JP6800398B1 - 義歯とその取付けアタッチメント - Google Patents

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Abstract

【課題】義歯装着者に優れた装着感と食事中の快適な咬み心地を与える義歯とその取付けアタッチメントを提供する。【解決手段】義歯装着者が義歯を強く咬合した際においても、義歯係合用突出部210の上端部と支台歯係合用凹み部130の底部との間に一定の空間S10を残存させた状態を保ちながら、義歯床120の少なくとも一部が歯肉800に押し付けられて歯肉を圧縮させることで、歯肉が義歯床の底面の少なくとも一部領域を押し潰すことで生じる歯肉からの圧縮反発力によって咬合力を吸収しながら咬合を可能とする。【選択図】図1

Description

本発明は、義歯とその取付けアタッチメントに関するものである。
近来の高齢化社会に伴い、年齢を重ねるにつれて全ての歯を健全な状態に維持することは難しく、特に高齢になるに従ってかかり易くなる歯周病になってそれが悪化すると、歯根膜が退縮して歯の動揺が生じ始め、これがひどくなると最終的に抜歯の処置をとらざるを得なくなる。
そのためこのような抜歯した歯の本数が増えてしまうと、当然のことながら残りの残根歯の本数が少なくなってくる。そのため、歯を抜歯した後の部分に入れ歯を嵌め込むことが行われるが、この入れ歯を支持する支台歯の部分にクラスプ(鉤)を用いて入れ歯を装着しなければならず、口を開けたときに金属のクラスプの部分が外から目立って見えてしまい、審美的に好ましくない。
一方、抜歯した状態を放置しておくと、食べ物を十分に咀嚼することができず、そのまま飲み込んで消化器官に負担を与えて健康を害してしまう。そのため、近年歯が抜けた部分をインプラントにより人工歯を取り付ける処置が広く行われている(例えば、特許文献1参照)。
特許6383957号公報
インプラントの処置を行う場合は、当然のことながら抜歯した箇所ごとに1本ずつインプラントを植立させなければいけない。そして、インプラントは、一本当たりのコストが非常にかかるため、抜け落ちた歯の本数が多くなった場合、それらの欠損部分の全てにインプラントを用いようとすると、トータルのコストがかなり嵩んでしまう。又、年齢と共に顎骨が委縮していくので(やせていくので)、インプラントを打ち込むのに適当な部位も年齢が高くなるにつれて限定される傾向にある。
本発明の目的は、支台歯への着脱が行い易く、かつ義歯装着者に優れた装着感と食事中の快適な咬み心地を与えることが可能な義歯とその取付けアタッチメントを提供することにある。
上述の課題を解決するために、本発明の請求項1に係る義歯とその取付けアタッチメントは、
少なくとも2本の人工歯が隣接して並べられかつ前記複数の人工歯を上部に固定した細長の義歯床を備えた義歯と、前記義歯を支台歯に装着するためのアタッチメントを備えた義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
前記義歯は、前記義歯床の歯肉と接する底面側の長手方向所定位置に前記支台歯を挿入保持するための有底の支台歯係合用凹み部が備わっており、かつ前記支台歯係合用凹み部の両側部には前記義歯の少なくとも義歯床の部分にそれぞれ磁石が埋め込まれ、
前記アタッチメントは、前記支台歯を形成するためにインプラントに取り付けられかつ磁性材でできた義歯係合用突出部と、当該義歯係合用突出部を前記インプラントに固定する固定部材からなり、
前記インプラントに前記固定部材を用いて前記義歯係合用突出部を取り付けることで前記支台歯を形成するようになっており、
義歯装着者が前記義歯を装着した際に、前記義歯の支台歯係合用凹み部と前記義歯係合用突出部との嵌合によって前記義歯を前記支台歯に固定する代わりに、当該義歯係合用突出部を挟んでこれに両側から作用する2つの磁石の磁気引っ張り力と、前記義歯の義歯床が歯肉に密着する密着力によって前記義歯の前記支台歯に対する取付け状態を維持すると共に、
前記義歯装着者が前記義歯を咬合した際に、これによって発生する咬合力を前記義歯の義歯床が前記歯肉を押し潰すことで生じる当該歯肉からの圧縮反発力によって受け持ち、かつ
前記咬合力の加わり具合に応じて、前記義歯係合用突出部が前記支台歯係合用凹み部の内周面に沿って摺動可能に当接することで、前記支台歯に対する前記義歯の姿勢を所定の範囲内で変化可能とすることを特徴としている。
また、本発明の請求項2に係る義歯とその取付けアタッチメントは、請求項1に記載の義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
前記義歯には、前記義歯床の前記歯肉と接する底面側の長手方向所定位置に前記支台歯係合用凹み部が1箇所備わっており、前記義歯を前記支台歯に取り付けた状態で咬合した際に、前記義歯の咬合力の加わり具合に応じて当該義歯が当該支台歯を支点として揺動可能となったことを特徴としている。
また、本発明の請求項に係る義歯とその取付けアタッチメントは、請求項1又は請求項2に記載の義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
前記支台歯係合用凹み部が前記義歯の義歯床の歯肉と接する底面側の長手方向略中央部に備わっていることを特徴としている。
また、本発明の請求項4に係る義歯とその取付けアタッチメントは、請求項1乃至請求項3の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
義歯装着者が前記義歯を強く咬合した際においても、前記義歯係合用突出部の上端部と前記支台歯係合用凹み部の底部との間に一定の空間を残存させる構造を有したことを特徴としている。
また、本発明の請求項5に係る義歯とその取付けアタッチメントは、請求項1乃至請求項4の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
前記義歯係合用突出部の周面の所定領域は、前記義歯を前記支台歯に取り付けた状態で咬合した際に、前記義歯が前記支台歯を支点として咬合に伴う義歯の動きの範囲で抵抗を受けずに揺動できる曲面として形成されていることを特徴としている。
また、本発明の請求項に係る義歯とその取付けアタッチメントは、請求項1乃至請求項の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
前記義歯係合用突出部の周面の所定領域及び前記義歯の凹み部の内周面の所定領域の双方に曲面を形成することで、前記義歯を前記支台歯に取り付けた状態で咬合した際に、前記義歯係合用突出部の周面の所定領域及び前記義歯の凹み部の内周面同士が互いに摺動しながら、前記義歯が前記支台歯を支点として咬合に伴う義歯の動きの範囲で揺動できるようにしたことを特徴としている。
また、本発明の請求項に係る義歯とその取付けアタッチメントは、請求項に記載の義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
前記支台歯係合用凹み部の内面の所定位置に凹み部側湾曲部が形成され、前記義歯を前記支台歯に取り付けた状態で、咬合した際に生じる前記義歯の傾斜度合いや沈み込み度合いに応じて変化していく前記義歯係合用突出部の周面の所定領域に形成された突出部側湾曲部と前記凹み部側湾曲部の互いに接触する部分同士の曲率が一致するように、それぞれの湾曲部が形成されていることを特徴としている。
また、本発明の請求項に係る義歯とその取付けアタッチメントは、請求項1乃至請求項の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
咬合時に前記義歯に対して咬合力が3次元方向に作用した場合であっても、前記義歯が前記支台歯に取り付けられた状態を維持できることを特徴としている。
また、本発明の請求項に係る義歯とその取付けアタッチメントは、請求項1乃至請求項8の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
前記2つの磁石のうち、一方の磁石の代わりにラッチ係合機構が備わり、当該ラッチ係合機構は、前記義歯係合用突出部の周面の一部に形成されたラッチ係合用凹み部ラッチ可能となっており、
前記ラッチ係合機構は、前記義歯を前記支台歯に装着した際に、前記突出部収容用凹み部の内周面に、前記ラッチ係合用凹み部に弾性力によってラッチ係合すると共に、前記義歯を前記支台歯から義歯装着者が指の力で引っ張ることによってラッチ係合が解除されて前記義歯を前記支台歯から取り外すことを可能にするラッチ係合部を有することを特徴としている。
また、本発明の請求項10に係る義歯は、請求項1乃至請求項の何れかに記載の義歯係合用突出部をインプラントに取り付けた支台歯に取り外し可能に装着する請求項1乃至請求項の何れかに記載の義歯である。
また、本発明の請求項11に係る義歯係合用突出部は、請求項1乃至請求項の何れかの義歯を取り外し可能に装着することができる請求項1乃至請求項の何れかに記載の支台歯を形成するためにインプラントに被せる義歯係合用突出部である。
本発明によると、義歯の着脱が行い易く、かつ義歯装着者に優れた装着感と食事中の快適な咬み心地を与えることが可能な義歯とその取付けアタッチメントを提供することができる。
本発明の第1の実施形態に係る義歯とその取付けアタッチメントの構造を義歯の長手方向に沿って一部断面で示す側面図である。 図1に示した第1の実施形態に係る義歯とその取付けアタッチメントの構造を義歯の長手方向に沿って一部断面で示す平面図である。 図1及び図2に示した義歯とその取付けアタッチメントの作用を説明する第1の説明図である。 図1及び図2に示した義歯とその取付けアタッチメントの作用を説明する第2の説明図である。 図1及び図2に示した義歯とその取付けアタッチメントの作用を説明する第3の説明図である。 第1の実施形態に係る義歯とその取付けアタッチメントにおいて、義歯係合用突出部の外周面と支台歯係合用凹み部の内周面との接触面において、咬合力の作用の仕方に伴う様々な接触状態を示した説明図である。 本発明の第2の実施形態に係る義歯とその取付けアタッチメントの構造を義歯の長手方向に沿って一部断面で示す側面図である。 図7に示した義歯とその取付けアタッチメントの作用を説明する第1の説明図である。 図7に示した義歯とその取付けアタッチメントの作用を説明する第2の説明図である。 図7に示した義歯とその取付けアタッチメントの作用を説明する第3の説明図である。 第2の実施形態に係る義歯とその取付けアタッチメントにおいて、義歯係合用突出部の外周面と支台歯係合用凹み部の内周面との接触面において、咬合力の作用の仕方に伴う様々な接触状態を示した説明図である。 第1の実施形態の第1変形例(図12(a))及び第2の実施形態の第1変形例(図12(b))を含む部分をそれぞれ示す説明図である。 第1の実施形態の第2変形例(図13(a))及び第2の実施形態の第2変形例(図13(b))を含む部分をそれぞれ示す説明図である。 第1の実施形態の第3変形例(図14(a))及び第2の実施形態の第3変形例(図14(b))を含む部分をそれぞれ示す説明図である。
以下、本発明に係る義歯とその取付けアタッチメントの各実施形態及びその変形例について図面に基づいて説明する。なお、以下の説明においては、本発明に係る義歯とその取付けアタッチメントを顎骨の下顎側に植立させたインプラントに取り付ける形態に基づいて図面を作成し、これに従って説明を行う。
そのため、図面や文章中の上方向や下方向、左右方向についてはこのような形態で実施を装着した態様に基づいて定義付ける。
また、以下の文章中の説明や図面の描き方に関しては、あくまで本発明の属する範囲の一例を示したものに過ぎず、本発明の作用を発揮し得る範囲内であれば様々な形状や寸法、大きさ、材質を適宜変更可能である。
また、図面の各構成要素間の配置関係や寸法関係、隙間の有無等については、発明の理解の容易化を図るために多少誇張したり実際とは異なる寸法関係で描いたりしているので、本発明に係る義歯とその取付けアタッチメントを実際の歯科医療に適用する場合は、義歯装着者ごとの装着位置や装着部位、人工歯の本数によって好ましい形態に変えながら本発明を様々な実際の歯科医療に合わせて変更していくことが当然であり、このような様々なバリエーションも本発明の範囲に含まれることを予め述べておく。また、図面において断面ハッチングについては説明の理解の容易化を図るために適宜省略して示している。
図1は、本発明の第1の実施形態に係る義歯とその取付けアタッチメントの構造を義歯の長手方向に沿って一部断面で示す側面図である。また、図2は、図1に示した第1の実施形態に係る義歯とその取付けアタッチメントの構造を義歯の長手方向に沿って一部断面で示す平面図である。なお、図1においてのみ、本実施形態に係る義歯の左側に並ぶ天然歯を小臼歯11と犬歯13の順番で示している。一方、図2以降の第1の実施形態に係る図面においては、説明の都合上これらの天然歯の図示を省略している。
本発明に係る義歯とその取付けアタッチメントは、少なくとも2本の人工歯が隣接して並べられかつ複数の人工歯を上部に固定した細長の義歯床120を備えた義歯100と、義歯100を支台歯に装着するためのアタッチメント200を備えた義歯とその取付けアタッチメントである。
第1の実施形態においては、1本の小臼歯111(110)と2本の大臼歯112,113(110)が人工歯として義歯床120に備わっている。なお、本発明において義歯床120に備わる小臼歯111や大臼歯112,113の種別や本数、配置形態については、本発明の作用を発揮し得る範囲内で様々な組み合わせが可能であり、義歯100を装着する部位やインプラント50の周囲の欠損歯の状況に応じて適宜選択可能である。
そして、義歯100は、義歯床120の歯肉800と接する底面側の長手方向所定位置に支台歯を挿入保持するための有底の支台歯係合用凹み部130が備わっており、かつ、支台歯係合用凹み部130の両側部には義歯100の義歯床120の部分にそれぞれ磁石151,152(150)が埋め込まれている。
アタッチメント200は、支台歯を形成するためにインプラント50に取り付けられかつ磁性材でできた義歯係合用突出部210と、義歯係合用突出部210をインプラント50に固定する固定部材220からなる。
具体的には、義歯100には、非磁性材からなる磁石ホルダー160が義歯100の義歯床120の内部に備わっており、この磁石ホルダー160の底部、即ち歯肉800と接する底面121の略中央部分において上方に向かって支台歯係合用凹み部130が備わっている。そして、支台歯係合用凹み部130の底面131は、図面に示すように支台歯係合用凹み部130の上側に形成されている。
本実施形態の場合、支台歯係合用凹み部130の内周面は、これによって形成される空間が円筒体形状を有している。しかしながら、本発明の作用を発揮するにあたって、円筒体形状には限定されず、例えば細長い四角柱や端面視で多角形の柱状の空間となるように、その内周面が形成されていても良い。
磁石150は、本実施形態においては、同等の磁力を有する第1の磁石151と第2の磁石152からなり、図面で示すように、磁石ホルダー160の内部において支台歯係合用凹み部130を挟むように義歯床延在方向左側に第1の磁石151、義歯床延在方向右側に第2の磁石152が配置されている。
第1の磁石151と第2の磁石152とが共に磁石ホルダー内に完全に収容されていることで、磁石が義歯装着者の口の中に露出することがなく、磁石の材質によって味覚に違和感を憶えたり、磁石の破片が口の中に入ったりするのを防いでいる。
本実施形態においては、それぞれの磁石151、152が棒状の磁石からなり、その長手方向が義歯床120の延在方向に合わせて配置されている。そして、第1の磁石151の支台歯係合用凹み部130に近い側の磁極と第2の磁石152の支台歯係合用凹み部130に近い側の磁極は互いに異なった磁極となっている。
即ち、第1の磁石151の支台歯係合用凹み部130に近い側の磁極がN極の場合、第2の磁石152の支台歯係合用凹み部130に近い側の磁極はS極となる。また、第1の磁石151の支台歯係合用凹み部130に近い側の磁極がS極の場合、第2の磁石152の支台歯係合用凹み部130に近い側の磁極はN極となる。
これによって、磁性体からなる義歯係合用突出部210の各磁石151、152に対向する部分にそれぞれの磁石151、152から磁気引っ張り力を作用させるようになっている。その結果、義歯100を支台歯に装着すると、義歯100の義歯床120に沿って各磁石151、152から義歯係合用突出部210に磁気引っ張り力が常に作用して、義歯100を支台歯にしっかりと固定しておくことができる。
なお、本発明においては、第1の磁石151と第2の磁石152がそれぞれ義歯床120の内部の磁石ホルダー内に義歯床120が延在する方向に合わせて配置されている特有の構成を有しているので、義歯100の大きさ、即ち義歯本体110の本数、即ち義歯床120の上部に備わる大臼歯112,113の本数や小臼歯111の本数、これらの配置状況、支台歯係合用凹み部130を挟んだ左右方向のサイズの違いの様々な要因に基づいてそれぞれの磁石151、152の大きさを変えることが可能となっている。即ち、義歯装着者が装着する義歯100の形態は装着者ごとに全く異なってくるが、どのような義歯100を装着する場合であってもその義歯100の支台歯にしっかりと保持させておくことができるのに必要かつ十分な磁気引っ張り力を発生させる磁石の大きさ(長さや太さ)を適宜選択できることが本発明の最大のメリットとなっている。
このように、本発明において、第1の磁石151と第2の磁石152は、必ずしも同一のサイズである必要はなく、上述した義歯自体の構成の多様性に応じて異なる大きさ(異なる長さや異なる太さ)の磁石をそれぞれ適宜選択して配置することが可能となっている点は、従来の磁石を装着した義歯100には見られない本発明特有の構成となっている。
なお、第1の実施形態においては、磁石ホルダー160は義歯床120の内部に備わっているが、この上部の一部が義歯本体110の内部に備わっていても良い。
義歯係合用突出部210は、細長のいわゆる蕾型形状を有し、その大きさは、図面に示すように、唾液層810を介して義歯100の義歯床120の底面121を歯肉800に密着させた際に、義歯100の支台歯係合用凹み部内にある程度の余裕を持って収容される大きさとなっている。
また、義歯係合用突出部210の先端は、義歯100を装着して支台歯係合用凹み部内に収容された際に、その先端、即ち図面中上端部が、支台歯係合用凹み部130の底面131、即ち図面中に示す支台歯係合用凹み部130の底面131に対して一定の空間S10を有するようになっている。更には、義歯100を装着して咬合した際に咬合力によって義歯床120が歯肉800に押し付けられると共に、義歯床120に接している歯肉800の部分がある程度押し潰されて義歯全体が歯肉800と共に沈下しても、義歯係合用突出部210の先端と支台歯係合用凹み部130の底面131との間に一定の空間S20が残存するような大きさになっている(図3参照)。即ち、かなり大きな力で咬合しても義歯係合用突出部210の先端が支台歯係合用凹み部130の底面131に突き当たることがないように寸法決めされている。これによって、咬合の際に磁性材でできた義歯係合用突出部210の先端が支台歯係合用凹み部130の底面131に突き当たって破損するのを回避している。
義歯係合用突出部210は、上述したように蕾型形状を有しており、その先端(図中上端)に向かうに従って外径が徐々に小さくなるように形成されている。なお、この外径の変化度合いについては、後に詳細に説明する。
義歯係合用突出部210の中心軸線方向には、本実施形態の場合、細長いボルト形状を有する固定部材220の一部を貫通させるための取り付け穴211が形成されている。取り付け穴211の上端開口部、即ち義歯係合用突出部210の上端部に形成された開口部は、それより下方の取り付け穴211の内径よりも若干広がった凹み部として形成されている。これは、ボルト形状を有する固定部材220の頭部221を収容するための凹みとしての役目を果たす。
固定部材220は、図面と上述の説明からも分かるように、細長いボルトからなり、その全体の長さで見て頭部221と反対側の先端部から一定の長さだけ雄ネジ部が形成されている。雄ネジ部は、インプラント50の雌ネジ部に螺合されるようになっており、雄ネジ部が形成されていない部分については、義歯係合用突出部210の取り付け穴211に挿通され、頭部221は、義歯係合用突出部210の上端部に形成された凹み部に嵌り込むようになっている。
義歯係合用突出部210と固定部材220が上述のような構成を有することで、顎骨900のインプラント50を植立した部分に固定部材220によって義歯係合用突出部210をしっかりと固定することを可能としている。そして、固定部材220によって義歯係合用突出部210をインプラント50に取り付けることで、この部分が支台歯としての役目を果たすようになっている。
なお、以下の説明では、本発明の理解の容易化を図るために、固定部材220によって義歯係合用突出部210をインプラント50に取り付けた状態を「支台歯」として適宜記載する。
義歯係合用突出部210の外周面は、義歯100を支台歯に装着して咬合した際に、義歯100が支台歯を支点として咬合に伴う義歯100の動きの範囲で抵抗を受けることなく互いの接触面同士が摺動しながら揺動できる曲面として形成されている。
図3は、図1に示した義歯とその取付けアタッチメントの作用を説明する第1の説明図である。また、図4は、図1に示した義歯とその取付けアタッチメントの作用を説明する第2の説明図である。また、図5は、図1に示した義歯とその取付けアタッチメントの作用を説明する第3の説明図である。
なお、図3乃至図5において1本の小臼歯111と2本の大臼歯112,113からなる合計3本の義歯本体(人工歯)にそれぞれ上から下に向けて示す矢印Fは、咬合の際の各義歯本体に作用する咬合力を発明の理解の容易化のために簡略化して示したものである。そして、この矢印Fの長さが、それぞれの義歯本体に作用する咬合力の大きさを示している。
図3によると、各矢印Fが均等の長さとなっており、各人工歯に均等に咬合力が作用していることを示している。この場合、図1と比較して理解できるように、咬合力によって義歯100の義歯床全体が歯肉800に均等に押し付けられて、歯肉800を均一に押し潰して義歯床120と歯肉800との間に介在する唾液層810を押し出して義歯全体が歯肉800に対して均一に沈下していることが分かる。即ち、この状態においては、義歯100の義歯床全体が歯肉800を押し潰すことで、押し潰されて歯肉全体から受ける反力が咬合力と釣り合っていることになる。
この場合、図3から明らかなように、第1の磁石151と第2の磁石152がそれぞれの磁気引っ張り力を磁性材からなる義歯係合用突出部210に図中横方向に向かって、即ち図2に示す咬合力を作用する方向と直交する方向であって、義歯床120の底面121と平行な方向に作用させている。そのため、義歯係合用突出部210は、第1の磁石151と第2の磁石152からそれぞれ均等に引っ張られるようになり、義歯100が外れる方向、即ち咬合力が作用する方向と反対方向であって歯肉800が圧縮されて反発する反力が作用する方向に義歯100が離れるのを阻止していることが分かる。
また、このような義歯100を咬合した状態において、義歯係合用突出部210の先端部(図中上側端部)と支台歯係合用凹み部130の底面131(図中上側の底面)との間には一定の空間S20が残存しており、咬合の際に義歯係合用突出部210の先端に咬合力が直接作用しないようになっている。これによって、義歯係合用突出部210のみならず、これが取り付けられたインプラント50の軸線方向に無理な力が作用することなく、これらに対して好ましくない応力やモーメントの発生を防止している。
続いて、図4に示す状態について説明する。図4においては、図中の矢印Fの長さから明らかなように、図中右側の大臼歯112,113に加わる咬合力が最も大きく、左側の小臼歯111に向かうに従って咬合力が小さくなっている。これによって、義歯全体のうち図中右側の義歯床120の部分が歯肉800を押し潰して図中右方向に僅かに傾けながら右側の歯肉800から受ける反発力によって咬合力を受け持っている。
この場合、義歯全体は図中右側に僅かにずれ込んで義歯係合用突出部210の左側の湾曲面の所定部分が支台歯係合用凹み部130の内周面の所定位置に接している。
この場合、左側の第1の磁石151が義歯係合用突出部210の左側に強めの磁気引っ張り力を作用させているが、これと反対側の磁極を義歯係合用突出部210の対向する側に備えた第2の磁石152からもやはり磁気引っ張り力が作用している。
即ち、図3に示す状態と同様に、第1の磁石151と第2の磁石152のそれぞれの義歯係合用突出部側の端部から発する磁気引っ張り力が互いに義歯係合用突出部210を咬合力の作用する方向と逆直角方向、即ち咬合力が作用しなくなった際に義歯100が外れる方向と逆直角方向にしっかりと磁気引っ張り力を左右双方から及ぼしている。
また、このような義歯100を咬合した状態において、義歯係合用突出部210の先端部(図中上側端部)と支台歯係合用凹み部130の底面131(図中上側の底面)との間には一定の空間S21が残存しており、咬合の際に義歯係合用突出部210の先端に咬合力が直接作用しないようになっている。
続いて、図5に示す状態について説明する。図5においては、図4とは異なり、図中の矢印Fの長さから明らかなように、図中左側の小臼歯111に加わる咬合力が最も大きく、右側の大臼歯112,113に向かうに従って咬合力は小さくなっている。これによって、義歯全体のうち図中左側の義歯床120の部分が歯肉800を押し潰して図中左方向に僅かに傾けながら左側の歯肉800から受ける反発力によって咬合力を受け持っている。
この場合、義歯全体は図中左側に僅かにずれ込んで義歯係合用突出部210の右側の湾曲面の所定部分が支台歯係合用凹み部130の内周面の所定位置に接している。
この場合、右側の第2の磁石152が義歯係合用突出部210の右側に強めの磁気引っ張り力を作用させているが、これと反対側の磁極を義歯係合用突出部210の対向する側に備えた第1の磁石151からもやはり磁気引っ張り力が作用している。
即ち、図3及び図4に示す状態と同様に、第1の磁石151と第2の磁石152のそれぞれの義歯係合用突出部側の端部から発する磁気引っ張り力が互いに義歯係合用突出部210を咬合力の作用する方向と逆直角方向、即ち咬合力が作用しなくなった際に義歯100が外れる方向と逆直角方向にしっかりと磁気引っ張り力を左右双方から及ぼしている。
また、このような義歯100を咬合した状態において、義歯係合用突出部210の先端部(図中上側端部)と支台歯係合用凹み部130の底面131(図中上側の底面)との間には一定の空間S22が残存しており、咬合の際に義歯係合用突出部210の先端に咬合力が直接作用しないようになっている。
図6は、第1の実施形態に係る義歯とその取付けアタッチメントにおいて、義歯係合用突出部210の外周面と支台歯係合用凹み部130の内周面との接触面において、咬合力の作用の仕方に伴う様々な接触状態を示した説明図である。この図面において、上側の図面は、義歯100を支台歯に装着し咬合する前の状態を示している。また、真ん中の左右の図面は、義歯100を装着した後に軽く咬合した状態を示している。また、下側の左右の図面は、義歯100を装着した後に強く咬合した状態を示している。
以下、各図面に関して咬合の状態と合わせて説明していく。ここで着目すべき点としては、義歯係合用突出部210の周面の所定領域が、義歯100を支台歯に取り付けた状態で咬合した際に、義歯100が支台歯を支点として咬合に伴う義歯100の動きの範囲で抵抗を受けずに揺動できる曲面として形成されていることにある。
具体的には、上側の咬合前の状態から義歯本体である人工歯の図中右側の大臼歯112,113を軽く咬合すると、矢印(R−1)に従って真ん中の左側の図面に示す状態に移行する。この状態では、蕾型形状を有する義歯係合用突出部210の図中左側の基端部(歯肉800に近い部分)における接触点(1−1)において支台歯係合用凹み部130の内周面と点接触している。即ち、接触点(1−1)における義歯係合用突出部210の外周面の法線方向が支台歯係合用凹み部130の内周面と一致している。
続いて、人工歯の図中右側の大臼歯112,113を強く咬合すると、矢印(R−2)に従って下側の左側の図面に示す状態に移行する。この状態では、蕾型形状を有する義歯係合用突出部210の図中右側の基端部(歯肉800に近い部分)と離れた上側の接触点(1−2)において支台歯係合用凹み部130の内周面と点接触している。即ち、接触点(1−2)における義歯係合用突出部210の外周面の法線方向が支台歯係合用凹み部130の内周面と一致している。そして、これらの真ん中の図面と下側の図面においては、図中左側に示す第1の磁石151の磁気引っ張り力によって義歯係合用突出部210が支台歯係合用凹み部130に押し付けられていることが分かる。
同様に、上側の咬合前の状態から義歯本体である人工歯の図中左側の小臼歯111(図1参照)で軽く咬合すると、矢印(L−1)に従って真ん中の右側の図面に示す状態に移行する。この状態では、蕾型形状を有する義歯係合用突出部210の図中右側の基端部(歯肉800に近い部分)における接触点(2−1)において支台歯係合用凹み部130の内周面と点接触している。即ち、接触点(2−1)における義歯係合用突出部210の外周面の法線方向が支台歯係合用凹み部130の内周面と一致している。
続いて、人工歯の図中左側の小臼歯111(図1参照)で強く咬合すると、矢印(L−2)に従って下側の右側の図面に示す状態に移行する。この状態では、蕾型形状を有する義歯係合用突出部210の図中右側の基端部(歯肉800に近い部分)と離れた上側の接触点(2−2)において支台歯係合用凹み部130の内周面と点接触している。即ち、接触点(2−2)における義歯係合用突出部210の外周面の法線方向が支台歯係合用凹み部130の内周面と一致している。
即ち、上述した各図面に示すそれぞれの接触点は、義歯100の一端側の人工歯又は他端側の人工歯を強く咬合すればするほど蕾型形状を有する義歯係合用突出部210の上端方向に向かって移動していることが分かる。これに加えて、それぞれの接触点における法線方向の水平方向、即ちこの場合、歯肉800の延在方向に対する角度は、義歯100の一端側の人工歯又は他端側の人工歯を強く咬合すればするほど大きくなっていくことが分かる。
以上のことから、蕾型形状を有する義歯係合用突出部210の支台歯係合用凹み部130との接触領域については、義歯係合用突出部210の基端部側が先端部側に向かうに従って緩やかな湾曲面から徐々に曲がり具合のきつい湾曲面に変化していることが分かる。
これを言い換えると、義歯係合用突出部210の基端部側における支台歯係合用凹み部130との接触領域の接触点における曲率が小さく(曲率半径が大きく)、義歯係合用突出部210の先端部側に向かうに従って、支台歯係合用凹み部130との接触領域の接触点における曲率が大きく(曲率半径が小さく)変化していくことが分かる。
義歯係合用突出部210の外周面が上述したような特別な湾曲形状を有していることで、咬合に伴う義歯自体の複雑な動きに対応して常に位置が変化する義歯係合用突出部210と支台歯係合用凹み部130の接触点が常に滑らかに移動する。これによって、咬合の際に双方がいきなり引っかかって義歯係合用突出部210に思わぬ咬合力が作用したり、咬合力によって義歯係合用突出部210の内周面が局所的に摩耗したりするのを防止する。
ここで、上述した特有の構成に基づく第1の実施形態の優位点について説明する。咬合に際しては、後に詳細に説明するように単なる上下の歯を上下動するだけでなくXYZ軸の直交座標系で定義されるところの様々な方向にその方向が常に変化すると共に大きさが常に変化するように咬合力が作用していく。
また、咬合力は、約3MPa〜約9MPa(1cm当たり平均30kg〜90kg(1m当たり300トン〜900トン))と極めて大きい。
咬合に伴う非常に大きな力やモーメントがXYZの直交座標系で見て複雑なベクトルとして絶え間なく変化することに関してより詳細に説明する。食べ物を咀嚼するにあたって、固定され動かない上顎骨に対して、外側翼突筋や関節頭、関節窩同士が様々な組み合わせで互いに運動することで、食べ物をせん断して咬み千切ったり、圧願して噛み砕いたり、食べ物を臼磨してすり潰したりするという複雑な運動を行っている。
そして、このように食べ物を咀嚼していくにあたって、元々の大きさを有していた食べ物は、徐々に噛み砕かれて小さく粉々になって潰れていくので、これらの運動がこの咀嚼の過程で複雑な方向に変化しながら作用する。このような理由から、義歯100を支台歯に装着して食べ物を咀嚼する場合であっても、通常の天然歯で咬合する場合と同様に、咬合力がXYZの直交座標系の複雑な合力のベクトルとなって大きさと方向を常に変化させながら作用する。このように食べ物を咀嚼する際の咀嚼動作を引き起こす下顎の咬み砕き動作を考えてみると、天然歯による咬合の場合と同様に義歯100を装着した後の咬合も非常に複雑な運動になっていることが理解できる。
そして、図6に示す状態においては、義歯100が歯肉800に対して単純な上下動作を行うだけでなく、義歯係合用突出部210を回動中心とした揺動動作を行うことが分かる。これに加えて、図6では示さないか、実際の咬合に際しては、図中紙面と直交する方向、即ち口の内側と外側方向に向かって義歯100が僅かに移動したりする。その上、図6における義歯100の右側が図中紙面の裏側方向(例えば口の外側方向)に移動すると共に、義歯100の左側が図中紙面の表側方向(例えば口の内側方向)に移動したりする。このような状態で義歯全体の上下動性が伴ったりすると、咬合に際して義歯全体があたかもねじれるような非常に複雑な動作を時々刻々と変化しながら行い続けることになる。
即ち、乗り物で例えると、咬合の間中ずっと義歯全体がいわゆるローリング、ピッチング、ヨーイングが複合した極めて複雑な動きを伴うように咬合力が義歯100に作用することが分かる。
このような咬合力が義歯100に加わる特殊な状況下において、それぞれの磁石が義歯100の支台歯の延在方向に合わせて延在するように配置されているので、義歯100に備わる義歯本体の本数に応じて磁石の大きさ、即ち磁性材からなる義歯係合用突出部210に及ぼす磁気引っ張り力の大きさを調節できる。
これによって、義歯本体の本数が多く長手方向に亘って長さの長い義歯100を支台歯に装着する際に簡単に外れにくい十分な大きさの磁気引っ張り力を支台歯の磁性材でできた義歯係合用突出部210に作用させることができる。
これは、従来技術では見られない本発明特有の特徴点である。具体的には、上述した本発明の義歯100の内部に配置された磁石の特別な配置構造(配置場所及び配置方向)に基づく磁力線を利用した磁気引っ張り力が義歯100の長手方向に合致して磁性材からなる義歯係合用突出部210をその両側からまるでいわゆる綱引きをしているように引っ張り続けることが分かる。その結果、本発明に係る義歯100を支台歯に一旦装着すれば、長期間使用しても装着力が低下することなく義歯100を支台歯にしっかりと装着し続けることが可能であることが十分理解できる。
また、上述のような強力な磁気引っ張り力をもってして義歯100を支台歯にしっかりと固定しておくと同時に、咬合に際して義歯100に大きな咬合力が作用して義歯自体が上述したような複雑な動きをした場合であっても、義歯100の支台歯係合用凹み部130の内周面と支台歯の上部を構成する義歯係合用突出部210の外周面との接触点の位置が常に引っかかることなく滑らかに移動するので、支台歯自体を長持ちさせることができる。
一方、例えばクラスプで固定した一般的な義歯100を長期間使い続けるとクラスプの部分が塑性変形してやがては疲労破壊してしまい、破断してその先端が口の中の粘膜や舌に突き刺さってこれらを傷つけたり、クラスプの破片を食べ物と共に飲み込んでしまい誤飲を招いたりする。
しかしながら、上述の第1の実施形態による義歯とその取付けアタッチメントを用いると、このような咬合に伴う義歯100の複雑な動きが支台歯に機械的影響を与えることなく、支台歯自体をその役割を維持しながら長期間に亘って残存させることができると共に、義歯自体についても破損させずに長期間使用し続けることができる。
また、クラスプを用いることなく義歯100の内部の支台歯係合用凹み部内で義歯係合用突出部210に対して義歯全体を支台歯に装着しているので、クラスプのような金属部材が外部に露出することがない。その結果、口を開けたときにクラスプの金属部分が外部から見えたりすることなく、義歯100を装着していることが一見するとまったく分からないので、本発明に係る義歯100が審美的に非常に優れていると言える。また、義歯装着者は、このような観点から外出して友人や知り合いとの会話を心置きなく楽しむことができると共に、買い物や講演等の受講を行っている際に質問が生じたら相手が十分に聞き取れる声で遠慮なく聞いてみることが可能となる。
また、義歯100の内部に永久磁石を配置させてこの磁気引っ張り力を利用して義歯100が支台歯の一部をなす磁性材でできた義歯係合用突出部210から離れないようになっているので、上述したような本発明特有の様々な優位点を発揮することができる。
本実施形態によると、更には、義歯装着者が義歯100を強く咬合した際においても、義歯係合用突出部210の上端部と支台歯係合用凹み部130の底面131との間に一定の空間(例えば、図6におけるS31、S32参照)を残存させた状態を保つようになっている。これによって、義歯床120の少なくとも一部が歯肉800に押し付けられて歯肉800を圧縮させることで、歯肉800が義歯床120の底面の少なくとも一部領域を押し潰すことで生じる歯肉800からの圧縮反発力によって咬合力を吸収しながら、支台歯に負担をかけることなく長期間に亘る義歯の使用を可能としている。
以下、本発明の第2の実施形態について説明する。なお、第1の実施形態と同等の構成については、対応する符号を付して本文中その説明を省略する。図7は、本発明の第2の実施形態に係る義歯とその取付けアタッチメントの構造を義歯の長手方向に沿って一部断面で示す側面図である。また、図8は、図7に示した義歯とその取付けアタッチメントの作用を説明する第1の説明図である。また、図9は、図7に示した義歯とその取付けアタッチメントの作用を説明する第2の説明図である。また、図10は、図7に示した義歯とその取付けアタッチメントの作用を説明する第3の説明図である。なお、第1の実施形態において説明した図2の平面図については、第2の実施形態においても支台歯係合用凹み部の底面の大きさを除いて、同様の図面になるので、その図示を省略する。
なお、図8は、第1の実施形態に係る図3に示す作用に対応する図面である。また、図9は、第1の実施形態に係る図4に示す作用に対応する図面である。また、図10は、第1の実施形態に係る図5に示す作用に対応する図面である。そのため、これらの図面の具体的な説明は共通するため各図面に対応する符号を付してその記載を省略する。
第2の実施形態が第1の実施形態と異なる点としては、支台歯係合用凹み部180の内周面の形状が義歯係合用突出部210の外周面により対応した曲面形状となっていることにある。それ以外については、第1の実施形態と構成上同一となっている。
即ち、本発明の第2の実施形態に係る義歯とその取付けアタッチメントにおいては、支台歯係合用凹み部180の内面の所定位置においても凹み部側湾曲部が形成されていることを特徴としている。そして、義歯100を支台歯に取り付けた状態で、咬合した際に生じる義歯100の傾斜度合いや沈み込み度合いに応じて変化していく義歯係合用突出部210の周面の所定領域に形成された突出部側湾曲部と凹み部側湾曲部の互いに接触する部分同士の曲率がほぼ一致するように、それぞれの湾曲部が形成されている。
具体的には、支台歯係合用凹み部180の内周面によって囲まれる収容空間の側周面の形状が、蕾型形状を有する義歯係合用突出部210の内周面に対応した形状となっている。即ち、義歯係合用突出部210の外周面と支台歯係合用凹み部180の内周面との接触点について考察した時、義歯係合用突出部210の接触点における曲率半径を有する仮想球体の中心点と、支台歯係合用凹み部180の接触点における曲率半径を有する仮想球体の中心点とが一致している特徴を有している。
これを図11に基づいて具体的に説明する。図11は、第2の実施形態に係る義歯とその取付けアタッチメントにおいて、義歯係合用突出部210の外周面と支台歯係合用凹み部180の内周面との接触面において、咬合力の作用の仕方に伴う様々な接触状態を示した説明図である。
図11は、第1の実施形態の作用を説明した図6に対応する図面であるが、第2の実施形態における特徴点である支台歯係合用凹み部180の内周面の形状が第1の実施形態と異なっているため、図面に基づいて詳細に説明する。
以下、図11における各図面に関して咬合の状態と合わせて説明していく。ここで着目すべき点としては、義歯係合用突出部210の周面の所定領域が、義歯100を支台歯に取り付けた状態で咬合した際に、義歯100が支台歯を支点として咬合に伴う義歯100の動きの範囲で抵抗を受けずに揺動できる曲面として形成されていることにある。
図11において、上側の図面は、義歯100を支台歯に装着し咬合する前の状態を示している。また、真ん中の左右の図面は、義歯100を装着した後に軽く咬合した状態を示している。また、下側の左右の図面は、義歯100を装着した後に強く咬合した状態を示している。
具体的には、上側の咬合前の状態から義歯本体である人工歯の図中右側の大臼歯113(図8参照)を軽く咬合すると、矢印(R−1)に従って真ん中の左側の図面に示す状態に移行する。この状態では、蕾型形状を有する義歯係合用突出部210の図中左側の基端部(歯肉に近い部分)における接触点(1−1)において支台歯係合用凹み部180の内周面と点接触している。即ち、接触点(1−1)における義歯係合用突出部210の外周面の法線方向が支台歯係合用凹み部180の内周面の法線方向とほぼ一致している。そして、この場合の支台歯係合用凹み部180の内周面の接触点又は極めて局所的な接触面における曲面を一部とする仮想球体の中心と、義歯係合用突出部210の外周面の接触点又は極めて局所的な接触面における曲面を一部とする仮想球体の中心とが互いにほぼ一致している。
続いて、人工歯の図中右側の大臼歯112,113を強く咬合すると、矢印(R−2)に従って下側の左側の図面に示す状態に移行する。この状態では、蕾型形状を有する義歯係合用突出部210の図中右側の基端部(歯肉に近い部分)から離れた上側の接触点(1−2)において支台歯係合用凹み部180の内周面と点接触している。即ち、接触点(1−2)における義歯係合用突出部210の外周面の法線方向が支台歯係合用凹み部180の内周面の法線方向とほぼ一致している。そして、この場合の支台歯係合用凹み部180の内周面の接触点又は極めて局所的な接触面における曲面を一部とする仮想球体の中心と、義歯係合用突出部210の外周面の接触点又は極めて局所的な接触面における曲面を一部とする仮想球体の中心とが互いに一致している。そして、これらの真ん中の図面と下側の図面においては、図中左側に示す第1の磁石151の磁気引っ張り力によって義歯係合用突出部210が支台歯係合用凹み部180に押し付けられていることが分かる。
同様に、上側の咬合前の状態から義歯本体である人工歯の図中左側の小臼歯111(図8参照)を軽く咬合すると、矢印(L−1)に従って真ん中の右側の図面に示す状態に移行する。この状態では、蕾型形状を有する義歯係合用突出部210の図中左側の基端部(歯肉に近い部分)における接触点(2−1)において支台歯係合用凹み部180の内周面と点接触している。即ち、接触点(2−1)における義歯係合用突出部210の外周面の法線方向が支台歯係合用凹み部180の内周面の法線方向とほぼ一致している。そして、この場合の支台歯係合用凹み部180の内周面の接触点又は極めて局所的な接触面における曲面を一部とする仮想球体の中心が、義歯係合用突出部210の外周面の接触点又は極めて局所的な接触面における曲面を一部とする仮想球体の中心とが互いにほぼ一致している。
続いて、人工歯の図中左側の小臼歯で強く咬合すると、矢印(L−2)に従って下側の左側の図面に示す状態に移行する。この状態では、蕾型形状を有する義歯係合用突出部210の図中右側の基端部(歯肉に近い部分)から離れた接触点(2−2)において支台歯係合用凹み部180の内周面と点接触している。即ち、接触点(2−2)における義歯係合用突出部210の外周面の法線方向が支台歯係合用凹み部180の内周面と一致している。そして、この場合の支台歯係合用凹み部180の内周面の接触点又は極めて局所的な接触面における曲面を一部とする仮想球体の中心と、義歯係合用突出部210の外周面の接触点又は極めて局所的な接触面における曲面を一部とする仮想球体の中心とが互いにほぼ一致している。
また、支台歯係合用凹み部180と義歯係合用突出部210の接触点又は極めて局所的な接触面がいかなる位置にあろうと、それぞれの接触点又は極めて局所的な接触面を含む仮想球体の中心は常に一致していることになる。
上述した各図面に示すそれぞれの接触点は、義歯100の一端側の人工歯又は他端側の人工歯を強く咬合すればするほど蕾型形状を有する義歯係合用突出部210の上端方向に向かって移動していることが分かる。これに加えて、それぞれの接触点における法線方向の水平方向、即ちこの場合歯肉の延在方向に対する角度は、義歯100の一端側の人工歯又は他端側の人工歯を強く咬合すればするほど大きくなっていくことが分かる。
以上のことから、蕾型形状を有する義歯係合用突出部210の支台歯係合用凹み部180との接触領域については、義歯係合用突出部210の基端部側が先端部側に向かうに従って緩やかな湾曲面から徐々に曲がり具合のきつい湾曲面に変化していることを表わしている。
これは、即ち、各接触点と上述した仮想球体の中心との距離が、義歯係合用突出部210の先端側に向かえば向かうほど、即ち咬合力を加えれば加えるほど小さくなり、接触点が義歯係合用突出部210の先端側に向かうほどこの接触点が滑らかに移動し易く、係合力の義歯係合用突出部210の軸線方向の分力がなるべく大きくならないようにしている。
上述のように第2の実施形態に係る義歯係合用突出部210の外周面及び支台歯係合用凹み部180の内周面がそれぞれの接触点において特別な条件を満たすように形成されていることで、第1の実施形態の場合にも増して、上述したような咬合に伴う義歯自体の複雑な動きに対応して常に位置が変化する義歯係合用突出部210と支台歯係合用凹み部180の接触点が常に滑らかに移動するようになっている。その結果、咬合の際に双方がいきなり引っかかって義歯係合用突出部210に思わぬ咬合力が作用したり、咬合力によって義歯係合用突出部210の内周面が局所的に摩耗したりするのを防止する。
なお、第1の実施形態の構成を有していても、咬合時に義歯100に対して咬合力が3次元方向に作用した場合に義歯100が支台歯に取り付けられた状態を維持することは十分に可能であるが、本発明の第2の実施形態に係る義歯とその取付けアタッチメントによると、上述した構成を有することで、この作用を更に高めることができる。
続いて、上述した第1及び第2の実施形態の各種変形例について説明する。図12は、第1の実施形態の第1変形例(図12(a))及び第2の実施形態の第1変形例(図12(b))を含む部分をそれぞれ示す説明図である。
第1の実施形態及び第2の実施形態においては、支台歯係合用凹み部130,180が義歯床120の長手方向の略中央部に形成されていた。即ち、義歯床120の上側に並んで備わる1本の小臼歯111及び2本の大臼歯112,113のほぼ中央部の下側に形成されていた。
しかしながら、この第1変形例においては、図12に示すように図中右側(図1及び図7に示した小臼歯11と犬歯13からなる2本の天然歯から離れる方向に形成されている。実際の義歯装着者のインプラント50の場所やその周囲の欠損歯の状況によってこのように支台歯及びこれを構成するインプラント50と義歯係合用突出部210の形成位置に対して支台歯係合用凹み部130,180の形成位置を義歯床120の長手方向に対して最適な位置に変更することが本発明では可能である。
続いて、第1の実施形態及び第2の実施形態の第2変形例について図面に基づいて説明する。図13は、第1の実施形態の第2変形例(図13(a))及び第2の実施形態の第2変形例(図13(b))を含む部分をそれぞれ示す説明図である。
第1の実施形態及び第2の実施形態においては、内部空間が円柱状をなす支台歯係合用凹み部130,180の下端側の開口部と、義歯100を装着した際にインプラント50に固定された義歯係合用突出部210のこの開口部と対向する部分との間に周囲全体に亘ってある程度の隙間が形成されていた。これによって、義歯100の装着のし易さを確保すると共に、指先の感覚が鈍って指先の動きが不自由になった義歯装着者が義歯100の着脱が行い易いようにしていた。即ち、このような構成にすることによって、義歯100の装着を器用に行うことができない義歯装着者にとって非常に使い勝手の良い構造を有する義歯となっていた。
しかしながら、図13に示す第2の変形例のように、義歯100を装着した際に、支台歯係合用凹み部130,180の下端側の開口部と、義歯100を装着した際にインプラント50に固定された義歯係合用突出部210のこの開口部と対向する部分との間に隙間ができることなくいわゆるフィッティング嵌合するような構造としても良い。
例えば指先が自由に動き、かつ義歯100を装着する際にこのようなフィッティング嵌合の感覚をしっかりと受けることができる方が気持ち良い義歯装着者にとって、このような構造に変更しても本発明の作用を十分に発揮することが可能となる。
続いて、第1の実施形態及び第2の実施形態の第3変形例について図面に基づいて説明する。図14は、第1の実施形態の第3変形例(図14(a))及び第2の実施形態の第3変形例(図14(b))を含む部分をそれぞれ示す説明図である。
より具体的には、この第3変形例においては、上述した各実施形態及び各変形例のように支台歯係合用凹み部130,180を挟んで両側に第1の磁石151と第2の磁石152が配置されている構造を取る代わりに、支台歯係合用凹み部130,180の一方の第1の磁石151のみを残し、第2の磁石152が配置された部分においてはこの磁石の代わりにラッチ係合部190を備えている。なお、ラッチ係合部190は、図面から明らかなように、弾性体であるスプリング191と、スプリング191からの弾性力によって支台歯係合用凹み部130,180の内周面の所定箇所からその先端に球体状部材193の備わったプランジャー192から構成されている。
また、義歯係合用突出部210の周面の一部には、ラッチ係合用凹み部215が備わっている。そして、支台歯係合用凹み部130、180の内周面に備わったラッチ係合部190が、義歯100を支台歯に装着した際に、ラッチ係合用凹み部215に弾性力によってラッチ係合すると共に、義歯100を支台歯から義歯装着者が指の力で引っ張ることによってラッチ係合が解除されて、義歯100を支台歯から取り外すことが可能になっている。
このような構成を有することで、義歯100を装着する際にラッチ係合部190が義歯係合用突出部210の周面に備わったラッチ係合用凹み部215に嵌り込むことで、顎骨900を介してこのラッチ係合の感覚を義歯装着者が認識することができ、指先の不自由な人であっても義歯100がきちんと装着できたことを確実に確認することができる。
また、支台歯に一旦装着した義歯100は、ラッチ係合部190の係合力によって容易に外れることはなく、支台歯にしっかりと装着した状態を保つことができる。
なお、上述の各実施形態及び各変形例においては磁石を2つ備えていたが、本変形例では磁石を1つしか備えてない。しかしながら、本発明特有の構成により大きな磁気引っ張り力を磁性体である義歯係合用突起部に作用させるためのサイズの大きい磁石を義歯100の内部にその長手方向に沿って配置することができるので、このような磁気引っ張り力が不十分となる問題も生じさせずに済む。
上述した作用を発揮すれば、ラッチ係合部は必ずしも本変形例のような構造をとる必要はなく、例えば弾性体の板バネを用いても良く、若しくは例えば弾性力に富んだバネ鋼でできた針金状部材を折り曲げていわゆる刺股のようにして義歯100を装着した状態で義歯係合用突出部210に弾性力を及ぼして義歯100が支台歯から外れるのを防止するようにしても良い。
また、本発明においては、磁石が義歯中において上述したような特別な配置形態を有することで、磁石の設計の自由度が高まり、かつ様々な磁石を使用することが可能となる。
即ち、本発明の場合、磁石は、いわゆる棒磁石としての永久磁石の形態をとって上述した特別な構造で配置されていれば良く、磁石自体は細長い四角柱の棒磁石、賽子形状の磁石、細長い円柱形状や端面視多角形の細長い柱状の何れの形態であっても構わない。
なお、義歯100のサイズ、即ち義歯100の大きさや形状、支台歯係合用凹み部130,180の位置やこの凹み部の穴の直径、深さ、蕾型形状を有する支台歯係合用突出部の大きさ(直径や高さ)については、義歯装着者の顎骨900の形状や欠損歯の部分の状況によって全く同じとなる場合はありえないので、歯科医院において義歯装着者を診察して最も好ましい実施の形態を決定する必要がある。
この場合、義歯100の装着者ごとに咀嚼に伴う長年の習慣や咀嚼力の強さ(咀嚼に必要な外側翼突筋などの発達の度合い)によって異なっている。そのため、咀嚼に際して義歯係合用突出部210の先端が支台歯係合用凹み部130,180の底面131,181に突き当たらないようにこの部分に適当な厚みのスペーサを挟み込んで、咬合時における双方の間に形成される空間の大きさを確認した上で義歯100を個別に製作するのが好ましい。
本発明によると、上述した各実施形態及びその各種変形例から明らかなように、インプラントを植立するのに好ましい場所を1箇所探してこの部分に1本のインプラントを植立させ、これに本発明に係る義歯とその取付けアタッチメントを適用することで、支台歯の一部を構成するインプラントを長期に亘って使用し続けることができると共に、そのインプラントの周囲の欠損歯を義歯で置き換えることができるので、欠損歯ごとにインプラントを植立させるような経済的及び身体的並びに時間的負担を受けることがなく、歯科医院の少なめの通院回数でコストを安く抑えながら長期に亘って使い続けることができる。
また、咬合力は、約3MPa〜約9MPa(1cm当たり平均30kg〜90kg(1m当たり300トン〜900トン))と極めて大きい。そのため、本発明のような構成を有することで、このような大きな咬合力を主に支台歯の左右の歯肉に義歯の義歯床が押し付けられて沈下した際に歯肉から受ける反力によって吸収することができるので、支台歯を構成する重要な一部であるインプラントに過大な応力を作用させずに済む。これによって、簡単に植設し直すことの困難なインプラントを長持ちさせることが可能となる。
また、このような咬合時に向きや大きさの絶えず変化する大きな咬合力が従来一般的に使われているクラスプを備えた義歯のクラスプの部分に作用するようなことがなく、従来問題となっていたクラスプの部分が金属疲労により緩んだり破断してしまったりする不具合が生じることはない。
また、支台歯にクラスプを備えた従来の義歯を取り付けた場合のように、口を開けたときにクラスプが目立って審美的な問題が生じることも無い。更には、長期間の使用によってクラスプが緩んで義歯が外れ易くなり、口の中で外れかかった義歯を舌で押さえ続けたり、くしゃみなどで偶発的に義歯が外れて口から飛び出してしまったりするような事態を招くことなく、長期間に亘って使用し続けることができ、近年の高齢化社会の到来に向けて重要視されているクオリティオブライフの向上に十分に貢献することが可能となる。
更には、従来のクラスプを備えた義歯を使用した場合、クラスプの部分の緩みの有無の定期的な確認等とゆるみを発見した際にこの部分を元通りに直すような手間の掛かるメンテナンスを必要としない。また、従来のクラスプを備えた義歯を外してこれをきれいにする場合等において、特に指先の不自由な義歯装着者にとっては誤って義歯を床に落としてしまい、金属でできたクラスプの部分が曲がったり破断してしまったりする可能性がある。このような場合においても、このクラスプの部分を元の状態に直したり、直すことができない程度に曲がったり破損してしまった場合は、クラスプ全体を新しいものに交換しなければならない。
そして、クラスプの部分の修理又は交換を依頼している間、その義歯を使用することができなくなり、極めて不便となる。しかしながら、本発明によると、そのような不都合なことは一切起こることはなく、殆どメンテナンスフリーで義歯を安心して使い続けることができるという非常に大きなメリットを有している。
また、本発明によると、十分な磁気引っ張り力を有する磁石を義歯の大きさに合わせて配置することができることに加えて、義歯係合用突出部の外周面が蕾型形状に形成されていることで、義歯の着脱時においても支台歯係合用凹み部内に収容され磁性材でできた義歯係合用突出部を破損することなく義歯の着脱を行うことができる。その結果、義歯の着脱が非常に行い易くなり、高齢になって特に指先を器用に動かすことのできない義歯装着者が義歯の支台歯からの着脱を一人で簡単に行うことが可能となる。
なお、上述の各実施形態及びその各種変形例はあくまで本発明の例示的な内容を示したものに過ぎず、本発明の範囲内であれば形状、材質、大きさ等の異なる様々な構造の義歯とその取付けアタッチメントであっても構わないことは言うまでもない。
11 小臼歯
13 犬歯
50 インプラント
100 義歯
110 人工歯(義歯本体)
111 小臼歯
112,113 大臼歯
120 義歯床
121 底面
130 支台歯係合用凹み部
131 底面
150 磁石
151 第1の磁石
152 第2の磁石
160 磁石ホルダー
180 支台歯係合用凹み部
181 底面
190 ラッチ係合部
191 スプリング
192 プランジャー
193 球体状部材
200 アタッチメント
210 義歯係合用突出部
211 取り付け穴
220 固定部材
221 頭部
215 ラッチ係合用凹み部
800 歯肉
810 唾液層
900 顎骨

Claims (11)

  1. 少なくとも2本の人工歯が隣接して並べられかつ前記複数の人工歯を上部に固定した細長の義歯床を備えた義歯と、前記義歯を支台歯に装着するためのアタッチメントを備えた義歯とその取付けアタッチメントにおいて、
    前記義歯は、前記義歯床の歯肉と接する底面側の長手方向所定位置に前記支台歯を挿入保持するための有底の支台歯係合用凹み部が備わっており、かつ前記支台歯係合用凹み部の両側部には前記義歯の少なくとも義歯床の部分にそれぞれ磁石が埋め込まれ、
    前記アタッチメントは、前記支台歯を形成するためにインプラントに取り付けられかつ磁性材でできた義歯係合用突出部と、当該義歯係合用突出部を前記インプラントに固定する固定部材からなり、
    前記インプラントに前記固定部材を用いて前記義歯係合用突出部を取り付けることで前記支台歯を形成するようになっており、
    義歯装着者が前記義歯を装着した際に、前記義歯の支台歯係合用凹み部と前記義歯係合用突出部との嵌合によって前記義歯を前記支台歯に固定する代わりに、当該義歯係合用突出部を挟んでこれに両側から作用する2つの磁石の磁気引っ張り力と、前記義歯の義歯床が歯肉に密着する密着力によって前記義歯の前記支台歯に対する取付け状態を維持すると共に、
    前記義歯装着者が前記義歯を咬合した際に、これによって発生する咬合力を前記義歯の義歯床が前記歯肉を押し潰すことで生じる当該歯肉からの圧縮反発力によって受け持ち、かつ
    前記咬合力の加わり具合に応じて、前記義歯係合用突出部が前記支台歯係合用凹み部の内周面に沿って摺動可能に当接することで、前記支台歯に対する前記義歯の姿勢を所定の範囲内で変化可能とすることを特徴とする義歯とその取付けアタッチメント。
  2. 前記義歯には、前記義歯床の前記歯肉と接する底面側の長手方向所定位置に前記支台歯係合用凹み部が1箇所備わっており、前記義歯を前記支台歯に取り付けた状態で咬合した際に、前記義歯の咬合力の加わり具合に応じて当該義歯が当該支台歯を支点として揺動可能となったことを特徴とする請求項1に記載の義歯とその取付けアタッチメント。
  3. 前記支台歯係合用凹み部が前記義歯の義歯床の歯肉と接する底面側の長手方向略中央部に備わっていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の義歯とその取付けアタッチメント。
  4. 義歯装着者が前記義歯を強く咬合した際においても、前記義歯係合用突出部の上端部と前記支台歯係合用凹み部の底部との間に一定の空間を残存させる構造を有したことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメント。
  5. 前記義歯係合用突出部の周面の所定領域は、前記義歯を前記支台歯に取り付けた状態で咬合した際に、前記義歯が前記支台歯を支点として咬合に伴う義歯の動きの範囲で抵抗を受けずに揺動できる曲面として形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメント。
  6. 前記義歯係合用突出部の周面の所定領域及び前記義歯の凹み部の内周面の所定領域の双方に曲面を形成することで、前記義歯を前記支台歯に取り付けた状態で咬合した際に、前記義歯係合用突出部の周面の所定領域及び前記義歯の凹み部の内周面同士が互いに摺動しながら、前記義歯が前記支台歯を支点として咬合に伴う義歯の動きの範囲で揺動できるようにしたことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメント。
  7. 前記支台歯係合用凹み部の内面の所定位置に凹み部側湾曲部が形成され、前記義歯を前記支台歯に取り付けた状態で、咬合した際に生じる前記義歯の傾斜度合いや沈み込み度合いに応じて変化していく前記義歯係合用突出部の周面の所定領域に形成された突出部側湾曲部と前記凹み部側湾曲部の互いに接触する部分同士の曲率が一致するように、それぞれの湾曲部が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の義歯とその取付けアタッチメント。
  8. 咬合時に前記義歯に対して咬合力が3次元方向に作用した場合であっても、前記義歯が前記支台歯に取り付けられた状態を維持できることを特徴とする請求項1乃至請求項7の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメント。
  9. 前記2つの磁石のうち、一方の磁石の代わりにラッチ係合機構が備わり、当該ラッチ係合機構は、前記義歯係合用突出部の周面の一部に形成されたラッチ係合用凹み部ラッチ可能となっており、
    前記ラッチ係合機構は、前記義歯を前記支台歯に装着した際に、前記突出部収容用凹み部の内周面に、前記ラッチ係合用凹み部に弾性力によってラッチ係合すると共に、前記義歯を前記支台歯から義歯装着者が指の力で引っ張ることによってラッチ係合が解除されて前記義歯を前記支台歯から取り外すことを可能にするラッチ係合部を有することを特徴とする請求項1乃至請求項8の何れかに記載の義歯とその取付けアタッチメント。
  10. 請求項1乃至請求項9の何れかに記載の義歯係合用突出部をインプラントに取り付けた支台歯に取り外し可能に装着する請求項1乃至請求項9の何れかに記載の義歯。
  11. 請求項1乃至請求項9の何れかの義歯を取り外し可能に装着することができる請求項1乃至請求項9の何れかに記載の支台歯を形成するためにインプラントに被せる義歯係合用突出部。
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