61Fには、第1電圧線71と第2電圧線72との一方及び中性線73に電気的に接続された「100V回路」と、第1電圧線71及び第2電圧線72に電気的に接続された「200V回路」との2種類が存在する。本実施形態では、分岐回路61A〜61Dが「100V回路」であり、分岐回路61E,61Fが「200V回路」である。
なお、以下では、複数の分岐回路61A〜61Fをとくに区別しない場合には、複数の分岐回路61A〜61Fの各々を「分岐回路61」ともいう。また、ここでいう「分岐回路」は、分岐ブレーカ、並びに分岐ブレーカの二次側に接続される配線路、配線器具(アウトレット、壁スイッチ等)、及び各種の電気機器(エアコン、照明器具等)を含んでいる。
まず、本実施形態の推定システム10が適用される分電盤3について、図1及び図2を参照して説明する。
分電盤3は、図1に示すように、主幹ブレーカ31と、分岐点P1,…,Pn(n=1,2,…)を介して主幹ブレーカ31の二次側端子に電気的に接続される複数の分岐ブレーカ32とをキャビネット30内に備えている。また、分電盤3は、第1電流計測部25と、第2電流計測部26とをキャビネット30内に備えている。
主幹ブレーカ31の一次側端子は、3線式(第1電圧線71、第2電圧線72、及び中性線73)の電力線7を介して、系統電源6に電気的に接続されている。主幹ブレーカ31の二次側端子には、3極(L1、L2、N)の導電バーが接続されている。これら3極の導電バーは、第1電圧線71(L1)、第2電圧線72(L2)、及び中性線73(N)と一対一に電気的に接続される。
複数の分岐ブレーカ32は、導電バーに接続されることにより、主幹ブレーカ31の二次側端子に電気的に接続される。なお、複数の分岐ブレーカ32は、導電バーの幅方向の両側(上段と下段)に分かれて、それぞれ複数ずつ配置されている。
ここで、複数の分岐ブレーカ32のうち、「100V回路」である分岐回路61A〜61Dに含まれる分岐ブレーカ32は、L1及びL2のいずれか一方の導電バーと、Nの導電バーとに接続されている。また、複数の分岐ブレーカ32のうち、「200V回路」である分岐回路61E,61Fに含まれる分岐ブレーカ32は、L1の導電バーと、L2の導電バーとに接続されている。これにより、「100V回路」となる分岐回路61A〜61Dの各々は、第1電圧線71(L1)と第2電圧線72(L2)との一方、及び中性線73(N)に電気的に接続される。また、「200V回路」となる分岐回路61E,61Fの各々は、第1電圧線71(L1)及び第2電圧線72(L2)に電気的に接続される。本実施形態では、電力線7、主幹ブレーカ31、3極の導電バー及び複数の分岐ブレーカ32により給電路70が構成されている。また、本実施形態では、導電バーと分岐ブレーカ32との接続点が分岐点P1,…,Pn(n=1,2,…)である。
第1電流計測部25は、図1及び図2に示すように、2つの電流センサ251,252を有している。電流センサ251,252の各々は、貫通孔250を有し、貫通孔250を貫通する導体を流れる電流に応じた電気信号を出力するように構成されている。本実施形態では一例として、電流センサ251,252の各々はCT(Current Transformer)センサからなる。電流センサ251,252の各々は、後述する計測システム2に電気的に接続され、計測システム2に対して上記電気信号を出力する。
本実施形態では、電流センサ251は、貫通孔250に第1電圧線71が貫通した状態で使用され、第1電圧線71を流れる電流I1を計測する。また、電流センサ252は、貫通孔250に第2電圧線72が貫通した状態で使用され、第2電圧線72を流れる電流I2を計測する。言い換えると、第1電流計測部25は、給電路70における分岐点P1,…,Pn(n=1,2,…)よりも上流側(分岐点P1,…,Pnから見て系統電源6側)の第1計測点を流れる電流を計測する。本実施形態では、第1計測点は、主幹ブレーカ31を含む主幹回路60における計測点である。
第2電流計測部26は、図1及び図2に示すように、電流センサ261を有している。電流センサ261は、貫通孔260を有し、貫通孔260を貫通する導体を流れる電流に応じた電気信号を出力するように構成されている。本実施形態では一例として、電流センサ261はCTセンサからなる。電流センサ261は、計測システム2に電気的に接続され、計測システム2に対して上記電気信号を出力する。
本実施形態では、電流センサ261は、「200V回路」である分岐回路61Eを流れる電流I3を計測する。言い換えると、第2電流計測部26は、給電路70における分岐点P1,…,Pn(n=1,2,…)よりも下流側(分岐点P1,…,Pnから見て系統電源6と反対側)の第2計測点を流れる電流を計測する。本実施形態では、第2計測点は、分岐ブレーカ32を含む分岐回路61Eにおける計測点である。
ここに、本実施形態では、複数の分岐ブレーカ32のうち分岐回路61Eに含まれる分岐ブレーカ32には、電気機器8Aが電気的に接続されている。本実施形態では、電気機器8Aはエアコンである。また、複数の分岐ブレーカ32のうち分岐回路61Aに含まれる分岐ブレーカ32には、電気機器8Bが電気的に接続されている。本実施形態では、電気機器8Bは照明器具である。さらに、複数の分岐ブレーカ32のうち分岐回路61Cに含まれる分岐ブレーカ32には、アウトレット40が電気的に接続され、アウトレット40には、電気機器8Cが電気的に接続されている。本実施形態では、電気機器8Cはテレビである。また、複数の分岐ブレーカ32のうち分岐回路61Dに含まれる分岐ブレーカ32には、アウトレット40が電気的に接続され、アウトレット40には、電気機器8Dが電気的に接続されている。本実施形態では、電気機器8Dは冷蔵庫である。
言い換えると、電気機器8A〜8Dは、分岐点P1,…,Pn(n=1,2,…)よりも下流側(分岐点P1,…,Pnから見て系統電源6と反対側)において給電路70に電気的に接続されている。なお、以下では、複数の電気機器8A〜8Dをとくに区別しない場合には、複数の電気機器8A〜8Dの各々を「電気機器8」ともいう。
次に、本実施形態の推定システム10について、図1を参照して説明する。本実施形態の推定システム10は、管理システム1と計測システム2とで構成され、第1電流計測部25と、第2電流計測部26と、推定部11と、情報付与部23とを備えている。管理システム1は、図1に示すように、インターネット等のネットワーク4に接続されている。また、計測システム2は、ルータ5を介してネットワーク4に接続されている。したがって、管理システム1と計測システム2とは、ネットワーク4を介して通信可能である。また、ネットワーク4には、表示端末100が接続されている。
管理システム1は、例えば推定システム10を用いた電力計測システムを運営する運営会社等に設けられたサーバ装置である。管理システム1は、推定システム10の構成要素のうち推定部11としての機能を有している。さらに、管理システム1は、ネットワーク4を介して計測システム2と通信する通信部12を有している。
通信部12は、ネットワーク4に接続されており、計測システム2の通信部24との間で通信を行うように構成されている。
推定部11は、例えばCPU(Central Processing Unit)及びメモリを主構成とするマイクロコンピュータで構成されており、CPUがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータが推定部11として機能する。言い換えると、メモリに格納されているプログラムは、マイクロコンピュータを、推定システム10の推定部11として機能させるためのプログラムである。CPUが実行するプログラムは、ここではマイクロコンピュータのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の記録媒体に記録されて提供されてもよいし、電気通信回線を通じて提供されてもよい。
推定部11は、第1電流計測部25の計測結果と後述する情報付与部23からの補助情報とに基づいて機器情報(電気機器8の種類)を推定する推定処理を行うように構成されている。推定部11は、上記推定処理において、第1推定処理と第2推定処理とを行うことができるように構成されている。第1推定処理は、第1電流計測部25の計測結果に基づいて機器情報を推定する処理である。言い換えると、推定部11は、第1推定処理においては、主幹回路60を流れる電流I1,I2に基づいて機器情報を推定する。第2推定処理は、第1電流計測部25の計測結果と補助情報とに基づいて機器情報を推定する処理である。言い換えると、推定部11は、第2推定処理においては、主幹回路60を流れる電流I1,I2と補助情報とに基づいて機器情報を推定する。また、推定部11は、図1に示すように、分離部111と、優先部112とを有している。
分離部111は、計測システム2からの送信データに含まれている電流の波形データから、電気機器8ごとの電流の波形データを分離する機能を有している。本実施形態では、分離部111は、主幹回路60を流れる電流I1,I2の波形データから、電気機器8ごとの電流の波形データを分離する。
優先部112は、推定部11に第2推定処理よりも第1推定処理を優先させるように構成されている。本実施形態では、優先部112は、上記推定処理において、推定部11に第1推定処理を行わせ、第1推定処理により機器情報を推定できない場合に、推定部11に第2推定処理を行わせる。言い換えると、推定部11は、第1推定処理により機器情報を推定できた場合、第2推定処理を行わない。すなわち、本実施形態では、優先部112は、推定部11が推定処理を行う際に第2推定処理よりも第1推定処理を時間的に優先させている。
推定部11は、分離部111によって分離された電気機器8ごとの波形データに基づいて機器情報を推定する。このとき、推定部11は、メモリに予め記録されている電気機器8ごとの電流の波形データと、分離部111によって分離された波形データとを比較し、両者の一致度が所定値(例えば80%)以上であれば、両者が一致していると判断する。そして、推定部11は、比較結果に基づいて、複数の分岐回路61の各々に電気的に接続されている電気機器8の種類(機器情報)を推定する。
計測システム2は、推定システム10の構成要素のうち情報付与部23としての機能を有している。さらに、計測システム2は、図1に示すように、計測部21と、演算部22と、通信部24とを有している。
計測部21には、第1電流計測部25と第2電流計測部26とが電気的に接続されている。言い換えると、計測部21には、電流センサ251,252と、電流センサ261とが電気的に接続されている。そして、計測部21では、電流センサ251の出力から第1電圧線71(L1)を流れる電流I1を計測可能であり、電流センサ252の出力から第2電圧線72(L2)を流れる電流I2を計測可能である。また、計測部21では、電流センサ261の出力から分岐回路61Eに流れる電流I3を計測可能である。
演算部22は、計測部21と電気的に接続されており、計測部21の計測結果を用いて、主幹回路60における消費電力と消費電力量との少なくとも一方を計測値として求める。計測値は、瞬時電力を表す消費電力であってもよいし、あるいは一定時間における電力の消費量(使用量)を表す消費電力量であってもよい。また、計測値は、消費電力と消費電力量との両方であってもよい。本実施形態では一例として、計測値は、消費電力であることとする。
また、本実施形態では、演算部22は、電力線7(第1電圧線71、第2電圧線72、及び中性線73)の線間電圧を監視している。演算部22は、例えばCPU及びメモリを主構成とするマイクロコンピュータで構成されており、CPUがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、マイクロコンピュータが演算部22として機能する。CPUが実行するプログラムは、ここではマイクロコンピュータのメモリに予め記録されているが、メモリカード等の記録媒体に記録されて提供されてもよいし、電気通信回線を通じて提供されてもよい。
演算部22は、電力線7の線間電圧と電流I1,I2とを用いて演算することにより、主幹回路60における消費電力を計測値として求める。また、演算部22は、電力線7の線間電圧と電流I3とを用いて演算することにより、分岐回路61Eにおける消費電力を計測値として求めてもよい。
情報付与部23は、第2電流計測部26の計測結果に基づく情報であって、推定部11の推定処理を補助する補助情報を推定部11に付与するように構成されている。本実施形態では一例として、情報付与部23は、電気機器8Aを含む分岐回路61Eを流れる電流I3の波形データを補助情報としている。そして、本実施形態では、電気機器8Aの消費電流については、主幹回路60を流れる電流I1,I2から分離するのではなく、第2電流計測部26で計測した電流I3を用いており、正確な消費電力を求めることができる。
通信部24は、図1に示すように、ルータ5を介してネットワーク4に接続されている。通信部24は、演算部22で求めた計測値と、主幹回路60を流れる電流I1,I2の波形データと、補助情報としての分岐回路61Eを流れる電流I3の波形データとを、ネットワーク4を介して管理システム1へ送信するように構成されている。
表示端末100は、ユーザ(本実施形態では、戸建住宅の住人)によって管理されるスマートフォン、タブレット端末のような汎用の表示端末である。表示端末100は、ネットワーク4に接続されており、管理システム1から提供されるコンテンツ等を表示可能に構成される。表示端末100は、例えばネットワーク4を介して管理システム1(サーバ装置)から送信される電力データを受信し、受信した電力データに基づいて電気機器8ごとの消費電力をグラフ表示する。図3は、表示端末100への表示例を示す概略図である。図3に示す電気機器8Aの消費電力については、上述のように、電流センサ261による計測値を用いているため、主幹回路60を流れる電流I1,I2から波形データを分離させる電気機器8B〜8Dに比べて誤差の小さい値となる。
ところで、従来の信号処理システムでは、上述したように、各電気機器の電流及び電圧を、データ検知部で計測された主幹側の電流及び電圧から分離部により分離している。そのため、分離部での分離精度によっては電気機器の種類を誤判定する可能性があった。
これに対して、本実施形態では、推定部11が、主幹回路60を流れる電流I1,I2の波形データと、補助情報としての分岐回路61Eを流れる電流I3の波形データとを用いて推定処理を行うように構成されている。以下、推定部11の推定処理(第2推定処理)について説明する。
推定部11は、計測システム2からの送信データに含まれている主幹回路60を流れる電流I1,I2の波形データと、分岐回路61Eを流れる電流I3の波形データとに基づいて、電流I1,I2と電流I3との差分データを求める。次に、推定部11の分離部111は、上記差分データに基づいて電気機器8ごとに波形データを分離する。そして、推定部11は、電気機器8A〜8Dの各々について、予めメモリに記録させた電気機器8ごとの波形データとのパターンマッチングを行う。このとき、推定部11は、電気機器8Aについては、補助情報としての電流I3の波形データに基づいてパターンマッチングを行い、電気機器8B〜8Dについては、分離部111での分離処理により求められた波形データに基づいてパターンマッチングを行う。そして、推定部11は、両者の一致度が所定値(例えば80%)以上であれば、両者が一致すると判断する。推定部11は、上述の手順により、分離した波形データに対応する機器情報(ここでは電気機器8A〜8Dの種類)を推定する。
そして、管理システム1は、推定部11の推定結果に基づいて電気機器8ごとの消費電力を算出する。管理システム1は、電気機器8Aについては、電流センサ261で計測された電流I3と電力線7の線間電圧とを乗算することにより消費電力を算出する。また、管理システム1は、残りの電気機器8B〜8Dについては、分離部111によって分離した電流と電力線7の線間電圧とを乗算することにより消費電力を算出する。
管理システム1は、電気機器8ごとの消費電力に関わる電力データを通信部12から表示端末100に送信させる。表示端末100では、受信した電力データに基づいて電気機器8ごとの消費電力をグラフ表示する(図3参照)。
本実施形態によれば、主幹回路60を流れる電流I1,I2の波形データから、電気機器8Aを除く電気機器8B〜8Dの波形データを分離させればよいので、全ての電気機器8A〜8Dの波形データを分離させる場合に比べて分離精度を向上させることができる。その結果、推定部11における機器情報(電気機器8の種類)の推定精度を向上させることができる。
また、本実施形態のように、推定システム10を分電盤3に適用した場合には、分電盤3内に設けられた主幹回路60及び分岐回路61Eを流れる電流を検出するだけでよいので、施工が容易であるという利点がある。また、この場合には、計測対象となる分岐回路61の数を容易に増やすこともできる。
ここで、推定部11は、第1推定処理では、主幹回路60を流れる電流I1,I2の波形データから、全ての電気機器8A〜8Dの波形データを分離する。そして、推定部11は、分離した全ての電気機器8A〜8Dの波形データについてパターンマッチングを行い、パターンマッチングの結果に従って機器情報(電気機器8A〜8Dの種類)を推定する。
以下、実施形態1の変形例について説明する。
上述の実施形態1では、分岐回路61Eに取り付けられた電流センサ261により分岐回路61E(電気機器8A)を流れる電流I3を計測したが、図4Aに示すように、電気機器8が着脱可能に接続されるアウトレット40にセンサ401が設けられていてもよい。1つの分岐回路61には複数の電気機器8が接続されている可能性が高く、分岐回路61において電流を計測した場合には、計測した電流に基づいて電気機器8ごとの波形データに分離する必要がある。これに対して、アウトレット40では、分岐回路61に比べて多くの電気機器8が接続される可能性が低いため、分岐回路61の配線路において電流を計測する場合に比べて分離処理が少なくてすみ、分離精度を向上させることができる。この場合、センサ401と計測システム2との間を信号線により電気的に接続し、信号線を介して計測結果を伝送するように構成してもよいが、無線通信によって計測結果を伝送するように構成されていることが好ましい。なお、この場合には、アウトレット40のセンサ401による計測点が第2計測点である。また、上記分離処理とは、分岐回路61の配線路又はアウトレット40に電気的に接続された複数の電気機器8の波形データを分離する処理のことである。
また、図4Bに示すように、アウトレット40と電気機器8との間にセンサ50が設けられていてもよい。センサ50は、センサ部501と、第1接続部502と、第2接続部503とを有している。第1接続部502は、例えば栓刃であり、アウトレット40に設けられた刃受けに上記栓刃を接触させることで、第1接続部502を介してアウトレット40とセンサ50とが電気的に接続される。第2接続部503は、例えば刃受けであり、電気機器8に設けられた栓刃を上記刃受けに接触させることで、第2接続部503を介して電気機器8とセンサ50とが電気的に接続される。センサ部501は、第1接続部502と第2接続部503との間の給電路を流れる電流を計測するように構成されている。この場合も同様に、分岐回路61に比べて多くの電気機器8が接続される可能性が低いため、分岐回路61の配線路を流れる電流を計測する場合に比べて波形データの分離精度を向上させることができる。また、この場合においても、センサ部501と計測システム2との間を信号線により電気的に接続し、信号線を介して計測結果を伝送するように構成してもよいが、無線通信によって計測結果を伝送するように構成されていることが好ましい。なお、この場合には、センサ50のセンサ部501による計測点が第2計測点である。
さらに、図4Cに示すように、電気機器8にセンサ81が設けられていてもよい。この場合も同様に、分岐回路61に比べて多くの電気機器8が接続される可能性が低いため、分岐回路61の配線路を流れる電流を計測する場合に比べて波形データの分離精度を向上させることができる。また、この場合においても、センサ81と計測システム2との間を信号線により電気的に接続し、信号線を介して計測結果を伝送するように構成してもよいが、無線通信によって計測結果を伝送するように構成されていることが好ましい。さらに、電気機器8に固有の識別IDが割り当てられている場合には、計測結果とともに識別IDを伝送するように構成されていてもよい。なお、この場合には、電気機器8のセンサ81による計測点が第2計測点である。
また、上述の実施形態1では、優先部112は、推定部11による推定処理において第2推定処理よりも第1推定処理を時間的に優先させている。これに対して、優先部112は、上記推定処理において、第1推定処理の推定結果及び第2推定処理の推定結果に対して重み付けを行うことで第2推定処理よりも第1推定処理を優先させるように構成されていてもよい。優先部112は、例えば、第1推定処理の推定結果及び第2推定処理の推定結果に対する重み付けの割合を2:1とする。そして、推定部11は、第1推定処理による推定結果に対して重み付けを行った後の第1推定結果と、第2推定処理による推定結果に対して重み付けを行った後の第2推定結果とに基づいて機器情報を推定する。これにより、第1推定処理による推定結果(第1推定結果)を優先した推定結果を得ることができる。
さらに、上述の実施形態1では、推定部が管理システム1に設けられているが、推定部は、計測システム2に設けられていてもよいし、分電盤3に設けられていてもよい。また、情報付与部についても計測システム2ではなく、分電盤3に設けられていてもよいし、管理システム1に設けられていてもよい。さらに、推定部と情報付与部との少なくとも一方は、パーソナルコンピュータ等の処理装置に設けられていてもよい。
また、上述の実施形態1では、分岐回路61Eを流れる電流I3の波形データを補助情報としているが、補助情報は波形データに限らず、電流I3の特徴量であってもよい。電流I3の特徴量としては、例えば電流I3の実効値であってもよいし、分岐回路61Eで消費される電力値であってもよい。これらの場合には、波形データを送信する場合に比べて送信間隔を長くすることができるので、通信頻度を少なくすることができる。また、分電盤3がHEMS(Home Energy Management System)に対応している場合には、分岐回路61を流れる電流の実効値及び分岐回路61で消費される電力値は必須の演算項目であるため、新たな演算を行わなくてもよいという利点がある。なお、電流I3の特徴量には、電流I3の波形データは含まれない。
さらに、特徴量は、電流I3の実効値及び分岐回路61Eで消費される電力値に限らず、例えば電流I3の波高値、波高率(ピーク値/波高値)、ひずみ率等であってもよい。
また、上述の実施形態1では、戸建住宅に推定システム10を適用した場合を例に説明したが、推定システム10の適用対象は戸建住宅に限らず、例えばビル等の非住宅であってもよい。例えば、3階建てのビルにおいて、キュービクル(高圧受電設備)から供給される電力を、1階〜3階にそれぞれ設けられた複数の分電盤に分電する場合を想定する。この場合、キュービクルと複数の分電盤との間には配電盤が設けられており、配電盤の一次側を流れる電流を第1電流計測部25により計測する。また、複数の分電盤のうち、例えば1階に設けられた分電盤を流れる電流を第2電流計測部26により計測する。そして、推定システム10の推定部11は、第1電流計測部25の計測結果と第2電流計測部26の計測結果との差分データを求め、この差分データから2階の分電盤を流れる電流の波形データと3階の分電盤を流れる電流の波形データとを分離する。この場合においても、第1電流計測部25の計測結果から全ての分電盤を流れる電流の波形データを分離する場合に比べて分離精度を向上させることができ、その結果、分電盤の設置場所(機器情報)の推定精度を向上させることができる。
また、上述の実施形態1では、戸建住宅に推定システム10を適用した場合を例に説明したが、マンション等の集合住宅に推定システム10を適用することも可能である。集合住宅の場合、複数の住戸の各々が同じ構成であることが多いため、いずれかの住戸において計測された分岐回路の計測データを、当該住戸における推定処理だけでなく、他の住戸における推定処理に活用することも可能である。
さらに、上述の実施形態1では、1つの分岐回路61Eを流れる電流I3の波形データを補助情報としたが、複数の分岐回路61を流れる電流の波形データを補助情報としてもよい。この場合、分離部111において分離する電気機器8の数を減らすことができ、その結果、波形データの分離精度を更に向上させることができる。
また、電流に含まれる周波数成分は電気機器8ごとに異なるため、例えばFFT(Fast Fourier Transformation)を用いた周波数解析により波形データを分離するように構成されていてもよい。
さらに、分離部111は、時刻、季節、室温変化、環境音の変化(例えば生活音、電気機器の動作音等)等の情報、移動できない電気機器(例えばエアコン等)と分岐回路との接続情報などに基づいて、波形データの分離処理を行うように構成されていてもよい。
また、分離部111は、例えば電気機器メーカーから提供される電気機器8の通常時の波形データと異常時の波形データとに基づいて、電気機器8ごとに波形データを分離するように構成されていてもよい。
また、管理システム1は、表示端末100に表示されたグラフを見たユーザからのフィードバック情報により電力データを修正し、修正した電力データを表示端末100に送信するように構成されていてもよい。
さらに、上述の実施形態1では、管理システム1がサーバ装置により構成されている場合を例として説明したが、管理システム1は、1つのサーバ装置に限らず、クラウドコンピューティング(cloud computing)により構成されていてもよい。
(実施形態2)
実施形態2の推定システム10について図5及び図6を参照して説明する。上述の実施形態1では、系統電源6のみから電力が供給されるように構成したが、本実施形態では、系統電源6からだけでなく、分散型電源9からも電力が供給されるように構成している。なお、それ以外の構成については実施形態1と同様であり、同一の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
本実施形態の分電盤3のように、分散型電源9からも電力が供給される場合には、分散型電源9からの電力のみが消費される場合もあり、この場合には主幹回路60には電流I1,I2が流れないため、推定部11において推定処理を行うことができない。そこで、本実施形態では、図5及び図6に示すように、分散型電源9から供給される電流I4を電流センサ262により計測するように構成されている。すなわち、本実施形態では、第2電流計測部26は、2つの電流センサ261,262を有している。
電流センサ261は、「200V回路」である分岐回路61Eを流れる電流I3を計測する。電流センサ262は、貫通孔260に分散型電源9からの導体が貫通した状態で使用され、上記導体を流れる電流I4を計測する。
次に、推定部11を含む管理システム1の動作について説明する。
推定部11は、主幹回路60を流れる電流I1,I2の波形データと、分岐回路61Eを流れる電流I3の波形データと、分散型電源9から供給される電流I4の波形データとに基づいて、電流I1,I2,I4と電流I3との差分データを求める。次に、推定部11の分離部111は、上記差分データに基づいて電気機器8ごとに波形データを分離する。そして、推定部11は、電気機器8A,8C,8Dの各々について、予めメモリに記録させた電気機器8ごとの波形データとのパターンマッチングを行う。そして、推定部11は、両者の一致度が所定値(例えば80%)以上であれば、両者が一致すると判断する。推定部11は、上述の手順により、分離した波形データに対応する機器情報(電気機器8A,8C,8Dの種類)を推定する。
そして、管理システム1は、推定部11の推定結果に基づいて電気機器8ごとの消費電力を算出する。管理システム1は、電気機器8Aについては、電流センサ261で計測された電流I3と電力線7の線間電圧とを乗算することにより消費電力を算出する。また、管理システム1は、残りの電気機器8C,8Dについては、分離部111によって分離した電流と電力線7の線間電圧とを乗算することにより消費電力を算出する。
管理システム1は、電気機器8ごとの消費電力に関わる電力データを通信部12から表示端末100に送信させる。表示端末100では、受信した電力データに基づいて電気機器8ごとの消費電力をグラフ表示する。
本実施形態によれば、主幹回路60を流れる電流I1,I2の波形データから、電気機器8Aを除く電気機器8C,8Dの波形データを分離させればよく、全ての電気機器8A,8C,8Dの波形データを分離させる場合に比べて分離精度を向上させることができる。その結果、推定部11における機器情報(電気機器8の種類)の推定精度を向上させることができる。
また、系統電源6からだけでなく、分散型電源9からも電力が供給される場合には、主幹回路60を流れる電流I1,I2を計測するだけでは推定部11による推定処理を行えない可能性がある。これに対して、本実施形態のように、分散型電源9から供給される電流I4を第2電流計測部26(厳密には電流センサ262)により計測することで、分散型電源9から電力が供給される場合でも、推定部11による推定処理を行うことができる。
なお、実施形態2で説明した構成は、実施形態1で説明した変形例と適宜組み合わせて適用可能である。
以上述べた実施形態から明らかなように、第1の態様の推定システム10は、分岐点P1,…,Pn(n=1,2,…)を含む給電路70に、分岐点P1,…,Pnよりも下流側において電気的に接続されている1以上の電気機器8の種類を含む機器情報を推定する。推定システム10は、第1電流計測部25と、第2電流計測部26と、推定部11と、情報付与部23と、を備えている。第1電流計測部25は、給電路70における分岐点P1,…,Pnよりも上流側の第1計測点(主幹回路60)を流れる電流I1,I2を計測する。第2電流計測部26は、給電路70における分岐点P1,…,Pnよりも下流側の少なくとも1つの第2計測点(分岐回路61)を流れる電流I3を計測する。推定部11は、機器情報を推定する推定処理を行う。情報付与部23は、第2電流計測部26の計測結果に基づく情報であって推定処理を補助する補助情報を推定部11に付与する。推定部11は、推定処理において、第1電流計測部25の計測結果と補助情報とに基づいて機器情報を推定するように構成されている。
第1の態様によれば、推定部11は、推定処理において、第1電流計測部25の計測結果に加えて補助情報を用いているので、第1電流計測部25の計測結果のみから機器情報を推定する場合に比べて、推定精度を向上させることができる。
第2の態様の推定システム10では、第1の態様において、給電路70は、主幹回路60と、複数の分岐回路61と、を含む。主幹回路60は、分岐点P1,…,Pnよりも上流側において系統電源6に電気的に接続されている主幹ブレーカ31を有する。複数の分岐回路61の各々は、分岐点P1,…,Pnを介して主幹ブレーカ31に電気的に接続されている分岐ブレーカ32を有する。第1電流計測部25は、第1計測点として、主幹回路60を流れる電流I1,I2を計測するように構成されている。第2電流計測部26は、少なくとも1つの第2計測点として、複数の分岐回路61のうち少なくとも1つの分岐回路61Eを流れる電流I3を計測するように構成されている。
第2の態様によれば、分電盤3内に設けられた主幹回路60及び分岐回路61を流れる電流I1〜I3を検出するだけでよいので、施工が容易であり、さらに計測対象となる分岐回路61の数を容易に増やすこともできる。ただし、この構成を採用するか否かは任意である。
第3の態様の推定システム10では、第1又は2の態様において、第2電流計測部26は、複数の第2計測点(分岐回路61E、分散型電源9)の各々を流れる電流I3,I4を計測するように構成されている。複数の第2計測点のいずれかには、系統電源6とは別の分散型電源9が電気的に接続されている。第2電流計測部26は、分散型電源9から供給される電流I4を計測するように構成されている。
第3の態様によれば、分散型電源9から供給される電流I4を第2電流計測部26(厳密には電流センサ262)により計測することで、系統電源6からだけでなく、分散型電源9からも電力が供給される場合でも、推定部11による推定処理を行うことができる。ただし、この構成を採用するか否かは任意である。
第4の態様の推定システム10では、第1〜3の態様のいずれかにおいて、給電路70は、分岐点P1〜Pnよりも下流側において、電気機器8を電気的に接続可能なアウトレット40を含む。第2電流計測部25は、アウトレット40を流れる電流を計測するためのセンサ50を有する。センサ50は、第1接続部502と、第2接続部503と、を有し、第1接続部502と第2接続部503との間を流れる電流を計測するように構成されている。第1接続部502は、アウトレット40に電気的に接続される。第2接続部503は、1以上の電気機器8のいずれかが電気的に接続される。
第4の態様によれば、アウトレット40では、分岐回路61のように多くの電気機器8が接続される可能性が低いため、分岐回路61の配線路に流れる電流を計測する場合に比べて、機器情報の推定精度を向上させることができる。ただし、この構成を採用するか否かは任意である。
第5の態様の推定システム10では、第1〜4の態様のいずれかにおいて、推定部11は、第1推定処理を行い、第1推定処理によって機器情報を推定できない場合に、第2推定処理を行うように構成されている。第1推定処理は、第1電流計測部25の計測結果に基づいて機器情報を推定する処理である。第2推定処理は、第1電流計測部25の計測結果と補助情報とに基づいて機器情報を推定する処理である。
第5の態様によれば、第2推定処理よりも第1推定処理を優先させているので、第1推定処理を優先した推定結果を得ることができる。ただし、この構成を採用するか否かは任意である。
第6の態様の推定システム10では、第1〜5の態様のいずれかにおいて、推定部11は、第1推定処理と第2推定処理とを行う。第1推定処理は、第1電流計測部25の計測結果に基づいて機器情報を推定する処理である。第2推定処理は、第1電流計測部25の計測結果と補助情報とに基づいて機器情報を推定する処理である。推定部11は、第1推定処理による推定結果に対して重み付けを行った後の第1推定結果と、第2推定処理による推定結果に対して重み付けを行った後の第2推定結果とに基づいて機器情報を推定するように構成されている。
第6の態様によれば、推定結果に対して重み付けを行っているので、重み付けに応じた推定結果を得ることができる。ただし、この構成を採用するか否かは任意である。
第7の態様の推定システム10では、第1〜6の態様のいずれかにおいて、情報付与部23は、第2電流計測部26の計測結果に基づく特徴量を補助情報として推定部11に付与するように構成されている。
第7の態様によれば、情報付与部23は、第2電流計測部26で計測された電流の波形データではなく、当該波形データに基づく特徴量を補助情報として推定部11に付与するので、通信間隔を長くすることができ、その結果、通信頻度を少なくすることができる。ただし、この構成を採用するか否かは任意である。
第8の態様の推定システム10では、第7の態様において、特徴量は、少なくとも1つの第2計測点を流れる電流の実効値と少なくとも1つの第2計測点における電力値との少なくともいずれか一方である。
第8の態様によれば、HEMS(Home Energy Management System)等において分岐回路の計測を行う場合、分岐回路を流れる電流の実効値及び分岐回路で消費される電力値は必須の演算項目であるため、新たな演算を行わなくてもよいという利点がある。ただし、この構成は推定システムの必須の構成ではなく、例えば分岐回路を流れる電流の実効値及び分岐回路で消費される電力値以外の値が特徴量であってもよい。
第9の態様の管理システム1は、上述の推定システム10における推定部11を備えている。
第9の態様によれば、管理システム1を用いることによって、電気機器8の種類を含む機器情報の推定精度を向上させることができる。
第10の態様のプログラムは、コンピュータを、上述の推定システム10における推定部11として機能させる。
第10の態様によれば、コンピュータを推定部11として機能させることによって、電気機器8の種類を含む機器情報の推定精度を向上させることができる。