JP6801207B2 - 継目無鋼管の外削加工方法 - Google Patents

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Description

本発明は、継目無鋼管の外削加工方法に関する。
油井管として用いられる継目無鋼管の製造の際、継目無鋼管には外削加工が施される。外削加工は、ねじ切削加工を除く、継目無鋼管の外表面を切削加工し所望の表面性状及び寸法にする加工をいう。外削加工はたとえば、外径加工、テーパー加工及び端面加工を含む。継目無鋼管の外表面を削り取ることにより、継目無鋼管の表層に形成されたスケール層を除去する。これにより、継目無鋼管の表面性状が改善する。継目無鋼管の外表面をテーパー加工する。これにより、続くねじ切削加工後に形成される雄ねじと雌ねじとが連結しやすくなる。
外削加工は、高速回転旋盤装置を用いて行われる。外削加工は、被削材となる鋼管又は切削工具の一方を固定し、他方を高速回転することによって行う。具体的には、鋼管を管軸周りに高速回転させ、鋼管の表面に切削工具の刃先を押しつけて加工する。又は、鋼管本体を固定し、単体或いは複数個の切削工具の刃先を、鋼管表面に接触させた状態で、管軸周りに高速回転させて加工する。
継目無鋼管の硬度が高い場合、切削工具が摩耗しやすい。切削速度を速くすれば、切削工具はさらに摩耗しやすくなる。切削工具が摩耗すれば、所望の表面性状及び寸法が得られず、切削工具を交換する必要が生じる場合がある。したがって、切削速度は、適切な範囲に設定される必要がある。
一方で、近年、石油並びに天然ガス掘削環境の深化に伴い、油井管には強度と耐食性のさらなる強化が求められている。鋼がCr、Ni等の合金元素を含有すれば、鋼の強度が高まる。そのため、油井管として使用される継目無鋼管の材料として、高Cr含有鋼及びニッケル合金等が用いられる。高Cr含有鋼はたとえば、13Cr鋼及び17Cr鋼である。13Cr鋼はCrを11〜14質量%含有するマルテンサイト系ステンレス鋼である。17Cr鋼はCrを16〜18質量%含有する二相系ステンレス鋼である。17Cr鋼はたとえば、特開2012−149317号公報(特許文献1)、特開2005−336595号公報(特許文献2)、特開2010−209402号公報(特許文献3)及び国際公開第2010/050519号公報(特許文献4)に記載されている。
Cr等の合金元素を含有する鋼(いわゆる難削材)の場合、強度及び硬度が高まり、切削工具が摩耗しやすくなる。したがって、上述の問題が特に生じやすい。
切削速度を制御することにより、難削材に対して外削加工する場合であっても、切削工具の摩耗を抑制できる。一般的に、合金元素の含有量が高い程、鋼の硬度が高まる。したがって、Cr等の合金元素を含む継目無鋼管に対して外削加工する場合、Cr等の合金元素の含有量が多い程、切削速度を遅くする。これにより、切削工具の摩耗を抑制できる。
特開2005−281779号公報(特許文献5)、特開2001−293601号公報(特許文献6)及び特開2014−144533号公報(特許文献7)は、難削材に対しても工具寿命を向上可能な切削工具を提案する。これらの文献には、難削材に対して外削加工を行う際の切削条件の具体例が記載されている。
特許文献5には、質量%で、C:0.46%、Si:0.27%、Mn:0.99%、P:0.018%、S:0.068%、Al:0.021%及びN:0.008%を含有し、残部はFe及び不純物からなる試供材に対して、切削速度200m/分で外削加工することについて記載がある。特許文献6には、SCM435(クロムモリブデン鋼)に対して切削速度250m/分で外削加工することについて記載がある。特許文献7には、インコネル(商標)718に対して切削速度200m/分で外削加工することについて記載がある。
特開2012−149317号公報 特開2005−336595号公報 特開2010−209402号公報 国際公開第2010/050519号 特開2005−281779号公報 特開2001−293601号公報 特開2014−144533号公報 国際公開第2009/122619号
しかしながら、上述の特許文献に開示された方法及び切削条件を用いても、鋼種によっては外削加工時の切削工具の摩耗及び継目無鋼管の生産効率の低下が生じる場合がある。
本発明の目的は、外削加工時の切削工具の摩耗を抑制しつつ、生産効率を改善できる継目無鋼管の外削加工方法を提供することである。
本実施形態による継目無鋼管の外削加工方法は、基材を準備する工程と、外削加工する工程とを備える。基材を準備する工程では、質量%で、Cr:16.0〜18.0%を含有し、マルテンサイト相、フェライト相及び残留オーステナイト相を含む組織を有する基材を準備する。外削加工する工程では、切削工具を用いて基材を外削加工する。外削加工する工程において、切削工具と基材との接触面積(mm2)をSとした時に次の切削速度で外削加工する。0.01<S≦0.25mm2の場合、切削速度は80〜500m/分、0.25<S≦1.0mm2の場合、切削速度は80〜400m/分、1.0<S≦2.5mm2の場合、切削速度は80〜300m/分、及び、2.5<S≦4.0mm2の場合、切削速度は80〜200m/分。
本実施形態による継目無鋼管の外削加工方法は、外削加工時の切削工具の摩耗を抑制しつつ、生産効率を改善できる。
図1は、13Cr鋼における、切削速度と切削抵抗との関係を示す図である。 図2は、17Cr鋼における、切削速度と切削抵抗との関係を示す図である。 図3は、22Cr鋼における、切削速度と切削抵抗との関係を示す図である。 図4は、外削加工工程の一例を示す図である。 図5は、切削工具の角部の拡大図である。 図6は、13Cr鋼を外削加工した後の切削工具の顕微鏡写真である。 図7は、17Cr鋼を外削加工した後の切削工具の顕微鏡写真である。 図8は、22Cr鋼を外削加工した後の切削工具の顕微鏡写真である。
以下、図面を参照して、本実施形態を詳しく説明する。図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
本発明者らは、切削工具の摩耗を抑制できる、継目無鋼管の外削加工条件について種々検討を行った。その結果、本発明者らは以下の知見を得た。
一般的に、Cr等の合金元素を含有する継目無鋼管は、合金元素の含有量の増加に伴って硬度が高まる。したがって、Cr等の合金元素の含有量が高い場合は、外削加工における切削速度を遅くして、切削工具の摩耗を抑制する必要がある。
本発明者らは、鋼材のCr含有量と切削抵抗との関係を調べるため、切削抵抗測定試験を実施した。3種類の鋼材(13Cr鋼、17Cr鋼及び22Cr鋼)を準備した。各鋼材は、表1に示す化学組成を有した。各鋼材に対して、被削鋼材回転式の旋盤装置を用いて外削加工を実施した。切削工具は、WC及びCoからなる超硬合金の最表層に、Ti窒化物を含む硬質保護膜を備えた切削工具であった。接触面積及び切削速度を変化させて外削加工を実施し、切削抵抗を測定した。このとき、送り量は0.1mm/回転であった。結果を表2及び図1〜図3に示す。図1〜3中の「■」印は接触面積が4.0mm2の場合での結果を示し、「▲」印は接触面積が2.5mm2、「◆」印は接触面積が1.0mm2、「●」印は接触面積が0.25mm2の場合での結果を示す。
Cr含有量の異なる13Cr鋼と22Cr鋼とを比較して、22Cr鋼は切削抵抗が大きかった。具体的には、接触面積が1.0mm2以上の場合には、全ての切削速度において、22Cr鋼における切削抵抗が13Cr鋼における切削抵抗よりも大きかった。これは、22Cr鋼の方が、13Cr鋼よりもCr含有量が多く、硬度が高いためと考えられる。
一方で、13Cr鋼と17Cr鋼とを比較して、17Cr鋼は13Cr鋼と同等かそれ以下の切削抵抗を示した。具体的には、17Cr鋼における切削抵抗は、切削速度が300mm/分以上の場合に、全ての接触面積において、13Cr鋼における切削抵抗よりも小さかった。
切削時に切削工具の刃先に何らかの異常が発生しなければ、切削抵抗は、切削速度の上昇に伴って減少する。つまり、切削抵抗は切削速度の上昇に対して工具潤滑性を有する。しかしながら、切削速度を上げていくと切削工具の刃先が磨耗、塑性変形、欠損したり、被削鋼材からの凝着が起こるなどの異常が生じやすくなる。また、これらの現象に起因して、被削面性状が所望の形状や寸法に仕上がらないなどの異常が生じやすくなる。つまり、工具潤滑性を維持できなくなる。この場合、切削抵抗は増加に転じる。工具潤滑性を維持できなくなれば、工具の刃先寿命と判断された結果、工具の刃先を新品へ交換する必要が生じる。
17Cr鋼の場合、13Cr鋼や22Cr鋼の場合よりも工具潤滑性を維持し得る切削速度域が高い。つまり、17Cr鋼では、切削抵抗が上昇に転じる切削速度が高い。そのため、17Cr鋼では、13Cr鋼や22Cr鋼に較べて、切削工具の摩耗が抑制されつつ、より高速で切削することができる。
上述のとおり、17Cr鋼を用いた継目無鋼管を外削加工する場合、従来よりも速い切削速度で外削加工した場合であっても、切削抵抗が小さくなる。そのため、切削速度を速くした場合であっても切削工具の摩耗を抑制できる。切削速度を速くすれば、生産効率が改善される。
以上の知見に基づいて完成した、本実施形態による継目無鋼管の外削加工方法は、基材を準備する工程と、外削加工する工程とを備える。基材を準備する工程では、質量%で、Cr:16.0〜18.0%を含有し、マルテンサイト相、フェライト相及び残留オーステナイト相を含む組織を有する基材を準備する。外削加工する工程では、切削工具を用いて基材を外削加工する。外削加工する工程において、切削工具と基材との接触面積(mm2)をSとした時に次の切削速度で外削加工する。0.01<S≦0.25mm2の場合、切削速度は80〜500m/分、0.25<S≦1.0mm2の場合、切削速度は80〜400m/分、1.0<S≦2.5mm2の場合、切削速度は80〜300m/分、及び、2.5<S≦4.0mm2の場合、切削速度は80〜200m/分。
本実施形態による継目無鋼管の外削加工方法は、外削加工時の切削工具の摩耗を抑制しつつ、生産効率を改善できる。
以下、本実施形態の継目無鋼管の外削加工方法について詳述する。
[製造工程]
本実施形態による継目無鋼管の外削加工方法は、基材を準備する工程と、外削加工する工程とを備える。
[準備工程]
準備工程では、基材を準備する。基材は、17Cr鋼である。以下に、17Cr鋼の化学組成及び組織の一例を説明する。
[基材]
基材である17Cr鋼は、クロム(Cr)を16.0〜18.0%含有する。17Cr鋼の組織は、マルテンサイト相、フェライト相及び残留オーステナイト相を含む。化学組成について「%」とは、「質量%」を意味する。
[基材の化学組成]
Cr:16.0〜18.0%
クロム(Cr)は、基材の焼入れ性を高め、基材の強度を高める。Crはさらに、基材の耐食性、特に耐SSC性を高める。Cr含有量が低すぎれば、上記効果が得られない。一方、Cr含有量が高すぎれば、基材の熱間加工性が低下する。したがって、Cr含有量は16.0〜18.0%である。Cr含有量の好ましい下限は16.5%である。Cr含有量の好ましい上限は17.5%である。
17Cr鋼の化学組成は、Cr以外についてたとえば以下の元素を含有する。
C:0.03%以下
炭素(C)は、オーステナイト相を安定化させる。Cはさらに、固溶強化により基材の強度を高める。しかしながら、基材のC含有量が高すぎれば、炭化物が過剰に析出し、基材の耐食性が低下する。したがって、C含有量は0.03%以下であることが好ましい。脱炭コストを考慮すると好ましいC含有量の下限は0.004%である。より好ましいC含有量の上限は0.01%である。
Si:0.50%以下
シリコン(Si)は、基材を脱酸する。Siはさらに、基材の強度を高める。一方、Si含有量が高すぎれば、基材のSCC(=Stress Corrosion Cracking:応力腐食割れ)耐性及び熱間加工性が低下する。したがって、Si含有量は、0.50%以下であることが好ましい。好ましいSi含有量の下限は、0.15%である。より好ましいSi含有量の上限は、0.35%である。
Mn:0.50%以下
マンガン(Mn)は基材を脱酸する。Mnはさらに、基材の強度を高める。しかしながら、Mn含有量が高すぎれば、Mnは、燐(P)及び硫黄(S)等の不純物元素とともに、粒界に偏析する。この場合、基材の耐SSC性及び靱性が低下する。したがって、Mn含有量は、0.50%以下であることが好ましい。より好ましいMn含有量の上限は、0.50%である。好ましいMn含有量の下限は、0.10%である。
Cu:2.0〜3.0%
銅(Cu)は、基材の強度を高める。Cuはさらに、基材の耐SSC性を高める。Cu含有量が低ければ、これらの効果が得られない。一方、Cu含有量が高すぎれば、基材の熱間加工性が低下する。したがって、Cu含有量は2.0〜3.0%であることが好ましい。より好ましいCu含有量の下限は、2.4%である。より好ましいCu含有量の上限は、2.6%である。
Ni:4.0〜5.5%
ニッケル(Ni)は、基材の耐食性を高める。一方、Ni含有量が高すぎれば、生産コストが高くなる。したがって、Ni含有量は4.0〜5.5%であることが好ましい。
より好ましいNi含有量の下限は、4.5%である。より好ましいNi含有量の上限は、5.0%である。
Mo:2.0〜3.0%
モリブデン(Mo)は、基材の強度及び耐食性を高める。Mo含有量が低すぎれば、これらの効果が得られない。一方、Mo含有量が高すぎれば、基材の熱間加工性が低下する。Mo含有量が高すぎればさらに、不要なコスト上昇を招く。したがって、Mo含有量は2.0〜3.0%であることが好ましい。より好ましいMo含有量の下限は、2.3%である。より好ましいMo含有量の上限は、2.7%である。
17Cr鋼の化学組成の一例において、残部はFe及び不純物である。ここでいう不純物は、鋼の原料として利用される鉱石やスクラップ、又は、製造過程の環境等から混入する元素をいう。17Cr鋼は、Feの一部に代えて、以下の選択元素を含有してもよい。
V:0〜0.1%
バナジウム(V)は、選択元素である。Vは炭素及び窒素と結合して炭化物、窒化物又は炭窒化物を形成する。これらの炭化物、窒化物及び炭窒化物は、基材を析出強化する。Vはさらに、基材の耐SSC性を高める。しかしながら、V含有量が高すぎれば、基材の靱性が低下する。したがって、V含有量は0〜0.1%であることが好ましい。含有する場合の好ましいV含有量の下限は、0.05%である。含有する場合の好ましいV含有量の上限は0.07%である。
W:0〜2.0%
タングステン(W)は選択元素である。Wは、高温環境における耐SCC性を高める。Wが少しでも含有されれば、上記効果がある程度得られる。一方、Wの含有量が2.0%を超えるとフェライト分率が過剰になりやすく、高い強度が得られないおそれがある。したがって、W含有量は0〜2.0%であることが好ましい。含有する場合の好ましいW含有量の下限は、0.05%である。より好ましいW含有量の上限は、1.0%である。
[基材の組織]
基材である17Cr鋼の組織は、上述の通り、マルテンサイト相、フェライト相及び残留オーステナイト相を含有する。好ましくは、体積分率で、フェライト相が30〜40%、残留オーステナイト相が4%以下(0%を含まない)であり、残部がマルテンサイト相からなる組織を有する。この場合、基材の降伏強度が高まる。
[基材の製造方法]
上述の化学組成を有する基材を周知の方法で製造する。基材は、継目無鋼管である。基材の製造方法は特に限定されない。たとえば、上述の化学組成を有する溶湯を製造する。続いて、連続鋳造により鋳片(ブルーム)を製造し、得られた鋳片を分塊圧延してビレットにする。ビレットに対して、マンネスマン−マンドレルミル法を用いて穿孔圧延及び延伸圧延する。溶湯を製造した後、造塊法によりインゴットを製造してもよい。マンネスマン−マンドレルミル法に代えて、熱間押出し法により基材を製造してもよい。
得られた基材に対して、周知の熱処理を実施する。熱処理はたとえば、焼入れ及び焼戻しを含む。焼入れは、たとえば、850℃〜1050℃に加熱した後、水冷する。焼入れ後の焼戻し温度はたとえば、510℃〜650℃である。以上の工程により、基材を製造できる。
[外削加工工程]
外削加工工程では、上述の製造方法により得られた基材に対して、切削工具を用いて外削加工を実施する。外削加工は、コンピュータで切削速度、切込量及び送り量等が制御できるCNC旋盤装置を用いて行うことができる。図4は、外削加工工程の一例を示す図である。図4を参照して、基材1は、基材1の軸周り方向Xに回転する。切削工具2は固定され、基材1の表面に押し当てられる。基材1を回転させながら、切削工具2を基材1の軸方向Yに進めることによって外削加工を行う。外削加工は、基材1を固定し、切削工具2を回転させることによっても実施できる。外削加工工程は、1回の切削パスで完了してもよいし、複数の切削パスを含んでもよい。
[切削工具2]
切削工具2は、切削加工用の矩形状の工具刃先バイトである。切削工具2は、周知の超硬合金を含む。超硬合金は、タングステンカーバイド(WC)を主成分とし、焼結助剤としてコバルト(Co)を含有する。超硬合金はWC、Coの他に、チタンカーバイド(TiC)及びタンタルカーバイド(TaC)等を含有してもよい。切削工具2の最表層には、硬質保護膜が形成される。硬質保護膜は、チタン(Ti)の窒化物を含む。硬質保護膜の厚さは、最大5μmである。切削工具2の形状は、特に限定されない。切削工具2の形状はたとえば、図4に示す直方体であってもよい。切削工具2のすくい面の形状は図4に示す矩形状の他に、矩形状以外の他の多角形であってもよいし、円形であってもよい。
[接触面積]
切削工具2と基材1との接触面積をS(mm2)とする。接触面積Sは切削工具2のすくい面の形状及び切込量(すくい面が基材1に食い込む深さ)から求めた、切削工具2と基材1とが接するすくい面における面積である。図5は、切削工具2の角部3の拡大図である。図5を参照して、切削工具2が直方体の場合、接触面積Sは、切込量aと、切込量aを高さとした場合の二等辺三角形4の面積と定義する。
[切削速度]
切削速度は、接触面積Sに応じて適切な値に設定される。接触面積Sが0.01<S≦0.25mm2の場合、切削速度は80〜500m/分である。接触面積Sが0.25<S≦1.0mm2の場合、切削速度は80〜400m/分である。接触面積Sが1.0<S≦2.5mm2の場合、切削速度は80〜300m/分である。接触面積Sが2.5<S≦4.0mm2の場合、切削速度は80〜200m/分である。基材1は、17Cr鋼であるため、切削速度を速くしても切削抵抗が小さく、切削工具2の摩耗が少ない。そのため、切削速度を速くすることで、切削工具2の摩耗を抑制しつつ、生産効率を改善できる。
切削速度が80m/分未満の場合、生産効率を改善できない。切削速度が80m/分未満の場合さらに、基材1及び切削工具2の接触面における潤滑性が低下し、基材1の表面が粗くなる場合がある。反対に、切削速度が上述の範囲よりも速い場合は切削工具2が著しく摩耗する。具体的には、接触面積Sが0.01<S≦0.25mm2の場合に切削速度が500m/分よりも速い場合、接触面積Sが0.25<S≦1.0mm2の場合に切削速度が400m/分よりも速い場合、接触面積Sが1.0<S≦2.5mm2の場合に切削速度が300m/分よりも速い場合、及び、接触面積Sが2.5<S≦4.0mm2の場合に切削速度が200m/分よりも速い場合である。この場合、切削工具2が著しく摩耗する。そのため、切削工具2の寿命が短くなる。
切削速度を速くすることで、生産効率を高めることができる。したがって、好ましくは、接触面積Sが0.01<S≦0.25mm2の場合、切削速度は400m/分以上である。好ましくは、接触面積Sが0.25<S≦1.0mm2の場合、切削速度は300m/分以上である。好ましくは、接触面積Sが1.0<S≦2.5mm2の場合、切削速度は200m/分以上である。好ましくは、接触面積Sが2.5<S≦4.0mm2の場合、切削速度は160m/分以上である。
[その他の外削加工条件]
外削加工は、複数回の切削パスによって行われる場合がある。切削パス数、それぞれの切削パスにおける切込量及び回転数の設定はコンピュータプログラムへの入力で行われる。コンピュータ制御器には、たとえば、ファナック社製制御器(型番;FANUC Series Oi−TC)などが使用される。切込量及び回転数は、実施する外削加工の種類及び目的等に応じて適宜設定される。
回転数とは、基材1または切削工具2の回転速度(rpm)のことをいう。回転数は、切削速度と基材1の外径から求まる。換言すれば、切削速度は、回転数と基材1の外径とから算出できる。
基材1の1回転あたりに切削工具2が進む距離を送り量という。送り量は外削加工の目的に応じて適宜設定される。油井管の外削加工の場合、送り量はたとえば、0.05〜0.50mm/回転である。送り量の好ましい下限は0.10mm/回転であり、好ましい上限は0.30mm/回転である。
[準備工程]
2種類の基材(13Cr鋼及び17Cr鋼)を準備した。初めに、表1に示す化学組成を有する溶銑を製造した。溶銑から、連続鋳造によりブルームを製造し、得られたブルームを分塊圧延してビレットを製造した。ビレットに対して、マンネスマン−マンドレルミル法を用いて穿孔圧延及び延伸圧延を実施した。得られた基材に対して焼入れ及び焼戻しを実施し、継目無鋼管を得た。継目無鋼管は、外径100mm、肉厚15mm、長さ300mmの鋼管であった。
[ビッカース硬さ測定試験]
各継目無鋼管のビッカース硬さをJIS Z2244(2009)に基づいて実施した。試験荷重は2.94N(0.3kgf)とした。13Cr鋼のビッカース硬さは239
Hv0.3以上であった。17Cr鋼のビッカース硬さは345Hv0.3以上であった。
[外削加工工程]
製造した鋼管に対して、被削鋼材回転式の旋盤装置を用いて外削加工を施した。被削鋼材回転式の旋盤装置は、CNC旋盤装置を使用した。具体的には、基材を旋盤装置に圧着し、切削工具を切削ホルダーと呼ばれる治具に装着した。切削工具は、WC及びCoからなる超硬合金の最表層に、Ti窒化物を含む硬質保護層を備えた。
[工具摩耗状態観察試験]
接触面積及び切削速度を変化させて外削加工を実施し、外削加工後の切削工具の摩耗状態を観察した。切削工具の送り量は0.1mm/回転であった。切削工具と基材との接触域に水溶性切削油の希釈液を常圧にて噴射した。外削加工後の切削工具表面を、光学顕微鏡を用いて観察した。表3中、「○」は切削工具表面の硬質保護膜に剥離やクラックが発生しなかったことを意味する。「△」は硬質保護膜の剥離までは至っていないが、一部にクラックの発生が認められたことを意味する。「×」は硬質保護膜の一部が剥離し下地が見えたことを意味する。
[評価結果]
17Cr鋼を用いて、接触面積Sに応じて適切に切削速度を設定した場合、切削工具の摩耗が抑制された。具体的には、接触面積Sが0.01<S≦0.25mm2の場合、切削速度は80〜500m/分において切削工具の摩耗が抑制された。同様に、接触面積Sが0.25<S≦1.0mm2では切削速度が80〜400m/分において摩耗が抑制され、接触面積Sが1.0<S≦2.5mm2では切削速度が80〜300m/分において摩耗が抑制され、接触面積Sが2.5<S≦4.0mm2では切削速度が80〜200m/分において摩耗が抑制された。17Cr鋼は、13Cr鋼よりもビッカース硬さが高かった。それにも関わらず、17Cr鋼を用いた場合には切削工具の摩耗が抑制された。
一方、17Cr鋼を用いた場合でも切削速度が適切でなければ、切削工具の摩耗が抑制されなかった。具体的には接触面積Sが0.25<S≦1.0mm2の場合に切削速度を400m/分より速くした場合、接触面積Sが1.0<S≦2.5mm2の場合に切削速度を300m/分より速くした場合、接触面積Sが2.5<S≦4.0mm2の場合に切削速度を200m/分より速くした場合、切削工具の摩耗が抑制できなかった。
図6〜図8は、13Cr鋼、17Cr鋼及び22Cr鋼を、外削加工した後の切削工具表面の顕微鏡写真である。外削加工の条件はいずれも、接触面積4.0mm2、切削速度500m/分であった。切削工具先端部において、切削工具の表面が変色している部分が、硬質保護膜が剥離した部分である。図6(13Cr鋼)及び図8(22Cr鋼)を比較して、22Cr鋼を外削加工した後の切削工具の方が、硬質保護膜の剥離面積が大きかった。すなわち、切削工具の摩耗量が多かった。しかしながら、図6(13Cr鋼)及び図7(17Cr鋼)を比較して、17Cr鋼を外削加工した後の切削工具は、13Cr鋼の場合よりも硬質保護膜の剥離面積が小さかった。
以上、本発明の実施の形態を説明した。しかしながら、上述した実施の形態は本発明を実施するための例示に過ぎない。したがって、本発明は上述した実施の形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で上述した実施の形態を適宜変更して実施することができる。
1 基材
2 切削工具

Claims (1)

  1. 継目無鋼管の外削加工方法であって、
    質量%で、Cr:16.0〜18.0%、Ni:4.0〜5.5%を含有し、マルテンサイト相、フェライト相及び残留オーステナイト相を含む組織を有する基材を準備する工程と、
    ねじ切削加工を除く、切削工具を用いて前記基材の外表面を切削加工し所望の表面性状及び寸法にする加工である外削加工する工程とを備え、
    前記外削加工する工程において、前記切削工具と前記基材との接触面積(mm)をSとした時に次の切削速度で外削加工する、継目無鋼管の外削加工方法。
    0.01<S≦0.25mmの場合、切削速度は80〜500m/分、
    0.25<S≦1.0mmの場合、切削速度は80〜400m/分、
    1.0<S≦2.5mmの場合、切削速度は80〜300m/分、及び、
    2.5<S≦4.0mmの場合、切削速度は80〜200m/分。
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