以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
本実施形態に係る樹脂封止システム1は、図1に示すように、樹脂封止成形を行う樹脂封止装置(樹脂成形装置)10と、樹脂封止装置10に対してワーク(本実施形態ではリードフレームW)及び樹脂タブレットを供給するワーク・タブレット供給機構60と、樹脂封止装置10から樹脂封止後の樹脂成形品Pを回収する樹脂成形品回収機構70とを備えており、樹脂封止装置10に対するリードフレームW及び樹脂タブレットの供給から樹脂封止後の樹脂成形品Pの回収までを自動で連続して実行可能に構成されている。
ワーク・タブレット供給機構60及び樹脂成形品回収機構70は、樹脂封止装置10の両側面方向に延びる長尺なベース80上に設けられており、樹脂封止装置10は、ベース80の略中央部分に形成された収容スペースに収容されている。また、本実施形態に係る樹脂封止システム1では、樹脂封止装置10を中心として、樹脂封止装置10の一方の側面側(図1の左側)にワーク・タブレット供給機構60が配置され、樹脂封止装置10の他方の側面側(図1の右側)に樹脂成形品回収機構70が配置されている。すなわち、本実施形態に係る樹脂封止システム1では、ベース80の一方の端部側の領域(図1の左端部側の領域)からリードフレームW及び樹脂タブレットが供給され、ベース80の長手方向の略中央の領域において樹脂封止成形が行われた後、ベース80の他方の端部側の領域(図1の左端部側の領域)において不要樹脂(カル、ランナ及びゲート部分で硬化したモールド部分)の除去(ゲートブレイク)及び樹脂成形品Pの回収が行われるよう構成されている。
樹脂封止装置10は、図1及び図2に示すように、床面上に載置された矩形板状の下プラテン12と、下プラテン12の四隅から上方に向けて延びる4本のタイバー14と、4本のタイバー14の上端部に四隅が連結された矩形板状の上プラテン16と、4本のタイバー14が四隅を貫通し、下プラテン12及び上プラテン16の間においてタイバー14に沿って昇降可能に設けられた矩形板状の移動プラテン18と、下プラテン12と移動プラテン18との間に設けられ、移動プラテン18を昇降させる昇降型締機構20と、樹脂封止装置10に異常等が生じた際又は異常の発生を予知した際に警報を発する報知手段(図示せず)と、樹脂封止装置10の各種制御を実行する制御部(図示せず)を備えている。昇降型締機構20は、油圧式又は電動式型締シリンダや、油圧式又は電動式トグルリンク型締機構等の種々の型締機構を採用することが可能である。なお、本実施形態に係る樹脂封止装置10において、これら下プラテン12、タイバー14、上プラテン16、移動プラテン18及び昇降型締機構20は、種々の公知の構成を採用することが可能であるため、その詳細な説明を省略する。
また、樹脂封止装置10は、図2に示すように、移動プラテン18の上面に設けられたトランスファ機構22と、上プラテン16とトランスファ機構22との間に設けられた樹脂成形金型26とを更に備えている。なお、本実施形態に係る樹脂封止装置10において、トランスファ機構22は、図4及び図5に示すように、樹脂成形金型26のキャビティCと連通し、樹脂タブレット(図示せず)を収容可能な複数(本実施形態では5つ)の収容ポット形成孔部24aと、収容ポット形成孔部24a毎に配され、収容ポット形成孔部24a内に収容された樹脂タブレットをキャビティCに向けて押し出すプランジャ24bと、樹脂成形金型26及び収容ポット形成孔部24aを加熱する加熱手段(図示せず)とを備える種々の公知のトランスファ機構を採用することが可能であるため、その詳細な説明を省略する。
樹脂成形金型26は、所謂マルチポット方式の成形金型であり、図2に示すように、上プラテン16の下面に取り付けられた上型28と、トランスファ機構22の上部に取り付けられ、上型28と共にキャビティC(図4参照)を形成可能な下型30とを備えている。なお、図2〜図7では、理解を容易にするために、下型30の周囲を覆うホルダブロック31a〜31c(図1参照)の図示を省略している。また、本実施形態に係る樹脂成形金型26において、上型28は、金型本体28aの下面(型面)に樹脂を流動させるためのカル部29a、ランナ部29b、ゲート部29c及びキャビティ部29dが形成される点等の仕様上の軽微な差異(図4参照)を除き、基本的には下型30と上下対称の構造を有しているため、その説明及び内部構造の図示を省略する。
下型30は、図3及び図4に示すように、上型28の金型本体28aと対向して配置され、上型28の金型本体28aとの間において樹脂成形用のキャビティCを形成可能な金型本体32と、金型本体32の裏面(下面)側に離間して設けられたベースプレート34と、金型本体32とベースプレート34との間において金型本体32の裏面に対して進退移動可能に設けられたエジェクタ機構40と、金型本体32とベースプレート34とを連結固定しプレス型締め時に金型本体32を支持するよう設けられ、ベースプレート34の熱を金型本体32に伝達可能に構成された伝熱部材(サポートピラー)36と、エジェクタ機構40に取り付けられ、樹脂成形品Pの離型時の離型力を測定可能に構成された離型力測定機構50とを備えている。
金型本体32は、図4に示すように、上型28の金型本体28aのキャビティ部29dと共にキャビティCを形成可能な型面32aを表面(上面)に有する矩形板状の金属部材である。金型本体32には、エジェクタ機構40の後述するエジェクタピン44と整合する位置に、裏面から型面32aに亘ってエジェクタピン44が挿通可能な貫通孔32bが形成されている。
ベースプレート34は、矩形板状の金属部材から形成され、トランスファ機構22の上面に載置されている。このベースプレート34は、伝熱部材36を介して金型本体32を支持すると共に、トランスファ機構22から受けた熱を伝熱部材36を介して金型本体32に伝達させ、金型本体32を加熱させるよう構成されている。なお、本実施形態に係る樹脂封止装置10では、トランスファ機構22に加熱手段が設けられ、この加熱手段の熱がベースプレート34に伝熱されるものとして説明したが、これに限定されず、ベースプレート34の内部や金型本体32の内部に加熱手段(図示せず)が設けられる構成としても良い。
伝熱部材36は、円筒状の金属部材から形成されたサポートピラーであり、一端部(下端部)がベースプレート34の上面に固定されると共に、他端部(上端部)が金型本体32の裏面に固定されることにより、ベースプレート34から離間した位置で金型本体32を支持するよう構成されている。また、伝熱部材36は、加熱手段によって加熱されたベースプレート34の熱を金型本体32に対して伝達し、金型本体32を所定温度に加熱するよう構成されている。伝熱部材36は、図3〜図5に示すように、1つのキャビティCに対して複数(本実施形態では6本)設けられており、これら複数の伝熱部材36が各キャビティCの周囲を囲うように配されることにより、各キャビティCの周囲における金型本体32の撓みを抑え、バリの発生等を抑制するよう構成されている。
エジェクタ機構40は、図3及び図4に示すように、金型本体32とベースプレート34との間において金型本体32の裏面に対して進退移動可能に設けられたエジェクタピンホルダ42と、金型本体32の貫通孔32bと整合する位置に配されたエジェクタピン44と、エジェクタピンホルダ42を金型本体32の裏面に対して進退移動させる駆動手段(図示せず)とを備え、エジェクタピンホルダ42を金型本体32の裏面に対して前進させることにより、エジェクタピン44を金型本体32の型面32aから突出させ、キャビティCによって成形された樹脂成形品Pを金型本体32の型面32aから離型させるよう構成されている。駆動手段は、エジェクタピンホルダ42及びこれに取り付けられた後述する起歪体52がベースプレート32から離間した位置においてエジェクタピンホルダ42を支持すると共に、樹脂成形品Pの離型時にエジェクタピンホルダ42を金型本体32に向けて前進させるよう構成されている。なお、本実施形態に係るエジェクタ機構40において、駆動手段は、例えば電動モーター駆動やプレスの下降動作によるエジェクタロッド突き上げ等の種々の公知の構成を採用することが可能であるため、その説明を省略する。
エジェクタピンホルダ42は、金型本体32に向けてエジェクタピン44が突設されたエジェクタプレート42aと、エジェクタプレート42aの裏面に締結具により取り付けられ、エジェクタプレート42aを補強するバッキングプレート42bとを備えている。エジェクタピンホルダ42には、図4に示すように、金型本体32の貫通孔32bと整合する位置に表面から裏面に亘って貫通した貫通孔43が形成されている。貫通孔43は、エジェクタプレート42aの表面側の開口径がバッキングプレート42bの裏面側の開口径よりも小さくなるような段付き形状を有しており、その内部においてエジェクタピン44の基端部44bを収容可能に構成されている。また、エジェクタピンホルダ42には、伝熱部材36と整合する位置に伝熱部材36が貫通する伝熱部材用貫通孔(図示せず)が形成されている。伝熱部材用貫通孔は、伝熱部材36の周面と接触しないよう、伝熱部材36の外径よりも大きい開口径を有している。
エジェクタピン44は、図4に示すように、金型本体32に向けて延びるピン部44aと、ピン部44aよりも大径に形成された基端部44bとからなる段付きのピン部材である。ピン部44aは、エジェクタピンホルダ42が待機位置(図4に示す位置)に位置している状態において、金型本体32の型面32aと略面一になるような軸方向の長さを有している。また、ピン部44aは、エジェクタピンホルダ42の貫通孔43の表面側の開口径よりも小さく、かつ、金型本体32の貫通孔32bの開口径と略等しい外径を有している。基端部44bは、エジェクタピンホルダ42の貫通孔43の表面側の開口径よりも大きく、かつ、エジェクタピンホルダ42の貫通孔43の裏面側の開口径よりも小さい外径を有している。エジェクタピン44は、基端部44bがエジェクタピンホルダ42の貫通孔43内に収容され、かつ、ピン部44aが貫通孔43を介して金型本体32に向けて突出した状態において、エジェクタピンホルダ42の貫通孔43の段差部と離型力測定機構50の後述する起歪体52の可動側端部52bとにより基端部44bが狭持されることにより、エジェクタピンホルダ42に取り付けられている。エジェクタピン44は、1つのキャビティCに対して複数(本実施形態では2つ)設けられており、これら複数のエジェクタピン44によって均等に樹脂成形品Pを離型させるよう構成されている。
離型力測定機構50は、所謂ロバーバル型ロードセルであり、図4に示すように、エジェクタピン44から受ける荷重に比例して変形する起歪体52と、起歪体52の変形量を検出する歪ゲージ54a〜54dとを備えている。起歪体52は、エジェクタピン44の基端部44bと接触するようエジェクタピンホルダ42に取り付けられており、歪ゲージ54a〜54dは、起歪体52の4つの歪み部位(後述する肉薄部53a〜53d)にそれぞれ貼り付けられている。離型力測定機構50は、エジェクタピン44毎に配されており、本実施形態では、図4及び図5に示すように、1つのキャビティCに対して2つずつ配されている。各離型力測定機構50は、図5に示すように、それぞれ、隣接する他の離型力測定機構50及び伝熱部材36に干渉しないよう、複数の伝熱部材36の隙間に設けられている。以下、起歪体52及び歪ゲージ54a〜54dの具体的な構成について、説明する。
起歪体52は、図6(a)に示すように、エジェクタピンホルダ42の下面に対して垂直となるよう立設された鉛直断面が略L字状の板状部材であって、L字の水平方向に延びる部位に鉄アレイ状の切り欠きが形成されると共に、L字の鉛直方向に延びる部位がエジェクタピンホルダ42の貫通孔43内においてエジェクタピン44の基端部44bと接触するよう、L字の水平方向に延びる部位の端部近傍がエジェクタピンホルダ42の裏面に片持ちとなるよう固定されている。具体的には、起歪体52は、エジェクタピンホルダ42の裏面に固定された固定側端部52aと、エジェクタピン44の基端部44bに接触するよう設けられた可動側端部52bと、固定側端部52aから可動側端部52bに亘ってエジェクタピン44の軸方向と交差する方向に延びる上下一対の平行ビーム部52c,52dとを有している。この起歪体52は、可動側端部52bがエジェクタピン44の基端部44bの下面からエジェクタピン44の軸方向に沿って延び、上下一対の平行ビーム部52c,52dが可動側端部52bの下端近傍からエジェクタピン44の軸方向と直交する方向に沿って延び、固定側端部52aが上下一対の平行ビーム部52c,52dと連続して同方向に延びる形状、すなわち、略L字状に形成されている。
固定側端部52aは、図4及び図6(a)に示すように、下型30全体に対して相対移動不能となるよう、エジェクタピンホルダ42の裏面に締結具によって固定されている。可動側端部52bは、その上端部がエジェクタピン44の基端部44bの下面に接触し、その下端部側が上下一対の平行ビーム部52c,52dの一端部に連続するよう構成されている。上下一対の平行ビーム部52c,52dは、それぞれ、固定側端部52aとの境界部分及び可動側端部52bとの境界部分に、エジェクタピン44からの荷重に伴って変形する部位(歪み部位)となる半円状の肉薄部53a〜53dが形成されており、これにより、上下一対の平行ビーム部52c,52dと、固定側端部52aと、可動側端部52bとによって、鉄アレイ状の切り欠きが画定されるよう構成されている。上下一対の平行ビーム部52c,52dの肉薄部53a〜53dにおける歪ゲージ54a〜54dが貼り付けられる箇所には、それぞれ、製造過程時において、歪ゲージ54a〜54dの貼り付け位置(センター位置)を特定するための罫書き線(図示せず)が加工されており、歪ゲージ54a〜54dの貼り付け作業の作業性及び精確性を向上させるよう構成されている。
起歪体52は、このように構成されることにより、離型時にエジェクタピン44を介して荷重が付加された際に、図6(b)に示すように、上側の平行ビーム部52cの可動側端部52b側の肉薄部53a及び下側の平行ビーム部52dの固定側端部52a側の肉薄部53dが圧縮方向に歪み、上側の平行ビーム部52cの固定側端部52a側の肉薄部53b及び下側の平行ビーム部52dの可動側端部52b側の肉薄部53cが延伸方向に歪むよう構成されている。
歪ゲージ54a〜54dは、歪みに応じて電気抵抗が変化するよう構成されており、図6(a)及び図6(b)に示すように、上側の平行ビーム部52cの可動側端部52b側の肉薄部53aに貼り付けられた第1歪ゲージ54aと、上側の平行ビーム部52cの固定側端部52a側の肉薄部53bに貼り付けられた第2歪ゲージ54bと、下側の平行ビーム部52dの可動側端部52b側の肉薄部53cに貼り付けられた第3歪ゲージ54cと、下側の平行ビーム部52dの固定側端部52a側の肉薄部53dに貼り付けられた第4歪ゲージ54dとからなる。これら4つの歪ゲージ54a〜54dは、ホイートストンブリッジ回路(図示せず)を構成するよう互いに接続されている。
離型力測定機構50毎に形成されるホイートストンブリッジ回路は、それぞれ、アンプ(図示せず)及びA/D変換器(図示せず)を介してデータ収集解析手段(図示せず)と電気的に接続されている。本実施形態では、複数の離型力測定機構50、アンプ及びA/D変換器と、共通のデータ収集解析手段とにより、全てのキャビティCにおける離型時の離型力を統括して測定可能な離型力測定装置が構成されている。
データ収集解析手段は、例えばパーソナルコンピュータ等からなり、歪ゲージ54a〜54dの抵抗値に基づいて歪み値を算出し、この歪み値に基づいて、エジェクタピン44を介して起歪体52の可動側端部52bに付加された荷重、すなわち、離型時の離型力を測定するよう構成されている。
また、データ収集解析手段は、測定した荷重(離型力)に基づいて離型不良を判定し、離型不良と判定した場合には、報知手段に報知信号を出力するよう構成されている。具体的には、データ収集解析手段は、例えば、(1)測定した荷重(離型力)の単発的な値、(2)所定サイクル又は所定時間内に測定した荷重(離型力)のリアルタイムな平均値、(3)測定した荷重(離型力)の値と直前の平均値との差、(4)測定した荷重(離型力)の上昇率、(5)リアルタイムで算出した平均値の上昇率、又は、(6)複数の離型力測定機構50によって測定した荷重(離型力)のばらつき(差)、等が予め定められた設定値(閾値)を超えた場合に、離型不良と判定するよう構成されている。特に、上記(6)の判定方法によれば、1つのキャビティC内における局所的な汚れを検知可能であると共に、その汚れ箇所を予測乃至特定することが可能となり、また、汚れが付着しやすい箇所等の傾向分析等を行うことも可能となる。
報知手段は、データ収集解析手段から報知信号を受信すると、警報を発するよう構成されている。このような報知手段による警報の態様としては、警報音を発することで聴覚的に報知する態様の他、例えば、ランプ等を点灯させる態様や、樹脂封止装置10に設けられた表示画面又は樹脂封止装置10に接続されたパーソナルコンピュータ等の表示画面上にメッセージを表示する態様や、表示画面の一部又は全体を点滅若しくは所定の色で点灯させる態様等の視覚的に報知する態様等を適宜採用することが可能である。このような報知手段による警報により、作業者は、型面32aにおける汚れの発生(クリーニングの必要性)を認知することが可能になると共に、離型不良に起因した樹脂成形品Pの破損や外観不良を予測することが可能となる。
以上の構成を備える本実施形態に係る樹脂封止装置10は、図4に示すように、上型28及び下型30によってリードフレームWを挟み込んだ状態で、溶融したモールド材料をプランジャ24bによって加圧し、上型28のカル部29a→ランナ部29b→ゲート部29c→キャビティ部29dの順で流動させ、熱硬化させることで、キャビティC内に配置された電子部品をモールドし、樹脂成形品Pを製造するよう構成されている。また、本実施形態に係る樹脂封止装置10は、電子部品のモールド完了後、移動プラテン18を下降させることで下型30を上型28から離間させると共に、これと並行又は同期して、上型28に内蔵されたエジェクタ機構(図示せず)によって上型28の型面から樹脂成形品Pを離型させるよう構成されている。さらに、本実施形態に係る樹脂封止装置10は、図7(a)に示すように、上型28から下型30を離間させた後に、図7(b)に示すように、エジェクタ機構40によって下型30の型面32aから樹脂成形品Pを離型させるよう構成されている。また、本実施形態に係る樹脂封止装置10は、上型28の型面から樹脂成形品Pを離型させる際、及び、下型30の型面32aから樹脂成形品Pを離型させる際の離型力を離型力測定機構50(離型力測定装置)によってリアルタイムで測定乃至監視し、離型不良を検知した際に、報知手段により警報を発するよう構成されている。
ワーク・タブレット供給機構60は、図1に示すように、リードフレームW(ワーク)及び樹脂タブレットを樹脂封止装置10の上型28及び下型30の間に搬送するワーク・タブレット搬送装置62と、複数のリードフレームWを収容するラック64と、ラック64に収容されたリードフレームWを1枚ずつワーク・タブレット搬送装置62に対して送り出すワーク供給装置(プッシャ)66と、ワーク・タブレット搬送装置62に樹脂タブレットを供給するタブレット供給装置68と、ワーク・タブレット搬送装置62、ワーク供給装置66及びタブレット供給装置68にそれぞれ設けられた駆動部(図示せず)と、各駆動部を同期して又は非同期状態で制御する制御部(図示せず)とを備えている。ワーク・タブレット供給機構60は、制御部による制御により、樹脂封止装置10に対するリードフレームW及び樹脂タブレットの供給を自動で実行可能に構成されている。
樹脂成形品回収機構70は、図1に示すように、樹脂封止装置10から不要樹脂付きの樹脂成形品Pを搬出する搬出装置72と、樹脂成形品Pと一体的に成形された不要樹脂を上方から押圧することで不要樹脂を樹脂成形品Pから分離させるゲートブレーク装置74と、分離されて落下した不要樹脂を回収する回収容器76と、不要樹脂が除去された樹脂成形品Pを回収する樹脂成形品回収装置78と、搬出装置72、ゲートブレーク装置74及び樹脂成形品回収装置78にそれぞれ設けられた駆動部(図示せず)と、各駆動部を同期して又は非同期状態で制御する制御部(図示せず)とを備えている。樹脂成形品回収装置78は、ゲートブレーク位置と樹脂成形品回収位置との間を往復移動可能に設けられる搬送装置78aと、樹脂成形品Pが回収されるラック78bと、樹脂成形品回収位置に到達した搬送装置78aに搭載されている樹脂成形品Pをラック78bに対して送り出す送り出し装置(プッシャ)78cを備えている。樹脂成形品回収機構70は、制御部による制御により、樹脂封止装置10からの不要樹脂付きの樹脂成形品Pの搬出と、樹脂成形品Pからの不要樹脂の除去と、不要樹脂が除去された樹脂成形品Pの回収とを自動で実行可能に構成されている。
次に、本実施形態に係る樹脂封止システム1の動作について、説明する。なお、以下の樹脂封止システム1の動作は、予め記憶部に記憶されたプログラムに基づいて、各構成要素が駆動制御されることにより実行される。
まず、ワーク供給装置66によってラック64からワーク・タブレット搬送装置62に向けてリードフレームWが1枚ずつ送り出される。また、これと並行して、複数(本実施形態では5つ)の樹脂タブレットがタブレット供給装置68からワーク・タブレット搬送装置62に受け渡される。リードフレームW及び樹脂タブレットがワーク・タブレット搬送装置62に受け渡されると、ワーク・タブレット搬送装置62は、受領したリードフレームW及び樹脂タブレットを保持した状態で樹脂封止装置10内に移動し、下型30の金型本体32上にリードフレームWを載置させると共に、樹脂タブレットをトランスファ機構22の収容ポット形成孔部24aにそれぞれ投下させる。
リードフレームW及び樹脂タブレットが樹脂封止装置10に受け渡されると、樹脂封止装置10は、樹脂封止成形を実行する。具体的には、樹脂封止装置10は、キャビティC内に電子部品が位置するよう上型28及び下型30によってリードフレームWを挟み込んだ状態で、収容ポット形成孔部24a内において溶融したモールド材料をプランジャ24bによってキャビティC内に向けて流動させ、キャビティC内に流入したモールド材料を熱硬化させることで、樹脂成形品Pをトランスファ成形する。また、樹脂封止装置10は、電子部品のモールド完了後、移動プラテン18を下降させることで下型30を上型28から離間させると共に、これと並行又は同期して、上型28に内蔵されたエジェクタ機構によって上型28の型面から樹脂成形品Pを離型させる。さらに、本実施形態に係る樹脂封止装置10は、上型28から下型30を離間させた後に、エジェクタ機構40によって下型30の型面32aから樹脂成形品Pを離型させる。この際、樹脂封止装置10は、樹脂成形品Pを離型させる際の離型力を離型力測定機構50(離型力測定装置)によってリアルタイムで測定乃至監視し、離型不良を検知した際に、報知手段により警報を発する。
搬出装置72は、樹脂封止装置10内の不要樹脂付きの樹脂成形品Pを回収し、ゲートブレーク装置74に向けて搬送する。搬出装置72によって不要樹脂付きの樹脂成形品Pがゲートブレーク装置74に到達すると、ゲートブレーク装置74は、樹脂成形品Pに付着した不要樹脂を上方から押圧することで樹脂成形品Pから分離させ、これにより落下した不要樹脂を収集容器76にて収集する。また、樹脂成形品回収装置78により、不要樹脂が除去された樹脂成形品Pが回収される。
そして、以上の工程が繰り返し実行されることにより、樹脂成形品Pが自動で連続的に製造される。
以上説明したとおり、本実施形態に係る樹脂成形金型26は、樹脂成形用のキャビティCを形成するための型面32aを有する樹脂成形金型であって、型面32aから突出可能に構成され、キャビティCによって成形された樹脂成形品Pを型面32aから離型させるエジェクタピン44と、エジェクタピン44の基端部44bと接触するよう設けられ、樹脂成形品Pの離型時にエジェクタピン44を介して受けた荷重を測定可能な離型力測定機構50とを備え、離型力測定機構50は、荷重を歪みに変換する起歪体52と、起歪体52の歪み部位(肉薄部53a〜53d)に貼り付けられた歪ゲージ54a〜54dとを備え、起歪体52は、樹脂成形金型26に相対移動不能に固定された固定側端部52aと、エジェクタピン44の基端部44bに接触するよう設けられた可動側端部52bと、固定側端部52aから可動側端部52bに亘ってエジェクタピン44の軸方向と交差する方向に延びる上下一対の平行ビーム部52c,52dとを有し、上下一対の平行ビーム部52c,52dは、それぞれ、固定側端部52aとの境界部分及び可動側端部52bとの境界部分に、歪み部位となる肉薄部53a〜53dが形成されており、歪ゲージ54a〜54dは、上下一対の平行ビーム部52c,52dの肉薄部53a〜53dにそれぞれ貼り付けられている。
このように、本実施形態に係る樹脂成形金型26は、離型力測定機構50を備えることにより、離型不良を検知することが可能となるため、作業者に対して、型面32aの汚れの発生(クリーニングの必要性)や、離型不良に起因した樹脂成形品Pの破損及び外観不良等の可能性を認知させることが可能となる。このような利点は、本実施形態に係る樹脂封止システム1のように、樹脂封止装置10に対するリードフレームW及び樹脂タブレットの供給から樹脂封止後の樹脂成形品Pの回収までを自動で連続して実行する全自動システムにおいて、特に有効である。
また、本実施形態に係る樹脂成形金型26は、エジェクタピン44の軸方向と交差する方向に主として延びる離型力測定機構50(ロバーバル型ロードセル)によってエジェクタピン44の荷重を測定するよう構成されているため、エジェクタピン44の直下に埋設する必要がある大径の水晶圧電式ロードワッシャを用いる場合と比較して、離型力測定機構50の設置個数及び配置の自由度を向上させることができる。すなわち、本実施形態に係る樹脂成形金型26によれば、隣接する離型力測定機構50同士が互いに干渉し合わないよう、各離型力測定機構50の延在方向をずらして配置することが可能となるため、例えば、密集して設けられる複数のエジェクタピン44の全てに離型力測定機構50を設ける構成等を実現することが可能となる。
また、本実施形態に係る樹脂成形金型26は、上述したとおり、表面に型面32aを有し、裏面から型面32aに亘ってエジェクタピン44が挿通可能な貫通孔32bが形成された金型本体32と、金型本体32の裏面側に離間して設けられたベースプレート34と、金型本体32とベースプレート34との間において金型本体32の裏面に対して進退移動可能に設けられ、貫通孔32bと整合する位置にエジェクタピン44が配されたエジェクタピンホルダ42と、金型本体32とベースプレート34とを連結するよう設けられ、ベースプレート34の熱を金型本体32に伝達可能な伝熱部材36とを更に備え、起歪体52の固定側端部52aは、エジェクタピンホルダ42に固定されており、エジェクタピンホルダ42及び起歪体52は、ベースプレート34から離間して設けられている。
このような樹脂成形金型26によれば、離型力測定機構50に対する熱の影響を低減させることが可能となる。すなわち、特許文献1及び2で提案されている離型力測定装置では、水晶圧電式ロードワッシャを高温な金型内に埋設させる必要があり、金型の熱の影響を受けやすいため、測定値の信頼性が十分ではなく、また、離型力測定装置の劣損を引き起こしやすいという問題がある。これに対し、本実施形態に係る樹脂成形金型26は、歪ゲージ54a〜54dが設けられた起歪体52及びこの起歪体52が設けられたエジェクタピンホルダ42が、高熱となるベースプレート34から離間して設けられることにより、エジェクタピン44の直下に埋設する必要がある従来の水晶圧電式ロードワッシャを用いる場合と比較して、離型力測定機構50に対する熱の影響を低減させることが可能となる。特に、本実施形態に係る離型力測定機構50では、起歪体52が、エジェクタピンホルダ42の下面に垂直に立設された板状部材で構成されることにより、エジェクタピンホルダ42との接触面積(伝熱面積)を小さくし、かつ、放熱面積を大きくすることが可能となるため、放熱性に優れるという更なる利点を有している。
さらに、特許文献1及び2で提案されている離型力測定装置では、水晶圧電式ロードワッシャを金型内に埋設させる必要があるため、離型力測定装置の配線スペースを金型内に確保することが困難である。これに対し、本実施形態に係る樹脂成形金型26では、金型本体32とベースプレート34との間の空間を配線スペースとして利用することが可能となるため、配線スペースを十分に確保することが可能になる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明の技術的範囲は、上述した実施形態に記載の範囲には限定されない。上記各実施形態には、多様な変更又は改良を加えることが可能である。
例えば、上述した実施形態では、樹脂封止装置10を中心として、樹脂封止装置10の一方の側面側にワーク・タブレット供給機構60が配置され、樹脂封止装置10の他方の側面側に樹脂成形品回収機構70が配置されるものとして説明したが、これに限定されず、これら樹脂封止装置10、ワーク・タブレット供給機構60及び樹脂成形品回収機構70の配置関係は、適宜変更することが可能である。また、ワーク・タブレット供給機構60の内部及び樹脂成形品回収機構70の内部における各構成要素の構成や配置についても、適宜変更することが可能である。
上述した実施形態では、樹脂成形装置が樹脂封止成形を行う樹脂封止装置10であるものとして説明したが、これに限定されず、例えば射出形成装置であるとしても良い。
上述した実施形態では、樹脂封止の対象となるワークがリードフレームWであるものとして説明したが、これに限定されず、電子部品が実装された電子部品基板であるとしても良い。この場合には、上型及び下型のうち、電子部品基板との間においてキャビティを形成する金型にのみ、本実施形態に係る離型力測定機構50が設けられるとしても良い。
上述した実施形態では、エジェクタピン44が1つのキャビティCに対して2つ設けられるものとして説明したが、これに限定されず、1つのみ設けられる構成としても良いし、3つ以上設けられる構成としても良い。
上述した実施形態では、全てのエジェクタピン44に対して離型力測定機構50(起歪体52及び歪ゲージ54a〜54d)が設けられるものとして説明したが、これに限定されず、1つ又は複数のキャビティCに対して少なくとも1つの離型力測定機構50が設けられていれば良く、離型力測定機構50が設けられないエジェクタピン44が存在する構成としても良い。すなわち、離型力測定機構50(起歪体52及び歪ゲージ54a〜54d)は、1つのキャビティCに対して設けられた一又は複数のエジェクタピン44の全てに設けられる構成としても良いし、1つのキャビティCに対して設けられた2つ以上のエジェクタピン44のうちの1つに設けられる構成としても良いし、1つのキャビティCに対して設けられた3つ以上のエジェクタピン44のうちの2つ以上に設けられる構成としても良い。また、樹脂成形金型26内の全てのキャビティCに対して離型力測定機構50が設けられる構成に限定されず、離型力測定機構50が設けられないキャビティCが存在する構成としても良い。このように離型力測定機構50が設けられないキャビティCが存在する場合であっても、離型力のサンプリングを行うことが可能である。なお、これらの場合において、離型力測定機構50(起歪体52及び歪ゲージ54a〜54d)が設けられないエジェクタピン44は、基端部44bがエジェクタピンホルダ42に埋設される構成とすることができる。
上述した実施形態では、起歪体52の肉薄部53a〜53dが半円状に形成されることで、起歪体52に鉄アレイ状(真円状の両端開口を細溝で連結した形状)の切り欠きが画定されるものとして説明したが、起歪体52に形成される切り欠きの形状は特に限定されるものではなく、例えば長円形状や四角形状の両端開口を細溝で連結した形状(バーベル形状)等の種々の形状を採用することが可能である。すなわち、起歪体52は、上下一対の平行ビーム部52c,52dの固定側端部52aとの境界部分及び可動側端部52bとの境界部分にそれぞれ歪み部位となる肉薄部53a〜53dが形成されるものであれば良く、肉薄部53a〜53dの形状は特に限定されるものではない。