しかしながら特許文献1記載の技術は、全周に亘って銅線が繋がったコイルステータを磁石ロータと実際上如何にして組み合わせるかについて記載していず、発電機の組立性について課題がある。
それゆえこの発明は、鉄心が無いコアレスコイルによる回転電気機械において、上記課題を有利に解決し、組立容易な構成を備え、特に発電機として用いた場合には回転に必要な入力トルクが小さく、始動性が良く、トルク脈動の少ない、高効率のコアレス回転電気機械を提供することを目的とする。
この発明のコアレス回転電気機械は、
マグネットと、そのマグネットを固定支持するシャフトと、コアレスのコイルと、そのコイルを固定支持するコイルカバーと、それらマグネットとシャフトとコイルとコイルカバーとをシャフトの少なくとも一端部が外部に突出した状態で収容し、そのコイルカバーを固定支持するとともにそのシャフトを回転自在に支持するケースと、を備えるコアレス回転電気機械において、
前記ケースは、筒状をなすケース本体と、そのケース本体の一端部を閉止する蓋部材とを有しており、
前記マグネットは、中心部に前記シャフトが挿通される穴を持つとともに周方向に複数の磁極を持って円盤状をなす永久磁石であり、
前記コイルは、リング状をなすとともに前記シャフトの周囲に配置されて少なくとも1層のコイル層を形成しており、
前記コイルカバーは、前記マグネットの周囲を囲む筒状部と、その筒状部の内側で前記コイルを支持するコイル支持部とを有しており、
少なくとも1層の前記コイル層と、少なくとも一つの前記マグネットとが、前記シャフトの軸線方向に交互に配置された状態で、少なくとも前記蓋部材が前記コイルカバーの筒状部に対し前記シャフトの軸線方向に重なるとともに周方向に掛合してサブアッセンブリーを構成しており、
そのサブアッセンブリーが、前記ケース本体内に収容されて前記蓋部材がそのケース本体の一端部に対し前記シャフトの軸線方向および周方向に固定されていることを特徴としている。
この発明のコアレス回転電気機械にあっては、ケース本体内に収容されて蓋部材をケース本体の一端部に対しシャフトの軸線方向および周方向に固定されたサブアッセンブリーのコイルカバーが、コイル支持部で支持したコイルが形成するコイル層を筒状部でケース本体に対して位置決めし、例えば発電機として用いた場合には、シャフトに固定支持されてその軸線方向にコイル層と交互に配置されたマグネットの各磁極からの磁力線が、ケースに回転自在に支持されたシャフトのケースに対する回転に伴ってコイル層のコイルに交流電圧を発生させる。
従って、この発明のコアレス回転電気機械によれば、コイルが鉄心のないコアレスのものであるので、発電機として用いた場合には回転させるのに大きな入力トルクが不要で、特に風力発電や水力発電等に用いる場合に良好な始動性を得ることができ、また回転トルクの脈動が小さいため、高い発電効率を得ることができ、しかもコイルをマグネットの有効磁束の中に容易に配置することができるので、回転電気機械を小型化できる。
さらにこの発明のコアレス回転電気機械にあっては、シャフトの周囲に配置されたコイルを有する少なくとも1層のコイル層と、少なくとも一つのマグネットとが、シャフトの軸線方向に交互に配置された状態で、少なくとも蓋部材がコイルカバーの筒状部に対しシャフトの軸線方向に重なるとともに周方向に掛合してサブアッセンブリーを構成しているので、そのサブアッセンブリーをケース本体内に収容して蓋部材をケース本体の一端部に対しシャフトの軸線方向および周方向に固定することで、コアレス回転電気機械が組み立てられる。
従って、この発明のコアレス回転電気機械によれば、マグネットと、そのマグネットを固定支持するシャフトと、コアレスのコイルと、そのコイルを固定支持するコイルカバーと、それらマグネットとシャフトとコイルとコイルカバーとをシャフトの少なくとも一端部が外部に突出した状態で収容し、そのコイルカバーを固定支持するとともにそのシャフトを回転自在に支持するケースと、を備えるコアレス回転電気機械を、容易に且つ高精度に組み立てることができ、また、コイルカバーとケースとの接触で放熱量を増加させて、巻き線抵抗の増大等による発電量の損失を低減させることができる。
なお、この発明のコアレス回転電気機械においては、前記コイルカバーは、周方向に複数のセグメントに分割されていると好ましい。このようにすれば、それらのセグメントを組み合わせてコイルカバーを組み立てることでサブアッセンブリーひいてはケース内の所定位置にコイルを容易に精度良く配置することができるとともに、コイル層やロータのマグネットが多層の場合でもロータの組立て後にコイルを組み付けることができるので、ロータのバランス調整を容易に行うことができる。
また、この発明のコアレス回転電気機械においては、前記ケース本体は、前記一端部と反対の側の他端部に底部を有し、その底部で前記サブアッセンブリーに対し前記シャフトの軸線方向に掛合していると好ましい。このようにすれば、ケース本体内に収容したサブアッセンブリーを底部でケース本体に容易に且つ確実に位置決めできるので、回転電気機械の組立性と組立精度を向上させることができる。
さらに、この発明のコアレス回転電気機械においては、中心部に前記シャフトが通る穴を持つ少なくとも1枚のヨークを前記シャフトが固定支持していると好ましい。このようにすれば、ヨークがマグネットの漏れ磁束を軽減し、磁気回路中の磁束変動を抑制するので、トルクと発電性能の変動を軽減することができる。少なくとも1枚のヨークは、コイルカバーに配置することもできる。
そして、この発明のコアレス回転電気機械においては、前記ヨークが、そのヨークに向く前記マグネットの面に接着固定されていると好ましい。このようにすれば、コアレス回転電気機械の組立時に加締め等による外力でのマグネットの減磁が生じないので、効率の良い回転電気機械を構成することができる。
また、この発明のコアレス回転電気機械においては、少なくとも1層の前記コイル層が、対面する前記マグネットと前記ヨークとに挟まれて配置されていると好ましい。このようにすれば、マグネットとヨーク間に安定した磁気回路を構成して、発電性能を向上させることができる。さらに、この発明のコアレス回転電気機械においては、少なくとも1層の前記コイル層が、対面する2個の前記マグネットに挟まれて配置されていると好ましい。このようにすれば、2個のマグネット間に安定した磁気回路を構成して、発電性能を向上させることができる。
さらに、この発明のコアレス回転電気機械においては、複数の前記コイル層の間で前記コイルが前記シャフトに対する周方向に位相を揃えて配置されていると好ましい。このようにすれば、単相交流回転電気機械を構成する際、各コイル層のコイルの起電力を加算できるので、起電力の最大値を大きくすることができる。
さらに、この発明のコアレス回転電気機械においては、少なくとも3層の前記コイル層の間で前記コイルが前記シャフトに対する周方向に位相をずらして配置されていると好ましい。このようにすれば、三相交流回転電気機械を構成できるので、効率良く発電することができる。
さらに、この発明のコアレス回転電気機械においては、1層の前記コイル層における前記コイルの数が4個であり、前記マグネットの磁極数が4であると好ましい。このようにすれば、簡易な構成によって部品点数を削減し、回転電気機械を容易に精度良く組み立てることができる。
さらに、この発明のコアレス回転電気機械においては、少なくとも3層の前記コイル層の間で前記コイルが、前記シャフトに対する周方向に電気角120°ずつ、互いにずれて配置されていると好ましい。このようにすれば、簡易に三相交流回転電気機械を構成できるとともに、部品点数を削減し、容易に精度良く組み立てることができる。さらに、この発明のコアレス回転電気機械においては、前記コイル層の数が3層またはその倍数であると好ましい。このようにすれば、三相交流回転電気機械として機能させることが容易で、効率の良い回転電気機械を構成することができる。
さらに、この発明のコアレス回転電気機械においては、前記コイルカバーと前記蓋部材または他の前記コイルカバーとの間の掛合部が、前記蓋部材および/または他の前記コイルカバーに対する前記コイルカバーの周方向の組み付け角度を設定可能なものとされている。このようにすることにより、単相交流の回転電気機械と三相交流の回転電気機械とで同一のコイルカバーを使用できるので、回転電気機械を安価に製造することができる。
さらに、この発明のコアレス回転電気機械においては、前記ケース本体に前記蓋部材が、前記ケース本体の舌状部の加締めによって掛止されていると好ましい。このようにすれば、シャフトの軸線方向の組立圧力を得ることができるので、落下等の衝撃による組立部品の分解等を防ぐことができ、耐衝撃性が向上するとともに、回転電気機械を容易に精度良く組み立てることができる。
さらに、この発明のコアレス回転電気機械においては、前記各コイル層の前記コイルの巻数が違うものであると好ましい。このようにすれば、三相交流回転電気機械において、各コイル層の磁束のばらつきによる発電性能の差異を、コイルの巻数を変えることで均等にし、トルクの脈動を抑えて発電量の損失を軽減することができる。
さらに、この発明のコアレス回転電気機械においては、前記コイルカバーの筒状部が前記ケース本体の内周面に密接しているとともに、前記ケース本体と前記蓋部材とが冷却用の穴をもつものであると好ましい。このようにすれば、コイルカバーの筒状部と前記ケース本体との密接により、コイルで発生した熱をコイルカバーのコイル支持部および筒状部を介してケースに伝えて放熱することができ、また冷却用の穴により回転電気機械内部に外気の流路が形成されることによってもコイルの放熱を促進し、発電量の損失を軽減することができる。
さらに、この発明のコアレス回転電気機械においては、前記ヨークがバランス調整用の溝を持つものであると好ましい。このようにすれば、バランスウェイトの量と取付け位置の判断が容易で、バランス調整作業の効率を上げることができる。
さらに、この発明のコアレス回転電気機械においては、前記コイルカバーの前記筒状部が前記コイルの配線用の基板を有していると好ましい。このようにすれば、コイルの配線およびリード線を基板に接続することでそれらの配線を周囲に対して絶縁しつつ配置し易くなるので、回転電気機械を容易に精度良く組み立てることができる。
以下に、この発明のコアレス回転電気機械の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。なお、説明の便宜上、この発明のコアレス回転電気機械でコアレス発電機を構成する場合を例にとり説明するが、この発明はコアレス電動機にも有利に適用できるものである。ここに、図1は、この発明のコアレス回転電気機械の第1実施形態の単相交流回転電気機械の外観をケース本体の底部側から見て示す斜視図であり、図2は、上記第1実施形態の単相交流回転電気機械の構成を示す分解斜視図であり、図3は、上記第1実施形態の単相交流回転電気機械の組立方法を示す説明図である。
また、図4(a)は、上記第1実施形態の単相交流回転電気機械のマグネットおよびコイルの配置を示す分解斜視図、図4(b)は、その単相交流回転電気機械のシャフトへのスペーサの圧入固定状態を、マグネットを省略して示す斜視図であり、図5(a)は、上記第1実施形態の単相交流回転電気機械の組立状態をケース本体の底部側から見て示す斜視図、図5(b)は、その単相交流回転電気機械のケース本体を取り外したサブアッセンブリーをトップカバー側から見て示す斜視図、図5(c)は、その単相交流回転電気機械のケース本体内部にサブアッセンブリーを固定するために加締める舌状部をケース本体の開口部側から見て示す斜視図、図5(d)は、その単相交流回転電気機械のケース本体を取り外したサブアッセンブリーをブラケット側から見て示す斜視図である。
この第1実施形態のコアレス回転電気機械としての単相交流回転電気機械は、図1および図2に示すように、4個のマグネット1と、それらのマグネット1を固定支持するシャフト2と、各々コアレスの12個のコイル3と、それらのコイル3を固定支持する3層のコイルカバー4と、それらマグネット1とシャフト2とコイル3とコイルカバー4とをシャフト2の両端部が外部に突出した状態で収容し、そのコイルカバー4を固定支持するとともにそのシャフト2を回転自在に支持するケース5と、を備え、ケース5は、強磁性体である例えばSPCE等の強磁性鋼板からなり有底筒状をなすケース5a本体と、そのケース本体5aの開口端部を閉止する蓋部材としての例えばアルミ合金製の円盤状のブラケット5bとを有している。
マグネット1は、中心部にシャフト2が挿通される穴を持つとともに周方向に偶数、この実施形態では4磁極着磁された例えばネオジム磁石からなる円盤状の永久磁石であり、シャフト2は、例えば高強度ステンレスの棒材で形成されて、そのマグネット1の中心部の穴内に挿通されており、12個のコイル3は、各々例えばマグネットワイヤを複数回巻回されて形成されてコアレスのリング状をなすとともにシャフト2の周囲に配置されて、シャフト2の軸線Cと直交する同一平面上に位置する4個のコイル3からなるコイル層3Lを3層構成しており、コイルカバー4は、例えばアルミ合金で形成され、マグネット1の周囲を囲む筒状部4aとその筒状部4aの内側で4個のコイル3を固定支持する隔壁状のコイル支持部4bとを有し、周方向に2分割されて2個のセグメント4Sで構成されている。
そしてこの実施形態では、シャフト2の軸線Cの延在方向すなわち軸線C方向で、コイルカバー4の筒状部4aに対しブラケット5bと反対の側に、これも例えばアルミ合金で形成された円盤状のトップカバー6が配置されて、図3および図4に示すように、3層のコイル層3Lと4個のマグネット1とがシャフト2の軸線Cの延在方向すなわち軸線C方向に1つずつ交互に配置された状態で、ブラケット5bと円盤状のトップカバー6とが、各々2個のセグメント4Sを組み合わされて筒状に組み立てられた3個のコイルカバー4の筒状部4aに対しシャフト2の軸線C方向に重なるとともに、各コイルカバー4の筒状部4aの下端とトップカバー6の下面とにそれぞれ形成された凹部4c,6aと、各コイルカバー4の筒状部4aの上端とブラケット5bの上面とにそれぞれ形成された凸部4d,5cとの嵌合により、周方向に掛合してサブアッセンブリー7を構成している。
なお、図20にコイルカバーについて示すように、各コイルカバー4の筒状部4aの下端とトップカバー6の下面とにそれぞれ形成された凹部4c,6aは、例えば周方向に60°ずつ間隔を空けて位置しており、また、各コイルカバー4の筒状部4aの上端とブラケット5bの上面とにそれぞれ形成された凸部4d,5cは、例えば周方向に60°ずつ間隔を空けて位置している。
上記サブアッセンブリー7は、図5に示すように、ケース本体5a内に収容されて、そのブラケット5bをケース本体5aの開口端部に対し、その開口端部に形成された舌状部5dの図5(c)中に矢印で示す如きケース半径方向内方への折曲げ(加締め)により、シャフト2の軸線C方向および周方向に掛止されて固定されている。また、ブラケット5bとトップカバー6との各々の中心部の穴内には、例えばボールベアリングまたはすべり軸受からなる環状の軸受け8が嵌挿あるいは圧入されており、それらの軸受け8はシャフト2の両端部をケース5aに対し回転自在に支持している。
さらに、この第1実施形態では、ケース本体5aと同様にSPCC等の強磁性鋼板からなる円盤状のヨーク9が、サブアッセンブリー7の軸線方向両端部に位置する2個のマグネット1に対しシャフト2の軸線C方向外方にそれぞれ配置されて、その中心部の穴内にシャフト2を挿通固定されており、これらヨーク9とマグネット1とのシャフト2への固定は、図2および図4(b)に示すように、例えば銅合金製の3種類のスペーサ10,11,12を使用して、例えば以下に説明する手順で行う。
すなわち、スペーサ10は筒状部とフランジ部とを有し、スペーサ11も筒状部とフランジ部とを有し、スペーサ12はスペーサ10およびスペーサ11の筒状部に圧嵌される内径でスペーサ11のフランジ部と概略等しい幅の筒状をなしており、図10に示すように、シャフト2上には、先ずスペーサ10がフランジ部を図では下向きにして筒状部を挿通され、次いでヨーク9を一方の面に接着固定された1個目のマグネット1が、そのヨーク9を図では下向きにしてシャフト2上に挿通されてスペーサ10のフランジ部上に載置され、次いでスペーサ12がスペーサ10の筒状部に圧嵌されて、その筒状部を縮径させてスペーサ10をシャフト2に固定するとともにスペーサ10のフランジ部との間で1個目のマグネット1を位置決めし、ヨーク9の端面とスペーサ10のフランジ部の筒状部側の端面との間に供給された接着剤が、ヨーク9とともに1個目のマグネットをシャフト2にスペーサ10を介して接着固定する。
次いでスペーサ11がフランジ部を図では下向きにして筒状部をシャフト2上に挿通され、次いでヨーク9を持たない2個目のマグネット1が、シャフト2上に挿通されてスペーサ11のフランジ部上に載置され、次いでスペーサ12がスペーサ11の筒状部に圧嵌されて、その筒状部を縮径させてスペーサ11をシャフト2に固定するとともにスペーサ11のフランジ部との間で2個目のマグネット1を位置決めし、2個目のマグネット1の端面とスペーサ11のフランジ部の筒状部側の端面との間に供給された接着剤が、2個目のマグネット1をシャフト2にスペーサ11を介して接着固定する。また同様の手順で、3個目のマグネット1もシャフト2にスペーサ11を介して接着固定する。
そしてその後、シャフト2にスペーサ12が挿通されてから、ヨーク9を一方の面に接着固定された4個目のマグネット1がそのヨーク9を図では上向きにしてスペーサ10の筒状部に挿通された状態で、そのスペーサ10がフランジ部を図では上向きにしてシャフト2上に挿通され、次いでそのスペーサ10のフランジ部がシャフト2の軸線C方向で図では下方に押圧されて、先に挿通されたスペーサ12がそのスペーサ10の筒状部に圧嵌され、その筒状部を縮径させてスペーサ10をシャフト2に固定するとともにスペーサ10のフランジ部との間で4個目のマグネット1を位置決めし、ヨーク9の端面とスペーサ10のフランジ部の筒状部側の端面との間に供給された接着剤が、ヨーク9とともに4個目のマグネットをシャフト2にスペーサ10を介して接着固定する。
これにより、図3(b)に示すように、2個のスペーサ10と2個のスペーサ11とが4個のスペーサ12によってシャフト2上に固定され、それらのスペーサ10〜12を介して4個のマグネット1と2個のヨーク9とがシャフト2に固定されて、このコアレス回転電気機械のロータを構成する。そして4個のマグネット1はそのロータの組立過程で実質的にスペーサ10〜12から外力を受けることなくシャフト2に対し接着固定されるので、マグネット1に外力による減磁が生じることがない。なお、スペーサ10,11の筒状部をスペーサ12の圧挿で縮径させる代わりに、あるいはそれに加えて、シャフト2とスペーサ10,11との間およびスペーサ12とスペーサ10,11との間を接着剤で接着固定しても良い。これらの接着剤としては、ゴム系等と比べて硬く硬化する例えば2液混合型エポキシ系や湿気硬化型シアノアクリレート系のものを好適に用いることができる。
図6は、上記第1実施形態の単相交流回転電気機械のコイルの配線例を示す配線図、図7は、上記第1実施形態の単相交流回転電気機械のマグネットの着磁状態を示す平面図、図8は、上記第1実施形態の単相交流回転電気機械のコイル層1層分のコイルの配置図、図9は、上記第1実施形態の単相交流回転電気機械の各コイル層のコイルの、シャフト軸線方向から見た位置関係図、図10は、上記第1実施形態の単相交流回転電気機械や後述の三相交流回転電気機械を含む回転電気機械における、電流と磁束と力の向きの関係を図7のA−A線に沿う断面で示す概念図、そして図11(a)〜(c)は、上記第1実施形態の単相交流回転電気機械を発電機として使用した場合の各コイル層の起電力を示し、図11(d)は、それらのコイル層の合成起電力と各コイル層の起電力との位相関係を示す説明図である。
この第1実施形態の単相交流回転電気機械におけるコアレスの12個のコイル3は、図4(a)に示すように3層のコイル層3Lでこのコアレス回転電気機械のステータを構成し、図6に示すように、各コイル層3Lの4個のコイル3が図8(a)に示すように隣り合うコイル腕部に流れる電流の向きが揃う向きで互いに直列に接続されるとともに、3層のコイル層3Lのコイル3が互いに直列に接続されており、それら各コイル層3Lの4個のコイル3は、コイル層3Lの1層について代表で図8および図9に示すように、コイル層3L同士で互いにシャフト2の軸線方向に位置が整列して、周方向の位相が揃っている。
また、シャフト2上に固定された4個のマグネット1は、図7に示すように、各々周方向に4磁極が着磁され、それらのマグネット1は、図10に示すように、互いに隣接するマグネット1の互いに向き合う面に互いに逆の磁極が位置するように配置されて、それら互いに隣接するマグネット1の間に位置するコイル層3Lを磁力線がシャフト2の軸線C方向に通過するように磁気回路を構成している。そして2個のヨーク9が、シャフト2の両端部近くに位置する2個のマグネット1からの漏れ磁束を軽減して、マグネット1間の磁束を強めている。
しかして、この第1実施形態の単相交流回転電気機械にあっては、ケース本体5a内に収容されてブラケット5bをケース本体5aの開口端部に対しシャフト2の軸線C方向および周方向に掛止されたサブアッセンブリー7のコイルカバー4が、コイル支持部4bで支持した複数のコイル3を筒状部4aで相互に位置決めするとともにケース本体5aに対しても位置決めし、シャフト2に固定支持されてその軸線C方向にコイル層3Lと交互に配置されたマグネット1の各磁極からの磁束が、ケース5に回転自在に支持されたシャフト2のケース5に対する回転に伴って各コイル層3Lの直列接続した4個のコイル3を横切り、それらのコイル3に電流Iを流して単相交流電圧を発生させ、その単相交流電圧を3層のコイル層3Lのコイル3の直列接続により3倍にして出力する。
従って、この第1実施形態の単相交流回転電気機械によれば、コイル3が鉄心のないコアレスのものであるので、例えば発電機として用いた場合は回転させるのに大きな入力トルクが不要で、特に風力発電や水力発電等に用いる場合に良好な始動性を得ることができ、また回転トルクの脈動が小さいため、高い発電効率を得ることができ、しかもコイル3をマグネット1の有効磁束の中に容易に配置することができるので、回転電気機械を小型化でき、またケース本体5aが強磁性体であるので、マグネット1の漏れ磁束を軽減して磁気回路中の磁束変動を抑制し、トルクと発電性能の変動を軽減することができる。
さらにこの第1実施形態の単相交流回転電気機械にあっては、シャフト2の周囲に配置された4個のコイル3を各々有する3層のコイル層3Lと、4個のマグネット1とが、シャフト2の軸線C方向に交互に配置された状態で、ブラケット5bとトップカバー6とがコイルカバー4の筒状部4aに対しシャフト2の軸線C方向に重なるとともに周方向に掛合してサブアッセンブリー7を構成しているので、そのサブアッセンブリー7をケース本体5a内に収容してブラケット5bをケース本体5aの舌状部5dの加締めによってケース本体5aの開口端部に対しシャフト2の軸線C方向および周方向に掛止することでコアレス回転電気機械を組み立てることができる。
しかもそのコイルカバー4が、マグネット1の周囲を囲む筒状部4aとその筒状部4aの内側でコイル3を支持するコイル支持部4bとを有して周方向に複数のセグメント4Sに分割されているので、それらのセグメント4Sを組み合わせてコイルカバー4を組み立てることでサブアッセンブリー7ひいてはケース5内の所定位置に複数のコイル3を容易に精度良く配置することができるとともに、ロータのマグネット1が多層の場合でもロータの組立て後にコイル3を取り付けることができて、ロータのバランス調整を容易に行うことができ、さらに、コイル3で発生した熱をコイルカバー4のコイル支持部4bおよび筒状部4aを介してケース5に伝え、放熱することができる。
従って、この第1実施形態の単相交流回転電気機械によれば、マグネット1と、そのマグネット1を固定支持するシャフト2と、各々コアレスの12個のコイル3と、それらのコイル3を4個ずつ固定支持する3個のコイルカバー4と、それらマグネット1とシャフト2とコイル3とコイルカバー4とをシャフト2の少なくとも両端部が外部に突出した状態で収容し、それらのコイルカバー4を固定支持するとともにそのシャフト2を回転自在に支持するケース5と、を備えるコアレス回転電気機械を、容易に且つ高精度に組み立てることができ、また、作動中の放熱量を増加させて、巻き線抵抗の増大等による発電量の損失を低減させることができる。
さらに、この第1実施形態の単相交流回転電気機械によれば、コイルカバー4の筒状部4aがケース本体5aの内周面に密接しているとともに、ケース本体5aの底部と、トップカバー6と、ブラケット5bとに、好ましくは周方向の位置が揃った複数の冷却用穴が形成されており、これにより、コイル3で発生した熱をコイルカバー4のコイル支持部4bおよび筒状部4aを介してケース5に伝えて放熱することができるとともに、ケース本体5aの底部とトップカバー6とブラケット5bとの冷却用穴により回転電気機械内部に外気の流路が形成されることによってもコイル3の放熱を促進できるので、発電量の損失を軽減することができる。
図12は、この発明のコアレス回転電気機械の第2実施形態の三相交流回転電気機械の組立方法を示す説明図、図13(a)は、上記第2実施形態の三相交流回転電気機械のマグネットおよびコイルの配置を示す分解斜視図、図13(b)は、その三相交流回転電気機械のシャフトへのスペーサの圧入固定状態を、マグネットを省略して示す斜視図、図14(a)は、上記第2実施形態の三相交流回転電気機械の組立状態をケース本体の底部側から見て示す斜視図、図14(b)は、その三相交流回転電気機械のケース本体を取り外したサブアッセンブリーをトップカバー側から見て示す斜視図、図14(c)は、その三相交流回転電気機械のケース本体内部にサブアッセンブリーを固定するために加締める舌状部をケース本体の開口部側から見て示す斜視図、そして図14(d)は、その三相交流回転電気機械のケース本体を取り外したサブアッセンブリーをブラケット側から見て示す斜視図である。
この第2実施形態の三相交流回転電気機械は、先の第1実施形態の単相交流回転電気機械と全く同じ構成部品を備えていて、コイルの配置と配線が先の第1実施形態の単相交流回転電気機械と相違するだけであるので、以下には主にその相違点について説明し、図中、先の実施形態におけると同様の部分はそれと同一の符号を付して示す。
すなわち、この第2実施形態の三相交流回転電気機械は、4個のマグネット1と、それらのマグネット1を固定支持するシャフト2と、各々コアレスの12個のコイル3と、それらのコイル3を固定支持するコイルカバー4と、それらマグネット1とシャフト2とコイル3とコイルカバー4とをシャフト2の両端部が外部に突出した状態で収容し、そのコイルカバー4を固定支持するとともにそのシャフト2を回転自在に支持するケース5と、を備え、ケース5は、有底筒状をなすケース5a本体と、そのケース本体5aの開口端部を閉止する円盤状のブラケット5bとを有している。
さらにこの第2実施形態の三相交流回転電気機械は、シャフト2の軸線C方向でコイルカバー4に対しブラケット5bと反対の側にトップカバー6を備えており、図12および図13に示すように、3層のコイル層3Lと4個のマグネット1とがシャフト2の軸線C方向に1つずつ交互に配置された状態で、ブラケット5bと円盤状のトップカバー6とが、各々2個のセグメント4Sを組み合わされて筒状に組み立てられた3個のコイルカバー4の筒状部4aに対しシャフト2の軸線C方向に重なるとともに、各コイルカバー4の筒状部4aの下端とトップカバー6の下面とにそれぞれ形成された凹部4c,6aと、各コイルカバー4の筒状部4aの上端とブラケット5bの上面とにそれぞれ形成された6つの凸部4d,5cとの嵌合により、周方向に掛合してサブアッセンブリー7を構成している。
そして上記サブアッセンブリー7は、図14に示すように、ケース本体5a内に収容されて、そのブラケット5bをケース本体5aの開口端部に対し、その開口端部に形成された舌状部5dの図12(c)中に矢印で示す如きケース半径方向内方への折曲げ(加締め)により、シャフト2の軸線C方向および周方向に掛止されて固定されている。また、ブラケット5bとトップカバー6との各々の中心部の穴内には環状の軸受け8が嵌挿あるいは圧入されており、それらの軸受け8はシャフト2の両端部をケース本体5aに対し回転自在に支持している。
さらに、この実施形態では、ケース本体5aと同様に強磁性鋼板からなる円盤状のヨーク9が、サブアッセンブリー7の軸線方向両端部に位置する2個のマグネット1に対しシャフト2の軸線C方向外方にそれぞれ配置され、その中心部の穴内に挿通されたシャフト2に固定されており、これらヨーク9とマグネット1とのシャフト2への固定は、図13(b)に示すように、先の第1実施形態の置けると同様に、3種類のスペーサ10,11,12を使用して行っている。
図15は、上記第2実施形態の三相交流回転電気機械のコイルのY結線での配線例を示す配線図、図16は、上記第2実施形態の三相交流回転電気機械のコイルのデルタ結線での配線例を示す配線図、図17は、上記第2実施形態の三相交流回転電気機械の各コイル層のコイルのシャフト軸線方向から見た位置関係図、そして図18(a)〜(c)は、上記第2実施形態の三相交流回転電気機械を発電機として用いた場合の各コイル層の起電力と位相関係とを示す説明図である。
この第2実施形態の三相交流回転電気機械では、先の第1実施形態におけると異なり、おのおの4個のコイル3を有する3層のコイル層3Lが、図17に示すように、シャフト2の軸線Cに対する周方向に互いに機械角60°ずつ、ずれて配置されて、互いに電気角120°をなしており、この3層のコイル層3Lの機械角60°のずれは、図13(a)および図14(b),(d)に示すように、図20に示す各コイルカバー4の筒状部4aの下端とトップカバー6の下面とにそれぞれ形成された凹部4c,6aと、各コイルカバー4の筒状部4aの上端とブラケット5bの上面とにそれぞれ形成された6つの凸部4d,5cとの嵌合位置を周方向に1つずつずらすことで、容易に且つ高精度に達成することができる。
そして3層のコイル層3Lは、図15に示す如きY結線か、図16に示す如きデルタ結線で接続しており、これにより、シャフト2による4個のマグネット1の回転に伴って、図18に示すように、三相交流電圧を出力することができる。
従って、この第2実施形態の三相交流回転電気機械によれば、先の第1実施形態の単相交流回転電気機械と同様の作用効果を奏し、発電機として用いた場合には良好な始動性および高い発電効率を得ることができるとともに良好な組立性を達成することができる。
図19は、この発明のコアレス回転電気機械の第3実施形態のコアレス交流回転電気機械におけるマグネットとヨークとの間にコイルを配置した構成を示す断面図であり、図中、先の実施形態におけると同様の部分はそれと同一の符号にて示す。
この第3実施形態のコアレス交流回転電気機械は、シャフト2上に1個のマグネット1を、先の実施形態におけると同様にして、スペーサ10およびスペーサ12を介して固定支持し、例えば周方向に2分割された1層のコイルカバー4のコイル支持部4bで、シャフト2の軸線Cの周囲に配置したコアレスの複数のコイル3からなる1層のコイル層3Lを固定支持するとともにそれらのコイル3に対しマグネット1と反対の側にヨーク9を固定支持し、トップカバー6とコイルカバー4の筒状部4aとをシャフト2の軸線C方向に突き合せるとともに、トップカバー6とコイルカバー4のコイル支持部4bとに配置した軸受け8でシャフト2の両端部を回転自在に支持してサブアッセンブリー7を構成している。
そしてサブアッセンブリー7は、ここでは有底筒状のケース本体5aのみからなるカバー1内に収容され、ケース本体5aの開口端部を閉止するそのコイルカバー4を、先に実施形態におけると同様にケース本体5aの開口端部に設けられた舌状部の加締めにより、シャフト2の軸線C方向および周方向に掛止されて固定されている。
この第3実施形態のコアレス交流回転電気機械によれば、コイル層3Lのコイルを例えば4個またはその倍数にして直列に接続することにより単相交流回転電気機械を構成することができ、またコイル層3Lのコイルを例えば3個またはその倍数にしてY結線またはデルタ結線で接続することにより三相交流回転電気機械を構成することができる。
しかもこの第3実施形態のコアレス交流回転電気機械によれば、先の第1,第2実施形態の交流回転電気機械と同様の作用効果を奏し、発電機として用いた場合には良好な始動性および高い発電効率を得ることができるとともに良好な組立性を達成することができる。
図21(a)〜(c)は、上記第1実施形態および第2実施形態の交流回転電気機械におけるヨークの変形例としての、バランスウェイト用溝部付きヨークの形状をそれぞれ示すロータ斜視図とヨーク単品の平面図および斜視図であり、図21(b),(c)に示すように、この変形例のヨーク9は、その片面に周方向に並ぶ複数のバランスウェイト用溝9aを例えばコイニングにより形成されており、図21(a)に示すように、このヨーク9をサブアッセンブリー7のロータ両端部のマグネット1に固着して、そのロータのシャフト2周りの回転バランス試験を行い、その試験の結果から定まるウェイト位置のバランスウェイト用溝9aに高比重材料を含む樹脂等からなる図示しないバランスウェイトを固着することにより、サブアッセンブリー7のロータの回転バランスを適切に取って、ロータの回転中の振動が少ない回転電気機械を構成することができる。
図22は、上記第1実施形態および第2実施形態の交流回転電気機械のサブアッセンブリーにおける配線基板の配置を上記第2実施形態の三相交流回転電気機械のサブアッセンブリーについて代表で示す斜視図であり、上記第1実施形態および第2実施形態の交流回転電気機械のサブアッセンブリー7は、その3層のコイルカバー4の筒状部4aとブラケット5bとに、図22(a)に示すように、シャフト2の軸線方向に互いに整列して延在する切欠き4e,5eを、互いに周方向に離間して複数有し、これらの切欠き4e,5e内に配線基板13を収容しており、これらの配線基板13は各々、図22(b)に示すように、例えば樹脂製の絶縁基板13a上に銅等の導体製の配線接続部13bを複数有しているので、同一コイル層3Lのコイル3の配線や互いに異なるコイル層3Lのコイルの配線や回転電気機械へのリード線をその配線接続部に半田付けあるいはレーザー溶接等で固着することで、コイル3の配線同士およびそれらとリード線とを容易にかつ確実に接続することができる。
図23は、図19に示す第3実施形態のコアレス交流回転電気機械における1つのコイル層が1個のコイルを有する構成でのコイル形状例を一変形例として示す平面図であるが、このように1個のコイル3でシャフト2の軸線Cを囲むようにすると、コイルカバー4を分割構造にすることが難しくなり、コイルの配線の取り出し部分で分割する等、複雑かつ制約の多い構成になるため、コイルカバー4を複数セグメントに分割せずに一体の筒状をなすものとしても良い。
図24は、この発明のコアレス回転電気機械の第4実施形態のコアレス交流回転電気機械における2個のマグネットの間に3層のコイル層の3組のコイルが配置された構成を示す断面図であり、図中、先の実施形態におけると同様の部分はそれと同一の符号にて示す。
この第4実施形態のコアレス交流回転電気機械は、各々外側の面にヨーク9を固着された2個のマグネット1をシャフト2上に対向配置して、先の実施形態におけると同様にして、スペーサ10およびスペーサ12を介して固定支持し、それらの対向するマグネット1の間に、各々例えば周方向に2分割された3層のコイルカバー4のコイル支持部4bで、シャフト2の軸線Cの周囲に配置したコアレスの複数のコイル3からなる3層のコイル層3Lを固定支持し、トップカバー6とブラケット5bとで、3層のコイルカバー4の筒状部4aをシャフト2の軸線C方向に挟むとともに、トップカバー6とブラケット5bとに配置した軸受け8でシャフト2の両端部を回転自在に支持してサブアッセンブリー7を構成している。
そしてサブアッセンブリー7は、カバー1の有底筒状のケース本体5a内に収容され、ケース本体5aの開口端部を閉止するブラケット5bを、先に実施形態におけると同様にケース本体5aの開口端部に設けられた図示しない舌状部の加締めにより、シャフト2の軸線C方向および周方向に掛止されて固定されている。
従って、この第4実施形態のコアレス交流回転電気機械によれば、各コイル層3Lのコイルを例えば4個または磁極数と同数にして直列に接続するとともにコイル層3L間でコイルを直列に接続することにより単相交流回転電気機械を構成することができ、また各コイル層3Lを例えば3層またはその倍数にしてそれらのコイル層3LをY結線またはデルタ結線で接続することにより三相交流回転電気機械を構成することができる。
しかもこの第4実施形態の三相交流回転電気機械によれば、先の第1,第2実施形態の交流回転電気機械と同様の作用効果を奏し、良好な始動性および高い発電効率と良好な組立性とを達成することができる。
以上、図示の実施形態に基づき説明したが、この発明のコアレス回転電気機械は上述の実施形態に限定されるものでなく、特許請求の記載範囲内で適宜変更しうるものである。例えば、上述の第1〜第4の実施形態では回転電気機械でコアレス発電機を構成している場合を例に説明したが、第1〜4の実施形態の回転電気機械はコアレス電動機を構成するものでもよく、コアレス電動機はコアレス発電機と同様の作用効果を奏し、すなわち高効率を実現できるとともに良好な組立性を得ることができる。この場合、例えば第2の実施形態において図18で示される波形の電圧を各コイル層3Lのコイル3にそれぞれ印加すると、フレミングの左手の法則に従いコイル3には図10中のシャフト2の周囲に示した矢印の方向に力が発生し、コイル3に発生する力の反力として、マグネット1には当該矢印とは逆方向に力が発生するが、コイル3はコイルカバー4を介して不動のケース5に固定されているため、マグネット1がシャフト2とともに上記矢印とは逆方向に回転することになる。勿論、図18で示した波形の電圧に限定されず、一般の三相モータと同様のセンサレス駆動制御を用いてもよい。
また、コイルカバーの分割数を1層のコイル数等に応じて3以上に増やしても良く、また、周方向に複数セグメントに分割された1つのコイルカバーで複数層のコイル層のコイルを一緒に固定支持するようにしても良く、さらに、複数段のコイルカバーを各々複数セグメントに分割せずに一体の筒状をなすものとして、それらのコイルカバーをマグネットと交互にシャフト上に配置しても良い。
さらに、三相交流回転電気機械において各コイル層のコイルの巻数を違うものとして、各コイル層の磁束のばらつきによる発電性能の差異をコイルの巻数を変えることで均等にし、トルクの脈動を抑えて発電量の損失を軽減するようにしても良く、そしてコイル数やコイルカバー数等、各構成部品の数も所要に応じて適宜変更することができる。