JP6802599B1 - 検査システム - Google Patents

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Abstract

【課題】対象物の検査を飛行体の利用によって自動化することができるようにする。【解決手段】検査システムであって、カメラを備える飛行体が検査対象物を撮影した画像、飛行体の撮影高度、および飛行体の地図上の撮影位置を受信する撮影情報受信部と、画像を解析して検査対象物の異常を検出する異常検出部と、異常が検出された画像上の検出位置、撮影高度、および撮影位置に基づいて、地図上における検査対象物の異常位置を算出する異常位置算出部と、少なくとも異常位置を含む異常に関する異常情報および異常を識別する情報を対応付けて記憶する異常情報記憶部と、を備え、異常情報記憶部は、さらに、異常情報記憶部に記憶されている異常情報のそれぞれについて、異常情報とは異なる他の異常情報との組に対して、両異常が同一の異常であると判定した場合には、当該同一の異常に関する異常情報に、同一の異常を識別する情報を関連付けて記憶する。【選択図】 図13

Description

本発明は、検査システムに関する。
近年、ドローン(Drone)や無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)などの飛行体(以下、「飛行体」と総称する。)が産業に利用され始めている。こうした中で、特許文献1には、屋外に設置された太陽電池モジュールの検査を飛行体の利用によって自動化することのできる太陽電池検査システムが開示されている。
特開2017−103908号公報
特許文献1の技術は、予め設定された飛行計画に従って、飛行体を最初の撮影位置へ向けて移動させ、赤外線カメラによって熱画像データを取得し解析することとしている。
しかしながら、近年、再生可能エネルギーの重要性が高まり、太陽電池モジュールや太陽電池モジュールを利用した発電施設が大型化する傾向がある。特許文献1に開示されている方法では、このようなニーズに対応することができない。
本発明はこのような背景を鑑みてなされたものであり、対象物の検査を飛行体の利用によって自動化することのできる新たな技術を提供することを一つの目的とする。
上記課題を解決するための本発明の主たる発明は、検査対象物を検査する検査システムであって、カメラを備える飛行体が前記検査対象物を撮影した画像、前記飛行体の撮影高度、および前記飛行体の地図上の撮影位置を受信する撮影情報受信部と、前記画像を解析して前記検査対象物の異常を検出する異常検出部と、前記異常が検出された前記画像上の検出位置、前記撮影高度、および前記撮影位置に基づいて、前記地図上における前記検査対象物の異常位置を算出する異常位置算出部と、少なくとも前記異常位置を含む前記異常に関する情報および前記異常を識別する情報を対応付けて記憶する異常情報記憶部と、を備え、前記異常情報記憶部は、さらに、前記異常情報記憶部に記憶されている前記異常情報のそれぞれについて、当該異常情報とは異なる他の異常情報との組に対して、両異常が同一の異常であると判定された場合には、当該同一の異常に関する異常情報に、同一の異常を識別する情報を関連付けて記憶することとする。
その他本願が開示する課題やその解決方法については、発明の実施形態の欄および図面により明らかにされる。
本発明によれば、対象物の検査を飛行体の利用によって自動化することができる。
本発明の一実施形態に係る検査システムの全体構成を示す図である。 飛行装置10のハードウェア構成例を示す図である。 フライトコントローラ11のソフトウェア構成例を示す図である。 位置情報記憶部151の構成例を示す図である。 撮影情報記憶部152の構成例を示す図である。 検査サーバ30のハードウェア構成例を示す図である。 検査サーバ30のソフトウェア構成例を示す図である。 異常情報記憶部352に登録される異常情報の構成例を示す図である。 太陽電池モジュール1を撮影する処理の流れを説明する図である。 検査サーバ30により実行される検査処理の流れを示す図である。 異常位置の算出処理の流れを示す図である。 重複した異常情報を削除する処理の流れを示す図である。 同一の異常が2つの画像に含まれている状態を説明する図である。 検査に関するレポートの作成処理の流れを示す図である。 レポート作成部316により作成されるレポート61の一例を示す図である。
本発明の実施形態の内容を列記して説明する。本発明の実施の形態による飛行体は、以下のような構成を備える。
[項目1]
検査対象物を検査する検査システムであって、
カメラを備える飛行体が前記検査対象物を撮影した画像、前記飛行体の撮影高度、および前記飛行体の地図上の撮影位置を受信する撮影情報受信部と、
前記画像を解析して前記検査対象物の異常を検出する異常検出部と、
前記異常が検出された前記画像上の検出位置、前記撮影高度、および前記撮影位置に基づいて、前記地図上における前記検査対象物の異常位置を算出する異常位置算出部と、
少なくとも前記異常位置を含む前記異常に関する情報および前記異常を識別する情報を対応付けて記憶する異常情報記憶部と、
を備え、
前記異常情報記憶部は、さらに、
前記異常情報記憶部に記憶されている前記異常情報のそれぞれについて、当該異常情報とは異なる他の異常情報との組に対して、両異常が同一の異常であると判定された場合には、当該同一の異常に関する異常情報に、同一の前記異常を識別する情報を関連付けて記憶する、
ことを特徴とする検査システム。
[項目2]
項目1に記載の検査システムであって、
前記同一の異常に関する異常情報は、複数の撮影情報を特定する情報を含む、 ことを特徴とする検査システム。
[項目3]
項目1または2に記載の検査システムであって、
前記同一の異常に関する異常情報は、単一のコメントを含む
ことを特徴とする検査システム。
[項目4]
項目3に記載の検査システムであって、
検査結果を示す情報をレポートとして出力するレポート生成部をさらに備え、
前記レポート生成部は、
前記異常情報記憶部から重複なく前記異常を識別する情報を読み出し、当該読み出した異常を識別する情報に対応する前記単一コメントを前記レポートに出力する、
ことを特徴とする検査システム。
==概要・全体構成==
図1は、本発明の一実施形態に係る検査システムの全体構成を示す図である。本実施形態の検査システムは、検査対象物を撮影した画像を解析して異常を検出するものである。本実施形態では、検査対象物の一例として太陽電池モジュール1(太陽光パネル)を想定する。なお、検査対象物としては太陽電池モジュール1に限らず、法面やダムなどのコンクリート構造物であってもよいし、鉄塔や鉄橋などの鋼構造物であってもよいし、農場やゴルフ場等所定の地域や災害時の被災地域であってもよい。
本実施形態の検査システムは、検査対象物である太陽電池モジュール1を撮影する飛行装置10と、飛行装置10が撮影した画像を解析する検査サーバ30とを含んで構成される。飛行装置10と検査サーバ30とは通信ネットワーク50を介して相互に通信可能に接続されている。本実施形態では通信ネットワーク50はインターネットを想定し、例えば無線通信路、携帯電話回線網、衛星通信路、公衆電話回線網、専用回線網、イーサネット(登録商標)などにより構築される。
飛行装置10はカメラ12を備え、飛行しながらカメラ12の画角121に応じて、撮影領域122に入る太陽電池モジュール1の一部または全部を撮影する。本実施形態では、説明を簡単にするためカメラ12の画角121は一定であるものとするが、カメラ12の焦点距離を変動させて画角121を変化させるようにすることもできる。
(飛行装置10)
図2は、飛行装置10のハードウェア構成例を示す図である。飛行装置10は、プロペラ18と、プロペラ18にESC(Electronic Speed Controller)16を介して接続された推進機構(本実施形態ではモータ17を想定する。)と、これらを制御するフライトコントローラ11とを備える。
飛行装置10はカメラ12を備え、本実施形態では、カメラ12は機体に固定される。カメラ12は、鉛直方向下向きのレンズを備え、鉛直方向に真下の画像のみを撮影するものとする。カメラ12は、可視光線を捉えたRGB画像と、赤外線を捉えたサーマル画像との2種類の画像を撮影することができる。なお、飛行装置10は、RGB画像を撮影するカメラ12と、サーマル画像を作成するカメラ12との2台を備えるようにしてもよいし、3台以上のカメラ12を備えるようにしてもよい。また、カメラ12に代えて、またはカメラ12に加えて、人感センサーなどの各種のセンサを備えるようにしてもよい。カメラ12は、一台にて2種類の画像を撮像することとしてもよいし、複数台で構成することとしてもよい。
フライトコントローラ11は、プログラマブルプロセッサ(本実施形態では、中央演算処理装置(CPU)を想定する。)などの1つ以上のプロセッサ101を有することができる。また、フライトコントローラ11は、メモリ102を有しており、当該メモリ102にアクセス可能である。メモリ102は、1つ以上のステップを行うためにフライトコントローラ11が実行可能であるロジック、コード、および/またはプログラム命令を記憶する。メモリ102は、例えば、SDカードやランダムアクセスメモリ(RAM)などの分離可能な媒体または外部の記憶装置を含んでいてもよい。カメラ12やセンサなどから取得したデータは、メモリ102に直接に伝達されかつ記憶されてもよい。
フライトコントローラ11はまた、各種のセンサ類103を備える。本実施形態においてセンサ類103は、例えば、慣性センサ(加速度センサ、ジャイロセンサ)、GPS(Global Positioning System)センサ、近接センサ(例えば、ライダー)、またはビジョン/イメージセンサ(例えば、カメラ)を含み得る。
フライトコントローラ11は、1つ以上の外部のデバイス(例えば、送受信機(プロポ)、端末、表示装置、または他の遠隔の制御器などである。)からのデータを送信および/または受け取るように構成された送受信部14と通信可能である。送受信部14は、有線通信または無線通信などの任意の適当な通信手段を使用することができる。本実施形態では、送受信部14は、主に検査サーバ30と通信を行う。送受信部14は、例えば、ローカルエリアネットワーク(Local Area Network;LAN)、ワイドエリアネットワーク(Wide Area Network;WAN)、赤外線、無線、WiFi、ポイントツーポイント(P2P)ネットワーク、電気通信ネットワーク、クラウド通信などのうちの1つ以上を利用することができる。送受信部14は、センサ類で取得したデータ、フライトコントローラが生成した処理結果、所定の制御データ、端末または遠隔の制御器からのユーザコマンドなどのうちの1つ以上を送信および/または受け取ることもできる。
図3は、フライトコントローラ11のソフトウェア構成例を示す図である。フライトコントローラ11は、指示受信部111、飛行制御部112、位置情報取得部113、撮影処理部114、撮影情報送信部115、位置情報記憶部151、撮影情報記憶部152、GPSセンサ104、気圧センサ105および温度センサ106を備える。
なお、指示受信部111、飛行制御部112、位置情報取得部113、撮影処理部114および撮影情報送信部115は、プロセッサ101がメモリ102に格納されているプログラムを実行することにより実現される。また、位置情報記憶部151および撮影情報記憶部152は、メモリ102の提供する記憶領域として実現される。
指示受信部111は、飛行装置10の動作を指示する各種のコマンド(以下、飛行操作コマンドという。)を受け付ける。本実施形態では、指示受信部111は、検査サーバ30から飛行操作コマンドを受信することを想定するが、プロポなどの送受信機から飛行操作コマンドを受信するようにしてもよい。
飛行制御部112は、飛行装置10の動作を制御する。飛行制御部112は、例えば、6自由度(並進運動x、yおよびz、並びに回転運動θx、θyおよびθz)を有する飛行装置10の空間的配置、速度、および/または加速度を調整するために、ESC16を経由してモータ17を制御する。モータ17によりプロペラ18が回転することで飛行装置10の揚力を生じさせる。また、飛行制御部112は、搭載部、センサ類の状態のうちの1つ以上を制御することができる。本実施形態では、飛行制御部112は、指示受信部111が受信した飛行操作コマンドに応じて飛行装置10の動作を制御するものとする。また、飛行制御部112は、自律飛行を可能とするべく、コマンドによらずに飛行装置10が飛行を継続するように各種の制御を行うこともできる。
位置情報取得部113は、飛行装置10の現在位置を示す位置情報を取得する。本実施形態では、位置情報には、飛行装置10の地図上の位置(緯度経度で表される。)と、飛行装置10の高度とが含まれるものとする。センサ類103にはGPSセンサ104が含まれており、位置情報取得部113は、GPSセンサ104がGPS衛星から受信した電波から、飛行装置10の地図上の位置を算出することができる。また、センサ類103には、気圧センサ105および温度センサ106が含まれており、位置情報取得部113は、飛行前に気圧センサ105により測定した大気圧(以下、基準気圧という。)と、飛行中に気圧センサ105により測定した大気圧(以下、現在気圧という。)との差分と、飛行中に温度センサ106により測定した気温とに基づいて、飛行装置10の飛行高度を計算する。位置情報取得部113は、GPSセンサ104を用いて取得した飛行装置10の地図上の位置(緯度経度)と、気圧センサ105および温度センサ106を用いて取得した飛行装置10の飛行高度とを、メモリ102の位置情報記憶部151に格納する。図4は位置情報記憶部151の構成例を示す図である。図4に示すように、位置情報記憶部151には、飛行装置10の現在位置を示す緯度経度、上記のようにして計算した飛行高度、飛行前に測定した基準気圧、飛行中に測定した現在気圧、および飛行中に測定した気温が格納される。
撮影処理部114は、カメラ12を制御して太陽電池モジュール1の一部または全部を撮影させ、カメラ12が撮影したRGB画像およびサーマル画像を取得する。本実施形態では、撮影処理部114は、所定の時間(例えば、5秒、30秒など任意の時間を指定することができる。)ごとに撮影を行うようにするものとする。また、本実施形態では、説明を簡単にするため、カメラ12が撮影するRGB画像およびサーマル画像のいずれについても、Y軸方向の上が北、X軸方向の右が東となるように、飛行制御部112により姿勢を決めた上で、撮影処理部114が撮影を行うものとする。なお、撮影処理部114は、所定の移動距離(例えば、3メートル、10メートルなど任意の距離を指定することができる。)ごとに撮影を行うようにしてもよいし、検査サーバ30からの指示に応じて撮影するようにしてもよい。
撮影処理部114は、取得したRGB画像およびサーマル画像のそれぞれについて、撮影された撮影日時ならびにその時点における飛行装置10の地図上の緯度経度(撮影位置)およびその時点における飛行装置10の飛行高度(撮影高度)を付帯させて(以下、これらの情報が付帯された画像を撮影情報という。)、撮影情報記憶部152に格納する。
図5は撮影情報記憶部152の構成例を示す図である。撮影情報記憶部152は、RGB画像に係る撮影情報1521およびサーマル画像に係る撮影情報1522を記憶しており、撮影情報1521および1522のいずれも、撮影日時、撮影位置および撮影高度ならびに画像データを含む。撮影情報1521および1522は、例えば、ファイルシステム上のファイルとして記憶させることができる。また、撮影日時、撮影位置および撮影高度は、例えば、JPEG(Joint Photographic Experts Group)画像ファイルのExif(Exchangeable image file format)情報として格納することができる。
撮影情報送信部115は、カメラ12が撮影した画像を検査サーバ30に送信する。撮影情報送信部115は、RGB画像およびサーマル画像に、撮影日時、撮影位置および撮影高度を付帯させた撮影情報を検査サーバ30に送信するものとする。
(検査サーバ30)
図6は、検査サーバ30のハードウェア構成例を示す図である。検査サーバ30は、CPU301、メモリ302、記憶装置303、通信装置304、入力装置305、出力装置306を備える。記憶装置303は、各種のデータやプログラムを記憶する、例えばハードディスクドライブやソリッドステートドライブ、フラッシュメモリなどである。通信装置304は、通信ネットワーク50を介して他の装置と通信を行う。通信装置304は、例えばイーサネット(登録商標)に接続するためのアダプタ、公衆電話回線網に接続するためのモデム、無線通信を行うための無線通信機、シリアル通信のためのUSBコネクタやRS232Cコネクタなどを含んで構成される。入力装置305は、データを入力する、例えばキーボードやマウス、タッチパネル、ボタン、マイクロフォンなどである。出力装置306は、データを出力する、例えばディスプレイやプリンタ、スピーカなどである。
図7は、検査サーバ30のソフトウェア構成例を示す図である。検査サーバ30は、飛行制御部311、撮影情報受信部312、異常検出部313、異常位置算出部314、重複削除部315、レポート作成部316、撮影情報記憶部351および異常情報記憶部352を備える。
なお、飛行制御部311、撮影情報受信部312、異常検出部313、異常位置算出部314、重複削除部315およびレポート作成部316は、検査サーバ30が備えるCPU301が記憶装置303に記憶されているプログラムをメモリ302に読み出して実行することにより実現され、撮影情報記憶部351および異常情報記憶部352は、検査サーバ30の備えるメモリ302および記憶装置303が提供する記憶領域の一部として実現される。
飛行制御部311は、飛行装置10を飛行させる制御を行う。本実施形態では、飛行制御部311は、飛行装置10に対して飛行操作コマンドを送信することにより飛行装置10を操作する。飛行制御部311は、例えば、オペレータから地図上における飛行経路の指定を受け付けて、受け付けた飛行経路上を飛行するように飛行操作コマンドを送信することができる。また、飛行制御部311は、複数の撮影領域122によって検査対象となっている太陽電池モジュール1の全体を重複を含みながら撮影できるように、飛行装置10の飛行経路を決定することもできる。
撮影情報受信部312は、飛行装置10から送信される撮影情報を受信する。撮影情報受信部312は、受信した撮影情報を撮影情報記憶部351に格納する。なお、本実施形態では、撮影情報記憶部351の構成は、図5に示す飛行装置10の撮影情報記憶部152と同一の構成であるものとする。なお、検査サーバ30が備える撮影情報記憶部351は、撮影情報の送信元である飛行装置10を特定する情報に対応付けて、撮影情報1521および1522を記憶するようにしてもよい。
異常検出部313は、飛行装置10が撮影した画像を解析して、検査対象となる太陽電池モジュール1の異常を検出する。異常検出部313は、RGB画像およびサーマル画像の少なくともいずれかに基づいて異常を検出する。異常検出部313は、例えば、過去に異常が発生した太陽電池モジュール1を撮影した画像を教師信号としてニューラルネットワーク等の機械学習を用いた学習を行っておき、RGB画像またはサーマル画像を入力信号として異常を判定することができる。また、異常検出部313は、正常時の画像をメモリ302に予め記憶しておき、正常時の画像と、RGB画像またはサーマル画像とを比較して、所定値以上の差分のある画素により構成される領域を認識し、当該領域の面積が所定値以上となるものについて異常と判定することもできる。なお、異常検出部313は、公知の技術を用いて画像から異常部分を検出するようにすることができる。異常検出部313は、検出した異常に関する情報(以下、異常情報という。)を異常情報記憶部352に登録する。
図8は、異常情報記憶部352に登録される異常情報の構成例を示す図である。同図に示すように、異常情報には、撮影情報を特定するための情報(図8の例では、「画像」で示され、例えばJPEGファイル名とすることができる。)、撮影位置、撮影高度、画像上における異常が検出された位置(以下、画像異常位置という。)、地図上における異常の位置(以下、単に異常位置という。)、当該異常に対するコメントが含まれる。撮影位置および撮影高度は、撮影情報から取得される。画像異常位置は、異常検出部313により特定された画像上の位置である。図8では、画像異常位置に矩形を示す2つの頂点の座標が含まれた例が示されているが、画像異常位置には、例えば1つの座標のみが含まれるようにしてもよいし、多角形を構成する3つ異常の座標が含まれるようにしてもよいし、楕円形を表す中心座標と2つの半径とが含まれるようにしてもよい。すなわち、画像異常位置は、点または幾何図形を表す情報であればよい。異常位置は、画像異常位置を緯度経度に変換したものである。緯度経度への変換は異常位置算出部314により行われる。
異常位置算出部314は、異常検出部313が検出した異常の地図上における位置(以下、単に異常位置という。)を算出する。異常位置算出部314は、カメラ12の画角と撮影高度と撮影位置とに基づいて、画像異常位置を異常位置に変換する。異常位置算出部314による異常位置の算出処理の詳細については後述する。異常位置算出部314は、算出した異常位置により、異常情報記憶部352に登録されている異常情報を更新する。
重複削除部315は、重複する異常情報を削除する。重複削除部315は、異常位置が近い(所定距離内にある)か否かにより2つの異常情報が重複していると判定し、重複した異常情報の一方を削除する。なお、重複削除部315による重複削除処理の詳細については後述する。
レポート作成部316は、太陽電池モジュール1の検査結果を示す情報(以下、レポートという。)を出力する。レポート作成部316は、撮影情報に含まれるRGB画像又はサーマル画像をそれぞれ合成して太陽電池モジュール1の全体図(可視画像および赤外画像)を作成するとともに、異常情報に含まれる異常位置をマークし、コメントを出力する。レポート作成部316は、レポートの作成として、例えば、HTML(HyperText Markup Language)により記述されたWebページを作成するようにしてもよいし、PDF(Portable Document Format)ファイルを作成するようにしてもよいし、プリンタ等の出力装置から印刷するようにしてもよい。
==処理==
以下、本実施形態の検査システムにおける処理について説明する。
図9は、太陽電池モジュール1を撮影する処理の流れを説明する図である。図9に示す撮影処理は、検査サーバ30からの飛行操作コマンドに応じて飛行装置10の飛行制御部112が飛行装置10の動作を制御し、飛行装置10が飛行している間、定期的に実行される。
飛行装置10において、撮影処理部114は、カメラ12を制御して、カメラ12が撮影したRGB画像およびサーマル画像を取得し(S201)、位置情報取得部113は、GPSセンサ104、気圧センサ105および温度センサ106からの信号に基づいて、撮影位置および撮影高度を求める(S202)。撮影情報送信部115は、カメラ12から取得したRGB画像およびサーマル画像に、現在の日時(撮影日時)、撮影位置および撮影高度を付帯させた撮影情報を作成して検査サーバ30に送信する(S203)。
検査サーバ30では、撮影情報受信部312は、飛行装置10から送信される撮影情報を受信し(S204)、受信した撮影情報を撮影情報記憶部351に登録する(S205)。
以上のようにして、飛行装置10において撮影された画像(RGB画像およびサーマル画像)は、撮影日時、撮影位置および撮影高度とともに、撮影情報記憶部351に順次登録されていく。
図10は検査サーバ30により実行される検査処理の流れを示す図である。
異常検出部313は、撮影情報記憶部351に記憶されている撮影情報のそれぞれについて、撮影情報に含まれる画像データを画像解析して、太陽電池モジュール1の異常を検出する(S211)。異常が検出された場合(S212:YES)、異常検出部313は、異常を検出した撮影情報を特定する情報に対応付けて、当該撮影情報に含まれている撮影位置および撮影高度と、異常を検出した画像上の位置(画像異常位置)とを含む異常情報を作成して異常情報記憶部352に登録する(S213)。
異常位置算出部314は異常情報に係る異常位置を算出する(S214)。図11は、異常位置の算出処理の流れを示す図である。
異常位置算出部314は、異常情報記憶部352に記憶されている異常情報のそれぞれについて、以下の処理を行う。異常位置算出部314は、カメラ12の画角および解像度と、撮影高度とに基づいて、画像における1画素あたりの地図上での実距離(m)を算出して画素距離とする(S2141)。なお、本実施形態では、カメラ12の画角および解像度は予め設定されているものとする。
異常位置算出部314は、画像異常位置に含まれる各座標についてのX座標値と画像データの中心のX座標値との差に画素距離を乗じて、経度方向の距離を算出する(S2142)。異常位置算出部314は、撮影位置の経度に経度方向の距離を加算して、異常位置の経度を求める(S2143)。
同様に異常位置算出部314は、画像異常位置に含まれる各座標についてのY座標値と画像データの中心のY座標値との差に画素距離を乗じて緯度方向の距離を算出する(S2144)。異常位置算出部314は、撮影位置の緯度に緯度方向の距離を加算して、異常位置の緯度を求める(S2145)。
異常位置算出部314は、算出した異常位置の緯度経度により異常情報の異常位置を更新し、更新した異常情報を異常情報記憶部352に登録する(S2146)。
以上のようにして、各異常情報について画像異常位置から異常位置が求められる。
図10に戻り、重複削除部315は重複した異常情報の削除処理を行う(S215)。図12は、重複した異常情報を削除する処理の流れを示す図である。
重複削除部315は、異常情報記憶部352に記憶されている異常情報のそれぞれについて、当該異常情報とは異なる他の異常情報との組に対して、以下の処理を行う。すなわち、重複削除部315は、2つの異常情報に含まれている異常位置間の距離(異常間距離)を算出し(S2151)、算出した異常間距離が所定の閾値以下である場合には(S2152)、当該他の異常情報を異常情報記憶部352から削除する(S2153)。
以上の処理を繰り返すことにより、距離が所定距離内にある2つの異常については同一の異常であるものとして、重複する異常情報を異常情報記憶部352から削除することができる。
図13は、同一の異常が2つの画像に含まれている状態を説明する図である。図13では、太陽電池モジュール1に1つの異常41が発生している状態を示している。カメラ12により2回の撮影が行われ、その2つの撮影領域122−1および撮影領域122−2に入る部分がRGB画像421および422として撮影されたものとする。ここで、RGB画像421においては、X座標値450、Y座標値250の位置(画像異常位置41−1)に異常41が撮像されており、RGB画像422においては、X座標値50、Y座標値50の位置(画像異常位置41−2)に異常42が撮像されている。従来、異なる画像421および422から検出された異常が同一のものであるか否かについては特定されておらず、人手によりその特定はなされていたところ、本実施形態の検査システムでは、異常位置算出部314が各画像の中心431および432が撮影位置であるものとして、画像上でのX方向およびY方向の距離に対して、撮影高度とカメラ12の画角とから求めた1画素あたり実距離を乗じ、撮影位置からの偏差から画像異常位置41−1および41−2の緯度経度を求め、この緯度経度に基づいて画像異常位置41−1および41−2が同一の異常41の位置を示しているか否かを判定している。これにより、異なる画像421および422から検出された異常が同一のものであるか否かを自動的に判定することが可能となっている。
図10に戻り、レポート作成部316は太陽電池モジュール1の検査に関するレポートを作成する(S216)。図14は、検査に関するレポートの作成処理の流れを示す図である。また、図15はレポート作成部316により作成されるレポート61の一例を示す図である。
レポート作成部316は、検査サーバ30のオペレータや検査サーバ30にアクセスしているユーザ端末のユーザなどから、各異常情報についてのコメントの入力を受け付ける(S2161)。なお、レポート作成部316は、受け付けたコメントにより異常情報を更新し、更新した異常情報を異常情報記憶部352に登録するようにする。レポート作成部316は、撮影情報記憶部351に記憶されている各撮影情報に含まれる画像データを合成して、太陽電池モジュール1の全体を含む1枚の画像を作成する(S2162)。なお、本実施の形態による画像の合成処理については、オルソ画像を利用して行うこととしているが、異常位置算出部314が図11に示した異常位置の算出処理と同一の処理によって画像の左上および右下の各座標についての緯度経度を算出し、算出した緯度経度に対応する位置に画像を配置して合成を行うことができる。
レポート作成部316は、異常情報記憶部352に登録されている各異常情報について、異常情報に含まれている異常位置の中心を求め、当該中心が示す合成画像上の位置に所定の図形を描画する(S2163)。レポート作成部316は、上記のようにして異常位置をプロットした合成画像をレポート61に出力する(S2164)。図15の例では、レポート61の上段に合成画像62が出力されている。また、合成画像62上には、異常位置の中心621に円形の図形が出力されている。
レポート作成部316は、各異常情報について、対応する撮影情報に含まれる画像データに対して、異常情報に含まれる異常位置を示す図形を描画する(S2165)。本実施形態では、異常位置は矩形で描画されることになる。レポート作成部316は、図形を描画した画像をレポート61に出力するとともに(S2166)、異常情報に含まれるコメントを出力する(S2167)。図15の例では、レポート61の下段に、異常位置を示す矩形631が描画された1つのRGB画像63が出力され、その下部にコメント64が出力されている。
なお、図15では1つの異常情報についてのRGB画像63およびコメント64が出力されているが、全ての異常情報についてのRGB画像63およびコメント64ならびにサーマル画像(不図示)およびコメント64を出力するようにしてもよい。また、レポート作成部316は、異常が検出されなかったRGB画像およびサーマル画像についても、レポート61に出力するようにしてもよい。
一度の撮影では画面に収まりきらない程度の大型の太陽電池モジュール1を検査しようとした場合、複数枚の写真を撮像し当該写真の1枚1枚に対して解析を行うこととなるところ、撮像範囲122の漏れがないように、撮影範囲122の一部が重複するようにして連続写真を撮ることとなる。しかしながら、当該重複部分に欠陥等の異常が存在していた場合、異常としては1か所にしか存在していないにもかかわらず、複数の画像に写っていることによって複数の異常が存在していると誤認識してしまうことがあった。本発明の発明者らは、複数枚の画像に存在している同一の異常を同一のものとして正しく特定する方法が必要であることに着目した。本実施形態の検査システムによれば、複数の画像に撮像された1つの異常を同一のものとして取り扱うことができる。これにより、検査に係るレポート61を正しく自動的に生成することも可能となる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
例えば、本実施形態では、カメラ12は機体の下部に固定されるものとしたが、これに限らず、ジンバルを介して可動式に装着するようにしてもよい。この場合、撮影情報にはカメラ12の撮影方向を含めるようにしてもよい。
また、本実施形態では、RGB画像とサーマル画像の両方を用いて異常を検出するものとしたが、RGB画像およびサーマル画像の一方のみを用いて異常を検出するようにしてもよい。
また、本実施形態では、気圧センサ105および温度センサ106を用いて撮影高度を求めるものとしたが、これに限らず、公知の手法を用いて撮影高度を求めるようにしてもよい。
また、本実施形態では、重複する異常情報は異常情報記憶部352から削除するものとしたが、削除をせずに検出した異常を識別する情報(異常ID)を割り当て、異常情報に異常IDを登録するようにしてもよい。この場合、異常情報記憶部352には、異常IDに対応付けて、単一のコメントと、複数の撮影情報を特定する情報を記憶するようにし、レポート作成部316は、異常情報記憶部352から重複なく異常IDを読み出し、読み出した異常IDに対応するコメントをレポート61に出力することができる。
また、本実施形態では、飛行装置10からの撮影情報はカメラ12で撮影が行われる都度検査サーバ30に送信されるものとしたが、飛行装置10は撮影情報記憶部152に撮影情報を蓄積しておき、飛行中に定期的に、あるいは、飛行終了後に一度に撮影情報記憶部152に記憶されている撮影情報を検査サーバ30に送信するようにしてもよい。
また、本実施形態では、飛行装置10が撮影する画像はY軸方向上が北、X軸方向右が東であることを想定していたが、これに限らず、飛行装置10の飛行時の姿勢のままで撮影するようにしてもよい。この場合、撮影情報には北向きの角度(RGB画像およびサーマル画像をY軸方向上が北となるように回転させる角度)を記憶しておき、画像を回転させたうえで、あるいは、当該角度を考慮して異常位置の緯度経度を算出すればよい。
10 飛行装置
11 フライトコントローラ
12 カメラ
14 送受信部
16 ESC
17 モータ
18 プロペラ
30 検査サーバ
50 通信ネットワーク
101 プロセッサ
102 メモリ
103 センサ類
104 GPSセンサ
105 気圧センサ
106 温度センサ
111 指示受信部
112 飛行制御部
113 位置情報取得部
114 撮影処理部
115 撮影情報送信部
151 位置情報記憶部
152 撮影情報記憶部
301 CPU
302 メモリ
303 記憶装置
304 通信装置
305 入力装置
306 出力装置
311 飛行制御部
312 撮影情報受信部
313 異常検出部
314 異常位置算出部
315 重複削除部
316 レポート作成部
351 撮影情報記憶部
352 異常情報記憶部

Claims (4)

  1. 検査対象物を検査する検査システムであって、
    カメラを備える飛行体が前記検査対象物を撮影した画像、前記飛行体の撮影高度、および前記飛行体の地図上の撮影位置を受信する撮影情報受信部と、
    前記画像を解析して前記検査対象物の異常を検出する異常検出部と、
    前記異常が検出された前記画像上の検出位置、前記撮影高度、および前記撮影位置に基づいて、前記地図上における前記検査対象物の異常位置を算出する異常位置算出部と、
    少なくとも前記異常位置を含む前記異常に関する異常情報および前記異常を識別する情報を対応付けて記憶する異常情報記憶部と、
    を備え、
    前記異常情報記憶部は、さらに、
    前記異常情報記憶部に記憶されている前記異常情報のそれぞれについて、当該異常情報とは異なる他の異常情報との組に対して、両異常が同一の異常であると判定された場合には、当該同一の異常に関する異常情報に、同一の異常を識別する情報を関連付けて記憶する、
    ことを特徴とする検査システム。
  2. 請求項1に記載の検査システムであって、
    前記同一の異常に関する異常情報は、複数の撮影情報を特定する情報を含む、
    ことを特徴とする検査システム。
  3. 請求項1または2に記載の検査システムであって、
    前記同一の異常に関する異常情報は、単一のコメントを含む、
    ことを特徴とする検査システム。
  4. 請求項3に記載の検査システムであって、
    検査結果を示す情報をレポートとして出力するレポート生成部をさらに備え、
    前記レポート生成部は、
    前記異常情報記憶部から重複なく前記異常を識別する情報を読み出し、当該読み出した異常を識別する情報に対応する前記単一のコメントを前記レポートに出力する、
    ことを特徴とする検査システム。
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