JP6795808B2 - 熱電変換材料、および熱電変換素子 - Google Patents

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本発明の実施形態は、導電性組成物、熱電変換材料および該材料を用いた熱電変換素子に関する。
近年、有機エレクトロニクス分野の発展に伴い、新しい有機エレクトロニクス材料が活発に検討されている。特に、導電性材料については、金属や無機酸化物を含む従来の無機材料に代わる新たな材料として、導電性高分子が注目されている。導電性高分子は、高い電気伝導性、及び塗膜状態での優れたフレキシブル性を有することから、様々な用途への適用が期待される。
例えば、導電性高分子は、電池用電極、タッチスクリーンパネル用電極、太陽電池用電極、エレクトロルミネッセンス用電極、キャパシタ用電極、アクチュエータ素子、及び熱電変換素子などの材料に応用することができる。各種用途において、優れた性能を得るために、導電性高分子を含む導電性組成物には、導電性及び可撓性のさらなる向上が望まれている。
なかでも、導電性高分子は、熱電変換素子に用いる材料(以下、「熱電変換材料)ともいう)として有用である。熱電変換素子は、熱を電力に変換する素子であり、半導体や金属の組合せによって構成される。代表的に、熱電変換素子は、p型半導体単独、n型半導体単独、あるいはp型半導体とn型半導体との組合せに分類される。熱電変換素子では、半導体の両端に温度差が生じるように熱を加えると起電力が生じるゼーベック効果を利用する。より大きな電位差を得るために、熱電変換素子では、一般的に、材料としてp型半導体とn型半導体とを組合せて使用する。
また、熱電変換素子は、多数の素子を板状、または円筒状に組合せてなる熱電モジュールとして使用される。例えば、熱電モジュールは、地上用発電及び人工衛星用発電における電源として利用できる。熱電変換素子の性能は、熱電変換材料の性能、及びモジュールの耐久性などに依存する。
「熱電変換技術ハンドブック(初版)」P19に記載されているとおり、熱電変換材料の性能を表す指標として、無次元熱電性能指数(ZT)が用いられる。また、熱電変換材料の性能を表す指標として、パワーファクターPF(=S・σ)を用いる場合もある。
上記無次元熱電性能指数「ZT」は、下式(1)により表される。
ZT=(S・σ・T)/κ (1)
ここで、Sはゼーベック係数(V/K)、σは導電率(S・m)、Tは絶対温度(K)、及びκは熱伝導率(W/(m・K))である。熱伝導率κは下式(2)で表される。
κ=α・ρ・C (2)
ここで、αは熱拡散率(m/s)、ρは密度(kg/m)、及びCは比熱容量(J/(kg・K))である。
つまり、熱電変換の性能(以下、熱電特性とも称す)を向上させるには、ゼーベック係数または導電率を向上させ、その一方で熱伝導率を低下させることが重要である。
代表的な熱電変換材料として、例えば、常温から500Kまではビスマス・テルル系(Bi−Te系)、常温から800Kまでは鉛・テルル系(Pb−Te系)、及び常温から1000Kまではシリコン・ゲルマニウム系(Si−Ge系)などの無機材料が使用されている。
しかし、これらの無機材料を含む熱電変換材料は、しばしば希少元素を含み高コストであるか、または有害物質を含む場合がある。また、無機材料は加工性に乏しいため、製造工程が複雑となる。そのため、無機材料を含む熱電変換材料については、製造エネルギー及び製造コストが高くなり、汎用化が困難である。さらに、無機材料は剛直であるため、平面ではない形状にも設置可能な、フルキシブル性を有する熱電変換素子を形成することは困難である。
これに対し、従来の無機材料に代えて、導電性高分子を用いた熱電変換素子に関する検討が進められている。導電性高分子は、優れた成形性を有し、かつ無機材料よりも優れた可撓性を有するため、それ自身が分解しない温度範囲での汎用性が高い。また、導電性高分子は、印刷技術などを容易に活用できるため、製造エネルギーや製造コストの面でも無機材料より有利である。
導電性高分子を用いた熱電変換素子の具体例として、特許文献1はポリアニリンを用いた熱電変換素子、及び特許文献2はポリ(3−アルキルチオフェン)を用いた熱電変換素子をそれぞれ開示している。また、特許文献3はポリフェニレンビニレンを用いた熱電変換素子、及び特許文献4はポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(以下、「PEDOT」とも称す。)を用いた熱電変換素子をそれぞれ開示している。
一般的に、導電性高分子を使用する場合、導電率、およびPF(パワーファクター)やZT(無次元熱電性能指数)を向上させるために、導電性高分子に少量のドーパントが添加される。例えば、特許文献4では、PEDOTと、ポリスチレンスルホン酸(PSS)のようなドーパントアニオンと、さらにエチレングリコール、ジメチルスルホキド、n−メチルピロリドン、又はジメチルホルムアミドのような高沸点溶媒とを含む熱電変換材料を開示している。特許文献4は、上記材料によれば、導電率の向上、及びPF値又はZT値といった熱電変換効率指数の向上が可能であり、そのことで熱電特性に優れた熱電変換素子を実現できることを明らかにしている。
特開2000−323758号公報 特開2003−332638号公報 特開2003−332639号公報 特開2012−84821号公報
上述のように、導電性高分子を含む導電性組成物には、導電性及び可撓性のさらなる向上が望まれている。特に、導電性高分子を含む熱電変換材料においては、各種添加剤の使用によって導電性及び熱電特性の向上は可能であるが、可撓性及び耐久性の観点では、未だ満足できる材料はなく、さらなる改善が望まれている。熱電変換材料の可撓性は、熱電変換素子製造時の作業性だけでなく、素子作動時の信頼性及び素子の耐久性にも影響する。特に、熱電変換材料の可撓性が不十分であると、例えば、円筒状の熱源など、平面ではない形状を有する熱源に熱電変換素子を設置することが困難となる。また、外部から素子に衝撃が加わった時に、ひび割れなどの破損が生じ難く、熱電変換特性を十分に発揮することが困難となる。さらに、ヒートサイクルに対し熱電特性を維持することが困難となり、モジュールの耐久性にも影響する。
したがって、上記に鑑み、本発明の実施形態は、導電性及び可撓性に優れる導電性組成物を提供することを目的とする。本発明の他の実施形態は、導電性及び可撓性に優れ、かつ熱電特性にも優れる熱電変換材料を提供することを目的とする。本発明の他の実施形態は、上記熱電変換材料を使用して、優れた熱電性能を有し、かつヒートサイクルに対しその性能を良好に維持できる、耐久性に優れたフレキシブルな熱電変換素子を提供することを目的とする。
本発明の実施形態である導電性組成物は、導電性高分子(A)と、ドーパント(B)と、窒素含有複素環芳香族化合物(C)とを含有し、上記導電性高分子(A)と上記ドーパント(B)との総量1重量部に対し、上記窒素含有複素環芳香族化合物(C)を0.05重量部以上含むことを特徴とする。
本発明の実施形態である熱電変換材料は、導電性高分子(A)と、ドーパント(B)と、窒素含有複素環芳香族化合物(C)とを含有し、上記導電性高分子(A)と上記ドーパント(B)との総量1重量部に対し、上記窒素含有複素環芳香族化合物(C)を0.05〜2重量部含むことを特徴とする。
上記実施形態において、上記窒素含有複素環芳香族化合物(C)は、π過剰系複素環芳香族化合物を含むが好ましい。また、上記窒素含有複素環芳香族化合物(C)は、1つの複素環内に3以上の窒素原子を有する化合物を含むことが好ましい。また、上記窒素含有複素環芳香族化合物(C)は、トリアゾール骨格、ベンゾトリアゾール骨格、及びテトラゾール骨格からなる群から選択される少なくとも1種を有する化合物を含むことが好ましい。上記導電性高分子(A)は、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を含むことが好ましい。
本発明の実施形態である熱電変換素子は、上記実施形態の熱電変換材料から形成された熱電変換膜と、電極とを有し、上記熱電変換膜及び上記電極が互いに電気的に接続されていることを特徴とする。
本発明の実施形態によれば、導電性及び可撓性に優れる導電性組成物を提供することができる。また、他の実施形態によれば、導電性及び可撓性に優れ、かつ熱電特性にも優れる、熱電変換材料を提供することができる。また、他の実施形態によれば、上記熱電変換材料を使用して、優れた熱電性能を有し、かつヒートサイクルに対しその性能を良好に維持できる、耐久性に優れたフレキシブルな熱電変換素子を提供することができる。
本発明の実施形態である熱電変換素子の試験サンプルの構造を示す模式図である。 本発明の実施形態である熱電変換素子の起電力の測定方法を説明する模式図である。
以下、本発明の実施形態について詳細に説明する。
[導電性組成物]
本発明の実施形態である導電性組成物は、導電性高分子(A)と、ドーパント(B)と、窒素含有複素環芳香族化合物(C)とを含有する。導電性及び可撓性を向上する観点から、窒素含有複素環芳香族化合物(C)の含有量は、導電性高分子(A)とドーパント(B)との総量1重量部に対し、0.05重量部以上であることが好ましい。さらに、上記化合物(C)の含有量は、0.1重量部以上、0.2重量部以上、0.5重量部以上の順に好ましい。一実施形態において、窒素含有複素環芳香族化合物(C)の含有量は、導電性高分子(A)とドーパント(B)との総量1重量部に対し、0.05〜2重量部とすることが好ましい。
本実施形態によれば、上記導電性組成物が窒素含有複素環芳香族化合物(C)を含むことによって、導電性及び可撓性を容易に向上させることができる。そのため、上記導電性組成物は、導電性高分子が使用される様々な用途において好適に使用することができる。一実施形態において、導電性組成物の導電率(S/cm)は、10以上が好ましく、30以上がより好ましい。さらに、上記導電率(S/cm)は、100以上、300以上、500以上の順に好ましい。
例えば、電導性組成物は、電池用電極、タッチスクリーンパネル用電極、太陽電池用電極、エレクトロルミネッセンス用電極、キャパシタ用電極、アクチュエータ素子、及び熱電変換素子などの材料として好適に使用することができる。
上記導電性組成物において、導電性高分子(A)及びドーパント(B)は、当技術分野で周知の化合物であってよい。また、窒素含有複素環芳香族化合物(C)は、複素環内にヘテロ原子として1以上の窒素原子を含み、かつ芳香族性を有する化合物を意図する。上記成分(A)〜(C)の具体例については後述する。
[熱電変換材料]
本発明の実施形態である熱電変換材料は、導電性高分子(A)と、ドーパント(B)と、窒素含有複素環芳香族化合物(C)とを含有し、上記導電性高分子(A)と上記ドーパント(B)との総量1重量部に対し、上記窒素含有複素環芳香族化合物(C)を0.05〜2重量部含むことを特徴とする。本実施形態によれば、優れた導電性及び可撓性を有し、かつ優れた熱電変換特性(熱電特性ともいう)を有する熱電変換材料を提供することができる。一実施形態において、熱電変換材料の導電率(S/cm)は、10以上が好ましく、30以上がより好ましい。さらに、上記導電率(S/cm)は、100以上、300以上、500以上の順に好ましい。
熱電変換材料の熱電性能は、先に説明したように、PF(パワーファクター)又はZT(無次元熱電性能指数)が指標となる。PF又はZTの数値が大きいほど、優れた熱電変換能を有する熱電変換材料となる。
一実施形態において、熱電変換材料のPF値は、好ましくは10μW/mK以上、より好ましくは20μW/mK以上、さらに好ましくは30μW/mK以上である。ここで、PF値は、実験例において後述する測定方法によって得られる値を意味する。本発明の一実施形態によれば、上記成分(A)〜(C)の組合せによって、好ましいPF値を有する熱電変換材料を構成することが容易である。以下、上記成分(A)〜(C)について具体的に説明する。
<導電性高分子(A)>
本発明に用いる導電性高分子(A)は、π共役系が全体にひろがった高分子化合物を意図する。当技術分野において、導電性高分子として知られる化合物を使用することができる。例えば、チオフェン類、ピロール類、アニリン類、フェニレンビニレン類、アセチレン類、フェニレン類、アセン類、及びチエニレンビニレン類からなる群から選択される少なくとも1種の単独重合体又は共重合体を使用することができる。
導電性高分子(A)は、置換基を有してもよい。置換基は、導電性の向上、及びバインダー樹脂との相溶性の向上などの目的として、任意に選択することができる。置換基の具体例として、直鎖又は分岐のアルキル基、アルコキシル基、カルボキシル基、水酸基、及びスルホ基が挙げられる。導電性高分子(A)は、これら置換基の少なくとも1種を有してよい。
導電性高分子(A)の具体例として、以下が挙げられる。但し、以下の化合物に限定されるものではない。
ポリチオフェン類: ポリ(チオフェン)、ポリ(3−メチルチオフェン)、ポリ(3−エチルチオフェン)、ポリ(3−プロピルチオフェン)、ポリ(3−ブチルチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルチオフェン)、ポリ(3−ヘプチルチオフェン)、ポリ(3−オクチルチオフェン)、ポリ(3−(2−エチルヘキシル)チオフェン)、ポリ(3−ドデシルチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルチオフェン)、ポリ(3,4−ジメチルチオフェン)、ポリ(3,4−ジブチルチオフェン)、ポリ(3−フルオロチオフェン)、ポリ(3−クロロチオフェン)、ポリ(3−ブロモチオフェン)、ポリ(3−ヨードチオフェン)、ポリ(3,4−ジブロモチオフェン)、ポリ(3−シアノチオフェン)、ポリ(3−フェニルチオフェン)、ポリ(3−ビフェニルチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−スルホニルチオフェン)、ポリ(3−ヒドロキシチオフェン)、ポリ(3−メトキシチオフェン)、ポリ(3−エトキシチオフェン)、ポリ(3−ブトキシチオフェン)、ポリ(3−ヘキシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクチルオキシチオフェン)、ポリ(3−ドデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−オクタデシルオキシチオフェン)、ポリ(3−(2−エチルヘキシル)オキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−メトキシチオフェン)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−エトキシチオフェン)、ポリ(3−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシチオフェン)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルチオフェン)、及びポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルチオフェン)等。
ポリピロール類: ポリ(ピロール)、ポリ(3−メチルピロール)、ポリ(3−エチルピロール)、ポリ(3−プロピルピロール)、ポリ(3−ブチルピロール)、ポリ(3−ヘキシルピロール)、ポリ(3−ヘプチルピロール)、ポリ(3−オクチルピロール)、ポリ(3−(2−エチルヘキシル)ピロール)、ポリ(3−ドデシルピロール)、ポリ(3−オクタデシルピロール)、ポリ(3,4−ジメチルピロール)、ポリ(3,4−ジブチルピロール)、ポリ(3−フルオロピロール)、ポリ(3−クロロピロール)、ポリ(3−ブロモピロール)、ポリ(3−ヨードピロール)、ポリ(3,4−ジブロモピロール)、ポリ(3−シアノピロール)、ポリ(3−フェニルピロール)、ポリ(3−ビフェニルピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−スルホニルピロール)、ポリ(3−ヒドロキシピロール)、ポリ(3−メトキシピロール)、ポリ(3−エトキシピロール)、ポリ(3−ブトキシピロール)、ポリ(3−ヘキシルオキシピロール)、ポリ(3−オクチルオキシピロール)、ポリ(3−ドデシルオキシピロール)、ポリ(3−オクタデシルオキシピロール)、ポリ(3−(2−エチルヘキシル)オキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−メトキシピロール)、ポリ(エチレンジオキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−エトキシピロール)、ポリ(3−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシピロール)、ポリ(3−メチル−4−カルボキシエチルピロール)、及びポリ(3−メチル−4−カルボキシブチルピロール)等。
ポリアニリン類: ポリアニリン、メチルポリアニリン、ジメチルポリアニリン、ヘキシルポリアニリン、ジヘキシルポリアニリン、メトキシポリアニリン、エトキシポリアニリン、ヘキシルオキシポリアニリン等。
導電性高分子(A)として、上記化合物を単独で、又は2種類以上を組み合わせて用いることができる。上記化合物の中でも、導電性の点から、ポリチオフェン類が好ましく、特に、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)が好ましく用いられる。
<ドーパント(B)>
本発明に用いるドーパント(B)は、当技術分野において、ドーパントとして知られる化合物であってよい。一般に、導電性高分子にドーパントをドーピングしてキャリア密度を増大させることによって、導電性が向上することが知られている。ドーピングに用いるドーパントは、ドーピングする導電性高分子(キャリア)の種類により、ドナー性ドーパントとアクセプター性ドーパントとに分類できる。
ドナー性ドーパントの具体例としては、特に限定されるものではないが、以下が挙げられる。
アルカリ金属:リチウム、ナトリウム、又はカリウム等。
アルカリ土類金属:カルシウム、又はマグネシウム等。
アンモニウム塩の4級アンモニウムカチオン:テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、エチルジイソプロピルアンモニウム、メチルトリエチルアンモニウム、トリオクチルメチルアンモニウム、又はセチルトリメチルアンモニウム等。
これらは、単独で、もしくは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
アクセプター性ドーパントの具体例としては、特に限定されるものではないが、以下が挙げられる。
ハロゲン化合物:塩素、臭素、ヨウ素、ICl、ICl、IBr、又はIF等。
無機プロトン酸:HF、HCl、HNO、HSO、HClO、FSOH、又はClSOH等。
有機カルボン酸:ギ酸、酢酸、シュウ酸、安息香酸、フタル酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸、酒石酸、クエン酸、乳酸、コハク酸、セバシン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ニトロ酢酸、又はトリフェニル酢酸等。
有機スルホン酸:メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、1−プロパンスルホン酸、1−ブタンスルホン酸、1−ヘキサンスルホン酸、1−オクタンスルホン酸、1−ドデカンスルホン酸、1−テトラデカンスルホン酸、2−ブロモエタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、リグニンスルホン酸、コリスチンメタンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、3−アミノプロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、キシレンスルホン酸、エチルベンゼンスルホン酸、プロピルベンゼンスルホン酸、ブチルベンゼンスルホン酸、ヘキシルベンゼンスルホン酸、ヘプチルベンゼンスルホン酸、オクチルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、ペンタデシルベンゼンスルホン酸、へキサデシルベンゼンスルホン酸、カンファースルホン酸、2,4−ジメチルベンゼンスルホン酸、ジプロピルベンゼンスルホン酸、ブチルベンゼンスルホン酸、4−アミノベンゼンスルホン酸 、p−クロロベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、メチルナフタレンスルホン酸、又はナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物等。
電子欠乏性有機化合物類:テトラシアノエチレン(TCNE)、テトラシアノエチレンオキサイド、テトラシアノベンゼン、テトラシアノキノジメタン(TCNQ)、フッ素化テトラシアノキノジメタン(F4−TCNQ)、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−p−ベンゾキノン(DDQ)、クロラニル、又はテトラシアノアザナフタレン等。
ルイス酸:PF、AsF、SbF、BF、BCl、BBr、又はSO等。
遷移金属化合物:FeCl、FeOCl、TiCl、AlCl、ZrCl、HfCl、TaCl、MoCl、WF、又はWCl等。
これらは、単独で、もしくは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
さらに、アクセプター性ドーパントの他の具体例として、ポリアニオンを挙げることができる。ポリアニオンとは、上述のカルボン酸やスルホン酸のユニットを有する高分子化合物の総称である。
ポリアニオンの具体例としては、ビニルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルスルホン酸、4−スルホブチルメタクリレート、メタリルオキシベンゼンスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、スチレンスルホン酸、α−メチルスチレンスルホン酸、及びアクリルアミド−t−ブチルスルホン酸などからなる群から選択される少なくとも1種の、単独重合体又は共重合体が挙げられる。また、これら単独重合体又は共重合体のナトリウム塩又はカリウム塩等の金属塩も挙げられる。
本発明の一実施形態において、ドーパント(B)として、有機スルホン酸又はポリアニオンといったスルホン基を有する化合物、またはそのアルカリ金属塩を好ましく用いることができる。なかでも、ポリスチレンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、及びp−トルエンスルホン酸からなる群から選択される少なくとも1種の有機スルホン酸を好ましく用いることができる。これらの化合物は、市販品として入手することも可能である。
特に限定されるものではないが、例えば、日本合成化学工業株式会社製の「ゴーセラン」(登録商標)L−3288、L−0301、及びL−0302が挙げられる。また、アクゾノーベル株式会社社製の「VERSA−TL72」(商品名)等が挙げられる。これらを、単独で、もしくは2種類以上を組み合わせて用いることができる。
ドーパント(B)として使用する化合物の含有量は、導電性高分子(A)とドーパント(B)の合計を基準として、好ましくは30〜80重量%、より好ましくは40〜80重量%、さらに好ましくは50〜70重量%の範囲である。ドーパントの含有量を上記範囲内に調整することによって、導電性組成物および熱電変換材料の分散安定性が向上する。
一実施形態において、導電性高分子(A)とドーパント(B)とを含む市販品を使用することもできる。例えば、ヘレウス社製の「CLEVIOS(登録商標)PH1000」が挙げられる。これは、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)(PEDOT)と、ポリスチレンスルホン酸と、水とを含有し、固形含有量が1.2%である材料である。
<窒素含有複素環芳香族化合物(C)>
本発明に用いる窒素含有複素環芳香族化合物(C)は、複素環内にヘテロ原子として1以上の窒素原子を含み、かつ芳香族性を有する化合物を意図する。一実施形態において、窒素含有複素環芳香族化合物(C)(以下、化合物(C)ともいう)は、複素環内に窒素原子と、硫黄原子等のその他のヘテロ原子を含んでもよい。上記化合物において、窒素含有複素環は、3員環以上の構造を有し、好ましくは3〜7員環の構造を有する。また、別の実施形態において、化合物(C)は、窒素含有複素環に加えて、芳香族環を1〜3個有する化合物であってよい。本実施形態において、化合物(C)は、窒素含有複素環と芳香族環とからなる多環縮合化合物の構造を有してもよい。ここで、多環縮合化合物の構造中に含まれる窒素含有複素環は、3〜7員環であってよい。
特に限定するものではないが、本発明で使用できる窒素含有複素環芳香族化合物(C)の具体例として、以下が挙げられる。
3員複素環芳香族化合物:1H−アジリン、2H−アジリン等。
4員複素環芳香族化合物:アゼト等。
5員複素環芳香族化合物:ピロール、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾリン、1,2,3−トリアゾール、1,2,4−トリアゾール、及び1H−テトラゾール等。
6員複素環芳香族化合物:ピリジン、ピリミジン、ピリダシン、ピラジン、1,2,3−トリアジン、及びチアジン等。
7員複素環芳香族化合物:アゼピン等。
多環縮合芳香族化合物:インドール、イソインドール、ベンゾイミダゾール、ベンゾトリアゾール、プリン、キノリン、イソキノリン、キノキサリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、カルバゾール、ベンゾーc−シンノリン、ポルフィリン、クリリン、コリン、及びフタロシアニン等。
一実施形態において、化合物(C)の中でも、導電性および熱電特性の点からπ過剰系複素環芳香族化合物が好ましい。π過剰系複素環芳香族化合物とは、n員複素環の環全体に(n+1)個以上のπ電子が存在している化合物を意図する。具体的には、3員複素環芳香族化合物、5員複素環芳香族化合物、7員複素環芳香族化合物、及びそれら複素環の骨格を含む多環縮合芳香族化合物が相当する。特に限定されるものではないが、一実施形態において、化合物(C)は、5員複素環芳香族化合物であるか、又は1つの5員複素環と1〜3つの芳香環とを有する多環縮合芳香族化合物を含むことが好ましい。
化合物(C)は、複素環又は芳香環の一部に置換基が導入されていてもよい。置換基の一例として、直鎖又は分岐のアルキル基、アルコキシル基、カルボキシル基、水酸基、及びスルホ基が挙げられる。また、化合物(C)は、ナトリウム等の金属塩、又はアンモニウム塩等の塩を形成していてもよい。このような誘導体の一例を以下に示す。
チアゾール誘導体の一例として、2−メルカプトチアゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、及びジベンゾチアジルジスルフィド、及びベンゾチアゾールが挙げられる。また、これら化合物の金属塩及びアンモニウム塩が挙げられる。
イミダゾール誘導体の一例として、2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−イソプロピルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール、2−ブチルイミダゾール、4−メチルイミダゾール、2、4−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ウンデシルイミダゾール、及び2−アミノイミダゾールが挙げられる。また、これらイミダゾール化合物の金属塩又はアンモニウム塩が挙げられる。
トリアゾール誘導体の一例として、3−アミノ−1H−1,2,4−トリアゾール、及びカルボキシベンゾトリアゾールが挙げられる。また、これら化合物の金属塩及びアンモニウム塩が挙げられる。
ベンゾトリアゾール誘導体の一例として、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール、1−ジヒドロキシプロピルベンゾトリアゾール、2,3−ジカルボキシプロピルベンゾトリアゾール、4−ヒドロキシベンゾトリアゾール、4−カルボキシル(−1H−)ベンゾトリアゾール、4−カルボキシル(−1H−)ベンゾトリアゾールメチルエステル、4−カルボキシル(−1H−)ベンゾトリアゾールブチルエステル、4−カルボキシル(−1H−)ベンゾトリアゾールオクチルエステル、5−ヘキシルベンゾトリアゾール、1−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチル−4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、1−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノメチル−5−メチル−1H−ベンゾトリアゾール、トリルトリアゾール、ナフトトリアゾール、ビス[(1−ベンゾトリアゾリル)メチル]ホスホン酸、3−アミノトリアゾール、及び2,2’−[[(メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ]ビスエタノールが挙げられる。また、これら化合物の金属塩又はアンモニウム塩が挙げられる。
テトラゾール誘導体の一例として、5−アミノ−1H−テトラゾール、5−メチル−1H−テトラゾール、5−フェニル−1H−テトラゾール、及び1−(2−ジアミノエチル)−5−メルカプトテトラゾールが挙げられる。また、これら化合物の金属塩及びアンモニウム塩が挙げられる。
一実施形態において、ヒートサイクル試験後も導電性及び熱電特性を維持する観点から、化合物(C)の中でも、優れた耐熱性を有する化合物が好ましい。ここで、「優れた耐熱性」とは、上記化合物の10質量%熱減量温度(Td10)が、好ましくは150℃以上、より好ましくは200℃以上であることを意図する。より詳細には、示差熱・熱重量同時測定装置(TG・DTA)を使用して、窒素気流下、10℃/分の昇温速度で、化合物を室温から加熱していき、初期質量に対して質量が10%減少した時の温度を意味する。このような化合物を使用した場合、特に、ヒートサイクル試験前後での性能低下を大幅に抑制することがきる。
代表的な化合物(C)のTd10は、以下のとおりである。チアゾール:55℃、イミダゾール:143℃、1,2,4ートリアゾール:155℃、1,2,4−トリアゾールNa:361℃、ベンゾトリアゾール:214℃、ベンゾトリアゾールNa:563℃及びテトラゾール:187℃。
上述のように、窒素含有複素環芳香族化合物(C)の中でも、複素環内の窒素原子数の増加に伴い耐熱性が向上する傾向がある。また、耐熱性の観点から、化合物(C)は、分子内に芳香環を含むことが好ましく、ナトリウム等の金属塩を形成していることがより好ましい。このような観点から、一実施形態において、化合物(C)は、1つの複素環内に3以上の窒素原子を有する化合物が好ましい。一実施形態において、化合物(C)は、トリアゾール骨格、ベンゾトリアゾール骨格、及びテトラゾール骨格からなる群から選択される少なくとも1種を有する化合物を含むことが好ましい。例えば、化合物(C)として、トリアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラゾール、及びこれら化合物誘導体からなる群から選択される少なくとも1種を使用することが好ましい。
化合物(C)は、導電性高分子(A)やドーパント(B)との相溶性に優れることが好ましい。一実施形態において、化合物(C)は、水溶性であることが好ましい。このような観点から好ましい化合物の一例として、チアゾール、イミダゾール、1,2,4−トリアゾール、2,2’−[[(メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ]ビスエタノールカルボキシベンゾトリアゾール、及び1H−テトラゾールが挙げられる。なかでも、2,2’−[[(メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ]ビスエタノールカルボキシベンゾトリアゾール(Td10:177℃)、及び1H−テトラゾール(Td10:187℃)は、耐熱性の観点からも好ましい。
本発明において好適に使用できる化合物(C)は、市販品として入手可能である。例えば、大塚化学株式会社製の3.5−ジメチルピラゾール、3−メチル−5−ピラゾロン、4AT、124T、1−HOB、3MTが挙げられる。また、川口化学工業株製のアンテージMB、2MB5C、34MMT、及び広栄化学工業株式会社製のPy、αP、及び2PPyが挙げられる。さらに、四国化成工業株式会社製のキュアゾールSIZ、2MZ−H、1,2DMZ、2E4MZ、及び2PZ、城北化学工業株式会社製のBT−120、CBT−1、TT−LYK、JCL−400、及び明成化学工業株式会社製のアンチフェードMC−500等が挙げられる。
本発明の実施形態である熱電変換材料は、導電性高分子(A)とドーパント(B)との総量1重量部に対し、窒素含有複素環芳香族化合物(C)を0.05〜2重量部含む。化合物(C)によって導電性の向上が可能であるが、その含有量を上記範囲内に調整することによって、熱電変換材料として好適な特性を得ることが容易となる。
具体的には、上記化合物(C)の含有量を0.05重量部以上にすることによって、熱電変換膜において十分な可撓性を得ることが容易となる。上記化合物(C)の含有量は、0.1重量部以上、0.2重量部以上、0.5重量部以上の順に好ましい。ここで、「可撓性」とは、塗膜が柔軟性を示し、外部からの力を加えた時に塗膜表面が変化することなく追随できる性質を意味する。より具体的には、熱電変換膜が十分な可撓性を有する場合、熱電変換膜を円筒状等の平面でない形状に巻きつけた際に、塗膜表面にひび割れや欠けが発生せず、導電性又は熱電特性の低下が抑制されることを意味する。一方、上記化合物(C)の含有量を、2重量部以下にすることによって、導電性や熱電特性を低下させることなく、十分な可撓性を有する塗膜を容易に得ることできる。化合物(C)の含有量は、導電性高分子(A)とドーパント(B)との総量1重量部に対し、1.9重量部以下、1.5重量部以下、1.3重量部以下、1重量部以下の順に好ましい。
<その他の成分>
本発明の実施形態である導電性組成物及び熱電変換材料は、その特性を向上させる観点から、必要に応じて、追加の成分を含んでよい。例えば、以下に例示する助剤を添加することによって、導電性及び熱電特性のさらなる向上が可能となる。
(助剤)
使用可能な助剤の一例として、ラクタム類、アルコール類、アミノアルコール類、カルボン酸類、酸無水物類、及びイオン性液体が挙げられる。特に限定するものではないが、具体例は以下のとおりである。
ラクタム類:N−メチルピロリドン、ピロリドン、カプロラクタム、N−メチルカプロラクタム、及びN−オクチルピロリドン等。
アルコール類:ショ糖、グルコース、フルクトース、ラクトース、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリフルオロエタノール、m−クレゾール、及びチオジグリコール等。
アミノアルコール類:ジエタノールアミン、及びトリエタノールアミン等。
カルボン酸類:2−フランカルボン酸、3−フランカルボン酸、ジクロロ酢酸、及びトリフルオロ酢酸等。
酸無水物類:無水酢酸、無水プロピオン酸、無水アクリル酸、無水メタクリル酸、無水安息香酸、無水コハク酸、無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水グルタル酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸(別名:シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸無水物)、無水トリメリット酸、ヘキサヒドロ無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ハイミック酸、ビフェニルテトラカルボン酸無水物、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸無水物、ナフタレンテトラカルボン酸無水物、及び9,9−フルオレニリデンビス無水フタル酸等。スチレン−無水マレイン酸コポリマー、エチレン−無水マレイン酸コポリマー、イソブチレン−無水マレイン酸コポリマー、アルキルビニルエーテル−無水マレイン酸コポリマーなどの、無水マレイン酸と他のビニルモノマーとを共重合したコポリマー等。
一実施形態において、導電性及び熱電特性の観点から、助剤として、ラクタム類及びアルコール類の少なくとも一方を使用することが好ましい。導電性組成物又は熱電変換材料において、助剤の含有量は、導電性組成物や熱電変換材料の全重量を基準として、0.1〜30重量%の範囲が好ましく、1〜10重量%の範囲がより好ましく、1〜5重量%の範囲がさらに好ましい。助剤の含有量を0.1重量%以上にすることで、導電性及び熱電特性の向上効果を容易に得ることができる。また、助剤の含有量を50重量%以下にした場合、膜物性の低下を抑制することができる。
一実施形態において、導電性組成物又は熱電変換材料は、成膜性や膜強度の調整等を目的として、導電性及び熱電特性に影響しない範囲で、溶剤又は有機樹脂(F)を含んでもよい。
(溶剤)
使用可能な溶剤の一例として、水、及び以下の各種溶剤が挙げられる。
アルコール類:メタノール、エタノール、プロパノール、及びイソプロパノールなど。
ケトン類:アセトン、メチルエチルケトン、及びメチルイソブチルケトンなど。
炭酸エステル類:プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ビニレンカーボネート、及びメチルプロピルカーボネートなど。
エステル類:プロピオン酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、メチルアセテート、及びエチルアセテート。
エーテル類:エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、及びグリコールエーテルなど。
スルホキシド類:ジメチルスルホキシドなど。
上記溶剤に、フッ素などの置換基を導入した化合物を使用することもできる。これらの溶剤を単独で、または2種以上を組合せて使用することができる。特に限定するものではないが、一実施形態において、エーテル類及びスルフィド類の少なくとも一方を使用することが好ましい。エチレングリコール又はジメチルスルホキシドのいずれかを使用することがより好ましい。
(有機樹脂(F))
有機樹脂(F)は、導電性組成物又は熱電変換材料の各成分に相溶又は混合分散するものであればよい。熱硬化性樹脂及び熱可塑性樹脂のいずれを用いても良い。
使用可能な有機樹脂(F)の具体例として、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミド樹脂、フッ素樹脂、ビニル樹脂、エポキシ樹脂、キシレン樹脂、アラミド樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリウレア樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、アクリルアミド樹脂、およびこれらの共重合樹脂等が挙げられる。特に限定するものではないが、一実施形態において、ポリウレタン樹脂、ポリエーテル樹脂、アクリル樹脂、及びアクリルアミド樹脂からなる群から選択される少なくとも1種を使用することが好ましい。
一実施形態において、熱電変換材料は、熱電変換性能を高めるために、必要に応じて、無機熱電材料から成る微粒子を含んでもよい。
無機熱電材料の一例として、Bi−(Te、Se)系、Si−Ge系、Mg−Si系、Pb−Te系、GeTe−AgSbTe系、(Co、Ir、Ru)−Sb系、(Ca、Sr、Bi)Co系などを挙げることができる。より具体的には、BiTe、PbTe、AgSbTe、GeTe、SbTe、NaCo、CaCoO、SrTiO、ZnO、SiGe、MgSi、FeSi、BaSi46、MnSi1.73、ZnSb、ZnSb、GeFeCoSb12、及びLaFeCoSb12からなる群から選択される少なくとも1種を使用することができる。このとき、上記無機熱電材料に不純物を加えて極性(p型、n型)や導電率を制御して利用してもよい。無機熱電材料を使用する場合、その使用量は、成膜性や膜強度に影響しない範囲で調整する。
<熱電変換素子>
本発明の実施形態である熱電変換素子は、上記熱電変換材料を用いて構成されることを特徴とする。一実施形態において、熱電変換素子は、上記熱電変換材料を用いて形成された熱電変換膜と、電極とを有し、上記熱電変換膜及び上記電極は互いに電気的に接続されている。熱電変換膜は、導電性及び熱電特性に加えて、耐熱性及び可撓性の点でも優れる。そのため、本実施形態によれば、高品質な熱電変換素子を容易に実現することができる。
熱電変換膜は、基材上に熱電変換材料を塗布して得られる膜であってよい。熱電変換材料は優れた成形性を有するため、塗布法によって良好な膜を得ることが容易である。熱電変換膜の形成には、主に湿式製膜法が用いられる。具体的には、スピンコート法、スプレー法、ローラーコート法、グラビアコート法、ダイコート法、コンマコート法、ロールコート法、カーテンコート法、バーコート法、インクジェット法、ディスペンサー法、シルクスクリーン印刷、フレキソ印刷等の各種手段を用いた方法が挙げられる。塗布する厚み、及び材料の粘度等に応じて、上記方法から適宜選択することができる。
熱電変換膜の膜厚は、特に限定されるものではないが、後述するように、熱電変換膜の厚さ方向又は面方向に温度差を生じ、かつ伝達できるように、一定以上の厚みを有するように形成されることが好ましい。一実施形態において、熱電特性の点から、熱電変換膜の膜厚は、0.1〜200μmの範囲が好ましく、1〜100μmの範囲が好ましく、1〜50μmの範囲がさらに好ましい。
また、熱電変換材料を塗布する基材として、ポリエチレン、ポリエチレンテレフテレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルサルフォン、ポリプロピレン、ポリイミド、ボリカーボネート、及びセルローストリアセテートなどの材料からなるプラスチックフィルム、又はガラスなどを用いることができる。
基材と熱電変換膜との密着性を向上させる目的で、基材表面に様々な処理を行うことができる。具体的には、熱電変換材料の塗布に先立ち、UVオゾン処理、コロナ処理、プラズマ処理、又は易接着処理を行ってもよい。
本発明の実施形態である熱電変換素子は、上記熱電変換材料を用いて構成されることを除き、当技術分野で周知の技術を適用して構成することができる。代表的に、熱電変換素子のより具体的な構成、及びその製造方法について説明する。
一実施形態において、熱電変換素子は、熱電変換材料を用いて得た熱電変換膜と、この熱電変換膜と電極的に接続する一対の電極とを有する。ここで、「電気的に接続する」とは、互いに接合しているか、又はワイヤ等の他の構成部材を介して通電できる状態であることを意味する。
電極の材料は、金属、合金、及び半導体から選択することができる。一実施形態において、導電率が高いこと、熱電変換膜を構成する本発明による熱電変換材料との接触抵抗が低いことから、金属および合金が好ましい。具体例として、電極は、金、銀、銅、及びアルミニウムからなる群から選択される少なくとも1種を含むことが好ましい。電極は、熱電変換膜と電極との電気的接続の長期安定性の点から、銀を含むことがさらに好ましい。
電極は、真空蒸着法、電極材料箔や電極材料膜を有するフィルムの熱圧着、電極材料の微粒子を分散したペーストの塗布、などの方法によって形成することができる。プロセスが簡便な観点で、電極材料箔や電極材料膜を有するフィルムの熱圧着、電極材料を分散したペーストの塗布による方法が好ましい。
熱電変換素子の構造の具体例は、熱電変換膜と一対の電極との位置関係から、(1)本発明による熱電変換膜の両端に電極が形成されている構造、(2)本発明の熱電変換膜が2つの電極で挟持されている構造に大別される。
例えば、上記(1)の構造を有する熱電変換素子は、基材上に熱電変換膜を形成した後に、その両端にそれぞれ銀ペーストを塗布して第1及び第2の電極を形成することによって得ることができる。このように熱電変換膜の両端に電極が形成された熱電変換素子は、2つの電極間の距離を広くすることが容易である。そのため、2つの電極間で大きな温度差を発生させて、効率良く熱電変換を行うことが容易である。
上記(2)の構造を有する熱電変換素子は、例えば、基材上に銀ペーストを塗布して第1の電極を形成し、その上に本発明の熱電変換膜を形成し、さらにその上に銀ペーストを塗工して第2の電極を形成することによって得ることができる。このように2つの電極で本発明の熱電変換膜を挟持する熱電変換素子では、二つの電極間の距離を広くすることは難しい。そのため、2つの電極間に大きな温度差を発生させることは難しいが、熱電変換膜の膜厚を大きくすることによって、温度差を大きくすることが可能である。また、このような構造を有する熱電変換素子は、基材に対して垂直な方向の温度差を利用できることから、発熱体に貼り付ける形態での利用が可能である。そのため、熱源の広い面積の活用が容易となる点で好ましい。
熱電変換素子は、直列に接続することで高い電圧を発生させることが可能であり、並列に接続することで大きな電流を発生させることが可能である。また、熱電変換素子は、2つ以上の熱電変換素子を接続したものであってもよい。本発明によれば、熱電変換素子が優れた可撓性を有するため、平面ではない形状を有する熱源に対しても追随して良好に設置することが可能である。
一実施形態において、本発明の熱電変換素子を他の熱電材料から成る熱電変換素子と組み合わせることも有効である。例えば、無機熱電材料として、Bi−(Te、Se)系、Si−Ge系、Mg−Si系、Pb−Te系、GeTe−AgSbTe系、(Co、Ir、Ru)−Sb系、(Ca、Sr、Bi)Co系などを挙げることができ、具体的には、BiTe、PbTe、AgSbTe、GeTe、SbTe、NaCo、CaCoO、SrTiO、ZnO、SiGe、MgSi、FeSi、BaSi46、MnSi1.73、ZnSb、ZnSb、GeFeCoSb12、及びLaFeCoSb12などからなる群から選択される少なくとも1種を使用することができる。このとき、上記無機熱電材料に、不純物を加えて、極性(p型、n型)や導電率を制御して利用しても良い。その他、有機熱電材料として、ポリチオフェン、ポリアニリン、ポリアセチレン、フラーレン、およびそれらの誘導体からなる群から選択される少なく1種を使用することができる。これら材料から構成される他の熱電変化素子を組合せる場合、素子のフレキシブル性を損なわない範囲内で、他の熱電変換素子を作製することが好ましい。
複数の熱電変換素子を接続する場合、1つの基材に集積した状態で接続して利用することもできる。このような実施形態において、本発明による熱電変換素子と、n型としての極性を示す熱電材料から成る熱電変換素子との組合せが好ましく、これらを直列に接続することがより好ましい。本実施形態によれば、熱電変換素子を緻密に集積することが容易となる。
実験例
以下、実験例により、本発明をより具体的に説明する。なお、例中、「部」とあるのは「重量部」を、「%」とあるのは「重量%」を、「Mn」とあるのは「数平均分子量」をそれぞれ意味するものとする。
<1−1.熱電変換材料(導電性組成物)の調製>
(実験例1)
Heraeus社製のCLEVIOS(登録商標)PH1000(PEDOTと、ポリスチレンスルホン酸と、水とを含有し、固形成分含有量が1.2%である)を100部、及びイミダゾールを0.24部、それぞれ秤量して混合した。これにより、導電性高分子(A)がPEDOTであり、ドーパント(B)がポリスチレンスルホン酸であり、窒素含有複素環芳香族化合物(C)がイミダゾールである、熱電変換材料の溶液を得た。
(実験例2〜19)
表1−1に示すように、実験例1に関して構成成分及びその含有量を変更したことを除き、実験例1と同様にして熱電変換材料の溶液をそれぞれ調製した。
(実験例20)
100mLの脱イオン水中に、0.46gの3,4−エチレンジオキシチオフェン、0.10gのチオフェン、2gのドデシルベンゼンスルホン酸、0.27gの過硫酸アンモニウム、および2.5mgの硫酸鉄(III)を加え、室温にて24時間攪拌した。これにより、導電性高分子(A)が3,4−エチレンジオキシチオフェンとチオフェンとの共重合体であり、ドーパント(B)がドデシルベンゼンスルホン酸である熱電変換材料の水分散液を得た。この水分散液に蒸留水を添加し、固形成分含有量1.2%の熱電変換材料の溶液1を得た。
(実験例21)
実験例20に関し、チオフェンの代わりにベンゾチオフェンを0.10g使用し、またドデシルベンゼンスルホン酸の代わりにポリスチレンスルホン酸(Mn40000)を1.3gおよびp−トルエンスルホン酸を0.7g使用したことを除き、実験例20と同様の調製を行った。これにより、導電性高分子(A)が3,4−エチレンジオキシチオフェンとベンゾチオフェンとの共重合体であり、ドーパント(B)がポリスチレンスルホン酸およびp−トルエンスルホン酸であり、固形成分含有量が1.2%の熱電変換材料の溶液2を得た。
<1−2.熱電変換材料(導電性組成物)の評価>
各実験例で得た熱電変換材料の溶液をそれぞれ10部秤量し、溶液キャスト法に従い、室温条件下で、内径60mmのポリエチレンフィルムカップ内に各溶液を流し、室温で12時間乾燥させることにより膜を作製した。次いで、この膜を、150℃で20分にわたって、さらに乾燥させることによって、熱電変換膜を得た。各々の熱電変換膜(以下、塗膜ともいう)に関し、以下のようにして、各種測定を行い、導電性、ゼーベック係数、ヒートサイクル、および可撓性について評価した。その結果を表1−2に示す。
[各種測定及び評価方法]
(導電性)
得られた塗膜の体積抵抗率を測定することにより評価した。測定には、株式会社三菱化学アナリテック社製のロレスタGX MCP−T700を用いた。
(ゼーベック係数)
得られた塗膜表面の両端に近い領域2ヶ所について、薄膜K型熱電対を用いてそれぞれの温度(T1,T2)を測定し、各熱電対のアルメル間およびクロメル間の電位差(V(Al)、V(Cr))から熱起電力を算出した。
アルメル間およびクロメル間の熱起電力(V(1)、V(2))は、下式によりそれぞれ算出した。ただし、S(Al)およびS(Cr)は、それぞれアルメルのゼーベック係数、クロメルのゼーベック係数を表す。
V(1)=V(Al)−S(Al)×(T1−T2)
V(2)=V(Cr)−S(Cr)×(T1−T2)
なおn℃のゼーベック係数を求める場合は、n−5(T1+T2)/2<n+5の範囲において、様々なΔT(=T1−T2)におけるV(1)およびV(2)をプロットし、その傾きをそれぞれS(1)およびS(2)とした。得られたS(1)およびS(2)の平均値をn℃におけるゼーベック係数とした。
(パワーファクター(PF))
上記方法により得られた体積抵抗率およびゼーベック係数を用いて、n℃におけるPF(=S・σ)を算出した。得られた数値に関し、以下の基準に従って評価した。PFが10μW/(mK)以上であれば、実用可能なレベルである。
評価基準
◎:PFが10μW/(mK)以上である。
○:PFが1以上、10μW/(mK)未満である。
×:PFが1μW/(mK)未満である。
(ヒートサイクル試験)
得られた塗膜を、23℃の環境下に30分間、次いで100℃の環境下に30分間にわたって曝した。この工程を1サイクルとして、1000サイクル繰り返した後に、塗膜のPFを測定した。ヒートサイクル試験前後でのPFの変化率を算出し、得られた数値に関し、以下の基準に従って評価した。PFの変化率が±30%以内であれば、実用可能なレベルである。
評価基準
◎:PFの変化率が±10%以内である。
○:PFの変化率が±10%を超えるが、±30%以内である。
×:PFの変換率が±30%より大きい。
<可撓性評価>
得られた塗膜を直径5mmの円柱に巻きつけて、塗膜表面の状態を目視で観察し、以下の基準に従って評価した。このようにして実施される評価において、塗膜表面の変化が確認できない場合、平面ではない様々な形状の熱源に対しても塗膜を容易に設置することができる。そして、塗膜は熱源の形状に追随し、膜性能を良好に維持することが可能である。
評価基準
○:塗膜表面の変化は見られない。
×:塗膜表面にひびや欠け、表面の荒れ等の変化が見られる。
Figure 0006795808
注記:表1−1中の略語は以下のとおりである。
124TANa:1,2,4−トリアゾールナトリウム
BTANa:ベンゾトリアゾールナトリウム
BTA誘導体:2,2’−[[(4−メチル−1H−ベンゾトリアゾール−1−イル)メチル]イミノ]ビスエタノール
EG:エチレングリコール
DMSO:ジメチルスルホキシド
表1−2に示した結果から明らかなように、本発明の導電性組成物の実施形態(実験例1〜15及び19)によれば、導電性および可撓性の双方において良好な結果が得られる。これに対して、実験例16〜18及び20、21は、それぞれ本発明の導電性組成物に対する比較例に相当する。窒素含有複素環芳香族化合物(C)を含まない実験例16では、導電性および可撓性が不十分である。同様に窒素含有複素環芳香族化合物(C)を含まない実験例17、20及び21では、助剤の添加によって導電性は向上しているが、可撓性が不十分である。また、実験例18では、窒素含有複素環芳香族化合物(C)を含むが、その添加量が少ないため、導電性および可撓性の十分な向上が見られない。
また、本発明の熱電変換材料の実施形態(実験例1〜15)によれば、導電性及び可撓性に優れるともに、パワーファクター及びヒートサイクル試験のいずれにおいても良好な結果が得られる。これに対して、実験例16〜21は、それぞれ本発明の熱電変換素子に対する比較例に相当する。窒素含有複素環芳香族化合物(C)を含まない実験例16では、パワーファクターや可撓性が十分でない。同様に窒素含有複素環芳香族化合物(C)を含まない実験例17、20及び21では、助剤の添加によってパワーファクターが向上しているが、可撓性が十分でない。また、実験例18では、窒素含有複素環芳香族化合物(C)を含むが、その添加量が少ないため、パワーファクターおよび可撓性の向上が見られない。一方、実験例19では、窒素含有複素環芳香族化合物(C)によって可撓性の向上は見られるが、その添加量が多すぎることでパワーファクターが低下している。
<2−1.熱電変換素子の作製>
(実験例22)
50μmのペットフィルム上に、実験例2で調製した熱電変換材料の溶液を塗布し、5mm×30mmの形状を有する熱電変換膜を、それぞれ10mm間隔に5つ作製した(図1の符号2を参照)。次いで、各熱電変換膜がそれぞれ直列に接続されるように、銀ペーストを用いて、5mm×33mmの形状を有する銀回路を4つ作製した((図1の符号3を参照)。上記銀ペーストとしては、トーヨーケム株式会社製のREXALPHA RA FS 074を使用した。以上のようにして、試験サンプルを得た。図1は、本発明の実施形態である熱電変換素子の試験サンプルの構造を示す模式図である。図1において、符号1は基材(ペットフィルム)、符号2は熱電変換材料から形成される熱電変換膜、符号3は上記熱電変換膜と電極(不図示)とを電気的に接続する回路、及び符号10は熱電変換素子を、それぞれ示す。
(実験例23)
実験例22に関し、実験例2で調製した熱電変換材料の溶液にかえて、実験例6で調製した溶液を用いた以外は、実験例22と同様して熱電変換素子の試験サンプルを得た。
(実験例24)
実験例22に関し、実験例2で調製した熱電変換材料の溶液にかえて、実験例11で調製した溶液を用いた以外は、実験例22と同様して熱電変換素子の試験サンプルを得た。
(実験例25)
実験例22に関し、実験例2で調製した熱電変換材料の溶液にかえて、実験例17で調製した溶液を用いた以外は、実験例22と同様して熱電変換素子の試験サンプルを得た。
<2−2.熱電変換素子の評価>
実験例22〜25で作製した各熱電変換素子の試験サンプルについて、以下のようにして、可撓性と起電力との関係から電熱特性について評価した。
(起電力の測定)
各試験サンプルについて、熱電変換膜および銀回路が内側になるように(図1に示すA−A’線に沿うように)折り曲げ、その状態のまま、100℃に加熱したホットプレート上に設置した。なお、折り曲げの程度は、図1のB−B’間の距離が10mmになるようにそれぞれ調整した。図2は、起電力の測定方法を説明する模式図であり、参照符号10は熱電変換素子の試験サンプル10を示し、20はホットプレートを示す。
上記のように試験サンプルをホットプレート上に設置して10分後、および3時間後に、塗膜間の起電力について電圧計を用いて測定した。測定は、室温下(20℃)で実施した。以下の基準に従い、測定値から熱電特性について評価した。結果を表2に示す。
(評価基準)
◎:起電力が1mV以上である。
〇:起電力が500μV以上、1mV未満である。
×:起電力が500μV未満である。
Figure 0006795808
表2に示した結果から分かるように、本発明の熱電変換素子の実施形態(実験例22〜24)では、熱電変換材料が優れた可撓性を有することにより、その塗膜を折り曲げた場合であっても塗膜表面は変化せず、優れた熱電特性を維持することが可能である。一方、実験例25は、本発明の熱電変換素子の実施形態に対する比較例に相当する。実験例25では、熱電変換材料の可撓性が十分でないため、塗膜を折り曲げた場合に、割れが発生して導通不可となった。実験例25では、熱電変換素子の試験サンプルを作製するために実験例17で調製した熱電変換材料の溶液を使用している。先に表1−1に示した実験例17の結果から分かるように、この熱電変換材料は、優れた熱電特性を有するが、可撓性に乏しい。すなわち、このような材料は、熱電特性の観点では問題がないように見えても、実験例25の結果から明らかなように、様々な熱源の形状に追従して効率よく発電する必要がある熱電変換素子の用途には適さない。
以上のことから、本願発明の実施形態によれば、導電性及び可撓性に優れた導電性組成物を提供できることがわかる。また、導電性及び可撓性に加えて、熱電特性にも優れた熱電変換材料を実現することができ、様々な熱源の形状に追従して効率良く熱電変換可能な、フレキシブルな熱電変換素子を実現できることが分かる。
本発明の実施形態である導電性組成物は、導電性及び可撓性に優れているため、高い導電性及びフレキシブル性が求められる様々な用途に好適に使用することができる。特に、本発明の一実施形態である熱電変換材料は、導電性及び可撓性に加えて、熱電特性にも優れるため、上記材料を使用して、高性能の熱電変換素子を提供することができる。
1:基材(ペットフィルム)、2:熱電変換膜、3:回路、10:熱電変換素子の試験サンプル、20:ホットプレート

Claims (6)

  1. 導電性高分子(A)と、ドーパント(B)と、窒素含有複素環芳香族化合物(C)とを含有し、前記導電性高分子(A)と前記ドーパント(B)との総量1重量部に対し、前記窒素含有複素環芳香族化合物(C)を0.05〜2重量部含み、前記窒素含有複素環芳香族化合物(C)が、1つの複素環内に3以上の窒素原子を有する化合物を含む、熱電変換材料。
  2. 前記窒素含有複素環芳香族化合物(C)が、トリアゾール骨格、ベンゾトリアゾール骨格、及びテトラゾール骨格からなる群から選択される少なくとも1種を有する化合物を含む、請求項に記載の熱電変換材料。
  3. 前記導電性高分子(A)が、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)を含む、請求項1又は2に記載の熱電変換材料。
  4. 前記導電性高分子(A)と前記ドーパント(B)との総量1重量部に対し、前記窒素含有複素環芳香族化合物(C)の含有量が0.5〜2重量部である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱電変換材料。
  5. 前記ドーパント(B)が、有機スルホン酸を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の熱電変換材料。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の熱電変換材料から形成された熱電変換膜と、電極とを有し、前記熱電変換膜及び前記電極が互いに電気的に接続されている、熱電変換素子。
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