以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、同一の構成要素には同一の参照符号を付して、重複する説明を省略する。
本発明は、フラッシュメモリーやEEPROM等の電気的に書き換え可能な不揮発性メモリーや、そのような不揮発性メモリーを内蔵する集積回路装置に適用可能である。また、本発明に係る集積回路装置は、不揮発性メモリーのみを内蔵しても良いし、不揮発性メモリーに加えて、所定の機能を有するディジタル回路又はアナログ回路を内蔵しても良い。以下においては、一例として、フラッシュメモリーを内蔵する集積回路装置の実施形態について説明する。
<第1の実施形態>
図1は、本発明の第1の実施形態に係る集積回路装置の構成例を示すブロック図である。図1に示すように、この集積回路装置は、メモリーセルアレイ10と、電源回路20と、ワード線昇圧回路30と、ワード線駆動回路40と、ソース線駆動回路50と、スイッチ回路60と、メモリー制御回路70とを含む不揮発性メモリーを内蔵している。
メモリーセルアレイ10は、行方向(図中横方向)及び列方向(図中縦方向)にマトリックス状に配置された複数のメモリーセルを含んでいる。本実施形態において、それらのメモリーセルは、m行n列に配置されている(m、n≧2)。各々のメモリーセルは、1ビットのデータを記憶する不揮発性のメモリーセルである。
また、メモリーセルアレイ10は、複数のワード線WL0、WL1、・・・、WLmと、複数のソース線SL0、SL1、・・・、SLmと、複数のビット線BL0、BL1、・・・、BLnとを含んでいる。それらのワード線及びソース線の各々は、それぞれの行に配置された複数のメモリーセルに接続されている。また、それらのビット線の各々は、それぞれの列に配置された複数のメモリーセルに接続されている。
電源回路20には、例えば、ロジック回路用のロジック電源電位VDDと、メモリーセル試験用の高電源電位VP1及びVP2と、データ書き込み及び消去用の高電源電位VP3と、基準電源電位VSSとが、外部から供給される。あるいは、電源回路20は、外部から供給される複数の電源電位の内の少なくとも1つの電源電位を昇圧又は降圧することにより、他の電源電位を生成しても良い。
本実施形態において、基準電源電位VSSは、他の電位に対して相対的な基準となる最も低い電位(基準電位)であり、不揮発性メモリーの各部、及び、集積回路装置のP型半導体基板又はPウエルに供給される。基準電源電位VSSは、如何なる値であっても良いが、以下においては、基準電源電位VSSが接地電位0Vである場合について説明する。
ロジック電源電位VDDは、例えば、1.2V〜1.8V程度であり、電子機器において不揮発性メモリーと共に使用されるマイクロコンピューター等の電源電位と共用されても良い。高電源電位VP1〜VP3は、例えば、5V〜10V程度であり、高電源電位VP1〜VP3の内の2つ又は3つが等しい電位であっても良い。
電源回路20は、ロジック電源電位VDDをメモリー制御回路70に供給すると共に、メモリー制御回路70の制御の下で、ロジック電源電位VDD、及び、高電源電位VP1〜VP3を、必要に応じて不揮発性メモリーの各部に供給する。図1においては、電源回路20からワード線昇圧回路30に供給される電源電位がワード線電源電位VWLとして示されており、電源回路20からソース線駆動回路50に供給される電源電位がソース線電源電位VSLとして示されている。
本実施形態においては、データの書き換えを繰り返し行うことによる正常メモリーセルの劣化を招くことなく不揮発性メモリーを検査するために、メモリーセルにおいてデータを記憶するトランジスターに対して、ドレインをフローティング状態とし、コントロールゲートに高電源電位VP1を第1の電位として印加すると共に、ソースに高電源電位VP2を第2の電位として印加する試験モードが用いられる。
メモリーセルアレイ10に不良メモリーセルが存在する場合には、試験モードにおいて、不良メモリーセルのトランジスターにリーク電流が流れてホットキャリアが発生し、トランジスターの閾値電圧が変化する。試験モードにおいて、電源回路20は、高電源電位VP1をワード線昇圧回路30に供給すると共に、高電源電位VP2をソース線駆動回路50に供給する。ワード線昇圧回路30は、電源回路20から供給される高電源電位VP1をワード線駆動回路40に供給する。
また、メモリーセルからデータを読み出す読み出しモードにおいて、電源回路20は、ロジック電源電位VDDをワード線昇圧回路30及びソース線駆動回路50に供給する。ワード線昇圧回路30は、電源回路20から供給されるロジック電源電位VDDを上昇させてワード線昇圧電位VUPを生成し、ワード線昇圧電位VUPを第3の電位としてワード線駆動回路40に供給する。
メモリーセルにデータを書き込む書き込みモード、及び、メモリーセルを消去状態にする消去モードにおいては、高電源電位VP3が第4の電位として用いられる。書き込みモード及び消去モードにおいて、電源回路20は、高電源電位VP3をワード線昇圧回路30及びソース線駆動回路50に供給する。ワード線昇圧回路30は、電源回路20から供給される高電源電位VP3をワード線駆動回路40に供給する。
ワード線駆動回路40は、複数のワード線WL0、WL1、・・・、WLmに接続されており、メモリー制御回路70によって選択されるワード線を駆動する。ソース線駆動回路50は、複数のソース線SL1、SL2、・・・、SLmに接続されており、メモリー制御回路70によって選択されるソース線を駆動する。
スイッチ回路60は、例えば、複数のビット線BL0、BL1、・・・、BLnの経路にそれぞれ接続された複数のトランジスターを含み、それらのトランジスターは、メモリー制御回路70の制御の下でオン又はオフする。メモリー制御回路70は、スイッチ回路60を介して、複数のビット線BL0、BL1、・・・、BLnに接続されたメモリーセルに接続可能となっている。
メモリー制御回路70は、例えば、組み合わせ回路及び順序回路を含む論理回路や、アナログ回路等で構成される。メモリー制御回路70には、チップセレクト信号CS、モードセレクト信号MS、動作クロック信号CK、及び、アドレス信号ADが供給される。メモリー制御回路70は、チップセレクト信号CSによって不揮発性メモリーが選択されたときに、モードセレクト信号MSに従って、不揮発性メモリーを、書き込みモード、消去モード、試験モード、又は、読み出しモードに設定する。ただし、モードセレクト信号MSが検査モードを表す場合には、メモリー制御回路70が、不揮発性メモリーを、消去モード、試験モード、及び、読み出しモードに順次設定しても良い。
書き込みモード及び読み出しモードにおいて、メモリー制御回路70は、動作クロック信号CKに同期して、アドレス信号ADによって指定されるメモリーセルにアクセスするように不揮発性メモリーの各部を制御する。例えば、書き込みモードにおいて、メモリー制御回路70は、書き込みデータを入力し、アドレス信号ADによって指定されるメモリーセルにデータを書き込むように不揮発性メモリーの各部を制御する。また、読み出しモードにおいて、メモリー制御回路70は、アドレス信号ADによって指定されるメモリーセルからデータを読み出すように不揮発性メモリーの各部を制御し、読み出しデータを出力する。
読み出しモードにおいて、メモリー制御回路70は、アドレス信号ADによって指定されるメモリーセルに接続されたスイッチ回路60のトランジスターをオンさせて、そのメモリーセルに流れる読み出し電流に基づいてデータを読み出す。その際に、メモリー制御回路70は、リファレンスセル70aに流れる読み出し電流を基準として用いることにより、アドレス信号ADによって指定されるメモリーセルに流れる読み出し電流に基づいて、読み出しデータが「0」であるか「1」であるかを判定しても良い。
図2は、図1に示す集積回路装置の一部の構成例を示す回路図である。例えば、メモリーセルアレイは、2048行のメモリーセルを含んでおり、1行のメモリーセルは、1024個のメモリーセルを含み、128個の8ビットデータを記憶することができる。各々のメモリーセルMCは、コントロールゲート、フローティングゲート、ソース、及び、ドレインを有して1ビットのデータを記憶するNチャネルMOSトランジスターを含んでいる。
ワード線WL0〜WLmの各々は、それぞれの行に配置された複数のメモリーセルMCのトランジスターのコントロールゲートに接続されている。ソース線SL0〜SLmの各々は、それぞれの行に配置された複数のメモリーセルMCのトランジスターのソースに接続されている。また、ビット線BL0〜BLnの各々は、それぞれの列に配置された複数のメモリーセルMCのトランジスターのドレインに接続されている。
ワード線駆動回路40(図1)は、ワード線WL0〜WLmに接続されたメモリーセルMCのトランジスターのコントロールゲートを駆動する複数のワード線ドライバー41と、複数のNチャネルMOSトランジスター42と、ワード線ドライバー41の高電位側電源電位を供給するインバーター43とを含んでいる。各々のワード線ドライバー41は、例えば、レベルシフター、バッファー回路、又は、インバーター等で構成される。各々のワード線ドライバー41には、インバーター43からワード線電源電位VWL又はワード線昇圧電位VUPが供給される。
複数のワード線ドライバー41の入力端子には、メモリーセルアレイを構成する複数のメモリーセルの内から1行又は複数行のメモリーセルを選択する際にハイレベルに活性化されるハイアクティブの行選択信号SW0〜SWmが、メモリー制御回路70から入力される。ワード線ドライバー41は、行選択信号がアクティブであるときに、ワード線電源電位VWL又はワード線昇圧電位VUPをワード線に出力し、行選択信号がノンアクティブであるときに、基準電源電位VSSをワード線に出力する。
ソース線駆動回路50(図1)は、ソース線SL0〜SLmに接続されたメモリーセルMCのトランジスターのソースを駆動するために、ソース線ドライバー51と、ソース線ドライバー51の出力端子とソース線SL0〜SLmとの間にドレイン・ソース経路が接続された複数のトランスミッションゲートTGと、複数のインバーター52とを含んでいる。ソース線ドライバー51は、例えば、レベルシフター、バッファー回路、又は、インバーター等で構成される。
ソース線ドライバー51には、電源回路20(図1)からソース線電源電位VSLが供給される。ソース線ドライバー51の入力端子には、ソース線に高電源電位を印加する際にハイレベルに活性化されるハイアクティブのソース線駆動信号SSLが、メモリー制御回路70から入力される。ソース線ドライバー51は、ソース線駆動信号SSLがアクティブであるときに、ソース線電源電位VSLを出力し、ソース線駆動信号SSLがノンアクティブであるときに、基準電源電位VSSを出力する。
各々のトランスミッションゲートTGは、NチャネルMOSトランジスターと、PチャネルMOSトランジスターとで構成され、ソース線ドライバー51の出力端子とソース線との間の接続を開閉するスイッチ回路として機能する。トランスミッションゲートTGにおいて、NチャネルMOSトランジスターのゲートは、ワード線ドライバー41の出力端子に接続され、PチャネルMOSトランジスターのゲートは、インバーター52の出力端子に接続されている。
インバーター52には、ワード線駆動回路40(図1)からワード線電源電位VWL又はワード線昇圧電位VUPが供給される。インバーター52の入力端子には、行選択信号SW0〜SWmが入力される。インバーター52は、行選択信号SW0〜SWmを反転して、反転された信号をトランスミッションゲートTGのPチャネルMOSトランジスターのゲートに印加する。
スイッチ回路60は、ビット線BL0〜BLnに接続されたメモリーセルMCのトランジスターのドレインとメモリー制御回路70との間にドレイン・ソース経路が接続されたNチャネルMOSトランジスターQN0〜QNnを含んでいる。トランジスターQN0〜QNnのゲートには、メモリーセルアレイを構成する複数のメモリーセルの内から1列又は複数列のメモリーセルを選択する際にハイレベルに活性化されるハイアクティブの列選択信号SB0〜SBnが、メモリー制御回路70から印加される。メモリー制御回路70は、スイッチ回路60を介して、ビット線BL0〜BLnに接続されたメモリーセルMCのトランジスターのドレインと接続可能になっている。
書き込みモードにおいて、メモリー制御回路70は、アドレス信号によって指定されるメモリーセルMCに接続されたワード線及びビット線を選択するために、対応する行選択信号及び列選択信号をアクティブにし、それ以外の行選択信号及び列選択信号をノンアクティブにすると共に、ソース線駆動信号SSLをアクティブにする。以下においては、一例として、ワード線WL0及びビット線BL0が選択される場合について説明する。
インバーター43、ソース線ドライバー51、及び、インバーター52には、高電源電位VP3が供給される。ノンアクティブの消去モード信号ERが入力されるインバーター43によって、ワード線ドライバー41の高電位側電源端子に高電源電位VP3が供給される。アクティブの行選択信号SW0が入力されるワード線ドライバー41は、高電源電位VP3をワード線WL0に出力する。また、アクティブのソース線駆動信号SSLが入力されるソース線ドライバー51は、高電源電位VP3を出力する。
アクティブの行選択信号SW0が入力されるインバーター52は、高電源電位VP3を反転して、基準電源電位VSSをトランスミッションゲートTGのPチャネルMOSトランジスターのゲートに印加する。それにより、トランスミッションゲートTGがオンして、ソース線ドライバー51から出力される高電源電位VP3がソース線SL0に印加される。
また、アクティブの列選択信号SB0が入力されるスイッチ回路60のトランジスターQN0がオンして、メモリー制御回路70が、基準電源電位VSSをビット線BL0に印加する。このように、メモリー制御回路70は、アドレス信号によって指定されるメモリーセルMCのトランジスターのコントロールゲート及びソースに高電源電位VP3を印加するようにワード線駆動回路40(図1)及びソース線駆動回路50(図1)を制御すると共に、ドレインに基準電源電位VSSを印加する。
その結果、アドレス信号によって指定されるメモリーセルMCのトランジスターのソースからドレインに向けて電流が流れる。その電流によって発生したホットキャリア(本実施形態においては、電子)がフローティングゲートに注入されることにより、フローティングゲートに負の電荷が蓄積されるので、トランジスターの閾値電圧が上昇する。ここで、短い期間内に十分なホットキャリアを発生させるためには、高電源電位VP3と基準電源電位VSSとの間の電位差を、5V以上とすることが望ましく、例えば、7.5Vとしても良い。
一方、ノンアクティブの行選択信号SW1〜SWmが入力されるワード線ドライバー41は、基準電源電位VSSをワード線WL1〜WLmに出力する。ノンアクティブの行選択信号SW1〜SWmが入力されるインバーター52は、基準電源電位VSSを反転して高電源電位VP3をトランスミッションゲートTGのPチャネルMOSトランジスターのゲートに印加する。従って、ワード線WL1〜WLmに接続されたトランスミッションゲートTGがオフする。また、ノンアクティブの列選択信号SB1〜SBnが入力されるスイッチ回路60のトランジスターQN1〜QNnがオフする。その結果、アドレス信号によって指定されていないメモリーセルMCのトランジスターのソース・ドレイン間には電流が流れないので、トランジスターの閾値電圧は変化しない。
消去モードにおいて、メモリー制御回路70は、アドレス信号によって指定されるメモリーセルMCに接続されたワード線を選択するために、対応する行選択信号をアクティブにし、それ以外の行選択信号をノンアクティブにすると共に、列選択信号SB0〜SBnをノンアクティブにし、ソース線駆動信号SSLをアクティブにする。以下においては、一例として、ワード線WL0が選択される場合について説明する。
インバーター43、ソース線ドライバー51、及び、インバーター52には、高電源電位VP3が供給される。アクティブの消去モード信号ERが入力されるインバーター43によって、ワード線ドライバー41の高電位側電源端子に基準電源電位VSSが印加される。アクティブの行選択信号SW0が入力されるワード線ドライバー41は活性化しないが、アクティブの消去モード信号ERがゲートに印加されるNチャネルMOSトランジスター42によって、基準電源電位VSSがワード線WL0に印加される。また、アクティブのソース線駆動信号SSLが入力されるソース線ドライバー51は、高電源電位VP3を出力する。
アクティブの行選択信号SW0が入力されるインバーター52は、高電源電位VP3を反転して、基準電源電位VSSをトランスミッションゲートTGのPチャネルMOSトランジスターのゲートに印加する。それにより、トランスミッションゲートTGのPチャネルMOSトランジスターがオンして、ソース線ドライバー51から出力される高電源電位VPPがソース線SL0に印加される。
また、ノンアクティブの列選択信号SB0〜SBnが入力されるスイッチ回路60のトランジスターQN0〜QNnがオフする。このように、メモリー制御回路70は、スイッチ回路60のトランジスターQN0〜QNnをオフさせてメモリーセルMCのトランジスターのドレインをフローティング状態(ハイ・インピーダンス状態)とし、コントロールゲートに基準電源電位VSSを印加するようにワード線駆動回路40(図1)を制御すると共に、ソースに高電源電位VP3を印加するようにソース線駆動回路50(図1)を制御する。
その結果、メモリーセルMCのトランジスターのフローティングゲートに負の電荷が蓄積されている場合に、フローティングゲートに蓄積されている負の電荷がソースに放出されて、トランジスターの閾値電圧が低下する。ここで、フローティングゲートに蓄積されている負の電荷を短い期間内に十分に放出させるためには、高電源電位VP3と基準電源電位VSSとの間の電位差を、5V以上とすることが望ましく、例えば、7.5Vとしても良い。
一方、ノンアクティブの行選択信号SW1〜SWmが入力されるインバーター52は、基準電源電位VSSを反転して、高電源電位VP3をトランスミッションゲートTGのPチャネルMOSトランジスターのゲートに印加する。従って、ワード線WL1〜WLmに接続されたトランスミッションゲートTGがオフする。その結果、アドレス信号によって指定されていないメモリーセルMCのトランジスターのフローティングゲートに蓄積されている負の電荷が放出されないので、トランジスターの閾値電圧は変化しない。
試験モードにおいて、メモリー制御回路70は、行選択信号SW0〜SWm、及び、ソース線駆動信号SSLをアクティブにすると共に、列選択信号SB0〜SBnをノンアクティブにする。インバーター43及びインバーター52には、高電源電位VP1が供給され、ソース線ドライバー51には、高電源電位VP2が供給される。ノンアクティブの消去モード信号ERが入力されるインバーター43によって、ワード線ドライバー41の高電位側電源端子に高電源電位VP1が供給される。アクティブの行選択信号SW0〜SWmが入力されるワード線ドライバー41は、高電源電位VP1をワード線WL0〜WLmに出力する。また、アクティブのソース線駆動信号SSLが入力されるソース線ドライバー51は、高電源電位VP2を出力する。
ワード線ドライバー41から出力される高電源電位VP1は、ワード線WL0〜WLmに接続されたトランスミッションゲートTGのNチャネルMOSトランジスターのゲートにも印加される。インバーター52は、行選択信号SW0〜SWmを反転して基準電源電位VSSをトランスミッションゲートTGのPチャネルMOSトランジスターのゲートに印加する。それにより、トランスミッションゲートTGがオンして、ソース線ドライバー51から出力される高電源電位VP2がソース線SL0〜SLmに印加される。
また、ノンアクティブの列選択信号SB0〜SBnが入力されるスイッチ回路60のトランジスターQN0〜QNnがオフする。このように、メモリー制御回路70は、スイッチ回路60のトランジスターQN0〜QNnをオフさせてメモリーセルMCのトランジスターのドレインをフローティング状態(ハイ・インピーダンス状態)とし、コントロールゲートに高電源電位VP1を印加するようにワード線駆動回路40(図1)を制御すると共に、ソースに高電源電位VP2を印加するようにソース線駆動回路50(図1)を制御する。
その際に、例えば、トランジスターのドレインを構成するN型不純物拡散領域とP型半導体基板又はPウエルとの間の逆耐圧が低い不良メモリーセルにおいては、ドレインからP型半導体基板又はPウエルに向けてリーク電流が流れてしまい、リーク電流によって発生したホットキャリア(本実施形態においては、電子)がフローティングゲート又は酸化膜に蓄積される。
それにより、不良メモリーセルのトランジスターにおいて、フローティングゲート又は酸化膜に負の電荷が蓄積されるので、トランジスターの閾値電圧が上昇する。例えば、消去状態における正常なメモリーセルのトランジスターの閾値電圧が1V〜1.5Vである場合に、不良メモリーセルのトランジスターの閾値電圧は2V〜3Vとなる。
以上のことから、不揮発性メモリーの検査において、不揮発性メモリーを消去モードから試験モードに移行させた後に読み出しモードに移行させて、不揮発性メモリーに含まれている複数のメモリーセルMCからデータを読み出すことにより、それらのメモリーセルMCが正常であるか不良であるかを判定することができる。不揮発性メモリーの検査においては、メモリー制御回路70が、読み出しモードにおいて、不揮発性メモリーに含まれている複数のメモリーセルMCを順次指定するアドレス信号を生成しても良い。
読み出しモードにおいて、メモリー制御回路70は、アドレス信号によって指定されるメモリーセルに接続されたワード線及びビット線を選択するために、対応する行選択信号及び列選択信号をアクティブにし、それ以外の行選択信号及び列選択信号をノンアクティブにすると共に、ソース線駆動信号SSLをノンアクティブにする。以下においては、一例として、ワード線WL0及びビット線BL0が選択される場合について説明する。
インバーター43及びインバーター52には、ワード線昇圧電位VUPが供給され、ソース線ドライバー51には、ロジック電源電位VDDが供給される。ノンアクティブの消去モード信号ERが入力されるインバーター43によって、ワード線ドライバー41の高電位側電源端子にワード線昇圧電位VUPが供給される。アクティブの行選択信号SW0が入力されるワード線ドライバー41は、ワード線昇圧電位VUPをワード線WL0に出力する。また、ノンアクティブのソース線駆動信号SSLが入力されるソース線ドライバー51は、基準電源電位VSSを出力する。
ワード線ドライバー41から出力されるワード線昇圧電位VUPは、ワード線WL0に接続されたトランスミッションゲートTGのNチャネルMOSトランジスターのゲートにも印加される。それにより、トランスミッションゲートTGのNチャネルMOSトランジスターがオンして、ソース線ドライバー51から出力される基準電源電位VSSがソース線SL0に印加される。
また、アクティブの列選択信号SB0が入力されるスイッチ回路60のトランジスターQN0がオンして、メモリー制御回路70が、基準電源電位VSSよりも高い1V程度のビット線電位VBLをビット線BL0に印加する。このように、メモリー制御回路70は、アドレス信号によって指定されるメモリーセルMCのトランジスターのコントロールゲートにワード線昇圧電位VUPを印加するようにワード線駆動回路40(図1)を制御すると共に、ソースに基準電源電位VSSを印加するようにソース線駆動回路50(図1)を制御し、スイッチ回路60のトランジスターQN0をオンさせてドレインにビット線電位VBLを印加する。
ここで、消去状態における正常なメモリーセルのトランジスターを確実にオン状態とするためには、ワード線昇圧電位VUPと基準電源電位VSSとの間の電位差を、1.5Vよりも高くすることが望ましく、例えば、3Vとしても良い。その結果、アドレス信号によって指定されるメモリーセルMCにおいて、メモリーセルMCのトランジスターのドレインからソースに向けてドレイン電流が流れる。ドレイン電流の大きさは、フローティングゲートに蓄積されている負の電荷の量によって異なるので、メモリー制御回路70は、ドレイン電流の大きさに基づいてメモリーセルMCからデータを読み出すことができる。
メモリー制御回路70は、消去状態にあるリファレンスセル70a(図1)に流れるドレイン電流に所定の比率(例えば、1/2)を掛けた値を、基準電流値として用いても良い。例えば、メモリー制御回路70は、アドレス信号によって指定されるメモリーセルMCにおけるドレイン電流の大きさが基準電流値よりも大きい場合に読み出しデータが「0」であると判定し、アドレス信号によって指定されるメモリーセルMCにおけるドレイン電流の大きさが基準電流値以下である場合に読み出しデータが「1」であると判定する。
メモリーセルMCの試験後に、正常なメモリーセルにおいては、データを記憶するトランジスターの閾値電圧が消去状態におけるのと同一であり、ドレイン電流の大きさが基準電流値よりも大きい。従って、メモリー制御回路70は、アドレス信号によって指定されるメモリーセルMCにおけるドレイン電流の大きさが基準電流値よりも大きい場合に、読み出しデータが「0」であると判定し、そのメモリーセルMCが正常であると判定することができる。
一方、不良メモリーセルにおいては、データを記憶するトランジスターの閾値電圧が上昇しているので、正常なメモリーセルにおけるよりもドレイン電流が小さくなっている。従って、メモリー制御回路70は、アドレス信号によって指定されるメモリーセルMCにおけるドレイン電流の大きさが基準電流値以下である場合に、読み出しデータが「1」であると判定し、そのメモリーセルMCが不良であると判定することができる。
一方、ノンアクティブの行選択信号SW1〜SWmが入力されるワード線ドライバー41は、基準電源電位VSSをワード線WL1〜WLmに出力する。ノンアクティブの行選択信号SW1〜SWmが入力されるインバーター52は、基準電源電位VSSを反転してワード線昇圧電位VUPをトランスミッションゲートTGのPチャネルMOSトランジスターのゲートに印加する。従って、ワード線WL1〜WLmに接続されたトランスミッションゲートTGがオフする。また、ノンアクティブの列選択信号SB1〜SBnが入力されるスイッチ回路60のトランジスターQN1〜QNnがオフする。その結果、アドレス信号によって指定されていないメモリーセルMCのトランジスターにおいてはドレイン電流が流れない。
図3は、試験モードにおける複数のメモリーセルの状態を模式的に示す回路図である。図3においては、一例として、複数のメモリーセルのトランジスターのフローティングゲートに接続された選択ワード線、及び、ソースに接続された選択ソース線に、高電源電位8Vが印加されており、ドレインに接続された非選択ビット線は、ハイ・インピーダンス状態(HZ)となっている。また、複数のメモリーセルのトランジスターが設けられるP型半導体基板又はPウエルには、基準電源電位VSSが印加されている。
図3に示す例においては、不良メモリーセルのトランジスターのドレインとP型半導体基板又はPウエルとの間に、抵抗の記号で表される欠陥リーク経路が存在しており、ソースからドレインを経て欠陥リーク経路にリーク電流が流れる。この欠陥リーク経路は、逆耐圧の低いPN接合であり、ここを流れるリーク電流によって発生したホットキャリア(本実施形態においては、電子)がフローティングゲート又は酸化膜に蓄積されることによってトランジスターの閾値電圧が変化する。
一方、不良メモリーセルが接続されているのと同じビット線に接続されている正常メモリーセルにも欠陥リーク経路を介してリーク電流が流れるが、正常メモリーセルは欠陥リーク経路から物理的に離れているのでホットキャリアの影響を受けず、正常メモリーセルにおけるトランジスターの閾値電圧は変化しない。従って、試験モードにおいては、不良メモリーセルのみにストレスがかけられて、不良メモリーセルにおけるトランジスターの閾値電圧のみが変化することになる。
図4は、書き込みモード及び試験モードにおけるトランジスターの状態の一例を示す断面図である。図4に示すように、メモリーセルにおいてデータを記憶するトランジスターは、例えば、P型半導体基板1内に設けられたN型不純物拡散領域で構成されるソース2及びドレイン3と、P型半導体基板1の表面に順に設けられたトンネル酸化膜4、フローティングゲート5、ゲート酸化膜6、及び、コントロールゲート7とを有している。さらに、このトランジスターは、トンネル酸化膜4〜コントロールゲート7の側面に設けられたサイドウォール8及び9を有している。また、コントロールゲート7にはワード線WLが接続され、ソース2にはソース線SLが接続され、ドレイン3にはビット線BLが接続されている。
図4(A)は、書き込みモードにおけるトランジスターの状態の一例を示している。図4(A)に示す例においては、ワード線WL及びソース線SLに高電源電位7.5Vが印加され、ビット線BLに接地電位0Vが印加されている。それにより、トランジスターのソース2からドレイン3に向けて電流が流れ、ドレイン3とソース2との間のチャネルを流れてきたホットキャリア(本実施形態においては、電子)が、高電界によってエネルギーを得て、フローティングゲート5に注入される。その際に、一部の電子は、トンネル酸化膜4やサイドウォール8にも注入されて、トランジスターの閾値を変動させ、メモリーセルの劣化による寿命の低下の原因となる。
図4(B)は、試験モードにおけるトランジスターの状態の一例を示している。図4(B)に示す例においては、ワード線WL及びソース線SLに高電源電位8Vが印加され、ビット線BLはハイ・インピーダンス状態(HZ)となっている。しかしながら、不良メモリーセルにおいては、トランジスターのドレイン3とP型半導体基板1との間に、抵抗の記号で表される欠陥リーク経路が存在しており、ソース2からドレイン3を経て欠陥リーク経路にリーク電流が流れる。それにより、欠陥リーク経路において発生したホットキャリア(本実施形態においては、電子)が、コントロールゲート7に引き寄せられて、フローティングゲート5、トンネル酸化膜4、又は、サイドウォール9に蓄積され、トランジスターの閾値電圧が上昇する。
図1及び図2に示す本発明の第1の実施形態に係る集積回路装置によれば、試験モードにおいて、メモリー制御回路70が、スイッチ回路60をオフさせてメモリーセルMCのトランジスターのドレインをフローティング状態とし、コントロールゲートに高電源電位VP1を印加するようにワード線駆動回路40を制御すると共に、ソースに高電源電位VP2を印加するようにソース線駆動回路50を制御することにより、不良メモリーセルにおいては、例えば、ドレインとP型半導体基板又はPウエルとの間に存在する欠陥リーク経路にリーク電流が流れてホットキャリアが発生し、消去状態に対してトランジスターの閾値電圧が変化する。
一方、正常なメモリーセルは、ホットキャリアの影響を受けず、消去状態に対してトランジスターの閾値電圧が変化しない。従って、読み出しモードにおいてメモリーセルMCから読み出されたデータに基づいてメモリーセルMCが正常であるか不良であるかを判定することにより、データの書き換えを繰り返し行うことによる正常メモリーセルの劣化を招くことなく、不揮発性メモリーを検査することができる。また、試験モードにおいて、不揮発性メモリーは、本来であればメモリーセルに定常電流が流れない状態となるので、一度に多くのメモリーセルを試験することにより、試験時間を短縮することができる。
メモリーセルMCにおいてデータを記憶するトランジスターとしてNチャネルMOSトランジスターを用いる場合には、高電源電位VP1がワード線昇圧電位VUPよりも高く、かつ、高電源電位VP2が基準電源電位VSSよりも高く設定されることが望ましい。その場合には、試験モードにおいて、不良メモリーセルのトランジスターにリーク電流を流してホットキャリアを発生させて、トランジスターの閾値電圧を変化させることができる。
さらに、高電源電位VP1及びVP2が高電源電位VP3以上に設定されることが望ましい。その場合には、不良メモリーセルのトランジスターに大きなリーク電流を流して十分なホットキャリアを発生させて、試験時間を短縮することができる。具体的には、高電源電位VP1と基準電源電位VSSとの間の電位差、及び、高電源電位VP2と基準電源電位VSSとの間の電位差を、5V以上とすることが望ましく、例えば、7.5V又は8Vとしても良い。
<不揮発性メモリーの検査方法1>
次に、本発明の第1の実施形態に係る不揮発性メモリーの検査方法について、図1、図2、及び、図5を参照しながら説明する。
図5は、本発明の第1の実施形態に係る不揮発性メモリーの検査方法を示すフローチャートである。不揮発性メモリーの検査は、製造工場における検査工程において行われても良いし、不揮発性メモリーを内蔵する集積回路装置が電子機器等に組み込まれた状態で行われても良い。また、不揮発性メモリーの検査は、オペレーターがICテスター等を操作して行っても良いし、メモリー制御回路70又は集積回路装置が自動的に行っても良い。
図5に示すステップS11において、メモリー制御回路70が、不揮発性メモリーを消去モードに設定して、メモリーセルMCを消去状態にする。即ち、メモリー制御回路70は、メモリーセルMCにおいてデータを記憶するトランジスターに対して、ドレインをフローティング状態とし、コントロールゲート及びソースに基準電源電位VSS及び高電源電位VP3をそれぞれ印加して、メモリーセルMCを消去状態とするように、不揮発性メモリーの各部を制御する。本実施形態においては、消去状態のメモリーセルMCにおけるデータを「0」と定義する。
ステップS12において、メモリー制御回路70が、不揮発性メモリーを試験モードに設定して、メモリーセルMCのトランジスターに対して、ドレインをフローティング状態とし、コントロールゲート及びソースに高電源電位VP1及びVP2をそれぞれ印加するように、不揮発性メモリーの各部を制御する。
それにより、例えば、トランジスターのドレインとP型半導体基板又はPウエルとの間に欠陥リーク経路が存在する不良メモリーセルにおいては、ソースからドレインを経て欠陥リーク経路にリーク電流が流れて、リーク電流によって発生したホットキャリアがフローティングゲート又は酸化膜に蓄積されることにより、トランジスターの閾値電圧が上昇する。一方、正常なメモリーセルは、ホットキャリアの影響を受けず、トランジスターの閾値電圧が変化しない。
ステップS13において、メモリー制御回路70が、不揮発性メモリーを読み出しモードに設定して、メモリーセルMCからデータを読み出す。即ち、メモリー制御回路70は、メモリーセルMCのトランジスターに対して、コントロールゲート及びソースにワード線昇圧電位VUP及び基準電源電位VSSをそれぞれ印加し、ドレインにビット線電位VBLを印加するように、不揮発性メモリーの各部を制御する。さらに、メモリー制御回路70は、ドレイン電流の大きさに基づいてメモリーセルMCからデータを読み出す。
ステップS14において、オペレーター又はメモリー制御回路70が、メモリーセルMCから読み出されたデータに基づいて、メモリーセルMCが正常であるか不良であるかを判定する。正常なメモリーセルにおいては、ドレイン電流の大きさが基準電流値よりも大きいのでデータ「0」が読み出されるが、不良メモリーセルにおいては、ドレイン電流の大きさが基準電流値よりも小さくなっているのでデータ「1」が読み出される。それにより、不良メモリーセルが存在するか否かが判明し、不良メモリーセルが存在する場合には、そのアドレスを知ることができる。
上記のステップS14において、オペレーター又はメモリー制御回路70は、メモリーセルMCから読み出されたデータが消去状態のメモリーセルMCにおけるデータ「0」と異なる場合に、メモリーセルMCが不良であると判定しても良い。ステップS11においてメモリーセルMCが消去状態となっているので、消去状態のメモリーセルMCにおけるデータ「0」と異なるデータが読み出された場合には、ステップS12においてリーク電流によるトランジスターの閾値電圧の変化によってデータが変化したものと判定することができる。
さらに、ステップS15において、オペレーター又はメモリー制御回路70が、不良であると判定されたメモリーセルを冗長メモリーセルに置き換えても良い。それにより、不良メモリーセルが存在する場合においても、不揮発性メモリーの正常な動作を確保することができる。例えば、オペレーター又はメモリー制御回路70は、外部から入力されるアドレス信号によって表されるアドレスと物理的なアドレスとの対応関係を表すアドレス変換テーブルを作成し、正常なメモリーセルの領域にアドレス変換テーブルを格納する。
このアドレス変換テーブルにおいては、不良であると判定されたメモリーセルの物理的なアドレスが、冗長メモリーセルの物理的なアドレスに置き換えられている。メモリー制御回路70は、外部からアドレス信号が入力されると、アドレス変換テーブルを参照することにより、アドレス信号によって表されるアドレスを物理的なアドレスに変換し、物理的なアドレスによって指定されるメモリーセルにアクセスするように不揮発性メモリーの各部を制御する。
あるいは、不良であると判定されたメモリーセルの数が所定の範囲内である場合には、メモリー制御回路70が、外部から入力される書き込みデータに誤り訂正符号を付加してメモリーセルに記憶させ、メモリーセルからデータを読み出す際にエラー訂正を行うようにしても良い。それにより、不良メモリーセルが存在する場合においても、不揮発性メモリーの正常な動作を確保することができる。
上記のステップS12において、オペレーターが、ICテスター等を用いて、少なくともソース線駆動回路50に供給される電源電流を測定し、少なくともソース線駆動回路50に供給される電源電流が定常状態(電源電流が略一定になった状態)において所定の値よりも大きいか否かに応じて、不揮発性メモリーに不良メモリーセルが存在するか否かを判定しても良い。
いずれのメモリーセルにおいても欠陥リーク経路が存在しない場合には、メモリーセルにおいてデータを記憶するトランジスターのソースにリーク電流が流れないので、ソース線駆動回路50の負荷は容量性となり、定常状態においてソース線駆動回路50に供給される電源電流は、所定の値以下(略ゼロ)となる。
一方、いずれかのメモリーセルにおいて、例えば、ドレインとP型半導体基板又はPウエルとの間に欠陥リーク経路が存在する場合には、メモリーセルにおいてデータを記憶するトランジスターのソースからドレインを経て欠陥リーク経路にリーク電流が流れるので、定常状態においてソース線駆動回路50に供給される電源電流が所定の値を超える。
そこで、オペレーター又はメモリー制御回路70は、少なくともソース線駆動回路50に供給される電源電流が定常状態において所定の値よりも大きいか否かに応じて、不揮発性メモリーに不良メモリーセルが存在するか否かを判定することができる。
あるいは、高電源電位VP1とVP2とが等しく、ワード線駆動回路40及びソース線駆動回路50に同一の高電源電位が供給される場合には、ワード線駆動回路40及びソース線駆動回路50に供給される電源電流が定常状態において所定の値よりも大きいか否かに応じて、不揮発性メモリーに不良メモリーセルが存在するか否かを判定しても良い。
その結果に応じて、ステップS13において、メモリー制御回路70が、不良メモリーセルが存在すると判定された不揮発性メモリーに含まれているメモリーセルのみからデータを読み出すようにしても良い。そのようにすれば、不揮発性メモリーに不良メモリーセルが存在しないと判定された場合にデータの読み出しを省略することにより、不揮発性メモリーの検査時間を短縮することができる。
本発明の第1の実施形態に係る不揮発性メモリーの検査方法によれば、メモリーセルMCを消去状態にしておき、メモリーセルMCのトランジスターに対して、ドレインをフローティング状態とし、コントロールゲート及びソースに高電源電位VP1及びVP2をそれぞれ印加する試験を行うことにより、不良メモリーセルにおいては、例えば、ドレインとP型半導体基板又はPウエルとの間に存在する欠陥リーク経路にリーク電流が流れてホットキャリアが発生し、トランジスターの閾値電圧が変化する。
一方、正常なメモリーセルは、ホットキャリアの影響を受けず、トランジスターの閾値電圧が変化しない。従って、試験後にメモリーセルMCから読み出されたデータに基づいてメモリーセルMCが正常であるか不良であるかを判定することにより、データの書き換えを繰り返し行うことによる正常メモリーセルの劣化を招くことなく、不揮発性メモリーを検査することができる。
<第2の実施形態>
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。
図6は、本発明の第2の実施形態に係る集積回路装置の一部の構成例を示す回路図である。第2の実施形態においては、不揮発性メモリーが、複数のブロックに分割された複数のメモリーを含んでいる。例えば、不揮発性メモリーのメモリーセルアレイを構成する2048行のメモリーセルが、16個のブロックに分割されて駆動される。その場合には、1つのブロックが、128行のメモリーセルを含むことになる。その他の点は、第1の実施形態と同様である。
図6には、分割された複数のブロックの内のブロック1及びブロック2が示されており、以下においては、ブロック1及びブロック2の構成及び動作について説明する。ブロック1は、ワード線WL0〜WLj、及び、ソース線SL0〜SLjを含んでおり、ブロック2は、ワード線WL(j+1)〜WLk、及び、ソース線SL(j+1)〜SLkを含んでいる。また、ブロック1の複数のビット線及びブロック2の複数のビット線は、それぞれのスイッチ回路60を介して、共通のビット線BL0〜BLnに接続されている。それにより、複数のブロックを独立して駆動することが可能となる。
ワード線駆動回路40(図1)は、行選択信号SW0〜SWkによって選択されたブロックに含まれているメモリーセルMCのトランジスターのコントロールゲートを駆動する複数のワード線ドライバー41と、複数のNチャネルMOSトランジスター42と、ワード線ドライバー41の高電位側電源電位を供給するインバーター43とを含んでいる。
また、ソース線駆動回路50(図1)は、ソース線駆動信号SSL1〜SSL2によって選択されたブロックに含まれているメモリーセルMCのトランジスターのソースを駆動するために、複数のソース線ドライバー51と、ソース線ドライバー51の出力端子とソース線SL0〜SLkとの間にドレイン・ソース経路が接続された複数のトランスミッションゲートTGと、複数のインバーター52とを含んでいる。
ブロック1のワード線ドライバー41の入力端子には、ハイアクティブの行選択信号SW0〜SWjがメモリー制御回路70から入力され、ブロック2のワード線ドライバー41の入力端子には、ハイアクティブの行選択信号SW(j+1)〜SWkがメモリー制御回路70から入力される。ワード線ドライバー41は、行選択信号がアクティブであるときに、ワード線電源電位VWL又はワード線昇圧電位VUPをワード線に出力し、行選択信号がノンアクティブであるときに、基準電源電位VSSをワード線に出力する。
ブロック1のソース線ドライバー51の入力端子には、ハイアクティブのソース線駆動信号SSL1がメモリー制御回路70から入力され、ブロック2のソース線ドライバー51の入力端子には、ハイアクティブのソース線駆動信号SSL2がメモリー制御回路70から入力される。ソース線ドライバー51は、ソース線駆動信号SSL1又はSSL2がアクティブであるときに、ソース線電源電位VSLを出力し、ソース線駆動信号SSL1又はSSL2がノンアクティブであるときに、基準電源電位VSSを出力する。
書き込みモード及び読み出しモードにおける不揮発性メモリーの動作は、第1の実施形態におけるのと同様でも良いし、あるいは、メモリー制御回路70が、選択されないブロックのスイッチ回路60をオフしても良い。
消去モードにおいて、メモリー制御回路70は、全てのブロックのメモリーセルMCを同時に消去状態としても良いし、順次選択されたブロックのメモリーセルMCを消去状態としても良い。例えば、ブロック1のメモリーセルMCを消去状態としてブロック2のメモリーセルMCを消去状態としない場合に、メモリー制御回路70は、行選択信号SW0〜SWjをアクティブにし、行選択信号SW(j+1)〜SWk、及び、列選択信号SB0〜SBnをノンアクティブにすると共に、ソース線駆動信号SSL1をアクティブにし、ソース線駆動信号SSL2をノンアクティブにする。
インバーター43、ソース線ドライバー51、及び、インバーター52には、高電源電位VP3が供給される。アクティブの消去モード信号ERが入力されるインバーター43によって、ワード線ドライバー41の高電位側電源端子に基準電源電位VSSが印加される。アクティブの行選択信号SW0〜SWjが入力されるワード線ドライバー41は活性化しないが、アクティブの消去モード信号ERがゲートに印加されるNチャネルMOSトランジスター42によって、基準電源電位VSSがワード線WL0〜WLjに印加される。また、アクティブのソース線駆動信号SSL1が入力されるソース線ドライバー51は、高電源電位VP3を出力し、ノンアクティブのソース線駆動信号SSL2が入力されるソース線ドライバー51は、基準電源電位VSSを出力する。
アクティブの行選択信号SW0〜SWjが入力されるインバーター52は、高電源電位VP3を反転して、基準電源電位VSSをトランスミッションゲートTGのPチャネルMOSトランジスターのゲートに印加する。それにより、ブロック1において、トランスミッションゲートTGのPチャネルMOSトランジスターがオンして、ソース線ドライバー51から出力される高電源電位VP3がソース線SL0〜SLjに印加される。一方、ブロック2においては、トランスミッションゲートTGがオフして、ソース線SL(j+1)〜SLkがフローティング状態となる。
また、ブロック1及びブロック2において、ノンアクティブの列選択信号SB0〜SBnが入力されるスイッチ回路60のトランジスターQN0〜QNnがオフする。ブロック1においては、メモリーセルMCのトランジスターのドレインがフローティング状態となり、コントロールゲートに基準電源電位VSSが印加されると共に、ソースに高電源電位VP3が印加される。それにより、ブロック1のメモリーセルMCが消去状態となる。
一方、ブロック2においては、ノンアクティブの行選択信号SW(j+1)〜SWkが入力されるインバーター52が、基準電源電位VSSを反転して、高電源電位VP3をトランスミッションゲートTGのPチャネルMOSトランジスターのゲートに印加する。従って、ワード線WL(j+1)〜WLkに接続されたトランスミッションゲートTGがオフする。その結果、メモリーセルMCのトランジスターのフローティングゲートに蓄積されている負の電荷が放出されないので、トランジスターの閾値電圧は変化しない。
試験モードにおいて、メモリー制御回路70は、複数のブロックの内から1つのブロックを順次選択し、選択されたブロックに含まれているメモリーセルMCを試験する。例えば、ブロック1のメモリーセルMCを試験して、ブロック2のメモリーセルMCを試験しない場合に、メモリー制御回路70は、行選択信号SW0〜SWj、及び、ソース線駆動信号SSL1をアクティブにすると共に、行選択信号SW(j+1)〜SWk、ソース線駆動信号SSL2、及び、列選択信号SB0〜SBnをノンアクティブにする。
インバーター43及びインバーター52には、高電源電位VP1が供給され、ソース線ドライバー51には、高電源電位VP2が供給される。ノンアクティブの消去モード信号ERが入力されるインバーター43によって、ワード線ドライバー41の高電位側電源端子に高電源電位VP1が供給される。ブロック1において、アクティブの行選択信号SW0〜SWjが供給されるワード線ドライバー41が、高電源電位VP1をワード線WL0〜WLjに出力する。また、アクティブのソース線駆動信号SSL1が入力されるソース線ドライバー51が、高電源電位VP2を出力する。
ワード線ドライバー41から出力される高電源電位VP1は、ワード線WL0〜WLjに接続されたトランスミッションゲートTGのNチャネルMOSトランジスターのゲートにも印加される。それにより、トランスミッションゲートTGのNチャネルMOSトランジスターがオンして、ソース線ドライバー51から出力される高電源電位VP2がソース線SL0〜SLjに印加される。
また、ノンアクティブの列選択信号SB0〜SBnが入力されるスイッチ回路60のトランジスターQN0〜QNnがオフする。このように、メモリー制御回路70は、選択されたブロック1に含まれているメモリーセルMCのトランジスターに対して、ドレインをフローティング状態とし、コントロールゲート及びソースに高電源電位VP1及びVP2をそれぞれ印加するように、不揮発性メモリーの各部を制御する。それにより、ブロック1のメモリーセルMCが、試験モードに移行する。
一方、ブロック2においては、ノンアクティブの行選択信号SW(j+1)〜SWkが供給されるワード線ドライバー41が、基準電源電位VSSをワード線WL(j+1)〜WLkに出力する。また、ノンアクティブのソース線駆動信号SSL2が入力されるソース線ドライバー51が、基準電源電位VSSを出力する。
ワード線ドライバー41から出力される基準電源電位VSSは、トランスミッションゲートTGのNチャネルMOSトランジスターのゲートにも印加される。また、インバーター52から出力される高電源電位VP1が、トランスミッションゲートTGのPチャネルMOSトランジスターのゲートに印加される。それにより、トランスミッションゲートTGがオフする。
また、ノンアクティブの列選択信号SB0〜SBnが入力されるスイッチ回路60のトランジスターQN0〜QNnがオフする。このように、メモリー制御回路70は、選択されていないブロック2に含まれているメモリーセルMCのトランジスターに対して、ソース及びドレインをフローティング状態とし、コントロールゲートに基準電源電位VSSを印加するように、不揮発性メモリーの各部を制御する。従って、ブロック2のメモリーセルMCは、試験モードに移行しない。
<不揮発性メモリーの検査方法2>
次に、本発明の第2の実施形態に係る不揮発性メモリーの検査方法について、図1、図6、及び、図7を参照しながら説明する。
図7は、本発明の第2の実施形態に係る不揮発性メモリーの検査方法を示すフローチャートである。
図7に示すステップS21において、メモリー制御回路70が、不揮発性メモリーを消去モードに設定して、メモリーセルMCを消去状態にする。ここで、メモリー制御回路70は、複数のブロックの内から1つのブロックを順次選択し、選択されたブロックを消去モードに設定して、選択されたブロックに含まれているメモリーセルMCを消去状態にしても良い。本実施形態においては、消去状態のメモリーセルMCにおけるデータを「0」と定義する。
ステップS22において、メモリー制御回路70が、複数のブロックの内から1つのブロックを順次選択し、選択されたブロックに含まれているメモリーセルMCを試験モードに設定する。即ち、メモリー制御回路70は、選択されたブロックに含まれているメモリーセルMCのトランジスターに対して、ドレインをフローティング状態とし、コントロールゲート及びソースに高電源電位VP1及びVP2をそれぞれ印加する一方、選択されていないブロックに含まれているメモリーセルMCのトランジスターに対しては、高電源電位VP1及びVP2を印加しないように、不揮発性メモリーの各部を制御する。
それにより、選択されたブロックに不良メモリーセルが存在する場合には、不良メモリーセルのトランジスターにリーク電流が流れて、リーク電流によって発生したホットキャリアがフローティングゲート又は酸化膜に蓄積されることにより、トランジスターの閾値電圧が上昇する。一方、正常なメモリーセルは、ホットキャリアの影響を受けず、トランジスターの閾値電圧は変化しない。
ステップS23において、メモリー制御回路70が、メモリーセルMCを読み出しモードに設定して、メモリーセルMCからデータを読み出す。不揮発性メモリーの検査においては、メモリー制御回路70が、不揮発性メモリーに含まれている複数のメモリーセルMCを順次指定するアドレス信号を生成しても良い。
ステップS24において、オペレーター又はメモリー制御回路70が、メモリーセルMCから読み出されたデータに基づいて、メモリーセルMCが正常であるか不良であるかを判定する。正常なメモリーセルにおいては、ドレイン電流の大きさが基準電流値よりも大きいので、データ「0」が読み出されるが、不良メモリーセルにおいては、ドレイン電流の大きさが基準電流値よりも小さくなっているので、データ「1」が読み出される。それにより、不良メモリーセルが存在するか否かが判明し、不良メモリーセルが存在する場合には、そのアドレスを知ることができる。
上記のステップS22において、オペレーターが、ICテスター等を用いて、少なくともソース線駆動回路50に供給される電源電流を測定し、少なくともソース線駆動回路50に供給される電源電流が定常状態において所定の値よりも大きいか否かに応じて、選択されたブロックに不良メモリーセルが存在するか否かを判定しても良い。
あるいは、高電源電位VP1とVP2とが等しく、ワード線駆動回路40及びソース線駆動回路50に同一の高電源電位が供給される場合には、ワード線駆動回路40及びソース線駆動回路50に供給される電源電流が定常状態において所定の値よりも大きいか否かに応じて、選択されたブロックに不良メモリーセルが存在するか否かを判定しても良い。
その結果に応じて、ステップS23において、メモリー制御回路70が、不良メモリーセルが存在すると判定されたブロックに含まれているメモリーセルMCのみからデータを読み出すようにしても良い。そのようにすれば、ステップS22において不良メモリーセルが存在しないと判定されたブロックについてはデータの読み出しを省略することにより、不揮発性メモリーの検査時間を短縮することができる。
本発明の第2の実施形態によれば、ブロック単位でメモリーセルMCの試験を行うことにより、メモリーセルMCを試験する際に電源回路20(図1)等に瞬間的にかかる負荷を低減することができる。さらに、ブロック単位でメモリーセルMCの消去を行うようにすれば、メモリーセルMCを消去状態にする際に電源回路20等に瞬間的にかかる負荷を低減することができる。
以上の実施形態においては、メモリーセルMCにおいてデータを記憶するトランジスターとしてNチャネルMOSトランジスターを用いる場合について説明したが、メモリーセルMCにおいてデータを記憶するトランジスターとしてPチャネルMOSトランジスターを用いても良い。その場合には、スイッチ回路60においてもNチャネルMOSトランジスターの替りにPチャネルMOSトランジスターが用いられ、トランスミッションゲートTGのNチャネルMOSトランジスターとPチャネルMOSトランジスターとが入れ替えられる。
また、他の電位に対して相対的な基準となる最も高い電位(基準電位)として、基準電源電位VDDが用いられる。基準電源電位VDDは、不揮発性メモリーの各部、及び、集積回路装置のN型半導体基板又はNウエルに供給される。基準電源電位VDDは、如何なる値であっても良いが、基準電源電位VDDが接地電位0Vである場合には、例えば、−1.2V〜−1.8V程度のロジック電源電位VSSと、−3V程度のワード線昇圧電位VUPと、−1V程度のビット線電位VBLと、−5V〜−10V程度の負の高電源電位VP1〜VP3とが用いられる。さらに、ローアクティブの行選択信号SW0〜SWm、及び、ローアクティブの列選択信号SB0〜SBnが用いられる。なお、ホットキャリアは、電子ではなく正孔となる。
メモリーセルMCにおいてデータを記憶するトランジスターとしてPチャネルMOSトランジスターを用いる場合には、負の高電源電位VP1がワード線昇圧電位VUPよりも低く、かつ、負の高電源電位VP2が基準電源電位VDDよりも低く設定されることが望ましい。それにより、試験モードにおいて、不良メモリーセルのトランジスターにリーク電流を流してホットキャリアを発生させて、トランジスターの閾値電圧を変化させることができる。
さらに、負の高電源電位VP1及びVP2が負の高電源電位VP3以下に設定されることが望ましい。それにより、試験モードにおいて、不良メモリーセルのトランジスターに大きなリーク電流を流して十分なホットキャリアを発生させて、試験時間を短縮することができる。具体的には、基準電源電位VDDと負の高電源電位VP1との間の電位差、及び、基準電源電位VDDと負の高電源電位VP2との間の電位差を、5V以上とすることが望ましく、例えば、7.5V又は8Vとしても良い。
以上においては、本発明をフラッシュメモリーに適用した実施形態について説明したが、本発明は、以上説明した実施形態に限定されるものではなく、当該技術分野において通常の知識を有する者によって、本発明の技術的思想内で多くの変形が可能である。