〔第1実施形態〕
以下、添付図面を参照して本発明の第1実施形態を詳細に説明する。図1は、第1実施形態のトルクコンバータTCを適用した車両の全体概略図である。図1に示すように、第1実施形態のトルクコンバータTCを備える車両は、電動機であるモータM(動力源)で発生した動力を、駆動輪Wへ伝達することで走行する。モータMは、回転軸線Lを中心に回転する回転子Maと、不図示のケースに固定される固定子Mbとを具備する。モータMの回転子Maは、2方向に回転する。すなわち、モータMの回転子Maは、車両を前進させる場合に回転子Maが回転する方向である正回転と、車両を後進させる場合に回転子Maが回転する方向である逆回転と、の2方向に回転可能である。
モータMが駆動すると、回転子Maの回転軸線Lと同軸に配置されるモータ駆動軸MSが回転する。すると、モータMの駆動により発生した回転動力が、当該回転動力の動力伝達方向の下流側に配置されるトルクコンバータTCに伝達される。
トルクコンバータTCは、3つの羽根車を有する。3つの羽根車は、入力側の羽根車であるポンプインペラ10と、出力側の羽根車であるタービンランナ20と、ポンプインペラ10とタービンランナ20との間に配置されるステータ30と、で構成される。
ポンプインペラ10は、モータ駆動軸MSからの動力が伝達されることにより、回転軸線Lを中心に回転する。タービンランナ20は、ポンプインペラ10からの動力が作動流体を介して伝達されることにより、回転軸線Lを中心に回転する。ステータ30は、ポンプインペラ10とタービンランナ20との間に配置され、ポンプインペラ10及びタービンランナ20を通過して偏向した作動流体の流れを整流する。ステータ30は、回転軸線Lと同一の回転軸にて配置されるが、トルクの増幅時においては基本的に静止している。
トルクコンバータTCは、入力軸ISへ接続される。トルクコンバータTCから入力軸ISに伝達された動力は、入力軸ISに配置されるギヤG1から出力軸OSに配置されるギヤG2へとさらに伝達される。また、出力軸OSに伝達された動力は、出力軸OSに配置されるギヤG3からディファレンシャル機構Dに配置されるギヤGDへとさらに伝達される。ディファレンシャル機構Dに伝達された動力は、左右の駆動軸WSを介して左右の駆動輪Wへと伝達される。このように、モータMで発生した回転動力は、トルクコンバータTCを介して入力軸ISへと伝達される。そして、トルクコンバータTCから入力軸ISへと出力した回転動力は、各種ギヤ等によって回転を変速された後、最終的に駆動輪Wへと伝達される。
図2及び図3を用いて、トルクコンバータTCを構成する部材のうち、本実施形態における、ポンプインペラ10、タービンランナ20及びステータ30の具体的構成を説明する。図2は、第1実施形態のトルクコンバータTCを構成する部材の分解斜視図である。図3は、第1実施形態のトルクコンバータTCを構成する部材を軸方向から見た図である。なお、図2においては、作動流体が流入する側が見えるように、流入する側の面を手前側に傾けて示している。また、図3では、各部材とも、軸方向における作動流体が流入する側の面を手前側に示している。次に、各部材を具体的に説明する。
ポンプインペラ10は、ハウジング12と、ハウジング12内において作動流体が流れる方向を整えるコア13と、を有する。また、ポンプインペラ10は、ハウジング12とコア13との間に、作動流体の流れる方向をガイドしつつ作動流体へ動力を伝達する羽根である複数のポンプブレード11を有する。
本実施形態におけるポンプブレード11は、軸方向から見た場合、ポンプインペラ10の径方向において直線状に形成される。すなわち、ポンプブレード11は、曲率を有しない構造である。このため、ポンプインペラ10が回転するとき、ポンプインペラ10内の作動流体は、ポンプインペラ10に対して相対的に、ポンプインペラ10の内径側から外径側へ直線状に導かれることになる。
タービンランナ20は、ハウジング22と、ハウジング22内において作動流体の流れる方向を整えるコア23と、を有する。また、タービンランナ20は、ハウジング22とコア23との間に、作動流体の流れる方向をガイドしつつ作動流体へ動力を伝達する羽根である複数のタービンブレード21を有する。
タービンブレード21は、2種類の異なる曲率を有する羽根にて構成される。具体的には、タービンランナ20の周方向における一方(本実施形態においては、図3における反時計回りの方向)へと作動流体を導く第一タービンブレード21aと、タービンランナ20の周方向における他方(本実施形態においては、図3における時計回りの方向)へと作動流体を導く第二タービンブレード21bと、から構成される。また、第一タービンブレード21aと第二タービンブレード21bとは、タービンランナ20の周方向において交互に配置される。
第一タービンブレード21aと第二タービンブレード21bとは、1つの第一タービンブレード21aと1つの第二タービンブレード21bとが対になっている。そして、一対の第一タービンブレード21aと第二タービンブレード21bとは、作動流体の流入側であるタービンランナ20の外径側において、互いに近接するように配置される。そして、一対の第一タービンブレード21aと第二タービンブレード21bとは、作動流体の流出側であるタービンランナ20の内径側にいくにつれて徐々に互いに離れていくように配置される。
ステータ30は、ステータハブ32と、ステータハブ32の周囲に配置される羽根である複数のステータブレード31とを有する。ステータブレード31は、タービンランナ20を通過して偏向した作動流体の流れを整流する。
ステータブレード31は、2種類の異なる曲率を有する羽根にて構成される。具体的には、ステータ30の周方向における一方(本実施形態においては、図3における時計回りの方向)へと作動流体を導く第一ステータブレード31aと、ステータ30の周方向における他方(本実施形態においては、図3における反時計回りの方向)へと作動流体を導く第二ステータブレード31bと、から構成される。また、第一ステータブレード31aと第二ステータブレード31bとは、ステータ30の周方向において交互に配置される。
この構成により、作動流体は図2の矢印に示すように流れる。まず、ポンプインペラ10のハウジング12内にある作動流体は、ポンプインペラ10の回転による遠心力により、ポンプブレード11に沿って、ポンプインペラ10の内径側から外径側に導かれる。ポンプインペラ10から流出した作動流体は、ポンプインペラ10と対向するタービンランナ20の外径側に導かれる。外径側からタービンランナ20に流入した作動流体は、タービンブレード21に沿って、タービンランナ20の外径側から内径側に導かれる。この作動流体がタービンブレード21に導かれる過程で、作動流体がタービンランナ20にトルクを伝達する。
また、タービンランナ20の内径側から流出した作動流体は、静止しているステータ30に導かれる。ステータ30は、タービンランナ20から流入する作動流体の流れの方向がポンプインペラ10をさらに回そうとする方向になるように、作動流体の流れを変える。この流れを変えた作動流体をポンプインペラ10のポンプブレード11が受け取ることでトルクが作り出される。こうして、トルクコンバータTCは、ポンプインペラ10からタービンランナ20に伝達するトルクを増幅させる。
次に、ポンプインペラ10の回転方向を正回転とした場合の作動流体の流れ及びポンプインペラ10からタービンランナ20に伝達されるトルクについて、図を用いて説明する。図4は、第1実施形態のトルクコンバータTCの正回転時における作動流体の流れ及び伝達トルクを説明する図である。なお、図4以下の作動流体の流れ及び伝達トルクを説明する図においては、作動流体の流れる方向(図の上方から下方)に沿って、ブレードを平面上に表している。
図4に示すように、作動流体は、図中上方から、ポンプインペラ10に流入する。ここでの作動流体の流入方向(図中右下方向)は、後述のように、ステータ30を通った後の作動流体の流れる方向に基づいている。
作動流体がポンプインペラ10に流入する際、ポンプインペラ10は正回転方向に回転しているため、ポンプインペラ10のポンプブレード11は、周方向の図中右側に移動している。すると、作動流体は、ポンプブレード11から図中右側の方向のトルクを得て、図中右下方向に向かって流出する。
作動流体は、タービンランナ20に図中右下方向に向かって流入し、タービンランナ20の第一タービンブレード21aに当たる。これにより、作動流体がタービンランナ20を正回転方向に回転させる。その後、作動流体は、第一タービンブレード21aからの反力により、図中左下方向に向かって流出する。
作動流体は、ステータ30に図中左下方向に向かって流入する。ここで、ステータ30は静止しているため、作動流体は、第二ステータブレード31bからの反力により、図中右下方向に流れを変えて流出する。
ステータ30における図中右下方向の作動流体の流れは、ポンプインペラ10に再び図中上方から流入する作動流体が流れる方向となる。ポンプインペラ10の正回転時においてはポンプブレード11が図中右方向に移動しているため、右方向の流れを有する作動流体は、ポンプインペラ10をさらに正回転方向に回そうとする。
このように、ポンプインペラ10の正回転時において、ポンプインペラ10及びタービンランナ20を通過した作動流体が、ステータ30で整流されることにより、タービンランナ20に伝達されるトルクが増幅される。具体的に、正回転時のポンプインペラ10が伝達するトルクTpよりもタービンランナ20に伝達されるトルクTtは、大きくなる(Tt>Tp)。
次に、ポンプインペラ10の回転方向を逆回転とした場合の作動流体の流れ及びポンプインペラ10からタービンランナ20に伝達されるトルクについて、図を用いて説明する。図5は、第1実施形態のトルクコンバータTCの逆回転時における作動流体の流れ及び伝達トルクを説明する図である。
図5に示すように、作動流体は、図中上方から、ポンプインペラ10に流入する。ここでの作動流体の流入方向(図中左下方向)は、後述のように、ステータ30を通った後の作動流体の流れる方向に基づいている。
作動流体がポンプインペラ10に流入する際、ポンプインペラ10は逆回転方向に回転しているため、ポンプインペラ10のポンプブレード11は、周方向の図中左側に移動している。すると、作動流体は、ポンプブレード11から図中左側の方向のトルクを得て、図中左下方向に向かって流出する。
作動流体は、タービンランナ20に図中左下方向に向かって流入し、タービンランナ20の第二タービンブレード21bに当たる。これにより、作動流体がタービンランナ20を逆回転方向に回転させる。その後、作動流体は、第二タービンブレード21bからの反力により、図中右下方向に向かって流出する。
作動流体は、ステータ30に図中右下方向に向かって流入する。ここで、ステータ30は静止しているため、作動流体は、第一ステータブレード31aからの反力により、図中左下方向に流れを変えて流出する。
ステータ30における図中左下方向の作動流体の流れは、ポンプインペラ10に再び図中上方から流入する作動流体が流れる方向となる。ポンプインペラ10の逆回転時においてはポンプブレード11が図中左方向に移動しているため、左方向の流れを有する作動流体は、ポンプインペラ10をさらに逆回転方向に回そうとする。
このように、ポンプインペラ10の逆回転時において、ポンプインペラ10及びタービンランナ20を通過した作動流体が、ステータ30で整流されることにより、タービンランナ20に伝達されるトルクが増幅される。具体的に、逆回転時のポンプインペラ10が伝達するトルクTpよりもタービンランナ20に伝達されるトルクTtは、大きくなる(Tt>Tp)。
以上のように、本実施形態によれば、タービンランナ20のタービンブレード21を、第一タービンブレード21aと第二タービンブレード21bと、から構成されることとする。すると、ポンプインペラ10の回転方向が正回転のときに、ポンプインペラ10からタービンランナ20に流入する作動流体が第一タービンブレード21aに当たることで、タービンランナ20を正回転方向に回転させる。また、タービンランナ20からステータ30に流入する作動流体が第二ステータブレード31bに当たることで、作動流体の流れが、ステータ30の周方向において変わる。すると、ステータ30から流出した作動流体の流れる方向がポンプインペラ10をさらに回そうとする方向となる。これにより、ポンプインペラ10の回転方向が正回転のときにおいて、ポンプインペラ10に入力した回転動力が、増幅されてタービンランナ20から出力される。一方、ポンプインペラ10の回転方向が逆回転のときに、ポンプインペラ10からタービンランナ20に流入する作動流体が第二タービンブレード21bに当たることで、タービンランナ20を逆回転方向に回転させる。また、タービンランナ20からステータ30に流入する作動流体が第一ステータブレード31aに当たることで、作動流体の流れが、ステータ30の周方向において変わる。すると、ステータ30から流出した作動流体の流れる方向がポンプインペラ10をさらに回そうとする方向となる。これにより、ポンプインペラ10の回転方向が逆回転のときにおいて、ポンプインペラ10に入力した回転動力が、増幅されてタービンランナ20から出力される。この結果、トルクコンバータTCは、入力される回転動力の回転方向がいずれの回転方向であっても、回転動力を増幅しうる。
また、本実施形態においては、第一ステータブレード31aと第一ステータブレード31aの両隣に隣接する第二ステータブレード31b,31bのうち、一方の第二ステータブレード31bとは、対になっている。そして、一対の第一ステータブレード31aと第二ステータブレード31bとは、作動流体の流入側において互いに近接するように配置され、作動流体の流出側にいくにつれて徐々に互いに離れていくように配置される。このように配置することで、ステータ30における作動流体の流入側の開口が広くなり、作動流体を円滑に流出側に導くことができる。
また、本実施形態においては、トルクコンバータTCにおいて、第一タービンブレード21aと第一タービンブレード21aの両隣に隣接する第二タービンブレード21b,21bのうち、一方の第二タービンブレード21bとは、対になっている。そして、一対の第一タービンブレード21aと第二タービンブレード21bとは、作動流体の流入側において互いに近接するように配置され、作動流体の流出側にいくにつれて徐々に互いに離れていくように配置される。このように配置することで、タービンランナ20における作動流体の流入側の開口が広くなり、作動流体を円滑に流出側に導くことができる。
また、本実施形態においては、ポンプインペラ10に配置されるポンプブレード11は、ポンプインペラ10の径方向において直線状に形成される。このように構成することで、ポンプインペラ10がいずれの方向に回転しても、ポンプインペラ10の回転による遠心力によって、作動流体は、内径側から外径側に向かってポンプブレード11の間を直線状に導かれる。このように、正回転の場合にも逆回転の場合にも、ポンプブレード11の間において作動流体を同様に流すことで、ポンプインペラ10がいずれの方向に回転しても、タービンランナ20に作動流体を同様に導くことができる。
〔第2実施形態〕
次に、本発明の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態の説明及び対応する図面においては、第1実施形態と同一又は相当する構成部分には同一符号を付し、以下ではその部分の詳細な説明を省略する。また、以下で説明する事項以外の事項については、第1実施形態と同様である。
図6及び図7を用いて、第2実施形態のトルクコンバータTC1を構成する部材のうち、ポンプインペラ10、タービンランナ20及びステータ30Aの構成を説明する。図6は、第2実施形態のトルクコンバータTC1を構成する部材の分解斜視図である。図7は、第2実施形態のトルクコンバータTC1を構成する部材を軸方向から見た図である。
ポンプインペラ10及びタービンランナ20は、前述の実施形態と同様の構成である。このため、第2実施形態では、ステータ30Aの構成を具体的に説明する。
ステータ30Aは、ステータハブ32と、ステータハブ32の周囲に配置される複数のステータブレード35とを有する。本実施形態のステータブレード35は、軸方向から見た場合、ステータ30Aの径方向において直線状に形成される。このように、ステータブレード35が径方向において直線状に形成される場合には、作動流体がステータ30A内を流れる方向である軸方向に対しても、ステータブレード35が直線状に形成されることとなる。すなわち、ステータブレード35は、曲率を有しない構造である。このため、ステータ30Aに流入した作動流体は、ステータ30A内において、ステータブレード35に沿った直線状に導かれることになる。
この構成により、作動流体は図6の矢印に示すように流れる。まず、ポンプインペラ10のハウジング12内にある作動流体は、ポンプインペラ10の回転による遠心力により、ポンプブレード11に沿って、ポンプインペラ10の内径側から外径側に導かれる。ポンプインペラ10から流出した作動流体は、ポンプインペラ10と対向するタービンランナ20の外径側に導かれる。外径側からタービンランナ20に流入した作動流体は、タービンブレード21に沿って、タービンランナ20の外径側から内径側に導かれる。この作動流体がタービンブレード21に導かれる過程で、作動流体がタービンランナ20にトルクを伝達する。
また、タービンランナ20の内径側から流出した作動流体は、静止しているステータ30Aに導かれる。ステータ30Aは、タービンランナ20から流入する作動流体の流れの方向がポンプインペラ10の回転を妨げない方向となるように、作動流体の流れを変える。この流れを変えた作動流体をポンプインペラ10のポンプブレード11が受け取ることでトルクが作り出される。こうして、トルクコンバータTCは、ポンプインペラ10からタービンランナ20に伝達するトルクを増幅させる。
次に、ポンプインペラ10の回転方向を正回転とした場合の作動流体の流れ及びポンプインペラ10からタービンランナ20に伝達されるトルクについて、図を用いて説明する。図8は、第2実施形態のトルクコンバータTC1の正回転時における作動流体の流れ及び伝達トルクを説明する図である。
図8に示すように、作動流体は、図中上方から、ポンプインペラ10に流入する。ここでの作動流体の流入方向(図中下方向)は、後述のように、ステータ30Aを通った後の作動流体の流れる方向に基づいている。
作動流体がポンプインペラ10に流入する際、ポンプインペラ10は正回転方向に回転しているため、ポンプインペラ10のポンプブレード11は、周方向の図中右側に移動している。すると、作動流体は、ポンプブレード11から図中右側の方向のトルクを得て、図中右下方向に向かって流出する。
作動流体は、タービンランナ20に図中右下方向に向かって流入し、タービンランナ20の第一タービンブレード21aに当たる。これにより、作動流体がタービンランナ20を正回転方向に回転させる。その後、作動流体は、第一タービンブレード21aからの反力により、図中左下方向に向かって流出する。
作動流体は、ステータ30Aに図中左下方向に向かって流入する。ここで、ステータ30Aは静止しているため、作動流体は、ステータブレード35からの反力により、図中下方向に流れを変えて流出する。
ステータ30Aにおける図中下方向の作動流体の流れは、ポンプインペラ10に再び図中上方から流入する作動流体が流れる方向となる。このように、ステータ30Aのステータブレード35は、流入した作動流体の図中左下方向の流れのうち、図中左方向の流れを打ち消し、ポンプインペラ10へと作動流体を導く。
そして、ポンプインペラ10の正回転時においてはポンプブレード11が図中右方向に移動しているため、ステータ30Aが作動流体の図中左方向の流れを打ち消してポンプインペラ10へ作動流体を導くことで、ポンプインペラ10の回転を妨げない。
このように、ポンプインペラ10の正回転時において、ポンプインペラ10及びタービンランナ20を通過した作動流体が、ステータ30Aで整流されることにより、タービンランナ20に伝達されるトルクが増幅される。具体的に、正回転時のポンプインペラ10が伝達するトルクTp1よりもタービンランナ20に伝達されるトルクTt1は、大きくなる(Tt1>Tp1)。
次に、ポンプインペラ10の回転方向を逆回転とした場合の作動流体の流れ及びポンプインペラ10からタービンランナ20に伝達されるトルクについて、図を用いて説明する。図9は、第2実施形態のトルクコンバータTC1の逆回転時における作動流体の流れ及び伝達トルクを説明する図である。
図9に示すように、作動流体は、図中上方から、ポンプインペラ10に流入する。ここでの作動流体の流入方向(図中下方向)は、後述のように、ステータ30Aを通った後の作動流体の流れる方向に基づいている。
作動流体がポンプインペラ10に流入する際、ポンプインペラ10は逆回転方向に回転しているため、ポンプインペラ10のポンプブレード11は、周方向の図中左側に移動している。すると、作動流体は、ポンプブレード11から図中左側の方向のトルクを得て、図中左下方向に向かって流出する。
作動流体は、タービンランナ20に図中左下方向に向かって流入し、タービンランナ20の第二タービンブレード21bに当たる。これにより、作動流体がタービンランナ20を逆回転方向に回転させる。その後、作動流体は、第二タービンブレード21bからの反力により、図中右下方向に向かって流出する。
作動流体は、ステータ30Aに図中右下方向に向かって流入する。ここで、ステータ30Aは静止しているため、作動流体は、ステータブレード35からの反力により、図中下方向に流れを変えて流出する。
ステータ30Aにおける図中下方向の作動流体の流れは、ポンプインペラ10に再び図中上方から流入する作動流体が流れる方向となる。このように、ステータ30Aのステータブレード35は、流入した作動流体の図中右下方向の流れのうち、図中右方向の流れを打ち消し、ポンプインペラ10へと作動流体を導く。
そして、ポンプインペラ10の逆回転時においてはポンプブレード11が図中左方向に移動しているため、ステータ30Aが作動流体の図中右方向の流れを打ち消してポンプインペラ10へ作動流体を導くことで、ポンプインペラ10の回転を妨げない。
このように、ポンプインペラ10の逆回転時において、ポンプインペラ10及びタービンランナ20を通過した作動流体が、ステータ30Aで整流されることにより、タービンランナ20に伝達されるトルクが増幅される。具体的に、逆回転時のポンプインペラ10が伝達するトルクTp1よりもタービンランナ20に伝達されるトルクTt1は、大きくなる(Tt1>Tp1)。
以上のように、本実施形態によれば、タービンランナ20のタービンブレード21を、第一タービンブレード21aと第二タービンブレード21bと、から構成されることとする。すると、ポンプインペラ10の回転方向が正回転のときに、ポンプインペラ10からタービンランナ20に流入する作動流体が第一タービンブレード21aに当たることで、タービンランナ20を正回転方向に回転させる。また、タービンランナ20からステータ30Aに流入する作動流体がステータ30Aの軸方向において直線状に形成されるステータブレード35に当たると、作動流体の流れが、ステータ30Aの周方向において変わる。すると、ステータ30Aから流出した作動流体の流れる方向がポンプインペラ10の回転を妨げない。これにより、ポンプインペラ10の回転方向が正回転のときにおいて、ポンプインペラ10に入力した回転動力が、増幅されてタービンランナ20から出力される。一方、ポンプインペラ10の回転方向が逆回転のときに、ポンプインペラ10からタービンランナ20に流入する作動流体が第二タービンブレード21bに当たることで、タービンランナ20を逆回転に回転させる。また、タービンランナ20からステータ30Aに流入する作動流体がステータ30Aの軸方向において直線状に形成されるステータブレード35に当たると、作動流体の流れが、ステータ30Aの周方向において変わる。すると、ステータ30Aから流出した作動流体の流れる方向がポンプインペラ10の回転を妨げない。これにより、ポンプインペラ10の回転方向が逆回転のときにおいて、ポンプインペラ10に入力した回転動力が、増幅されてタービンランナ20から出力される。
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲、及び明細書と図面に記載された技術的思想の範囲内において種々の変形が可能である。