JP6792182B2 - 乗物用シート - Google Patents

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Description

本発明は、乗物用シートに係り、特に、シートバックの外表面の一部を表示画面形成体によって構成した乗物用シートに関する。
車両用シートをはじめとする乗物用シートにおいて、シートバックの外表面の一部を有機エレクトロルミネッセンス材料(以下、有機EL材料)によって構成することは、既に知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の車両用シートによれば、シートカバーの一部を可撓性の有機EL材料(特許文献1では有機ELパネル)により構成することで、シートの色柄等のデザインを容易に変更することが可能となる。
特開2008−254485号公報
一方、情報等を表示する際の表示画面を用いる場合には、当該表示画面を見る者にとって好適な位置に表示画面を配置されることが求められる
そこで、本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、シートバックの外表面において表示画面を形成する乗物用シートとして、表示画面形成体が好適な位置に適切に配置された乗物用シートを提供することにある。
前記課題は、本発明の乗物用シートによれば、シートバックと、該シートバックの外表面の一部を構成し、表示画面を形成する面状の表示画面形成体と、を備え、該表示画面形成体は、一方側の端部が前記シートバックの一方側に回動軸で連結されており、他方側の端部が、前記シートバックの他方側に配置されるとともに、前記シートバックに対して前記表示画面形成体の角度を調整する角度調整手段を有し、前記角度調整手段は、前記シートバックの下部に対して、前記シートバックの厚み方向へと前記表示画面形成体の前記他方側の端部を移動させることにより解決される。
また、前記課題は、本発明の乗物用シートによれば、表皮材で被覆されたシートバックと、外縁部が前記表皮材の端部に締結され、前記シートバックの外表面の一部を構成し、表示画面を形成する面状の表示画面形成体と、を備え、該表示画面形成体は、一方側の端部が前記シートバックの一方側に回動軸で連結されており、他方側の端部が、前記シートバックの他方側に配置されるとともに、前記シートバックに対して前記表示画面形成体の角度を調整する角度調整手段を有することにより解決される。
また、上記の乗物用シートにおいて、前記角度調整手段は、前記表示画面形成体の前記他方側の端部に取り付けられたアクチュエータによって前記表示画面形成体の角度を調整するとよい
また、上記の乗物用シートにおいて、前記角度調整手段は、前記一方側の端部が前記回動軸により軸支され、前記他方側の端部が前記アクチュエータによって前記表示画面形成体の前記他方側の端部を前記厚み方向へ移動させるボード材を備え、前記ボード材は、前記シートバックの内部の後方部に配置されているとよい
また、上記の乗物用シートにおいて、前記ボード材は、前記表示画面形成体と平行に備えられているとよい
また、上記の乗物用シートにおいて、前記シートバックは、シートバックフレームと、該シートバックフレームの前方に配置されるクッション材と、該クッション材を覆う表皮材と、背面側に配置される前記表示画面形成体によって構成されており、前記ボード材は、前記乗物用シートの幅方向において前記シートバックフレームのサイドフレームの間に配置されているとよい
また、上記の乗物用シートにおいて、前記シートバックは、シートバックフレームと、該シートバックフレームの前方に配置されるクッション材と、該クッション材を覆う表皮材と、背面側に配置される前記表示画面形成体によって構成されており、前記角度調整手段は、前記ボード材の背面に対し、前記表皮材の後面が前記厚み方向において後方へと移動することで前記表示画面形成体が前記厚み方向における後方へと移動するとよい
また、上記の乗物用シートにおいて、前記シートバックにおいて前記表示画面形成体及びアクチュエータの下方に配置され、前記表示画面形成体の回動動作に連動して前後方向に伸縮する伸縮部材を更に備えるとよい
また、上記の乗物用シートにおいて、前記乗物用シートは、シートクッションと、ヘッドレストを備え、前記シートバックの他方側は、リクライニング装置を介して前記シートクッションの後端部に連結されており、前記ヘッドレストは、前記シートバックの一方側に備えられており、前記アクチュエータは、前記リクライニング機構が設けられている前記シートバックの他方側に配置されているとよい
また、上記の乗物用シートにおいて、前記アクチュエータは、前記乗物用シートの前後方向において前記シートクッションと重なる位置に配置されているとよい
本発明の第一実施例に係る乗物用シートを示す図である。 図1中のA−A断面を示す図である。 シートバックの状態が倒伏状態にあるときの乗物用シートを示す図である。 本発明の第二実施例に係る乗物用シートを示す図である。 図1中のB−B断面を示す図である。 図6の(A)及び(B)は、表示画面形成体の傾き角度が調整される様子を示す図である。 駆動機構の第一変形例を示す図である。 駆動機構の第二変形例を示す図である。 駆動機構の第三変形例を示す図である。 表示画面の角度調整に関する制御系統を示す図である。 伸縮部材を含むシートバックの側方断面図である。
<<本発明の実施例について>>
本発明は、乗物の乗員が着座する乗物用シートに関するものである。以下では、乗物の一例として車両を例に挙げ、車両に搭載された乗物用シート(以下では「車両用シート」とも呼ぶ)の構成を本発明の具体的実施例として説明することとする。ただし、以下に説明する実施例は、あくまでも本発明の理解を容易にするための一例にすぎず、本発明を限定するものではない。つまり、本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることは勿論である。
また、本発明は、車両用シートのみに限らず、車両以外の乗物に搭載されるシート、例えば、飛行機や船舶等に搭載される乗物用シートにも適用可能である
また、以下の説明中、「前後方向」とは、車両用シートに着座した乗員から見た際の前後方向、すなわち、車両の走行方向と一致する方向である。また、「幅方向」とは、車両用シートの幅(横幅方向)であり、具体的には車両を正面から見たときの左右方向と一致する方向である。また、「上下方向」とは、車両の走行路に対して垂直な方向、すなわち、鉛直方向に相当する方向である。
なお、以下に説明するシート各部の位置や姿勢等については、特に断る場合を除き、車両用シートが着座可能な状態にあるときの内容であることとする。
本発明の車両用シートの特徴について概説すると、シートバックの外表面、特に背面の一部又は全部が有機EL材料からなるシートである。ここで、有機EL材料は、文字情報や画像(静止画や動画)を表示する表示画面を形成する。
ちなみに、本発明の車両用シートは、その後方に他のシート(すなわち、後部座席)が配置されたものであり、具体的には、運転席や助手席を構成するシート、あるいは三列分の車両用シートを有する車両にあっては一列目のシート及び二列目のシートである。つまり、有機EL材料が形成する表示画面は、その後方のシートに着座した者によって見られることになる。
そして、本発明の車両用シートでは、表示画面を構成する有機EL材料がシートバックの背面に配置されているため、表示画面を見る者にとって見易い位置に表示画面が形成されるようになる。以下、有機EL材料を利用した車両用シートのバリエーションとして、二つの実施例(第一実施例及び第二実施例)を挙げて説明することとする。
<第一実施例>
第一実施例に係る車両用シートS1は、図1に示すように、一般的な車両用シートと同様の基本的構成を有している。具体的に説明すると、第一実施例に係る車両用シートS1は、乗員を後方から支えるシートバックSaと、乗員の臀部を支えるシートクッションSbと、を有する。また、シートバックSaの上端には、乗員の頭部を支えるヘッドレストScが取り付けられている。
シートバックSaは、不図示のシートバックフレームの前方位置にクッション材Cをセットし、当該クッション材Cを表皮材Rに覆うことで構成されている。そして、第一実施例に係る車両用シートS1では、シートバックSaの背面が有機EL材料を備えるシート状の表示画面形成体1によって構成されている。この表示画面形成体1は、可撓性を有し、例えば、外縁部に縫い代としての生地部1aを有する略矩形状の有機ELパネルによって構成されている。
第一実施例に係るシートバックSaについて詳しく説明すると、シートバックSaの外表面を構成する表皮材Rは、図2に示すように、後方が開放された袋形状となっている。より厳密に説明すると、シートバックSaの外表面を構成する表皮材Rは、シートバックSaにおいて背面とは反対側の表面(乗員の背に当接する面)を構成する第一部分r1を有する。
さらに、表皮材Rは、第一部分r1と連続しておりシートバックSaの幅方向一端面を構成する第二部分r2と、第二部分r2とは反対側で第一部分r1と連続しておりシートバックSaの幅方向他端面を構成する第三部分r3と、を有する。ここで、表皮材Rがクッション材Cを覆っている状態にあるとき、第二部分r2の幅方向端部及及び第三部分r3の幅方向端部の双方は、幅方向において間隔を空けて配置されている。これにより、シートバックSaの背面の略全域に亘って表皮材Rを欠くようになる。
一方、上記の間隔内には、表示画面形成体1中の有機EL材料(以下、パネル本体1b)が位置している。そして、表示画面形成体1の外縁部、すなわち、生地部1aが表皮材Rの端部に締結されている。より厳密に説明すると、生地部1a中、幅方向端部に位置する部分が、第二部分r2の幅方向端部及及び第三部分r3の幅方向端部のうち、対応する端部(より近く位置する方の端部)に縫合されている。
また、表皮材Rがクッション材Cを覆った状態では、表皮材Rの端部が表示画面形成体1の外縁部、すなわち生地部1aの少なくとも一部に対して張力を付与する。具体的には、シートバックSaの幅方向一端側では、第二部分r2の幅方向端部が生地部1a中、幅方向一端側に位置する端部と隣り合っており、当該端部を引っ張って張力を付与する。同様に、シートバックSaの幅方向他端側では、第三部分r3の幅方向端部が生地部1a中、幅方向他端側に位置する端部と隣り合っており、当該端部を引っ張って張力を付与する。
以上のように第一実施例では、シートバックSaの背面のうち、幅方向一端から他端までの領域が表示画面形成体1によって構成されている。また、表示画面形成体1については、その外縁部である生地部1aの少なくとも一部が表皮材Rの端部に隣り合っており、当該端部に締結されている。さらに、表皮材Rの端部は、これに締結されている生地部1aに対して張力を付与する。これにより、表示画面形成体1は、表皮材Rがクッション材を覆った状態では当該表皮材Rの端部によって幅方向外側へ引っ張られることになる。この結果、表示画面形成体1において弛みや皺が生じるのを抑制し、以て、パネル本体1bが表示画面を良好に形成するようになる。
ところで、第一実施例では、シートバックSaの下端部がリクライニング装置Srを介してシートクッションSbの後端部に連結されている。そして、シートバックSaは、リクライニング装置Srの機能により前傾するように回動し、図3に示すようにシートクッションSbと折り重なる位置まで倒伏することが可能である。つまり、第一実施例に係る車両用シートS1は、折り畳み可能に構成されており、着座姿勢と収納姿勢との間で姿勢を切り替える。シートバックSaの状態は、切り替え可能であり、シート姿勢が着座姿勢であるときには背面が向いている状態(以下、「第一状態」と呼ぶ)にあり、シート姿勢が収納姿勢であるときには背面が上方を向いている状態(以下、「第二状態」と呼ぶ)にある。
一方、シートバックSaの背面を構成する表示画面形成体1においては、パネル本体1bが有する表面のうち、露出する方の面が表示画面を形成する。したがって、シート姿勢が着座姿勢であるとき(すなわち、シートバックSaの状態が第一状態であるとき)には、パネル本体1bの表面のうち、表示画面を形成する方の面が後方を向いていることになる。また、シート姿勢が収納姿勢であるとき(すなわち、シートバックSaの状態が第二状態であるとき)には、図3に示すように、表示画面の形成面が上方を向いていることになる。
以上のように車両用シートS1を折り畳んだ際に、パネル本体1bの表面のうち、表示画面の形成面が上方を向いていれば、表示画面がより見易くなる。特に、シートバックSaの状態が第二状態であるときにシートバックSaの背面、及び、パネル本体1bにおける表示画面の形成面がともに水平面(フラットな面)であると、より一層表示画面が見易くなる。
<第二実施例>
第二実施例に係る車両用シートS2は、図4に示すように、シート本体Shと、シート本体Shの下方に設置されたスライドレール機構Tとを有する。シート本体Shは、乗員を後方から支えるシートバックSaと、乗員の臀部を支えるシートクッションSbと、を有する。第二実施例に係るシートバックSaは、第一実施例と同様、不図示のシートバックフレームに支えられたクッション材Cを表皮材Rで覆うことにより構成されている。
また、シートバックSaの下端部は、リクライニング装置Srを介してシートクッションSbの後端部に連結されている。したがって、第二実施例では、リクライニング装置Srが作動することにより、シートクッションSbに対するシートバックSaの倒れ角度を変更することが可能である。ここで、倒れ角度とは、シートクッションSbとシートバックSaとがなす角の大きさであり、シートバックSaが前傾(または後傾)した際に大きさが変化する角度のことである。
スライドレール機構Tは、シート本体Shを前後方向にスライド移動させるためのものであり、その構成については一般的なスライドレール機構と同様である。このため、スライドレール機構Tの構成についての説明は省略することとする。
第二実施例に係るシートバックSaについて改めて説明すると、シートバックSa内の後方部(乗員の背を当接する側とは反対側の部分)に、比較的剛性が高いボード材からなるバックパネルSpが配置されている。このバックパネルSpの背面は、図5に示すように表皮材Rにて覆われている。
また、表皮材Rのうち、バックパネルSpの背面を覆う部分には、矩形状の開口Hが形成されている。そして、この開口Hの内側にパネル本体1bが位置するように表示画面形成体1が設けられている。つまり、第二実施例では、表示画面形成体1が表皮材RとともにシートバックSaの背面を構成している。
より具体的に説明すると、上記の開口Hを通じてパネル本体1bの表面(厳密には、表示画面が形成される方の表面)が露出する位置に、表示画面形成体1が配置されている。かかる位置では、表示画面形成体1の外縁部である生地部1aが、表皮材Rの端部、具体的には開口Hの周縁部に位置する部分と隣接している。その上で、生地部1aが表皮材R中、開口Hの周縁部に位置する部分に縫合締結されている。
そして、表皮材Rがクッション材Cを覆った状態では、表皮材R中、開口Hの周縁部に位置する部分が生地部1aに対して、開口Hの外側に向かう張力を付与する。これにより、表示画面形成体1は、表皮材Rがクッション材を覆った状態では当該表皮材Rの端部によって引っ張られることになる。この結果、表示画面形成体1において弛みや皺が生じるのを抑制し、以て、パネル本体1bが表示画面を良好に形成するようになる。
ところで、第二実施例では、上述したバックパネルSpが幅方向に沿う回動軸を中心にして回動可能な状態で設けられている。また、表示画面形成体1は、バックパネルSpが回動すると、これに伴って同一の方向に回動する。これにより、図6の(A)及び(B)に示すように、上下方向に対する表示画面形成体1の傾き角度(図中、記号θにて表す角度)が変化する。つまり、第二実施例では、傾き角度θを調整するために表示画面形成体1を駆動する駆動機構10が設けられていることになる。以下、駆動機構について詳しく説明する。
駆動機構10は、図6の(A)及び(B)に示すように、上述したバックパネルSpと、アクチュエータ11と、を主な構成要素とする。バックパネルSpは、その上端部にて回動軸22に支持されている。この回動軸22は、幅方向に沿った軸である。そして、バックパネルSpは、回動軸22周りに回動することが可能である。なお、バックパネルSpが初期位置にあるとき、傾き角度θは、表示画面の上端が下端よりも後方に位置しているときの角度(回動前角度)となっている。
アクチュエータ11は、バックパネルSpの下端部を後方に押す機器である。そして、バックパネルSpが初期位置に在るときにアクチュエータ11がバックパネルSpの下端部を後方に押すと、これに伴って、表示画面形成体1の下端部が後方に押されるようになる。この結果、表示画面形成体1がバックパネルSpと一体的に回動するようになる。つまり、駆動機構10は、表示画面形成体1の下端部を後方に押すことで回動軸12を中心として表示画面形成体1を回動させるものである。
なお、表示画面形成体1の下端部が後方に押されて表示画面形成体1が回動軸12を中心として回動すると、傾き角度θは、表示画面の上端が下端よりも後方に位置しているときの角度(回動後角度)となる。このように傾き角度θが回動前角度から回動後角度に切り替わることで、表示画面が前傾姿勢となり、その後方から表示画面を見る者にとって表示画面がより一層見易くなる。
以上のように第二実施例では、表示画面形成体1を回動させる駆動機構の一例として、アクチュエータ11が表示画面形成体1の下端部を押すこととした。かかる構成であれば、比較的簡単な構成により表示画面形成体1を回動させる(換言すると、傾き角度θを調整する)ことが可能となる。ただし、これに限定されるものではない。駆動機構の変形例としては、例えば図7や図8に図示した構成が考えられる。図7に図示の駆動機構20は、回動軸22とバックパネルSpが一体化されており、回動軸22を不図示のモータの駆動力によって回動させることで、回動軸22及びバックパネルSpを一体的に回動させるものである。
図8に図示の駆動機構30は、バックパネルSpの前面を上下方向に摺動する楔型スライダ31を備えたものである。この楔型スライダ31は、バックパネルSpの前方に配置された壁部材33とバックパネルSpとの間に形成された隙間内を移動する。一方、当該隙間は、シートバックSaの上端に近付くにつれて幅(前後方向の幅)が狭くなっている。このため、楔型スライダ31が上方に向かってバックパネルSpの前面上を摺動すると、バックパネルSpが次第に後方に押されて回動軸32を中心として回動するようになる。
また、上述のケースでは、バックパネルSpの上端側を回動軸12に支持し、バックパネルSpの下端を可動端としたが、これに限定されるものではない。図9に示すように、バックパネルSpの下端側を回動軸12に支持し、バックパネルSpの上端を可動端としてもよい。このような構成の場合、バックパネルSpの上端部(換言すると、表示画面形成体1の上端部)を前方に押す機器、若しくは前方に引く機器を用いることで傾き角度θを回動前角度から回動後角度へ切り替えることが可能となる。
なお、上述したアクチュエータ11は、図10に示すように、コントローラの一例である車両用ECU(Electric Control Unit)13によって制御されることになっている。すなわち、第二実施例では、傾き角度θが車両用ECU13によって能動的に調整(制御)されることになっている。
より詳しく説明すると、車両用シートS2周辺には諸々のセンサが取り付けられており、各センサからの出力信号が車両用ECU13に向けて送信される。上記のセンサの中には、シートバックSaの倒れ角度を検知するセンサ(以下、倒れ角度センサ14)が含まれている。この倒れ角度センサ14は、リクライニング装置Srが作動して倒れ角度が変更した際、変更後の倒れ角度に応じた信号を車両用ECU13に向けて出力する。車両用ECU13は、倒れ角度センサ14からの出力信号を受信すると、当該出力信号に応じた動作量だけアクチュエータ11を動作させる。これにより、アクチュエータ11を含む駆動機構10が、変更後の倒れ角度に応じた量だけ表示画面形成体1を回動させるようになる。この結果、表示画面形成体1の傾き角度θが変更後の倒れ角度に応じた角度に設定される。
以上のように第二実施例では、リクライニング装置SrによってシートバックSaの倒れ角度(前傾度合い)が変更された際、表示画面形成体1の傾き角度θを変更後の倒れ角度に応じて調整する。これにより、変更後の倒れ角度を反映して、表示画面形成体1の傾き角度θを表示画面が見易くなる角度に調整することが可能となる。
一方、上記のセンサの中には、シート本体Shのスライド移動範囲における当該シート本体Shの現在位置を検知するセンサ(以下、スライド位置センサ15)が含まれている。このスライド位置センサ15は、スライドレール機構Tによってシート本体Shがスライド移動した際、スライド移動後のシート本体Shの位置に応じた信号を車両用ECU13に向けて出力する。車両用ECU13は、スライド位置センサ15からの出力信号を受信すると、当該出力信号に応じた量だけ動作量だけアクチュエータ11を動作させる。これにより、アクチュエータ11を含む駆動機構10が、スライド移動後のシート本体Shの位置に応じた量だけ表示画面形成体1を回動させるようになる。この結果、表示画面形成体1の傾き角度θがスライド移動後のシート本体Shの位置に応じた角度に設定される。
以上のように第二実施例では、スライドレール機構Tによってシート本体Shがスライド移動した際、表示画面形成体1の傾き角度θをスライド移動後のシート本体Shの位置に応じて調整する。これにより、スライド移動後のシート本体Shの位置を反映して、表示画面形成体1の傾き角度θを表示画面が見易くなる角度に調整することが可能となる。
なお、第二実施例では、シートバックSaの倒れ角度やシート本体Shの位置をセンサによって検知し、当該センサからの出力信号に基づいて車両用ECU13がアクチュエータ11の動作量(換言すると、傾き角度θ)を制御することとした。すなわち、上述の構成では、センサ及び車両用ECU13による電子制御によって傾き角度θの調整が実現されることとした。ただし、これに限定されるものではなく、シートバックSaの倒れ角度やシート本体Shの位置を機械式な検知器により検知してもよい。また、かかる構成において、当該検知器が検知結果に応じて動いた際に、不図示の伝達機構によって当該検知器の動きがアクチュエータ11に伝達されることで、アクチュエータ11が検知結果に応じた分だけ動作してもよい。
第二実施例に係るシートバックSaの構成について更に説明すると、シートバックSaの外表面のうち、背面下部に位置する部分は、図11に示すように、前後方向に伸縮自在な伸縮部材2によって構成されている。この伸縮部材2は、シートバックSaにおいて表示画面形成体1の下方に配置されており、表皮材RとともにバックパネルSpの背面を覆っている。また、伸縮部材2は、蛇腹状に形成された襞部2aを有する。なお、伸縮部材2は、弾性を有する生地から成るものであってもよく、あるいは、弾性を樹脂材料から成るものであってもよい。
そして、伸縮部材2は、表示画面形成体1が回動すると、その回動動作に連動して前後方向に伸縮する。より具体的に説明すると、初期位置にあるバックパネルSpの下端部がアクチュエータ11によって後方に押されることで表示画面形成体1が回動すると、その回動動作に連動して襞部2aが伸長することで伸縮部材2が後方に向かって伸びる。一方、バックパネルSpの下端部がアクチュエータ11による押圧から解放されると、伸縮部材2は、襞部2aに生じる復元力にて元の状態(伸長する前の状態)に復元するように前方に向かって縮む。この結果、バックパネルSp及び表示画面形成体1が元の位置(すなわち、初期位置)に戻されるようになる。
以上のように第二実施例では、シートバックSaにおいて表示画面形成体1の下方に伸縮部材2が設けられていることにより、表示画面形成体1の傾き角度の調整時にシートバックSaの下端部(厳密には、表示画面形成体1の下方に位置する部分)が表示画面形成体1の回動動作に追従して伸縮するようになる。この結果、傾き角度の調整が円滑に行われるようになる。なお、第二実施例に係る伸縮部材2には襞部2aが形成されていることから、比較的簡易な構成にて、シートバックSaの下端部を表示画面形成体1の回動動作に追従させることが可能となる。
1 表示画面形成体
1a 生地部(外縁部)
1b パネル本体(有機エレクトロルミネッセンス材料)
2 伸縮部材
2a 襞部
10,20,30 駆動機構
11 アクチュエータ
12,22,32 回動軸
13 車両用ECU
14 倒れ角度センサ、15 スライド位置センサ
31 楔型スライダ
33 壁部材
C クッション材
H 開口
R 表皮材
r1 第一部分、r2 第二部分、r3 第三部分
S1 車両用シート(乗物用シート)
Sa シートバック、Sb シートクッション
Sc ヘッドレスト、Sh シート本体
Sp バックパネル
Sr リクライニング装置、T スライドレール機構

Claims (10)

  1. シートバックと、
    該シートバックの外表面の一部を構成し、表示画面を形成する面状の表示画面形成体と、を備え、
    該表示画面形成体は、
    一方側の端部が前記シートバックの一方側に回動軸で連結されており、
    他方側の端部が、前記シートバックの他方側に配置されるとともに、前記シートバックに対して前記表示画面形成体の角度を調整する角度調整手段を有し、
    前記角度調整手段は、前記シートバックの下部に対して、前記シートバックの厚み方向へと前記表示画面形成体の前記他方側の端部を移動させることを特徴とする乗物用シート。
  2. 表皮材で被覆されたシートバックと、
    外縁部が前記表皮材の端部に締結され、前記シートバックの外表面の一部を構成し、表示画面を形成する面状の表示画面形成体と、を備え、
    該表示画面形成体は、
    一方側の端部が前記シートバックの一方側に回動軸で連結されており、
    他方側の端部が、前記シートバックの他方側に配置されるとともに、前記シートバックに対して前記表示画面形成体の角度を調整する角度調整手段を有することを特徴とする乗物用シート。
  3. 前記角度調整手段は、前記表示画面形成体の前記他方側の端部に取り付けられたアクチュエータによって前記表示画面形成体の角度を調整することを特徴とする請求項に記載の乗物用シート。
  4. 前記角度調整手段は、前記一方側の端部が前記回動軸により軸支され、前記他方側の端部が前記アクチュエータによって前記表示画面形成体の前記他方側の端部を前記厚み方向へ移動させるボード材を備え、
    前記ボード材は、前記シートバックの内部の後方部に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の乗物用シート。
  5. 前記ボード材は、前記表示画面形成体と平行に備えられていることを特徴とする請求項4に記載の乗物用シート。
  6. 前記シートバックは、シートバックフレームと、該シートバックフレームの前方に配置されるクッション材と、該クッション材を覆う表皮材と、背面側に配置される前記表示画面形成体によって構成されており、
    前記ボード材は、前記乗物用シートの幅方向において前記シートバックフレームのサイドフレームの間に配置されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の乗物用シート。
  7. 前記シートバックは、シートバックフレームと、該シートバックフレームの前方に配置されるクッション材と、該クッション材を覆う表皮材と、背面側に配置される前記表示画面形成体によって構成されており、
    前記角度調整手段は、前記ボード材の背面に対し、前記表皮材の後面が前記厚み方向において後方へと移動することで前記表示画面形成体が前記厚み方向における後方へと移動することを特徴とする請求項4又は5に記載の乗物用シート。
  8. 前記シートバックにおいて前記表示画面形成体及び前記アクチュエータの下方に配置され、前記表示画面形成体の回動動作に連動して前後方向に伸縮する伸縮部材を更に備えることを特徴とする請求項7に記載の乗物用シート。
  9. 前記乗物用シートは、シートクッションと、ヘッドレストを備え、
    前記シートバックの他方側は、リクライニング装置を介して前記シートクッションの後端部に連結されており、
    前記ヘッドレストは、前記シートバックの一方側に備えられており、
    前記アクチュエータは、前記リクライニング装置が設けられている前記シートバックの他方側に配置されていることを特徴とする請求項3乃至6のいずれか一項に記載の乗物用シート。
  10. 前記アクチュエータは、前記乗物用シートの前後方向において前記シートクッションと重なる位置に配置されていることを特徴とする請求項9に記載の乗物用シート。
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