JP6788256B2 - 冠動脈イベント予測のための方法及び試薬 - Google Patents

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Description

本発明は、冠動脈イベントの予測のための方法、及び該方法に用いる検出試薬に関する。本発明は特に、心筋梗塞治療後の患者における冠動脈二次イベントの有無の予測のための方法に関する。
急性冠症候群(acute coronary syndrome, ACS)は、冠動脈中での血栓形成による血流の減少又は途絶により生じる疾患である。臨床的には狭心症、心筋梗塞、心臓性突然死等を含み、世界的に疾患による死亡原因の上位に位置するものである。ACSの危険因子としては、喫煙、糖尿病、高血圧、高コレステロール血症等が知られている。
ACSの治療としては、抗血小板薬、抗血栓薬、β遮断薬等による薬物療法に加えて、経皮的冠動脈インターベンション(percutaneous coronary intervention, PCI)や冠動脈バイパス術等の手術が行われており、特にPCIは、過去数十年の間、心筋梗塞患者の予後を大きく改善してきた。PCIでは、ステント留置後に治療部位での再狭窄が生じる問題があったが、こうした再狭窄は、薬物溶出性ステント(drug eluting stent, DES)の使用により低減している。更に、高用量のスタチンの経口投与によって、二次的な心血管系イベントが低減することが示されている。
しかしながら、薬物溶出性ステントを使用した場合であっても治療部位での再狭窄が生じることがあり、また治療部位とは異なる箇所で新たな病変が生じる場合もある。従って、PCI後の患者の継続的なモニタリングが必要とされている。
これまで、心筋梗塞等の冠動脈イベントの発症を予測するためのバイオマーカーとして、アテローム性動脈硬化症患者、あるいはACS治療後の安定期の患者の好中球及び血小板由来のサイトカインや可溶性タンパク質の血清レベルを用い得る可能性について報告されている(非特許文献1−5)。また、末梢血単核球中のマイクロRNAが予測のためのマーカーとなり得ることも報告されている(非特許文献6−7)。
Trial. J. Am. Coll. Cardiol. 2009; 54: 2358-2362 Circulation 2003; 108: 1440-1445 Eur. Heart J. 2008; 29: 1096-1102 Eur. Heart J. 2010; 31: 3024-3031 Int. J. Cardiol. 2015; 201: 499-507 Int. J. Cardiol. 2014; 172: 356-363 Int. J. Cardiol. 2014; 176: 375-385
しかしながら、包括的な遺伝子解析に基づくACSのマーカーは報告されておらず、また長期予後(冠動脈二次イベントの有無)を予測するマーカーは未だに確立されていない。
すなわち、ACSの予測因子として使用可能な、ACS患者における遺伝子発現の包括的なプロファイリングが求められている。
本発明者等は、急性冠症候群患者の末梢血白血球(peripheral blood lymphocytes, PBL)における遺伝子発現の包括的な解析のために、5年間のコホート試験を実施し、急性期患者のPBL中の遺伝子発現と、冠動脈二次イベントの有無との相関性を検討した。この試験は、UMIN臨床試験UMIN000001932として登録されている。
DNAマイクロアレイ解析を行った結果、冠動脈二次イベントを生じた群と、生じなかった群で発現が有意に異なる遺伝子として、83種の遺伝子が抽出され、このうち41種の遺伝子が対照群と比較して発現上昇しており、一方42種が発現低下していた。有意に発現が異なるとして見出された遺伝子群は、これまでに報告されていない。
更に、同定された遺伝子群について、治療部位での再狭窄症例と、最初の病変と異なる部位での新規狭窄症例とで別個に検討したところ、発現変化の有意性に相違が見出された。すなわち、再狭窄の発生と、新規狭窄の発生とで、最適な予測因子が異なってくることが明らかになった。
これらの知見に基づいて、本発明者等は、心筋梗塞治療後の再狭窄、及び新たな病変等の冠動脈二次イベントを予測できるマーカーを同定するに到った。
すなわち、本発明は以下を提供するものである。
1.被験体の末梢血白血球中のNGFR(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー16プリカーサー(低親和性神経成長因子受容体))及び/又はDAPK1(細胞死関連キナーゼ1)をマーカーとして冠動脈イベントの有無を予測するためのデータを提供する方法であって、基準値と比較したNGFR及び/又はDAPK1の発現の低下が検出された場合に冠動脈イベントの発生が予測される、上記方法。
2.冠動脈イベントが新規病変であり、更に表1に示される1以上の遺伝子の発現低下の検出を指標とする、上記1記載の方法。
3.冠動脈イベントが心筋梗塞治療部位の再狭窄であって、更に表2に示される1以上の遺伝子の発現低下の検出を指標とする、上記1記載の方法。
4.急性心筋梗塞患者から採取された末梢血白血球中のマーカー遺伝子の発現を検出し、基準値と比較した該マーカー遺伝子の発現の上昇又は低下に基づいて冠動脈二次イベントの有無を予測するためのデータを提供する方法であって、該マーカー遺伝子が、表3又は4に示される1以上の遺伝子である、上記方法。
5.末梢血が、急性心筋梗塞患者の治療前に採取されたものである、上記4記載の方法。6.上記データが、表3に示される遺伝子の発現の低下に基づくものである、上記4又は5記載の方法。
7.上記データが、表4に示される遺伝子の発現の上昇に基づくものである、上記4又は5記載の方法。
8.マーカー遺伝子が、NGFR及び/又はDAPK1を含む、上記4又は5記載の方法。
9.上記1〜8のいずれか記載の方法に使用するための検出試薬であって、表1〜4に示されるいずれかの遺伝子の発現の検出を可能とする、上記試薬。
10.サンプル中のmRNAとのハイブリダイゼーションのためのDNA又はRNAを含む、上記9記載の検出試薬。
11.サンプル中のタンパク質との特異的結合のための抗体を含む、上記9記載の検出試薬。
12.上記9〜11のいずれかに示される検出試薬を含む、冠動脈イベントを予測するために使用されるキット。
従来の危険因子とは独立して、急性冠症候群の発症又は再発のリスクを予測することが可能なマーカーが同定された。本発明により、特にPCI後の患者の予後の評価のために非常に有用な方法が提供される。
7,785遺伝子から階層クラスタリング分析及びクラス比較分析によって抽出された83遺伝子(P<0.005)の発現を、非致死性冠動脈イベント(NFE)のあった群(右側)及びイベントのなかった群(左側)に分類してヒートマップで示す。30名の患者由来の各サンプルの結果を縦列に、各遺伝子の結果を横列に示してある。発現データはカラーイメージとして図示され、赤及び緑はそれぞれアップレギュレート及びダウンレギュレートされた遺伝子を、灰色は利用不能のデータを示す。 30名の患者の5年間を超える追跡期間での新規病変の累積発症率を、NGFRの発現レベルに従って比較したKaplan-Meier曲線を示す。「NGFR Low」、「NGFR Medium」、及び「NGFR High」はNGFRの低発現群、中等度発現群、及び高発現群の患者をそれぞれ示す。 30名の患者の5年間を超える追跡期間での再狭窄の累積発症率を、DAPK1の発現レベルに従って比較したKaplan-Meier曲線を示す。「DAPK1 Low」、「DAPK1 Medium」、及び「DAPK1 High」はDAPK1の低発現群、中等度発現群、及び高発現群の患者をそれぞれ示す。
本発明は、第1の実施形態として、被験体の末梢血白血球中のNGFR(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー16プリカーサー(低親和性神経成長因子受容体))(Tumor necrosis factor receptor superfamily member 16 precursor (Low-affinity nerve growth factor receptor))及び/又はDAPK1(細胞死関連キナーゼ1)(Death-associated protein kinase 1)をマーカーとして冠動脈イベントの有無を予測するためのデータを提供する方法であって、基準値と比較したNGFR及び/又はDAPK1の発現の低下が検出された場合に冠動脈イベントの発生が予測される、上記方法を提供する。
本明細書において、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー16プリカーサー(低親和性神経成長因子受容体)について、簡略化のために「NGFR」と記載する。NGFRは、神経栄養因子(neutrophin)に対する受容体であり、腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーに属することが知られている。神経成長因子は、神経系において細胞増殖や分化の調節といった作用を有するが、冠動脈イベントとの関連については知られていない。NGFRは、ヒトにおいて第17番染色体(17q21-q22)に位置する。NGFRのmRNAの塩基配列及びアミノ酸配列は、NCBIデータベースにそれぞれNCBI参照配列:NM_002507.3及びNP_002498.1として登録されている。
一方、本明細書において、細胞死関連タンパク質キナーゼ1について、簡略化のために「DAPK1」と記載する。DAPK1は、Fas、IFN-γ、及びTNF-α等の刺激によって種々の細胞でアポトーシスを誘導するカルシウム/カルモジュリン依存性のセリン/トレオニンキナーゼであるが、状況によっては抗アポトーシス作用を発揮することも報告されている。DAPK1と冠動脈イベントとの関連については知られていない。DAPK1は、ヒトにおいて第9番染色体(9q21.33)に位置し、そのmRNAの塩基配列及びアミノ酸配列は、NCBIデータベースにそれぞれNCBI参照配列:NM_001288729.1及びNP_001275658.1として登録されている。
本明細書において、「被験体」とは、冠動脈イベントを発症する可能性のあるヒト被験体である。好ましくは、被験体は、心筋梗塞を発症した患者であり、特に急性心筋梗塞患者であり得る。
「被験体の末梢血白血球」とは、被験体から採取された末梢血の白血球であり、被験体が心筋梗塞患者の場合、採取は、薬剤投与、及び経皮的冠動脈インターベンション(PCI)等の治療前であることが好ましい。
「冠動脈イベント」との用語は、当分野において通常使用される用語であり、当業者であれば容易に理解することができる。本明細書において、「冠動脈イベント」とは、特に冠動脈の狭窄、心臓性突然死、致死性及び非致死性心筋梗塞、不安定狭心症等の冠動脈の狭窄及び閉塞、及びそれによって生じる症状を含むことが意図される。
また、「(冠動脈)二次イベント」とは、心筋梗塞等の治療から数カ月〜数年後に発生するイベントであって、当分野において、治療部位での再狭窄等のイベント、及び治療部位とは異なる部位で発生する狭窄等のイベントの双方を含むものとして理解されている。しかしながら、上記した通り、本発明者等は、これらの再狭窄及び異なる部位での狭窄で、その発現変化によって冠動脈イベントの予測マーカーとなり得る遺伝子が異なり得ることを見出している。従って、本明細書において、上記の治療部位とは異なる部位で発生する狭窄等のイベントを「新規病変」と記載する。
「基準値」とは、本発明の方法において発現の上昇又は低下を判定するための基準となり得る数値であり、例えば非ACS被験体、例えば健常人での発現の平均値、あるいはACS発症患者で二次イベントを発症しなかった被験体における発現の平均値等であり得る。
また、DNAマイクロアレイ解析では、個々の遺伝子の発現値が参照RNAの発現(普遍的対照サンプル(universal control)における発現値)に対する比として得られる場合がある。従って、基準値はまた、非ACS被験体、例えば健常人、あるいはACS発症患者で二次イベントを発症しなかった被験体における遺伝子の発現の参照RNAの発現に対する比であり得る。更に、基準値は、得られた比の値を例えばlog2スケール等に変換した値であり得る。
上記のような基準値を、対象となる被験体での発現の検出と同時に対照サンプルの発現を検出することで取得し、発現の比較を行うことができる。あるいはまた、対照サンプルの発現を予め測定し、標準的な発現レベルとして、場合によっては一定の範囲内の発現レベルとして準備しておくこともできる。当業者であれば、遺伝子マーカーを指標とした疾患の検出のための基準値の取得方法を理解することができる。
本明細書において、「遺伝子」とは、当分野において一般的に理解されているように、タンパク質をコードするポリヌクレオチド、すなわちDNA又はRNAを意味するものであるが、これに加えて、必ずしもタンパク質をコードしなくても、生体内でRNAに転写され得るポリヌクレオチドを含めるものとする。
また、本明細書において、遺伝子の「発現」とは、遺伝子と相補的なRNA(転写産物)の発現、及び遺伝子がコードするタンパク質(翻訳産物)の発現の双方を含めるものとする。従って、本明細書において、遺伝子の発現レベルとは、転写産物又は翻訳産物の発現量又は発現強度をいう。発現レベルは通常、遺伝子に対応する転写産物の産生量、又はその翻訳産物の産生量、活性等により解析することができる。
遺伝子の発現レベルは、絶対値で表してもよく、また相対値で表してもよい。従って、「発現の上昇」及び「発現の低下」は、基準値に対して上昇又は低下した発現レベルとして、あるいはまた、発現の「変化倍率(fold-change)」として表すことができる。本発明の方法において、冠動脈イベントの予測のために好適な「発現の上昇」及び「発現の低下」における発現の変動は、例えば2倍以上、3倍以上、4倍以上である。従って、「変化倍率」は、発現の上昇においては1.25倍以上、発現の低下においては0.80倍以下(未満)であることが好ましい。
発現レベルの測定は、遺伝子の転写産物、すなわちmRNAの測定により行ってもよいし、遺伝子の翻訳産物、すなわちタンパク質の測定により行ってもよい。好ましくは、遺伝子の転写産物の測定により行なう。遺伝子の転写産物には、mRNAから逆転写されて得られたcDNAも含まれる。
転写産物の発現レベルの測定は、例えばmRNAの塩基配列の全部又は一部を含むヌクレオチドをプローブ又はプライマーとして用いてサンプル中の遺伝子発現の程度を測定すればよく、例えばマイクロアレイ(マイクロチップ)を用いた方法、ノーザンブロット法、定量的PCR法等で測定することが可能である。定量的PCR法としては、アガロースゲル電気泳動法、蛍光プローブ法、RT-PCR法、リアルタイムPCR法、ATAC-PCR法(Kato,K.et al.,Nucl.Acids Res.,25,4694-4696,1997)、Taqman PCR法(SYBR(登録商標)グリーン法)(Schmittgen TD,Methods25,383-385,2001)、Body Map法(Gene,174,151-158(1996))、Serial analysis of gene expression(SAGE)法(米国特許第527,154号、第544,861号、欧州特許公開第0761822号)、MAGE法(Micro-analysis of Gene Expression)(特開2000-232888号)等が知られており、これらを適宜使用することができる。これらの方法を用いて、mRNAの量を、該mRNAにハイブリダイズするヌクレオチドプローブ又はプライマーの使用により測定することができる。測定に用いるプローブ又はプライマーの塩基長は、10〜50bp、好ましくは15〜25bpである。
複数の遺伝子の発現、特に多種類の遺伝子の発現を同時に測定する場合には、DNAマイクロアレイを用いることが好適である。DNAマイクロアレイは、遺伝子の塩基配列からなるヌクレオチド又はその一部配列を含むヌクレオチドを適当な基板上に固定化することにより作製することができる。固定基板としては、ガラス板、石英板、シリコンウェハーなどが挙げられる。基板の大きさとしては、例えば3.5mm×5.5mm、18mm×18mm、22mm×75mmなどが挙げられるが、これは基板上のプローブのスポット数やそのスポットの大きさなどに応じて様々に設定することができる。ポリヌクレオチド又はその断片の固定化方法としては、ヌクレオチドの荷電を利用して、ポリリジン、ポリエチレンイミン、ポリアルキルアミンなどのポリ陽イオンで表面処理した固相担体に静電結合させたり、アミノ基、アルデヒド基、エポキシ基などの官能基を導入した固相表面に、アミノ基、アルデヒド基、SH基、ビオチンなどの官能基を導入したヌクレオチドを共有結合により結合させることもできる。固定化は、アレイ機を用いて行えばよい。少なくとも1個の遺伝子又はその断片を基板に固相化してDNAマイクロアレイを作製し、該DNAマイクロアレイと蛍光物質で標識した被験体由来のmRNAまたはcDNAを接触させ、ハイブリダイズさせ、DNAマイクロアレイ上の蛍光強度を測定することにより、mRNAの種類と量を決定することができる。
DNAマイクロアレイを用いる場合、目的のmRNAを含む被験体由来のサンプルと上記対照サンプルとを同時にマイクロアレイにハイブリダイズさせることができる。それにより、対照サンプルと比較して被験体由来のサンプルにおいて発現が変動している遺伝子の発現レベルを相対的な発現変化として得ることができる。被験体由来のmRNA、及び場合によって対照サンプル由来のmRNAは標識することができ、標識は、特に限定するものではないが、市販の蛍光物質、例えば、Cy3、Cy5等を用いることができる。
また、DNAマイクロアレイは、市販品を適宜使用することもできる。使用可能なDNAマイクロアレイの例として、例えば3D-GeneTM Human Oligo chip 25k(東レ株式会社製)等を挙げることができる。
翻訳産物の発現レベルの測定は、翻訳されたタンパク質を定量するか、又はタンパク質の活性を測定することによって行うことができる。あるいはまた、タンパク質の定量は、タンパク質に対して特異的な抗体を用いて行うことができる。
抗体は公知の方法により、作製することができる。あるいはまた、抗体は、例えばInvitrogen社、Santa Cruz Biotechnology社、Sigma-Aldrich社等からヒトNGFR、ヒトDAPK1等に対する反応性を有するものが提供されており、これらを適宜入手して使用することができる。検出のための抗体は、ポリクローナル抗体であってもモノクローナル抗体であっても良い。
抗体を用いたタンパク質の検出は、限定するものではないが、例えばウェスタンブロッティング、ELISA、フローサイトメトリー等によって行うことができる。抗体は、蛍光標識、放射性標識、酵素、ビオチン等による標識をすることができ、また、そのように標識された検出のための二次抗体を使用することもできる。
本発明の方法は、第1の態様において、上記の冠動脈イベントが新規病変であり、特にNGFRの発現の検出を含む。この態様では、NGFRに加えて、更に表1に示される1以上の遺伝子の発現低下の検出を指標とすることができる。表1は、本発明者等が見出した、5年間の追跡調査の期間の新規病変の有無で比較した場合に、新規病変があった群で有意に発現が低下していた10個の遺伝子を、p-値が小さい順に列記したものである。従って、この態様は、NGFRに加えて、RBP7、PDXK、C6orf166、CDA、C9orf164、RRAGD、PTHR2、KIAA0319L、MRGPRFから選択される1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種又は9種の遺伝子の発現の低下が検出された場合に、新規病変が生じる可能性が高いことが示される。NGFR以外の遺伝子の発現の検出も、上記したようにして行うことができる。
ここで、「新規病変」とは、最初の冠動脈イベントにおける病変、及び最初の冠動脈イベントにおける病変とは異なる部位に生じた二次イベントにおける病変の双方を含むものとする。
尚、以下の表1〜4中に示された遺伝子名及びシンボルは、当分野において明確に理解される表記であり、またNCBI Noは、上記にも記載したNCBIデータベースにおけるmRNAの参照配列番号である。当業者であれば、これらの情報に基づいて、各遺伝子の様々な特徴を知ることができ、またDNA配列及びmRNA配列、これらの遺伝子がコードするタンパク質のアミノ酸配列の情報を容易に入手することができる。
Figure 0006788256
本発明の方法は、第2の態様において、上記の冠動脈イベントが心筋梗塞治療後の再狭窄であり、特にDAPK1の発現の検出を含む。この態様では、DAPK1に加えて、更に表2に示される1以上の遺伝子の発現低下の検出を指標とすることができる。表2は、本発明者等が見出した、5年間の追跡調査期間の再狭窄の有無で比較した場合に、再狭窄があった群で有意に発現が低下していた10個の遺伝子を、p-値が小さい順に列記したものである。従って、この態様は、DAPK1に加えて、DDI2、SETD2、BHLHB8、NR2E3、SLC9A1、DIDO1、IGHV3-13、USF1、ABHD4から選択される1種、2種、3種、4種、5種、6種、7種、8種又は9種の遺伝子の発現の低下が検出された場合に、治療部位での再狭窄が生じる可能性が高いことが示される。DAPK1以外の遺伝子の発現の検出も、上記したようにして行うことができる。
表1及び2からわかる通り、驚くべきことに、新規病変が生じる場合と、治療部位での再狭窄が生じる場合では、発現が変化する遺伝子群が異なっていることが判明した。このことは、従来全く知られていなかったことであり、新規病変が生じる可能性を予測する場合と、治療部位での再狭窄等の病変が生じる可能性を予測する場合とで、発現の変化を考慮すべき遺伝子が異なることを意味する。
Figure 0006788256
本発明はまた、第2の実施形態として、急性心筋梗塞患者から採取された末梢血白血球中のマーカー遺伝子の発現を検出し、基準値と比較した該マーカー遺伝子の発現の上昇又は低下に基づいて冠動脈二次イベントの有無を予測するためのデータを提供する方法であって、該マーカー遺伝子が、表3又は4に示される1以上の遺伝子である、上記方法を提供する。末梢血は、特に限定するものではないが、急性心筋梗塞患者の治療前に採取されたものであることが好ましい。
表3及び表4は、新規病変と再狭窄とを区分することなく、ACSを発症した患者における予後を予測する場合に発現の変化を検出すべきそれぞれ20個の遺伝子を、二次イベントの有無で比較した場合のp-値の小さい順に記載したものである。
第1の態様において、上記データは、表3に示される遺伝子の発現の低下に基づくものである。例えば、NFAM1、RFX2、DAPK1、NGFR、LILRA2、NIN、C9orf164、NP_569736.1、ELMO1、GRB2、PHLPP、WAS、RRAGD、HEBP2、TREML2、BHLHB8、SLC35E3、TUFT1、EXTL3、NCF4から選択される1種以上、2種以上、3種以上、4種以上、5種以上、10種以上、15種以上、又は20種の遺伝子の発現の低下が検出された場合に、冠動脈二次イベントが生じる可能性が高いことが示される。
第2の態様において、上記データは、表4に示される遺伝子の発現の上昇に基づくものである。DUT、DUSP14、LPIN1、BIVM、NSG1_HUMAN、ITGB7、COQ3、SH2B1、SERGEF、WDR70、Q96NS8_HUMAN、RAI16、PFKP、LAT、CD320、CCDC92、SLC25A19、CD8B、CBFA2T2、LRRC8Cから選択される1種以上、2種以上、3種以上、4種以上、5種以上、10種以上、15種以上、又は20種の遺伝子の発現の上昇が検出された場合に、冠動脈二次イベントが生じる可能性が高いことが示される。
第3の態様において、上記データは、表3に示される遺伝子の発現の低下、及び表4に示される遺伝子の発現の上昇に基づくものである。
表3に示す通り、上記第1の実施形態で特に考慮すべきNGFR及びDAPK1の双方が有意な発現低下を示す遺伝子として上位に位置している。従って、この実施形態において、マーカー遺伝子が、NGFR及び/又はDAPK1を含むことが好ましい。
Figure 0006788256
Figure 0006788256
本発明は、第3の実施形態において、上記の本発明の方法に使用するための検出試薬であって、表1〜4に示されるいずれかの遺伝子の発現の検出を可能とする、上記試薬を提供する。
第1の態様において、検出試薬は、サンプル中のmRNAとのハイブリダイゼーションのためのDNA又はRNAを含む。DNA又はRNAは、ハイブリダイゼーションを蛍光標識等で検出し得るプローブである。あるいはまた、DNA又はRNAは、mRNAの増幅に使用可能なプライマーである。
第2の態様において、検出試薬は、サンプル中のタンパク質との特異的結合のための抗体を含む
尚、ここで「サンプル」とは、検出対象のmRNA又はタンパク質が存在し得る被験体由来のサンプル及び比較対照のためのサンプルであり、被験体の末梢血白血球、及び末梢血白血球から検出のための操作、例えば細胞溶解、遠心分離、ろ過、抽出等を行ったものを含み、各種試薬、緩衝剤等を含んでいても良い。
上記検出試薬は、検出のために必要な標識等を適宜施すことができる。
本発明は、第4の実施形態において、上記の本発明の検出試薬を含む、冠動脈イベントを予測するために使用されるキットを提供する。本発明のキットは、検出試薬に加えて、検出のために必要な他の試薬、例えば緩衝剤、各種ヌクレオチド、ハイブリダイゼーション又は抗体結合のために必要な他の試薬を含むことができる。
更に、上記の通り、本発明により、冠動脈イベントを発症する可能性の高い被験体では、NGFR及び/又はDAPK1の発現、更に表1〜3に示す遺伝子の発現が低下していることが見出されている。従って、このような被験体に、NGFR及び/又はDAPK1、あるいはこれに加えて、表1〜3に示す遺伝子がコードするタンパク質、あるいは遺伝子と同じ塩基配列を有するポリヌクレオチドを適切な形態で、例えば遺伝子がコードするタンパク質を細胞表面抗原として発現する細胞として、あるいは当分野において通常利用されるベクター、例えばウイルスベクター、プラスミドベクター等に組み込んで、治療薬として被験体に投与することで、冠動脈イベントの発症を予防することが可能となり得る。
一方、冠動脈イベントを発症する可能性の高い被験体で発現が上昇している遺伝子、例えば表4に示す遺伝子の発現を低下させるためには、これらの遺伝子の塩基配列に相補的な塩基配列を有するsiRNA等の干渉RNA、これらの遺伝子がコードするタンパク質に対して特異的な抗体を治療薬として投与することが想定される。
治療薬の投与方法は、特に限定するものではないが、例えば静脈内投与とすることが好ましい。
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、本実施例で使用した統計的手法は当業者には容易に理解されるものであり、分析にはSPSS統計ソフトウェア(version 19、IBM社製)を用いた。
[被験体の臨床的特性]
金沢大学附属病院、松任石川中央病院、富山県立中央病院の3施設において、各倫理委員会の承認を得て、2007年より臨床研究を実施した。
解析対象被験体には、経皮的冠動脈インターベンション(PCI)を実施した30名の急性心筋梗塞患者(ACS群)、及び15名の非ACS被験体(対照群)が含まれた。
表5に、本実施例に結果を記載するACS群30名及び対照群15名の被験体の臨床的ベースライン特性の一部を記載する。ACS群及び対照群の年齢構成はほぼ同じであるが、ACS群では糖尿病の罹患率が50%であった。また、対照群と比較して、ACS群ではグリコシル化ヘモグロビン及び空腹時血漿グルコースの数値が高く、一方高比重リポタンパクコレステロール値は低かった。
上記のACS群30名の患者に対して、PCIによる治療を行った後、5年間のコホート追跡調査を行った。その結果、36%(11例)に、二次イベント、すなわち、再度の血行再建術を要すると判定される非致死性冠動脈イベント(non-fatal coronary event, NFE)が認められた。NFEは、治療部位の再狭窄及び治療部位とは異なる箇所での新規病変を含み、再狭窄7例、新規病変7例、双方を有するものが3例であった。表6に、NFEのあった群及びなかった群の患者の臨床的ベースライン特性の一部を記載する。
Figure 0006788256
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[被験体からのサンプルの取得]
PCI実施前の30名のACS群患者から末梢血を採取し、5mlの血液を2本の2.5ml PAXgeneTM blood RNAチューブ(PreAnalytiX, Hombrechtikon, Switzerland)に回収し、RNAの単離まで-80℃で保存した。
得られた血液からPAXgeneTMシステムを用いてRNAを単離した。具体的には、PAXgeneTM blood RNAチューブを遠心分離してペレットを回収し、洗浄後にバッファーに再懸濁した。再懸濁したペレットに、PAXgeneTM blood RNAキット(Qiagen, Valencia, CA, USA)の溶解用バッファーを加え、RNAの精製及び抽出を行った。抽出したRNAはDNAマイクロアレイ解析まで-80℃で保存した。
[DNAマイクロアレイ解析]
各サンプルについて0.5μgの全RNAを用い、Amino Allyl MessageAmpTMII aRNA Amplificaion kit(Life Technologies, Carlsbad, CA, USA)を用いて増幅し、Cy3で標識した。標識したRNAサンプル、及びCy5で標識した参照aRNA(Human Universal Reference Total RNA: hURR #636538, Clontech, タカラバイオ株式会社)を、3D-GeneTM Human Oligo chip 25k(東レ株式会社製)に37℃で16時間ハイブリダイズさせた。
ハイブリダイゼーション後、各DNAチップを洗浄し、乾燥させた後、Scan Array Express(PerkinElmer, Waltham, MA, USA)を用いてCy3及びCy5由来のハイブリダイゼーションシグナルを検出した。スキャンイメージの検出結果をGenePix Pro(Molecular Devices, Sunnyvale, CA, USA)を用いて解析した。対照(hURR)に対する各遺伝子の発現強度の比率をサンプル毎に算出し、log2スケールに変換した。
[非致死性冠動脈イベントを予測するACS中の異なって発現する遺伝子]
3D-GeneTM Human Oligo chip 25k(東レ株式会社製)では、24,267遺伝子の発現を解析することが可能である。本発明者等は、遺伝子発現を効率的に比較するために、まず、サンプル間で変化しない遺伝子を除いた7,785遺伝子を選択した。
コホート調査の結果、二次イベントのあった群となかった群とで異なって発現する遺伝子を検討するために、BRB-Array tools(version4.4.0)(NCBI, NIH, Bethesda, MD, USA)の単変量t-testに基づくclass comparison toolを用いてクラス比較分析を行った。選択された7,785遺伝子から、0.005未満のp値を示す遺伝子を有意であるとして、更に83遺伝子を抽出した(アップレギュレート41種及びダウンレギュレート42種)。図1に示す通り、これらの遺伝子は、二次イベントの有無によって、発現の上昇又は低下が明確に判別される。
[冠動脈二次イベント発症の予測のためのマーカー遺伝子]
二次イベントのあった群となかった群とで異なって発現する遺伝子として選択された83遺伝子の参照aRNAに対する発現比をlog2スケールで算出し、各遺伝子毎に、この値の各グループの平均値を(イベントあり)/(イベントなし)で計算したものを変化倍率(fold-change)として計算した。
表7に、二次イベントがあった群で発現が上昇した20個の遺伝子を、p-値の小さい順に示す。また、表8に、二次イベントがあった群で発現が低下した20個の遺伝子を、p-値の小さい順に示す。
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これらの遺伝子の発現の上昇及び/又は低下は二次イベントの有無に関連するものであり、従って、表7及び8に示す遺伝子は、それぞれ単独で、又は組み合わせて、ACS患者の二次イベントの発症を予測するために使用することができることが明らかとなった。
[ACS治療後の新規病変発症の予測のためのマーカー遺伝子]
二次イベントがあった群で発現が低下していた遺伝子群に、機能的にも興味ある遺伝子が複数認められたため、これらの遺伝子の発現について更に解析を進めた。
一般的に二次イベントと総称される状態は、治療部位での再狭窄等のイベント、及び治療部位とは異なる部位で発生する狭窄等のイベントの双方を含めて理解されている。しかしながら、驚くべきことに、以前の治療部位とは異なる部位での狭窄等(新規病変)と、以前の治療部位での再狭窄等とで、これらのイベントを予測し得る遺伝子群が異なることが見出された。
表9は、5年間の追跡調査の期間の新規病変の有無で比較した場合に、新規病変があった群で有意に発現が低下していた10個の遺伝子を、p-値が小さい順に列記したものである。従って、表9に示す遺伝子は、それぞれ単独で、又は組み合わせて、新規病変の発症を予測するために使用することができることが明らかとなった。これらの遺伝子は、最初の冠動脈イベントにおける病変、及び最初の冠動脈イベントにおける病変とは異なる部位に生じた二次イベントにおける病変の双方を予測できる可能性があると考えられる。
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[ACS治療後の再狭窄発症の予測のためのマーカー遺伝子]
表10は、5年間の追跡調査の期間の再狭窄の有無で比較した場合に、再狭窄があった群で有意に発現が低下していた10個の遺伝子を、p-値が小さい順に列記したものである。従って、表10に示す遺伝子は、それぞれ単独で、又は組み合わせて、治療部位での再狭窄の発症を予測するために使用することができることが明らかとなった。
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[ACSにおけるNGFR発現レベル]
冠動脈イベントを予測するための単一マーカー候補として、抽出された83遺伝子から、新規病変発生群において最も有意に(最小のP-値で)ダウンレギュレートされたNGFR(表9)について検討した。30名のACS群を、サンプル中のNGFR発現レベルに基づいて低発現群、中等度発現群、高発現群の3つの群(各10名)に分け、それぞれの群における新規病変の累積発症率をKaplan-Meier法を用いて評価し、log-rank testを用いて比較した。
その結果、図2に示すように、NGFR高発現群(▲)では新規病変の発生が全く観察されなかったのに対して、NGFR低発現群(●)では5年経過時点で50%に新規病変が発生していた。
治療後5年間の二次イベントの有無と相関する因子を特定するために、NGFRの低発現群について、Coxモデルを用いて単変量解析、及び患者のベースライン特性又は臨床的バイオマーカー(多枝病変、空腹時免疫反応性インスリン、及び糖尿病の有無)で調整した多変量解析を行った。多変量解析は、0.25のp値を計算に組み込む基準としたステップワイズ選択法を用いた。その結果、表11に示すように、PBL中のより低いNGFR発現が、高いハザード比を示し、二次イベントについての独立したリスク因子であることが明らかとなった。尚、表6に示す通り、喫煙及びLDL-C血清レベルは二次イベントの有無との相関性をみることはできなかった。
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[ACSにおけるDAPK1発現レベル]
冠動脈イベントを予測するためのもう一つの単一マーカー候補として、再狭窄発生群において最も有意に(最小のP-値で)ダウンレギュレートされたDAPK1(表10)について検討した。30名のACS群を、サンプル中のDAPK1発現レベルに基づいて低発現群、中等度発現群、高発現群の3つの群(各10名)に分け、それぞれの群における再狭窄の累積的発症率をKaplan-Meier法を用いて評価し、log-rank testを用いて比較した。
その結果、図3に示すように、DAPK1高発現群(▲)では新規病変の発生が全く観察されなかったのに対して、DAPK1低発現群(●)では5年経過時点で50%超に再狭窄が発生していた。
治療後5年間の二次イベントの有無と相関する因子を特定するために、DAPK1の低発現群について、Coxモデルを用いて単変量解析、及び患者のベースライン特性又は臨床的バイオマーカー(多枝病変、空腹時免疫反応性インスリン、及び糖尿病の有無)で調整した多変量解析を行った。多変量解析は、0.25のp値を計算に組み込む基準としたステップワイズ選択法を用いた。その結果、表12に示すように、PBL中のより低いDAPK1発現が、高いハザード比を示し、二次イベントについての独立したリスク因子であることが明らかとなった。
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本発明により、冠動脈イベントを予測するために利用可能な新たな検出試薬及び方法が提供される。本発明の方法において検出するマーカー遺伝子は、従来報告されてきたACSのリスク因子と独立したリスク因子である可能性が高い。ACSは早期の対応が非常に重要な疾患であるため、特にPCI治療後の患者の長期予後の予測を可能とする本発明の方法は、非常に有益なものとなり得る。

Claims (10)

  1. 被験体の末梢血白血球中のNGFR(腫瘍壊死因子受容体スーパーファミリーメンバー16プリカーサー(低親和性神経成長因子受容体))をマーカーとして冠動脈イベントの有無を予測するためのデータを提供する方法であって、基準値と比較したNGFRの発現の低下が検出された場合に、新規病変としての冠動脈イベントの発生が予測される、上記方法。
  2. 更に表1に示される1以上の遺伝子の発現低下の検出を指標とする、請求項1記載の方法。
  3. 末梢血が、心筋梗塞治療前に採取されたものである、請求項1又は2記載の方法。
  4. 急性心筋梗塞患者から採取された末梢血白血球中のマーカー遺伝子の発現を検出し、基準値と比較した該マーカー遺伝子の発現の低下に基づいて冠動脈二次イベントの有無を予測するためのデータを提供する方法であって、該マーカー遺伝子が、表3に示される1以上の遺伝子であり、かつNGFRを含む、上記方法。
  5. 末梢血が、急性心筋梗塞患者の治療前に採取されたものである、請求項4記載の方法。
  6. 更に表4に示される遺伝子の発現の上昇に基づくデータを提供する、請求項4又は5記載の方法。
  7. 請求項1〜6のいずれか1項記載の方法に使用するための検出試薬であって、表1、表3および表4に示されるいずれかの遺伝子の発現の検出を可能とする、上記試薬。
  8. サンプル中のmRNAとのハイブリダイゼーションのためのDNA又はRNAを含む、請求項7記載の検出試薬。
  9. サンプル中のタンパク質との特異的結合のための抗体を含む、請求項7記載の検出試薬。
  10. 請求項7〜9のいずれか1項に示される検出試薬を含む、被験体における冠動脈イベントを予測するために使用されるキット。
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