JP6790747B2 - ロックアップクラッチ付きトルクコンバータ及びその製造方法 - Google Patents
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Description
実施例1におけるロックアップクラッチ付きトルクコンバータは、車両の流体継手として、エンジン車やハイブリッド車等に搭載されるものである。以下、実施例1の構成を、「ロックアップクラッチ付きトルクコンバータの構成」と「ロックアップクラッチ付きトルクコンバータの製造方法」に分けて説明する。
図1は、実施例1におけるロックアップクラッチ付きトルクコンバータAの構成の断面図を示す。以下、図1に基づいて、実施例1のロックアップクラッチ付きトルクコンバータAの構成を説明する。
ここで、「クラッチ締結位置」とは、ロックアップピストン5がハブロックアップ部材7から離れた位置であって、ロックアップピストン5が多板クラッチ4を締結する位置である。また、「クラッチ解放位置」とは、ロックアップピストン5がハブロックアップ部材7のシリンダ部7aに接する位置であって、ロックアップピストン5が多板クラッチ4を解放する位置である。
ここで、「所定のねじ込み回転位置」とは、トルクコンバータカバー8に対するハブロックアップ部材7の回転中心軸CL方向の位置である。言い換えると、ロックアップピストン5がクラッチ締結位置からクラッチ解放位置へ移動するとき、ロックアップピストン5が突き当たるハブロックアップ部材7(シリンダ部7a)の回転中心軸CL方向の位置である。即ち、「所定のねじ込み回転位置」とは、多板クラッチ4からロックアップピストン5までの隙間(クリアランス)を決める位置である。この所定のねじ込み回転位置とすることでロックアップピストン5がクラッチ締結位置からクラッチ解放位置へ移動する適正なストローク量(図6のSA)に調整される。このストローク量(図6のSA)は広すぎると、多板クラッチ4が解放状態から締結状態になるまでの応答性が悪化する。反対に、ストローク量(図6のSA)は狭すぎると、多板クラッチ4が解放状態にもかかわらず、ドライブプレート4cとドリブンプレート4dが接触して、引き摺り状態になる(引き摺りトルクが発生する)。このため、適正なストローク量(図6のSA)は、少なくともこの2つの事項(応答性と引き摺り状態)を考慮した量となる。
図2は実施例1におけるロックアップクラッチ付きトルクコンバータAの溶接・加工工程を示し、図3はスプリング・クラッチ組付け工程を示し、図4はピストン組付け工程と押付位置維持工程を示す。また、図5はねじ込み工程を示し、図6はストローク量調整工程を示し、図7は回転止め工程を示す。以下、図2〜図7に基づいて、実施例1におけるロックアップクラッチ付きトルクコンバータAの製造方法を構成する各工程を説明する。
前記溶接・加工工程では、図2に示すように、トルクコンバータカバー8に、クラッチハブ4aと、ボス部材19と、を溶接する。また、トルクコンバータカバー8の内周側には、雌ネジ8aを加工する。なお、溶接・加工工程の前に、そのアルミニウム製のトルクコンバータカバー8を鋳造により製造する。また、図2は、トルクコンバータカバー8のカバーサブアッシー(ASSY)を示す。
前記スプリング・クラッチ組付け工程では、図3に示すように、溶接・加工工程に続き、カバーサブアッシーのクラッチハブ4aに多板クラッチ4のセット40を組み付ける。ここで「多板クラッチ4のセット40」とは、ドライブプレート4cとドリブンプレート4dとを、交互に4枚ずつ重ねたものである。また、スプリング・クラッチ組付け工程では、図3に示すように、トルクコンバータカバー8にリターンスプリング6を組み付ける。なお、リターンスプリング6の個数は、締結状態の多板クラッチ4を解放状態にするために必要な個数を組み付ける。
前記ピストン組付け工程では、図4に示すように、スプリング・クラッチ組付け工程に続き、トルクコンバータカバー8に、リターンスプリング6の位相に合わせて、ロックアップピストン5を組み付ける。このとき、ロックアップピストン5に、第2オイルシール18を取り付ける。次いで、ロックアップピストン5を組み付けたまま、リターンスプリング6を縮めながらロックアップピストン5を多板クラッチ4側へ押し付ける(押し下げる)。
前記押付位置維持工程では、図4に示すように、ピストン組付け工程に続き、ロックアップピストン5を多板クラッチ4側へ押し付けた際、クランプ治具21を用いて、ロックアップピストン5の位置や姿勢を安定させたまま押し付けた状態を維持する。即ち、図4に示すように、クランプ治具21のクランプ力により押付位置(押下位置)にロックアップピストン5を維持する。また、このとき、図4に示すように、クラッチハブ4aの複数の突起部4a1と、ロックアップピストン5のピストン溝部5aと、を嵌合する。これにより、ロックアップピストン5とトルクコンバータカバー8との回転位置関係に、ずれが生じなくなる。
前記ねじ込み工程では、図5に示すように、押付位置維持工程に続き、ロックアップピストン5の押付位置をクランプ治具21により維持したまま、トルクコンバータカバー8の雌ネジ8aに合わせて、ハブロックアップ部材7の雄ネジ7cをねじ込んでいく。このとき、ハブロックアップ部材7に、第1オイルシール17を取り付ける。また、ねじ込み前に、雄ネジ7cと雌ネジ8aには、予めシール剤を塗布しておく。雄ネジ7cをねじ込むにつれて、ハブロックアップ部材7のシリンダ部7aはロックアップピストン5に近づいていく。このねじ込み初期では、ロックアップピストン5と第1オイルシール17との回転摺動、及び、ハブロックアップ部材7(実線)と第2オイルシール18との回転摺動は、発生しない。しかしながら、ねじ込み終期(ハブロックアップ部材7(二点破線))では、それらの回転摺動が発生する。このため、第1オイルシール17と第2オイルシール18には、予め作動油を塗布しておく。これにより、回転摺動が生じても、第1オイルシール17と第2オイルシール18には損傷等が発生しにくくなる。なお、ねじ込み加工よりも前に、その鉄製のハブロックアップ部材7を鋳造により製造する。また、ねじ込み加工よりも前に、ハブロックアップ部材7には雄ネジ7cを加工する。
前記ストローク量調整工程では、図6に示すように、ねじ込み工程に続き、クランプ治具21を外し、ロックアップピストン5のストローク量SAを調整する。このストローク量SAの調整は、まず、クランプ治具21を外す。このため、リターンスプリング6の付勢力で、ロックアップピストン5が、回転中心軸CL方向のハブロックアップ部材7側に移動する。これにより、ロックアップピストン5とハブロックアップ部材7のシリンダ部7a(破線)とが底付き(図6のS部分)する。ここで、「底付き」とは、ロックアップピストン5とハブロックアップ部材7のシリンダ部7aとが、回転中心軸CL方向で接することである。次いで、その底付き状態で、ハブロックアップ部材7をさらにねじ込む。これにより、ロックアップピストン5と、多板クラッチ4のセット40のクラッチ面4eと、が接触する。この接触した状態が、ロックアップピストン5のストローク量SAがゼロとなる。次いで、このストローク量SAがゼロの位置すなわちロックアップピストン5のピストン面5cの位置を測定する。このストローク量SAがゼロの位置を、基準値とする。次いで、この基準値から、所定のストローク量SAを調整するために、ハブロックアップ部材7のねじ込みを一定量(所定のストローク量SA)戻すことにより、ハブロックアップ部材7のねじ込みを調整する。このような手順を経過して、ストローク量SAが調整される。なお、所定のストローク量SAを確保するには、基準値に対するロックアップピストン5のピストン面5cの増分を管理すればよいことになる。つまり、ネジピッチPは決まっているので、ねじ込みを戻す角度で管理することができる。
前記回転止め工程では、図7に示すように、ストローク量調整工程に続き、所定のねじ込み回転位置に位置決めを行った後、ハブロックアップ部材7に貫通孔7dを加工し、トルクコンバータカバー8にカバーネジ穴8bを加工する。次いで、貫通孔7dとカバーネジ穴8bにネジ部材91を挿入する。これにより、ハブロックアップ部材7とトルクコンバータカバー8のネジ嵌合部20が回転止め(固定)される。次いで、ネジ部材91を挿入する貫通孔7dとカバーネジ穴8bの入口部分をかしめる。これにより、ネジ部材91の弛みや脱落が抑制される。
実施例1のロックアップクラッチ付きトルクコンバータ及びその製造方法における作用を、「ロックアップクラッチ付きトルクコンバータの特徴作用」と「ロックアップクラッチ付きトルクコンバータの製造方法の特徴作用」に分けて説明する。
例えば、従来、発進装置において、センターピースとカバー本体とが軸方向突き当て部位を有し、且つ、インロー部を有している。このインロー部の界面に沿ったフロントカバー外側からの全周溶接により、センターピースとカバー本体とが固定されている。また、従来の発進装置においては、ロックアップピストンとフランジ部材とにより、発進装置の油圧室外周側に第1円筒嵌合部が形成されている。さらに、ロックアップピストンとセンターピースとにより、発進装置の油圧室内周側に第2円筒嵌合部が形成されている。また、フランジ部材とセンターピースとにより、第3円筒嵌合部が形成されている。そのフランジ部材とセンターピースは、スナップリングを介して固定されている。
即ち、ハブ部7bとトルクコンバータカバー8とは、ネジ嵌合により組み付けられるので、ハブ部7bを含むハブロックアップ部材7に溶接による入熱歪みがない。このため、ハブ部7bの加工精度はトルクコンバータカバー8に組み付け後にも維持される。これにより、ネジ嵌合の後に、仕上げ加工を必要としない。
この結果、仕上げ加工を必要とすることなく、ロックアップピストン5の作動性および油圧保持性が確保される。
例えば、従来の発進装置においては、ロックアップピストンは、外周側の第1円筒嵌合部ではフランジ部材と嵌合され、内周側の第2円筒嵌合部ではセンターピースと嵌合されている。即ち、ロックアップピストンは、外周側と内周側で別々の部材に嵌合されている。このため、フランジ部材とセンターピースの両方の芯ずれ及び倒れの影響により、ロックアップピストンの作動性あるいは油圧保持性に関して、ロックアップピストンが1つの部材で支持される場合よりも悪くなる。また、このように、ロックアップピストンの外周側と内周側が別々の部材であるため、部品点数が増し、コストがかかる。
これに対し、実施例1では、ロックアップピストン5は、その外周側と内周側で同一のハブロックアップ部材7に支持される。
即ち、ロックアップピストン5は同一部材であるハブロックアップ部材7により支持されるので、ロックアップピストン5の内周側と外周側の支持部分において芯ずれ及び倒れの懸念が無い。
従って、ロックアップピストン5の作動性および油圧保持性をより確保することができる。加えて、ハブロックアップ部材7はシリンダ部7aとハブ部7bとを一体に有する(一体構造である)ので、シリンダ部7aとハブ部7bを別々に製造するよりもコストを抑えられる。
例えば、従来の発進装置において、フランジ部材とセンターピースとにより、第3円筒嵌合部が形成され、そのフランジ部材とセンターピースがスナップリングを介して固定されてしまうと、フランジ部材の調整代がない。このため、クラッチプレートの厚みばらつき等の影響を排除したロックアップピストンのストローク量の調整が困難となる。
これに対し、実施例1では、雄ネジ7cと雌ネジ8aに、所定のねじ込み回転位置に位置決めを行う位置決めネジ構造(ネジピッチP)を設ける。
即ち、位置決めネジ構造であるネジピッチPにより、ねじ込み嵌合時の回転位置に応じてトルクコンバータカバー8に対するハブロックアップ部材7の回転中心軸CL方向の位置の調整が可能となる。このため、ロックアップピストン5がクラッチ締結位置からクラッチ解放位置へ移動するとき、ロックアップピストン5が突き当たるシリンダ部7aの回転中心軸CL方向の位置調整が可能となる。つまり、ロックアップピストン5のストローク量SAの調整が可能となる。
そして、ストローク量SAを調整した後、ネジ部材91により、ハブロックアップ部材7のハブ部7bとトルクコンバータカバー8のネジ嵌合を回転止めする。これにより、そのストローク量SA(所定のねじ込み回転位置)を維持することができる。
従って、多板クラッチ4のプレート(ドライブプレート4cやドリブンプレート4d)の厚みにばらつき等の影響を排除して、ロックアップピストン5のストローク量SAの調整と維持が可能である。
従って、ネジ嵌合部20(雄ネジ7cと雌ネジ8a)からオイルリークがあっても、ロックアップクラッチ付きトルクコンバータAの外に漏れ出すことを防ぐことができる。加えて、ネジ嵌合部20の回転中心軸CL方向の前/後にシール部材が不要となる。
例えば、従来の発進装置において、軽量化を目的に、センターピースとカバーの一方をアルミニウム製とし、他方を鉄製とする。このように材料を選択した場合、センターピースとカバーの固定において、異種金属間の溶接接合となる。一般に異種金属間の溶接接合は困難であるため、センターピースとカバーの溶接接合も困難となる。
これに対し、実施例1では、ハブロックアップ部材7とトルクコンバータカバー8とは、ネジ嵌合により組み付けられる。
従って、異種金属間の組み付け固定を容易に実現できる。
実施例1では、スプリング・クラッチ組付け工程において、トルクコンバータカバー8にリターンスプリング6と多板クラッチ4を組み付ける。次いで、ピストン組付け工程において、トルクコンバータカバー8に、リターンスプリング6の位相に合わせてロックアップピストン5を組み付ける。次いで、押付位置維持工程において、リターンスプリング6の付勢力に抗してロックアップピストン5を多板クラッチ4の側に押し付けた押付位置に、クランプ治具21を用いてロックアップピストン5を維持する。次いで、ねじ込み工程において、ロックアップピストン5を維持した状態で、トルクコンバータカバー8にハブロックアップ部材7をねじ込む。次いで、ストローク量調整工程において、クランプ治具21を外し、ハブロックアップ部材7のねじ込み調整により、ロックアップピストン5と多板クラッチ4との間を所定のストローク量SAに調整する。続いて、回転止め工程において、ネジ部材91により、ハブロックアップ部材7とトルクコンバータカバー8を回転止めする。
即ち、ストローク量調整工程では、ハブロックアップ部材7を回転させるねじ込みにより、ロックアップピストン5と多板クラッチ4との間のストローク量SAを調整するので、調整自由度がある。この調整自由度を活用することにより、製品ごとに、ロックアップピストン5と多板クラッチ4との間が適正なストローク量SAに調整される。
そして、ストローク量調整工程後の回転止め工程では、ネジ部材91により、ハブロックアップ部材7とトルクコンバータカバー8が回転止めされる。これにより、ストローク量調整工程にて調整された適正なストローク量SAを維持することができる。
従って、多板クラッチ全体の厚さのばらつき等の影響を排除して、ロックアップピストン5の適正なストローク量SAの調整と維持を行うことができる。
実施例1におけるロックアップクラッチ付きトルクコンバータA及びその製造方法にあっては、下記に列挙する効果が得られる。
このロックアップクラッチ付きトルクコンバータAにおいて、ロックアップピストン5と、シリンダ部材(ハブロックアップ部材7のシリンダ部7a)と、ハブ部材(ハブロックアップ部材7のハブ部7b)と、を備える(図1)。
ロックアップピストン5は、ロックアップクラッチ(多板クラッチ4)を締結/解放する。
シリンダ部材(ハブロックアップ部材7のシリンダ部7a)は、ロックアップピストン5をストローク移動可能に支持する。
ハブ部材(ハブロックアップ部材7のハブ部7b)は、シリンダ部材(ハブロックアップ部材7のシリンダ部7a)に接続され、トルクコンバータカバー8に固定される。
トルクコンバータカバー8とハブ部材(ハブロックアップ部材7のハブ部7b)の一方(トルクコンバータカバー8)には雌ネジ8aが形成され、他方(ハブロックアップ部材7のハブ部7b、ハブ部材)には雄ネジ7cが形成される(図1)。
トルクコンバータカバー8とハブ部材(ハブロックアップ部材7のハブ部7b)とは、ネジ嵌合により組み付けられる(図1)。
このため、仕上げ加工を必要とすることなく、ロックアップピストン5の作動性および油圧保持性を確保するロックアップクラッチ付きトルクコンバータAを提供することができる。
ハブロックアップ部材7は、ロックアップピストン5のうち回転中心軸CLに近い内周側と回転中心軸CLから遠い外周側をストローク移動可能に支持する(図1)。
このため、(1)の効果に加え、ロックアップピストン5の作動性および油圧保持性を、より確保することができる。
所定のねじ込み回転位置で、トルクコンバータカバー8とハブ部材(ハブロックアップ部材7のハブ部7b)のネジ嵌合を回転止めする回転止め構造(ネジ部材91)を有する(図1)。
このため、(1)〜(2)の効果に加え、多板クラッチ4のプレート(ドライブプレート4cやドリブンプレート4d)の厚みにばらつき等の影響を排除して、ロックアップピストン5のストローク量SAの調整と維持が可能である。
このため、(1)〜(3)の効果に加え、ネジ嵌合部20(雄ネジ7cと雌ネジ8a)からオイルリークがあっても、ロックアップクラッチ付きトルクコンバータAの外に漏れ出すことを防ぐことができる。
このため、(1)〜(4)の効果に加え、異種金属間の組み付け固定を容易に実現できる。
このロックアップクラッチ付きトルクコンバータAの製造方法であって、ロックアップピストン5と、リターンスプリング6と、ハブロックアップ部材7と、を備える(図1)。
ロックアップピストン5は、多板クラッチ4を締結する。
リターンスプリング6は、多板クラッチ4を解放する。
ハブロックアップ部材7は、ロックアップピストン5をストローク移動可能に支持するシリンダ部7aと、トルクコンバータカバー8に固定されるハブ部7bと、を一体に有する。
トルクコンバータカバー8とハブ部7bの一方(トルクコンバータカバー8)には雌ネジ8aが形成され、他方(ハブ部7b)には雄ネジ7cが形成される(図1)。
このロックアップクラッチ付きトルクコンバータAの製造方法において、スプリング・クラッチ組付け工程と、ピストン組付け工程と、押付位置維持工程と、ねじ込み工程と、ストローク量調整工程と、回転止め工程と、を有する。
スプリング・クラッチ組付け工程(図3)は、トルクコンバータカバー8にリターンスプリング6と多板クラッチ4を組み付ける。
ピストン組付け工程(図4)は、スプリング・クラッチ組付け工程後、トルクコンバータカバー8に、リターンスプリング6の位相に合わせてロックアップピストン5を組み付ける。
押付位置維持工程(図4)は、ピストン組付け工程後、リターンスプリング6の付勢力に抗してロックアップピストン5を多板クラッチ4の側に押し付けた押付位置に、クランプ治具21を用いてロックアップピストン5を維持する。
ねじ込み工程(図5)は、押付位置維持工程後に、ロックアップピストン5を維持した状態で、トルクコンバータカバー8とハブロックアップ部材7とをねじ込む。
ストローク量調整工程(図6)は、ねじ込み工程後に、クランプ治具21を外し、ハブロックアップ部材7のねじ込みにより、ロックアップピストン5と多板クラッチ4との間を所定のストローク量(適正なストローク量SA)に調整する。
回転止め工程(図7)は、ストローク量調整工程後に、トルクコンバータカバー8とハブロックアップ部材7を回転止めする。
このため、多板クラッチ全体の厚さのばらつき等の影響を排除して、ロックアップピストン5の適正なストローク量SAの調整と維持を行うロックアップクラッチ付きトルクコンバータAの製造方法を提供することができる。
実施例2におけるロックアップクラッチ付きトルクコンバータは、実施例1と同様に、車両の流体継手として、エンジン車やハイブリッド車等に搭載されるものである。以下、実施例2の構成を、「ロックアップクラッチ付きトルクコンバータの構成」と「ロックアップクラッチ付きトルクコンバータの製造方法」に分けて説明する。
図8は、実施例2におけるロックアップクラッチ付きトルクコンバータBの構成の断面図を示す。以下、図8に基づいて、実施例2のロックアップクラッチ付きトルクコンバータBの構成を説明する。
なお、図8に図示する他の構成は、実施例1と同様であるので、対応する構成に同一符号を付して説明を省略する。
図8に基づいて、実施例2のロックアップクラッチ付きトルクコンバータBの製造方法を構成する回転止め工程を説明する。なお、鉄製のトルクコンバータカバー8は、プレス加工により製造する。また、アルミニウム製のハブロックアップ部材7は、鋳造により製造する。
なお、実施例2のロックアップクラッチ付きトルクコンバータBの製造方法において、その他の溶接・加工工程、スプリング・クラッチ組付け工程、ピストン組付け工程、押付位置維持工程及びストローク量調整工程は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
実施例2の作用は、実施例1のロックアップクラッチ付きトルクコンバータAを、ロックアップクラッチ付きトルクコンバータBに置き換えると共に、実施例1のネジ部材91を突き当たり圧接部92に置き換えると、実施例1と同様の作用を示す。即ち、実施例2の作用は、実施例1と同様に、「ロックアップクラッチ付きトルクコンバータの特徴作用」と「ロックアップクラッチ付きトルクコンバータの製造方法の特徴作用」を示す。
実施例3におけるロックアップクラッチ付きトルクコンバータは、実施例1と同様に、車両の流体継手として、エンジン車やハイブリッド車等に搭載されるものである。以下、実施例3の構成を、「ロックアップクラッチ付きトルクコンバータの構成」と「ロックアップクラッチ付きトルクコンバータの製造方法」に分けて説明する。
図9は、実施例3におけるロックアップクラッチ付きトルクコンバータCの構成の断面図を示す。以下、図9に基づいて、実施例3のロックアップクラッチ付きトルクコンバータCの構成を説明する。
図9に基づいて、実施例3のロックアップクラッチ付きトルクコンバータCの製造方法を構成する回転止め工程を説明する。なお、鉄製のトルクコンバータカバー8は、プレス加工により製造する。また、アルミニウム製のハブロックアップ部材7は、鋳造により製造する。
なお、実施例3のロックアップクラッチ付きトルクコンバータCの製造方法において、その他の溶接・加工工程、スプリング・クラッチ組付け工程、ピストン組付け工程、押付位置維持工程及びストローク量調整工程は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
実施例3の作用は、実施例1のロックアップクラッチ付きトルクコンバータAを、ロックアップクラッチ付きトルクコンバータCに置き換えると、実施例1と同様の作用を示す。即ち、実施例3の作用は、実施例1と同様に、「ロックアップクラッチ付きトルクコンバータの特徴作用」と「ロックアップクラッチ付きトルクコンバータの製造方法の特徴作用」を示す。
実施例4におけるロックアップクラッチ付きトルクコンバータは、実施例1と同様に、車両の流体継手として、エンジン車やハイブリッド車等に搭載されるものである。以下、実施例4の構成を、「ロックアップクラッチ付きトルクコンバータの構成」と「ロックアップクラッチ付きトルクコンバータの製造方法」に分けて説明する。
図10は、実施例4におけるロックアップクラッチ付きトルクコンバータDの構成の断面図を示す。以下、図10に基づいて、実施例4のロックアップクラッチ付きトルクコンバータDの構成を説明する。
図10に基づいて、実施例4のロックアップクラッチ付きトルクコンバータDの製造方法を構成する回転止め工程を説明する。なお、鉄製のトルクコンバータカバー8は、プレス加工により製造する。また、アルミニウム製のハブロックアップ部材7は、鋳造により製造する。
なお、実施例4のロックアップクラッチ付きトルクコンバータDの製造方法において、その他の溶接・加工工程、スプリング・クラッチ組付け工程、ピストン組付け工程、押付位置維持工程及びストローク量調整工程は、実施例1と同様であるので、説明を省略する。
実施例4の作用は、実施例1のロックアップクラッチ付きトルクコンバータAを、ロックアップクラッチ付きトルクコンバータDに置き換えると、実施例1と同様の作用を示す。即ち、実施例4の作用は、実施例1と同様に、「ロックアップクラッチ付きトルクコンバータの特徴作用」と「ロックアップクラッチ付きトルクコンバータの製造方法の特徴作用」を示す。
4 多板クラッチ(ロックアップクラッチ)
5 ロックアップピストン
6 リターンスプリング
7 ハブロックアップ部材
7a シリンダ部(シリンダ部材)
7b ハブ部(ハブ部材)
7c 雄ネジ
8 トルクコンバータカバー
8a 雌ネジ
20 ネジ嵌合部
21 クランプ治具
71 外側面(シリンダ部とハブ部の外側面、シリンダ部材とハブ部材の外側面)
91 ネジ部材(回転止め構造)
92 突き当たり圧接部(回転止め構造)
CL 回転中心軸
P ネジピッチ(位置決めネジ構造)
SA ストローク量
Claims (5)
- トルクコンバータカバーの内部にロックアップクラッチを配置したロックアップクラッチ付きトルクコンバータにおいて、
前記ロックアップクラッチを締結/解放するロックアップピストンと、
前記ロックアップピストンをストローク移動可能に支持するシリンダ部材と、
前記シリンダ部材に接続され、前記トルクコンバータカバーに固定されるハブ部材と、を備え、
前記トルクコンバータカバーと前記ハブ部材の一方には雌ネジが形成され、他方には雄ネジが形成され、
前記トルクコンバータカバーと前記ハブ部材とは、ネジ嵌合により組み付けられ、
前記シリンダ部材と前記ハブ部材とを一体化し、一体化した部材をハブロックアップ部材とし、
前記ハブロックアップ部材は、前記ロックアップピストンのうち回転中心軸に近い内周側と前記回転中心軸から遠い外周側をストローク移動可能に支持する
ことを特徴とするロックアップクラッチ付きトルクコンバータ。 - 請求項1に記載されたロックアップクラッチ付きトルクコンバータにおいて、
前記トルクコンバータカバーと前記ハブ部材の雌雄ネジに、所定のねじ込み回転位置に位置決めを行う位置決めネジ構造を設け、
前記所定のねじ込み回転位置で、前記トルクコンバータカバーと前記ハブ部材のネジ嵌合を回転止めする回転止め構造を有する
ことを特徴とするロックアップクラッチ付きトルクコンバータ。 - 請求項1又は請求項2に記載されたロックアップクラッチ付きトルクコンバータにおいて、
前記トルクコンバータカバーは、入力軸に連結され、前記ハブロックアップ部材のうち回転中心軸方向の前記入力軸側の外側面全面を覆って閉鎖する全閉構造に形成される
ことを特徴とするロックアップクラッチ付きトルクコンバータ。 - 請求項1から請求項3までの何れか一項に記載されたロックアップクラッチ付きトルクコンバータにおいて、
前記トルクコンバータカバーと前記ハブロックアップ部材の一方は強度を持つ強度金属材で形成され、他方は前記強度金属材よりも軽い軽量金属材で形成される
ことを特徴とするロックアップクラッチ付きトルクコンバータ。 - トルクコンバータカバーの内部に多板クラッチであるロックアップクラッチを配置したロックアップクラッチ付きトルクコンバータの製造方法であって、
前記多板クラッチを締結するロックアップピストンと、
前記多板クラッチを解放するリターンスプリングと、
前記ロックアップピストンをストローク移動可能に支持するシリンダ部と、前記トルクコンバータカバーに固定されるハブ部と、を一体に有するハブロックアップ部材と、を備え、
前記トルクコンバータカバーと前記ハブ部の一方には雌ネジが形成され、他方には雄ネジが形成されるロックアップクラッチ付きトルクコンバータの製造方法において、
前記トルクコンバータカバーに前記リターンスプリングと前記多板クラッチを組み付けるスプリング・クラッチ組付け工程と、
前記スプリング・クラッチ組付け工程後、前記トルクコンバータカバーに、前記リターンスプリングの位相に合わせて前記ロックアップピストンを組み付けるピストン組付け工程と、
前記ピストン組付け工程後、前記リターンスプリングの付勢力に抗して前記ロックアップピストンを前記多板クラッチの側に押し付けた押付位置に、クランプ治具を用いて前記ロックアップピストンを維持する押付位置維持工程と、
前記押付位置維持工程後に、前記ロックアップピストンを維持した状態で、前記トルクコンバータカバーと前記ハブロックアップ部材とをねじ込むねじ込み工程と、
前記ねじ込み工程後に、クランプ治具を外し、前記ハブロックアップ部材のねじ込みにより、前記ロックアップピストンと前記多板クラッチとの間を所定のストローク量に調整するストローク量調整工程と、
前記ストローク量調整工程後に、前記トルクコンバータカバーと前記ハブロックアップ部材を回転止めする回転止め工程と、
を有するロックアップクラッチ付きトルクコンバータの製造方法。
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