JP6810645B2 - 船舶用脱硫装置の排水システム - Google Patents

船舶用脱硫装置の排水システム Download PDF

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Description

本開示は、船舶用脱硫装置の排水システムに関する。
近年、IMO(国際海事機関)新規排ガス及び排水規制の適用により、船舶に設けられた脱硫装置の排水に対してpH規制が適用されることとなった。現時点においては、船外から4m離れた地点におけるpH値を6.5以上にする事という条件が課されている。
特許文献1には、船舶に脱硫装置を搭載し、脱酸処理済みの排出規制に適する海水の総排水管に節水脱酸器を接続する旨が記載されている。
特表2011‐524800号公報
特許文献1に記載の脱硫装置の排水システムでは、船舶内の節水脱酸器にて排水のpHを調整して排出規制に対応しているが、船舶外での海水との希釈混合を考慮しておらず、pH調整のために必要な設備機器構成が複雑である。
本発明の少なくとも一実施形態は、上述したような従来の課題に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、簡素な構成を有し船舶から排出された脱硫装置の排水のpHを速やかに適正値に到達させることができる船舶用脱硫装置の排水システムを提供することである。
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る船舶用脱硫装置の排水システムは、船舶に搭載される排ガス発生装置から排出される排ガスを脱硫するための船舶用脱硫装置の排水システムであって、当該船舶用海水脱硫装置の内部に導入される前記排ガスに洗浄液を噴霧することで、前記排ガスと前記洗浄液とを気液接触させる気液接触部、及び、前記気液接触部よりも下方に位置し、前記排ガスに噴霧された前記洗浄液を含む液体が貯留される液だまり部、を内部に画定する脱硫塔と、前記船舶の喫水線よりも上方に位置し、且つ、前記液だまり部に貯留される前記液体が排水として流入する流入口、及び、前記喫水線よりも下方に位置し、且つ、前記流入口から流入した前記排水を前記船舶の外部に排出する排水ノズルと、を有する排水ラインを備え、前記排水ラインは、前記排水ラインの内部における前記喫水線より上方の位置まで前記排水が溜まった状態において、前記排水ラインの内部における前記排水の液面位置から前記排水ノズルに亘って設けられた大気開放されていない区間を含む。
上記(1)に記載の船舶用脱硫装置の排水システムによれば、排水ラインの内部に溜まった排水の液面位置と喫水線の高さ位置との高低差及び重力を利用して、排水ラインにおける排水の水頭圧によって排水を排水ノズルに供給することができる。これにより、排水ノズルから排出される排水と船舶の周囲の水(例えば海水、湖水又は河川水等)とを効果的に混合することができる。したがって、排水システムの構成を簡素化しつつ、船舶から排出される脱硫装置の排水のpHを速やかに適正値に到達させることができる。
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)に記載の船舶用脱硫装置の排水システムにおいて、前記排水ラインに希釈水を供給するための希釈水供給装置であって、前記排水ラインと接続する希釈水ラインと、前記希釈水ラインを流れる前記希釈水を排水ラインに供給するための希釈水ポンプと、を含む希釈水供給装置をさらに備える。
上記(2)に記載の船舶用脱硫装置の排水システムによれば、排水ラインの水頭圧が低い場合(脱硫塔から排水ラインの流入口に流入する排水の流量が少ない場合)や、脱硫塔から排水ラインの流入口に流入する排水のpHが極端に低い場合等に、希釈水ラインから排水ラインに希釈水を供給して排水ラインの排水を希釈し、船舶から排出される脱硫装置の排水のpHを適正化することができる。尚、排水ノズルから脱硫排水を排出する際、上記排水の計測pHに基づき当該脱硫排水が海中で十分に混合され船舶から所定距離離れた地点のpH規制値を満足出来る事が予め判っている場合(脱硫排水原水のPHが高い場合乃船外殻排水部から前記所定pH規制位置までの水中混合性能が優れる場合)に、希釈排水は不要となる場合もある。
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)に記載の船舶用脱硫装置の排水システムにおいて、前記排水ラインにおける前記液面位置を測定するための液面計と、前記希釈水供給装置から前記排水ラインに供給される前記希釈水の流量を調整する希釈水調整手段と、前記液面計で測定された前記液面位置に基づいて、前記希釈水調整手段を制御する希釈水量調整コントローラと、をさらに備える。
上記(3)に記載の船舶用脱硫装置の排水システムによれば、液面計によって測定された排水ラインの内部における排水の液面位置に応じて希釈水供給装置から排水ラインに供給される希釈水の流量を適切に制御することができる。これにより、船舶から排出される脱硫装置の排水のpHを速やかに適正値に到達させることができる。また、排水ノズルから排出される排水のpHを適正化(船舶から所定距離離れた地点のpH規制値を満足)するために使用する希釈水の過不足を抑制することができるため、希釈水ポンプの動力の増大を抑制しつつ排水ノズルから排出される排水のpHを適正化することができる。
(4)幾つかの実施形態では、上記(2)又は(3)に記載の船舶用脱硫装置の排水システムにおいて、前記排水ラインの内部における排水のpHを測定するためのpH計と、前記希釈水供給装置から前記排水ラインに供給される前記希釈水の流量を調整する希釈水調整手段と、前記pH計で測定された前記排水のpHに基づいて、前記希釈水調整手段を制御する希釈水量調整コントローラと、をさらに備える。尚、排水ノズルから脱硫排水を排出する際、上記排水の計測pHに基づき当該脱硫排水が海中で十分に混合され船外から4m離れた地点のpHを6.5以上に出来る事が判っている場合(脱硫排水原水のpHが高い場合又は排水ノズルの海中混合性能が優れる場合)に、希釈排水は不要となる場合もある。
上記(4)に記載の船舶用脱硫装置の排水システムによれば、希釈水供給装置によって排水ラインに供給する希釈水の量をpH計によって測定した排水ラインの排水のpHに基づいて制御することができる。このため、排水ノズルから排出される排水のpHを適正化(船舶から所定距離離れた地点のpH規制値を満足)するために使用する希釈水の過不足を抑制することができる。したがって、希釈水ポンプの動力の増大を抑制しつつ排水ノズルから排出される排水のpHを適正化することができる。
(5)幾つかの実施形態では、上記(2)乃至(4)の何れかに記載の船舶用脱硫装置の排水システムにおいて、前記排水ラインには、前記希釈水ラインとの接続箇所よりも下流側に、前記流入口から流入した排水と前記希釈水との混合を促進するための混合促進部が設けられる。
上記(5)に記載の船舶用脱硫装置の排水システムによれば、排水ラインにおける流入口から流入した排水と希釈水ラインから供給された希釈水との混合を混合促進部によって促進し、船舶から排出される脱硫装置の排水のpHを速やかに適正化(船舶から所定距離離れた地点のpH規制値を満足)することができる。
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(5)の何れかに記載の船舶用脱硫装置の排水システムにおいて、前記排水ラインは、一端部および他端部の間に落差を有する落差管と、前記落差管から分岐するとともに鉛直方向と交差する方向に沿って延在する複数の枝管と、を含む。
上記(6)に記載の船舶用脱硫装置の排水システムによれば、枝管を設けて排水ノズルの位置を適切に分散させることにより、船舶が傾斜しても適正に排水することができる。
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(6)の何れかに記載の船舶用脱硫装置の排水システムにおいて、前記排水ラインにおける前記喫水線よりも上方の位置と、前記船舶の外部とを接続する溢流管をさらに備える。
上記(7)に記載の船舶用脱硫装置の排水システムによれば、排水ラインの内部における排水の液面位置が上昇しても溢流管から船舶の外部に排水を排出することができるため、排水ラインから脱硫塔への排水の逆流を抑制することができる。なお、当該逆流防止用の溢流管の出口部は喫水線より下に設置するのが好ましい。
(8)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(7)の何れかに記載の船舶用脱硫装置の排水システムにおいて、前記排水ラインには、前記喫水線の高さ位置よりも上方に逆止弁が設けられる。
上記(8)に記載の船舶用脱硫装置の排水システムによれば、排水ラインの液面が上昇しても、脱硫塔への排水の逆流を逆止弁によって抑制することができる。また、上記(8)に記載の船舶用脱硫装置の排水システムにおいて上記(7)に記載の溢流管が設けられている場合には、脱硫塔への排水の逆流を逆止弁によって抑制しつつ排水を溢流管に流して船舶の外部に排出することができる。
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(8)の何れかに記載の船舶用脱硫装置の排水システムにおいて、前記排水ノズルは、前記排水を噴射するノズル部と、前記ノズル部によって噴射された排水と、前記ノズル部の周囲から吸引された前記船舶の周囲の水とを混合して排出するディフューザ部と、を含むエゼクタノズルからなる。
上記(9)に記載の船舶用脱硫装置の排水システムによれば、ノズル部から噴射されてディフューザ部に流入する排水によってノズル部の周囲からディフューザ部の内側に船舶の周囲の水が吸引されて、排水と水とが効果的に混合される。当該ディフューザ部内部に吸引される水は船外水中から取り込まれ、これによって船外での混合が促進されるものである。従って上記(2)乃至(5)に記載した希釈水を低減或いは不要とする事ができ、希釈水のポンプの揚水動力を低減できる。当該エゼクタノズルを用いる事で少ない希釈水或いは希釈水を使う事なく船舶から排出される脱硫装置の排水のpHを速やかに適正化(船舶から所定距離離れた地点のpH規制値を満足)することができる。
(10)幾つかの実施形態では、上記(1)乃至(9)の何れかに記載の船舶用脱硫装置の排水システムにおいて、前記排水ラインはヘッダを含み、前記ヘッダには、複数の前記排水ノズルが設けられる。
上記(10)に記載の船舶用脱硫装置の排水システムによれば、ヘッダに設けた複数の排水ノズルを用いて排水と周囲の水とを混合することにより、船舶から排出される脱硫装置の排水のpHを速やかに適正値に到達させることができる。
本発明の少なくとも一つの実施形態によれば、簡素な構成を有し船舶から排出された脱硫装置の排水のpHを速やかに適正値に到達させることができる船舶用脱硫装置の排水システムが提供される。
一実施形態に係る脱硫装置6の排水システム7(7A)の概略構成を示す断面図である。 図1に示す排水ノズル12の拡大図である。 一実施形態に係る脱硫装置6の排水システム7(7B)の概略構成を示す断面図である。 一実施形態に係る脱硫装置6の排水システム7(7C)の概略構成を示す断面図である。
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
図1は、一実施形態に係る船舶2の概略的な断面図である。
図1に示すように、船舶2は、船体4及び脱硫装置6(船舶用脱硫装置)を備える。
脱硫装置6は、船体4に搭載される不図示の排ガス発生装置から排出される排ガスを脱硫するように構成されており、脱硫装置6の脱硫処理によって生じた排水を船舶2の外部に排出するための排水システム7(7A)を備えている。なお、上記排ガス発生装置は、C重油、又はC重油との混合油を燃料とする主機関(例えば、ディーゼルエンジン、ガスタービンエンジン又は蒸気タービンエンジン等)や、複数の発電機関、舶用ボイラ等である。
脱硫装置6の排水システム7は、脱硫塔8及び排水ライン10を含む。
脱硫塔8は、船体4の甲板5上に設置されている。脱硫塔8は、内部に導入される排ガスに洗浄液(例えば海水、アルカリ剤等)を噴霧することで、排ガスと洗浄液とを気液接触させる気液接触部16、及び、気液接触部16よりも下方に位置し、気液接触部16で排ガス中の硫黄分を吸収した洗浄液が貯留される液だまり部18、を内部に画定するように構成されている。アルカリ剤としては、例えばNaOH、Ca(OH)、NaHCO、NaCOなどが挙げられ、高濃度に減容化されたアルカリを用いることが好ましい。
排水ライン10は、流入口20及び排水ノズル12を含む。流入口20は、船舶2の喫水線Lよりも上方に位置し、且つ、液だまり部18に貯留される液体が排水W1として流入するように構成されている。図示する形態では、液だまり部18の液位(液面高さ)が、喫水線Lよりも上方に位置する堰部19(排水ライン10における後述する落差管34の上端部)の高さを上回った際、液だまり部18に貯留される液体が堰部19をオーバーフローすることで、排水W1として流入口20に流入するように構成されている。
排水ノズル12は、喫水線Lよりも下方に位置し、且つ、流入口20から流入した排水W1を船舶2の外部に排出するよう構成されている。また、排水ライン10は、排水ライン10の内部における喫水線Lより上方の位置P1まで排水W1が溜まった状態において、排水ライン10の内部における排水W1の液面位置P1から排水ノズル12に亘って設けられた大気開放されていない区間S(配管)を含む。すなわち、排水ライン10は、区間Sにおいて排水処理タンク等の大気開放された設備に接続されていない。
かかる構成によれば、排水ライン10に溜まった排水W1の液面位置P1と喫水線Lの高さ位置P0との高低差及び重力を利用して、排水ライン10における排水W1の水頭圧によって排水W1を排水ノズル12に供給することができる。これにより、排水ノズル12から排出される排水W1と船舶の周囲の水W0(例えば海水、湖水又は河川水等)とを効果的に混合することができる。したがって、排水システム7の構成を簡素化しつつ、船舶2から排出される脱硫装置6の排水W1のpHを速やかに適正値に到達させることができる。すなわち、排水システム7の構成を簡素化しつつ、船舶2から所定距離離れた地点のpH規制値を満足することができる。
幾つかの実施形態では、例えば図1に示すように、排水ライン10は、一端部および他端部の間に落差を有する落差管34と、落差管34から分岐するとともに鉛直方向と交差する方向に沿って延在する複数の枝管36と、を含む。上述の流入口20は落差管34の上端に設けられており、上述の排水ノズル12は枝管36の末端に設けられている。図示する例示的形態では、落差管34は鉛直方向に沿って延設されており、複数の枝管36は、落差管34の下端から分岐して水平方向に沿って延在する2本の水平管からなる。また、枝管36の各々はヘッダ37を含み、ヘッダ37には複数の排水ノズル12が設けられている。
ヘッダ37に設けた複数の排水ノズル12を用いて排水W1と周囲の水W0とを混合することにより、船舶2から排出される脱硫装置6の排水W1のpHを速やかに適正値(船舶から所定距離離れた地点のpH規制値)に到達させることができる。また、共通の流入口20から流入した排水W1を複数の排水ノズル12に供給することができるため、複数の流入口20を設ける場合と比較して、排水システム7の構成を簡素化することができる。
幾つかの実施形態では、例えば図1に示すように、排水システム7は、排水ライン10に希釈水を供給するための希釈水供給装置14を含む。希釈水供給装置14は、排水ライン10と接続する希釈水ライン24と、希釈水ライン24を流れる希釈水を排水ラインに供給するための希釈水ポンプ26と、を含む。図示する例示的形態では、希釈水ライン24は、排水ライン10のうち落差管34に接続している。
かかる構成によれば、排水ライン10の水頭圧が低い場合(脱硫塔8から流入口20に流入する排水W1の流量が少く、排水ライン10内の排水W1の液面位置P1が低くなりすぎる場合)や、脱硫塔8から流入口20に流入する排水W1のpHが極端に低い場合等に、希釈水ライン24から排水ライン10に希釈水を供給して排水ライン10の排水W1を希釈し、船舶2から排出される脱硫装置6の排水W1のpHを適正化することができる。
幾つかの実施形態では、例えば図1に示すように、排水システム7は、排水ライン10における排水の液面位置P1を測定するための液面計としての圧力計28と、希釈水供給装置14から排水ライン10に供給される希釈水の流量を調整する調整弁30(電動弁)と、圧力計28で測定された排水W1の液面位置P1に基づいて、希釈水ポンプ26の出力と調整弁30の開度うち少なくとも一方(希釈水調整手段)を制御する希釈水量調整コントローラ32と、を含む。図示する例示的形態では、圧力計28は、落差管34における希釈水ライン24との接続位置より下流側、且つ後述のラインミキサー38より上流の位置にて排水ライン10における排水W1の圧力を計測することで液面位置P1を測定するように構成されている。但しラインミキサー設置構成は一例であり、当該ラインミキサーを設置せずとも排水ライン内での混合性が保たれる事が判っている場合には、当該ラインミキサーの設置は必須ではない。
かかる構成によれば、圧力計28によって測定された排水ライン10における排水W1の液面位置P1を一定範囲内に維持するように希釈水供給装置14から排水ライン10に供給される希釈水の流量を制御することができる。これにより、排水ライン10の落差管34における排水W1の水頭圧の不足を抑制して、排水ノズル12の混合性能の低下を抑制し、船舶2から排出される脱硫装置6の排水W1のpHを速やかに適正値(船舶2から所定距離離れた地点のpH規制値)に到達させることができる。また、排水ノズル12から排出される排水W1のpHを適正化するために使用する希釈水の過不足を抑制することができるため、希釈水ポンプ26の動力の増大を抑制しつつ排水ノズル12から排出される排水W1のpHを適正化することができる。
幾つかの実施形態では、例えば図1に示すように、排水ライン10には、希釈水ライン24との接続箇所P2よりも下流側に、流入口20から流入した排水W1と希釈水との混合を促進するための混合促進部としてのラインミキサー38が設けられる。図示する例示的形態では、ラインミキサー38は、落差管34における希釈水ライン24との接続箇所P3よりも下流側であって枝管36の分岐位置P3よりも上流側の位置に設けられる。
かかる構成によれば、排水ライン10における流入口20から流入した排水W1と希釈水ライン24から供給された希釈水との混合をラインミキサー38によって促進し、船舶2から排出される脱硫装置6の排水W1のpHを速やかに適正値(船舶から所定距離離れた地点のpH規制値)に到達させることができる。
幾つかの実施形態では、例えば図1に示すように、枝管36の各々におけるヘッダ37よりも上流側にアイソレートバルブ39が設けられている。かかる構成によれば、アイソレートバルブ39を閉じて排水ライン10の排水W1を除去することにより、ヘッダ37や排水ノズル12のメンテナンスを容易に行うことができる。例えば,貝等の海洋生物やゴミなどが排水ノズルに固着したり物理的に排水ノズルが損傷し排水運転を阻害する場合には前記のアイソレートバルブを閉じる事で清掃,メンテナンスが可能となる。
図2は、図1に示す排水ノズル12の拡大図である。幾つかの実施形態では、例えば図2に示すように、排水ノズル12は、排水W1を噴射するノズル部40と、ノズル部40から噴射された排水W1とノズル部40の周囲から吸引された水W0とを混合して排出する筒状のディフューザ部42と、を含むエゼクタノズルからなる。図示する例示的形態では、排水ノズル12は、船体4の側面に形成された凹形状のシーチェスト44の内側に設けられ、シーチェスト44内の水W0がノズル部40の周囲からディフューザ部42の内側に吸引される。
かかる構成によれば、ノズル部40から噴射されてディフューザ部42に流入する排水W1によってノズル部40の周囲からディフューザ部42の内側にシーチェスト44内の水W0が吸引されて、排水W1と水W0とが効果的に混合される。このため、船舶2から排出される脱硫装置6の排水W1のpHを速やかに適正値(船舶2から所定距離離れた地点のpH規制値)に到達させることができる。
幾つかの実施形態では、例えば図1に示すように、排水ノズル12の性能を監視するための圧力計46を備える。図示する例示的形態では、圧力計46は枝管36におけるヘッダ37とアイソレートバルブ39との間の位置にて排水W1の圧力を計測するよう構成されている。また、希釈水量調整コントローラ32は、圧力計46の計測結果に基づいて排水ノズル12の性能が不足していると判断した場合に、希釈水ポンプ26の出力と調整弁30の開度のうち少なくとも一方を制御するよう構成されている。
かかる構成によれば、圧力計46の計測結果に基づく排水ノズル12の性能に応じて希釈水供給装置14から排水ライン10に供給される希釈水の流量を適切に制御することができる。これにより、船舶2から排出される脱硫装置6の排水W1のpHを速やかに適正値(船舶2から所定距離離れた地点のpH規制値)に到達させることができる。
図3は、一実施形態に係る脱硫装置6の排水システム7(7B)の概略構成を示す断面図である。以下では、脱硫装置6の排水システム7(7B)のうち、上述の排水システム7(7A)の各構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略し、排水システム7(7B)の特徴的な構成を中心に説明する。
幾つかの実施形態では、例えば図3に示すように、脱硫装置6の排水システム7(7B)は、排水ライン10における喫水線Lよりも上方の位置P4と、船舶2の外部とを接続する溢流管48(緊急排水機構)を備える。図示する形態では、溢流管48の一端は、排水ライン10と希釈水ライン24との接続位置P2より上方にて落差管34に接続し、溢流管48の他端は、船舶2の側面における喫水線Lより下方の位置にて船舶2の外部とを接続する。また、溢流管48には手動弁50が設けられている。
かかる構成によれば、脱硫塔8からの排水流量が増加し、排水ライン10の内部における排水W1の液面位置P1が上昇しても溢流管48から船舶2の外部に排水W1を排出することができるため、排水ライン10から脱硫塔8への排水W1の逆流を抑制することができる。
幾つかの実施形態では、例えば図3に示すように、排水ライン10には、溢流管48が接続された位置P4よりも上方に逆止弁52が設けられている。
かかる構成によれば、排水量が少ない状態で希釈水ポンプ26を稼働中に、脱硫塔8からの排水量が急増し、排水ライン10の内部における排水W1の液面位置P1が上昇しても、脱硫塔8への排水W1の逆流を逆止弁52によって抑制しつつ排水W1を溢流管48に流して船舶2の外部に排出することができる。
図4は、一実施形態に係る脱硫装置6の排水システム7(7C)の概略構成を示す断面図である。以下では、脱硫装置6の排水システム7(7C)のうち、上述の排水システム7(7A,7B)の各構成と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略し、排水システム7(7C)の特徴的な構成を中心に説明する。
幾つかの実施形態では、例えば図4に示すように、排水システム7(7C)は、排水ライン10の内部における排水W1のpHを測定するためのpH計54を備える。また、希釈水量調整コントローラ32は、pH計54で測定された液体のpHに基づいて、希釈水ポンプ26の出力と調整弁30の開度うち少なくとも一方(希釈水調整手段)を制御するように構成されている。pH計54は、排水ライン10におけるラインミキサー38より下流側に設けることが好ましく、図示する例示的形態では、枝管36におけるヘッダ37とアイソレートバルブ39との間の位置にて排水W1のpHを測定するように構成されている。
かかる構成によれば、希釈水供給装置14によって排水ライン10に供給する希釈水の量をpH計54によって測定した排水ライン10の排水W1のpHに基づいて制御することができる。このため、排水ノズル12から排出される排水W1のpHを適正化するために使用する希釈水の過不足を抑制することができる。したがって、希釈水ポンプ26の動力の増大を抑制しつつ排水ノズル12から排出される排水W1のpHを適正化することができる。
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
例えば、上述した幾つかの実施形態では、排水ライン10の内部における排水W1の液面位置P1を測定するための液面計として、圧力計28を用いる例を示したが、液面計は、水圧方式に限らず、超音波式、電波式、フロート式、光学式などの既知の方式の液面計を使用することができる。
また、上述した幾つかの実施形態では、鉛直方向に沿った落差管34と落差管34の下端から水平方向に沿って延在する2本の枝管36とを排水ライン10が含む形態を例示したが、排水ライン10の配管構成はこれに限らず、例えば鉛直方向及び水平方向の各々と交差する斜め方向に沿って延在する配管を排水ライン10が含んでいてもよい。
2 船舶
4 船体
5 甲板
6 脱硫装置
7(7A〜7C) 排水システム
8 脱硫塔
10 排水ライン
12 排水ノズル
14 希釈水供給装置
16 気液接触部
18 液だまり部
19 堰部
20 流入口
24 希釈水ライン
26 希釈水ポンプ
28,46 圧力計
30 調整弁
32 希釈水量調整コントローラ
34 落差管
36 枝管
37 ヘッダ
38 ラインミキサー
39 アイソレートバルブ
40 ノズル部
42 ディフューザ部
44 シーチェスト
48 溢流管
50 手動弁
52 逆止弁
54 pH計
56 右舷
58 左舷

Claims (10)

  1. 船舶に搭載される排ガス発生装置から排出される排ガスを脱硫するための船舶用脱硫装置の排水システムであって、
    内部に導入される前記排ガスに洗浄液を噴霧することで、前記排ガスと前記洗浄液とを気液接触させる気液接触部、及び、前記気液接触部よりも下方に位置し、前記排ガスに噴霧された前記洗浄液を含む液体が貯留される液だまり部、を内部に画定する脱硫塔と、
    前記船舶の喫水線よりも上方に位置し、且つ、前記液だまり部に貯留される前記液体が排水として流入する流入口、及び、前記喫水線よりも下方に位置し、且つ、前記流入口から流入した前記排水を前記船舶の外部に排出する排水ノズルと、を有する排水ラインを備え、
    前記排水ラインは、前記排水ラインの内部における前記喫水線より上方の位置まで前記排水が溜まった状態において、前記排水ラインの内部における前記排水の液面位置から前記排水ノズルに亘って設けられた大気開放されていない区間を含む、船舶用脱硫装置の排水システム。
  2. 前記排水ラインに希釈水を供給するための希釈水供給装置であって、
    前記排水ラインと接続する希釈水ラインと、
    前記希釈水ラインを流れる前記希釈水を排水ラインに供給するための希釈水ポンプと、
    を含む希釈水供給装置をさらに備える、請求項1に記載の船舶用脱硫装置の排水システム。
  3. 前記排水ラインにおける前記液面位置を測定するための液面計と、
    前記希釈水供給装置から前記排水ラインに供給される前記希釈水の流量を調整する希釈水調整手段と、
    前記液面計で測定された前記液面位置に基づいて、前記希釈水調整手段を制御する希釈水量調整コントローラと、をさらに備える、請求項2に記載の船舶用脱硫装置の排水システム。
  4. 前記排水ラインの内部における排水のpHを測定するためのpH計と、
    前記希釈水供給装置から前記排水ラインに供給される前記希釈水の流量を調整する希釈水調整手段と、
    前記pH計で測定された前記排水のpHに基づいて、前記希釈水調整手段を制御する希釈水量調整コントローラと、をさらに備える、請求項2又は3に記載の船舶用脱硫装置の排水システム。
  5. 前記排水ラインには、前記希釈水ラインとの接続箇所よりも下流側に、前記流入口から流入した排水と前記希釈水との混合を促進するための混合促進部が設けられる、請求項2乃至4の何れか1項に記載の船舶用脱硫装置の排水システム。
  6. 前記排水ラインは、
    一端部および他端部の間に落差を有する落差管と、
    前記落差管から分岐するとともに鉛直方向と交差する方向に沿って延在する複数の枝管と、
    を含む、請求項1乃至5の何れか1項に記載の船舶用脱硫装置の排水システム。
  7. 前記排水ラインにおける前記喫水線よりも上方の位置と、前記船舶の外部とを接続する溢流管をさらに備える、請求項1乃至6の何れか1項に記載の船舶用脱硫装置の排水システム。
  8. 前記排水ラインには、前記喫水線の高さ位置よりも上方に逆止弁が設けられる、請求項1乃至7の何れか1項に記載の船舶用脱硫装置の排水システム。
  9. 前記排水ノズルは、
    前記排水を噴射するノズル部と、
    前記ノズル部によって噴射された排水と、前記ノズル部の周囲から吸引された前記船舶の周囲の水とを混合して排出するディフューザ部と、
    を含むエゼクタノズルからなる、請求項1乃至8の何れか1項に記載の船舶用脱硫装置の排水システム。
  10. 前記排水ラインはヘッダを含み、前記ヘッダには、複数の前記排水ノズルが設けられる、請求項1乃至9の何れか1項に記載の船舶用脱硫装置の排水システム。
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