JP6801690B2 - エマルジョン性含油排水の油水分離方法 - Google Patents

エマルジョン性含油排水の油水分離方法 Download PDF

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Description

本発明は、エマルジョン性含油排水の油水分離方法、例えば、製鉄所において大量に排出される圧延油などに含まれる乳化剤によりエマルジョン化した含油排水を油水分離処理するための方法に関するものである。
製鉄所の圧延工場から排出されるエマルジョン性含油排水の処理方法としては、排水中の油分を直接焼却処分する方法があるが、この方法では大量の水分を蒸発させる必要があるため、ランニングコストが高くなる欠点がある。また、油水分離装置、例えば、膜を用いた処理装置、真空脱水機、遠心分離機などを用いる機械的な処理方法もあるが、この方法もランニングコストが高く、しかも、含油排水中に含まれる不純物によって詰まりなどのトラブルが生じやすいという問題がある。
これに対して、比重分離による油水分離法は、上記のような問題を生じることなく、低ランニングコストでエマルジョン性含油排水を処理することができる。このエマルジョン性含油排水の油水分離方法として、例えば、特許文献1には、油粒子と陰イオン界面活性剤が結合した1次結合粒子がエマルジョン化した乳化水溶液が混入したオイルについて実施する油水分離方法において、上記オイルに陽イオン界面活性剤を添加するステップと、この添加ステップを実施した後に、比重分離法を利用して上記オイルを再生する分離ステップを含む油水分離方法が提案されている。
また、特許文献2には、エマルジョン性含油排水に、それに含まれる乳化剤と同等量以上の抗乳化剤を添加撹拌してエマルジョンを破壊し、その後油水分離を行う方法が提案されている。
特開2005−87795号公報 特開平5―285305号公報
エマルジョン性含油排水を油水分離する基本的な考え方として、油分性状がアニオン系の場合はカチオン系油水分離剤が有効であり、油分性状がカチオン系の場合はアニオン系油水分離剤が有効であることが一般的に知られている。
特許文献1や特許文献2に記載の方法を用いることで、エマルジョン性含油排水を油水分離することができるが、例えば、圧延工場から排出される圧延油を含むエマルジョン性含油排水の場合、圧延油が含有する乳化剤は多種多様であり、しかも操業状況によっても排水の性状は大きく異なり、経時的に油分性状が変化するため、1種類の油水分離剤を選定しただけでは、エマルジョン性含油排水を効率良く油水分離することは困難である。また、圧延工場では圧延油だけでなく、潤滑油、洗浄油、防錆油なども使用されているため、排出されるエマルジョン性含油排水の構成は非常に複雑になる。
また、工場のレイアウト上や効率の観点から、含油排水は複数の工場から集められることが多く、一般に各工場で使用されている油に含まれる乳化剤が異なるため、最終的に油水分離の対象となるエマルジョン性含油排水は油分性状が異なる油分が混在しており、また、工場の操業によって油分性状が経時的に変化すると想定される。しかしながら、従来行われている油水分離処理では、エマルジョン性含油排水の油分性状がアニオン系かカチオン系かを迅速に判断することができず、適切な油水分離剤の種類や添加濃度を決定することも困難であったため、1種類の油水分離剤のみを選定し且つ油水分離剤の添加濃度も決め打ちせざるを得ず、結果的に油水分離処理の効率悪化や油水分離処理後の油分回収率の悪化を招いていた。
したがって本発明の目的は、以上のような従来技術の課題を解決し、圧延工場などから排出されるエマルジョン性含油排水を油水分離する際に、当該エマルジョン性含油排水の油分性状を的確に把握して、油水分離に最適な油水分離剤とその添加条件を決定し、効率良く油水分離を行うことができる油水分離方法を提供することにある。
本発明者らは、上述した課題を解決することができるエマルジョン性含油排水の油水分離方法について検討を重ねた結果、ガスクロマトグラフィ分析などにより含油エマルジョン排水中の特定成分の含有量を定量し、この特定成分の含有量から、予め作成された選定基準(x)に基づき、含油エマルジョン排水に添加する油水分離剤の種類とその添加濃度を決定することにより、油水分離を最適な油水分離剤とその添加濃度で効率良く実施できることを見出した。また、選定基準(x)については、予めガスクロマトグラフィにより使用前の油脂組成物(圧延油など)を分析し、この分析で得られたクロマトグラフから最もピーク強度の高い成分を油水分離剤を選定するための選定指標成分(α)とし、この選定指標成分(α)の含有量に応じて含油エマルジョン排水に添加すべき油水分離剤の種類と濃度を設定することが適当であることが判った。
本発明は、このような知見に基づきなされたもので、以下を要旨とするものである。
[1]乳化剤を含有する油脂組成物を含むエマルジョン性含油排水の油水分離方法であって、
含油排水を含油エマルジョン排水と排水に分離する第一油水分離工程(A)と、
該第一油水分離工程(A)で分離された含油エマルジョン排水中の特定成分の含有量を分析する分析工程(B)と、
該分析工程(B)で得られた特定成分の含有量から、予め作成された選定基準(x)に基づき、含油エマルジョン排水に添加する油水分離剤の種類とその添加濃度を決定する分離剤選定工程(C)と、
該分離剤選定工程(C)で決定された条件で油水分離剤を含油エマルジョン排水に添加する添加工程(D)と、
該添加工程(D)で油水分離剤が添加された含油エマルジョン排水を油分と排水に分離する第二油水分離工程(E)を有することを特徴とするエマルジョン性含油排水の油水分離方法。
[2]上記[1]の油水分離方法において、第一油水分離工程(A)では、静置分離により含油排水を含油エマルジョン排水と排水に分離することを特徴とするエマルジョン性含油排水の油水分離方法。
[3]上記[1]又は[2]の油水分離方法において、分析工程(B)では、ガスクロマトグラフィによる分析を行うことを特徴とするエマルジョン性含油排水の油水分離方法。
[4]上記[1]〜[3]のいずれかの油水分離方法において、分離剤選定工程(C)では、下記(i)〜(iii)の手順により予め作成された選定基準(x)を用いることを特徴とするエマルジョン性含油排水の油水分離方法。
(i)使用前の「乳化剤を含有する油脂組成物」を水と乳化させて含油エマルジョン水とし、その含油エマルジョン水に対して油水分離試験を行うことにより、油水分離に有効な油水分離剤がアニオン油水分離剤、カチオン油水分離剤のいずれであるのかを特定するとともに、ガスクロマトグラフィにより使用前の「乳化剤を含有する油脂組成物」を分析し、得られたクロマトグラフから最もピーク強度の高い成分を、油水分離剤を選定するための選定指標成分(α)とする。
(ii)含油エマルジョン排水を一定期間サンプリングし、それぞれの含油エマルジョン排水に対して油水分離試験を行い、油水分離に有効な油水分離剤がアニオン油水分離剤、カチオン油水分離剤のいずれであるのかを特定するとともに、最適な油水分離剤の添加濃度を特定する。また、ガスクロマトグラフィによりそれぞれの含油エマルジョン排水を分析し、得られたクロマトグラフから含油エマルジョン排水中の選定指標成分(α)の含有量を特定する。
(iii)上記(ii)の結果に基づき、選定指標成分(α)の含有量に応じて含油エマルジョン排水に添加すべき油水分離剤の種類と濃度を設定した選定基準(x)を作成する。
[5]上記[1]〜[4]のいずれかの油水分離方法において、添加工程(D)では、含油エマルジョン排水に油水分離剤を供給し、その供給中又は/及び供給後に含油エマルジョン排水をバブリング撹拌することを特徴とするエマルジョン性含油排水の油水分離方法。
[6]上記[1]〜[5]のいずれかの油水分離方法において、第二油水分離工程(E)では、静置分離により含油エマルジョン排水を油分と排水に分離することを特徴とするエマルジョン性含油排水の油水分離方法。
[7]上記[1]〜[6]のいずれかの油水分離方法で得られた油分を燃料として回収することを特徴とする燃料の製造方法。
本発明によれば、圧延工場などからの排出されるエマルジョン性含油排水を油水分離する際に、当該エマルジョン性含油排水の油分性状を的確に把握して、油水分離に最適な油水分離剤とその添加条件を決定することができるため、効率良く油水分離を行うことができ、エマルジョン性含油排水を高い油水分離率で油水分離処理することができる。このため、エマルジョン性含油排水の処理コストを低減できるとともに、高い油水分離率で分離した油分を燃料として回収することにより、諸設備の燃料費や産廃処理費を削減することができ、また、このようなコストメリットだけでなく、環境にやさしい含油排水のリサイクルプロセスを提供できる。
本発明の油水分離方法を、圧延工場から排出されたエマルジョン性含油排水の油水分離処理に適用した場合の一実施形態を模式的に示す説明図 実施例において、使用前の圧延油Aをガスクロマトグラフィ分析して得られたクロマトグラフ
本発明は、工場から排出された含油エマルジョンを含む排水(乳化剤を含有する油脂組成物を含むエマルジョン性含油排水)を油水分離処理する方法であって、含油排水を含油エマルジョン排水と排水に分離する第一油水分離工程(A)と、この第一油水分離工程(A)で分離された含油エマルジョン排水中の特定成分の含有量を分析(定量)する分析工程(B)と、この分析工程(B)で得られた特定成分の含有量から、予め作成された選定基準(x)に基づき、含油エマルジョン排水に添加する油水分離剤の種類とその添加濃度を決定する分離剤選定工程(C)と、この分離剤選定工程(C)で決定された条件で油水分離剤を含油エマルジョン排水に添加する添加工程(D)と、この添加工程(D)で油水分離剤が添加された含油エマルジョン排水を油分と排水に分離する第二油水分離工程(E)を有する。
第一油水分離工程(A)の分離方式は特に限定されないが、通常は静置分離(比重分離)により含油排水を含油エマルジョン排水と排水(分離水)に分離する。
分析工程(B)では、第一油水分離工程(A)で分離された含油エマルジョン排水からサンプリングし、特定成分の含有量を分析して定量する。この分析は、通常、ガスクロマトグラフィで行う。
分離剤選定工程(C)では、分析工程(B)の分析で得られた特定成分の含有量を、予め作成された選定基準(x)と照合することで、次工程で含油エマルジョン排水に添加する油水分離剤を選定し、さらにその添加濃度を決定する。
この分離剤選定工程(C)で用いる選定基準(x)は、例えば、下記の手順により予め作成される。
(i)使用前の「乳化剤を含有する油脂組成物」(例えば、使用前の圧延油)を水と乳化させて含油エマルジョン水とし、その含油エマルジョン水に対して油水分離ラボ試験を行い、油水分離に有効な油水分離剤がアニオン油水分離剤、カチオン油水分離剤のいずれであるのかを特定する。すなわち、次の(ii)の手順に入る前の事前確認として、使用前の「乳化剤を含有する油脂組成物」に対して有効な油水分離剤を特定し、ここで油水分離の有効性を確認した油水分離剤を使用して次の(ii)の手順を行う。また、ガスクロマトグラフィにより使用前の「乳化剤を含有する油脂組成物」を分析し、得られたクロマトグラフから最もピーク強度の高い成分を、油水分離剤を選定するための選定指標成分(α)とする。なお、使用される可能性がある「乳化剤を含有する油脂組成物」が複数種類ある場合には、それぞれの油脂組成物について、この(i)の手順を行う。
(ii)含油エマルジョン排水(工場から排出された含油排水を第一油水分離工程(A)で油水分離した後の含油エマルジョン排水)を一定期間サンプリングし、それぞれの含油エマルジョン排水に対して油水分離ラボ試験を行い、油水分離に有効な油水分離剤がアニオン油水分離剤、カチオン油水分離剤のいずれであるのかを特定するとともに、最適な油水分離剤の添加濃度を特定する。また、ガスクロマトグラフィによりそれぞれの含油エマルジョン排水を分析し、得られたクロマトグラフから含油エマルジョン排水中の選定指標成分(α)の含有量を特定(定量)する。
(iii)上記(ii)の結果に基づき、選定指標成分(α)の含有量に応じて含油エマルジョン排水に添加すべき油水分離剤の種類と濃度を設定した選定基準(x)を作成する。
含油エマルジョン排水に添加すべき油水分離剤を選定するには、含油エマルジョン排水の乳化特性を把握する必要がある。ここで、乳化特性とは、乳化剤の電荷のことであり、陰イオン(アニオン)系主体の乳化剤を含有しているエマルジョン排水に対しては、陽イオン油水分離剤(カチオン油水分離剤)が、また、陽イオン(カチオン)系主体の乳化剤を含有しているエマルジョン排水に対しては、陰イオン油水分離剤(アニオン油水分離剤)が、それぞれ有効である。また、乳化特性に寄与する油分性状の割合によって適切な油水分離剤の添加濃度が異なり、一般的に乳化特性に寄与する油分性状の割合が多いほど、それに対する油水分離剤の添加濃度は多くなる。しかし、含油エマルジョン排水に含まれる乳化剤の種類や含有割合を判断することは困難である。これに対して、上記のように工場で使用している圧延油などの「乳化剤を含有する油脂組成物」について、使用前の当該油脂組成物の組成をガスクロマトグラフィにて分析して選定指標成分(α)を定め、その上で、一定期間サンプリングした含油エマルジョン排水に対する油水分離ラボ試験及びガスクロマトグラフィによる分析結果に基づいて、選定指標成分(α)の含有量に応じた油水分離剤の選定及び添加条件を選定基準(x)として設定することにより、乳化特性に応じた油水分離剤の種類及び添加量を的確に決定することができる。
添加工程(D)の方法も特に限定されないが、油水分離剤による油分と排水の分離性を高めるために、含油エマルジョン排水に対する油水分離剤の供給中又は/及び供給後に、バブリング撹拌を行うことが好ましい。
なお、2種以上の油水分離剤を添加する場合には、基本的には、乳化特性に寄与する油分性状(選定指標成分)の割合が少ない成分に対する油水分離剤を添加した後、乳化特性に寄与する油分性状(選定指標成分)の割合が多い成分に対する油水分離剤を添加することが望ましいが、具体的な添加順番は、油水分離ラボ試験にて確認した上で決めることが望ましい。
第二油水分離工程(E)の分離方式は特に限定されないが、通常は静置分離(比重分離)により含油エマルジョン排水を油分と排水(分離水)に分離する。本発明では、分離剤選定工程(C)で含油エマルジョン排水の油水分離に最適な油水分離剤とその添加濃度が選定されるので、添加工程(D)及び第二油水分離工程(E)では油水分離剤によるエマルジョンの破壊が進んで、効率よく油水分離がなされる。
第二油水分離工程(E)で分離された油分は、そのまま或いは必要に応じて精製した後、燃料などとして用いることができる。
図1は、本発明の油水分離方法の一実施形態を模式的に示したものであり、本発明法を圧延工場から排出されたエマルジョン性含油排水の処理に適用したものである。
圧延工場から排出された含油排水は排水ピット1に貯められ、この排水ピット1内での静置分離により上層の含油エマルジョン排水と下層の排水(分離水)に分離される(第一油水分離工程A)。この工程で分離される含油エマルジョン排水の水分量は通常50〜80vol%程度である。排水ピット1で分離された含油エマルジョン排水は、ポンプ3で含油エマルジョン排水処理タンク2に供給される。この際に、含油エマルジョン排水をサンプリングし、ガスクロマトグラフ4による分析により含油エマルジョン排水中の油分性状および濃度、すなわち選定指標成分(α)とその含有量を特定・定量する(分析工程B)。制御装置5では、ガスクロマトグラフ4による分析で特定・定量された選定指標成分(α)とその含有量を、予め作成された選定基準(x)と照合することで、含油エマルジョン排水に添加する油水分離剤を選定し、さらにその添加濃度を決定し(分離剤選定工程C)、この条件に従い油水分離剤を油水分離剤タンク6から含油エマルジョン排水処理タンク2に供給する(添加工程D)。この際、油水分離剤による油分と排水の分離性を高めるために、含油エマルジョン排水に対する油水分離剤の供給中又は/及び供給後に、空気などの気体を含油エマルジョン排水中に吹き込むバブリング撹拌を行う。
その後、含油エマルジョン排水を含油エマルジョン排水処理タンク2内で静置分離(比重分離)することにより、含油エマルジョン排水は上層の油分と下層の分離水に分離される(第二油水分離工程E)。上層の油分は、回収油として回収油貯蔵タンク7に送られて貯蔵され、必要に応じて精製された後、燃料などとして利用される。この実施形態では、回収油はそのままオイルバーナー8の燃料として使用され、圧延工場などで発生する含油スラッジなどを焙焼炉9で焼成する。
本発明を実施するに当たり、分離剤選定工程において油水分離剤の選定及び添加濃度を決定するために用いる選定基準(x)を以下のように作成した。
まず、使用前の圧延油の中から1種類を選定し(以下、これを「圧延油A」という)、この圧延油Aと水を乳化させ、含油エマルジョン水とした。この含油エマルジョン水に対して油水分離ラボ実験を実施し、有効な油水分離剤を調べた結果、カチオン油水分離剤が有効であることが判った。油水分離ラボ試験は、含油エマルジョン水の容量を100ml、圧延油と水の混合比を30:70、油水分離剤の添加濃度を1.0vol%とする条件で実施した。
また、使用前の圧延油Aのガスクロマトグラフィ分析を実施した。このガスクロマトグラフィの分析条件を表1に、得られたクロマトグラフを図2に示す。また、ガスクロマトグラフィの分析によって得られた結果の一例を表2に示す。表2において、「ピーク#」とは検出されたピークの番号であり、「保持時間」とは分析開始から各ピークの最大値が得られるまでの経過時間であり、「面積割合」とは、得られたクロマトグラフ中のピーク総面積を100%とし、それに対する各ピーク面積の比率である。
表2に示す最もピーク強度の高い#16の成分(以下、これを「成分a」という)を油水分離剤を選定するための選定指標成分(α)とした。後述するように、本実施例では、この選定指標成分である成分aの含有量に基づく選定基準(x)を作成し、含油エマルジョン排水中の成分aの含有量に応じて使用する油水分離剤とその添加濃度を決める。なお、成分aは、表2に示すように保持時間が約25minに検出されたかどうかで判断できるため、複数の圧延油などが混合した含油エマルジョン排水(例えばアニオン系とカチオン系が混合している含油エマルジョン排水)の場合でも使用する油水分離剤を選定できる。
次に、圧延工場から排出された含油排水を1次油水分離(第一油水分離工程A)した後の含油エマルジョン排水を一定期間サンプリングし、それぞれの含油エマルジョン排水に対して油水分離ラボ試験を行った。ここで、サンプリング期間は1ヶ月とし、油水分離ラボ試験は、含油エマルジョン排水の容量を100ml、油水分離剤の添加濃度を0.5vol%以上として行った。この油水分離ラボ試験では、有効な油水分離剤がアニオン油水分離剤なのか、カチオン油水分離剤なのかを特定するとともに、最適な油水分離剤の添加濃度を特定した。また、ガスクロマトグラフィにて含油エマルジョン排水を分析し、得られたクロマトグラフから含油エマルジョン排水中の成分a(選定指標成分α)の含有量を特定(定量)した。
以上のように事前に実施した含油エマルジョン排水の油水分離ラボ試験及びガスクロマトグラフィ分析で得られた成分aの含有量から、下記(1)、(2)のような選定基準(x)を作成した。成分aはアニオン乳化剤を含有した圧延油由来の成分であったので、成分aの含有割合が少ない含油エマルジョン排水に対してはアニオン油水分離剤が有効であり、成分aの含有割合が多い含油エマルジョン排水に対しては、カチオン油水分離剤の単体添加、若しくはアニオン油水分離剤とカチオン油水分離剤の複合添加が有効である。
(1)含油エマルジョン排水中の成分aの含有量が1.0vol%以下であれば、アニオン油水分離剤を0.5〜2.0vol%添加する。
(2)含油エマルジョン排水中の成分aの含有量が1.0vol%超であれば、カチオン油水分離剤を0.5〜2.0vol%添加するか、若しくはアニオン油水分離剤とカチオン油水分離剤の複合添加とし、添加の順番は最初にカチオン油水分離剤、次にアニオン油水分離剤とし、それぞれ0.5vol%添加する。
なお、それぞれの油水分離剤の添加濃度は、含油エマルジョン排水から分離した油分(回収油)を燃料として使用するために必要な油水分離率を満足する条件とした。
圧延工場から排出された含油排水を対象として、図1に示すような油水分離フローにて油水分離試験を行った。排水ピット1の容量は1800m、含油エマルジョン排水処理タンク2の最大容量は5m、回収油貯蔵タンク7の容量は30mである。油水分離剤としては、表3に示すような陰イオン系(アニオン油水分離剤)と陽イオン系(カチオン油水分離剤)の2種類を用いた。含油エマルジョン排水処理タック2では、油水分離剤の添加後にバブリング撹拌を15分間実施し、静置時間は2.5時間とし、静置のみによる比重分離を行った。
油水分離性は油水分離率で評価した。この油水分離率は、処理する含油エマルジョン排水中の全水分量に対して、分離した分離水の水分量の割合である。油水分離性の評価は、油水分離率が50%以上であれば“○”、油水分離率が50%未満であれば“×”とした。この油水分離性を評価した結果を、処理条件とともに表4に示す。
表4によれば、比較例1、2は、成分aの含有量が1.0vol%以下である含油エマルジョン排水にカチオン油水分離剤を添加したものであるが、適切な油水分離剤ではないため油水分離反応が不十分であり、油水分離率は50%未満であるため、油水分離性の評価は“×”である。これに対して発明例1〜3は、成分aの含有量が1.0vol%以下の含油エマルジョン排水に、適切な油水分離剤であるアニオン油水分離剤をそれぞれ0.5vol%、1.0vol%、2.0vol%添加したものであり、油水分離率がそれぞれ65%、66%、64%であるため、油水分離性の評価は“○”である。
一方、比較例3、4は、成分aの含有量が1.0vol%超である含油エマルジョン排水にアニオン油水分離剤を添加したものであるが、適切な油水分離剤ではないため油水分離反応が不十分であり、油水分離率は50%未満であるため、油水分離性の評価は“×”である。これに対して発明例4〜6は、成分aの含有量が1.0vol%超である含油エマルジョン排水に、適切な油水分離剤であるカチオン油水分離剤をそれぞれ0.5vol%、1.0vol%、2.0vol%添加したものであり、油水分離率がそれぞれ70%、68%、69%であるため、油水分離性の評価は“○”である。
また、発明例7は、成分aの含有量が1.0vol%超である含油エマルジョン排水に、適切な油水分離剤であるアニオン油水分離剤0.5vol%とカチオン油水分離剤0.5vol%を複合添加したものであるが、油水分離率は68%であるため、油水分離性の評価は“〇”である。このように複合添加でも油水分離を確認することができたが、油水分離剤コストからすると単体添加の方が望ましい。
Figure 0006801690
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1 排水ピット
2 含油エマルジョン排水処理タンク
3 ポンプ
4 ガスクロマトグラフ
5 制御装置
6 油水分離剤タンク
7 回収油貯蔵タンク
8 オイルバーナー
9 焙焼炉

Claims (6)

  1. 乳化剤を含有する油脂組成物を含むエマルジョン性含油排水の油水分離方法であって、
    含油排水を含油エマルジョン排水と排水に分離する第一油水分離工程(A)と、
    該第一油水分離工程(A)で分離された含油エマルジョン排水中の特定成分の含有量を分析する分析工程(B)と、
    該分析工程(B)で得られた特定成分の含有量から、予め作成された選定基準(x)に基づき、含油エマルジョン排水に添加する油水分離剤の種類とその添加濃度を決定する分離剤選定工程(C)と、
    該分離剤選定工程(C)で決定された条件で油水分離剤を含油エマルジョン排水に添加する添加工程(D)と、
    該添加工程(D)で油水分離剤が添加された含油エマルジョン排水を油分と排水に分離する第二油水分離工程(E)を有し、
    分離剤選定工程(C)では、下記(i)〜(iii)の手順により予め作成された選定基準(x)を用いることを特徴とするエマルジョン性含油排水の油水分離方法。
    (i)使用前の「乳化剤を含有する油脂組成物」を水と乳化させて含油エマルジョン水とし、その含油エマルジョン水に対して油水分離試験を行うことにより、油水分離に有効な油水分離剤がアニオン油水分離剤、カチオン油水分離剤のいずれであるのかを特定するとともに、ガスクロマトグラフィにより使用前の「乳化剤を含有する油脂組成物」を分析し、得られたクロマトグラフから最もピーク強度の高い成分を、油水分離剤を選定するための選定指標成分(α)とする。
    (ii)含油エマルジョン排水を一定期間サンプリングし、それぞれの含油エマルジョン排水に対して油水分離試験を行い、油水分離に有効な油水分離剤がアニオン油水分離剤、カチオン油水分離剤のいずれであるのかを特定するとともに、最適な油水分離剤の添加濃度を特定する。また、ガスクロマトグラフィによりそれぞれの含油エマルジョン排水を分析し、得られたクロマトグラフから含油エマルジョン排水中の選定指標成分(α)の含有量を特定する。
    (iii)上記(ii)の結果に基づき、選定指標成分(α)の含有量に応じて含油エマルジョン排水に添加すべき油水分離剤の種類と濃度を設定した選定基準(x)を作成する。
  2. 第一油水分離工程(A)では、静置分離により含油排水を含油エマルジョン排水と排水に分離することを特徴とする請求項1に記載のエマルジョン性含油排水の油水分離方法。
  3. 分析工程(B)では、ガスクロマトグラフィによる分析を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のエマルジョン性含油排水の油水分離方法。
  4. 添加工程(D)では、含油エマルジョン排水に油水分離剤を供給し、その供給中又は/及び供給後に含油エマルジョン排水をバブリング撹拌することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のエマルジョン性含油排水の油水分離方法。
  5. 第二油水分離工程(E)では、静置分離により含油エマルジョン排水を油分と排水に分離することを特徴とする請求項1〜のいずれかに記載のエマルジョン性含油排水の油水分離方法。
  6. 請求項1〜のいずれかの油水分離方法で得られた油分を燃料として回収することを特徴とする燃料の製造方法。
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