図により本発明に係る温度検出部材、像加熱装置及び画像形成装置の一実施形態を具体的に説明する。尚、以下の各実施形態で記載した構成部品の寸法、材質、形状それらの相対配置等は、本発明が適用される装置構成や各種条件により適宜変更されるべきものであり、本発明の範囲を以下の実施形態に限定する趣旨のものではない。
先ず、図1〜図7を用いて本発明に係る温度検出部材、像加熱装置及び画像形成装置の第1実施形態の構成について説明する。
<画像形成装置>
図1を用いて、本発明に係る画像形成装置の構成について説明する。図1は、本発明に係る画像形成装置19の構成を示す断面説明図である。図1に示す画像形成装置19は、電子写真方式の作像プロセスを採用した画像形成装置19としてレーザビームプリンタ(LBP)に適用したの一例を示す。他に静電記録方式の作像プロセスを採用した画像形成装置にも適用出来る。画像形成装置19に用いられる温度検出部材15はサーミスタを用いて構成された一例である。画像形成装置19に定着手段として用いられる像加熱装置からなる定着装置6に温度検出部材15が備えられる。
図1において、1は、像担持体となる感光ドラムである。感光ドラム1は、OPC(Organic Photo Conductor;有機光半導体)、アモルファスセレン(a−Se)、アモルファスシリコン(a−Si)等の感光材料がアルミニウムやニッケル等のシリンダ状の基盤上に形成されている。図1の矢印方向に回転駆動される感光ドラム1の表面は、帯電手段としての帯電ローラ2によって一様に帯電される。
次に、像露光手段となるレーザスキャナ3により画像情報に応じてON/OFF制御されたレーザ光Lが出射されて一様に帯電した感光ドラム1の表面に照射して走査露光される。これにより感光ドラム1の表面に画像情報に応じた静電潜像が形成される。
感光ドラム1の表面に形成された静電潜像は、現像手段となる現像装置4に設けられた現像剤担持体となる現像スリーブ4aから現像剤(トナーT)が供給されて現像され、可視化される。現像方法としては、電気絶縁性トナーを交流バイアスによるジャンピング作用により感光ドラム1の表面に付着させるジャンピング現像法がある。他に、現像剤として非磁性トナーと磁性キャリアとを使用する二成分現像法がある。
他に、FEED(Floating Electrode Effect Developing)現像法等が用いられ、イメージ露光と反転現像との組み合わせで用いられる。尚、FEED現像法とは、一成分絶縁性トナーを用いた接触現像法で島状に分離して配置された微細電極(フロート電極)を表面に持つ現像剤担持体にトナー層を形成し、それを静電潜像に摺擦して現像するものである。
一方、給送カセット21内に収容された記録材Pは、給送ローラ22により繰り出され、図示しない分離手段との協働により一枚ずつ分離給送される。その後、記録材Pの先端部が一旦停止したレジストローラ23のニップ部に突き当たり、該記録材Pの腰の強さにより斜行が補正される。
記録材Pは、レジストローラ23により所定のタイミングで搬送される。レジストローラ23により搬送される記録材Pの先端部が通過するタイミングをトップセンサ8により検知する。これにより感光ドラム1の表面上に形成されたトナー像の画像位置と、記録材Pの先端の書き出し位置とが合致するようにレジストローラ23により記録材Pが搬送される。感光ドラム1の表面に可視化されたトナー像は、転写手段としての転写ローラ5により記録材P上に転写される。記録材Pは、感光ドラム1の表面と、転写ローラ5とにより一定の加圧力で挟持搬送される。
感光ドラム1の表面からトナー像が転写された記録材Pは、像加熱装置からなる定着手段としての定着装置6に搬送される。定着装置6に設けられたエンドレスベルトとなる定着フィルム13の外周面と、加圧回転体となる加圧ローラ16とにより挟持搬送される過程において加熱及び加圧されることによりトナー像が熱溶融して記録材Pに永久画像として熱定着される。その後、記録材Pは、排出ローラ24により挟持搬送されて排出ガイド25等により構成される搬送路を通過して排出トレイ26上に排出される。
一方、転写後に感光ドラム1の表面上に残存した残留トナーは、クリーニング手段となるクリーニング装置7に設けられたクリーニングブレード7aにより掻き取られて除去される。定着装置6と排出ローラ24との間に設けられる排出センサ9は、記録材Pがトップセンサ8と排出センサ9との間で紙詰まり等を起こした際に、それを検知するためのセンサである。
<像加熱装置>
次に、図2を用いて本実施形態の像加熱装置となる定着装置6の構成について説明する。図2は、本実施形態の像加熱装置となる定着装置6の構成を示す断面説明図である。図2に示す定着装置6は、互いに圧接して定着ニップ部Nを形成する定着アセンブリ10と、加圧ローラ16とを有して構成される。
定着アセンブリ10は、定着フィルム13(エンドレスベルト)と、該定着フィルム13の内周面に摺動接触して該定着フィルム13を加熱する加熱部材となるヒータ11を有する。更に、定着アセンブリ10は、ヒータ11を支持する支持部材となる断熱ホルダ12と、図示しない付勢手段により付勢力を受けて断熱ホルダ12を加圧ローラ16に向けて押圧する金属製のステー14等を有して構成される。本実施形態では、断熱ホルダ12とステー14とにより定着フィルム13(エンドレスベルト)を回転可能に支持する支持部材が構成される。
本実施形態の加熱部材であるヒータ11は、可撓性の定着フィルム13の外周面と、加圧ローラ16との間に定着ニップ部Nを形成する部材としての機能も併せ持つ。ヒータ11が定着フィルム13の内周面に摺動接触することにより定着ニップ部Nの加熱を行う。加圧回転体となる加圧ローラ16は、定着フィルム13(エンドレスベルト)を介在してヒータ11(加熱部材)に対向して配置され定着フィルム13の外周面との間に定着ニップ部N(ニップ部)を形成する。
ヒータ11は、低熱容量のプレート状で構成される。ヒータ11は、アルミナや窒化アルミニウム等の電気絶縁性を有するセラミックス基板の表面に通電発熱抵抗層がスクリーン印刷等により形成されている。前記通電発熱抵抗層は、ヒータ11の長手方向(図2の紙面手前側から奥側に向かう方向)に沿って設けられる。前記通電発熱抵抗層は、銀パラジウム(Ag/Pd)、酸化ルテニウム(RuO2)、窒化タンタル(Ta2N)等により構成される。ヒータ11の定着フィルム13の内周面と接する表層には、熱効率を損なわない範囲で通電発熱抵抗層を保護するガラス層等の保護層を設けても良い。
ヒータ11を支持する断熱ホルダ12は、耐熱性樹脂により形成される。前記耐熱性樹脂は、液晶ポリマー、フェノール樹脂、ポリフェニレンサルファイド(PPS;Polyphenylene sulfide)が適用できる。更に、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK;Poly Ether Ether Ketone)等の耐熱性樹脂が適用できる。断熱ホルダ12は、定着フィルム13の図2の時計回り方向の回転を案内する役目も持つ。
可撓性を有するエンドレスベルトからなる定着フィルム13は、クイックスタートを可能にするために総厚で200μm以下の厚みを有する耐熱性フィルムである。定着フィルム13は、耐熱性樹脂を基層として形成されている。
前記耐熱性樹脂は、ポリイミド(PI;Poly Imide)、ポリアミドイミド(PAI;Poly Amide Imide)が適用出来る。更に、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK;Poly Ether Ether Ketone)等の耐熱性樹脂が基層として適用できる。或いは、耐熱性、高熱伝導性を有するステンレス(SUS)、アルミニウム(Al)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、亜鉛(Zn)等の純金属を基層として適用出来る。或いは、これらの合金を基層として適用出来る。
また、長寿命の定着装置6(像加熱装置)を構成するために充分な強度を持ち、耐久性に優れた定着フィルム13としては、総厚が20μm以上の厚みが必要である。よって定着フィルム13の総厚としては、20μm以上、且つ200μm以下が最適である。
更に、オフセット防止や記録材Pの分離性を確保するために、定着フィルム13の表層には、離型層を形成してある。前記離型層としては、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等のフッ素樹脂が適用出来る。更に、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE;Polytetrafluoroethylene)等のフッ素樹脂が適用出来る。
更に、前記離型層としては、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(FEP)等のフッ素樹脂が適用出来る。更に、エチレン-テトラフルオロエチレン共重合体(ETFE)等のフッ素樹脂が適用出来る。更に、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)等のフッ素樹脂が適用出来る。更に、ポリフッ化ビニリデン(PVdF;Poly Vinylidene DiFluoride)等のフッ素樹脂が適用出来る。これらのフッ素樹脂、シリコーン樹脂等の離型性の良好な耐熱樹脂を混合、ないし単独で被覆して離型層を形成することが出来る。
加圧ローラ16は、ステンレス(SUS)、快削鋼(SUM)、アルミニウム(Al)等の金属製の芯金161と、芯金161の外側に形成された弾性層162とからなる弾性ローラにより構成される。弾性層162は、シリコーンゴムやフッ素ゴム等の耐熱ゴムで形成した弾性ソリッドゴム、或いは、より断熱効果を持たせるためにシリコーンゴムを発泡して形成した弾性スポンジゴムからなる。
或いは、弾性層162は、シリコーンゴム層内に中空のフィラー(マイクロバルーン等)を分散させ、硬化物内に気体部分を持たせて断熱効果を高めた弾性気泡ゴムを用いても良い。また、弾性層162の外側にテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE;Polytetrafluoroethylene)等の離型層163を形成しても良い。
本実施形態では、弾性層162にマイクロバルーンで発泡させた電気絶縁性のシリコーンゴムを用いた。離型層163には、厚みが50μmのテトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)チューブを用いた加圧ローラ16を使用した。
また、加圧ローラ16は、芯金161の軸方向端部に設けられた図示しない駆動ギアに回転駆動力が伝達されて図2の反時計回り方向に回転する。加圧ローラ16に伝達される回転駆動力は、制御手段となるCPU(Central Processing Unit;中央演算装置)28からの指令に従い、図示しないモータから伝達される。加圧ローラ16が図2の反時計回り方向に回転することにより加圧ローラ16に圧接された定着フィルム13は、加圧ローラ16との摩擦力により図2の時計回り方向に従動回転する。
定着フィルム13の内周面と、ヒータ11との間には、フッ素系やシリコーン系の耐熱性グリース等の潤滑材を介在させる。これにより摩擦抵抗を低く抑え、滑らかに定着フィルム13が回転可能となる。
ヒータ11のセラミックス基板の背面側の断熱ホルダ12には、温度検出部材15が設けられている。温度検出部材15の温度検出信号に応じて、CPU28がヒータ11に設けられた通電発熱抵抗層に印加する電圧のデューティー比や波数等を決定し適切に制御することで、定着ニップ部N内の温度を所望の定着設定温度に保つことができる。
<温度検出部材>
次に、図3及び図4を用いて本実施形態の温度検出部材15の構成について説明する。図3は、本実施形態の温度検出部材15を図2に示す加圧ローラ16側から見た底面説明図である。図4(a)は、図3のA−A断面図である。図4(b)は図3のB−B断面図である。図4(c)は図3のC−C断面図である。図4(d)は図3のD−D断面図である。
図3の上下方向は、定着ニップ部Nにおける記録材Pの搬送方向である。以下の説明では、定着ニップ部Nにおける記録材Pの搬送方向に平行な方向を図3の上下方向で示す温度検出部材15の幅方向という。また、図3の左右方向を温度検出部材15の長手方向という。また、図3において紙面に垂直な方向(図4の上下方向)を温度検出部材15の厚み方向という。図2に示すヒータ11及び断熱ホルダ12についても同様である。
図3に示すように、温度検出部材15は、該温度検出部材15の長手方向において、それぞれ所定の位置に設けられた感温素子151a〜151dを複数有する。更に、各感温素子151a〜151の一端部の端子にそれぞれ接続された複数の配電導体152a〜151dを有する。更に、各感温素子151a〜151dの他端部の端子に共通して接続された配電導体152gとを有する。
更に、温度検出部材15は、図4に示すように、各感温素子151a〜151d及び配電導体152a〜152d,152gを支持する耐熱性及び電気絶縁性を有するフイルム部材からなる基層150を有する。更に、各感温素子151a〜151d及び配電導体152a〜152d,152gを覆う絶縁層154とを有して構成されている。
<フイルム部材>
フイルム部材となる基層150は、耐熱性及び電気絶縁性を有する樹脂を厚さ10μm〜200μm程度のシート状に形成したものである。基層150としては、ポリイミド(PI;Poly Imide)、ポリアミドイミド(PAI;Poly Amide Imide)が適用できる。更に、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK;Poly Ether Ether Ketone)、ポリエチレンテレフタレート(PET;Polyethylene Terephthalate)が適用出来る。更に、エポキシ樹脂等が適用出来る。本実施形態の基層150は、厚さt1が50μmのポリイミドフィルムを用いている。
<配電導体>
各配電導体152a〜152d,152gは、銅等の導電性を有する金属材料を基層150上に回路パターンとして形成したものである。各配電導体152a〜152d,152gは、各感温素子151a〜151dにより検知した信号を定着アセンブリ10の外に設けられたCPU28に取り出すためのものである。
各配電導体152a〜152d,152gの回路パターンは、例えば、基層150に銅箔を接着することで導電層を形成し、この導電層をフォトレジスト法等によりエッチング処理をおこなうことで形成している。銅箔を接着する代わりに銅を電気鍍金(電気めっき)することで導電層を形成しても良い。また、スクリーン印刷法によって基層150上に直接、回路パターンを形成しても良い。本実施形態では、電気的に独立した五つの配電導体152a〜152d,152gが温度検出部材15の長手方向に沿ってそれぞれ設けてある。
<感温素子>
本実施形態における感温素子151a〜151dは、基板の厚みが150μmの薄膜サーミスタ素子を用いている。四個の感温素子151a〜151dを基層150上に設けてある。感温素子151a〜151dは、導電ペースト、半田、溶接等を用いて各配電導体152a〜152d,152gと電気的に接続されている。
本実施形態では、銀ペーストを用いて各感温素子151a〜151dと、各配電導体152a〜152d,152gとを電気的に接続している。機械的な衝撃や熱膨張によって各感温素子151a〜151dの位置がずれて各配電導体152a〜152d,152gが断線することを防ぐため各感温素子151a〜151dは、接着や粘着等により基層150上に固定されていることが望ましい。
感温素子151aは、図3のA−A断面位置に設けられ、その両端子に配電導体152aと配電導体152gとがそれぞれ接続されている。感温素子151bは、図3のB−B断面位置に設けられ、その両端子に配電導体152bと配電導体152gとがそれぞれ接続されている。
感温素子151cは、図3のC−C断面位置に設けられ、その両端子に配電導体152cと配電導体152gとがそれぞれ接続されている。感温素子151dは、図3のD−D断面位置に設けられ、その両端子に配電導体152dと配電導体152gとがそれぞれ接続されている。配電導体152gは、四つの感温素子151a〜151dの一端子に共通して接続されている。
<絶縁層>
絶縁層154は、厚さ10μm〜200μm程度の耐熱性及び電気絶縁性を有する樹脂からなる。絶縁層154は、ポリイミド(PI;Poly Imide)、ポリアミドイミド(PAI;Poly Amide Imide)が適用出来る。更に、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK;Poly Ether Ether Ketone)、ポリエチレンテレフタレート(PET;Polyethylene Terephthalate)が適用出来る。更に、エポキシ樹脂等が適用出来る。
本実施形態の絶縁層154は、厚さ50μmのポリイミドフィルムを用いている。絶縁層154は、電気絶縁性及び耐熱性を有する接着剤155を用いて感温素子151a〜151d及び配電導体152a〜152d,152gを覆うように基層150に貼着してある。接着剤155の代わりに電気絶縁性及び耐熱性を有する両面テープ等を用いて絶縁層154を感温素子151a〜151d及び配電導体152a〜152d,152gを覆うように基層150に貼着しても良い。また、基層150、感温素子151a〜151d、配電導体152a〜152d,152g上に直接、絶縁層154を薄膜成形しても良い。
本実施形態の温度検出部材15は、感温素子151a〜151d及び配電導体152a〜152d,152gを基層150(フィルム部材)及び絶縁層154で覆うように構成される。これにより感温素子151a〜151d及び配電導体152a〜152d,152gが傷付いたり摩耗したりすることを防ぎ、電気絶縁性を確保している。
<温度検出部材の定着アセンブリへの設置>
次に、図5及び図6を用いて温度検出部材15を定着アセンブリ10内に設置する方法について説明する。図5は、本実施形態の断熱ホルダ12を加圧ローラ16側から見た構成を示す平面説明図である。図6(a)は、本実施形態の定着アセンブリ10の構成を示す図3のC−C位置に相当する箇所の断面説明図である。図6(b)は、本実施形態の定着アセンブリの構成を示す分解断面図である。図6(c)は、断熱ホルダ12の構成を示す図5のE−E断面図である。
図6(a)に示すように、温度検出部材15は、図6(c)に示す断熱ホルダ12に設けられた溝部124内に配置される。溝部124は、断熱ホルダ12の長手方向(図5の左右方向)に沿って形成されている。溝部124の図6(c)の上下方向の深さは、温度検出部材15の図6(b)の上下方向の厚みよりも深く、溝部124の図6(c)の左右方向の幅は、温度検出部材15の図6(b)の左右方向の幅よりも広く形成されている。
図3に示すように、温度検出部材15の長手方向両端部には、貫通穴153L,153Rが設けられている。また、図5に示すように、断熱ホルダ12の溝部124の底面からなるセンサ設置面124aの長手方向両端部には、突起部123L,123Rが突出して設けられている。
温度検出部材15を断熱ホルダ12の溝部124内に嵌入して、断熱ホルダ12の突起部123L,123Rを温度検出部材15の貫通穴153L,153R内に移動自在に遊嵌する。これにより温度検出部材15の長手方向位置が断熱ホルダ12に対して位置決めされる。図3に示す温度検出部材15の貫通穴153L,153Rは、寸法公差を加味して、一方の貫通穴153Lは丸穴で、他方の貫通穴153Rは、温度検出部材15の長手方向に長い長穴により形成されている。
図6(b)に示すように、温度検出部材15を断熱ホルダ12の溝部124内に嵌入した後、更に、溝部124内にヒータ11を嵌入して溝部124に設けられた段部からなるヒータ設置面122u,122dにヒータ11を当接して配置する。ヒータ11の長手方向両端部は、図示しないヒータクリップにより断熱ホルダ12に固定される。
ヒータ設置面122u,122dは、断熱ホルダ12の長手方向(図5の左右方向)に沿って溝部124の幅方向両端部に形成されている。図示しないヒータクリップは、ヒータ11の長手方向両端部を断熱ホルダ12と共に挟持することで断熱ホルダ12に対するヒータ11の位置を固定する機能を有する。尚、ヒータクリップの機能は、ヒータ11に設けられる通電発熱抵抗層に給電する給電用コネクタに持たせても良い。
本実施形態では、図6(a)に示すように、温度検出部材15とヒータ11とを断熱ホルダ12の溝部124内に嵌入して設けた。これにより温度検出部材15は、ヒータ11と断熱ホルダ12との間の溝部124の空隙内に遊嵌して緩く支持される。温度検出部材15とヒータ11との間、或いは、温度検出部材15と断熱ホルダ12の溝部124の底面からなるセンサ設置面124aとの間、或いは、その両方に空気による断熱層が形成される。このためヒータ11の熱が断熱ホルダ12に伝わり難く、ヒータ11から定着フィルム13を介して効率的に記録材Pを加熱できる。
図5に示すように、断熱ホルダ12の各感温素子151a〜151dに対応する位置には、断面方形状の貫通穴121a〜121dがそれぞれ設けられている。貫通穴121aは、感温素子151aに対応する位置に設けられる。貫通穴121bは、感温素子151bに対応する位置に設けられる。貫通穴121cは、感温素子151cに対応する位置に設けられる。貫通穴121dは、感温素子151dに対応する位置に設けられている。また、各貫通穴121a〜121dには、図6(a)に示すように、一端部がステー14に設けられた断面U字形状の内周面14bに当接する弾性部材18の他端部が係止された押圧部材17が移動自在に嵌入されている。
付勢手段となる弾性部材18は、押圧部材17とステー14の内周面14bとの間で弾性的に圧縮された状態にある。このため弾性部材18の弾性復元力により押圧部材17を介して温度検出部材15の各感温素子151a〜151dの部分をヒータ11の方向(図6(a)の上から下へ向かう方向)に付勢している。
このように支持手段となるステー14と断熱ホルダ12との間に設けられた付勢手段となる弾性部材18の付勢力により押圧部材17を介して温度検出部材15の各感温素子151a〜151dの部分をヒータ11側に付勢する。これにより温度検出部材15が感温素子151a〜151dの位置でヒータ11(被検出部材)に対して確実に接触する。
本実施形態の感温素子151は、サーミスタ抵抗素子(チップ)からなり、これを被覆する絶縁層154が感温素子部分としてヒータ11の表面に接触する。これにより感温素子151a〜151dによりヒータ11の温度検知が安定してできる。更に、温度検出部材15のヒータ11に接触する面に対して耐熱性グリースを塗布する。これにより温度検出部材15とヒータ11との接触熱抵抗を下げる。これにより感温素子151a〜151dの応答性を上げることができる。
また、押圧部材17は、温度検出部材15との接触面を表面にシワ模様(シボ)を付けるシボ加工によって粗す等して押圧部材17と温度検出部材15との接触面積を極力減らすことが望ましい。これにより押圧部材17の温度検出部材15に対する接触熱抵抗を上げることができ、感温素子151a〜151dの部分の熱が不要に押圧部材17へと伝わることを防ぐことができ、より正確な温度検知が可能となる。
尚、図6(a),(b)では、弾性部材18(付勢手段)をコイルバネで構成した一例を示したが、例えば、弾性部材18として、板バネ、低硬度ゴム部材、多孔質樹脂部材等を用いても良い。その他、不織布等の繊維同士を絡み合わせて固く縮んだ状態にしたフェルト構造、多数の繊維や針金等を生やしたブラシ構造等の弾性をもつ構造体で形成しても良い。また、押圧部材17自体に弾性をもたせて弾性部材18の機能を兼ねる構成とすれば弾性部材18を省略することもできる。
<接点部>
図3に示すように、温度検出部材15の位置決め用の貫通穴153Lが設けられている側(図3の左側)の端部は、定着アセンブリ10の外側の比較的耐熱性を要求されない位置まで引き出されている。この端部には、各配電導体152a〜152d,152gの一端部が集められた接点部20が形成されている。この接点部20に図示しない給電コネクタの端子を接続する。これにより各配電導体152a〜152d,152gの一端部に設けられた接点部20から各感温素子151a〜151dの出力を外部へと伝えることが出来る。接点部20に接続された図示しない給電コネクタを介して画像形成装置19に設けられた制御手段となるCPU28に感温素子151a〜151dの信号を伝えている。
<変形例>
次に、図7を用いて本実施形態の変化例について説明する。図7(a)〜(e)は、本実施形態の温度検出部材15の各変形例の図3のA−A位置における断面説明図である。温度検出部材15の設置場所、設置方法、設置する定着装置6の構成条件によっては、より高い電気絶縁性能が要求される場合がある。
例えば、温度検出部材15の図3の上下方向で示す幅方向の端部から配電導体152a〜152d,152gまでの沿面距離を長くする必要がある場合がある。その場合は、例えば、図7(a)に示すように、図4(a)に示す基層150と絶縁層154とを図7(a)の左右方向で示す幅方向に延長し、その両端部を幅方向の中央側に折り返す。これにより温度検出部材15の図3の上下方向で示す幅を大きくすることなく温度検出部材15の図3の上下方向で示す幅方向の端部から配電導体152a〜152d,152gまでの沿面距離を長くすることができる。
また、例えば、感温素子151a〜151d及び配電導体152a〜152d,152gと、温度検出部材15が取り付けられる部材との間の電気絶縁性能を高くする必要がある場合がある。その場合は、図7(b)に示すように、図4(a)に示す基層150と絶縁層154との外側に更に絶縁層154a,154bを追加して電気絶縁性及び耐熱性を有する接着剤155により貼着する。これにより感温素子151a〜151d及び配電導体152a〜152d,152gを覆う絶縁層154,154a,154bの数を増やすことで、より高い電気絶縁性能を得ることができる。
また、図7(b)に示す絶縁層154a,154bを追加する代わりに、図7(c)に示すように、より広い面積を有する絶縁層154を使用する。絶縁層154により基層150と、感温素子151a〜151d及び配電導体152a〜152d,152gの周囲を巻回して被覆する、これによっても同等の効果を得ることができる。この場合は、電気絶縁性及び耐熱性を有する接着剤155を省略することが出来る。
更に、図7(c)に示す絶縁層154の代わりに、図7(d)に示すように、より広い面積を有する電気絶縁性を有する基層150を使用する。基層150により該基層150自身と、感温素子151a〜151d及び配電導体152a〜152d,152gの周囲を巻回して被覆する。これによっても同等の効果を得ることができる。図7(d)に示す例は、フィルム部材となる基層150が絶縁層を兼ねている。即ち、フィルム部材と絶縁層とを同一部材の基層150により構成したものである。この場合も電気絶縁性及び耐熱性を有する接着剤155を省略することが出来る。
また、温度検出部材15の設置場所、設置方法、設置する定着装置6の構成条件によっては、他の電気回路との距離が充分確保できる場合がある。その場合は、基層150上の感温素子151a〜151d及び配電導体152a〜152d,152gとの電気絶縁性がより低くても良い。その場合は、図7(e)に示すように、図4(a)に示す絶縁層154を省略しても良い。
<比較例>
次に、図8及び図9を用いて比較例の温度検出部材95a〜95dと、それらを組み込んだ定着アセンブリ10の構成について説明する。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。図8(a)は、比較例の定着アセンブリ10の構成を示す図3のA−A位置の断面説明図である。図8(b)は、図8(a)に示すステー14を薄肉化して定着アセンブリ10を小型化した構成を示す図3のA−A位置の断面説明図である。図9(a)は、比較例の温度検出部材95aの構成を示す平面説明図である。図9(b),(c)は比較例の温度検出部材95aの構成を示す断面説明図である。
本比較例では、ヒータ11の温度を検出する温度検出部材95a〜95dを用いており、図3に示す第1実施形態の四つの感温素子151a〜151dに対応する位置に四つの温度検出部材95a〜95dが設けられている。尚、各温度検出部材95a〜95dの基本構成は同じであるため、代表して温度検出部材95aの構成について説明する。
図9(a)〜(c)に示すように、温度検出部材95aは、感温素子151aと、基台950aと、二本の外部リード線952a1,952a2とを有して構成される。基台950aは、感温素子151aを支持する支持部9501aと、外部リード線952a1,952a2が接続される接続部9503aと、温度検出部材95aの取り付け位置を決める位置決め部9502aとからなる。
基台950aの内部には、薄い金属板からなる図示しない内部導体が二枚埋め込まれている。この内部導体は、その一端部が感温素子151aを支持する支持部9501aから突出してコネクタ部956a1,956a2を形成する。前記内部導体の他端部は、外部リード線952a1,952a2が接続される接続部9503aから突出してコネクタ部957a1,957a2を形成している。
感温素子151aを支持する支持部9501aの下部には、感温素子151aが取り付けられており、感温素子151aの両端子には、二本の内部リード線958a1,958a2がそれぞれ接続されている。内部リード線958a1,958a2は、感温素子151aを支持する支持部9501aの上部に設けられたコネクタ部956a1,956a2にそれぞれ溶接されている。感温素子151aを支持する支持部9501aには、図示しない耐熱性絶縁フィルムが巻回されており、必要な電気絶縁性を確保している。
外部リード線952a1,952a2は、絶縁被覆を施した金属線であり、感温素子151aにより検知した信号を定着アセンブリ10の外へと取り出すためのものである。外部リード線952a1,952a2のそれぞれの一端部は、接続部9503aに設けられたコネクタ部957a1,957a2に溶接されている。
外部リード線952a1,952a2は、図8(a),(b)に示す配線ガイド部材99によりガイドされながら定着アセンブリ10の外まで引き出され、図示しない給電コネクタに接続される。これにより感温素子151aにより検知した信号を画像形成装置19に設けられた制御手段となるCPU28に伝達する。
尚、本比較例において、温度検出部材95a〜95cの外部リード線952a1,952a2〜952c1,952c2は、図8(a),(b)の紙面奥から手前側に向かってガイドされる。そして、断熱ホルダ12の図8(a),(b)の紙面手前の側端部から定着アセンブリ10の外に引き出されている。
一方、温度検出部材95dの外部リード線952d1,952d2は、配線スペースの都合上、反対側の図8(a),(b)の紙面手前から奥側に向かってガイドされる。そして、断熱ホルダ12の図8(a),(b)の紙面奥の側端部から定着アセンブリ10の外に引き出されている。
図9(a)に示すように、温度検出部材95aの取り付け位置を決める位置決め部9502aには、貫通穴からなる位置決め穴953aが設けられている。位置決め穴953aには、断熱ホルダ12に突出して設けられた図示しない位置決め用の突起部を遊嵌させる。これにより断熱ホルダ12の長手方向及び幅方向に対する温度検出部材95aの位置が定まる。
更に、図8(a),(b)に示す弾性部材18により基台950aの上部をヒータ11の方向に押圧する。これにより温度検出部材95aは、ヒータ11の方向に向かって付勢される。本比較例では、温度検出部材95aに設けられた感温素子151aの部分(感温素子部分)がヒータ11に対して確実に接触し、安定した温度検知が可能になる。本比較例では、外部リード線952a1,952a2を図示しない内部導体に接続した後、内部リード線958a1,958a2を介して感温素子151aの両端子に接続するという複雑な構成を取っている。
その一方で、前記第1実施形態では、図3及び図4に示すように、薄膜状の基層150を用いて感温素子151a〜151dと、配電導体152a〜152d,152gとを支持しつつ両者を直接接続する構成とした。従って、比較例のように基台950aの内部に設ける内部導体や該内部導体を電気的に絶縁した状態で被覆する部分を省略できる。これにより温度検出部材15の小型化及び低熱容量化が実現できる。
また、前記第1実施形態では、図5に示す断熱ホルダ12のセンサ設置面124aに突設された突起部123L,123Rに図3に示す温度検出部材15に設けられた貫通穴153L、153Rを嵌装する。これにより断熱ホルダ12に対して温度検出部材15を位置決めする。
これにより図9(a),(b)に示す比較例の基台950aにおける温度検出部材95aの取り付け位置を決める位置決め部9502aを簡略化することができる。これにより前記第1実施形態では、本比較例と比較して温度検出部材15の小型化及び低熱容量化が実現できる。
また、図8(a),(b)及び図9(a)〜(c)に示す比較例の外部リード線952a1,952a2〜952d1,952d2は、一本ずつ個別に絶縁被覆を施していた。これに対して、本実施形態では、基層150及び絶縁層154によって複数の配電導体152a〜152d,152gをまとめて絶縁被覆できる。
これにより絶縁被覆部材の体積を比較例よりも減らすことができ、温度検出部材15の小型化及び低熱容量化が実現できる。当然ながら、設置する感温素子151a〜151dの個数が増えるほど配電導体152a〜152d,152gの本数が多くなるため本実施形態における温度検出部材15の小型化及び低熱容量化の効果は一層大きくなる。温度検出部材15が低熱容量化することにより、それを組み込んだ像加熱装置としての定着装置6も低熱容量化できる。
本実施形態では、図8(a),(b)に示す比較例の外部リード線952a1,952a2〜952d1,952d2に相当する複数の配電導体152a〜152d,152gを図3に示すように、まとめて一つの基層150上に形成した。これにより配線の引き回しが容易になり、図8(a),(b)に示す比較例の配線ガイド部材99を簡易化できる。図8(a),(b)に示す比較例の配線ガイド部材99を簡易化できる分だけ定着装置6の低熱容量化を実現することができる。
また、本実施形態では、図6(a)に示すように、温度検出部材15を断熱ホルダ12に設けられた溝部124内に収容して配置した。これにより図8(a),(b)に示す比較例のように別途、配線ガイド部材99を設ける必要がなくなり、低熱容量化に大きく貢献している。
更に、本実施形態では、図2に示す定着アセンブリ10を小型化することができる。これにより定着装置6の小型化も実現できる。例えば、図8(a)に示す比較例の定着アセンブリ10を小型化するためには、ヒータ11、断熱ホルダ12、配線ガイド部材99、ステー14を薄肉化し小型化し、定着フィルム13を小径化するためのスペースを空ける必要があった。
ただし、図8(a)に示す比較例のヒータ11、断熱ホルダ12、配線ガイド部材99をこれ以上薄肉化すると、必要な強度が保てなくなるため実施困難である。図8(b)に示すように、ステー14を薄肉化することで定着アセンブリ10を小型化した場合は、ステー14の剛性が低下する。その結果、断熱ホルダ12を図2に示す加圧ローラ16に対して押圧するためにステー14に加圧力を加えた際に、該ステー14が長手方向に撓んでしまい、記録材P上のトナー像を均一に加圧することが難しくなる。
その一方で、図6(a)に示す本実施形態の温度検出部材15を使用した場合は、図8(a),(b)に示す比較例よりも小型化できる。図8(a),(b)に示す比較例では、ステー14と断熱ホルダ12とにより囲まれた空間内に配線ガイド部材99、基台950a、外部リード線952a1,952a2〜952d1,952d2の絶縁被覆等が存在する。本実施形態の温度検出部材15を使用すれば、比較例の配線ガイド部材99、基台950a、外部リード線952a1,952a2〜952d1,952d2の絶縁被覆等を小型化、或いは、省略できる。
そして、小型化や省略によって生じた余剰スペースを利用することにより、肉厚を減らすことなくステー14の小型化が可能になる。これにより定着アセンブリ10を小型化することができ、定着装置6の小型化が達成できる。
次に、図10を用いて本発明に係る温度検出部材、像加熱装置及び画像形成装置の第2実施形態の構成について説明する。尚、前記第1実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。図10は、第2実施形態の定着アセンブリの構成を示す図3のC−C位置に相当する箇所の断面説明図である。
図10に示すように、本実施形態では、図6(a)に示す第1実施形態の断熱ホルダ12に設けた貫通穴121cの代わりに、溝部124に連続する凹部124bが設けられている。該凹部124b内には、温度検出部材15に設けられた感温素子151cの部分をヒータ11の方向に押圧する付勢手段となる押圧部材27が収容されている。押圧部材27の一端部は、凹部124bの底面124cに接着剤や両面テープ等により固定されている。押圧部材27の他端部は、温度検出部材15に設けられた感温素子151cの部分をヒータ11の方向に押圧している。
<付勢手段>
付勢手段となる押圧部材27は、前述した第1実施形態の押圧部材17と弾性部材18とにより構成される付勢手段としての機能を併せ持つ部材である。押圧部材27は、例えば、低硬度ゴムや多孔質樹脂等により形成される。押圧部材27は、温度検出部材15と断熱ホルダ12の凹部124bの底面124cとの間で弾性圧縮状態にある。このため押圧部材27の弾性復元力により温度検出部材15の各感温素子151a〜151dの部分をヒータ11の方向に付勢している。
このように支持部材となる断熱ホルダ12の凹部124b内に設けられた付勢手段となる押圧部材27により温度検出部材15の各感温素子151a〜151dの部分をヒータ11の方向に付勢する。これにより温度検出部材15が各感温素子151a〜151dの部分でヒータ11(被検出部材)に対して確実に接触する。これにより温度検出部材15の各感温素子151a〜151dによりヒータ11の温度検知が安定してできる。
本実施形態では、図6(b)に示す第1実施形態のように、各感温素子151a〜151dに対応する部分で断熱ホルダ12に貫通穴121a〜121dを設けなくても良い。これにより断熱ホルダ12の剛性をより均一化できる。そのため前記第1実施形態と比較してより均一な永久画像を得易い。
本実施形態においても図8及び図9に示して前述した比較例と比較して定着アセンブリ10の小型化及び低熱容量化ができることは、前述した第1実施形態と同様である。他の構成は前記第1実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
次に、図11を用いて本発明に係る温度検出部材、像加熱装置及び画像形成装置の第3実施形態の構成について説明する。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。図11は、第3実施形態の断熱ホルダ12と温度検出部材15の構成を示す図3のC−C位置に相当する箇所の分解斜視図である。
本実施形態では、図11に示すように、温度検出部材15が断熱ホルダ12とステー14との間に設けられる。温度検出部材15は、断熱ホルダ12の溝部124に設けられたヒータ設置面122とは反対側の面であるセンサ設置面324に設けられる。
本実施形態の断熱ホルダ12(支持部材)には、図5に示して前述したように、断熱ホルダ12の長手方向に沿って四つの貫通穴121a〜121dが設けられている。断熱ホルダ12(支持部材)は、温度検出部材15を貫通穴121a〜121dの一方の開口側に支持し、ヒータ11(加熱部材;被検出部材)を該貫通穴121a〜121dの他方の開口側に支持する。
温度検出部材15は、可撓性を有し、各感温素子151a〜151dが設けられた部分を図11に示すように撓ませて貫通穴121a〜121dの一方の開口側(図11の上側)から該貫通穴121a〜121d内(貫通穴内)に没入させる。これによりヒータ11(加熱部材;被検出部材)に向かって該貫通穴121a〜121dの他方の開口側(図11の下側)から突出する断面ハット形状の凸部15a〜15dが形成される。断熱ホルダ12の貫通穴121a〜121d内に温度検出部材15の凸部15a〜15dを挿入することで断熱ホルダ12に対して温度検出部材15の長手方向及び幅方向の位置決めを行うことが出来る。
温度検出部材15の各感温素子151a〜151dの部位の四箇所で同様の構成で位置決めが行われる。図11では、温度検出部材15の図3のC−C位置に相当する箇所の感温素子151cの部位を撓ませて形成した凸部15cを断熱ホルダ12の貫通穴121c内に挿入して位置決めする構成について説明する。
図11に示すように、断熱ホルダ12の長手方向に沿って貫通穴121cの両側には、センサ設置面324から突出した突起部323c1,323c2が設けられている。また、温度検出部材15の長手方向に沿って感温素子151cの部位の両側には、位置決め用の貫通穴353c1,353c2が設けられている。
温度検出部材15に設けられた丸穴からなる位置決め用の貫通穴353c1,353c2の中心間隔S1は以下の通り設定される。断熱ホルダ12に設けられた円柱からなる位置決め用の突起部323c1,323c2の中心間隔S2を考慮する。更に、断熱ホルダ12に設けられたヒータ設置面122と、センサ設置面324との間の厚さからなる距離S3を考慮する。中心間隔S1と、中心間隔S2と、距離S3とは以下の数1式で示す関係に設定される。
[数1]
S1≒S2+S3×2
図11に示すように、可撓性を有する温度検出部材15を感温素子151cの部分を中心にして撓ませて断面ハット形状の凸部15cを形成する。そして、該凸部15cを断熱ホルダ12の貫通穴121c内に挿入する。その状態で、断熱ホルダ12の突起部323c1,323c2を温度検出部材15の貫通穴353c1,353c2にそれぞれ挿通して移動自在に遊嵌する。
これにより断熱ホルダ12に対して温度検出部材15の長手方向及び幅方向の位置が定まる。そして、図6(a)に示す前記第1実施形態と同様に弾性部材18(付勢手段)と押圧部材17を用いて温度検出部材15の凸部15cをヒータ11の方向に付勢する。これにより温度検出部材15の凸部15cに設けられた感温素子151cの部分がヒータ11(被検出部材)に対して確実に接触する。このため感温素子151cによりヒータ11の温度検知が安定してできる。
本実施形態では、図6(a)に示す前記第1実施形態と比較して、ヒータ11と断熱ホルダ12との間に温度検出部材15が存在しない。このためヒータ11を断熱ホルダ12に対して接着固定することができる。前記第1実施形態では、ヒータクリップによりヒータ11の長手方向両端部を断熱ホルダ12と共に挟持することで断熱ホルダ12に対するヒータ11の位置を固定した。本実施形態では、ヒータ11と断熱ホルダ12との間に温度検出部材15が存在しないためヒータ11を断熱ホルダ12に対して接着固定することで高精度でヒータ11を固定できる。
本実施形態においても図10及び図11に示す比較例と比較して小型化及び低熱容量化ができることは、前述した第1実施形態と同様である。他の構成は前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。また、後述する第5、第6実施形態に記載する構成と同様に構成すれば、同様な効果を得ることも出来る。
次に、図12及び図13を用いて本発明に係る温度検出部材、像加熱装置及び画像形成装置の第4実施形態の構成について説明する。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。図12は、本実施形態の定着アセンブリ10の構成を示す図3のC−C位置に相当する断面説明図である。図13は、本実施形態の温度検出部材15を加圧ローラ16側から見た底面説明図である。
前記各実施形態では、図3に示す温度検出部材15の各感温素子151a〜151dによりヒータ11の温度を検知した。本実施形態の温度検出部材15は、図13に示すように、前記第3実施形態の感温素子151cが配置されていた部分から分岐部456が分岐して全体がT字形状で構成される。そして、図3に示す温度検出部材15の感温素子151cの代わりに、図13に示す温度検出部材15の分岐部456に設けられた感温素子451cにより図12に示すように、定着フィルム13の内周面の温度を検知する。その他は、前記第3実施形態と同様に構成されるため重複する説明は省略する。
図13に示すように、分岐部456に設けられた感温素子451cの両端子には、配電導体152c,152gがそれぞれ接続されている。また、前記第3実施形態の感温素子151cが配置されていた部分に相当する分岐部456の根元には、位置決め用の貫通穴453c1が設けられている。更に、分岐部456の先端部には、別の位置決め用の貫通穴453c2が設けられている。
一方、図12に示す断熱ホルダ12のセンサ設置面324上には、ステー14側に突出する突起部423cが設けられている。本実施形態の突起部423cは、図5に示す前記第1実施形態の断熱ホルダ12の貫通穴121cが設けられた位置に相当する箇所に設けられる。図13に示す温度検出部材15の貫通穴453c1内に図12に示す断熱ホルダ12の突起部423cを嵌入することで、断熱ホルダ12に対して温度検出部材15が固定される。
図12に示すように、温度検出部材15の分岐部456は、ステー14の断面U字形状の内周面14bと断熱ホルダ12とにより囲まれた空間31からステー14に設けられた切り欠き部14a内に挿通される。そして、ステー14の外周面14cと断熱ホルダ12と定着フィルム13の内周面とにより囲まれた空間32へと引き出される。
温度検出部材15の分岐部456に設けられた感温素子451cの部分は、支持手段となるステー14に設けられたバネ板からなる付勢部材48(付勢手段)により定着フィルム13(被検出部材)の内周面に向かって付勢される。付勢部材48は、例えば、可撓性を有する金属薄板を折り曲げて成形したものである。付勢部材48の一端部は、ステー14に対して固定ビス29等により固定される。
また、図12に示すように、付勢部材48の他端部には、バネ板を切り起こして形成した掛け止め部483が設けられている。図13に示す温度検出部材15の分岐部456の先端部に設けられた貫通穴453c2内に図12に示すように、付勢部材48の掛け止め部483を挿通して係止する。これにより温度検出部材15の分岐部456が断熱ホルダ12のセンサ設置面324上に突出した突起部423cと、ステー14に固定された付勢部材48の掛け止め部483との間に架設される。
本実施形態では、温度検出部材15の分岐部456に設けられた感温素子451cにより記録材Pに接触して直接熱を伝える定着フィルム13の内周面の温度を検出することができる。これにより本実施形態では、像加熱装置となる定着装置6の温度を前述した第1〜第3実施形態よりも精度良く適正なトナー像加熱温度に制御することができる。また、図8及び図9に示して前述した比較例と比較して小型化及び低熱容量化ができることは、前述した第1実施形態と同様である。他の構成は前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
次に、図14〜図19を用いて本発明に係る温度検出部材、像加熱装置及び画像形成装置の第5実施形態の構成について説明する。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。
図14は、第5実施形態の像加熱装置の構成を示す断面説明図である。図15は、第5実施形態の温度検出部材を加圧ローラ側から見た底面説明図である。図16(a)は図15のA−A断面図である。図16(b)は図15のB−B断面図である。図16(c)は図15のC−C断面図である。図16(d)は図15のD−D断面図である。
図17(a)は、第5実施形態の断熱ホルダ12を加圧ローラ側から見た底面説明図である。図17(b)は、第5実施形態の断熱ホルダ12をステー側から見た平面説明図である。図18は、第5実施形態の断熱ホルダ12と温度検出部材の構成を示す図15のC−C位置に相当する箇所の分解斜視図である。図19(a)は第5実施形態の断熱ホルダ12と温度検出部材とヒータとの構成を示す図15のC−C位置に相当する箇所の分解断面図である。図19(b)は第5実施形態の断熱ホルダ12と温度検出部材とヒータの構成を示す図15のC−C位置に相当する箇所の断面説明図である。
本実施形態では、図11に示して前述した第3実施形態に類似した構成である。図14に示すように、本実施形態の定着アセンブリ10内に設けられる温度検出部材15は、断熱ホルダ12のステー14側のセンサ設置面324上に設けられる。本実施形態の温度検出部材15は、ヒータ11のセラミックス基板の温度を検出し、検出した温度に応じた信号を出力する。
尚、以下の説明では、定着ニップ部Nにおける記録材Pの搬送方向に平行な方向を、温度検出部材15の幅方向という。また、加圧ローラ16の回転軸となる芯金161に平行な方向を、温度検出部材15の長手方向という。また、温度検出部材15の幅方向に垂直かつ温度検出部材15の長手方向に垂直な方向を、温度検出部材15の厚み方向という。ヒータ11及び断熱ホルダ12に関しても、同方向をそれぞれ幅方向、長手方向、厚み方向という。
図16(a)〜(d)に示す本実施形態の温度検出部材15の基層150は、耐熱性及び電気絶縁性を有する樹脂を厚さ10μm〜200μm程度のシート状に形成したものである。基層150としては、ポリイミド(PI;Poly Imide)、ポリアミドイミド(PAI;Poly Amide Imide)が適用出来る。更に、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK;Poly Ether Ether Ketone)が適用出来る。更に、ポリエチレンテレフタレート(PET;Polyethylene Terephthalate)が適用出来る。更に、エポキシ樹脂等が適用出来る。本実施形態の基層150は、厚さt2が100μmのポリイミドフィルムを用いている。
また、図17(a),(b)に示すように、断熱ホルダ12の長手方向に沿って温度検出部材15に設けられた各感温素子151a〜151dの部分に対応する位置に複数の貫通穴121a〜121dが設けられている。貫通穴121aは、感温素子151aに対応する位置に設けられる。貫通穴121bは、感温素子151bに対応する位置に設けられる。貫通穴121cは、感温素子151cに対応する位置に設けられる。貫通穴121dは、感温素子151dに対応する位置にそれぞれ設けられている。
図19(b)に示すように、支持部材となる断熱ホルダ12は、温度検出部材15を各貫通穴121a〜121dの一方の開口側(図19(b)の上側)に支持する。また、断熱ホルダ12は、ヒータ11(加熱部材;被検出部材)を各貫通穴121a〜121dの他方の開口側(図19(b)の下側)に支持する。
本実施形態の温度検出部材15は、断熱ホルダ12に設けられた四つの貫通穴121a〜121dの付近において、長手方向及び幅方向の位置決めが行われる。各貫通穴121a〜121dの付近の四箇所で同様に位置決めが行われるため、ここでは代表して貫通穴121c付近での位置決め方法について説明する。図18に示すように、断熱ホルダ12の長手方向に沿って貫通穴121cの両側には、温度検出部材15の位置決め用の突起部123c1,123c2がセンサ設置面324から突出して設けられている。
また、図15に示すように、温度検出部材15の長手方向に沿って貫通穴153c1,153c2が設けられている。貫通穴153c1,153c2は、感温素子151cを間に挟む位置関係で温度検出部材15の長手方向に沿って形成されている。尚、図15に示すように、温度検出部材15の長手方向に沿って貫通穴153a1,153a2、153b1,153b2、153d1,153d2も同様に設けられている。各貫通穴153a1,153a2、153b1,153b2、153d1,153d2は、各感温素子151a,151b,151dを間に挟む位置関係で温度検出部材15の長手方向に沿って形成されている。
図18に示すように、温度検出部材15を長手方向に直線状に張架した自然状態では以下の通り設定される。温度検出部材15の長手方向における丸穴からなる貫通穴153c1,153c2の中心間隔S1を考慮する。また、断熱ホルダ12の長手方向における円柱からなる突起部123c1,123c2の中心間隔S2を考慮する。すると、中心間隔S1は中心間隔S2よりも長くなるように設定されている。
図18に示すように、可撓性を有する温度検出部材15を感温素子151cの部分を中心にして撓ませてV字形状の凸部15cを形成する。そして、該凸部15cを断熱ホルダ12の貫通穴121cの一方の開口側(図18の上側)から該貫通穴121c内(貫通穴内)に没入する。これにより凸部15cは、他方の開口側(図19(a)の下側)からヒータ11(加熱部材;被温度検出部)に向かって突出する。これにより断熱ホルダ12に対する温度検出部材15の長手方向及び幅方向の位置が定まる。
図15に示すように、温度検出部材15の長手方向の一端部(図15の左端部)付近には位置決め用の貫通穴153Lが設けられている。また、図17(b)に示すように、断熱ホルダ12の温度検出部材15を設置するセンサ設置面324上には、図15に示す温度検出部材15の貫通穴153Lに対応する位置に突起部123Lが設けられている。温度検出部材15の貫通穴153L内に断熱ホルダ12の突起部123Lを嵌入する。これにより断熱ホルダ12に対する温度検出部材15の長手方向端部の位置が定まる。
可撓性を有する温度検出部材15自身の復元力によっては、断熱ホルダ12の突起部123c1,123c2が該温度検出部材15の貫通穴153c1,153c2から抜け出す可能性もある。これを防止するために本実施形態では、温度検出部材15の貫通穴153c1,153c2の上から図19(a),(b)に示すプッシュナット30を断熱ホルダ12の突起部123c1,123c2に嵌装して係止する。これにより温度検出部材15は、断熱ホルダ12(支持部材)の貫通穴121cの一方の開口側(図18の上側)の周囲に係止される。
温度検出部材15の貫通穴153Lが設けられている側の長手方向端部は、図14に示す定着アセンブリ10の外側で比較的耐熱性を要求されない位置まで引き出されている。この端部には、図15に示すように、各配電導体152a〜152d,152gの一端部が集められた接点部20が設けられている。この接点部20に図示しない給電コネクタを接続することで温度検出部材15に設けられた感温素子151a〜151dの信号を画像形成装置19に設けられた制御手段となるCPU28に伝えている。
図19(a)に示すように、断熱ホルダ12のセンサ設置面324に対して温度検出部材15を設置する。その後、図19(b)に示すように、ヒータ11を断熱ホルダ12のヒータ設置面122に設置する。図19(a)に示す状態において、断熱ホルダ12の貫通穴121c内に挿入された温度検出部材15の凸部15cの頂点に位置する感温素子151cの部分は、ヒータ設置面122よりも加圧ローラ16側(図19(a)の下方側)に突出している。
図19(a)に示す状態で、ヒータ11をヒータ設置面122に設置するために、該ヒータ11を温度検出部材15の凸部15cの頂点に位置する感温素子151cの部分に当接させて該温度検出部材15の弾性力に抗して図19(a)の上方に押圧する。すると、該温度検出部材15の感温素子151cの部分がヒータ11に押されて可撓性を有する温度検出部材15の凸部15cが図19(a)に示す断面V字形状から図19(b)に示す断面ハット形状に弾性変形する。これにより温度検出部材15の凸部15cが断熱ホルダ12の貫通穴121c内に没入して図19(b)に示す状態に納まる。
このとき、温度検出部材15は撓み、基層150や絶縁層154には、温度検出部材15の撓み変形に伴う歪みが発生する。基層150及び絶縁層154には、この歪みを解消しようとする方向に復元力が働く。この温度検出部材15自身(温度検出部材自身)の復元力により図19(b)に示すように、感温素子151cの部分はヒータ11(加熱部材;被温度検出部)の方向に付勢される。これにより感温素子151cの部分がヒータ11に対して確実に接触する。このため感温素子151cによりヒータ11の温度検知が安定してできる。
更に、温度検出部材15の凸部15cのヒータ11の接触面に対して耐熱性グリースを塗布しても良い。これにより温度検出部材15とヒータ11との接触熱抵抗を下げることができる。これにより温度検出部材15の感温素子151a〜151dの応答性を上げることができる。
また、図19(b)に示すように、ヒータ11を断熱ホルダ12のヒータ設置面122に設置した後、図示しないヒータクリップによってヒータ11と断熱ホルダ12と温度検出部材15の長手方向両端部を挟持して固定することもできる。ヒータクリップは、ヒータ11と断熱ホルダ12のの長手方向両端部を挟持することで、断熱ホルダ12に対するヒータ11の位置を固定する機能を持つ。尚、温度検出部材15の通電発熱抵抗層に給電する給電用コネクタにヒータクリップの機能を持たせても良い。
図19(a),(b)に示すように、本実施形態では、可撓性を有する温度検出部材15は、撓み変形からの復元力によって感温素子151cの部分がヒータ11に対して付勢されて接触している。これにより図8に示す比較例における弾性部材18を省略することができる。本実施形態においても図8及び図9に示す比較例と比較して定着アセンブリ10の小型化及び低熱容量化が実現できている。他の構成は前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
次に、図20を用いて本発明に係る温度検出部材、像加熱装置及び画像形成装置の第6実施形態の構成について説明する。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。図20は、本実施形態の定着アセンブリ10の構成の一部を示す図15のC−C位置に相当する箇所の断面説明図である。
前記第5実施形態では、図19(a),(b)に示すように、可撓性を有する温度検出部材15の撓み変形に対する復元力によって、温度検出部材15の各感温素子151a〜151dの部分をヒータ11に対して付勢して接触させた。
しかしながら、温度検出部材15の基層150や絶縁層154の厚みが薄い場合や使用される材質によっては、可撓性を有する温度検出部材15の撓み変形に対する復元力が小さい場合がある。その場合は、温度検出部材15の各凸部15a〜15dの頂点に設けられた各感温素子151a〜151dの部分をヒータ11に対して付勢するための充分な付勢力が確保できない場合がある。
その場合には、図20に示す本実施形態のように、付勢手段となる弾性部材18cにより温度検出部材15の断面ハット型の凸部15cの内周面側から感温素子151cの部分をヒータ11に対して付勢することでも良い。弾性部材18cは、支持部材となるステー14の内周面14bに一端部が当接される。弾性部材18cの他端部には、押圧部材17cが係止されている。押圧部材17cは、弾性部材18cにより付勢されて温度検出部材15の断面ハット型の凸部15cの内周面側から感温素子151cの部分をヒータ11に対して付勢する。
本実施形態の断熱ホルダ12の各貫通穴121a〜121dに対応する位置には、それぞれ押圧部材17a〜17d及び弾性部材18a〜18dが設けられている。断熱ホルダ12に設けられた四箇所の貫通穴121a〜121dにおいて同様の構成となっているため、ここでは、代表して図20に示す貫通穴121cの付近での構成について説明する。
図20に示すように、弾性部材18cは、押圧部材17cとステー14の内周面14bとの間で弾性圧縮状態にある。このため弾性部材18cの弾性復元力によって押圧部材17cを介して温度検出部材15の断面ハット型の凸部15cの内周面側から感温素子151cの部分をヒータ11の方向に付勢する。本実施形態では、図19(a),(b)に示す前記第5実施形態のプッシュナット30を省略することができる。
このように温度検出部材15の各凸部15a〜15dの頂点に設けられた各感温素子151a〜151dの部分をヒータ11に対して付勢することで、温度検出部材15の感温素子151a〜151dの部分がヒータ11に対して確実に接触する。このため各感温素子151a〜151dによりヒータ11の温度を安定して検知できる。
また、押圧部材17cの温度検出部材15との接触面をシボ加工によって粗す等して接触面積を極力減らすことが望ましい。こうすることで各押圧部材17a〜17dの温度検出部材15に対する接触熱抵抗を上げることができ、各感温素子151a〜151dの部分の熱が不要に押圧部材17a〜17dに伝わることを防ぐことができる。このため各感温素子151a〜151dによりヒータ11の温度検知が正確にできる。
尚、図20に示す本実施形態では、弾性部材18c(付勢手段)をコイルバネで構成した一例を示したが、他に、板バネ、低硬度ゴム部材、多孔質樹脂部材等を弾性部材18cとして用いても良い。その他、不織布等の繊維同士を絡み合わせて固く縮んだ状態にしたフェルト構造、多数の繊維や針金等を生やしたブラシ構造等の弾性をもつ構造体で形成しても良い。また、押圧部材17c自体に弾性をもたせて弾性部材18cの機能を兼ねる構成とすれば弾性部材18cを省略することもできる。本実施形態においても図8及び図9に示す比較例と比較して小型化及び低熱容量化ができることは前記第1実施形態と同様である。他の構成は前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
次に、図21を用いて本発明に係る温度検出部材、像加熱装置及び画像形成装置の第7実施形態の構成について説明する。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。図21は、本実施形態の断熱ホルダ12を加圧ローラ側から見た底面説明図である。尚、図21におけるE−E断面図は、図6(c)と同様である。
本実施形態では、図2に示して前述した第1実施形態と同様に、温度検出部材15が断熱ホルダ12とヒータ11の間に設けられる。本実施形態の温度検出部材15は、図21に示す断熱ホルダ12の加圧ローラ16側(図2の下側)に設けられた溝部124内の底面からなるセンサ設置面124aに設けられる。溝部124は、図21に示す断熱ホルダ12の長手方向に沿って形成されている。溝部124の深さは、温度検出部材15の厚みよりも深く、溝部124の図21の上下方向の幅は、温度検出部材15の幅よりも広くなっている。本実施形態の温度検出部材15の長手方向両端部には、図3に示すように、貫通穴153L,153Rが設けられている。
また、断熱ホルダ12の長手方向両端部には、温度検出部材15を位置決めするために溝部124の底面からなるセンサ設置面124aから突出した突起部123L,123Rが設けられている。図3に示す温度検出部材15の貫通穴153L,153R内に断熱ホルダ12の突起部123L,123Rをそれぞれ移動自在に遊嵌する。これにより温度検出部材15の長手方向位置が定まる。図3に示す温度検出部材15の貫通穴153L,153Rは、寸法公差を加味して、片方の貫通穴153Rを温度検出部材15の長手方向に長い長穴にしておくことが望ましい。本実施形態では、貫通穴153Rを長穴にしている。
温度検出部材15を断熱ホルダ12の溝部124内の底面からなるセンサ設置面124aに配置する。その後、断熱ホルダ12の溝部124内に設けた段部からなるヒータ設置面122u,122dにヒータ11を配置する。そして、図示しないヒータクリップによって断熱ホルダ12とヒータ11の長手方向両端部を挟持して固定する。
ヒータ設置面122u,122dは、断熱ホルダ12の溝部124内に長手方向に沿って該溝部124の幅方向(図21の上下方向)両端部に設けられている。ヒータクリップは、断熱ホルダ12とヒータ11の長手方向両端部を挟持することで、断熱ホルダ12に対するヒータ11の位置を固定する機能を持つ。温度検出部材15の通電発熱抵抗層に給電する給電用コネクタにヒータクリップの機能を持たせても良い。
本実施形態のように、温度検出部材15とヒータ11とを断熱ホルダ12の溝部124内に設けることで、温度検出部材15は、断熱ホルダ12の溝部124の底面からなるセンサ設置面124aとヒータ11との間の空隙に緩く支持される。これにより温度検出部材15とヒータ11との間、或いは、断熱ホルダ12の溝部124の底面からなるセンサ設置面124aと温度検出部材15との間、或いは、その両方に空気による断熱層ができる。これによりヒータ11の熱が断熱ホルダ12に伝わり難く、ヒータ11の熱が定着フィルム13を介して効率的に記録材Pに伝達されて記録材Pを加熱することができる。
本実施形態の温度検出部材15は、図20に示した前記第6実施形態において、断熱ホルダ12とヒータ11との間に配置される。そして、弾性部材18a〜18dと押圧部材17a〜17dの作用により温度検出部材15の各感温素子151a〜151dの部分がヒータ11の方向に付勢される。弾性部材18a〜18dと押圧部材17a〜17dとは、温度検出部材15の感温素子151a〜151dの部分において断熱ホルダ12に設けられた貫通穴121a〜121dに対応して設けられる。
これにより温度検出部材15の各感温素子151a〜151dの部分がヒータ11に対して確実に接触する。このため各感温素子151a〜151dによりヒータ11の温度検知が安定してできる。また、本実施形態でも図8及び図9に示す比較例と比較して小型化及び低熱容量化ができることは前記第6実施形態と同様である。他の構成は前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
次に、前述した第2実施形態で用いた図10を参照して本発明に係る温度検出部材、像加熱装置及び画像形成装置の第8実施形態の構成について説明する。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。前述した図10は、定着アセンブリ10の構成を示す図3のC−C位置に相当する箇所の断面説明図である。
本実施形態では、図21に示す前記第7実施形態の断熱ホルダ12に設けられた貫通穴121a〜121dの代わりに、図10に示す凹部124bが溝部124に連続して設けられている。該凹部124bの底面124cには、温度検出部材15の感温素子151a〜151dの部分をヒータ11の方向に付勢する押圧部材27が接着剤や両面テープ等により固定されている。
押圧部材27は、前記第7実施形態における図20に示す押圧部材17と弾性部材18の機能を併せ持つ部材である。押圧部材27は、例えば、低硬度ゴムや多孔質樹脂等により形成される。押圧部材27は、断熱ホルダ12の凹部124bの底面124cと温度検出部材15との間で弾性圧縮状態にあり、その弾性復元力によって温度検出部材15をヒータ11の方向に付勢している。このように押圧部材27により温度検出部材15をヒータ11の方向に付勢することで、温度検出部材15の各感温素子151a〜151dの部分がヒータ11に対して確実に接触する。このため各感温素子151a〜151dによりヒータ11の温度検知が安定してできる。
本実施形態では、温度検出部材15の各感温素子151a〜151dの部分で断熱ホルダ12に貫通穴121a〜121dを設けなくても良い。このため断熱ホルダ12の剛性をより均一化できる。そのため前記第7実施形態に比べてより均一な永久画像を得易い。また、図8及び図9に示す比較例と比較して小型化及び低熱容量化ができることは前記第7実施形態と同様である。他の構成は前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
次に、図22及び図23を用いて本発明に係る温度検出部材、像加熱装置及び画像形成装置の第9実施形態の構成について説明する。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。図22(a)は、本実施形態の断熱ホルダと温度検出部材とヒータの構成を示す感温素子付近の分解断面図である。図22(b)は、本実施形態の断熱ホルダと温度検出部材とヒータの構成を示す感温素子付近の断面説明図である。図23は、本実施形態の断熱ホルダを加圧ローラ側から見た変形例を示す斜視説明図である。
本実施形態では、図22(a),(b)に示すように、断熱ホルダ12の温度検出部材15の感温素子151の部分に対応する位置に凹部521が設けられている。本実施形態の温度検出部材15は、感温素子151の部分の図22(a)の上下方向で示す厚みが、その周囲の配電導体152の部分の図22(a)の上下方向で示す厚みよりも大きく形成されている。
このため図22(a)に示すように、感温素子151の部分が、その周囲に対して厚くなっている。また、本実施形態の温度検出部材15は、図22(a)に示すように、平面状の基層150上に感温素子151と配電導体152を設け、その上から絶縁層154を形成している。このため定着アセンブリ10に設置する前の温度検出部材15は、感温素子151の部分が絶縁層154側に突出している。
支持部材となる断熱ホルダ12は、温度検出部材15を凹部521の開口側(図22(a)の下側)に支持し、ヒータ11(加熱部材;被検出部材)を温度検出部材15の凹部521とは反対側に支持する。
温度検出部材15を断熱ホルダ12に配置する際には、図22(a)に示すように基層150側を断熱ホルダ12のセンサ設置面124aに当接し、ヒータ11側に突出した感温素子151の部分を向ける。本実施形態では、図10に示して前述した第8実施形態における凹部124bの代わりに、図22(a),(b)に示す凹部521が設けられている。
図22(a)に示すように、温度検出部材15を断熱ホルダ12のセンサ設置面124aに配置した後、ヒータ11を図22(a)の上方向に移動して図22(a)の下方に突出した感温素子151の部分に当接して図22(a)の上方向に押圧する。すると、可撓性を有する温度検出部材15が撓んで図22(b)に示すように、感温素子151の部分が凹部521内に没入する。
図22(b)に示すように、温度検出部材15は、断熱ホルダ12(支持部材)とヒータ11(加熱部材;被検出部材)との間で挟持された状態で感温素子151が設けられた部分を撓ませて凹部521内(凹部内)に没入される。
感温素子151の部分が凹部521内に没入する際に基層150の引き延ばし変形を伴うが、基層150には、引き延ばし変形による歪みを解消しようとする方向に復元力が働く。温度検出部材15自身(温度検出部材自身)の復元力により感温素子151の部分がヒータ11(加熱部材;被検出部材)の方向に付勢される。これにより感温素子151の部分がヒータ11に対して確実に接触する。このため感温素子151によりヒータ11の温度検知が安定してできる。本実施形態では、基層150の復元力により感温素子151の部分をヒータ11の方向に付勢する。このため図10に示す前記第8実施形態に使用した押圧部材27を省略することができる。
また、断熱ホルダ12のセンサ設置面124aに設けた凹部521の図22(a)の上下方向で示す深さは、感温素子151の部分の図22(a)の上下方向で示す高さよりも大きく設定されている。これにより感温素子151の部分が凹部521内に没入した際に、感温素子151の部分と断熱ホルダ12の凹部521の底面521aとの間には空隙ができる。これにより感温素子151の部分は、ヒータ11とのみ接している。このため図10に示すように、押圧部材27が感温素子151の部分に接触していた前記第8実施形態と比較して、本実施形態では、不要な伝熱が無い分、感温素子151によりヒータ11の温度検知がより正確にできる。
尚、温度検出部材15を断熱ホルダ12のセンサ設置面124aに設置する際には、感温素子151の部分の周囲において断熱ホルダ12のセンサ設置面124aに温度検出部材15を接着しても良い。感温素子151に近い位置で温度検出部材15を断熱ホルダ12のセンサ設置面124aに固定することで、使用時の位置ずれを低減することができ、感温素子151によるヒータ11の温度検知精度が上がる。
図23に示す断熱ホルダ12のセンサ設置面124aの変形例は、センサ設置面124aに設けた凹部521の周囲に接着剤を塗布するための溝部525が設けられている。溝部525内には、耐熱性を有する接着剤が塗布されている。図22(b)に示すように、ヒータ11により感温素子151の部分を図22(b)の上方に押圧して感温素子151の部分が凹部521内に没入したとき溝部525内に塗布された接着剤が感温素子151の部分に接着する。これにより温度検出部材15の感温素子151の部分が断熱ホルダ12(支持部材)の凹部521の周囲に接着固定される。
また、温度検出部材15と断熱ホルダ12との固定は、充分な固定力及び位置精度を伴うものであれば、例えば、溶着、掛止等により固定することでも良い。本実施形態でも図8及び図9に示す比較例と比較して小型化及び低熱容量化ができることは、前記第8実施形態と同様である。他の構成は前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
次に、図24を用いて本発明に係る温度検出部材、像加熱装置及び画像形成装置の第10実施形態の構成について説明する。尚、前記各実施形態と同様に構成したものは同一の符号、或いは符号が異なっても同一の部材名を付して説明を省略する。図24は、本実施形態の温度検出部材15を加圧ローラ16側から見た底面説明図である。
本実施形態では、図15に示して前述した前記第5実施形態の温度検出部材15におけるC−C位置に相当する箇所の感温素子151cの代わりに、図24に示す感温素子451cを設けたものである。感温素子451cは、図12に示して前述した第4実施形態と同様に定着フィルム13(エンドレスベルト;被検出部材)の内周面の温度を検出する。図13に示して前述した第4実施形態の温度検出部材15と同様に、図24に示す本実施形態の温度検出部材15も感温素子451cが設けられた分岐部456を有するT字形状で構成される。
本実施形態のT字形状の温度検出部材15の分岐部456の取付構造は、図8に示して前述した第4実施形態と同様であるため重複する説明は省略する。本実施形態でも温度検出部材15の分岐部456に設けた感温素子451cにより記録材Pに直接熱を伝える部材である定着フィルム13の内周面の温度を検出することができる。これにより前記第5実施形態〜第9実施形態と比較して像加熱装置となる定着装置6を適正なトナー像加熱温度により精度良く制御することができる。また、図8及び図9に示す比較例と比較して小型化及び低熱容量化ができることは前記第5実施形態と同様である。他の構成は前記各実施形態と同様に構成され、同様の効果を得ることが出来る。
[その他の実施例]
以上の各実施形態では、フィルム加熱方式の像加熱装置からなる定着装置6の一例について説明したが、他の形態の像加熱装置に本発明を適用しても良い。例えば、電磁誘導加熱方式等の像加熱装置を用いても小型化や低熱容量化を図ることができる。
また、前記各実施形態では、温度検出部材15に感温素子が四個配置される像加熱装置の一例について説明したが温度検出部材15に配置する感温素子の数は、これに限定される必要はない。感温素子の数は、一個以上でも小型化及び低熱容量化を図ることはできる。更に、前記各実施形態では、四個の感温素子を一つの温度検出部材15に設けて構成したが、複数の感温素子を複数の温度検出部材に分けて設置しても小型化及び低熱容量化を図ることはできる。