しかし、特許文献1に記載された遊技機において、ホッパー装置の後方を確認するためには、まずホッパー装置を収納箱の前方に移動するといった動作が必要である。工具等を置き忘れていることに気づいている作業者であれば、ホッパー装置を収納箱の前方に移動して筐体内を探そうとするが、工具等を置き忘れたことに気づいていない作業者は、ホッパー装置を収納箱の前方に移動して筐体内を探すことはない。したがって、作業者が工具等を置き忘れていることに気づいていない限り、工具等の置き忘れを防止することは困難であるとの問題がある。また、収納箱内には、ホッパー装置以外の部品も設置されており、こられの部品は容易に移動させることができない。そのため、収納箱を前方から目視しただけでは、これらの移動困難である部品により、置き忘れた工具等に気づきにくい場合もある。
本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、作業者が筐体内に工具等を置き忘れている場合に、置き忘れに容易に気づくことができ、置き忘れを抑制できる遊技機を提供することである。
本発明の一態様に係る遊技機は、
筐体本体と、前記筐体本体の前側に配置されて前記筐体本体に対して開閉可能な前扉と、を有する筐体を備え、
前記前扉は、互いに独立して開閉可能である下部前扉と上部前扉とを有し、
前記上部前扉は前記下部前扉の上側に配置されており、
前記筐体本体に対して、前記上部前扉は前記下部前扉よりも大きく開くことがなく、
平坦な床面に載置された状態において、
前記筐体本体に対して前記上部前扉が閉じている場合は、前記筐体本体の底面が前記床面に接した安定姿勢状態であり、
前記筐体本体に対して前記上部前扉及び前記下部前扉が開いている場合は、前記筐体本体の底面の一部が前記床面から離れている傾斜姿勢状態である、ことを特徴とする。
上記発明によれば、平坦な床面に載置された状態において、筐体本体に対して上部前扉が閉じている場合は、筐体本体の底面が床面に接した安定姿勢状態であり、筐体本体に対して上部前扉及び下部前扉が開いている場合は、筐体本体の底面の一部が床面から離れている傾斜姿勢状態となる。ここで、仮に筐体本体内に、本来は筐体本体内には設置されていない物が存在した場合は、筐体本体の重量が本来の重さよりも重くなるため、筐体本体内には存在する物の重さにもよるが、筐体本体に対して上部前扉及び下部前扉が開いている場合であっても、傾斜姿勢状態とはならず、筐体本体の底面が床面に接した安定姿勢状態となる場合がある。例えば、筐体本体内に対して点検作業や清掃作業を行った作業者が作業に用いた工具等を筐体本体内に置き忘れていたり、携帯電話等のような作業者の所有物を筐体本体内に置き忘れたりすることがある。このようなときに、置き忘れている物の重さにもよるが、上部前扉及び下部前扉が開いている場合に、安定姿勢状態となる場合がある。これにより、作業者は、本来は筐体本体内に設置されていない物が筐体本体内に存在していることに容易に気づくことになる。つまり、筺体本体内の目視だけでは、気づき難いことを気づくことができる。そこで、作業者は筐体本体内を慎重に点検することとなり、置き忘れていた物を認識することができる。これにより、筐体本体内に、本来は設置されていない物を置き忘れるといった不具合を抑制することができる。
また、不正行為者等により、不正行為を行うためのなんらかの不正部品等が筐体本体内に設置されていた場合でも、その不正部品等により筐体本体が重くなり、筐体本体に対して上部前扉及び下部前扉が開いている場合であっても、安定姿勢状態となることがある。このような場合にも、作業者は筐体本体内を慎重に点検することになり、不正部品等の発見につながる。
また、筐体本体に対して上部前扉が閉じている状態であれば、安定姿勢状態であることから、筐体本体は安定しており、作業者は筐体本体内に対する作業を行いやすい。
本発明の他の一態様に係る遊技機は、
筐体本体と、前記筐体本体の前側に配置されて前記筐体本体に対して開閉可能な前扉と、を有する筐体を備え、
前記前扉は、互いに独立して開閉可能である下部前扉と上部前扉とを有し、
前記上部前扉は前記下部前扉の上側に配置されており、
前記筐体本体に対して、前記上部前扉は前記下部前扉よりも大きく開くことがなく、
平坦な床面に載置された状態において、
前記筐体本体に対して前記上部前扉が閉じている場合、及び、前記筐体本体に対して前記上部前扉及び前記下部前扉が第1所定角度以下で開いている場合は、前記筐体本体の底面が前記床面に接した安定姿勢状態であり、
前記筐体本体に対して前記上部前扉及び前記下部前扉が前記第1所定角度よりも大きく開いている場合は、前記筐体本体の底面の一部が前記床面から離れている傾斜姿勢状態である、ことを特徴とする。
上記発明によれば、平坦な床面に載置された状態において、筐体本体に対して上部前扉が閉じている場合、及び、筐体本体に対して上部前扉及び下部前扉が第1所定角度以下で開いている場合は、筐体本体の底面が床面に接した安定姿勢状態であり、筐体本体に対して上部前扉及び下部前扉が第1所定角度よりも大きく開いている場合は、筐体本体の底面の一部が床面から離れている傾斜姿勢状態となる。ここで、仮に筐体本体内に、本来は筐体本体内には設置されていない物が存在した場合は、筐体本体の重量が本来の重さよりも重くなるため、筐体本体内には存在する物の重さにもよるが、筐体本体に対して上部前扉及び下部前扉が第1所定角度よりも大きく開いている場合であっても、傾斜姿勢状態とはならず、筐体本体の底面が床面に接した安定姿勢状態となる場合がある。例えば、筐体本体内に対して点検作業や清掃作業を行った作業者が作業に用いた工具等を筐体本体内に置き忘れていたり、携帯電話等のような作業者の所有物を筐体本体内に置き忘れたりすることがある。このようなときに、置き忘れている物の重さにもよるが、上部前扉及び下部前扉が第1所定角度よりも大きく開いている場合に、安定姿勢状態となる場合がある。これにより、作業者は、本来は筐体本体内に設置されていない物が筐体本体内に存在していることに容易に気づくことになる。つまり、筺体本体内の目視だけでは、気づき難いことを気づくことができる。そこで、作業者は筐体本体内を慎重に点検することとなり、置き忘れていた物を認識することができる。これにより、筐体本体内に、本来は設置されていない物を置き忘れるといった不具合を抑制することができる。
また、不正行為者等により、不正行為を行うためのなんらかの不正部品等が筐体本体内に設置されていた場合でも、その不正部品等により筐体本体が重くなり、筐体本体に対して上部前扉及び下部前扉が第1所定角度よりも大きく開いている場合であっても、安定姿勢状態となることがある。このような場合にも、作業者は筐体本体内を慎重に点検することになり、不正部品等の発見につながる。
また、筐体本体に対して上部前扉が閉じている場合や、筐体本体に対して上部前扉及び下部前扉が第1所定角度以下で開いている場合は、安定姿勢状態であることから、筐体本体は安定しており、作業者は筐体本体内に対する作業を行いやすい。
また、上述の遊技機において、
前記筐体本体に対して前記上部前扉が特定角度以下で開いている場合は、前記筐体本体の底面の一部が前記床面から離れ、かつ、前記下部前扉は前記床面から離れている第1傾斜姿勢状態であり、
前記筐体本体に対して前記上部前扉が前記特定角度よりも大きく開いている場合は、前記筐体本体の底面の一部が前記床面から離れ、かつ、前記下部前扉の一部が前記床面に接する第2傾斜姿勢状態である、こととしてもよい。
このように、上部前扉が特定角度以下で開いている場合は、筐体本体の底面の一部が床面から離れ、かつ、下部前扉は床面から離れている第1傾斜姿勢状態となる。つまり、第1傾斜姿勢状態とは、筐体本体の底面において床面に接触している部分はあるが床面から浮いた部分もあり、下部前扉も床面から浮いている状態であることから、遊技機は前後に揺れることが可能であり不安定な状態である。このような不安定な状態であることから、筐体本体の重量の影響を大きく受け、仮に、本来は筐体本体に設置されていない物が設置されている場合は、筐体本体側が下がり(後側に倒れ)、筐体本体の底面が床面と接する安定姿勢状態となる。これにより、作業者は、本来は筐体本体内に設置されていない物が筐体本体内に存在していることに容易に気づくことになる。つまり、作業者は、目視による筐体本体内の確認では発見することが困難であった不具合を、容易に発見することができる。
また、筐体本体に対して上部前扉が特定角度よりも大きく開いている場合は、筐体本体の底面の一部が床面から離れ、かつ、下部前扉の少なくとも一部が床面に接する第2傾斜姿勢状態となる。この第2傾斜姿勢状態において、遊技機は前後に揺れることなく、安定した状態である。したがって、第2傾斜姿勢状態において、作業者は筐体本体内に対する作業を行いやすい。
また、上述の遊技機において、
前記筐体本体に対して前記上部前扉が、前記第1所定角度よりも大きい角度であって第2所定角度以下で開いている場合は、前記筐体本体の底面の一部が前記床面から離れ、かつ、前記下部前扉は前記床面から離れている第1傾斜姿勢状態であり、
前記筐体本体に対して前記上部前扉が前記第2所定角度よりも大きく開いている場合は、前記筐体本体の底面の少なくとも一部が前記床面から離れ、かつ、前記下部前扉の一部が前記床面に接する第2傾斜姿勢状態である、こととしてもよい。
このように、上部前扉が、第1所定角度よりも大きい角度であって第2所定角度以下で開いている場合は、筐体本体の底面の一部が床面から離れ、かつ、下部前扉は床面から離れている第1傾斜姿勢状態となる。つまり、第1傾斜姿勢状態とは、筐体本体の底面において床面に接触している部分はあるが床面から浮いた部分もあり、下部前扉も床面から浮いている状態であることから、遊技機は前後に揺れることが可能であり不安定な状態である。このような不安定な状態であることから、筐体本体の重量の影響を大きく受け、仮に、本来は筐体本体に設置されていない物が設置されている場合は、筐体本体側が下がり(後側に倒れ)、筐体本体の底面が床面と接する安定姿勢状態となる。これにより、作業者は、本来は筐体本体内に設置されていない物が筐体本体内に存在していることに容易に気づくことになる。つまり、作業者は、目視による筐体本体内の確認では発見することが困難であった不具合を、容易に発見することができる。
また、筐体本体に対して上部前扉が第2所定角度よりも大きく開いている場合は、筐体本体の底面の一部が床面から離れ、かつ、下部前扉の一部が床面に接する第2傾斜姿勢状態となる。この第2傾斜姿勢状態において、遊技機は前後に揺れることなく、安定した状態である。したがって、第2傾斜姿勢状態において、作業者は筐体本体内に対する作業を行いやすい。
また、上述の遊技機において、
前記下部前扉は、筐体から排出されるメダルを受ける受け皿部を有し、
前記第2傾斜姿勢において、前記床面に接する前記下部前扉の一部は、前記受け皿部である、こととしてもよい。
このように、第2傾斜姿勢において、受け皿部が床面に接することから、床面と接触することで受け皿部に傷ができる可能性があるが、受け皿部の傷は目立ちにくいことから、遊技者が傷に気づきにくく好ましい。
また、上述の遊技機において、
前記第2傾斜姿勢において前記床面に接するのは、前記受け皿部における前記下部前扉の回転軸側の部分である、こととしてもよい。
これにより、第2傾斜姿勢において、床面に接するのは、受け皿部の下部前扉の回転軸側の部分である。この部分は、受け皿部においても、特に目立ちにくい部分であり、この部分に傷が生じていても、遊技者は気づきにくいことから好ましい。
本発明のさらに他の一態様に係る遊技機は、
筐体本体と、前記筐体本体の前側に配置されて前記筐体本体に対して開閉可能な前扉と、を有する筐体を備え、
前記前扉は、互いに独立して開閉可能である第1前扉と第2前扉とを有し、
前記第2前扉の重心は、前記第1前扉の重心より上側であり、
前記筐体本体に対して、前記第2前扉は前記第1前扉よりも大きく開くことがなく、
平坦な床面に載置された状態において、
前記筐体本体に対して前記第2前扉が閉じている場合は、前記筐体本体の底面が前記床面に接した安定姿勢状態であり、
前記筐体本体に対して前記第2前扉及び前記第1前扉が開いている場合は、前記筐体本体の底面の一部が前記床面から離れている傾斜姿勢状態である、ことを特徴とする。
上記発明によれば、平坦な床面に載置された状態において、筐体本体に対して第2前扉が閉じている場合は、筐体本体の底面が床面に接した安定姿勢状態であり、筐体本体に対して第2前扉及び第1前扉が開いている場合は、筐体本体の底面の一部が床面から離れている傾斜姿勢状態となる。ここで、仮に筐体本体内に、本来は筐体本体内には設置されていない物が存在した場合は、筐体本体の重量が本来の重さよりも重くなるため、筐体本体内には存在する物の重さにもよるが、筐体本体に対して第2前扉及び第1前扉が開いている場合であっても、傾斜姿勢状態とはならず、筐体本体の底面が床面に接した安定姿勢状態となる場合がある。例えば、筐体本体内に対して点検作業や清掃作業を行った作業者が作業に用いた工具等を筐体本体内に置き忘れていたり、携帯電話等のような作業者の所有物を筐体本体内に置き忘れたりすることがある。このようなときに、置き忘れている物の重さにもよるが、第2前扉及び第1前扉が開いている場合に、安定姿勢状態となる場合がある。これにより、作業者は、本来は筐体本体内に設置されていない物が筐体本体内に存在していることに容易に気づくことになる。つまり、筺体本体内の目視だけでは、気づき難いことを気づくことができる。そこで、作業者は筐体本体内を慎重に点検することとなり、置き忘れていた物を認識することができる。これにより、筐体本体内に、本来は設置されていない物を置き忘れるといった不具合を抑制することができる。
また、不正行為者等により、不正行為を行うためのなんらかの不正部品等が筐体本体内に設置されていた場合でも、その不正部品等により筐体本体が重くなり、筐体本体に対して第2前扉及び第1前扉が開いている場合であっても、安定姿勢状態となることがある。このような場合にも、作業者は筐体本体内を慎重に点検することになり、不正部品等の発見につながる。
また、筐体本体に対して第2前扉が閉じている状態であれば、安定姿勢状態であることから、筐体本体は安定しており、作業者は筐体本体内に対する作業を行いやすい。
本発明のさらに別の他の一態様に係る遊技機は、
筐体本体と、前記筐体本体の前側に配置されて前記筐体本体に対して開閉可能な前扉と、を有する筐体を備え、
前記前扉は、互いに独立して開閉可能である第1前扉と第2前扉とを有し、
前記第2前扉の重心は前記第1前扉の重心より上側であり、
前記筐体本体に対して、前記第2前扉は前記第1前扉よりも大きく開くことがなく、
平坦な床面に載置された状態において、
前記筐体本体に対して前記第2前扉が閉じている場合、及び、前記筐体本体に対して前記第2前扉及び前記第1前扉が第1所定角度以下で開いている場合は、前記筐体本体の底面が前記床面に接した安定姿勢状態であり、
前記筐体本体に対して前記第2前扉及び前記第1前扉が前記第1所定角度よりも大きく開いている場合は、前記筐体本体の底面の一部が前記床面から離れている傾斜姿勢状態である、ことを特徴とする。
上記発明によれば、平坦な床面に載置された状態において、筐体本体に対して第2前扉が閉じている場合、及び、筐体本体に対して第2前扉及び第1前扉が第1所定角度以下で開いている場合は、筐体本体の底面が床面に接した安定姿勢状態であり、筐体本体に対して第2前扉及び第1前扉が第1所定角度よりも大きく開いている場合は、筐体本体の底面の一部が床面から離れている傾斜姿勢状態となる。ここで、仮に筐体本体内に、本来は筐体本体内には設置されていない物が存在した場合は、筐体本体の重量が本来の重さよりも重くなるため、筐体本体内には存在する物の重さにもよるが、筐体本体に対して第2前扉及び第1前扉が第1所定角度よりも大きく開いている場合であっても、傾斜姿勢状態とはならず、筐体本体の底面が床面に接した安定姿勢状態となる場合がある。例えば、筐体本体内に対して点検作業や清掃作業を行った作業者が作業に用いた工具等を筐体本体内に置き忘れていたり、携帯電話等のような作業者の所有物を筐体本体内に置き忘れたりすることがある。このようなときに、置き忘れている物の重さにもよるが、第2前扉及び第1前扉が第1所定角度よりも大きく開いている場合に、安定姿勢状態となる場合がある。これにより、作業者は、本来は筐体本体内に設置されていない物が筐体本体内に存在していることに容易に気づくことになる。つまり、筺体本体内の目視だけでは、気づき難いことを気づくことができる。そこで、作業者は筐体本体内を慎重に点検することとなり、置き忘れていた物を認識することができる。これにより、筐体本体内に、本来は設置されていない物を置き忘れるといった不具合を抑制することができる。
また、不正行為者等により、不正行為を行うためのなんらかの不正部品等が筐体本体内に設置されていた場合でも、その不正部品等により筐体本体が重くなり、筐体本体に対して第2前扉及び第1前扉が第1所定角度よりも大きく開いている場合であっても、安定姿勢状態となることがある。このような場合にも、作業者は筐体本体内を慎重に点検することになり、不正部品等の発見につながる。
また、筐体本体に対して第2前扉が閉じている場合や、筐体本体に対して第2前扉及び第1前扉が第1所定角度以下で開いている場合は、安定姿勢状態であることから、筐体本体は安定しており、作業者は筐体本体内に対する作業を行いやすい。
また、上述の遊技機において、
前記筐体本体の前面側の底面付近には金属板が配置され、前記傾斜姿勢状態において、前記金属板の一部は前記床面に接している、こととしてもよい。
これにより、傾斜姿勢状態において、筐体本体の前面側の底面付近が床面に接触することとなるため、この部分が損傷しやすいが、筐体本体の前面側の底面付近に金属板が配置されていることから、損傷することを抑制することができる。
また、上述の遊技機において、
前記筐体本体内に設置され、前記筐体本体から取り外し可能なホッパー装置を備え、
前記平坦な床面に載置された状態において、前記ホッパー装置は前記筐体本体から取りはずされている、こととしてもよい。
このように、平坦な床面に載置された状態において、前記ホッパー装置は前記筐体本体から取りはずされている。ここで、遊技機を正規の設置箇所から移動する場合は、一般的には、ホッパー装置を筐体本体内から取りはずすこととなるが、このような場合において対応することができる。
本発明の遊技機の実施形態について、図面を参照しながら、具体的に説明する。なお、以下の説明において、本発明の実施形態に係る遊技機として回胴式遊技機(いわゆる、スロットマシン)であるパチスロ遊技機を例に挙げて説明するが、本発明の遊技機は、このパチスロ遊技機に限定されるわけではない。これ以外のパチスロ遊技機だけでなく、例えば、パチンコ遊技機等、パチスロ遊技機以外の遊技機であってもかまわない。また、金属等で作られた実在するメダル等を遊技媒体として利用せずに、電子データのみを取り扱うことで遊技を行うことができる、いわゆるメダルレスのパチスロ遊技機であってもかまわない。
なお、本明細書において、方向についての定義等が示されていない場合には、遊技機10に向かって位置する遊技者から見て左側の方向を「左」方向とし、遊技者から見て右側の方向を「右」方向とする。同様に、「上」や「下」等の上下方向も、遊技者から見た場合の上方向や下方向を意味する。また、遊技機10の正面から遊技者に向かう方向を「前」方向とし、その逆方向を「後」方向とする。また、遊技機10における各部材の説明についても、方向についての定義等が示されていない場合には、各部材が遊技機10の所定位置に配置されている状態において遊技者から見た方向としている。
(遊技機10の外観構成)
本実施形態1に係る遊技機の外観構成について図面を用いて説明する。図1は、本発明の実施形態に係る遊技機の外観構成を示す正面図である。
図1に示すように、遊技機10は、その前面側に、メダルを投入するためのメダル投入口11と、メダルを払い出すためのメダル払出口12と、メダル払出口12から払い出されたメダルを貯留するメダル受け皿(受け皿部)5と、外周面に図柄8が描かれていてこれら図柄8を変動表示する3つのリール14a、14b、14cと、映像演出を行うための液晶ディスプレイ16と、照明演出を行うための上部ランプ1、上サイドランプ2a、中サイドランプ2b及び下サイドランプ2cと、音声演出を行うためのスピ−カー17と、を備えている。なお、3つのリール14a、14b、14cの外周面に形成された図柄8は、遊技機10の前扉10b(図2を参照)に形成されたリール窓10eによって遊技者から視認可能である。また、上サイドランプ2a、中サイドランプ2b、下サイドランプ2c及びスピ−カー17は、それぞれ左右に1つずつ配置されている。また、左右の下サイドランプ2cに挟まれるように、下パネル4が配置されている。
また、遊技機10は、操作部として、1遊技当たりの最大枚数(通常3枚)のメダルをベットするためのマックスベットボタン18と、ベットするメダルを1枚ずつ増加するためのシングルベットボタン19と、リール14a、14b、14cの回転を開始するためのスタートレバー20と、リール14a、14b、14cの回転をそれぞれ停止するための3つのストップボタン22a、22b、22cと、遊技中の所定の演出を切り替える等の遊技者が操作をするための演出用ボタン7と、クレジットされたメダルをメダル受け皿5へ払い戻すための精算ボタン25と、メダルの貯留枚数を表示するクレジット枚数表示器26と、入賞成立時等において遊技機10から払い出されたメダルの払出枚数を表示する払出枚数表示器27と、「有利区間」及び「非有利区間」への移行を報知する区間報知ランプ37と、を備える。なお、演出用ボタン7にはランプも内蔵されており、点灯及び消灯により、遊技者に所定の報知を行うことができる。また、クレジット枚数表示器26及び払出枚数表示器27は、それぞれ7セグメントの小型のLED(発光ダイオード)により構成されており、2桁の数字を表示可能である。
ここで、「有利区間」とはストップボタン22a、22b、22cの操作態様を報知可能な遊技状態であり、「非有利区間」とはストップボタン22a、22b、22cの操作態様を報知不可能な遊技状態である。なお、ストップボタン22a、22b、22cの操作態様としては、役抽選の抽選結果(具体的には当選役)に対して予め設定されている押し順(停止操作順序)であって、例えば抽選結果に対して複数の押し順が設定されている場合に、遊技者にとって最も有利となる押し順が相当する。例えば、いわゆる「順押し」の場合は1枚のメダルが払い出され、いわゆる「逆押し」の場合は15枚のメダルが払い出される。一般的には、「非有利区間」中の遊技において、所定の移行条件が成立(例えば役抽選により特定の移行役に当選)した場合に、所定の抽選(有利区間移行抽選)に当選することで、「非有利区間」から「有利区間」へ移行可能となる。一方、「有利区間」中の遊技において、所定の終了条件が成立した場合は「有利区間」から「非有利区間」へ移行する。なお、上記所定の終了条件としては、例えば、「有利区間」中の消化ゲーム数が1500ゲームに達すること、である。
第1リールであるリール14a、第2リールであるリール14b及び第3リールであるリール14cは、それぞれ、この順で、遊技者から見て左から右へと並んで配置されており、これらリール14a、14b、14cに対応してリール14a、14b、14cの回転を停止させるためのストップボタン22a、22b、22cも、遊技者から見て左から右へとこの順で並んで配置されている。
この遊技機10は、ベットされたメダルの枚数が予め定められた規定枚数(例えば3枚)に達した状態でスタートレバー20が操作されると、役抽選が実行されるとともにリール14a、14b、14cが一斉に回転を開始し、ストップボタン22a、22b、22cがそれぞれ操作されると、操作されたストップボタン22a、22b、22cに対応する各リール14a、14b、14cの回転が停止し、すべてのリール14a、14b、14cが停止したときにリール窓10e(図2を参照)の有効ライン上に表示される図柄8の組み合わせが役抽選で当選した役に対応したものとなっていた場合(入賞した場合)は、その役に応じた枚数のメダルが払い出される。なお、メダルのクレジット枚数が上限値(本実施形態では50枚)に達しているときに、メダルが払い出される場合は、ホッパーユニット(ホッパー装置)36(図2を参照)から送出されたメダルがメダル払出口12を通じて払い出されるようになっている。また、メダル払出口12から払い出されたメダルは、メダル受け皿5に貯留される。このように、クレジット枚数の上限値は決まっており、上限値を超えて遊技機10内にメダルを貯留することはできない。しかし、メダル投入口11にメダルが投入されるか、又は、入賞によってメダルが払い出された場合に、メダルのクレジット枚数が上限値に達していない場合は遊技機10内に貯留されて、メダルのクレジット枚数が増加する。
ここで、リール14a、14b、14cの外周面には、例えば、「白セブン」、「赤セブン」、「バー1」、「バー2」、「チェリー」、「スイカ」、「リプレイ」、「ベル」、「ブランク」等の複数の図柄8が形成されている。これらの図柄8は、例えば、それぞれの絵柄がプリントされたテープをリール14a、14b、14cの外周面に貼付されることで形成されている。
次に、本実施形態に係る遊技機の内部構成について図面を用いて説明する。図2は、本発明の実施形態に係る遊技機の内部構成を示す上部前扉及び下部前扉が略90度開かれた状態を示す斜視図である。
図2に示すように、遊技機10は、遊技機筐体(筐体)10dを備えている。遊技機筐体10dは、前方が開放された箱状である筺体本体10aと、筺体本体10aの前面側に開閉可能な状態で取り付けられた前扉である上部前扉10b及び遊技機筐体10cを有しており、これら筺体本体10a、上部前扉10b及び下部前扉10cが遊技機筺体10dを構成する。なお、図2において、上部前扉10b及び下部前扉10cの開いている角度である開放角度Aは90度である。
上部前扉10bは2つのヒンジ35aを介して筺体本体10aと接続され、筺体本体10aに対して開閉が可能である。また、下部前扉10cは2つのヒンジ35bを介して筺体本体10aと接続され、筺体本体10aに対して開閉可能である。これら上部前扉10b及び下部前扉10cは、筺体本体10aに対して互いに独立に開閉動作が可能である。ただし、上部前扉10bは下部前扉10cよりも大きく開くことはできない構成である。つまり、上部前扉10bは、下部前扉10cが筺体本体10aに対して開いている角度よりも大きな角度で開くことはできない構成となっている。例えば、上部前扉10bを閉じた状態で下部前扉10cは任意の角度で開くことができるが、下部前扉10cを閉じた状態では上部前扉10bはまったく開くことができない。このような構成として、例えば、上部前扉10bの下部には、下部前扉10cに向かって突出する突出部が設けられており、上部前扉10bを下部前扉10cよりも大きく開こうとすると、この突出部が、下部前扉10cの上部に形成された段差部に干渉するように配置すればよい。これにより、上部前扉10bを下部前扉10cよりも大きく開こうとすると、前記突出部が前記段差部と干渉して、上部前扉10bを下部前扉10cよりも大きく開くことができない。
また、筺体本体10aは、天板、底板、左側板、右側板及び背面板を組み付けて構成される箱状である。そして、筺体本体10aを構成する底板は、遊技機筐体10dの内側となる面(底面10g1)と、遊技機筐体10dの外側となる面(底面10g2)と、を有している。ここで、前者の面(底面10g1)は、電源ユニット33やホッパーユニット36が設置される面に相当し、後者の面(底面10g2)は、遊技機筐体10dを床面に載置した場合に床面と直接接触する面に相当する。そして、この底板には、遊技機島設備へ設置するための、木ねじ等の固定具を挿通するための下部設置孔(例えば、3穴×2列)が形成されていると共に、前記下部設置孔が隠れるように底面10g1にホッパーユニット36が取り付けられる。なお、筺体本体10aを構成する天板には、前記底板と同様、遊技島設備へ設置するための、木ねじ等の固定具を挿通するための上部設置孔が形成されている。筺体本体10aは、本実施形態において、木製の板材(素材)を組み付けて形成されているが、これ以外に、筺体本体10aを金属製の素材や樹脂製の素材により構成することとしてもよい。また、筺体本体10aを互いに異なる素材の部材より構成することも可能であり、例えば木製部材と樹脂製部材とを組み付けて筺体本体10aを形成してもよい。また、例えば、金属製部材と樹脂製部材とを組み付けて筺体本体10aを形成してもよい。
この遊技機筐体10dの内部には、各種の機器が収容されている。なお、機器とは、モータ等を有し電気により動作する装置だけでなく、電子素子等が搭載された基板や、単に電気接続を中継するだけの基板等も含み、電気的接続がなされているものすべてをいう。本実施形態において、遊技機筺体10dの内部には、メイン制御基板ユニット30、サブ制御基板ユニット31、液晶ユニット32、電源ユニット33、ホッパーユニット36、リールユニット41及びコネクタユニット34等が納められている。また、遊技機筐体10dの内部には、投入されたメダルが正規のものか否かを選別するメダルセレクタ51も設置されている。
筺体本体10aの内部において、上方にメイン制御基板ユニット30が設置され、メイン制御基板ユニット30の下方にリールユニット41が設置され、さらにリールユニット41の下方に位置し、筺体本体10aの底面10g1に載置されるように電源ユニット33及びホッパーユニット36が設置されている。
上部前扉10bの内側において、液晶ユニット32及びサブ制御基板ユニット31が設置されている。また、上部前扉10bにおいて、液晶ユニット32及びサブ制御基板ユニット31の下方には、リール14a、14b、14cの外周面に形成された図柄8を遊技者が視認可能とするためのリール窓10eが形成されている。下部前扉10cの内側において、コネクタユニット34およびメダルセレクタ51が設置されている。
メイン制御基板ユニット30は、役抽選、入賞判定及び遊技動作等、遊技における基本的な制御を行うメイン制御基板を有する。また、リールユニット41は、上部前扉10bを閉じた状態においてリール窓10eから外部に露呈する各リール14a、14b、14cと、図示していないが、これらを回転させるための各リール14a、14b、14cに対応した3つのステッピングモータと、各リール14a、14b、14cの回転位置を検出するためのリール位置センサと、メイン制御基板からの制御信号に基づいてリール14a、14b、14cの回転をそれぞれ独立して制御するリール駆動基板と、これらを保持するユニットホルダと、を備える。
なお、リールユニット41は、筐体本体10aの内側に対して、ねじ等の所定の固定具により直接固定(ねじ止め)されることとすればよい。そして、筺体本体10aに固定されたリールユニット41は、固定具を取り外す専用の道具であるドライバ等を用いることにより、筺体本体10aから取り外すことができることとすればよい。また、このような構成以外に、例えば、リールユニット41が所定の取付け部材(例えばフック)を介して筐体本体10aに固定されることとし、この取付け部材の解除操作(例えばフックを回転させる操作)によりリールユニット41と筐体本体10aとの固定状態が解除されることとしてもよい。この構成によれば、専用の道具を用いことなく、筐体本体10aから容易にリールユニット41を取り外すことが可能である。
また、電源ユニット33は、筺体本体10a内の下部に設けられ、遊技機10の各部材に電力を供給する。電源ユニット33は、遊技機10に対して電源投入操作又は電源遮断操作を行う電源スイッチと、遊技機10における各部品に電力を供給する電子基板である電源基板と、を備えている。
ホッパーユニット36は、メダル投入口11に投入されたメダルを回収するとともに、メイン制御基板ユニット30からの信号に基づいてメダル払出口12へメダルを送出する制御を行う電子基板であるホッパー制御基板を備えている。
液晶ユニット32は、液晶ディスプレイ16と一体となっている。液晶ユニット32は、サブ制御基板ユニット31からの指示に応じて、液晶ディスプレイ16に表示される映像による演出に関する制御を行う映像基板を備えている。サブ制御基板ユニット31は、発光ランプや音声による演出等、遊技における演出に関する制御を行うサブ制御基板を備えている。上述したように、リール窓10eから各リール14a、14b、14cが外部に露呈される。具体的には、リール窓10eは、上部前扉10bに形成された貫通孔であり、上部前扉10bを閉じた際に、上部前扉10bからリール14a、14b、14cの一部が前側に突出するように配置される。これにより、遊技者は、リール窓10eからリール14a、14b、14cの回転動作及び停止動作を見ることとなり、図柄8を認識しながら、遊技を行う。なお、図示を省略しているが、本実施形態では、下部前扉10cに設けられた下パネル4には、大型の液晶ディスプレイを有する液晶ユニットが設けられている。この液晶ユニットは、サブ制御基板ユニット31からの指示に応じて、液晶ユニット32と同様に映像による演出を行う。
コネクタユニット34は、特定の機器に接続されたケーブルを中継する中継基板を備えている。また、メダルセレクタ51は、メダル投入口11に投入されたメダルが正規のものか否かを選別して、正規のメダルのみをホッパーユニット36に導く。
また、筺体本体10aの外側において、前面側の底面10g2から側面にかけて金属板10fが設置されている。具体的には、金属板10fは、筺体本体10aの前面側の底面10g2付近であって、下部前扉10cとの境界近傍に設置されている。図2では図示されていないが、金属板10fは、筺体本体10aの側面から底面10g2に続いて設置されており、筺体本体10aの底面10g2において左右側面にわたって設置されている。つまり、金属板10fは、筺体本体10aが設置された床面と接触している。詳細は、後述するが、筺体本体10aが前側に傾いた際に、筺体本体10aの底面10g2の前側のみが床面と接することとなる。そのため、筺体本体10aの重量のすべてが、筺体本体10aの底面10g2の前側にかかり、大きな力がかかることとなるが、金属板10fが設置されているため、この箇所が破損するといった不具合が生じることを抑制できる。
本実施形態に係る遊技機10において、筺体本体10a側の総重量は、主に、筺体本体10a自体を構成する部材(天板、底板、左側板、右側板及び背面板)の重量に、ホッパーユニット36、電源ユニット33、リールユニット41及びメイン制御基板ユニット30等の各種装置の重量や、各種基板やハーネス等の部品の重量が加わったものとなる。また、上部前扉10b側の総重量は、上部前扉10bを構成する枠部材(前面側の装飾部材を含む)の重量に加え、液晶ユニット32、サブ制御基板ユニット31、上部ランプ1、上サイドランプ2a及び中サイドランプ2b等の装置の重量が加わったものとなる。また、下部前扉10c側の総重量は、下部前扉10c自体を構成する枠部材(前面側の装飾部材やメダル受け皿5を含む)の重量に加え、操作部が備えるボタンやレバー等、メダルセレクタ51、下サイドランプ2c、下パネル4及びスピーカー17等の装置の重量が加わったものとなる。ここで、遊技機10において、上記筺体本体10a側の総重量、上記上部前扉10a側の総重量及び上記下部前扉10b側の総重量の関係性は、上部前扉10b及び下部前扉10cの開放状態(各開放角度)に応じて、後述の安定姿勢状態、第1傾斜姿勢状態及び第2傾斜姿勢状態のそれぞれとなる重量バランス(重量配分)となっている。ただし、このときの上記筺体本体10a側の総重量としては、遊技機の遊技島設備への設置作業手順の関係上、ホッパーユニット36の重量を除いた重量とすることが好ましい。
(遊技機10の姿勢状態)
上述したように、上部前扉10b及び下部前扉10cのそれぞれはヒンジ35a及びヒンジ35bを介して筺体本体10aと連結され、筺体本体10aに対して開閉可能である。つまり、ヒンジ35aにより上部前扉10bは筺体本体10aに対して回転動作することで、筺体本体10aに対して開閉可能である。したがって、上部前扉10bの回転軸はヒンジ35aに沿うこととなり、回転軸はヒンジ35aであるといえる。また、ヒンジ35bにより下部前扉10cは回転動作することで、筺体本体10aに対して開閉可能である。したがって、下部前扉10cの回転軸はヒンジ35bに沿うこととなり、回転軸はヒンジ35bであるといえる。
ここで、遊技機10が平坦な設置面(床面)に載置されており、固定されていない状態において、上部前扉10b及び下部前扉10cが閉じている場合は、遊技機10の姿勢状態は、筺体本体10aの底面10g2の略全体が設置面に接しており、安定した状態である安定姿勢状態である。また、遊技機10において、上部前扉10bが閉じられた状態であれば、下部前扉10cが開かれていても遊技機10は上記安定姿勢状態を維持する。下部前扉10cが開かれることにより、筺体本体10aの前側に重量がかかることとなる。特に、筺体本体10aに対して略90度の角度で下部前扉10cが開かれた場合に、筺体本体10aの前側に最も重量がかかることとなるが、上部前扉10bが閉じられていれば、筺体本体10aの底面10g2の略全体が設置面に接し、筺体本体10aの底面10g2が設置面に対して傾斜することがなく、安定した状態である安定姿勢状態を維持する。
また、下部前扉10cが開いた状態で、上部前扉10bを開けると、筺体本体10aの前側にさらに重量がかかることとなる。そして、上部前扉10bが第1所定角度よりも大きい角度に開いた場合は、筺体本体10aの前側に重量がかかることにより、筺体本体10aの底面10g2が設置面に対して傾斜することとなる。つまり、筺体本体10aの底面10g2の一部は設置面と接することがなくなる。このように、遊技機10の姿勢状態は、筺体本体10aが前側に傾き、筺体本体10aの底面10g2が設置面に対して傾斜している傾斜姿勢状態となる。なお、下部前扉10cは開いた状態で、上部前扉10bが第1所定角度よりも大きく、第2所定角度(特定角度)以下の角度に開いている場合は、下部前扉10cは設置面から浮いている。この姿勢状態は、傾斜姿勢状態の中でも、特に、第1傾斜姿勢状態という。
また、第1傾斜姿勢状態は、底面10g2が設置面に対して傾斜し、下部前扉10c及び筺体本体10aが設置面から浮いている状態であることから、遊技機10は前後に揺動可能である。つまり、遊技機10に触れる等、わずかな力をかけることで遊技機10は前後に揺れる。なお、第1傾斜姿勢状態では、筺体本体10aの底面10g2の前側が設置面に接していることとなるため、設置面に接している箇所には、遊技機10の重量がすべてかかることとなる。ここで、筺体本体10aの底面10g2の前側には、金属板10fが設置されていることから、この箇所は強度が高く、この箇所が遊技機10の重量により破損することを防止することができる。
下部前扉10cは開いた状態で、上部前扉10bが第1所定角度よりも大きい第2所定角度よりも大きく開いた場合は、筺体本体10aの前側にさらに重量がかかることにより、設置面に対して筺体本体10aがさらに傾斜することとなり、下部前扉10cの下端が設置面と接することとなる。このように、下部前扉10cは開いた状態で、上部前扉10bが第2所定角度よりも大きく開いている場合は、下部前扉10cの下端が設置面と接触した姿勢状態となる。この姿勢状態は、傾斜姿勢状態の中でも、特に、第2傾斜姿勢状態という。第2傾斜姿勢状態は、下部前扉10cが設置面と接していることから、遊技機10が前後に揺動することはなく、安定している。
以下に、遊技機10の上記各姿勢状態について、図面を用いて説明する。図3は、本発明の実施形態に係る遊技機において下部前扉のみが開かれた状態を示す斜視図である。また、図4は、図3の状態における遊技機の姿勢状態を示す概略側面図である。また、図5は、本発明の実施形態に係る遊技機において下部前扉のみが略90度開かれ、上部前扉は、90度よりも小さい角度開かれた状態を示す斜視図である。また、図6は、図5の状態における遊技機の姿勢状態を示す概略側面図である。また、図7は、図2の状態における遊技機の姿勢状態を示す概略側面図である。なお、図4、6、7に示す概略側面図は、筺体本体10aに対する上部前扉10b及び下部前扉10cの開閉状体と遊技機10の姿勢状態を示すためのものであることから、筺体本体10a、上部前扉10b及び下部前扉10c等の部材のみを図示し、他の部材の図示は省略している。
〔安定姿勢状態〕
上述したように、遊技機10は、上部前扉10b及び下部前扉10cを備えていて、これらは、それぞれ独立して筺体本体10aに対して開閉が可能である。ただし、上部前扉10bは、下部前扉10cよりも大きく開くことはないように構成されている。ここで、図3に示すように、遊技機10において上部前扉10bを閉じた状態であれば、下部前扉10cを開けても筺体本体10aの底面10g2のほぼ全面が設置面に接した状態であり、安定姿勢状態を維持する。特に、下部前扉10cを略90度開けた状態が、筺体本体10aの前側に重量がかかる状態であるが、筺体本体10aが設置面に対して傾斜することはない。なお、遊技機10において、上部前扉10b及び下部前扉10cがいずれも閉じていれば、遊技機10は同様に安定姿勢状態である。遊技機10が安定姿勢状態である場合は、遊技機10は安定しており、容易に前後に揺れることはない。具体的には、図4に示すように、下部前扉10cの開放端側は、床面60から高さt1の位置にある。したがって、メダル受け皿5の底面も床面60に接触することなく離れている。なお、高さt1は、0よりも大きい。また、遊技機10を設置している設置面は、平坦な床面60である。
ここで、例えば、新規に、遊技機10を遊技店に設置する場合、遊技店における遊技機10の正規の設置場所(遊技者が遊技を行う場所であって、具体的には遊技島設備)において、筺体本体10a内の底面10g1から、木ねじ等を、筺体本体10aの底板に形成された下部設置孔を通して、外部(遊技島設備の取付け部)へ向けて取り付ける。また、同様に、筺体本体10aの上部においても、木ねじ等を、筐体本体10aの天板に形成された上部設置孔を通して、外部(遊技島設備の取付け部)へ向けて取り付ける。このような設置作業により、設置場所(遊技島設備)と遊技機10とを木ねじにより固定して、遊技機10を設置する。この設置作業を行う際に、筺体本体10a内の底面10g1上にホッパーユニット36が載置されていると、筺体本体10aの底板に形成された上記下部設置孔がホッパーユニット36で隠れることとなり、木ねじ等の取付け作業が困難となる。そこで、一般的に、遊技機10を正規の設置場所に設置する前に、予め、遊技機10を別の設置場所(遊技店の床面)等に載置し、その状態で筺体本体10a内のホッパーユニット36を取り外しておいてから、遊技機10を正規の設置場所に設置することが好ましい。
上述したように、遊技機筐体10d内のホッパーユニット36を取り外す際は、正規の設置場所以外の別の設置場所である平坦な床面60に設置する。床面60に遊技機10を載置し、ホッパーユニット36を取り外す際は、遊技機10において上部前扉10bを閉じて下部前扉10cのみを開けた状態でホッパーユニット36を取りはずせばよい。これにより、遊技機10は安定姿勢状態であり、筺体本体10aが簡単に揺れることはなく、ホッパーユニット36を取りはずす作業を容易に行うことができる。
例えば、遊技店内において遊技機10の設置場所を変更する場合、設置済みの遊技機10を正規の設置場所である遊技島設備から取り外すため、遊技島設備の取付け部へ固定していた木ねじ等を取り外す必要がある。このとき、遊技機10の下部を設置場所へ固定している木ねじは、ホッパーユニット36によって隠れているため、まず、筺体本体10aの底面10g1からホッパーユニット36を取り外した後に、木ねじを筺体本体10aの底板の上記下部設置孔から取り外すこととなる。なお、筺体本体10aの上部を固定している木ねじは、通常、筺体本体10aの内側に露出していることから、直接、木ねじを取り外せばよい。そして、木ねじを取り外した後は、遊技島設備から取り出した遊技機10を、遊技店の平坦な床面に一旦載置した後、ホッパーユニット36と共に荷台等により新しい設置場所である遊技島設備に運んで、設置する。なお、新しい設置場所である遊技島設備に設置する際にも、遊技機10の下部を木ねじにより固定するため、通常、ホッパーユニット36は筺体本体10aから取り外されている。したがって、遊技店内の平坦な床面に遊技機が載置されるときには、概ね、筺体本体10a内からホッパーユニット36が取り外された状態である。
〔第1傾斜姿勢状態〕
上述したように、第1傾斜姿勢状態は、下部前扉10c及び筺体本体10aが設置面(平坦な床面60)から浮いている状態である。具体的には、図5に示すように、下部前扉10cを開けた状態で、かつ、上部前扉10bの開放角度Aを第1所定角度よりも大きく、第2所定角度以下の角度とする。この状態において遊技機10は、図6に示すように、下部前扉10c及び筺体本体10aが共に床面60より浮いた状態となる。下部前扉10cの開放端側の床面60からの高さt1、及び、筺体本体10aの後部側の床面60からの高さt2は、いずれも0よりも大きい値となる。第1傾斜姿勢状態において、床面60と接しているのは、金属板10fのみであり、この第1傾斜姿勢状態において遊技機10は、容易に前後に揺動する状態であり、不安定な状態である。なお、第1傾斜姿勢状態では、筺体本体10aの底面10g2の前側が床面60に接していることとなるため、筺体本体10aにおいて床面60に接している箇所には、遊技機10の重量がすべてかかることとなる。ここで、筺体本体10aの底面10g2の前側には、金属板10fが設置されていることから、強度が比較的高い。したがって、筺体本体10aが樹脂製や木製であっても金属板10fが設けられていることにより、この箇所が遊技機10の重量により破損することを防止することができる。
ここで、上記第1所定角度は、0〜15度の任意の角度度すればよい。また、第2所定角度は例えば20〜45度の任意の角度とすればよい。例えば、第1所定角度を0度とし、第2所定角度を20度とすればよい。この場合は、遊技機10において、上部前扉10bを少しでも開ければ遊技機10は前側に傾き第1傾斜姿勢状態となる。さらに、上部前扉10bを開いて、上部前扉10bの開放角度Aが20度以下であれば第1傾斜姿勢状態は維持される。なお、上部前扉10bを大きく開くほど、高さt1が小さくなり、高さt2は大きくなる。上部前扉10bをさらに開いて開放角度Aが20度を越えると、遊技機10は、後述する第2傾斜姿勢状態となる。なお、下部前扉10cの開く角度は任意の角度とすればよい。例えば、下部前扉10cを略90度開いている場合であっても、0度に近い場合であっても、上部前扉10bを少しでも開ければ遊技機10は第1傾斜姿勢状態となる。なお、上述したように、上部前扉10bは下部前扉10cよりも大きく開くことはない。
また、例えば、例えば、第1所定角度を15度とし、第2所定角度を45度としてもよい。この場合は、遊技機10において、上部前扉10bを開けた場合の開放角度Aが15度以下であれば遊技機10は安定姿勢状態であるが、開放角度Aが15度を越えると遊技機10は前側に傾き第1傾斜姿勢状態となる。上部前扉10bをさらに開いても開放角度Aが45度以下であれば第1傾斜姿勢状態が維持される。さらに、上部前扉10bを開いて開放角度Aが45度を越えると、遊技機10は後述する第2傾斜姿勢状態となる。
上述したように、第1傾斜姿勢状態は、下部前扉10c及び筺体本体10aの大部分が床面60から離れている状態であり、遊技機10が前後方向に揺動可能な状態である。つまり、筐体本体10aの底面10g2の前側(金属板10fを設置している部分)を「支点」として、前後方向に重量の釣り合いが取れており、この釣り合いが崩れるほどの大きな力が遊技機10に加わらない限り、揺動が収束して第1傾斜姿勢状態が維持される状態である。したがって、平坦な床面60に載置された遊技機10(上部前扉10bおよび下部前扉10cが開いている状態)が第1傾斜姿勢状態であるときには、遊技機10が前方側へ倒れ難く載置された状態として、前後方向へのバランスが取れた状態となっている。そのため、遊技機10に触れる等の少しの力が遊技機10にかかっただけで遊技機10が前後に揺れることとなるものの、遊技機10が前方へ倒れることを防ぐために作業者が遊技機を手で支える必要がない。つまり、第1傾斜姿勢状態において、遊技機10は前後に揺動はするが、前方や後方に倒れることは生じにくい。したがって、第1傾斜姿勢状態は、遊技機10において、目視による点検作業等は行い易い状態となっている。
〔第2傾斜姿勢状態〕
上述したように、第1傾斜姿勢状態からさらに、上部前扉10bの開放角度Aを、第2所定角度よりも大きくした場合は、筺体本体10aに対してより前側に重量がかかることとなるため、遊技機10は第2傾斜姿勢状態となる。例えば、図2に示す状態は、上部前扉10b及び下部前扉10cが共に90度開いており、第2所定角度が20〜45度である場合は、上部前扉10bの開放角度Aが第2所定角度よりも大きく開いた状態である。この場合に遊技機10は、図7に示すように、下部前扉10cの一部(メダル受け皿5)が床面60に接することになる。なお、底面10g2が設置面に対して傾斜して、底面10g2の一部は床面60から浮いており、金属板10fは床面60に接触しており、筺体本体10aの後部側の床面60からの高さt2は、0よりも大きい値である。
遊技機10が第2傾斜姿勢状態である場合は、下部前扉10cの一部(メダル受け皿5)が床面60に接することから、遊技機10は安定した状態となる。したがって、第2傾斜姿勢状態では、遊技機10において清掃作業や点検作業等は行うことが容易である。例えば、遊技店内において遊技機10の設置場所を変更する場合に、遊技機10の正規の設置場所(遊技者が遊技を行う際の設置場所)ではなく、遊技店内の平坦な床面60に一時的に遊技機が載置されて、遊技機10の遊技機筐体10d内部の点検作業や清掃作業等が行われる。なお、点検作業としては、例えば、不正器具の有無の確認作業、コネクタの接続状態の確認作業、ハーネスの断線がないかの確認作業及び基板ケースの取付け状態の確認作業等である。このような作業を行う場合は、上部前扉10b及び下部前扉10cを開け、さらに、上部前扉10bを第2所定角度よりも大きく開いて行うことが好ましい。例えば、第2所定角度が45度である場合は、上部前扉10b及び下部前扉10cを45度よりも大きく開いて点検作業や清掃作業等を行えばよい。なお、作業のしやすさを考えると、点検作業や清掃作業等を行う際は、上部前扉10b及び下部前扉10cをより大きく開いて行うことが好ましいことから、上部前扉10b及び下部前扉10cを略90度開いて行えばよい。このように、上部前扉10b及び下部前扉10cを第2所定角度よりも大きく開くことにより、遊技機10は第2傾斜姿勢状態となり、安定した状態となる。そのため、上部前扉10b及び下部前扉10cが大きく開いていることから広いスペースを用いて点検作業や清掃作業等を行うことができ、作業効率が向上する。また、遊技機10が揺動することがないことから、点検作業や清掃作業等を行いやすい。
また、第2傾斜姿勢状態において、床面60に接する箇所は、メダル受け皿5であることが好ましい。ここで、図8は、遊技機が第2傾斜姿勢状態である場合のメダル受け皿周辺の構成を示す拡大概略斜視図である。具体的には、図8は、下部前扉10cを略90度開けた状態において、遊技機10が第2傾斜姿勢状態となっている状態におけるメダル受け皿5周辺の構成を示す拡大概略斜視図であり、遊技機10の右側から側面視した状態を示す図である。
図8に示すように、第2傾斜姿勢状態では、底面10g2が床面60に対して傾斜し、筺体本体10aは床面60から浮いた状態であり、底面10g2の一部は床面60から離れている。そして、メダル受け皿5が床面60と接している。例えば、下部前扉10cを略90度開けた状態で、上部前扉10bを第2所定角度である45度開いた状態では、遊技機10は第1傾斜姿勢状態であるが、さらに上部前扉10bを開くことにより開放角度Aが45度を越えると、メダル受け皿5が床面60に接触することが好ましい。特に、メダル受け皿5における下部前扉10cの回転軸側(ヒンジ35b側)の部分が床面60に接することが好ましい。床面60に接することで傷が生じる可能性があるが、メダル受け皿5に傷がついても目立ちにくく、遊技者が気づきにくい。また、メダル受け皿5における下部前扉10cの回転軸側(ヒンジ35b側)の部分は、特に、が特に、目立ちにくく、遊技者が傷に気づきにくい。
第2傾斜姿勢状態である場合は、遊技機10は前側に傾斜している。しかし、第2傾斜姿勢状態となるためには、上部前扉10bの開く開放角度Aが第2所定角度である45度を越える必要があり、上部前扉10bは下部前扉10cよりも大きく開くことはないことから、下部前扉10cも45度を越えて開いていることとなる。つまり、遊技機10が第2傾斜姿勢状態となるためには、下部前扉10cの開く角度は45度よりも大きい。したがって、第2傾斜姿勢状態では、下部前扉10cのメダル受け皿5が床面に接して、前側に倒れてくる筺体本体10aを下部前扉10cにより支えることとなる。このため、遊技機10は安定した状態となる。なお、遊技機10を第2傾斜姿勢状態とする場合は、下部前扉10cを略90度開いていることが好ましい。これにより、第2傾斜姿勢状態において、下部前扉10cが床面に接して、遊技機10全体を支えている状態において、ヒンジ35bには遊技機10の正面側から力が加わることとなるため縁部35bが損傷しにくい。例えば、第2傾斜姿勢状態において、下部前扉10cが45度程度しか開いていない状態で、下部前扉10cの下端部(正面視右側の下端部)が床面に接して、遊技機10全体を支えている状態では、ヒンジ35bには遊技機10の斜め前側から力が加わることとなり、正面から力が加わる場合に比べてヒンジ35bに負担がかかりやすい。
上述したように、安定姿勢状態及び第2傾斜姿勢状態では、遊技機10が安定しており、遊技機10に対してなんらかの作業を行いやすいことから、遊技機10に対して作業を行う際は、安定姿勢状態及び第2傾斜姿勢状態として行えばよい。例えば、上部前扉10bは開けることなく下部前扉10cのみ開いた状態で行うことができる作業の場合は、遊技機10を安定姿勢状態として行えばよい。また、下部前扉10cだけではなく、上部前扉10bも開けて行う方が好ましい作業については、遊技機10を第2傾斜姿勢状態として行えばよい。
ここで、安定姿勢状態及び第2傾斜姿勢状態において、遊技機筐体10d内の清掃作業及び点検作業等を行った際に、例えば作業で用いた電動ドライバ等の工具や機器を、誤って遊技機筐体10d内に置き忘れることがある。また、作業者の私物である携帯電話等を遊技機筐体10d内に置き忘れることもある。このような場合であっても、安定姿勢状態及び第2傾斜姿勢状態で作業をした後に、下部前扉10c及び上部前扉10bを開け、上部前扉10bの開放角度Aを第1所定角度よりも大きく第2所定角度以下として、遊技機10を第1傾斜姿勢状態とすることにより、以下に説明するように、このような置き忘れに容易に気づくことができる。
遊技機10が第1傾斜姿勢状態である場合は、遊技機10に触れる程度の力で遊技機10は前後に揺動する状態である。この場合に、筺体本体10a内又は上部前扉10bや下部前扉10cに本来は設置されていることがない部品が置かれていると、筺体本体10a、上部前扉10b及び下部前扉10cの重量のバランスが崩れて、安定姿勢状態又は第2傾斜姿勢状態となってしまうことがある。つまり、筺体本体10a内又は上部前扉10bや下部前扉10cに、作業者が置き忘れをした場合は、その分の重量が増加することとなる。例えば、筺体本体10a内に置き忘れをすると遊技機10の後側の重量が増加し、
上部前扉10b又は下部前扉10cに置き忘れをすると遊技機10の前側の重量が増加するため、本来は第1傾斜姿勢状態となる場合であっても、安定姿勢状態又は第2傾斜姿勢状態となってしまうことがある。このように、遊技機10が第1傾斜姿勢状態となるはずが、安定姿勢状態又は第2傾斜姿勢状態となってしまう場合は、筺体本体10a内又は上部前扉10bや下部前扉10cに工具等を置き忘れている可能性が高いといえる。したがって、遊技機10を第1傾斜姿勢状態とすることにより、置き忘れに容易に気づくことができる。
したがって、清掃作業や点検作業等を行った後に、遊技機10を第1傾斜姿勢状態となるように上部前扉10b及び下部前扉10cを開いて、安定姿勢状態又は第2傾斜姿勢状態となった場合は、作業者は遊技機筐体10d内を慎重に確認することが好ましく、これにより置き忘れた物を見つけることができる可能性がある。このように、遊技機10によれば、遊技機筐体10d内の置き忘れを防止することができる。
また、遊技機筐体10dにおいて、不正行為を行うための不正部品等が不正行為者により、目立たない位置に設置されていた場合であっても、筺体本体10a、上部前扉10b及び下部前扉10cにおける重量バランスが本来の状態と異なることとなるため、本来は第1傾斜姿勢状態となる状態にもかかわらず、安定姿勢状態又は第2傾斜姿勢状態となる場合がある。このような場合は、作業者は遊技機筐体10d内を慎重に確認することにより、不正部品を発見できる可能性がある。このように、遊技機10によれば、不正行為についても、抑制することができる。
なお、遊技機10において、上述した、安定姿勢状態、第1傾斜姿勢状態及び第2傾斜姿勢状態を実現するためには、筺体本体10a、上部前扉10b及び下部前扉10cのそれぞれの重量を調整すればよい。また、筺体本体10a、上部前扉10b及び下部前扉10cのそれぞれに取り付ける各部材の重さや、取付け位置等を調整するようにしてもよい。また、重量調整用の重量物(例えば金属製の重り等)を設置して重量を調整してもよい。また、筺体本体10a、上部前扉10b及び下部前扉10cにおいて、それぞれの一部を金属ではなく軽量の樹脂で構成することで軽量化を図り、重量を調整してもよい。また、前方に傾斜しやすくするために、特に下部前扉10cに重量の大きい部材を設置するようにしてもよい。
なお、上述した、遊技機10における安定姿勢状態、第1傾斜姿勢状態及び第2傾斜姿勢状態は、遊技機10を木ねじで固定していない状態において実現できる。上述したように木ねじを取り外す際は、ホッパーユニット36は筺体本体10aから取り外していることから、安定姿勢状態、第1傾斜姿勢状態及び第2傾斜姿勢状態の実現は、筺体本体10aからホッパーユニット36が取り除かれている状態を想定している。つまり、筺体本体10a内にホッパーユニット36が設置されていない状態で、安定姿勢状態、第1傾斜姿勢状態及び第2傾斜姿勢状態が実現されるように、筺体本体10a、上部前扉10b及び下部前扉10cの重量を調整することが好ましい。ただし、筺体本体10a内にホッパーユニット36が設置されている場合及び設置されていない場合のいずれにおいても、同様の条件で安定姿勢状態、第1傾斜姿勢状態及び第2傾斜姿勢状態を実現できるように、筺体本体10a、上部前扉10b及び下部前扉10cの重量を調整することとしてもよい。
(他の実施形態)
上述の本実施形態では、上部と下部に完全に分離している上部前扉10b及び下部前扉10cを有する遊技機10について説明したが、この構成以外に、例えば、2つの前扉が上下に分離しているのではない構造の遊技機もある。このような遊技機についても、上述の本実施形態の遊技機10と同様に、安定姿勢状態、第1傾斜姿勢状態及び第2傾斜姿勢状態の実現が可能であり、同様の効果を奏する。以下に、本発明の他の実施形態に係る遊技機110について、図面を用いて説明する。図9は、本発明の他の実施形態に係る遊技機において第1前扉が開かれた状態を示す斜視図である。また、図10は、本発明の他の実施形態に係る遊技機において第1前扉及び第2前扉が開かれた状態を示す斜視図である。
図9及び図10に示すように、本発明の他の実施形態に係る遊技機110は、筺体本体110a、第1前扉110b及び第2前扉110cを有している。また、筺体本体110aの前面側の側面から底面にかけて金属板110fが設置されている。第1前扉110bは、筺体本体110aの前側に位置し、筺体本体110aに対して前側に開閉可能である。この第1前扉110bにはリール窓110eが形成されており、下方にはメダル受け皿105も設けられている。第2前扉110cは、筺体本体110aの前側であって、第1前扉110bの後側に位置し、筺体本体110aに対して前側に開閉可能である。また、第2前扉110cは3つのリールを有するリールユニット141及びメイン制御基板ユニット130等を備えている。
図示はされていないが、第1前扉110b及び第2前扉110cを閉じた場合は、リールユニット141及びメイン制御基板ユニット130が筺体本体110a内に収納され、リールユニット141の各リールがリール窓110eから外部に露呈する。これにより、遊技者は、リールを見ながら遊技を行うことができる。第2前扉110cはリールユニット141及びメイン制御基板ユニット130等を有し、第1前扉110bの上側にリール窓110eが形成されていることから、第2前扉110cの重心は、第1前扉110bの重心に比べて上側にある。また、上述したように、第2前扉110cは、筺体本体110aの前側であって、第1前扉110bの後側に位置することから、第2前扉110cが第1前扉110bよりも大きく開くことはない。
このような遊技機110は、平坦な設置面(床面)に載置されていて固定されていない状態において、第1前扉110b及び第2前扉110cが閉じている場合は、遊技機110の姿勢状態は、筺体本体110aの底面の略全体が設置面に接しており、安定した状態である安定姿勢状態となる。また、遊技機110において、第2前扉110cが閉じられた状態であれば、第1前扉110bが開かれていても遊技機110は上記安定姿勢状態を維持する。第1前扉110bが開かれることにより、筺体本体110aの前側に重量がかかることとなる。特に、筺体本体110aに対して略90度の角度で第1前扉110bが開かれた場合に、筺体本体110aの前側に最も重量がかかることとなるが、第2前扉110cが閉じられていれば、筺体本体110aの底面の略全体が設置面に接し、筺体本体110aの底面が設置面に対して傾斜することがなく、安定した状態である安定姿勢状態を維持する。
また、第2前扉110cを開けると、筺体本体110aの前側にさらに重量がかかることとなる。なお、第2前扉110cを開けると、必ず第1前扉110bも開くこととなる。そして、第2前扉110cが第1所定角度よりも大きい角度に開いた場合は、筺体本体110aの前側に重量がかかることにより、筺体本体110aの底面が設置面に対して傾斜することとなる。つまり、筺体本体110aの底面の一部は設置面と接することがなくなる。このように、遊技機110の姿勢状態は、筺体本体110aが前側に傾き、筺体本体110aの底面が設置面に対して傾斜して、筺体本体110aの底面の一部が設置面から浮いている傾斜姿勢状態となる。なお、第1前扉110bは開いた状態で、第2前扉110cが第1所定角度よりも大きく、第2所定角度以下の角度に開いている場合は、第1前扉110bは設置面から浮いている。この姿勢状態は、傾斜姿勢状態の中でも、特に、第1傾斜姿勢状態という。
また、第1傾斜姿勢状態は、第1前扉110b及び筺体本体110aが設置面から浮いている状態であることから、遊技機110は前後に揺動可能である。なお、第1傾斜姿勢状態では、筺体本体110aの底面の前側が設置面に接していることとなるため、設置面に接している箇所には、遊技機110の重量がすべてかかることとなる。ここで、筺体本体110aの底面の前側には、金属板110fが設置されていることから、強度が高く、この箇所が遊技機110の重量により破損することを防止することができる。
第1傾斜姿勢状態から、さらに、第2前扉110cが第2所定角度よりも大きく開いた場合は、筺体本体110aの前側にさらに重量がかかることにより、設置面に対して筺体本体110aがさらに傾斜することとなり、第1前扉110bの一部(メダル受け皿105)が設置面と接することとなる。このように、第1前扉110bは開いた状態で、第2前扉110cが第2所定角度よりも大きく開いている場合は、第1前扉110bの一部(メダル受け皿105)が設置面と接触した姿勢状態となる。この姿勢状態は、傾斜姿勢状態の中でも、特に、第2傾斜姿勢状態という。第2傾斜姿勢状態は、第1前扉110bが設置面と接していることから、遊技機110が前後に揺動することはなく、安定している。
以上、遊技機110について、各姿勢状態を主に説明したが、遊技機110においても、遊技機10と同様に、安定姿勢状態及び第2傾斜姿勢状態において、清掃作業及び点検作業等を行えばよい。また、遊技機110を第1傾斜姿勢状態となる状態とすることにより、筺体本体110a、第1前扉110b及び第2前扉110cにおける置き忘れがないか確認できる。また、筺体本体110a、第1前扉110b及び第2前扉110cに不正部品が設置されていないかを確認することができる。
なお、遊技機110において、第2前扉110cは筺体本体110aに固定されたヒンジ部材に対応するヒンジ具を備え、筺体本体110aに対して開閉可能に設けられているが、このような構成に限定されるわけではない。例えば、第2前扉110cは、第1前扉110bの背面側に固定されたヒンジ部材に対応するヒンジ具を備え、第1前扉110bに対して開閉可能に設けられていることとしてもよい。この構成であっても、図9に示すように、第1前扉110bのみを開き、第2前扉110cは閉じたまま、つまり、第2前扉110cが筺体本体110aの内部に収納されたまま、とすることができる。
また、図9及び図10に示した遊技機110において、例えば、第1前扉110bが上下に分離されており、筺体本体110aに対して互いに独立して開閉可能であることとしてもよい。なお、この場合は、第2前扉110cが閉じて、第1前扉110bにおける上側の扉及び下側の扉の両方が開いている状態では、遊技機110は安定姿勢状態となる。そして、第1前扉110bにおける上側の扉及び下側の扉の両方及び第2前扉110cが開いている状態において、遊技機110は傾斜姿勢状態となる。
本発明は、以上説明した実施の形態に限定されるものではなく、他のいろいろな形で実施することができる。そのため、かかる実施の形態はあらゆる点で単なる例示にすぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の範囲は請求の範囲によって示すものであって、明細書本文には、なんら拘束されない。さらに、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。