JP6799435B2 - マンガン除去方法 - Google Patents

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Description

本発明は、主に上水処理で用いられるマンガン除去方法に関する。
上水事業における膜型浄水には、前処理として、原水中の溶解性マンガンを除去するマンガン除去処理が付随している。上水処理におけるマンガン除去処理は、マンガン酸化物による着色問題に直接関わることから重要な処理プロセスと位置付けられている。上水事業におけるマンガン除去処理には、マンガン除去を行うろ層上部から下部に向かって通水する下向流方式と、ろ層下部から上部に向かって通水する上向流方式と、ろ層の一端から他端に向けて水平方向に通水する横流方式と、がある。従来、上水事業におけるマンガン除去処理は、ろ層としてマンガン砂を用いた下向流方式で行われることが一般的である。
しかしながら、下向流方式のマンガン砂のろ層は、濁質物質による目詰まり、すなわち濁質閉塞が生じ易いため、通水速度を向上させるには限界があった。それに対し、上向流方式のマンガン砂のろ層では、上向流がマンガン砂に運動エネルギーを与えるため、マンガン砂同士の間隙が開き易くなる。そのため、ろ層の目詰まりがしにくくなり、濁質閉塞の問題が改善する。
例えば、特許文献1には、比重が3以上の酸化マンガン触媒(マンガン砂)が充填されたろ層を有する上向流方式のマンガン接触塔の例が開示されている。このマンガン接触塔では、1000m/日以上の通水速度が実現可能という。しかしながら、これで濁質閉塞の問題がすべて解決したわけではない。特許文献1では、酸化マンガン触媒に濁質が付着することは避けられないものとして、平常運転の通水速度を超える2000〜3000m/日の高速の上向流を通水させて、酸化マンガン触媒を洗浄することが記載されている。なお、本明細書では、通水速度は、通水の線速度を意味するものとする。
特許3786888号公報
特許文献1に開示されたマンガン接触塔によれば、高速上向流で洗浄を行えば、酸化マンガン触媒すなわちマンガン砂への濁質付着を防止することができるという。逆に言えば、マンガン砂への濁質付着は、洗浄なしには防止できないことを意味する。洗浄中の原水は、家庭などに配水する上水として使用できなくなる。すなわち、マンガン砂の洗浄を行うことは、水回収率(水の利用効率)の低下を意味し、水回収率の低下は、浄水場の経営効率の低下につながる。したがって、浄水場には、マンガン砂の洗浄頻度を下げることなどで経営効率の向上を図ることが求められる。
本発明の目的は、マンガン砂の洗浄頻度を下げ、水の利用効率の向上を図ることが可能なマンガン除去方法を提供することにある。
前記目的を達成するために、本発明に係るマンガン除去方法は、二酸化マンガンがコーティングされたろ材からなるろ層に上向流の原水を通水して前記原水中の溶解性マンガンを除去するマンガン接触塔と、前記マンガン接触塔に送水する原水に次亜塩素酸を供給する次亜塩素酸供給装置と、を備えてなるマンガン除去装置におけるマンガン除去方法であって、前記マンガン接触塔に原水を送水する工程と、前記マンガン接触塔に送水される原水に次亜塩素酸を供給する工程と、前記マンガン接触塔内で前記原水を前記ろ層に通水させて、前記原水中の溶解性マンガンを除去する工程と、を備え、前記ろ材の比重は、1より大きくかつ2以下であり、前記原水を前記マンガン接触塔に送水する工程では、前記マンガン接触塔内における前記上向流の通水速度がゼロである場合の前記ろ層の厚みに対する、前記上向流の通水速度がゼロより大きい場合に前記ろ層の厚みが増大するときの前記ろ層の厚みの増大量の比である前記ろ材の展開率が25%以上かつ300%未満となるような前記上向流の通水速度を実現する量の前記原水を前記マンガン接触塔に送水することを特徴とする。
本発明によれば、マンガン砂の洗浄頻度を下げ、水の利用効率の向上を図ることが可能なマンガン除去方法が提供される。
本発明の実施形態に係るマンガン除去装置の構成の例を模式的に示した図。 マンガン接触塔における展開率の概念を説明する図であり、(a)は、上向流の通水速度がゼロのときのろ層の状態を示した図、(b)は、上向流の通水速度がゼロでないときのろ層の状態を示した図、(c)は、展開率の定義式を示した図。 マンガン砂の比重の相違による処理水中の溶解性マンガン濃度の時間推移の相違を表した図。 ろ層におけるろ材の展開率とろ層通水前後の濁度の変化量との関係を示した図。 ろ層におけるろ材の展開率と処理水中の全マンガン濃度または溶解性マンガン濃度との関係を示した図。 本発明の実施形態の変形例に係るマンガン除去装置の構成の例を模式的に示した図。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、各図面において、共通する構成要素には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
図1は、本発明の実施形態に係るマンガン除去装置1の構成の例を模式的に示した図である。図1に示すように、マンガン除去装置1は、マンガン接触塔2および次亜塩素酸供給装置3を主たる構成要素として備える。マンガン接触塔2には、送水ポンプ4および原水配管5を介して溶解性マンガンを含んだ原水が供給される。ここで、溶解性マンガンとは、原水中に溶解しているマンガンイオン(Mn2+)をいう。
また、送水ポンプ4からマンガン接触塔2に到る原水配管5の途中には、原水に次亜塩素酸(HClO)を供給する次亜塩素酸供給装置3が設けられている。このとき、原水中に添加される次亜塩素酸の濃度(残留有効塩素濃度)は、原水中の溶解性マンガンの濃度の2倍から最大1.5mg/L程度であるとする。なお、次亜塩素酸供給装置3からは、通常は、次亜塩素酸(HClO)そのものではなく、取り扱い易い次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)が添加される。次亜塩素酸ナトリウム(NaClO)は、水に溶けると、次亜塩素酸(HClO)と水酸化ナトリウム(NaOH)に変化する。
マンガン接触塔2は、例えばステンレスなどからなる円筒状の筐体内部に、マンガン砂をろ材とするろ層23と、ろ層23を支持する支持層22と、ろ層23および支持層22を貫通するように上下方向に設けられた原水給水管20と、を備えて構成される。そして、マンガン接触塔2の内部の支持層22の下方の空間は、原水を一時貯留する原水貯留部21として用いられ、また、ろ層23の上部の空間は、ろ層23でろ過した処理水を一時貯留する処理水貯留部24として用いられる。
以上のように構成されたマンガン接触塔2において、原水配管5を介して送水される原水は、原水給水管20を経由して最下部の原水貯留部21に給水され、貯留される。原水貯留部21に貯留された原水は、上向流となって支持層22およびろ層23を通過し、溶解性マンガンが除去された処理水となり、処理水貯留部24に貯留される。そして、処理水貯留部24に貯留された処理水の上部の処理水は、マンガン除去処理水として処理水配管9を介して、マンガン接触塔2の外へ排出される。なお、原水の供給は送水ポンプ4による送水に限定されず、例えば、上流側と下流側の水位差を利用した自然流下式の送水方法で原水を送水してもよい。
ここで、ろ層23は、二酸化マンガン(MnO)がコーティングされたマンガン砂をろ材として構成される。本実施形態では、マンガン砂としては、比重が1〜2程度、また、粒径が0.6〜1.4mm程度のものを用いる。なお、二酸化マンガンがコーティングされたマンガン砂の母材は、自然砂に限定されず、セラミックスや樹脂などからなる人工砂であってもよい。
支持層22は、ステンレス板などからなり、前記ステンレス板は、例えば多数の原水噴出ノズルを有するステンレス製の支持板(図示せず)や、多数の貫通小孔を有する支持板(図示せず)から構成される。すなわち、支持層22は、上向流の原水を自在に通水させるとともに、ろ層23を支持する役割を果たす。
なお、本実施形態に係るマンガン除去装置1は、マンガン接触塔2から排出されるマンガン除去処理水の一部または全部を原水側に循環させるための循環水配管8に加え、それに付随する循環水送水ポンプ7、バルブ6を備えてもよい。さらに、マンガン接触塔2の処理水貯留部24に貯留されている処理水の表面の下層位置には、マンガン砂流失防止用のメッシュフィルタ25を設けてもよい。また、原水貯留部21の底部には、ブロワ10により駆動されるスパージャ26を設けてもよい。これらの構成要素の役割については、後記にて詳しく説明する
続いて、ろ層23において溶解性マンガンが除去される原理について説明する。マンガン砂は、母材に二酸化マンガン(MnO)がコーティングされたものである。この二酸化マンガン(MnO)は、水中では、水分子が結合した状態のMnO・HOいう物質に変化する。この物質(MnO・HO)にさらに水中のマンガンイオン(Mn2+)が結合すると、MnO・MnO・HOという物質に変化する。すなわち、マンガン砂の表面では、溶解性マンガンの除去反応として、次の式(1)の化学変化が起きる。
Mn2++MnO・HO+HO→MnO・MnO・HO+2H (1)
すなわち、式(1)の化学反応により、溶解性マンガン(Mn2+)は、不溶性の物質(MnO・HO)に取り込まれる形で、不溶性の物質(MnO・MnO・HO)に変化する。この不溶性の物質(MnO・MnO・HO)は、マンガン砂の表面に付着したままの状態となるが、このとき、水中に次亜塩素酸(HClO)が存在すると、次の式(2)の化学反応が起きる。
MnO・MnO・HO+HClO→2MnO・HO+HCl (2)
すなわち、式(2)の化学反応により、マンガン砂の表面に付着した状態の不溶性の物質(MnO・MnO・HO)は、もとの二酸化マンガンに水分子が結合した状態の物質(MnO・HO)に戻る。つまり、マンガン砂の表面にコーティングされた二酸化マンガン(MnO:ただし、水中ではMnO・HO)は、溶解性マンガン(Mn2+)の除去反応の触媒として機能する。そして、その触媒機能は、水中に必要な濃度の次亜塩素酸(HClO)が存在する限り失われない。
以上のような溶解性マンガン除去の原理に基づけば、ろ層23中では、原水中のマンガンイオン(Mn2+)をできるだけマンガン砂の表面に接触させることが、溶解性マンガン除去に効果があることが分かる。
ところで、ろ層23のろ材であるマンガン砂には、原水を通水する経過時間とともに、原水中の各種の不純物である濁質が付着する。マンガン砂に濁質が付着すると、マンガン砂の表面の二酸化マンガンが覆われることになるので、その分、溶解性マンガン除去の機能が失われることとなる。そのため、マンガン砂は、適宜洗浄しなければならない。しかしながら、前記したように、マンガン砂の洗浄を行うと、処理水の回収効率が低下する。したがって、マンガン砂にはできるだけ濁質が付着しないようにすることが重要である。
そこで、本発明の発明者らは、マンガン接触塔2におけるろ層の23の構成要件や通水要件などを検討し、以下に説明するような実験結果を得た。ここでは、その実験結果を示す前に、ろ層23のろ材の展開率(以下、単に展開率という)という概念について説明する。
図2は、マンガン接触塔2における展開率の概念を説明する図であり、(a)は、上向流の通水速度がゼロのときのろ層23の状態を示した図、(b)は、上向流の通水速度がゼロでないときのろ層23の状態を示した図、(c)は、展開率の定義式を示した図である。図2(a)に示すように、上向流の通水速度がゼロのとき、すなわち、上向流がないときには、ろ層23を構成するマンガン砂は、支持層22の上部に静止して堆積された状態にある。そこで、このときのろ層23の厚みをh0と表す。
一方、上向流の通水速度がゼロでないとき、すなわち、上向流が生じたときには、ろ層23を構成するマンガン砂は、間隙に上向流が入り込むとともに、上向流から受ける運動エネルギーにより、相互の間隙が広がることとなる。したがって、図2(b)に示すように、ろ層23の厚みが増加する。そこで、このときのろ層23の厚みをh1と表す。
なお、この上向流の通水速度がゼロでないときのろ層23の厚をh1は、ろ層23を構成するマンガン砂の比重、粒径、上向流の通水速度などに依存するものと考えられる。
ここで、図2(c)に示す式により、展開率を定義する。すなわち、展開率とは、上向流がないときのろ層23の厚みh0に対する、上向流が生じたときのろ層23の厚みの増加量(h1−h0)の比と定義される。したがって、展開率が大きいことは、ろ層23内のマンガン砂の間隙が大きく広がって、その間隙には、多量の原水が入り込んでいることを意味する。
したがって、一般的には、上向流の通水速度を大きくし、展開率を大きくすれば、ろ層23内のマンガン砂の間隙が広がるため、マンガン砂に濁質が付着しにくくなるだけでなく、いったん付着した濁質が洗浄される効果も生じると考えられる。そのため、濁質閉塞や溶解性マンガンの除去能力の低下を防止する観点では、展開率は大きい方がよいと考えられる。
しかしながら、展開率を大きくするために通水速度を上げ過ぎると、原水がろ層23を通過する時間が減少し、原水がマンガン砂に接触する時間が減少することとなる。そのため、ろ層23による溶解性マンガンの除去能力が低下する結果となる。すなわち、展開率には、適切な上限値と下限値があると考えられる。
図3は、マンガン砂の比重の相違による処理水中の溶解性マンガン濃度の時間推移の相違を表した図である。なお、図3のグラフの横軸は、新しいマンガン砂をろ層23のろ材として使用し始めてからの経過時間を表し、縦軸は、溶解性マンガンの濃度を表す。また、同グラフ中において、小さい菱形は、マンガン砂の比重が1〜2程度であるときのデータ、大きい四角は、マンガン砂の比重が2.5程度であるときのデータを表す。なお、両者の上向流の通水速度は同じである。
図3のグラフによれば、マンガン砂の比重が1〜2程度である場合には、時間が経過しても処理水中の溶解性マンガン濃度は、ゼロに近いところからほとんど変化していない。一方、マンガン砂の比重が2.5程度である場合には、時間の経過とともに、処理水中の溶解性マンガン濃度が増加している。これは、マンガン砂の比重が大きい場合には、マンガン砂の溶解性マンガン除去能力が時間の経過とともに低下することを意味する。
すなわち、マンガン砂の比重が1〜2程度と小さい場合には、上向流によって容易に動くため、マンガン砂同士の間隙が大きくなり、展開率が大きくなる。そのため、マンガン砂には濁質が付着しにくくなり、時間が経過しても、マンガン砂の溶解性マンガン除去能力は、ほとんど低下せずに済んでいると考えられる。
それに対し、マンガン砂の比重が大きい場合には、マンガン砂が上向流によって動く程度が小さくなるため、展開率が大きくならず、マンガン砂同士の間隙もあまり大きくならない。そのため、マンガン砂に濁質が付着しやすくなり、マンガン砂の溶解性マンガン除去能力が時間の経過とともに低下したものと考えられる。
そこで、本実施形態に係るマンガン接触塔2におけるろ層23のろ材としては、比重が1より大きく2以下のマンガン砂を用いることとした。
図4は、ろ層23におけるろ材の展開率とろ層23通水前後の濁度の変化量との関係を示した図である。なお、図4のグラフの横軸は、ろ層23におけるろ材(マンガン砂)の展開率を表し、縦軸は、ろ層23通水前後の濁度の変化量、すなわち、ろ層23を通水後の処理水の濁度からろ層23を通水前の原水の濁度を差し引いた値を表す。
図4によれば、展開率25%を境にして、展開率25%未満では、ろ層23を通水した処理水の濁度のほうが、通水前の原水の濁度より小さくなっていることが分かる。これは、原水に含まれる濁質がろ層23を構成するマンガン砂に付着した結果を表すものに他ならない。前記したように、マンガン砂に濁質が付着すると、マンガン砂の溶解性マンガン除去能力が低下するので、本実施形態では、展開率が25%以上となるように上向流の通水速度などを調整するものとした。
なお、図4において、展開率25%以上になると、わずかではあるが、処理水の濁度のほうが原水の濁度より大きくなっている。これは、ろ層23の中でマンガン砂同士がぶつかり合って、表面にコーティングされた不溶性の二酸化マンガンの一部が剥離したことによる濁度の増加であると考えられる。
図5は、ろ層23におけるろ材の展開率と処理水中の全マンガン濃度または溶解性マンガン濃度との関係を示した図である。なお、図5のグラフの横軸は、ろ層23におけるろ材(マンガン砂)の展開率を表し、縦軸は、処理水中の全マンガン濃度または溶解性マンガン濃度を表す。また、同グラフ中において、黒丸は、全マンガン濃度のデータを表し、白の四角は、溶解性マンガン濃度のデータを表す。
図5によれば、溶解性マンガン濃度は、展開率が200%や300%に増大しても大きな変化はしないが、全マンガン濃度は、展開率が300%に増大すると急激に増加している。ここで、全マンガン濃度とは、処理水の1L当たりに含まれる溶解性マンガンの重量と不溶性マンガンの重量とを合計した重量をいう。したがって、図5は、展開率が300%になると不溶性のマンガンが急激に増加したことを意味する。
本実施形態では、処理水中に含まれる不溶性のマンガンは、マンガン砂にコーティングされた二酸化マンガンの一部が剥離した破片であると考えられる。展開率が300%程度まで大きくなるということは、それに応じて通水速度も大きくなっていることなる。そして、通水速度が大きくなれば、マンガン砂も大きな運動エネルギーを得ることになる。したがって、大きな運動エネルギーを有するマンガン砂同士がぶつかり合うことになれば、マンガン砂にコーティングされた二酸化マンガンが剥離し易くなるのは当然のことといえる。
マンガン砂の二酸化マンガンの一部が剥離していくと、マンガン砂の溶解性マンガン除去能力が低下する。そこで、本実施形態では、展開率が300%を超えないように上向流の通水速度などを調整するものとした。
以上、図3〜図5に示したグラフから導出されることをまとめると、次のようになる。
(1)通水速度が同じ場合には、ろ層23のろ材は、比重が1より大きく2以下のマンガン砂は、比重が2.5程度のマンガン砂よりも濁質が付着しにくい。
(2)ろ層23のろ材の展開率が25%を下回ると、マンガン砂に濁質が付着し易くなるので、溶解性マンガンの除去能力が低下する。
(3)ろ層23のろ材の展開率が300%以上になると、マンガン砂の表面が剥離し易くなるので、溶解性マンガンの除去能力が低下する。
なお、前記(1)の結果は、(2)の結果に含まれる結果ともいえる。そこで、本実施形態では、前記したように、ろ層23のろ材の展開率が25%以上かつ300%未満となるよう、ろ層23の上向流の通水速度を調整するものとした。また、その場合、ろ層23のろ材としては、比重が1より大きく2以下のマンガン砂を用いるものとした。
ところで、比重が2.5〜3程度の自然砂よりも軽い、比重が1〜2程度のマンガン砂を用いた場合で、とくに、展開率が200〜300%程度と大きい、すなわち通水速度が大きいときには、マンガン砂の流失が問題となる。そこで、本実施形態では、図1に示すように、マンガン接触塔2の処理水貯留部24に貯留されている処理水の表面の下層位置には、ろ層23を通過した処理水の処理水配管9入り口までの流路を遮るようにメッシュフィルタ25が設けられている。
このメッシュフィルタ25のメッシュの目のサイズは、マンガン砂の粒径(本実施形態では、0.6〜1.4mm程度)よりも小さく、濁質の径よりも大きい、例えば0.1〜0.2mm程度であるとする。したがって、マンガン砂は、処理水貯留部24に留まることとなり、処理水配管9を介してのマンガン砂の流失が防止される。
なお、メッシュフィルタ25を設ける位置は、ろ層23の上部位置の任意の位置と処理水配管9入り口とをつなぐ処理水の流路を全面にわたって塞ぐことができる位置であれば、どこの位置であってもよい。
また、本実施形態では、原水貯留部21の底部には、例えば二重リング状のスパージャ26が設けられている。スパージャ26には、多数の気孔が設けられており、ブロワ10から送風される空気がその気孔から気泡となって原水貯留部21内に送出される。これらの気泡が支持層22を通過し、ろ層23に入ると、ろ層23では、気泡の浮力により、マンガン砂が上向きの運動エネルギーを得ることとなり、結果として、ろ層23の展開率が増加する。
したがって、例えば原水不足のため、ろ層23の必要な展開率を実現するための上向流の通水速度が得られないような場合には、ブロワ10を作動させ、スパージャ26から気泡を送出するようにすれば、前記必要となる展開率を得ることが可能となる。
さらに、本実施形態では、原水の不足に備える構成要素として、処理水配管9から分岐して原水配管5に合流する循環水配管8を備えている。そして、循環水配管8の途中には、バルブ6および循環水送水ポンプ7が設けられている。バルブ6は、通常時は閉鎖されており、原水不足時などに開放され、循環水送水ポンプ7が作動し、処理水配管9から取水された循環水が原水配管5へ還流される。
以上、本発明の実施形態に係るマンガン除去装置1では、マンガン接触塔2内のろ層23のろ材として比重の小さい(比重が1〜2程度)マンガン砂が用いられているので、上向流の通水速度が小さくても展開率を大きくすることができる。そのため、マンガン砂に濁質が付着しにくくなるため、マンガン砂の洗浄頻度を低減させることができる。
マンガン砂の洗浄に処理水が用いられることを考慮すれば、マンガン砂の洗浄頻度を低減できるということは、水回収率を向上させることができることを意味する。したがって、本実施形態に係るマンガン除去装置1は、水回収率、すなわち水の利用効率向上を図ることができるという効果を奏する。
図6は、本発明の実施形態の変形例に係るマンガン除去装置1aの構成の例を模式的に示した図である。図6に示すように、本変形例に係るマンガン除去装置1aは、図1に示したマンガン除去装置1とは、マンガン砂流出用のメッシュフィルタ25の代わりに沈殿池11が設けられている点を除けば、他の構成は同じである。なお、図6では、循環水配管8やスパージャ26などは、図示省略されている。
本変形例では、メッシュフィルタ25が設けられていないので、マンガン接触塔2aから排出される処理水(以下、一次処理水という)には、流失するマンガン砂が含まれている。この一次処理水は、一次処理水配管9aを介して沈殿池11に放流され、一次処理水に含まれるマンガン砂は、沈殿池11で回収される。そのため、沈殿池11は、軽いマンガン砂であっても沈殿し易いように、とくに上向流の通水速度が極めて小さくなるように構成されている。さらには、沈殿池11の上向流の流路には、マンガン砂などの沈降を促進するための傾斜板111などが設けられている。そして、沈殿池11における上向流の表面水は、マンガン砂が回収された二次処理水として、二次処理水配管9bを介して外部へ排出される。
なお、沈殿池11の底部には、マンガン砂が沈殿するが、沈殿したマンガン砂は、吸引ポンプ122によって沈殿池11からマンガン砂循環配管9c内に吸い出され、マンガン砂循環配管9cを介して、マンガン接触塔2aの内部へ戻される。
以上、図6に示したマンガン除去装置1aの構成でも、ろ層23のろ材として、比重が1より大きく2以下のマンガン砂を用い、ろ層23のろ材の展開率を25%以上300%未満とすることができる。したがって、マンガン除去装置1aでもマンガン除去装置1と同様にろ材に濁質が付着しにくくなるので、マンガン砂の洗浄頻度を低減させることができる。よって、本変形例でも、水回収率、すなわち水の利用効率向上を図ることができるという効果を奏する。
本発明は、以上に説明した実施形態および変形例に限定されるものではなく、さらに、様々な変形例が含まれる。例えば、前記した実施形態および変形例は、本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態や変形例の構成の一部を、他の実施形態や変形例の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態や変形例の構成に他の実施形態や変形例の構成を加えることも可能である。また、各実施形態や変形例の構成の一部について、他の実施形態や変形例に含まれる構成を追加・削除・置換することも可能である。
1,1a マンガン除去装置
2,2a マンガン接触塔
3 次亜塩素酸供給装置
4 送水ポンプ
5 原水配管
6 バルブ
7 循環水送水ポンプ
8 循環水配管
9 処理水配管
9a 一次処理水配管
9b 二次処理水配管
9c マンガン砂循環配管
10 ブロア
11 沈殿池
20 原水給水管
21 原水貯留部
22 支持層
23 ろ層
24 処理水貯留部
25 メッシュフィルタ
25 スパージャ
111 傾斜版
112 吸引ポンプ

Claims (4)

  1. 二酸化マンガンがコーティングされたろ材からなるろ層に上向流の原水を通水して前記原水中の溶解性マンガンを除去するマンガン接触塔と、前記マンガン接触塔に送水する原水に次亜塩素酸を供給する次亜塩素酸供給装置と、を備えてなるマンガン除去装置におけるマンガン除去方法であって、
    前記マンガン接触塔に原水を送水する工程と、
    前記マンガン接触塔に送水される原水に次亜塩素酸を供給する工程と、
    前記マンガン接触塔内で前記原水を前記ろ層に通水させて、前記原水中の溶解性マンガンを除去する工程と、を備え、
    前記ろ材の比重は、1より大きくかつ2以下であり、
    前記原水を前記マンガン接触塔に送水する工程では、前記マンガン接触塔内における前記上向流の通水速度がゼロである場合の前記ろ層の厚みに対する、前記上向流の通水速度がゼロより大きい場合に前記ろ層の厚みが増大するときの前記ろ層の厚みの増大量の比である前記ろ材の展開率が25%以上かつ300%未満となるような前記上向流の通水速度を実現する量の前記原水を前記マンガン接触塔に送水すること
    を特徴とするマンガン除去方法。
  2. 前記マンガン除去装置は、
    前記ろ層を通水した処理水の少なくとも一部を前記マンガン接触塔の前記原水の流入口側に循環させる循環水配管と循環水送水ポンプとをさらに備え、
    前記原水を前記マンガン接触塔に送水する工程では、前記ろ材の展開率を25%以上かつ300%未満とするための前記マンガン接触塔へ送水する前記原水が不足する場合には、前記原水の不足する量に相当する前記処理水を、前記循環水送水ポンプによって、前記循環水配管を介して前記マンガン接触塔に送水すること
    を特徴とする請求項1に記載のマンガン除去方法。
  3. 前記マンガン除去装置は、
    前記マンガン接触塔の底部の前記ろ層の下方部に設けられ、空気泡を放出するスパージャと、
    前記スパージャに空気を送出するブロワと、
    をさらに備え、
    前記原水を前記マンガン接触塔に送水する工程では、前記ろ材の展開率を25%以上かつ300%未満とするための前記マンガン接触塔へ送水する前記原水が不足する場合には、前記ブロワによって、前記スパージャに空気を送り、前記スパージャから気泡を放出させること
    を特徴とする請求項1に記載のマンガン除去方法。
  4. 前記マンガン除去装置は、
    前記ろ層を通水した処理水に含まれて流出する前記ろ材を沈殿させる沈殿池と、
    前記沈殿池に沈殿した前記ろ材を吸引して取り出し、前記マンガン接触塔へ戻すマンガン砂循環手段と、
    をさらに備え、
    前記原水中の溶解性マンガンを除去する工程では、前記マンガン接触塔から排出される前記処理水を前記沈殿池に放流し、前記沈殿池に沈殿した前記ろ材を、前記マンガン砂循環手段によって、前記マンガン接触塔へ戻して前記原水中の溶解性マンガンを除去すること
    を特徴とする請求項1に記載のマンガン除去方法。
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