JP6803797B2 - レーザチップ、レーザ処置具、レーザ治療装置、及びレーザ治療システム - Google Patents
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Description
またこの発明は、レーザ光を施術対象部位へ導くレーザ伝送路と、上述のレーザチップとが備えられたレーザ処置具であることを特徴とする。
さらにまたこの発明は、上述のレーザ治療装置と、前記レーザ伝送路を挿通可能とした内視鏡とで構成されたレーザ治療システムであることを特徴とする。
前記凝集体は、複数の前記結晶体を凝集させて形成された多結晶体であり、入射されたレーザ光を拡散する。具体的には、無色透明の前記結晶体を凝集させて形成した白色など有色の多結晶体などをさし、レーザ光の透光性を有していれば、どのような多結晶体であってもよい。
詳述すると、前記先端部材は人体に害のない前記結晶体を凝集させた前記凝集体で構成されているため、前記レーザ照射口から照射されたレーザ光は前記先端部材の内部で散乱され、前記先端部材の先端から拡散されて照射される。このため、前記先端部材の先端から拡散されて照射されるレーザ光を、出血している損傷部位及びその周辺に照射することで、前記損傷部位とその周辺の血液を凝固できる。
なお、レーザ光は必ずしも炭酸ガスレーザである必要はなく、本発明は他のレーザ光を用いたレーザ治療にも用いることができる。
また、前記先端部材を一般的によく使用され、扱いやすい塩化ナトリウム結晶を凝集させて構成することにより、製造が容易かつ製造コストを削減できるとともに、安定した品質の前記先端部材を製造することができる。
例えば、前記塩化ナトリウムの凝集体の密度が、1.90g/cm3未満である場合、溶解性が高いため、前記凝集体が生体組織に接触させた場合などに溶解が早く進行して崩壊するが、前記塩化ナトリウムの凝集体の密度を1.90g/cm3以上とすることで、通常の施術時間内において損傷部位に前記先端部材を当接させて止血させるための十分な耐久性を有する。
前記溶媒は、例えば水やエタノールなどのアルコール類などのように前記塩化ナトリウムの結晶を凝集させるのに用いられる溶媒であればどのようなものでもよい。
上述の曲面とは、具体的には、先端側に向けて突出した凸状の曲面や、前記レーザ照射口側に凹状となる曲面をさす。
詳述すると、例えば、前記当接部の曲率半径が+10mm以上である場合や前記当接部が平坦である場合、すなわち前記当接部が凸状の曲面で形成されている場合や前記当接部が平坦である場合、前記当接部を前記損傷部位に直接押し当てて前記損傷部位における血液に拡散されたレーザ光を照射できるため、前記損傷部位及びその周囲の血液を凝固させて、前記損傷部位を確実に止血できる。
このように、曲率半径が異なる前記当接部を用いた止血は、止血の作用が異なるため、出血部位や出血状況に応じて曲率半径が異なる曲面又は平坦面の前記当接部を使い分けることができる。
前記わたり長さは、前記凝集体の断面が円形状で構成された場合における断面の直径や、前記凝集体の断面が四角形で構成された場合における対角線の長さや辺の長さ、前記凝集体の断面が楕円状で構成された場合における長軸の長さ、記凝集体の断面が多角形状で構成された場合における対向する頂点間の長さや、対向する頂点と辺との直交距離などを含む。
詳述すると、非接触でのレーザ照射では直径が1mm以上である血管が損傷して出血した場合には、前記レーザ光を照射しても損傷部位を完全に止血することができないおそれがある。しかしながら、前記照射方向と直交する前記凝集体のわたり長さを1mm以上とすることで、前記損傷部位の血管にわたって前記先端部材を押し付けることができ、損傷部位と前記レーザチップとの間の血液を極力排除しながらに前記レーザ光を当てることができるため、効率よく止血できる。
この発明により、出血のない正常状態での切開や切除においては、先端部位を取外すことで、レーザ光を直接目標部位に照射できるため、効率よく施術を行うことができる。一方で、出血した場合には、先端部位を装着させて止血することができる。また、施術中に前記先端部材が損傷した場合や溶解して縮小した場合などに、前記先端部材のみを交換することができる。すなわち、前記先端部材のみを交換可能に取り付けることができるため、ランニングコストを削減することができる。
図1は、内視鏡装置10とレーザ治療装置50とで構成されるレーザ治療システム1の概略構成を示す構成図であり、図2は、内視鏡装置10とレーザ治療装置50の構成を示すブロック図である。
術者操作ユニット12は、主に操作部13と内視鏡チューブ21とで構成されている。
操作ボタン18は、送気、送水、吸引、ズームなどの操作入力を受け付ける。
ライトガイド31,35は、撮像のための照明となる光を照射する照明部位である。これにより、光の届かない体内を照らして観察及び施術できるようにする。
レンズ33は、ライトガイド31,35等の照明による光を集光し、撮像画像を取得するためのレンズ及びその後ろに配置された撮像素子である。
デバイス出口36は、レーザ治療装置50のレーザ伝送路60等の治療用デバイスの出口である。このレーザ伝送路60は、内視鏡チューブ21の全長でもあるデバイス挿入路長よりも長く形成されている。なお、レーザ伝送路60の詳細については後述する。
操作部・表示部51は、レーザの出力設定や動作モードの変更などの操作入力を受け付けて入力信号を中央制御部54に伝達し、中央制御部54からレーザの出力条件や装置の動作状況などの表示信号を受け取って適宜の情報の表示を行う。
電源部52は、中央制御部54など各部に動作電力を供給する。
レーザ出力制御部54aは、操作部・表示部51で設定された出力や動作モードに応じてレーザ発振部57によるレーザ光57aの出力値を制御する。記憶部54bは、出力の設定や動作モードの設定内容などの制御データなどの他に適宜のデータを記憶している。
上述したガイド光発光部56が照射するガイド光56a、及びレーザ発振部57が発振するレーザ光57aは、全て1つのレーザ伝送路60によって伝送される。
操作部41は、操作部13(図1参照)による操作入力を中央制御部43に伝達する。すなわち、上下アングルノブ16や左右アングルノブ17の操作による湾曲管部23の湾曲動作、操作ボタン18による押下操作などを伝達する。またあるいは、術者操作ユニット12のものとは別個に、例えば内視鏡装置の制御器本体(不図示)に操作部を設け、照明の光量、静止画の撮影記憶等の操作を中央制御部43に伝達する。
照明部44は、ライトガイド31,35(図1参照)からの照明を実行する。
水噴射部46は、副送水口32からの液体の噴射を実行する。また、ノズル34からの液体の噴射も実行する。撮像部45が、先端構成部30の近傍に設けてあってもよいし、内視鏡装置10の制御器本体(不図示)内に設けてあってもよいのは、前述のとおりである。
図3はレーザ伝送路60の先端の拡大斜視図を示し、より具体的にはレーザ伝送路60の先端に装着したレーザチップ70の概略斜視図を示し、図4はレーザ伝送路60及びレーザチップ70の概略分解斜視図を示し、図5はレーザ伝送路60に装着したレーザチップ70の説明図を示す。なお、図3及び図4において、レーザ伝送路60を構成するレーザ用チューブ61の一部は点線で示すことで、透過状態を表す。
伝送路側装着部62aは、図5(a)に示すように、レーザチップ側装着部62をレーザ用チューブ61に嵌合できるようにレーザ用チューブ61の内径と略同一の外径を有するとともに、中空導波路63を挿通させて保持可能なように、後述する中空導波路63の外径よりも一回り大きな内径を有している。
支持部72は、レーザ伝送路装着部71の前方において一体に形成された筒状体であり、レーザ伝送路装着部71の内径よりも一回り小さい内径を有している。また、支持部72の先端は4つの凝集体保持部73で構成されている。
円筒状に形成された支持部72は、中央部分における外周面に周方向に沿って等間隔に配置された長円状貫通孔72aが貫通しており、それぞれの長円状貫通孔72aの先端中央から前方に向けて切り欠かれた切欠き部72bが形成されている。連結支持部73bは、周方向に沿って4つ並んだ長円状貫通孔72a同士の間に形成され、挟持部73aは切欠き部72bの間に形成される。なお、この長円状貫通孔72aは、レーザ伝送路60から噴射されるガスなどを流すための貫通孔も兼ねている。
なお、凝集体保持部73の形状は、必ずしもこの形状である必要はなく、適宜設計などに応じて形状を変更できる。
この塩化ナトリウム凝集体80は、粒子径が5〜100μmである塩化ナトリウムの微粒子にアルコールを加え、加圧凝縮することで成形されている。なお、成形された塩化ナトリウム凝集体80の密度は1.90g/cm3以上2.18g/cm3以下で、アルコールの含量は0.1%以下である。
なお、当接面81aは、直径が1mmとしているが、1mm以上であれば特に大きさは限定しない。また、厳密に1mm以上とするのではなく、適当な公差を含むものとする。
ここで、図6はレーザ治療システム1を用いた生体組織の出血部位Eを止血する方法の説明図である。詳しくは、図6(a)は出血部位Eに対して塩化ナトリウム凝集体80を対向させた状態を示し、図6(b)は出血部位Eに対して塩化ナトリウム凝集体80を押し当てるとともに、レーザ光57aを照射した状態を示し、図6(c)は図6(b)における概略断面図を示す。なお、出血部位Eは、粘膜層L1と筋層L3との間にある粘膜下層L2を走る血管とする。
この場合において、施術対象である患部の近傍にレーザ光を照射して患部の切開作業中に出血部位Eからの出血があった場合、レーザ伝送路60の先端である連結部62bに塩化ナトリウム凝集体80を挟持したレーザチップ70を装着し、当接面81aが出血部位Eと対向するように配置し(図6(a)参照)出血部位Eに直接当接面81aを押し当てる(図6(b)参照)。
さらにまた、レーザ光57aは、塩化ナトリウム凝集体80を透過することにより拡散されるため、レーザ光57aを粘膜下層L2に照射した場合であっても筋層L3が穿孔されることも防止できる。
具体的には、塩化ナトリウム凝集体80,80x,80yを構成する塩化ナトリウムの凝集体の密度が、1.90g/cm3未満である場合、塩化ナトリウム凝集体80,80x,80yは溶解性が高いため、生体組織に接触させた場合などに溶解が早く進行し塩化ナトリウム凝集体80,80x,80yが崩壊することとなる。しかしながら、塩化ナトリウムの凝集体の密度を1.90g/cm3以上とすることで、通常の施術時間内において塩化ナトリウム凝集体80,80x,80yを出血部位Eに当接させても十分な耐久性を有する。
詳述すると、出血部位Eを有する血管の径が1mm以下である場合には、出力を弱めたレーザ光57aを照射することにより、血液を凝固させて止血できるが、血管の径が1mm以上である場合には、レーザ光57aを照射しても損傷部位を完全に止血することができない。
以下同様に、
装着部は、レーザ伝送路装着部71に対応し、
凝集体は、塩化ナトリウム凝集体80,80x,80yに対応し、
レーザチップは、塩化ナトリウム凝集体80,80x,80yを挟持したレーザチップ70に対応し、
当接部は、当接面81a、当接凸面81x、当接凹面81yに対応し、
炭酸ガスレーザ光は、レーザ光57aに対応し、
内視鏡は、内視鏡装置10に対応するが、
この発明は、上述の実施形態の構成のみに限定されるものではなく、多くの実施の形態を得ることができる。
10 内視鏡装置
50 レーザ治療装置
57 レーザ発振部
57a レーザ光
60 レーザ伝送路
63a レーザ照射口
70 レーザチップ
71 レーザ伝送路装着部
80,80x,80y 塩化ナトリウム凝集体
81a 当接面
81x 当接凸面
81y 当接凹面
D 光軸方向
Claims (8)
- レーザ伝送路の先端に設けられたレーザ照射口に着脱自在な装着部と、
前記装着部の先端側に支持され、前記レーザ照射口から照射されたレーザ光を透す透光性を有する先端部材とで構成され、
前記先端部材は、
密度が1.90g/cm 3 以上となるように、塩化ナトリウム結晶を凝集させ、生体組織に接触すると溶解するとともに、損傷部位に当接させて止血するための耐久性を有する凝集体で構成された
レーザチップ。 - 前記凝集体は、溶媒残量が0.1%以下である
請求項1に記載のレーザチップ。 - 前記凝集体における前記レーザ光の照射方向前方に、曲率半径が10mm以上の曲面で形成された、又は平坦面で形成された当接部が設けられた
請求項1又は請求項2に記載のレーザチップ。 - 照射方向と直交する前記凝集体の断面が、わたり長さが1mm以上で構成された
請求項1乃至請求項3のうちのいずれかに記載のレーザチップ。 - 前記先端部材は、前記装着部に対して着脱自在に構成された
請求項1乃至請求項4のうちのいずれかに記載のレーザチップ。 - レーザ光を施術対象部位へ導くレーザ伝送路と、
請求項1乃至請求項5のうちのいずれかに記載のレーザチップとが備えられた
レーザ処置具。 - 炭酸ガスレーザ光を発振するレーザ発振器と、
前記レーザ発振器より発振されたレーザ光を施術対象部位へ導くレーザ伝送路と、
請求項1乃至請求項5のうちのいずれかに記載のレーザチップとが備えられた
レーザ治療装置。 - 請求項7に記載のレーザ治療装置と、
前記レーザ伝送路を挿通可能とした内視鏡とで構成された
レーザ治療システム。
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