JP6809366B2 - 光学活性カルボン酸エステルの製造方法 - Google Patents
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特許文献1には、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールの存在下、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl)と光学活性カルボン酸とアルコールとを反応させて、光学活性カルボン酸エステルを製造する方法が記載されている。
したがって、本発明の目的は、反応操作が簡便であり、環境への負荷が少なく、低コストで光学活性カルボン酸エステルを効率よく製造することができる方法を提供することにある。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[5]である。
本発明の光学活性カルボン酸エステルの製造方法においては、原料として、下記式(I)で表される化合物が使用される。なお、式(I)で表される化合物は、反応によって、該化合物由来の成分を含む中間体を生成するが、最終的に得られる光学活性カルボン酸エステルには、該化合物由来の成分は含まれない。
R1およびR2で表される炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、およびアリール基が挙げられる。式(I)で表される化合物の入手容易性の観点から、これらの炭化水素基の炭素数は1〜20であり、2〜10であることが好ましく、3〜7であることがより好ましい。
R1およびR2で表される炭化水素基としては、より詳細には、アリル基、t−ブチル基、t−アミル基、およびベンジル基などを挙げることができる。また、式(I)で表される化合物としては、具体的には、例えば、二炭酸ジアリル、二炭酸ジ−t−ブチル、二炭酸ジ−t−アミル、および二炭酸ジベンジルなどが挙げられる。これらのなかでも、光学活性カルボン酸エステルを効率よく合成できることから、R1およびR2がt−ブチル基である二炭酸ジ−t−ブチルが好ましい。
本発明の光学活性カルボン酸エステルの製造方法において、光学活性カルボン酸エステルの原料となる光学活性カルボン酸の種類および構造は限定されない。例えば、光学活性カルボン酸は、下記式(II)のように表すことができ、カルボキシル基のα位に不斉炭素を有するものが好ましい。
R3およびR4で表される炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、およびアリール基が挙げられる。光学活性カルボン酸の入手容易性の観点から、これらの炭化水素基の炭素数は、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましい。
R3およびR4で表される炭化水素基としては、より詳細には、R3およびR4のうち、いずれか一方が多重結合を有する炭素原子を介して不斉炭素と結合することが好ましい。多重結合を有する炭素原子を介して不斉炭素と結合する炭化水素基としては、アリール基を挙げることができ、多重結合を有さない炭素原子を介して不斉炭素と結合する炭化水素基としては、アルキル基を挙げることができる。
光学活性カルボン酸としては、市販されているものを使用することもでき、公知の方法などにより製造したものを使用することもできる。また、光学活性カルボン酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の光学活性カルボン酸エステルの製造方法において、光学活性カルボン酸エステルの原料となるアルコールの種類および構造は限定されない。例えば、アルコールは、「R5−OH」と表すことができ、R5は、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基であることが好ましい。該炭化水素基は、直鎖状でも、分岐状でも、あるいは環構造を有してもよい。また、該炭化水素基中に不飽和結合を含んでいてもよい。なお、置換基を有していてもよいとは、任意の置換基を1つ以上有していてもよいという意味であり、例えば、以下の結合、基および原子などを1つ以上有していてもよいという意味である。エステル結合、アミド結合、エーテル結合、スルフィド結合、ジスルフィド結合、ウレタン結合、ニトロ基、シアノ基、ケトン基、ホルミル基、アセタール基、チオアセタール基、スルホニル基、ハロゲン原子、ケイ素原子、リン原子など。
R5で表される炭化水素基としては、より詳細には、ベンジル基およびフェニル基などを挙げることができる。またアルコールとしては、具体的には、例えば、ベンジルアルコール、ベンズヒドロール、1−ナフタレンメタノール、2−ナフタレンメタノール、9−(ヒドロキシメチル)アントラセン、1−ナフトール、2−ナフトール、2−フェニルフェノール、4−フェニルフェノールおよびフェノールなどが挙げられる。これらのなかでも、アルコールとしては、ベンジルアルコールおよびフェノールが好ましい。
本発明の光学活性カルボン酸エステルの製造方法において使用される触媒は、光学活性カルボン酸エステルを効率よく合成できる点から、1種以上の第1族金属化合物と1種以上の第2族金属化合物を併用することが好ましい。触媒を構成する配位子によって、当該触媒の溶解性が変わるため、当該触媒は、均一系触媒として用いることもでき、不均一系触媒として用いることもできる。
第1族金属化合物中に含まれる金属としては、特に限定されないが、周期表の第1族に属する金属のうち、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、およびセシウムが好ましく、光学活性カルボン酸の光学純度を保持したまま光学活性カルボン酸エステルを製造できる点から、リチウムがより好ましい。
第2族金属化合物中に含まれる金属としては、特に限定されないが、周期表の第2族に属する金属のうち、マグネシウム、カルシウム、およびストロンチウムが好ましく、光学活性カルボン酸エステルの収率をより高めることができる点から、マグネシウムがより好ましい。
本発明の光学活性カルボン酸エステルの製造方法における反応条件は、特に限定されず、反応過程で反応条件を適宜変更することもできる。
反応に用いる反応容器の形態は、特に限定されない。
本発明の光学活性カルボン酸エステルの製造は、無溶媒(溶媒を用いない)で行うことができる。反応液の粘度が高いなどの場合には、必要に応じて、溶媒を用いることもできる。溶媒の種類は特に限定されないが、例えば、炭素数1〜25の有機化合物を用いることができ、反応条件に応じて適宜選択することができる。溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合溶媒でもよい。溶媒の使用量も特に限定されず、適宜選択することができる。
本発明の光学活性カルボン酸エステルの製造方法で得られる生成物は、式(III)のように表すことができる。ここで、*、R3、R4、およびR5は、光学活性カルボン酸の説明の欄とアルコールの説明の欄において、それぞれ記載した通りである。
以下の実施例および比較例において用いた二炭酸ジ−t−ブチルは、東京化成工業株式会社製の純度98質量%の化合物であり、式(I)におけるR1およびR2がt−ブチル基である化合物である。
光学活性カルボン酸エステルの収率(%)=(P1/S1)×100 (1)
P1:生成した光学活性カルボン酸エステルの物質量(モル)
S1:使用したアルコールの物質量(モル)
触媒の添加量(モル%)=(C1またはC2/S1)×100 (2)
C1:使用した第1族金属化合物の物質量(モル)
C2:使用した第2族金属化合物の物質量(モル)
S1:使用したアルコールの物質量(モル)
原料のモル当量=(S3またはS2/S1) (3)
S3:使用した式(I)で表される化合物の物質量(モル)
S2:使用した光学活性カルボン酸の物質量(モル)
S1:使用したアルコールの物質量(モル)
カラム:CHIRALCEL OJ−H、CHIRALCEL AD−H
溶離液:n−ヘキサンおよび2−プロパノール混合溶液
検出器:UV(254nm)
容量100mLのフラスコ内に、(S)−2−フェニルプロピオン酸2.234g(14.88ミリモル)、二炭酸ジ−t−ブチル3.313g(14.88ミリモル)、およびフェノール1.400g(14.88ミリモル)を加え、均一溶液とした。この反応混合液に硫酸マグネシウム0.090g(0.74ミリモル、フェノール1モルに対して5モル%)および塩化リチウム0.032g(0.74ミリモル、フェノール1モルに対して5モル%)を順次加え、撹拌下、25℃常圧で反応を行ない、(S)−2−フェニルプロピオン酸フェニルを製造した。反応開始から24時間後における反応結果を表1に示す。
表1および表2に記載の金属化合物と使用量、および原料を変更したこと以外は実施例1と同様にして、光学活性カルボン酸エステルを製造した。反応開始から3〜24時間後における反応結果を、表1および表2にそれぞれ示す。
本発明の光学活性カルボン酸エステルの製造方法によれば、従来の方法と比べて、反応操作が簡便であり、環境への負荷が少なく、低コストで光学活性カルボン酸エステルを効率よく製造することができる。
Claims (5)
- 下記式(I)で表される化合物と光学活性カルボン酸とアルコールとを、1種以上の第1族金属化合物および1種以上の第2族金属化合物の存在下で反応させる、光学活性カルボン酸エステルの製造方法。
- 前記式(I)で表される化合物が二炭酸ジ−t−ブチルである、請求項1に記載の光学活性カルボン酸エステルの製造方法。
- 前記光学活性カルボン酸が下記式(II)で表される、請求項1または2に記載の光学活性カルボン酸エステルの製造方法。
- 前記アルコールが、置換基を有してもよいフェノールまたは置換基を有してもよいベンジルアルコールである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学活性カルボン酸エステルの製造方法。
- 前記第1族金属化合物を構成する金属がリチウムである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学活性カルボン酸エステルの製造方法。
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