JP6796469B2 - 注出具 - Google Patents
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Description
しかしながら、かかる手段は、高価なガスバリア性樹脂を使用することが必要であり、しかも、インサート成形という特殊な成形手段によりスパウトを成形しなければならず、製造コストが著しく高くなってしまうという問題がある。
このような構造の注出具では、キャップをスパウトに装着したとき、スパウトの内部に上記の筒状凹部が侵入し、キャップのスカート壁と該筒状凹部の上部壁との間の空間にスパウトの上方部分(円筒状本体)が嵌め込まれることにより、キャップが安定に保持される構造となっている。
即ち、スパウトの内部に上記筒状凹部が侵入し、該筒状凹部の外面がスパウトの内面に密着することにより形成される二重壁構造によって酸素バリア性が高められるというものである。また、かかる注出具では、容器内容物が容器に充填されているとき、所謂ヘッドスペースとなるスパウト内空間が上記の筒状凹部によって閉じられるため、ヘッドスペースの容積を小さくすることができ、これにより、ヘッドスペースに存在する酸素による容器内容物の酸化劣化を防止できるという利点もある。
前記スパウトの容器接合用筒は、前記円筒状本体の下端部での外径よりも小径の外面を有する筒状基部と、該筒状基部の外面から径方向外方に張り出している張出片を有しており、
前記キャップは、栓体と、該栓体の上端に連なり且つ該栓体の外面を取り囲むように延びている筒状外側壁とを有しており、
前記スパウトの円筒状本体は、前記栓体外面と筒状外側壁との間の空間に挿入されて螺子固定されており、該栓体の底面は、前記スパウトの容器接合用筒で囲まれた領域に位置しているとともに、該栓体の外面には、前記容器接合用筒の筒状基部の内面に密着している部位を含んでいることを特徴とする注出具が提供される。
(1)前記栓体が、肉抜きされた有底筒状形状を有しており、該栓体の底面から前記容器接合用筒の下端面にかけて面一となっていること、
(2)前記キャップの筒状外側壁の内面に前記スパウトとの螺子係合用螺条が形成されていること、
が好適である。
即ち、スパウトは、円筒状本体と該円筒状本体の下部に一体に連なった容器接合用筒とを有しており、この容器接合用筒は、円筒状本体の下端に連なっている筒状基部と、該筒状基部の外面に設けられている張出片とから形成されている。このような容器接合用筒の外面に、フィルム状の袋容器の開口部がヒートシールにより接合され、特に張出片の存在により、高圧力でのヒートシールが可能となっており、高い接合強度でスパウトを袋状容器に密着固定することができる。
本発明では、上記のようなスパウトの容器接合用筒において、その筒状基部の外面の径を、円筒状本体の下端部での外径よりも小径としている。即ち、円筒状本体及び容器接合用筒(筒状基部)の内部空間は、容器内容物の排出路となるため、これらの内面は面一の滑らかな面となっており、従って、筒状基部の外面の径が円筒状本体の下端部の外径よりも小さいということは、筒状基部が、円筒状本体よりも薄肉となっており、両者の間に段差が存在していることを意味する。
即ち、スパウトの内部には、キャップの栓体が挿入されて密着されており、しかも、スパウトの容器接合用筒の外面には、例えばフィルム形態の容器が接合されており、これらに、容器内への酸素の侵入が有効に防止されるのであるが、この場合、容器接合用筒の上部、即ち、円筒状本体の外面は、容器で覆われておらず、外面に露出している。従って、円筒状本体の外面から該本体の壁部を透過する酸素は、キャップの栓体によって容器内への侵入が抑制されたとしても、円筒状本体壁部内を軸方向に流れ、さらに、容器接合用筒の壁部内を軸方向に流れ、その下端部から容器内に流れ込んでしまうこととなる。
このように、容器接合用筒の壁部内を軸方向に流れて容器内に侵入する酸素の量は微量であるが、特に粘稠な内容物を酸化劣化させるには無視し得ないレベルとなる。粘稠な内容物、例えばペースト状の内容物は流動性に乏しいため、酸素が流れ出す容器接合用筒の下端部に付着していたり、或いはその近傍の容器内の液面部分に滞留していたりするため、容器内に流れ込んだ酸素により酸化され易いからである。
しかるに、本発明の注出具では、スパウトの容器接合用筒の厚みが薄肉化されているため、容器接合用筒の壁部を軸方向に通って流れる酸素の量が有効に抑制され、より優れた酸素バリア性が発現し、例えば、粘稠なペースト状内容物の酸化劣化も有効に防止することができる。
かかる注出具は、粘稠な内容物についての酸化劣化を有効に抑制することができ、例えば、粘稠なペースト状物質、特にとろみをつけた介護食などが収容された容器に装着されて効果的に使用することができる。
尚、栓体5の外面5bは、若干、テーパー面となっており、下方にいくにしたがい、外径が小さくなっている。これは、キャップ3をスパウト1に装着したとき、栓体5がスパウト1の中空空間(排出用流路100)内にスムーズに入り込むようにするためである。また、キャップ3をスパウト1に装着したとき、栓体5の下端での側面(底面5aの側面)でスパウト1の内面に密着し、シール部を形成するようになっている。
即ち、キャップ3をスパウト1に被せて螺子係合により固定したとき、スパウト1の上方部分が栓体5の外面5bと筒状外側壁9との間の空間に入り込み、これにより、キャップ3がスパウト1に固定されるようになっている。
このような筒状外側壁9の下端には、キャップ3の開封履歴を証明する公知のタンパーエビデントバンド(TEバンド)21が連結されている。
また、TEバンド21は、縦方向スリット25により分断されており、この分断部分は、縦方向スリット25を跨ぐ破断可能な周方向ブリッジ27により連結されている。この分断部分に対してキャップ3の閉栓方向Y側の近傍に、上記のストリップ23が連結されている。
また、TEバンド21の内面には、スパウト1の外面に係合してTEバンド21の開栓方向への回転を制限する突起33が、適宜の位置に適宜の数で設けられている。
尚、図1、図2(b)及び(c)から理解されるように、前述した栓体5は、TEバンド21の下端から大きく突出したものとなっている。
図1と共に、図3及び図4を参照して、スパウト1は、全体として中空筒状形状を有しており、この内部空間が、容器内に収容されている内容物の排出用流路100となっている。このため、スパウト1の内面は、特に図1及び図3(b)に示されているように、スパウト1の内面には溝や凹部が形成されておらず、全体として滑らかなストレートな面となっている。即ち、この流路100内での内容物の滞留や付着を防止するためである。
即ち、上記の螺条45と、キャップ3の筒状外側壁9の内面に形成されている螺条11との螺子係合により、キャップ3がスパウト1に螺子固定され、安定に保持されることとなる。キャップ3を螺子係合により固定した状態では、キャップ3の栓体5が上記排出用流路100内に侵入し、これにより、排出用流路100が閉じられ、この流路100からの内容物の排出が防止される。また、図1に示されているように、このスパウト1の円筒状本体41が、キャップ3の栓体5の外面5bと筒状外側壁9の内面との間に侵入し、軸方向リブ15により、この空間の奥までガタツキなくスムーズに案内され、突起13a、周状凸部13b、環状突起13cと当接して密着し、さらには、ボス17とも当接して密着することにより、キャップ3とスパウト1との間のシール性が確保される。
従って、キャップ3を開栓方向Xに回転させてキャップ3を取り外そうとしたとき、キャップ3の筒状外側壁9及び栓体5は、開栓方向に回転してスパウト1(円筒状本体41)上を上昇すると共に、スリット25に対してTEバンド21の開栓方向X側は、ある程度開栓方向に開栓し、ストリップ23が伸びきった状態で、ストリップ25により開栓方向X側に引っ張られる。一方、スリット25に対してTEバンド21の閉栓方向Y側は、ある程度開栓方向Xに回転すると、内面に設けられている突起33がラチェット49の直立面49aに当接し、その開栓方向X側の回転が制限される。この結果、スリット25を跨いで形成されている周方向ブリッジ27が破断し、さらに、TEバンド21と筒状外側壁9とを連結している軸方向ブリッジ30も破断することとなる。
上記のようにして袋状容器の開口部をスパウト1(容器接合用筒43)にヒートシールによる接合する場合、張出片43bの形成によりヒートシール面積が増大し且つヒートシールに際しての圧着も容易に行うことができるため、良好な密封性を確保することができる。
尚、図3(b)に示されているように、容器接合用筒43の内面は、前述した円筒状本体41の内面に面一となるように滑らかに連続した面となっているが、その下端部分43’は、下方に行くほど小径となるようなテーパー面となっている。これにより、スパウト1にキャップ3を装着した時、栓体5の底面5aの側面部分が、容器接合用筒43の下端部分43’に密着し、良好なシール部が確保されるようになっている。
このため、円筒状本体41の外面から、Zで示すように、酸素が流入することとなり、その厚みTがかなり厚いため、この円筒状本体41の壁部内には、多くの酸素が流入し得る。
このように、容器接合用筒43の厚み方向を通って容器110内に侵入する酸素の量はそれほど多くないのであるが、容器内容物が流動性の低い粘稠な物質であるときには、無視し得ないレベルで酸化劣化を生じてしまう。
従って、本発明においては、容器接合用筒43(筒状基部43a)の厚みtと筒状円筒体41の厚みTとの比(t/T)が0.1〜0.6の範囲となるように、容器接合用筒43における筒状基部43の外径d及び円筒状本体41の外径Dを設定することが好ましい。これにより、スパウト1の強度や形態保持性を保持しつつ、酸素バリア性を効果的に高めることができる。
例えば、粘稠なペースト状物質、特にとろみをつけた介護食などであっても、その酸化劣化を有効に防止することができ、長期にわたって、その品質を保持することができる。
即ち、先にも述べたように、栓体5の底面5aの側面部分が、容器接合用筒43の下端部分43’に密着し、良好なシール部が確保されるようになっているが、同時に、栓体5の底面5aの下端面が容器接合用筒43の下端面にぴったりと密着し、両者の間に溝、凹部或いは段差が形成されていないことが望ましい。即ち、上記のような粘稠な流動性の乏しい物質は、溝や凹部或いは段差部分に滞留してしまうことが多く、このような物質は、酸化劣化を受けやすい状態に保持されてしまう。従って、このような溝、凹部或いは段差が形成されないような形態とすることにより、より一層、内容物の酸化劣化を有効に防止することができる。
3:キャップ
5:栓体
9:筒状外側壁
41:円筒状本体
43:容器接合用筒
43a:筒状基部
43b:張出片
51:段差
100:内容物の排出用流路
Claims (3)
- 円筒状本体と該円筒状本体の下部に一体に連なった容器接合用筒とを含み、該円筒状本体及び容器接合用筒の内部空間が内容物の排出用流路となっているスパウトと、該スパウトの円筒状本体に螺子係合により着脱自在に装着されているキャップとからなる注出具において、
前記スパウトの容器接合用筒は、前記円筒状本体の下端部での外径よりも小径の外面を有する筒状基部と、該筒状基部の外面から径方向外方に張り出している張出片を有しており、
前記キャップは、栓体と、該栓体の上端に連なり且つ該栓体の外面を取り囲むように延びている筒状外側壁とを有しており、
前記スパウトの円筒状本体は、前記栓体外面と筒状外側壁との間の空間に挿入されて螺子固定されており、該栓体の底面は、前記スパウトの容器接合用筒で囲まれた領域に位置しているとともに、該栓体の外面には、前記容器接合用筒の筒状基部の内面に密着している部位を含んでいることを特徴とする注出具。 - 前記栓体が、肉抜きされた有底筒状形状を有しており、該栓体の底面から前記容器接合用筒の下端面にかけて面一となっている請求項1に記載の注出具。
- 前記キャップの筒状外側壁の内面に前記スパウトとの螺子係合用螺条が形成されている請求項1又は2に記載の注出具。
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