JP6795001B2 - 軸受の封止方法、及び鋼材製造方法 - Google Patents
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Description
ここで、鋼材搬送用テーブルローラにあっては、オイルシールが摩耗したら、ローラを一時的に取り出して、オイルシールの交換を行っていた。
リング状のオイルシールを適宜交換して潤滑油の封止を継続するが、シールが接触するジャーナル部の面に所定以上の摩耗が発生した場合、規定のオイルシールでは、油漏れを封止できなくなる。このような大きさの摩耗がジャーナル部のシール面に発生した場合、従来にあっては、ジャーナル部に摩耗が発生した搬送ロールを取り外し、例えばジャーナル部の表面の摩耗部分(溝)について肉盛り補修をすることで、搬送ロールの延命を図っている。しかし、肉盛り溶接は、手間が掛かるという問題がある。
本発明は、上記のような点に着目してなされたもので、鋼材搬送用テーブルローラの継続使用を簡易に延長可能な軸受シール構造、及びそれを使用した鋼材の製造方法を提供することを目的とする。
また、本発明の一態様である封止方法は、鋼材搬送用テーブルローラを構成する搬送ロールのジャーナル部を支承する軸受に給油した潤滑油のロール側への油漏れを封止する封止方法であって、上記油漏れをオイルシールで封止しておき、上記オイルシールでの封止が困難と判定すると上記の軸受シール構造を適用することを要旨とする。
この結果、本発明の一態様によれば、鋼材搬送用テーブルローラの継続使用を簡易且つ短時間で延長できることで、その鋼材搬送用テーブルローラを採用した鋼材製造設備での、連続稼働率を向上することが可能となる。
本実施形態では、図1に示すような、鋼材としての鋼板1を圧延機10で圧延する圧延設備で使用される鋼材搬送用テーブルローラ2(以下、単にテーブルローラ2とも記載する)を想定して説明する。
圧延設備では、テーブルローラ2で鋼板1を搬送しながら、その鋼板1を1段若しくは複数段の圧延機10によって順次圧延し、圧延後の鋼板を次工程に搬送する。
テーブルローラ2は、パスラインに沿って並ぶ複数の搬送ロール2Aを備える。
各搬送ロール2Aは、鋼板1と接触する部分であるロール胴部3と、左右に延びるテーブルローラ軸であるジャーナル部4とを有する。ジャーナル部4は、図2又は図3に示すように、軸受装置5の軸受5Aによって回転可能に支承されている。軸受装置5は、軸受5Aと軸受箱5Bを備える。
軸受5Aは、ジャーナル部4と軸受箱5Bの内径面側との間に配置されている。軸受5Aは、例えば、軸受箱5Bに固定された外輪と、ジャーナル部4に固定された内輪と、同心に配置された外輪と内輪との間に介装されるコロ等の転動体とを有する。その軸受5Aには、潤滑のために潤滑油が、不図示の給油孔から常時若しくは定期的に給油(供給)される。
また、軸受箱5Bの搬送ロール2A側の開口がシール装置でシールされて、軸受5Aに供給された潤滑油を封止している。
図2は、シール装置がオイルシール構造の場合を例示し、図3はシール装置がグランドパッキン構造の場合を例示している。
オイルシール7によるシール構造は、図2に示すように、リテーナ6とリング状のオイルシール7とを備える。
リテーナ6は、ジャーナル部4の外径側に配置され、円環状の内径面がジャーナル部4と同軸に配置されている。そしてリテーナ6は、軸受箱5Bに対し、ボルト8によって着脱可能に取り付けられている。リテーナ6の内径面には、リング状のシール取付け溝が形成されている。図2では、シール取付け溝が2条の場合が例示されている。各シール取付け溝には、オーリング(Oリング)からなるオイルシール7がそれぞれ取り付けられ、そのオイルシール7の内径側のリップ部がジャーナル部4に当接している。リップ部は、リング状のバネ部品によってジャーナル部4の面に付勢される。すなわち、リップ部は、自身の弾性力とリング状のバネ部品の弾性力とによって、ジャーナル部4の面に対し、設定したシール圧で接触する。
オイルシール7によるシール構造の場合、オイルシール7を交換する場合には、搬送ロール2Aを取り出して、リテーナ6を外してオイルシール7を交換したのち、再度、搬送ロール2Aを、テーブルローラ2のフレームに取り付けて使用する。
グランドパッキン21によるシール構造は、図3に示すように、リテーナ20とグランドパッキン21とパッキン押さえ治具22とを有する。
リテーナ20は、ジャーナル部4の外径側に配置され、円環状の内径面がジャーナル部4と同軸に配置されている。そしてリテーナ20は、軸受箱5Bに対し、ボルトによって着脱可能に取り付けられている。
そのリテーナ20の内径面とジャーナル部4の面との間の隙間からなるスタッフィングボックスに、軸方向からグランドパッキン21が装入される。スタッフィングボックス内のグランドパッキン21は、ボルト23によって、パッキン押さえ治具22を軸方向に締め付けることで、グランドパッキン21にはジャーナル部4の表面を押しつける力が発生し、その接触圧力で潤滑油の漏れをシールする。
グランドパッキン21の交換の場合には、パッキン押さえ治具22を軸方向にずらすだけでパッキンの交換ができるので、オイルシール7の交換に比べて、搬送ロール2Aを移動させる必要がなく且つ作業が大掛かりになることなく、簡易且つ短時間で交換を行うことができる。
テーブルローラ2の軸受シール構造の適用例を説明する。
初期の状態からグランドパッキン21によるシール構造を適用して、搬送ロール2Aのジャーナル部4を支承する軸受5Aに給油した潤滑油のロール側への油漏れを封止するようにしても良い。
但し、オイルシール7とグランドパッキン21とを比べた場合、オイルシール7の方が、シール性が高く且つ、シール面(接触面積)も小さくて摺動抵抗も小さい。
そして、オイルシール7の交換では封止が困難と判定するほど、ジャーナル部4に対しシール接触による摩耗(溝)が形成されたと判定したら、摩耗部分を肉盛り溶接して補修する代わりに、グランドパッキン21によるシール構造に変更する。
なお、グランドパッキン21によるシールは、オイルシール7によるシールよりもシール性が落ちて若干の油漏れを許容した状態になるが、適宜、パッキン押さえ治具22による締付けを調整することで、油漏れを少なく抑えることができる。
特に、圧延機近傍の搬送ロールについては、オイルシール7を交換しようとすると、鋼板1を圧延機に案内するサイドガイドなどの圧延整備部品も外してロール2Aを取り出して作業を行う必要があり、作業が大掛かりとなる。
この結果、本実施形態を採用することで、油漏れを抑止し、ローラ取替時間、肉盛溶接費用、油購入費用を低減することが可能となる。
ここで、オイルシール7によるシール構造を10年以上採用することができ、またグランドパッキン21を使用した場合でも、グランドパッキン21の交換間隔を1年以上に設定できることを確認している。
また、上記説明では、圧延設備で使用されるテーブルローラ2を例に説明したが、鋼材製造のために鋼材を搬送する箇所で使用されているテーブルローラ2であれば、本実施形態は適用可能である。
2 鋼材搬送用テーブルローラ
2A 搬送ロール
4 ジャーナル部
5 軸受装置
5A 軸受
5B 軸受箱
6 リテーナ
7 オイルシール
8 ボルト
10 圧延機
20 グランドパッキン用のリテーナ
21 グランドパッキン
22 パッキン押さえ治具
23 ボルト
Claims (3)
- 鋼材搬送用テーブルローラを構成する搬送ロールのジャーナル部を支承する軸受に給油した潤滑油のロール側への油漏れを封止する封止方法であって、
上記油漏れをオイルシールで封止しておき、上記オイルシールでの封止が困難と判定すると第2の軸受シール構造を適用し、
上記第2の軸受シール構造は、上記ジャーナル部の径方向で上記ジャーナル部と対向する対向面を有するリテーナと、上記ジャーナル部と上記リテーナの対向面との間に介装されるグランドパッキンと、上記グランドパッキンを押さえるパッキン押さえ治具と、を備える、
ことを特徴とする軸受の封止方法。 - 上記パッキン押さえ治具は、周方向で2以上に分割されている分割型であることを特徴とする請求項1に記載した軸受の封止方法。
- 鋼材を製造する鋼材製造方法において、
鋼材を鋼材搬送用テーブルローラで搬送しながら圧延を行う圧延設備を有し、
上記鋼材搬送用テーブルローラを構成する搬送ロールのジャーナル部を支承する軸受に給油した潤滑油のロール側への油漏れを封止するために請求項1又は請求項2に記載の軸受の封止方法を用いた鋼材製造方法。
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JP2018026689A JP6795001B2 (ja) | 2018-02-19 | 2018-02-19 | 軸受の封止方法、及び鋼材製造方法 |
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