JP6809366B2 - 光学活性カルボン酸エステルの製造方法 - Google Patents

光学活性カルボン酸エステルの製造方法 Download PDF

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本発明は、光学活性カルボン酸エステルの製造方法に関する。
光学活性カルボン酸エステルは、香料および医農薬などの分野で幅広く利用されている。光学活性カルボン酸エステルの製造方法としては、原料である光学活性カルボン酸の光学純度を保持したまま、光学活性カルボン酸エステルに導く方法が知られている。
特許文献1には、1−ヒドロキシベンゾトリアゾールの存在下、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミド塩酸塩(EDC・HCl)と光学活性カルボン酸とアルコールとを反応させて、光学活性カルボン酸エステルを製造する方法が記載されている。
特表2004−513601号公報
しかしながら、特許文献1に記載の光学活性カルボン酸エステルの製造方法は、EDC・HClを、別途調製した0℃の反応溶液に添加する必要があること、その後、反応温度を室温まで加温する必要があるため、操作が複雑になり、反応効率の観点から不利である。また、縮合剤として、カルボジイミドを用いるため、合成過程において、等モル量の尿素誘導体が副生する。さらには、それらを除去するために洗浄工程が組み込まれる。結果として、廃棄物が多量に副産されることから、経済的に不利であり、環境への影響の観点からも問題がある。加えて、EDC・HClは、非常に高価であるため、製造される光学活性カルボン酸エステルの製造コストが高くなるという問題がある。
したがって、本発明の目的は、反応操作が簡便であり、環境への負荷が少なく、低コストで光学活性カルボン酸エステルを効率よく製造することができる方法を提供することにある。
本発明者らは、従来技術の問題点に鑑みて鋭意研究を重ねた結果、特定の原料および触媒の存在下で反応を行うことにより上記目的を達成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[5]である。
[1]下記式(I)で表される化合物と光学活性カルボン酸とアルコールとを、1種以上の第1族金属化合物および1種以上の第2族金属化合物の存在下で反応させる、光学活性カルボン酸エステルの製造方法。なお、式(I)中、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。
[2]前記式(I)で表される化合物が二炭酸ジ−t−ブチルである、[1]に記載の光学活性カルボン酸エステルの製造方法。
[3]前記光学活性カルボン酸が下記式(II)で表される、[1]または[2]に記載の光学活性カルボン酸エステルの製造方法。なお、式(II)中、*は、R配置またはS配置のいずれか一方の不斉炭素原子を表し、RおよびRは、互いに異なる有機基を表す。
[4]前記アルコールが、置換基を有してもよいフェノールまたは置換基を有してもよいベンジルアルコールである、[1]〜[3]のいずれかに記載の光学活性カルボン酸エステルの製造方法。
[5]前記第1族金属化合物を構成する金属がリチウムである、[1]〜[4]のいずれかに記載の光学活性カルボン酸エステルの製造方法。
本発明の光学活性カルボン酸エステルの製造方法では、原料を一括で仕込んで光学活性カルボン酸エステルを製造することができる。本発明の光学活性カルボン酸エステルの製造方法は、特定の触媒を用いることにより、常温・常圧(25℃、1atm)下であっても、光学活性カルボン酸エステルを高収率で製造することができる。本発明の光学活性カルボン酸エステルの製造方法では、安価な原料を用いて光学活性カルボン酸エステルを高収率で製造することができる。これにより、従来の方法と比べて、反応操作が簡便であり、環境への負荷が少なく、低コストで光学活性カルボン酸エステルを効率よく製造することができる。
〔式(I)で表される化合物〕
本発明の光学活性カルボン酸エステルの製造方法においては、原料として、下記式(I)で表される化合物が使用される。なお、式(I)で表される化合物は、反応によって、該化合物由来の成分を含む中間体を生成するが、最終的に得られる光学活性カルボン酸エステルには、該化合物由来の成分は含まれない。
式(I)において、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。RおよびRは炭化水素基であれば、その種類および構造は限定されない。該炭化水素基は、直鎖状でも、分岐状でも、あるいは環構造を有してもよい。また、その該炭化水素基中に、不飽和結合またはエーテル結合を含んでいてもよい。RとRとが結合して、環状構造を形成していてもよい。
およびRで表される炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、およびアリール基が挙げられる。式(I)で表される化合物の入手容易性の観点から、これらの炭化水素基の炭素数は1〜20であり、2〜10であることが好ましく、3〜7であることがより好ましい。
およびRで表される炭化水素基としては、より詳細には、アリル基、t−ブチル基、t−アミル基、およびベンジル基などを挙げることができる。また、式(I)で表される化合物としては、具体的には、例えば、二炭酸ジアリル、二炭酸ジ−t−ブチル、二炭酸ジ−t−アミル、および二炭酸ジベンジルなどが挙げられる。これらのなかでも、光学活性カルボン酸エステルを効率よく合成できることから、RおよびRがt−ブチル基である二炭酸ジ−t−ブチルが好ましい。
式(I)で表される化合物としては、市販されているものを使用することもでき、公知の方法などにより製造したものを使用することもできる。また、式(I)で表される化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の光学活性カルボン酸エステルの製造方法における式(I)で表される化合物の使用量は、アルコール1モル当たり、0.1〜10モルが好ましく、0.2〜5モルがより好ましく、0.5〜2モルがさらに好ましい。式(I)で表される化合物の使用量をアルコール1モル当たり、0.1モル以上とすることにより、光学活性カルボン酸エステルの収率を高くすることができる。また、式(I)で表される化合物の使用量を、アルコール1モル当たり、10モル以下とすることにより、反応後の後処理工程への負荷を軽減することができ、経済性を良くすることができる。
〔光学活性カルボン酸〕
本発明の光学活性カルボン酸エステルの製造方法において、光学活性カルボン酸エステルの原料となる光学活性カルボン酸の種類および構造は限定されない。例えば、光学活性カルボン酸は、下記式(II)のように表すことができ、カルボキシル基のα位に不斉炭素を有するものが好ましい。
式(II)において、*は、R配置またはS配置のいずれか一方の不斉炭素原子を表し、RおよびRは、互いに異なる有機基を表す。有機基としては、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基であることが好ましい。該炭化水素基は、直鎖状でも、分岐状でも、あるいは環構造を有してもよい。また、該炭化水素基中に、不飽和結合またはエーテル結合を含んでいてもよい。なお、置換基を有していてもよいとは、任意の置換基を1つ以上有していてもよいという意味であり、例えば、以下の結合、基および原子などを1つ以上有してもよいという意味である。エステル結合、アミド結合、エーテル結合、スルフィド結合、ジスルフィド結合、ウレタン結合、ニトロ基、シアノ基、ケトン基、ホルミル基、アセタール基、チオアセタール基、スルホニル基、ハロゲン原子、ケイ素原子、リン原子など。
およびRで表される炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、およびアリール基が挙げられる。光学活性カルボン酸の入手容易性の観点から、これらの炭化水素基の炭素数は、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましい。
およびRで表される炭化水素基としては、より詳細には、RおよびRのうち、いずれか一方が多重結合を有する炭素原子を介して不斉炭素と結合することが好ましい。多重結合を有する炭素原子を介して不斉炭素と結合する炭化水素基としては、アリール基を挙げることができ、多重結合を有さない炭素原子を介して不斉炭素と結合する炭化水素基としては、アルキル基を挙げることができる。
光学活性カルボン酸としては、具体的には、例えば、2−フェニルプロピオン酸、2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸、2−(3−ベンゾイルフェニル)プロピオン酸、2−[4−[(2−オキソシクロペンチル)メチル]フェニル]プロピオン酸、2−(6−メトキシ−2−ナフチル)プロピオン酸、2−(2−フルオロビフェニル−4−イル)プロピオン酸、2−(10,11−ジヒドロ−10−オキソジベンゾ[b,f]チエピン−2−イル)プロピオン酸、6−クロロ−α−メチル−9H−カルバゾール−2−酢酸などが挙げられる。これらのなかでも、光学活性カルボン酸としては、2−フェニルプロピオン酸および2−(4−イソブチルフェニル)プロピオン酸が好ましい。
光学活性カルボン酸としては、市販されているものを使用することもでき、公知の方法などにより製造したものを使用することもできる。また、光学活性カルボン酸は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の光学活性カルボン酸エステルの製造方法における光学活性カルボン酸の使用量は、アルコール1モル当たり、0.1〜10モルが好ましく、0.2〜5モルがより好ましく、0.5〜2モルがさらに好ましい。光学活性カルボン酸の使用量を、アルコール1モル当たり、0.1モル以上とすることにより、光学活性カルボン酸エステルの収率を高くすることができる。また、光学活性カルボン酸の使用量を、アルコール1モル当たり、10モル以下とすることにより、反応後の後処理工程への負荷を軽減することができ、経済性を良くすることができる。
〔アルコール〕
本発明の光学活性カルボン酸エステルの製造方法において、光学活性カルボン酸エステルの原料となるアルコールの種類および構造は限定されない。例えば、アルコールは、「R−OH」と表すことができ、Rは、置換基を有していてもよい炭素数1〜30の炭化水素基であることが好ましい。該炭化水素基は、直鎖状でも、分岐状でも、あるいは環構造を有してもよい。また、該炭化水素基中に不飽和結合を含んでいてもよい。なお、置換基を有していてもよいとは、任意の置換基を1つ以上有していてもよいという意味であり、例えば、以下の結合、基および原子などを1つ以上有していてもよいという意味である。エステル結合、アミド結合、エーテル結合、スルフィド結合、ジスルフィド結合、ウレタン結合、ニトロ基、シアノ基、ケトン基、ホルミル基、アセタール基、チオアセタール基、スルホニル基、ハロゲン原子、ケイ素原子、リン原子など。
で表される炭化水素基としては、例えば、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、およびアリール基が挙げられる。アルコールの入手容易性の観点から、これらの炭化水素基の炭素数は1〜30であることが好ましく、2〜20であることがより好ましく、6〜20であることがさらに好ましい。
で表される炭化水素基としては、より詳細には、ベンジル基およびフェニル基などを挙げることができる。またアルコールとしては、具体的には、例えば、ベンジルアルコール、ベンズヒドロール、1−ナフタレンメタノール、2−ナフタレンメタノール、9−(ヒドロキシメチル)アントラセン、1−ナフトール、2−ナフトール、2−フェニルフェノール、4−フェニルフェノールおよびフェノールなどが挙げられる。これらのなかでも、アルコールとしては、ベンジルアルコールおよびフェノールが好ましい。
アルコールは、市販されているものを使用することもでき、公知の方法などにより製造したものを使用することもできる。また、アルコールは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
〔触媒〕
本発明の光学活性カルボン酸エステルの製造方法において使用される触媒は、光学活性カルボン酸エステルを効率よく合成できる点から、1種以上の第1族金属化合物と1種以上の第2族金属化合物を併用することが好ましい。触媒を構成する配位子によって、当該触媒の溶解性が変わるため、当該触媒は、均一系触媒として用いることもでき、不均一系触媒として用いることもできる。
本発明の光学活性カルボン酸エステルの製造方法においては、式(I)で表される化合物と光学活性カルボン酸とアルコールとを、前述の触媒の存在下で反応させる。ここで「触媒の存在下」とは、触媒が、反応過程の少なくとも一部の段階で存在することを意味するものであり、反応過程のすべての段階で常に存在している必要はない。したがって、本発明の光学活性カルボン酸エステルの製造方法においては、触媒が反応系内に加えられれば、「触媒の存在下」という要件は満たされる。例えば、触媒を反応系内に加えた後、反応過程で触媒に何らかの変化が生じたとしても、「触媒の存在下」という要件は満たされる。
(第1族金属化合物)
第1族金属化合物中に含まれる金属としては、特に限定されないが、周期表の第1族に属する金属のうち、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、およびセシウムが好ましく、光学活性カルボン酸の光学純度を保持したまま光学活性カルボン酸エステルを製造できる点から、リチウムがより好ましい。
第1族金属化合物としては、水素化塩、酸化物塩、ハロゲン化物塩(塩化物塩など)、水酸化物塩、炭酸塩、炭酸水素塩、硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、ハロゲン酸塩、過ハロゲン酸塩、亜ハロゲン酸塩、次亜ハロゲン酸塩、およびチオシアン酸塩などの無機酸との塩;アルコキシド塩、カルボン酸塩(酢酸塩など)、およびスルホン酸塩などの有機酸との塩;アミド塩、およびスルホンアミド塩などの有機塩基との塩;アセチルアセトン塩、ヘキサフルオロアセチルアセトン塩、ポルフィリン塩、フタロシアニン塩、およびシクロペンタジエン塩などの錯塩が挙げられる。 これらの塩は、水和物および無水物のいずれでもよく、特に限定されない。これらのなかでも、光学活性カルボン酸エステルの収率をより高めることができる点から、塩化物塩、水酸化物塩、および炭酸塩が好ましい。
第1族金属化合物としては、市販されているものを使用することもでき、公知の方法などにより製造したものを使用することもできる。これらは、1種を単独用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
第1族金属化合物の使用量は、光学活性カルボン酸エステルを製造できる限り、特に限定されない。第1族金属化合物の使用量は、アルコール1モルに対して、0.0001〜1000モル%が好ましく、0.0005〜500モル%がより好ましい。第1族金属化合物の使用量を、アルコール1モルに対して、0.0001モル%以上とすることにより、光学活性カルボン酸エステルの収率を高くすることができる。第1族金属化合物の使用量をアルコール1モル当たり、1000モル%以下とするのは、1000モル%超としても効果の飛躍的な向上が考えられにくいからである。さらには、第1族金属化合物の使用量は、第2族金属化合物1モルに対して、0.05〜50モルが好ましく、0.1〜10モルがより好ましい。第1族金属化合物の使用量を、第2族金属化合物1モルに対して、0.05モル以上とすることにより、光学活性カルボン酸エステルの収率を高くすることができる。第1族金属化合物の使用量を、第2族金属化合物1モル当たり、50モル以下とするのは、50モル超としても効果の飛躍的な向上が考えられにくいからである。なお、第1族金属化合物を2種以上用いる場合、それらの合計の使用量が上記範囲内であればよい。
(第2族金属化合物)
第2族金属化合物中に含まれる金属としては、特に限定されないが、周期表の第2族に属する金属のうち、マグネシウム、カルシウム、およびストロンチウムが好ましく、光学活性カルボン酸エステルの収率をより高めることができる点から、マグネシウムがより好ましい。
第2族金属化合物としては、酸化物塩、ハロゲン化物塩(塩化物塩など)、水酸化物塩、炭酸塩、炭酸水素塩、ケイ酸塩、硫酸塩、硫酸アンモニウム塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸水素塩、リン酸アンモニウム塩、ホウ酸塩、ハロゲン酸塩、過ハロゲン酸塩、亜ハロゲン酸塩、および次亜ハロゲン酸塩などの無機酸との塩;カルボン酸塩(酢酸塩など)、過カルボン酸塩、およびスルホン酸塩などの有機酸との塩;アセチルアセトン塩、ヘキサフルオロアセチルアセトン塩、ポルフィリン塩、フタロシアニン塩、およびシクロペンタジエン塩などの錯塩が挙げられる 。これらの塩は、水和物および無水物のいずれでもよく、特に限定されない。これらのなかでも、光学活性カルボン酸エステルの収率をより高めることができる点から、酸化物塩、水酸化物塩、硫酸塩、酢酸塩、およびアセチルアセトン塩が好ましい。
第2族金属化合物としては、市販されているものを使用することもでき、公知の方法などにより製造したものを使用することもできる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
第2族金属化合物の使用量は、光学活性カルボン酸エステルを製造できる限り、特に限定されない。第2族金属化合物の使用量は、アルコール1モルに対して、0.0001〜1000モル%が好ましく、0.0005〜500モル%がより好ましい。第2族金属化合物の使用量を、アルコール1モルに対して、0.0001モル%以上とすることにより、光学活性カルボン酸エステルの収率を高くすることができる。第2族金属化合物の使用量を、アルコール1モルに対して、1000モル%以下とするのは、1000モル%超としても効果の飛躍的な向上が考えられにくいからである。なお、第2族金属化合物を2種以上用いる場合、それらの合計の使用量が上記範囲内であればよい。
〔反応条件〕
本発明の光学活性カルボン酸エステルの製造方法における反応条件は、特に限定されず、反応過程で反応条件を適宜変更することもできる。
反応に用いる反応容器の形態は、特に限定されない。
反応温度は、特に限定されないが、例えば、−20〜180℃とすることができ、0〜100℃が好ましい。反応温度を−20℃以上とすることにより、反応を効率よく進行させることができる。また、反応温度を180℃以下とすることにより、副生成物の量や反応液の着色を抑制することができる。
反応時間は、特に限定されないが、例えば、0.5〜72時間とすることができ、2〜48時間とすることが好ましい。反応時間を0.5時間以上とすることにより、反応を十分に進行させることができる。また、反応時間を72時間以下とするのは、72時間超としても効果の飛躍的な向上が考えられにくいためである。
反応雰囲気および反応圧力は、特に限定されない。
本発明の光学活性カルボン酸エステルの製造は、無溶媒(溶媒を用いない)で行うことができる。反応液の粘度が高いなどの場合には、必要に応じて、溶媒を用いることもできる。溶媒の種類は特に限定されないが、例えば、炭素数1〜25の有機化合物を用いることができ、反応条件に応じて適宜選択することができる。溶媒は、1種を単独で用いてもよく、2種以上の混合溶媒でもよい。溶媒の使用量も特に限定されず、適宜選択することができる。
反応に用いる原料や添加剤(式(I)で表される化合物、光学活性カルボン酸、アルコール、触媒、および溶媒など)の反応容器内への導入方法については、特に制限されないが、全ての原料や添加剤を一括で導入してもよく、一部または全ての原料や添加剤を段階的に導入してもよく、一部または全ての原料や添加剤を連続的に導入してもよい。また、これらの方法を組み合わせた導入方法でもよい。
〔光学活性カルボン酸エステル〕
本発明の光学活性カルボン酸エステルの製造方法で得られる生成物は、式(III)のように表すことができる。ここで、*、R、R、およびRは、光学活性カルボン酸の説明の欄とアルコールの説明の欄において、それぞれ記載した通りである。
本発明の光学活性カルボン酸エステルの製造方法において、得られた光学活性カルボン酸エステルは、そのまま次の反応に使用してもよく、また、必要に応じて精製してもよい。精製条件は、特に限定されず、反応過程および反応終了時において、精製条件を適宜変更することができる。例えば、反応終了後、得られた反応混合液から、ろ過、減圧蒸留、クロマトグラフィー、および再結晶などの方法によって光学活性カルボン酸エステルを精製することができる。これらの精製方法は、単独でまたは組み合わせて行うことができる。
本発明の光学活性カルボン酸エステルの製造方法において、得られた光学活性カルボン酸エステルの保存容器は、特に限定されず、例えば、ガラス製容器、樹脂製容器、金属製の貯蔵タンク、ドラム缶、ローリーなどを用いることができる。保存温度は、特に限定されないが、例えば、−20〜50℃とすることができ、0〜30℃が好ましい。保存温度を、−20℃以上とすることにより、取扱いが容易となる。反応温度を、50℃以下とすることにより、分解を抑制することができる。保存雰囲気は、特に限定されないが、不活性ガス雰囲気下で保存することが好ましい。
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変更して実施することができる。
以下の実施例および比較例において用いた二炭酸ジ−t−ブチルは、東京化成工業株式会社製の純度98質量%の化合物であり、式(I)におけるRおよびRがt−ブチル基である化合物である。
生成物の収率の測定方法は、以下の通りである。反応終了後、得られた反応混合液に標準物質(1,1,2,2−テトラクロロエタン)を加え、重クロロホルム(CDCl)にこれらを溶解させ、H−NMR(270MHz)を測定した。得られたスペクトルの積分値から換算して、生成した光学活性カルボン酸エステルの物質量(モル)を求めた。次いで、下記式(1)より、光学活性カルボン酸エステルの収率を算出した(ただし、算出した収率が1%未満の場合は0と表記した)。
光学活性カルボン酸エステルの収率(%)=(P/S)×100 (1)
:生成した光学活性カルボン酸エステルの物質量(モル)
:使用したアルコールの物質量(モル)
触媒として用いた第1族金属化合物および第2族金属化合物の添加量(モル%)は、下記式(2)より、それぞれ算出した。
触媒の添加量(モル%)=(CまたはC/S)×100 (2)
:使用した第1族金属化合物の物質量(モル)
:使用した第2族金属化合物の物質量(モル)
:使用したアルコールの物質量(モル)
原料として用いた式(I)で表される化合物および光学活性カルボン酸のモル当量は、下記式(3)より、それぞれ算出した。
原料のモル当量=(SまたはS/S) (3)
:使用した式(I)で表される化合物の物質量(モル)
:使用した光学活性カルボン酸の物質量(モル)
:使用したアルコールの物質量(モル)
原料および生成物の光学純度の測定方法は、キラルカラムによる高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析法より、それぞれ決定した。
カラム:CHIRALCEL OJ−H、CHIRALCEL AD−H
溶離液:n−ヘキサンおよび2−プロパノール混合溶液
検出器:UV(254nm)
[実施例1]
容量100mLのフラスコ内に、(S)−2−フェニルプロピオン酸2.234g(14.88ミリモル)、二炭酸ジ−t−ブチル3.313g(14.88ミリモル)、およびフェノール1.400g(14.88ミリモル)を加え、均一溶液とした。この反応混合液に硫酸マグネシウム0.090g(0.74ミリモル、フェノール1モルに対して5モル%)および塩化リチウム0.032g(0.74ミリモル、フェノール1モルに対して5モル%)を順次加え、撹拌下、25℃常圧で反応を行ない、(S)−2−フェニルプロピオン酸フェニルを製造した。反応開始から24時間後における反応結果を表1に示す。
[実施例2〜16][比較例1〜4]
表1および表2に記載の金属化合物と使用量、および原料を変更したこと以外は実施例1と同様にして、光学活性カルボン酸エステルを製造した。反応開始から3〜24時間後における反応結果を、表1および表2にそれぞれ示す。
本発明の光学活性カルボン酸エステルの製造方法によれば、光学活性カルボン酸から、その光学純度を保持したまま光学活性カルボン酸エステルを製造することができる。
本発明の光学活性カルボン酸エステルの製造方法によれば、従来の方法と比べて、反応操作が簡便であり、環境への負荷が少なく、低コストで光学活性カルボン酸エステルを効率よく製造することができる。

Claims (5)

  1. 下記式(I)で表される化合物と光学活性カルボン酸とアルコールとを、1種以上の第1族金属化合物および1種以上の第2族金属化合物の存在下で反応させる、光学活性カルボン酸エステルの製造方法。
    [式(I)中、RおよびRは、それぞれ独立に、炭素数1〜20の炭化水素基を表す。]
  2. 前記式(I)で表される化合物が二炭酸ジ−t−ブチルである、請求項1に記載の光学活性カルボン酸エステルの製造方法。
  3. 前記光学活性カルボン酸が下記式(II)で表される、請求項1または2に記載の光学活性カルボン酸エステルの製造方法。
    [式(II)中、*は、R配置またはS配置のいずれか一方の不斉炭素原子を表し、RおよびRは、互いに異なる有機基を表す。]
  4. 前記アルコールが、置換基を有してもよいフェノールまたは置換基を有してもよいベンジルアルコールである、請求項1〜3のいずれか一項に記載の光学活性カルボン酸エステルの製造方法。
  5. 前記第1族金属化合物を構成する金属がリチウムである、請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学活性カルボン酸エステルの製造方法。
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